JP2764429B2 - 建造物用免震装置の製造方法 - Google Patents

建造物用免震装置の製造方法

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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、地盤と建造物の間に設置され、地震発生
の際に地面の震動を吸収して建造物に加わる震動をでき
るだけ少なくすると共に、生じた建造物の震動を速やか
に減衰させる、建造物用の免震装置の製造方法に関する
ものである。
〔従来の技術〕
建造物用の免震装置は、建造物を支持すると共に地震
波吸収作用をするアイソレータと、建造物の震動減衰作
用をするダンパーとから構成され、アイソレータは、通
常、複数の補強用鋼板とゴム体との積層体である。アイ
ソレータの構造の一例を第5図及び第6図に示す。
第5図及び第6図において、アイソレータ(1)は円
柱形とされ、上下の取付板(2)(3)の間に、複数の
円形の補強板(4)とゴム層(5)を交互に積層して形
成されている。取付板(2)(3)及び補強板(4)
は、通常、鋼材から形成される。各取付板(2)(3)
には、建造物・地盤に固定するための四つのボルト孔
(6)が形成されている。
このような構成のアイソレータは、従来、直圧プレス
法によって製造されていた。「直圧プレス法」は、まず
カレンダー等によりゴムを薄板状に予備成形し、当該ゴ
ム板と鋼板を複数枚交互に積層すると共に、その上下両
端に取付板用の鋼板を重ね、加熱しながら上下方向から
加圧して、上記ゴム板を加硫するというものである。加
圧・加熱によって上記ゴム板は鋼板と接着されるので、
各ゴム板と鋼板は接合・一体化され、第5図、第6図に
示すようなアイソレータが形成される。
〔発明が解決しようとする課題〕
直圧プレス法は、このように、積層前にゴムを板状に
予備成形することが必要であり、この際にゴムの構成ポ
リマーが配向してしまうため、多数のゴム板を積層・一
体化したときに各ゴム層の配向方向が物性に現れ、均一
な性能をもったアイソレータが得られないという難点が
あった。
また、予備成形時にすべてのゴム板の厚さを均一にす
るのは困難であるため、積層・一体化した際に各ゴム層
の厚みにバラツキが生じ、アイソレータの品質・性能を
均一にすることが困難であった。
このような難点は、品質・性能の点で非常に高精度を
要求されるアイソレータにおいては、非常に問題となっ
ていた。
この発明は、以上述べたような従来方法の難点を解消
するためになされたものであり、その目的とするところ
は、ゴム層の厚さが均一であると共にそのゴムを構成す
るポリマーの配向方向を一定にすることができ、しかも
ゴム層と取付用部材及び補強板が強固に接着され、さら
にゴム層に欠損部を生じることがない、建造物用免震装
置の製造方法を提供することにある。
この発明の他の目的は、工程が少なくてすみ、しかも
特別な設備を必要とせず既存の設備で容易に実施でき
る、建造物用免震装置の製造方法を提供することであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するため、この発明では、次のような
技術的手段を講じている。
すなわち、型(11)(12)内に一対の取付用部材
(2)(3)を互いに離して配置すると共に、当該一対
の取付用部材(2)(3)間に複数の補強板(4)を所
定の隙間(37)をあけて配置する工程と、 前記各隙間(37)に流動状のゴムを圧入する工程と、 前記隙間(37)内のゴムを固化する際に前記隙間(3
7)を閉鎖することを特徴とするものである。
前記隙間(37)を閉鎖する際には、前記隙間(37)の
供給側開口をゴム供給用のシリンダ(17)によって塞
ぎ、排出側開口を閉鎖部材(36)によって塞ぐのが好ま
しい。
さらに、ゴムの流れを良くするため、前記取付用部材
(2)(3)と補強板(4)をほぼ垂直方向に配置し、
流動状のゴムが前記隙間(37)内を上方から下方に向か
って流動するようにするのが良い。
〔作用〕
前記技術的手段によれば、複数の補強板(4)は、一
対の取付用部材(2)(3)間に所定の隙間(37)をお
いて配置・固定されているので、各隙間(37)に流動状
のゴムを圧入すると、ゴムは各隙間(37)内を補強板
(4)に沿って流動し、やがて隙間(37)内に充填され
る。この状態で加熱すると、ゴムは加硫されると同時に
前記補強板(4)及び取付用部材(2)(3)と接合
し、一体となる。
各隙間(37)内のゴムは同時に一定方向から充填され
るので、隙間(37)の幅を一定に設定しておけば、ゴム
層(5)の厚さは一定になり、ゴム層(5)を構成する
ポリマーの配向方向も一定となる。
また、隙間(37)へ圧入したゴムを固化する際に、当
該ゴムは膨張し、体積が少し増加する。このため、隙間
(37)を閉鎖状態にしてゴムを固化させると、ゴムの流
動・充填が不十分なことに起因して隙間(37)内に気泡
が生じていても、膨張によって当該気泡は圧縮され、非
常に小さなものとなる。
さらに、ゴムの膨張によってゴムと取付用部材(2)
(3)と補強板(4)は加圧されるため、これらの接着
強度も増加する。
〔実施例〕
以下、この発明に係る方法の実施例を図面に従って説
明する。
第1図〜第4図は、この発明に係る方法の実施に使用
する装置の一例を示している。この製造装置(10)とし
ては、従来より知られている射出成形機を用いることが
できるため、製造装置(10)自体についての詳しい説明
は、ここでは省略する。
図において、(11)は上型、(12)は下型で、第5図
及び第6図に示したような円柱形のアイソレータ(1)
を成形するようにしたものである。
上型(11)及び下型(12)は、それぞれ内部に円柱を
二つに割った形の空間(11a)(12a)を有しており、そ
の中に一対の円板状の取付板(2)(3)及び複数の同
形の補強板(4)を配置し、加熱して流動状態としたゴ
ムを型(11)(12)内に注入して成形するようになって
いる。
上型(11)及び下型(12)は、それぞれ基板(13)
(14)に一体的に固定してあり、基板(13)(14)は、
熱盤(15)(16)にそれぞれボルト止めされている。従
って、上下の型(11)(12)は、基板(13)(14)を介
して熱盤(15)(16)によって加熱できるようになって
いる。
上側の熱盤(15)には、流動状態のゴムを型(11)
(12)内に射出する射出シリンダ(17)が取り付けてあ
り、この射出シリンダ(17)には、スクリュウを内蔵し
た供給装置(18)によってゴムが供給される。下側の熱
盤(16)は、昇降シリンダ(19)のロッド(20)に取り
付けてあり、昇降シリンダ(19)を作動することによ
り、下型(12)を上下に移動することができる。また、
昇降シリンダ(19)は、図示しない他のシリンダ等によ
って水平方向に移動できる。
上型(11)には、半円柱形の内部空間(11a)の外周
に沿って、補強板(4)の位置決め及びゴム層(5)の
外縁限定用の略半円環形の保持体(21)が取り付けてあ
る。この保持体(21)は、第3図に最も明瞭に示すよう
に、内面に補強板(4)の周縁部を挿入・係止可能とし
た複数の円弧状溝(22)を持っている。当該円弧状溝
(22)は、互いに平行にかつ中心軸方向に一定間隔をあ
けて並列している。この間隔は、成形するゴム層の厚さ
に一致する。また、各円弧状溝(22)の間には、円弧状
に延びる帯状の内端面(23)が形成されているが、当該
内端面(23)は、補強板(4)間に形成されるゴム層
(5)の側面を限定する作用をするものである。当該内
端面(23)の上端部には、それぞれ、流動状のゴムを内
部空間(11a)に供給するための上下(半径)方向に延
びる供給流路(24)が設けてある。
なお、前記保持体(21)は、第1図及び第3図に示す
ように内部空間(11a)の外周位置に取り付けられ、水
平(左右)方向両端部に取付板嵌合部(11c)が設けら
れている。
また、上型(11)には、さらに内部空間(11a)と基
板(13)との間に、上型(11)まで供給された流動状の
ゴムが一時的に貯められる空室(11b)が設けてある。
この空室(11b)と内部空間(11a)の間には、前記保持
体(21)の各供給流路(24)に接続する同数の連絡流路
(25)が設けてあり、前記空室(11b)と内部空間(11
a)を互いに連通している。空室(11b)への流動状ゴム
の供給は、熱盤(15)及び基板(13)内に形成された流
路(26)を通り、基板(13)の下端面に設けたスプルー
(27)を介して行われる。
下型(12)にも、上型(11)と同様に、内部空間(12
a)の内壁に沿って略半円環形の保持体(28)が取り付
けてある。この保持体(28)は、上型(11)の保持体
(21)と同様に、内面に複数の円弧状溝(29)と内端面
(30)を持ち、当該内端面(30)から下方に向かって、
前記供給流路(24)と同様の上下(半径)方向に延びる
排出流路(31)が形成されている。当該排出流路(31)
は、いずれも下型(12)の内部に設けた中心軸方向に延
びる一つの溝(32)に接続され、さらに下型(12)の内
部に形成した流路(33)及びネジ孔(34)を通って、そ
の両側面に形成した排出口(35)に連通している。従っ
て、内部空間(12a)内の空気は、排出流路(31)、溝
(32)、流路(33)及びネジ孔(34)を通って下型(1
2)の外部に排出される。
前記ネジ孔(34)には、閉鎖部材(36)が螺合するよ
うになっており、必要に応じて前記排出口(35)を塞ぐ
ことができる。
なお、下型(12)にも、上型(11)の取付板嵌合部
(11c)と同様、保持体(28)の両端部に二つの取付板
嵌合部(12c)が設けてある。
次に、以上の構成とした構造装置(10)を用いてアイ
ソレータ(1)を製造する方法について説明する。
まず、下型(12)に取り付けた保持体(28)の両端部
の取付板嵌合部(12c)に二つの取付板(2)(3)を
それぞれ嵌合する。そして、保持体(28)の各円弧状溝
(29)に、立てた状態にした補強板(4)の下縁部を順
に挿入して係止する。
続いて、第2図(a)に示すように、前記の状態とし
た下型(12)を保持体(21)を取り付けた上型(11)の
直下まで移動する。
次に、昇降シリンダ(19)を操作して下型(12)を上
昇し、第2図(b)に示すように上型(11)と結合・一
体化する。このとき、両型(11)(12)内では、複数の
補強板(4)は上下の保持体(21)(28)によって保持
されるため、第1図に示す通り、一対の取付板(2)
(3)の間に複数の補強板(4)が互いに平行に並列
し、各補強板(4)の間に上下方向に延びる複数の隙間
(37)が形成されている。なお、このとき、下型(12)
に設けた二つの排出口(35)は開放されている。
そこで、供給装置(18)から一定量のゴムを流動状態
で射出シリンダ(17)内に供給し、射出シリンダ(17)
のプランジャを前進して型(11)(12)内に圧入する
と、流動状のゴムは、まず熱盤(15)と基板(13)内の
流路(26)を通ってスプルー(27)から空室(11b)に
供給され、ここで各連絡流路(25)に分流する。各連絡
流路(25)内のゴムは、保持体(21)の供給流路(24)
を通ってさらに補強板(4)間の各隙間(37)に同時に
流入し、補強板(4)に沿って下方に向かって流動す
る。
ゴムの流動に伴い、隙間(37)内の空気は押し出さ
れ、保持体(28)の複数の排出流路(31)、溝(32)、
流路(33)及びネジ孔(34)を通って外部に排出され
る。
ゴムが前記隙間(37)の下端すなわち保持体(28)の
内端面(30)の最下部にまで達すると、保持体(28)の
内端面(30)によってそれ以上のゴムの流動は停止され
る。こうして、各隙間(37)の全体にゴムが充填され
る。
このとき排出流路(31)、溝(32)、流路(33)及び
ネジ孔(34)にもゴムは流入するが、排出流路(31)の
開口は小さくかつゴムの粘度はある程度高いため、排出
口(35)を通って外部に排出されるゴムの量は少ない。
排出流路(31)から漏れた余剰ゴムの一部は、排出口
(35)より外部に出るので、これを確認した後、ネジ孔
(34)に閉鎖部材(36)を螺合し、両排出口(35)を密
閉する。
次に、熱盤(15)(16)によって型(11)(12)を加
熱して隙間(37)内のゴムの加硫を行う。このときゴム
は少し膨張するが、排出口(35)(隙間(37)の排出側
開口)は密閉されており、しかも、スプルー(27)の開
口(隙間(37)の供給側開口)も射出シリンダ(17)に
より密閉されているので、膨張力によりゴムは型(11)
(12)内で取付板(2)(3)及び補強板(4)に強く
押圧される。こうしてこれらの接着強度を非常に高くす
ることができ、また隙間(37)内に存在する気泡を実害
がない程度まで小さくすることができる。
一定時間経過後、ゴムは固化すると共に取付板(2)
(3)及び補強板(4)と接合・一体化する。そこで、
昇降シリンダ(19)を下降して型(11)(12)を分離す
れば、容易にアイソレータ(1)を取り出すことができ
る。こうして、第5図、第6図に示す円柱形のアイソレ
ータ(1)が製造される。
各隙間(37)の外周は、保持体(21)(28)の半円弧
状の内端面(23)(30)によって限定されているので、
成形された各ゴム層(5)の外周面は円筒面状となる。
なおこの実施例では、下型(12)に排出口(35)を設
けてそこに直接閉鎖部材(36)を螺合しているが、排出
口(35)に管を接続する等して下型(12)の外部で開閉
するようにしてもよい。
以上の説明はアイソレータ(1)について行ったが、
この発明の方法の適用対象はこれに限られるものではな
く、ダンパー等にも適用可能であり、さらに、他の同様
の構成の免震装置にも適用し得ることは勿論である。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、この発明に係る建造
物用免震装置の製造方法は、予め一定間隔で配置した補
強板(4)間の隙間(37)に一定方向から流動ゴムを圧
入するので、ゴム層(5)の厚さを均一にすることがで
きると共に、ゴム層(5)を構成するポリマーの配向方
向を一定にすることができる。
さらに、供給した流動ゴムを隙間(37)を密閉して加
硫・固化するので、ゴムの膨張作用によりゴムと取付板
(2)(3)及び補強板(4)との接着が強固に行わ
れ、またゴムが隙間(37)の隅々にまで充分に行き渡
り、たとえ気泡が存在していてもこれを圧縮して小さく
するため、ゴム層(5)に実害が生じるような欠損部を
生じない。
また、この発明に係る方法は、型(11)(12)の内部
に取付板(2)(3)と補強板(5)を配置する工程
と、隙間(37)にゴムを圧入すると共に当該ゴムを固化
する工程のみから成るので、非常に少ない工程で実施す
ることができ、また従来から知られている射出成形機を
利用して実施できるため、専用の特別な設備を必要とせ
ず既存の設備で容易に実施できるものである。
前記取付板(2)(3)及び補強板(4)をほぼ垂直
方向に配置し、流動状ゴムを上方から下方に向かって流
動するように構成すると、ゴムの流動が滑らかに行わ
れ、前記効果が一層増大する。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は、この発明に係る方法の実施に用
いる装置の一実施例を示したもので、第1図は、同装置
の型部分を右半分を断面として示した部分拡大正面図、
第2図(a)は、下型に取付板と補強板を配置して上型
の直下に移動した状態を示す正面説明図、第2図(b)
は、下型を上昇して上型と結合・一体化した状態を示す
正面説明図、第3図は、上型内に保持体を配置した状態
の部分拡大断面図、第4図は、下型内に保持体を配置し
た状態の部分拡大断面図である。 第5図及び第6図は、アイソレータの一例を示してお
り、第5図は正面図、第6図は平面図である。 (1)……アイソレータ、(2)(3)……取付板 (4)……補強板、(5)……ゴム層 (10)……製造装置、(11)……上型 (12)……下型、(11a)(12a)……内部空間 (11b)……空室 (11c)(12c)……取付板嵌合部 (13)(14)……基板、(15)(16)……熱盤 (17)……射出シリンダ、(18)……供給装置 (19)……昇降シリンダ、(20)……ロッド (21)(28)……保持体、(22)(29)……円弧状溝 (23)(30)……内端面、(24)……供給流路 (25)……連絡流路、(26)……流路 (27)……スプルー、(31)……排出流路 (32)……溝、(33)……流路 (34)……ネジ孔、(35)……排出口 (36)……閉鎖部材、(37)……隙間

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の取付用部材の間に補強板とゴム層を
    交互に積層して成る建造物用免震装置を製造する方法で
    あって、 型内に一対の取付用部材を互いに離して配置すると共
    に、当該一対の取付用部材間に複数の補強板を所定の隙
    間をあけて配置する工程と、 前記各隙間にほぼ同一方向に流動状のゴムを圧入する工
    程と、 前記隙間内のゴムを固化して、前記取付用部材と補強板
    を接合・一体化する工程とを含み、 前記隙間内のゴムを固化する際に前記隙間を閉鎖するこ
    とを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】前記隙間の供給側開口がゴム供給用シリン
    ダによって塞がれ、排出側開口が閉鎖部材によって塞が
    れる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記取付用部材と補強板が、ほぼ垂直方向
    に配置され、流動状ゴムが、前記隙間内を上方から下方
    に向かって流動する請求項1または2に記載の方法。
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