JP2766522B2 - 天然材様印材 - Google Patents

天然材様印材

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雅也 今井
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は印材に関するものである。さらに詳しくは、
天然材主として象牙の感触、質感、重量感、外観を有す
る印材に関する。
〔従来の技術〕
在来象牙はその感触、質感、重量感、外観、加工のや
り易さにより印材として高く評価されたきた。しかし近
年、象は乱獲により減少しており、種族保護のため、今
後入手不可能となる状況にある。
象牙に替る合成物としては、アミノ樹脂(特開昭53−
8651、特開昭53−9112)カゼイン樹脂、熱可塑性樹脂
(特開昭49−59865)、又はこれら樹脂に無機質充填剤
を添加したものがあるが、いずれも樹脂のみでは比重が
小さすぎ、重くするため無機質充填剤を添加すると象牙
特有の深みをもった質感、外観が得られず又、加工時に
欠けやすくなるなどの問題がある。又セラミック(特開
昭60−180933、特開昭63−74950)は重すぎる、加工時
欠けやすいなどの問題がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は天然材主として象牙に替わり得る天然材の感
触、質感、重量感、外観を有する合成物による印材を提
供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は上記問題点を解決するため、鋭意検討し
た結果特定の樹脂成分に対して特定の充填剤を特定量混
合した成形材料を加圧硬化成形した合成物が、その目的
を達成することを見出して本発明を完成させたものであ
る。即ち、本発明者らはメチルメタクリレート系重合体
10〜60重量%とメチルメタクリレート系単量体90〜40重
量%より成る樹脂成分70〜20重量部と、粉状水酸化アル
ミニウム30〜80重量部と、重合開始剤を混合し、加圧硬
化、具体的には(1)金型を用い加熱加圧硬化する。
(2)トランスファー成形により加熱加圧成形する。
(3)射出成形により加熱加圧成形することにより、天
然材主として象牙の感触、質感、重量感、外観を有する
合成物印材を得られることを見出した。
象牙は生物由来の天然物であるから象の種類、或は1
本象牙の中でも部分により、ある限度の範囲内である
が、その感触、質感、重量感、外観は違っている。例え
ば色調はいわゆるアイボリーではあるが、白味の強いも
の、黄味を含むもの、褐色味を帯びるもの、赤味を含む
もの等々がある。又質感も透明感の比較的多い優美な感
じの部分から不透明で白っぽく深みのないものもある。
又比重も1.8〜1.9と言われている。
その他天然材としては水牛の角があり、これにも黒
色、アメ色、灰色など種々の外観のものが印材として使
われている。
よって本発明の合成物原料の配合割合にも範囲を有す
るものである。その結果本発明による成形直前の成形材
料の粘度は常温に於て数ポイズの低粘度液状のものか
ら、生パン状のものまで含まれる。成形材料の粘度によ
り適する成形法が異なる。生パン状のものは、金型によ
る加熱加圧成形、トランスファー成形、射出成形が適し
ている。又、数千ポイズまでの流動性を有する場合は弾
性袋に入れ、金型で成形するのが適している。
本発明に用いるメチルメタクリレート系重合体はメチ
ルメタクリレートのホモポリマー又はメチルメタクリレ
ート80重量%以上と他のα,β−エチレン性不飽和化合
物、例えば酢酸ビニル、スチレン、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロ
ヘシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シ
クロヘキシルメタクリレートなどの如き単量体20重量%
未満との共重合体より選ばれる。
メチルメタクリレート系単量体はメチルメタクリレー
ト又はメチルメタクリレート80重量%以上と他のα,β
−エチレン性不飽和化合物、例えば酢酸ビニル、スチレ
ン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのよ
うな一官能単量体、エチレングリコールジアクリレー
ト、プロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメ
チロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラメタクリレート、ジビニルベンゼンの如き
多官能単量体20重量%未満との混合体である。特にα,
β−エチレン性不飽和化合物として多官能単量体を用い
ると三次元架橋体となり強度、耐熱性が増大する。
メチルメタクリレート系重合体の割合は10〜60重量%
である、より好ましくは15〜50重量%である。メチルメ
タクリレート系重合体の割合が10重量%未満では成形直
前の成形材料の粘度が低すぎ成形時の充填剤の有害な分
離を生ずる。又分離防止のため水酸化アルミニウムの添
加を増せば硬化物の深みが失われてしまう。又メチルメ
タクリレート系重合体の割合が60重量%越えると、メチ
ルメタクリレート系単量体と混合溶解した樹脂成分が高
粘度となり象牙の質感を得るに必要な水酸化アルミニウ
ムを添加できなくなる。
本発明においてメチルメタクリレート系重合体とメチ
ルメタクリレート系単量体より樹脂成分を得るには、例
えばメチルメタクリレート系単量体に撹拌しながらメチ
ルメタクリレート系重合体を加え、必要により加熱又は
冷却しながら溶解する。又はメチルメタクリレート系単
量体を少量の重合開始剤と連鎖移動剤の存在下で加熱反
応することによっても得られる。
本発明で用いる粉状水酸化アルミニウムについては特
に制限はないが粒子径は100μm以下、好ましくは30μ
m以下、より好ましくは5μm以下である。粉状水酸化
アルミニウムの添加量は30〜80重量部、好ましくは50〜
75重量部である。粉状水酸化アルミニウムの添加量が30
重量部未満であると、硬化物が軽すぎ半透明となり象牙
の質感が得られない。又添加量が80重量部を越えると硬
化物が重くなりすぎ、深みが失われ、彫刻時欠けを生じ
好ましくない。
本発明で用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイ
ルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、
メチルエチルケトンパーオキサイド、ビス(4−t−ブ
チルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ
オクトエート、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハ
イドロクロライドをあげることができる。
重合開始剤の添加量は成形材料に対して0.01〜3.0重
量部、好ましくは0.1〜1.0重量部である。
樹脂成分と粉状水酸化アルミニウムを混合する際にシ
ランカップリング剤を用いると樹脂成分と粉状水酸化ア
ルミニウムがより緊密に一体化し水分の影響を受けにく
くなる。シランカップリングとしてはγ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリアセトキシシランなどがある。
本発明の成形材料には、必要に応じて天然材様印材の
特性を損ねない範囲で染顔料、補強剤、改質剤、安定
剤、増量剤、離型剤、分散剤、重合調整剤を加えること
も可能である。
本発明に於て改質増量剤として象牙の切削粉、水牛の
角の切削粉を添加してもよい。硬化物の比重を変えるこ
となく、成形材料の粘度を調整できる。また彫刻性、外
観の調節にも有効である。天然材粉末の粒度は100メッ
シュふるい通過、好ましくは200メッシュふるい通過で
ある。
本発明に於て樹脂成分と粉状水酸化アルミニウムを混
合するには、成形材料の粘度が低い場合はプロペラ型、
タービン型撹拌機を具えた混合槽を用いる。又成形材料
が室温ではほとんど流動性のない高粘度の場合はニーダ
ーで加熱下に混合することができる。
本発明に於て硬化成形方法は硬化前の成形材料の粘度
により適する成形方法が選定される。粘度の数千ポイズ
以上の生パン状の場合には、金型による加熱加圧成形、
トランスファー成形、射出成形が適している。
金型成形では食い切り部を有する押込型を用いるのが
望ましい。加圧には液圧プレスを用い、型締め速度を変
更できるものが望ましい。加熱温度は40〜150℃、好ま
しくは60〜130℃で加圧力は10〜200kg/cm2、好ましくは
30〜150kg/cm2である。加圧キープ時間は0.3〜100分、
好ましくは1〜30分である。
成形材料の粘度が低い場合には、弾性袋に入れ金型で
押え、所定の形状として硬化させても良い。弾力性を有
する袋の材質としてはポリビニルアルコール、エチレン
プロピレンゴムなどが用いられる。
トランスファー成形は通常のトランスファー成形用金
型とトランスファー成形機を用いる。加熱温度は60〜15
0℃、好ましくは80〜130℃、注入圧力30〜100kg/cm2
加圧キープ時間は0.3〜30分、好ましくは1〜20分であ
る。
射出成形は熱硬化性樹脂用が使用できる。方式はプラ
ンジャー方式でもインラインスクリュー方式でもよい。
金型は通常の熱硬化樹脂成形用金型を使用できる。加熱
温度は60〜150℃、好ましくは80〜130℃、射出圧力500k
g/cm2以上、加圧保持圧力200kg/cm2以上、加熱保持時間
は0.3〜30分、好ましくは1〜20分である。
印鑑の形状は多種類である。即ち、直径5mm〜24mmの
円、小判型、角型、つまみを有するものなどがあるか
ら、板状或はブロック状に成形した後、機械加工により
印鑑の形状とすることをさまたげるものではない。
〔実施例〕
以下、実施例について更に詳しく説明する。
実施例1 還流冷却器を付けたジャケット付き密閉型ニーダーで
ポリメチルメタクリレート重合体(スミペックスME住友
化学(株)製)50重量部、メチルメタクリレート45重量
部、トリメチロールプロパントリメタクリレート5重量
部を40℃に加温しながら混合溶解した。これにシランカ
ップリング剤(KBM−503、信越化学(株)製)0.5重量
部を添加混合後、水酸化アルミニウム(ハイジライトH
−320、昭和軽金属(株)製)200重量部と200メッシュ
ふるいを通過する象牙粉30重量部、アイボリートナー1.
5重量部、およびt−ブチルパーオキシオクトエート
(パーブチル0、日本油脂(株)製)0.5重量部を混合
し、生パン状の成形材料を得た。この成形材料の粘度は
30℃でB型ヘリパス回転粘度計で測定すると26万ポイズ
であった。
次にこの成形材料を直径16mm長さ70mm円柱10ケ取り成
形用加熱加圧金型に投入し120kg/cm2、120℃にて硬化し
たところ10分で硬化した。得られた成形品を仕上げ研磨
した所、深みのある象牙の質感と手触り重さを有し、光
電式彫刻機により彫刻した所、鮮明な印面で欠けなどは
なかった。
実施例2 実施例1で得られた生パン状の成形材料を、50Tのト
ランスファー成形機にセットした直径16mm長さ70mmの円
柱10ケ取りトランスファー成形用金型に投入し、注入圧
力80kg/cm2、金型温度120℃で硬化した所10分で硬化し
た。得られた成形品を仕上げ研磨した所、深みのある象
牙の質感と手触り重さを有し、光電式彫刻機により彫刻
した所、鮮明は印面が得られ、欠けなどはなかった。
実施例3 実施例1で得られた生パン状の成形材料を、直径16mm
長さ70mmの円柱10ケ取り熱硬化性樹脂成形金型を取付け
た100Tの熱硬化性樹脂用射出成形機で成形した。加圧保
持圧力300kg/cm2、金型温度130℃で8分で硬化した。得
られた成形品を仕上げ研磨した所、深みのある象牙の質
感と手触り重さを有し、光電式彫刻機により彫刻した
所、鮮明は印面が得られ、欠けなどはなかった。
実施例4 還流冷却器を付けたジャケット付き密閉型ニーダーで
ポリメチルメタクリレート重合体(スミペックスME住友
化学(株)製)40重量部、メチルメタクリレート60重量
部を40℃に加温しながら混合溶解した。これにシランカ
ップリング剤(KBM−503、信越化学(株)製)0.5重量
部を添加混合後、水酸化アルミニウム(ハイジライトH
−320、昭和軽金属(株)製)250重量部、アイボリート
ナー1.8重量部、およびt−ブチルパーオキシオクトエ
ート(パーブチル0、日本油脂(株)製)0.5重量部を
混合し、生パン状の成形材料を得た。この成形材料の粘
度は30℃でB型ヘリパス回転粘度計で測定すると30万ポ
イズであった。
次にこの成形材料を実施例1と同様に成形したところ
10分で硬化した。得られた成形品を仕上げ研磨した所、
深みのある象牙の質感と手触り重さを有し、光電式彫刻
機により彫刻した所問題なく鮮明な印面が得られた。
比較例1 還流冷却器を付けたジャケット付き密閉型ニーダーで
ポリメチルメタクリレート重合体(スミペックスME住友
化学(株)製)30重量部、メチルメタクリレート60重量
部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10重量
部を40℃に加温しながら混合溶解した。これにシランカ
ップリング剤(KBM−503、信越化学(株)製)0.5重量
部を混合後、水酸化アルミニウム(ハイジライトH−32
0、昭和軽金属(株)製)500重量部、200メッシュふる
いを通過する象牙粉30重量部、アイボリートナー3.0重
量部、およびt−ブチルパーオキシオクトエート(パー
ブチル0、日本油脂(株)製)0.5重量部を混合し、生
パン状の成形材料を得た。この成形材料の粘度は34万ポ
イズであった。
次にこの成形材料を実施例1と同様に操作して硬化し
た。得られた成形品を仕上げ研磨した。得られたものは
白っぽく深み感がなく、象牙の質感がなく、重すぎるも
のであった。光電式彫刻機により彫刻した所、文字の細
部が欠けを生じた。
比較例2 還流冷却器を付けたジャケット付き密閉型ニーダーで
ポリメチルメタクリレート重合体(スミペックスME住友
化学(株)製)70重量部、メチルメタクリレート30重量
部を40℃に加温しながら混合溶解した。これにシランカ
ップリング剤(KBM−503、信越化学(株)製)0.5重量
部を添加混合後、水酸化アルミニウム(ハイジライトH
−320、昭和軽金属(株)製)30重量部、アイボリート
ナー1.8重量部、およびt−ブチルパーオキシオクトエ
ート(パーブチル0、日本油脂(株)製)0.5重量部を
混合し、生パン状の成形材料を得た。この成形材料の粘
度は30℃でB型ヘリパス回転粘度計で測定すると16万ポ
イズであった。
次にこの成形材料を実施例1と同様に成形したところ
10分で硬化した。得られた成形品を仕上げ研磨した所、
スリガラス状の透明感があり、象牙の質感、重量感の無
いものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29C 43/02 B29C 43/02 B29K 33:04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メチルメタクリレート系重合体10〜60重量
    %とメチルメタクリレート系単量体90〜40重量%より成
    る樹脂成分70〜20重量部と、粉状水酸化アルミニウム30
    〜80重量部(樹脂成分と水酸化アルミニウムとの合計量
    は100重量部とする)と、重合開始剤を混合してなる成
    形材料を、加圧硬化、成形してなる天然材様印材。
  2. 【請求項2】成形材料を金型を用い加熱加圧し成形硬化
    する請求項1記載の天然材様印材。
  3. 【請求項3】成形材料をトランスファー成形により成形
    硬化する請求項1記載の天然材様印材。
  4. 【請求項4】成形材料を射出成形により成形硬化する請
    求項1記載の天然材様印材。
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