JP2765115B2 - カードの可視記録方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、定期券、入場許可証、各種プリペイドカー
ドなどの繰り返し使用されるカードに、鮮明に目視でき
る記録画像を繰り返し形成、消去する方法に関する。

（従来技術とその課題） 交通機関の定期券、催し会場や建物への入場許可証な
どは、毎日繰り返し使用されるが、管理上不正乗車、不
正入場をチェックする手段がない。

近年、一部で磁気カードによるチェック法も採用され
つつあるが、チェックの有無が目視出来ないため、装置
上のトラブルによるチェックもれのおそれがあり、管理
者、利用者とも不便を感じていた。

また各種プリペイドカードにおいても、磁気カードや
ICカードが使用されているが、記録内容が直接目視でき
ないため、支払い金額や残高を簡単にチェックできず、
使用者に対する内容保証の点で問題があつた。

（課題を解決するための手段） 本発明は、定期券、入場券、各種プリペイドカードな
ど繰り返し使用されるカードに、目視可能な記録を行
い、またそれを消去する方法を提供するものである。

すなわち本発明は、表面の少なくとも一部に透明な合
成樹脂からなる記録部を形成し、その記録部の下に鏡面
光沢度が100％以上の反射層を有するカードを用い、 予め、記録部を前記樹脂のガラス転移温度以上、融点
以下の温度でフロスト処理して歪みを保有させ、 カードへの記録時には、記録部を前記フロスト処理温
度以上の温度で部分的に加熱することにより平滑化して
画像を形成し、 記録消去時には、前記樹脂のガラス転移温度以上、融
点以下の温度で、前記記録部をフロスト処理して前記画
像を消去するカードの可視記録方法であり、以後画像の
形成、消去を繰り返し行うことができると共に、反射層
により画像を鮮明に目視できるという特徴を有するもの
である。

以下本発明を図面を参照して詳細に説明する。

第１図は本発明方法に使用するカードの一例を示す斜
視図、第２図は第１図のII−II断面図、第３図はフロス
ト処理したカードの部分断面図、第４図は記録画像を形
成したカードの部分平面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ断
面図、第６図はカードの別の例の部分断面図である。

本発明により入退場のチェックを行う場合について説
明すると、使用するカードＣは、第１〜２図に示すよう
に、透明で平滑な合成樹脂からなる層１がカード表面に
露出して、記録部11を形成しており、記録部11以外の表
面には、印刷２を施して必要な説明や装飾図案を表示し
てある。

また合成樹脂層１の下面には、画像の視認性を高める
ための反射層４、強度の大きいポリエチレンテレフタレ
ートシートや紙などの支持体層３、および各種の情報を
記憶させるための磁気層５を順次積層してある。また磁
気層５の外面にも適宜印刷などを施す。

合成樹脂層１を構成する樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、
ポリメチル（メタ）アクリレート、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS樹脂、
あるいはこれらの共重合樹脂など各種の樹脂を、単独ま
たは混合して用いることができる。なかでも、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリメチル（メタ）アクリレー
ト、ポリカーボネートなどの非晶性樹脂が取扱いが容易
で好ましい。

また、架橋性アクリル樹脂、架橋性ウレタン樹脂、あ
るいは前記各種樹脂を架橋剤、電子線、γ線などによ
り、加熱流動性を失わない程度に架橋した樹脂も用いる
ことができる。

合成樹脂層１の厚さは、通常５〜200μｍの範囲と
し、またカードＣの全体の厚さは特に制限はないが、0.
1〜3mm程度である。

この合成樹脂層１としては、押出成形などによるフイ
ルム、シートを用いてもよいし、コーテイングにより形
成することもできる。

また、合成樹脂層１の下に位置する反射層４は、JIS
−Ｚ−8741に規定された60度鏡面光沢度が100％以上の
層であって、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、亜
鉛、スズなどの箔や蒸着品等を用いることができる。

この場合、金属の酸化、不純物、箔や蒸着ベースの表
面粗さなどにより光沢度が変わるので、光沢度が100％
以上となるような高純度で表面平滑な材料を選択して用
いる。

次にカードへの記録方法を説明すると、まず第３図に
示すように、カードの記録部11の全面をフロスト（粗面
化）処理して、フロスト面12とする。

このフロスト処理は、歪みを保有させるため、合成樹
脂層１の樹脂のガラス転移温度（Tg）以上、融点（Tm）
以下の温度で行う。

Tgよりも低温では、フロスト処理によっても歪みが生
じないか、生じた歪みが加熱なしに急速に解放されてし
まう。またTmよりも高温では、できたフロストは歪みを
有せず、再加熱しても消去することができないため、本
発明の目的を達成できない。

なお、非晶性樹脂の場合、明確なTmを示さないことが
多いが、その場合には流動開始温度をTmとし、また一般
にTmを示さない架橋樹脂の場合も、流動開始温度（また
は分解温度）以下でフロスト処理すればよい。また、混
合樹脂や共重合樹脂で２つ以上のTgを示す場合にはその
高い方のTgを基準にすればよい。

フロスト処理は、フロスト板やフロストロールによる
普通の方法が採用できる。

フロストの状態としては、フロスト面12の表面粗さ
が、JIS−Ｂ−0601の10点平均粗さRzで１〜10μの範囲
が好ましい。

Rzが１μｍ未満では、記録時にフロスト面の中に平滑
画像を形成しても画像の有無の判定が困難であり、10μ
ｍを越えると、記録時に平滑化するのに時間を要し、か
つ加熱温度を高くする必要があって装置的にも不利であ
る。

このカードを用いて入場する際には、フロスト化され
たカードの記録部11を、フロスト処理温度よりも高温で
部分的に加熱してその部分を平滑化し、第４〜５図に示
すような画像６を形成する。

フロスト面12は、前記の通り歪みを保有しているの
で、これを歪み付与温度よりも高温で加熱すると歪みは
解放され、フロスト面12の加熱された部分だけが元の平
滑で透明な状態に戻り、フロスト面と平滑面の反射率の
違いにより文字、図形、記号などの画像６が現出する。

そしてその際、合成樹脂層１の下に反射層４がある
と、画像が極めて鮮明になる。

その理由として考えられることは、合成樹脂層１に入
射した光のうち一部は表面で反射され、一部は吸収され
るが、通常は表面で反射された光だけが目に入る。とこ
ろが下に反射層４を置くと、合成樹脂層１に吸収された
光がそこで反射されて外に出てくるため、反射光量が増
加して画像がより鮮明になると考えられる。

加熱は、加熱された刻印を近接ないし圧着する方法、
レーザー光による方法などにより行うことができる。ま
た、通常のサーマルプリンターに使用されるサーマルヘ
ッドを用いることもできる。

ここでいうサーマルヘッドは、微小の発熱体が集合し
たマトリックス状のヘッドで、外部からの信号により必
要な点のみが加熱されるものである。

サーマルヘッドを用いて、多数の点の集合からなる画
像を形成すると、境界が明確になるため画像が鮮明にな
り、解像力も大きくなる。

またサーマルヘッドを用いると、予め決まった画像だ
けでなく、必要に応じ任意の文字、サイズの画像を記録
することができ、さらに、CRTデイスプレイなどにが画
像を表示、確認後、記録を行うこともできる。

画像を形成する微小点の大きさは、画像の大きさなど
に応じて適宜選択すればよいが、文字の鮮明性の点か
ら、35〜2304点/mm²程度が適当である。

画像６としては、単に入場したという表示以外に、入
場の場所や日時も考えられる。

退場の際には、記録部11の全面をフロスト処理して、
画像６を消去する。このフロスト処理は、最初のフロス
ト処理と同じく、合成樹脂のTg以上、Tm以下で行って、
内部に歪みを保有させる。これによりカードＣは画像形
成前の状態（第３図）に戻り、以後繰り返し使用するこ
とができる。

この記録画像の消去は、カードの使途に応じて適当な
時期に行うことができ、例えばカードの使用時に記録を
行い、次回の使用時にその消去と共に新たな記録を行う
ことができる。

また本発明においては、磁気層５などの他の記録手段
を併設して、入場または退場時の装置による演算処理を
容易にすると共に、使用明細などの各種情報を記録する
ことができる。

この場合には、これら磁気層５などに記憶された情報
のうち、各回の使用に関する主要な情報を確認のため画
像６として目視可能に表示すればよい。磁気層５を設け
る位置は、反射層４の機能を損なわない位置であればよ
く、使用する装置の種類に応じて、カードの内部に設け
るなど適宜の位置に変更することができる。

なお、反射層４は必ずしも合成樹脂層１の直下にある
必要はなく、間に透明な層が介在してもよい。例えば、
第６図は本発明方法に使用するカードの別の例の断面図
であって、支持体層３として透明なものを用い、その支
持体層３の下に反射層を４を形成し、さらに磁気層５及
び印刷層（図示せず）を設けたものである。このカード
も反射層４の機能により、合成樹脂層１に形成した画像
を鮮明に見ることができる。

本発明方法は、上述した交通機関や施設への入退場チ
ェック以外にも、飲食店、商店などで用いるプリペイド
カードへの使用金額、残高などの記録表示にも用いるこ
とができる。

（発明の効果） 本発明方法によれば、カードに消去可能な可視画像を
容易に形成することができ、またその画像は、反射層に
より鮮明に視認することができるので、装置上のトラブ
ルによる記録洩れや誤記録などがあれば直ちに確認する
ことができ、管理者はもとより利用者にも便利で、また
利用者に安心感を与えることができる。

またカードは記録−消去−再記録を何度も行うことが
できるので、繰り返し使用することができ、信頼性も高
い。

またサーマルヘッドによる記録も可能なので、鮮明で
解像力の高い画像が得られ、任意の画像を高能率で記録
することができる。

（実施例） 第１図に示す構成のカードを作成した。支持体層３と
して、白色ポリエチレンテレフタレートシート（厚さ15
0μｍ）を用い、その一面に磁気層５、他面に順次、反
射層４（厚さ0.05μのアルミニウム蒸着層）、合成樹脂
層１（厚さ10μｍの無色透明ポリ塩化ビニル樹脂、Tg70
℃、Tm202℃）を積層し、記録部11を残して白色印刷２
を施してカードを作成した。反射層４の鏡面光沢度は18
0％であった。

また、反射層４として、アルミニウム蒸着層に代え
て、第１表、No.2〜４に示す各種反射層（厚さ0.05mmの
板体）を合成樹脂層１の下に置いて、同様のカードを作
成した。そして次の手順で記録。消去を行った。

（イ）まず、80℃に加熱されたRzが15μｍのフロスト板
を記録部11に20kg/cm²の圧力で0.5秒間圧着して、Rzが
８μｍのフロスト面を形成した。

（ロ）次に、予め磁気層５に記録された「入場」という
信号に基づいて、24ドット（文字の大きさ5mm角）のサ
ーマルヘッド（120℃に加熱）を記録部上に走行させる
ことにより、記録部に「入場」と印字して画像を得た。

（ハ）次いで、記録部11を（イ）と同様にしてフロスト
処理し、画像は完全に消失させた。

上の画像形成−消去を1000回繰り返しても、同じ性能
が得られた。

また、各カードの画像の鮮明度を比較したところ、第
１表に示す結果が得られた。

以上の結果から、反射層の鏡面光沢度が100％以上で
あれば、鮮明度の高い画像が得られることがわかる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明方法に使用するカードの一例を示す斜視
図、第２図は第１図のII−II断面図、第３図はフロスト
処理したカードの部分断面図、第４図は記録画像を形成
したカードの部分平面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ断面
図、第６図はカードの別の例の部分断面図。 Ｃ……カード、１……合成樹脂層 11……記録部、４……反射層 ６……画像

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】表面の少なくとも一部に透明な合成樹脂か
   らなる記録部を形成し、その記録部の下に鏡面光沢度が
   100％以上の反射層を有するカードを用い、 予め、記録部を前記樹脂のガラス転移温度以上、融点以
   下の温度でフロスト処理して歪みを保有させ、 カードへの記録時には、記録部を前記フロスト処理温度
   以上の温度で部分的に加熱することにより平滑化して画
   像を形成し、 記録消去時には、前記樹脂のガラス転移温度以上、融点
   以下の温度で、前記記録部をフロスト処理して前記画像
   を消去する ことを特徴とするカードの可視記録方法。