JP2762750B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JP2762750B2
JP2762750B2 JP1558591A JP1558591A JP2762750B2 JP 2762750 B2 JP2762750 B2 JP 2762750B2 JP 1558591 A JP1558591 A JP 1558591A JP 1558591 A JP1558591 A JP 1558591A JP 2762750 B2 JP2762750 B2 JP 2762750B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の吸・排気バル
ブの開閉時期を同内燃機関の運転状態に応じて制御する
バルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のバルブタイミング制御装
置として例えば特開昭62−3111号公報に開示され
たものがある。図12に示すように、同制御装置では、
前後(図の左右)方向へ延びるカムシャフト31上にプ
ーリ32が回動可能に外嵌され、これらのカムシャフト
31とプーリ32との間にリングギヤ34が介在されて
いる。
【0003】リングギヤ34は、図13に示すように前
後一対のギヤ構成体35,36と、スライドピン37
と、スプリング38とを備えている。スライドピン37
は、両ギヤ構成体35,36を前後方向への移動可能に
連結している。また、スプリング38は両ギヤ構成体3
5,36間に圧縮状態又は伸長状態で介装され、両ギヤ
構成体35,36を前後方向へ離間又は接近させてい
る。
【0004】図12及び図13に示すように、前側のギ
ヤ構成体35の内外周にはヘリカルスプライン35a,
35bが形成され、後側のギヤ構成体36の内外周には
ヘリカルスプライン36a,36bが形成されており、
これらがカムシャフト31外周のヘリカルスプライン3
1a、及びプーリ32のヘリカルスプライン32bにそ
れぞれ噛合されている。そのため、プーリ32の回転が
前記ヘリカルスプラインの噛合によってカムシャフト3
1に伝達される。
【0005】前記リングギヤ34の前端には油圧が作用
し、後端にはリターンスプリング33による付勢力が作
用しており、同油圧を調整してリングギヤ34を前後方
向へ移動させることにより、プーリ32に対してカムシ
ャフト31を相対回転させ、同カムシャフト31による
吸・排気バルブの開閉時期を制御するようになってい
る。
【0006】前記制御装置では、両ギヤ構成体35,3
6の離間又は接近により、ヘリカルスプライン35a,
36aの歯すじがずれるとともに、ヘリカルスプライン
35b,36bの歯すじがずれる。これにより、両ギヤ
構成体35,36とプーリ32との噛合部におけるバッ
クラッシ、及び同ギヤ構成体35,36とカムシャフト
31との噛合部におけるバックラッシがそれぞれ低減さ
れて、噛合時に発生する騒音が抑制される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ヘリカルス
プライン35a,36aとヘリカルスプライン31aと
の噛合時に発生する騒音、及びヘリカルスプライン35
b,36bとヘリカルスプライン32bとの噛合時に発
生する騒音を抑制するために必要な荷重(要求荷重)を
図14において特性線L1で表すと、同要求荷重は一般
にエンジンの低回転域で小さく、エンジン回転数が上昇
するに従って増加する傾向がある。
【0008】そこで、前記噛合時の騒音を低減するため
には、全回転域において常に両ギヤ構成体35,36間
の荷重が前記要求荷重よりも大きくなるように設定する
必要がある。ところが、前記従来のバルブタイミング制
御装置では、スプリング38によって前記両ギヤ構成体
35,36間の荷重を得ており、同荷重が常に一定であ
る。このため、スプリング38による荷重を前記のよう
に要求荷重の最大値に合わせて設定しなければならない
ため、図14において特性線L3で示すように、特に要
求荷重の小さい低回転域において前記スプリング38の
付勢力が不要な荷重となる。そして、この不要な荷重
は、制御装置作動時の摩擦を増加させ、作動性悪化を招
くという問題がある。
【0009】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、リングギヤの噛合部分で発生す
る騒音を防止するためにギヤ構成体間に必要な要求荷重
と、実際にギヤ構成体間に作用する荷重との差を小さく
し、同差に基づく摩擦増加を抑制して作動性の向上を図
ることのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、内燃機関のバルブを開閉させるカムシャフ
トにプーリを回動可能に外嵌し、これらのカムシャフト
とプーリとの間には、内外周のうち少なくとも一方にヘ
リカルスプラインが形成されたリングギヤを介在させ、
前記リングギヤの一端に流体の流体圧を作用させてリン
グギヤをカムシャフトの軸方向へ移動させることによ
り、プーリの駆動力をヘリカルスプラインにてカムシャ
フトに伝達し、同プーリとカムシャフトの回転位相を変
化させてバルブの開閉時期を調整するようにした内燃機
関のバルブタイミング制御装置において、前記リングギ
ヤに加わる流体圧を内燃機関の回転数に応じて変化させ
るための流体圧可変手段を設け、前記カムシャフトの軸
方向への相対移動可能に連結された複数のギヤ構成体に
て前記リングギヤを形成するとともに、隣接のギヤ構成
体間には前記流体の一部を供給可能とし、さらに、前記
ギヤ構成体のうち油圧供給側から最も遠いギヤ以外の何
れかのギヤの移動方向の受圧面積を、前記移動方向とは
反対方向の受圧面積よりも大きくしている。
【0011】
【作用】リングギヤ端部に加えられる流体圧が変化する
位相変換時には、同リングギヤがカムシャフトの軸方向
へ移動され、ヘリカルスプラインの作用によりプーリ及
びカムシャフトに捩じり力が付与される。この捩じり力
によってプーリ及びカムシャフトが相対回転して回転位
相が変化し、内燃機関のバルブの開閉時期が調整され
る。
【0012】前記流体の一部は、前記リングギヤにおけ
る隣接のギヤ構成体間に供給される。このため、ギヤ構
成体にはリングギヤの移動方向の流体圧が作用するとと
もに、前記移動方向とは反対方向の流体圧が作用する。
本発明では、ギヤ構成体におけるリングギヤの移動方向
の受圧面積が、前記移動方向とは反対方向の受圧面積よ
りも大きく設定されている。このため、ギヤ構成体にお
いて、リングギヤの移動方向に加えられる流体圧による
力は、反対方向に加えられる流体圧による力よりも大き
い。両力の差により、ギヤ構成体にはこれをリングギヤ
の移動方向へ動かそうとする力が作用し、その結果、同
ギヤ構成体は隣接のギヤ構成体に押し付けられる。この
押し付けにより隣接のギヤ構成体間に作用する荷重が増
加する。これにより、隣接のギヤ構成体の相互のヘリカ
ルスプラインの歯すじがずれ、バックラッシが低減され
る。
【0013】前記両ギヤ構成体間の荷重は、流体圧可変
手段により内燃機関の回転数の変化に応じて増減する。
この荷重の増減により、噛合騒音防止のためにギヤ構成
体間に必要な要求荷重と、流体圧によりギヤ構成体間に
作用する荷重との差を小さくすることが可能となる。
【0014】
【実施例】(第1実施例)以下、本発明を具体化した第
1実施例を図1〜図7に従って説明する。図1に示すよ
うに、内燃機関としてのエンジンのシリンダヘッド1に
は前後(図の左右)方向へ延びる吸気用カムシャフト2
が回転可能に支承されている。カムシャフト2の前端に
は、後面を開放した略円筒状のケース3がボルト4で締
付固定されている。また、カムシャフト2の前端部外周
にはタイミングプーリ5が回転可能に外嵌されている。
タイミングプーリ5にはタイミングベルト6が掛装され
ており、クランクシャフト(図示しない) の回転が同タ
イミングベルト6を介してタイミングプーリ5に伝達さ
れる。
【0015】前記タイミングプーリ5とケース3とによ
って囲まれた空間内にはリングギヤ7が配設されてい
る。このリングギヤ7によりタイミングプーリ5及びケ
ース3が駆動連結されている。前記タイミングプーリ5
とケース3とによって囲まれた空間において、リングギ
ヤ7の前側は加圧室14になっている。この加圧室14
には流体としての作動油が供給される。すなわち、加圧
室14はカムシャフト2、シリンダヘッド1等に形成さ
れた油路15によってエンジンのオイルパン17と連通
している。この油路15の途中には、流体圧可変手段と
してのオイルポンプ16及び油圧制御弁18が介在され
ており、オイルパン17内の作動油がオイルポンプ16
によって吸い上げられる。そして、オイルポンプ16か
ら吐出される作動油は、油圧制御弁18が開かれたとき
に加圧室14へ供給されるようになっている。
【0016】前記オイルポンプ16は、チェーン又はギ
ヤによってエンジンのクランクシャフト又はカムシャフ
トと駆動連結された一般的なものであり、同オイルポン
プ16から吐出される作動油の油圧はエンジン回転数の
上昇に伴って増大するようになっている。従って、加圧
室14に供給される作動油の油圧は図6で示すようにエ
ンジン回転数の上昇に伴って増加することになる。
【0017】一方、図1に示すようにリングギヤ7とタ
イミングプーリ5のストッパ部5bとの間には、復帰用
コイルスプリング21が圧縮状態で配設されている。こ
のコイルスプリング21は、前記油圧の作用する方向と
は反対方向である前方へリングギヤ7を付勢している。
なお、タイミングプーリ5には連通孔19が透設されて
おり、リングギヤ7の後側の空間が大気圧開放となって
いる。
【0018】ところで、本実施例ではリングギヤ7が図
2及び図3(a),(b)に示すように、前部ギヤ構成
体8と後部ギヤ構成体9とによって構成されている。前
部ギヤ構成体8は円環状をなし、その内外周にはヘリカ
ルスプライン8a,8bが形成されている。前部ギヤ構
成体8には、同前部ギヤ構成体8よりも前後方向に長い
複数本(本実施例では8本)の連結ピン11が嵌入固定
されている。そして、連結ピン11の前端が前部ギヤ構
成体8の前面と面一か、あるいはほぼ面一になってお
り、同連結ピン11の後半部が前部ギヤ構成体8から後
方へ突出している。従って、前記作動油の油圧が作用す
る前部ギヤ構成体8の前側の受圧面積は、同前部ギヤ構
成体8の後側の受圧面積に比べ、連結ピン11の断面積
分だけ大きいことになる。
【0019】また、前記後部ギヤ構成体9は円筒状をな
し、その前端内外周にヘリカルスプライン9a,9bが
形成されている。内周側のヘリカルスプライン9aと前
部ギヤ構成体8内周のヘリカルスプライン8aとは同一
形状であり、外周側のヘリカルスプライン9bと前部ギ
ヤ構成体8外周のヘリカルスプライン8bとは同一形状
である。ここで、同一形状とは、圧力角、モジュール、
歯数及びねじれ角が同一のことである。後部ギヤ構成体
9の前部には前後方向へ延びる多数の孔13が貫設さ
れ、これらの孔13は後部ギヤ構成体9の後面に開口す
る環状溝12と連通している。前記孔13には前部ギヤ
構成体8の連結ピン11がスライド可能に嵌入されてお
り、前後方向への相対移動可能に連結されている。
【0020】図1に示すように、前後両ギヤ構成体8,
9の外周側のヘリカルスプライン8b,9bは、ケース
3の内周面に形成されたヘリカルスプライン3bに噛合
している。また、前後両ギヤ構成体8,9の内周側のヘ
リカルスプライン8a,9aは、タイミングプーリ5に
形成されたヘリカルスプライン5aに噛合している。こ
のため、前記作動油の油圧がコイルスプリング21の付
勢力に打ち勝ってリングギヤ7が前後方向へ移動する
と、ヘリカルスプラインを介しケース3及びタイミング
プーリ5に捩じり力が加えられる。
【0021】なお、前記ヘリカルスプライン8a,9
a,5aの噛合騒音、及びヘリカルスプライン8b,9
b,3bの噛合騒音は、主にカムシャフト2の駆動トル
クの方向が変化するときに発生する。この駆動トルクを
負のカムシャフト駆動トルクとすると、同駆動トルクは
図5で示すように、エンジン回転数が低いときには小さ
く、同エンジン回転数が高くなるに従って大きくなる。
前記騒音は、前後両ギヤ構成体8,9内周のヘリカルス
プライン8a,9aの歯すじをずらしてタイミングプー
リ5のヘリカルスプライン5aに押し付けるとともに、
同ギヤ構成体8,9外周のヘリカルスプライン8b,9
bの歯すじをずらしてケース3内周のヘリカルスプライ
ン3bに押し付けることで生じるくさび効果によって防
止される。このことから、本実施例では前後両ギヤ構成
体8,9間に作用する荷重が、前記負のカムシャフト駆
動トルクの絶対値よりも大きくなるよう設定されてい
る。
【0022】次に、前記のように構成された本実施例の
作用及び効果を説明する。エンジンの運転時には、クラ
ンクシャフトの回転がタイミングベルト6によってタイ
ミングプーリ5に伝達される。同回転は、前後両ギヤ構
成体8,9及びケース3を介してカムシャフト2に伝達
される。図4は油圧制御弁18が閉じられて油路15へ
の作動油の供給が停止された状態を示している。この状
態では、コイルスプリング21の付勢力によって前後両
ギヤ構成体8,9が一体となって前方へ押圧され、前部
ギヤ構成体8がケース3の最深部に当接している。この
ため、前後両ギヤ構成体8,9は互いに押し合い、内周
側のヘリカルスプライン8a,9a歯すじが僅かにず
れ、外周側のヘリカルスプライン8b,9bの歯すじが
僅かにずれている。この歯すじのずれにより、前後両ギ
ヤ構成体8,9内周のヘリカルスプライン8a,9a
と、タイミングプーリ5のヘリカルスプライン5aとの
噛合部におけるバックラッシが低減され、同ギヤ構成体
8,9外周のヘリカルスプライン8b,9bと、ケース
3のヘリカルスプライン3bとの噛合部におけるバック
ラッシが低減される。
【0023】前記状態から油圧制御弁18が開かれる
と、オイルパン17内の作動油が油路15を通って加圧
室14に導かれ、前部ギヤ構成体8前面に油圧が加えら
れる。このとき、後部ギヤ構成体9の後側は連通孔19
によって大気圧開放となっているので、前後両ギヤ構成
体8,9は一体となって、コイルスプリング21の付勢
力に抗して回転しながら後方へ移動する。すると、タイ
ミングプーリ5及びケース3に捩じり力が付与され、カ
ムシャフト2とタイミングプーリ5が相対回転し、吸気
バルブの開閉時期が変更される。前後両ギヤ構成体8,
9の移動は、図1に示すように、後部ギヤ構成体9がタ
イミングプーリ5のストッパ部5bに当接したところで
規制される。
【0024】さらに、図1の状態から油圧制御弁18が
閉じられて油路15への作動油の供給が停止されると、
コイルスプリング21の付勢力によって、前後両ギヤ構
成体8,9は一体となって回転しながら前方へ移動す
る。すると、タイミングプーリ5及びケース3に捩じり
力が付与され、カムシャフト2とタイミングプーリ5と
が相対回転し、吸気バルブの開閉時期が元の状態に復帰
される。
【0025】ところで、前記作動油の一部はヘリカルス
プライン8a,5aの噛合部分、及びヘリカルスプライ
ン8b,3bの噛合部分を通り、前後両ギヤ構成体8,
9間に流入する。このため、油圧は前部ギヤ構成体8の
前面以外にも、同前部ギヤ構成体8の後面に作用するこ
とになる。本実施例では、前部ギヤ構成体8の前側の受
圧面積が後側の受圧面積よりも連結ピン11の断面積分
だけ大きい。そのため、前部ギヤ構成体8前面の面積を
A、連結ピン11の断面積をa、油圧をPとすると、同
前部ギヤ構成体8の前端に加えられる油圧による力はP
×Aで表すことができ、前部ギヤ構成体8の後端に加え
られる油圧による力はP×(A−a)で表すことができ
る。この双方の力の差により、前部ギヤ構成体8には、
これを後方へ動かそうとする力(P×a)が加わり、後
部ギヤ構成体9に押し付けられる。従って、前後両ギヤ
構成体8,9相互のヘリカルスプライン8a,9aの歯
すじがずれるとともに、ヘリカルスプライン8b,9b
の歯すじがずれ、タイミングプーリ5及びカムシャフト
2のヘリカルスプライン5a,3bとの噛合部における
バックラッシが低減される。
【0026】さらに、本実施例では作動油としてオイル
ポンプ16から吐出されるエンジン油を使用しているの
で、前後各ギヤ構成体8,9に作用する油圧はエンジン
回転数が高くなるに伴って増加する。そのため、油圧が
大きくなるに従い(エンジン回転数が上昇するに従
い)、前部ギヤ構成体8には後方へ向かう力が増加す
る。つまり、前後両ギヤ構成体8,9が相互に押し合う
力は、エンジン回転数の上昇に伴って増大する。
【0027】ここで、前後両ギヤ構成体8,9が図1の
位置から図4の位置に移動する場合、その反対方向へ移
動する場合、及び図4の位置に停止する場合に、前後両
ギヤ構成体8,9間に作用する荷重を図7で示すと特性
線L2のようになる。従って、位相変換時にリングギヤ
7の噛合部分で発生する騒音を防止するために前後両ギ
ヤ構成体8,9間に必要な要求荷重(特性線L1)と、
実際に両ギヤ構成体8,9間に作用する荷重(特性線L
2)との差が従来技術よりも少なくなり、不要な荷重
(図7の斜線部分)が小さくなる。これにより、タイミ
ングプーリ5及びケース3のヘリカルスプライン5a,
3bと、前後両ギヤ構成体8,9のヘリカルスプライン
8a,9a,8b,9bとの噛合部分における摩擦を小
さくして、全回転域にわたってバルブタイミング制御装
置の作動性を向上できる。
【0028】さらに、本実施例では前後両ギヤ構成体
8,9をタイミングプーリ5及びカムシャフト2に組付
ける際に、次のような作用及び効果を奏する。すなわ
ち、従来のバルブタイミング制御装置では、両ギヤ構成
体35,36間にスプリング38が介装されており、相
互の歯すじがずれるように、このスプリング38が両ギ
ヤ構成体35,36を離間又は接近させている。このた
め、前後両ギヤ構成体35,36の組付けに際しては、
相互の歯すじが一致するように、スプリング38の付勢
力に抗して両ギヤ構成体35,36を相互に押し付ける
か、あるいは押し拡げなければならない。これに対し、
本実施例では前後両ギヤ構成体8,9間にスプリングを
用いていないので、両ギヤ構成体8,9を押し付けたり
押し拡げたりすることなく、容易に歯すじを一致させる
ことができる。このため、前後両ギヤ構成体8,9の組
付作業性が向上する。 (第2実施例)次に、本発明の第2実施例を図8及び図
9(a),(b)に基づいて説明する。
【0029】本実施例では、前後両ギヤ構成体8,9の
連結状態が前記第1実施例と異なっている。すなわち、
後部ギヤ構成体9の前面に円環状の突部22が形成され
るとともに、前部ギヤ構成体8の後部に円環状の溝23
が形成されている。そして、この溝23に前記突部22
がスライド可能に嵌入され、これにより前後両ギヤ構成
体8,9が前後方向への相対移動に連結されている。さ
らに、突部22からは複数本(この場合2本)の位置決
めピン24が前方へ突出しており、前記溝23に形成さ
れたピン挿入孔25に挿入されている。そのため、前後
両ギヤ構成体8,9は位置決めピン24とピン挿入孔2
5との間のクリアランスに対応した角度だけ、相対回転
可能である。
【0030】従って、前記前部ギヤ構成体8において
は、作動油の油圧が作用する前側の受圧面積が、後側の
受圧面積に比べ溝23の開口面積分だけ大きいことにな
る。なお、後部ギヤ構成体9前部には、溝23内での突
部22のスライドを容易にするために、同突部22の前
面と環状溝12とを連通させる孔26が透設されてい
る。前記以外の構成は前記第1実施例と同様である。
【0031】このため、本実施例によれば前記第1実施
例と同様の作用及び効果を奏する外、前後両ギヤ構成体
8,9の製造が容易になるという効果も奏する。なお、
本発明は前記実施例の構成に限定されるものではなく、
例えば以下のように発明の趣旨から逸脱しない範囲で任
意に変更してもよい。 (1)図10及び図11(a),(b)で示すように、
前記第2実施例における位置決めピン24及びピン挿入
孔25を省略し、前後両ギヤ構成体8,9を相対回転可
能としてもよい。このようにすると、前記第2実施例よ
りもさらに前後両ギヤ構成体8,9の製造が容易とな
る。 (2)前後両ギヤ構成体8,9の内外周のヘリカルスプ
ライン8a,9a、8b,9bのうちのいずれか一方を
スプラインに変更してもよい。 (3)本発明のバルブタイミング制御装置は、吸気バル
ブ用カムシャフト2以外にも排気バルブ用カムシャフト
に装着することができる。 (4)3つ以上のギヤ構成体によってリングギヤ7を構
成してもよい。 (5)前後両ギヤ構成体8,9の受圧面積は連結ピン1
1の太さや数を調整することで適宜変更することができ
る。 (6)前記実施例ではリングギヤ7の前側に加圧室14
を配し、後側にコイルスプリング21を配したが、これ
らを逆に配置してもよい。 (7)このシステムは通常限定された油温領域で使用さ
れるため、油温変化に伴う油圧変化は少ないが、作動油
の油圧を微調整可能な制御弁等の装置を追加すれば、油
温の変化に伴う油圧の変化に対応することができる。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、流
体圧を内燃機関の回転数に応じて変化させる流体圧可変
手段を設け、軸方向への相対移動可能に連結された複数
のギヤ構成体でリングギヤを形成するとともに、隣接の
ギヤ構成体間に流体の一部を供給可能とし、さらに、前
記ギヤ構成体のうち油圧供給側から最も遠いギヤ以外の
何れかのギヤの移動方向の受圧面積を、前記移動方向と
は反対方向の受圧面積よりも大きくしたので、リングギ
ヤの噛合騒音を抑制するためにギヤ構成体間に必要な荷
重と、実際にギヤ構成体間に作用する荷重との差を小さ
くし、同差に基づく摩擦増加を抑制して作動性の向上を
図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例におけるバルブタイミング制御装置
の加圧室に作動油が供給された状態の部分断面図であ
る。
【図2】第1実施例における前後両ギヤ構成体の分解斜
視図である。
【図3】(a)は第1実施例において、前後両ギヤ構成
体を組付ける前の状態を示す断面図であり、(b)は同
じく第1実施例において、前後両ギヤ構成体を組付けた
状態を示す断面図である。
【図4】第1実施例におけるバルブタイミング制御装置
の加圧室に作動油が供給されない状態の部分断面図であ
る。
【図5】エンジン回転数と負のカムシャフト駆動トルク
との関係を示す図である。
【図6】エンジン回転数と作動油の油圧との関係を示す
図である。
【図7】エンジン回転数と前後両ギヤ構成体間の荷重と
の関係を示す図である。
【図8】第2実施例における前後両ギヤ構成体の分解斜
視図である。
【図9】(a)は第2実施例において、前後両ギヤ構成
体を組付ける前の状態を示す断面図であり、(b)は同
じく第2実施例において、前後両ギヤ構成体を組付けた
状態を示す断面図である。
【図10】前後両ギヤ構成体の別例を示す分解斜視図で
ある。
【図11】(a)は別例の前後両ギヤ構成体を組付ける
前の状態を示す断面図であり、(b)は同じく別例の前
後両ギヤ構成体を組付けた状態を示す断面図である。
【図12】従来のバルブタイミング制御装置の部分断面
図である。
【図13】従来のバルブタイミング制御装置における前
後両ギヤ構成体の分解斜視図である。
【図14】従来のバルブタイミング制御装置を用いた場
合のエンジン回転数とギヤ構成体間の荷重との関係を示
す図である。
【符号の説明】
2…カムシャフト、3b,5a,8a,8b,9a,9
b…ヘリカルスプライン、5…タイミングプーリ、7…
リングギヤ、8…前部ギヤ構成体、9…後部ギヤ構成
体、16…流体圧可変手段としてのオイルポンプ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のバルブを開閉させるカムシャ
    フトにプーリを回動可能に外嵌し、これらのカムシャフ
    トとプーリとの間には、内外周のうち少なくとも一方に
    ヘリカルスプラインが形成されたリングギヤを介在さ
    せ、前記リングギヤの一端に流体の流体圧を作用させて
    リングギヤをカムシャフトの軸方向へ移動させることに
    より、プーリの駆動力をヘリカルスプラインにてカムシ
    ャフトに伝達し、同プーリとカムシャフトの回転位相を
    変化させてバルブの開閉時期を調整するようにした内燃
    機関のバルブタイミング制御装置において、前記リング
    ギヤに加わる流体圧を内燃機関の回転数に応じて変化さ
    せるための流体圧可変手段を設け、前記カムシャフトの
    軸方向への相対移動可能に連結された複数のギヤ構成体
    にて前記リングギヤを形成するとともに、隣接のギヤ構
    成体間には前記流体の一部を供給可能とし、さらに、前
    記ギヤ構成体のうち油圧供給側から最も遠いギヤ以外の
    何れかのギヤの移動方向の受圧面積を、前記移動方向と
    は反対方向の受圧面積よりも大きくしたことを特徴とす
    る内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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