JP2764119B2 - 磁石およびその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この発明は、希土類鉄系磁石の表面処理に関するもの
である。 《発明の概要》 この発明は、焼結合金からなる希土類鉄系磁石におい
て、結晶粒間の空隙部に封止剤を充填し、耐酸性、耐ア
ルカリ性、耐水性を高めた磁石とその製造方法を提供せ
んとするものである。 《従来の技術》 従来、高性能磁石として希土類磁石のうち、Sm−Co系
磁石が広く用いられていたが、コスト，磁気特性等の点
で有利なNd−Ｂ−Fe系磁石をはじめとする希土類磁石の
採用がなされている。 しかし、希土類鉄系磁石はSm−Co系磁石に比べ耐食
性、耐薬品性に著しく劣るため何んらかの表面処理を施
す必要性があり、一部アルミクロメート処理等が試みら
れている。 《発明が解決しようとする問題点》 希土類鉄系磁石は、酸，アルカリ性溶液等の薬品に対
し弱く、特に湿式法での洗浄、表面処理では、希土類鉄
系磁石が侵される。また素材は、焼結合金であるため、
本質的に穴だらけの内部構造を有しており、外部から薬
品，水等が侵入し残留するため経時的に錆，変色等が生
じる問題があり、各種の表面処理を行う上で支障があっ
た。本発明は、これらの欠点を解決するためなされたも
のである。 《問題点を解決するための手段》 上記問題点を解決するため、磁石素材表面から内部へ
通ずる結晶粒間の空隙部に封止剤を充填することによ
り、外部からの薬品，水等の侵入を防ぐものである。封
止剤として嫌気性樹脂を用い、この嫌気性樹脂を液体状
態で空隙部に浸透させその後硬化させる 《作用》 このようにして処理した希土類鉄系磁石は、外部から
の薬品，水等の侵入を完全に防ぎ、各種表面処理を可能
にしたものである。また、封止剤として用いた嫌気性樹
脂は希土類鉄系素材を侵すことがないため、長期間の使
用に耐えるものである。 《実施例》 希土類鉄系磁石として最も代表的なNd−Ｂ−Fe系の磁
石用焼結合金から成形した電子時計用ロータを用いた場
合について実施例をあげる。 まずロータをトリクロールエチレンにより脱脂洗浄を
行う。次にロータを10cpの粘度に調整した嫌気性接着剤
に浸漬し、これらを真空容器内（1Torr）に入れ５分間
放置後、大気圧に戻し嫌気性接着剤をロータ内部の結晶
間空隙部に浸透、硬化させた。その後、アルコールで洗
浄乾燥した。 このようにして得たロータを、更に従来のめっき，塗
装，コーティング等の表面処理を行ったところ、耐食性
が良好な電子時計用ロータを得ることが出来た。 《発明の効果》 以上述べた通り、本発明によれば、希土類鉄系磁石内
部の結晶粒間空隙部に封止剤を充填することにより、外
部からの薬品，水等の侵入を防ぎ、各種の表面処理が可
能となった。 なお、本発明では、実施例以外の希土類鉄系磁石につ
いても同様な効果を得ることが可能である。 本発明は、希土類鉄系磁石への各種表面処理を可能に
するものでその効果は大きい。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村石 勝良 東京都江東区亀戸６丁目31番１号 セイ コー電子工業株式会社内 (72)発明者 小川 健一 東京都江東区亀戸６丁目31番１号 セイ コー電子工業株式会社内 (72)発明者 高塩 博 東京都江東区亀戸６丁目31番１号 セイ コー電子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−35704（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−63901（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．焼結合金からなる希土類鉄系磁石において、 磁石表面に通じる結晶粒間である空隙部に嫌気性樹脂が
   充填されているとともに、磁石表面全面が被膜で覆われ
   ていることを特徴とする磁石。 ２．焼結合金からなる希土類鉄系磁石の製造工程におい
   て、 希土類鉄系磁石粉末を焼結することにより磁石成形体と
   する工程と、 該磁石成形体表面から通じている該磁石成形体内部の結
   晶粒間の空隙に嫌気性樹脂を主成分とする封止剤を充填
   するために、前記磁石成形体を嫌気性接着剤に浸漬し、
   真空容器内で放置する工程と、 該磁石成形体内部の空隙に充填された嫌気性樹脂を硬化
   させる工程と、 該磁石成形体表面を洗浄する工程と、 該磁石成形体表面の全面に被膜を形成する工程と、を含
   むことを特徴とする磁石の製造方法。