JP2762659B2 - ジグザグミシン - Google Patents

ジグザグミシン

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、針を上下動させると共に左右に振らせ、か
ま剣先で糸輪を捕捉してジグザグ縫いを行うジグザグミ
シンに関する。
[従来の技術] 従来より、ミシンでは、ミシンの針の上下動により形
成される糸輪とかま剣先とは、その糸輪とかま剣先との
出合うタイミングが所定の時期となるようにされてい
る。これは、針が最下点から上昇する際に上糸によって
糸輪が形成され、かま剣先がその糸輪を捕捉する時に
は、針の最下点からの上昇量が少なすぎても、多すぎて
も糸輪はうまく形成されず、かま剣先が糸輪を捕捉でき
ない等の不都合を生じる。そのため、かま剣先が捕捉し
得る糸輪のできた時に、かま剣先が糸輪と出合って捕捉
できるようなタイミングにしている。そして、針を右基
線と左基線との間で振らせて、ジグザグ縫いを行うジグ
ザグミシンでは、糸輪捕捉器を定速回転させ、右基線及
び左基線に針があるときにかま剣先で糸輪を捕捉させる
ようにしていた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、こうした従来のものでは、ジグザグ縫
いを行う場合、右基線から左基線に向かって移動するか
ま剣先と、上下動する針により形成される糸輪と出合う
タイミングが、右基線と左基線とでは異なっていた。例
えば、右基線において、針の最下点からの上昇量が最適
でかま剣先が捕捉し得る糸輪が形成されたときに、その
糸輪とかま剣先とが出合うように調整すると、針が振っ
て左基線で上下動する際には、その出合うタイミングが
遅れ、針の最下点からの上昇量が多くて形成される糸輪
がねじれてしまい、そのねじれた糸輪をかま剣先が捕捉
してヒッチ目が生じるといった不都合があった。また、
反対に左基線において、糸輪とかま剣先とが出合うよう
に調整すると、右基線では針の最下点からの上昇量が少
なくて、形成される糸輪が小さすぎ、かま剣先が捕捉で
きずに目とびが生じるといった不都合があった。さら
に、右基線と左基線との中間において糸輪とかま剣先と
が出合うように調整しても、針を左右に振らせると、右
基線では針の最下点からの上昇量が少なくて、形成され
る糸輪が小さすぎ、前述した目とびが生じたり、左基線
では針の最下点からの上昇量が多くて、前述したヒッチ
目が生じ易いといった不都合は解消されなかった。
そこで本発明は上記の課題を解決することを目的と
し、ジグザグ縫いのときに針を左右に振らせても、かま
剣先が糸輪を確実に捕捉し、整った縫目を形成すること
のできるジグザグミシンを提供することにある。
[課題を解決するための手段] かかる目的を達成すべく、本発明は課題を解決するた
めの手段として次の構成を取った。即ち、第1図に例示
する如く、 針を上下動させると共に右基線と左基線との間で振ら
せる針駆動手段M1により前記針を駆動させ、かま剣先を
前記右基線から前記左基線に向かって駆動させるかま駆
動手段M2により前記かま剣先を駆動され、糸輪を捕捉し
てジグザグ縫いを行うジグザグミシンにおいて、 前記かま剣先が前記針の振られた側の基線に達するま
でに、前記針駆動手段M1を制御し、前記針を、前記かま
剣先が前記糸輪を捕捉し得る糸輪捕捉位置に駆動させる
位置制御手段M3と、 前記位置制御手段M3により前記針が前記糸輪捕捉位置
に駆動された後、前記かま駆動手段M2を制御して前記か
ま剣先を駆動させ、前記糸輪捕捉位置で停止している前
記針により形成された前記糸輪を、前記かま剣先が捕捉
して前記振られた側の基線に達した後に、前記針駆動手
段M1を制御して、前記針を駆動させる駆動制御手段M4
と、 を備えたことを特徴とするジグザグミシンの構成がそれ
である。
[作用] 前記構成を有する本発明のジグザグミシンは、位置制
御手段M3が、針駆動手段M1を制御して、かま剣先が針の
振られた側の基線に達するまでに、針を、かま剣先が糸
輪を捕捉し得る糸輪捕捉位置に駆動させる。そして、位
置制御手段M3により針が糸輪捕捉位置に駆動された後、
駆動制御手段M4が、かま駆動手段M2を制御してかま剣先
を駆動させ、糸輪捕捉位置で停止している針により形成
された糸輪をかま剣先が捕捉して前記振られた側の基線
に達した後に、針駆動手段M1を制御して、針を駆動させ
る。
[実施例] 以下本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
第2図は本発明の一実施例であるジグザグミシンの概
略構成図である。ミシンアーム1内には、針棒保持枠2
がピン4によりミシンアーム1に揺動自在に支持されて
おり、この針棒保持枠2には、後述する糸輪捕捉器44に
向けて摺動自在に保持された針棒6が嵌挿されている。
この針棒6には針棒抱き10が取り付けられており、針棒
抱き10が移動腕12の一端に摺動可能に挟持されている。
この移動腕12にはラック部14が形成されており、このラ
ック部14は、針駆動用モータ16によって回動されるピニ
オン18に噛合されており、針棒6を最上位置と最下位置
との間で往復動させることができるように構成されてい
る。。
また、針棒保持枠2に一端を係合させた作動杆20に設
けられたラック部22には、針振り用モータ24によって回
動されるピニオン26が噛合されており、ピニオン26の回
動によって針棒保持枠2と共に針棒6を、ピン4を中心
に揺動させられるようにされている。そして、針棒6の
下端には針止め28を介して針30が装着されており、針棒
6の揺動により針30を右基線Rと左基線Lとの間で振ら
せるように構成されている。前述した針棒保持枠2、ピ
ン4、針棒6、針棒抱き8、移動腕12、針駆動用モータ
16、ピニオン18、作動杆20、針振り用モータ24、ピニオ
ン26により針棒駆動手段M1としての針駆動機構32を構成
している。
ミシンベッド40上には、図示しない布が載置される針
板42が配置されており、針板42には針30が通過する針穴
43が設けられている。この針穴43は、右基線Rと左基線
Lとの間で針30が振られたときに通過できるように、右
基線Rと左基線Lとにわたって細長く形成されている。
また、針板42の下部のベッド40内には糸輪捕捉器44が
配置されており、本実施例では水平方向に回転するいわ
ゆる水平釜で、外釜46と図示しない内釜を主要部とし、
周知の如く内釜内に下糸を巻いたボビンが挿入されてい
る。外釜46の外周上縁にはかま剣先48が設けられ、外周
下縁には歯車部50が形成されている。そして、この歯車
部50はかま駆動用モータ52によって回転されるピニオン
54に噛合されており、ピニオン54の回転によって外釜46
が回転され、かま剣先48が右基線Rから左基線Lに向か
って駆動されるように構成されてる。この糸輪捕捉器4
4、かま駆動用モータ52、ピニオン54によりかま駆動手
段M2としてのかま駆動機構56を構成している。
また、電子制御回路60が設けられており、周知のCPU6
2、ROM64、RAM66を論理演算回路の中心として構成さ
れ、外部のモータ等との入出力を行う入出力ポート68を
コモンバス70を介して相互に接続されて構成されてい
る。入出力ポート68には、針駆動用モータ16、針振り用
モータ24、かま駆動用モータ52が接続されており、CPU6
2は、ROM64、RAM66内のデータ、プログラム等に基づい
て針駆動用モータ16、針振り用モータ24、かま駆動用モ
ータ52を制御するように構成されている。
次に、前述した電子制御回路60において行われる糸輪
捕捉制御処理について、第3図に示すフローチャートに
よって説明する。
ミシンの運転が開始されると、針駆動用モータ16を駆
動させて針30を上下動の最上位置に移動させると共に、
かま駆動用モータ52を駆動させて、かま剣先48を左基線
Lを過ぎて右基線Rに至るまでの所定位置に移動させ
る。その後、針駆動用モータ16、針振り用モータ24、か
ま駆動用モータ52を駆動して、針30を駆動させると共
に、右基線Rと左基線Lとの間で振らせ、糸輪捕捉基44
を回転させてジグザグ縫いを行う。このジグザグ縫い処
理の実行中に、糸輪捕捉制御処理を実行し、まず、フラ
グ、カウンタ等の初期化を行う(ステップ100、以下単
にS100で表す。以下同様。)。次に、かま駆動用モータ
52を1パルス回転駆動させてかま剣先48を回転させ(S1
10)、針駆動用モータ32を1パルス回転駆動させて針30
を移動させ、糸輪捕捉器44に向けて下方に移動させる
(S120)。すると、第4図(ア)のように針30が最上位
置から上糸を伴い右基線Rに沿って降下する。そして、
S130において、針30が上下動の最下位置に達したどうか
判断し、最下位置に達してなければS140に移る。S140で
はかま剣先48が右基線Rに達したかどうか判断して、右
基線Rに達してなければS110に戻って前記S110以下の処
理を繰り返し実行する。右基線Rに達すると、前記S120
以下の処理を繰り返し実行し、かま剣先を駆動すること
なく、針30のみを1パルス分下方に移動させる。尚、本
実施例では、針30が下降して最下位置に達するまでに、
かま剣先48が右基線Rに移動するようにかま駆動用モー
タ52、針駆動用モータ32のモータスピードが設定されて
いる。
また、S130において針30が最下位置に達したと判断さ
れた場合は、S150に移り、針駆動用モータ16を1パルス
逆方向に回転駆動させて第4図(イ)のように針30を上
方へ移動させる。そして、S160において針30が糸輪捕捉
位置に達したと、パルス数をカウントして判断するまで
S150、S160を繰り返し実行し、針30を第4図(ウ)のよ
うに、かま剣先48が右基線Rに達するまでに糸輪捕捉位
置に移動させる。この糸輪捕捉位置とは、かま剣先48が
捕捉し得る糸輪が形成されるときの針30の位置で、本実
施例では、右基線R、左基線L共に、針30が最下位置に
達してから上昇に移り、最下位置より2ミリ程度上昇し
た位置において、かま剣先48が捕捉し得る最適な糸輪が
形成されるようにされている。
針30が糸輪捕捉位置に達したと判断した場合は(S16
0)、かま駆動用モータ52を1パルス回転駆動させる(S
170)。すると、回転移動するかま剣先48が、糸輪捕捉
位置で停止している針30により形成された糸輪Sを捕捉
する。そして、かま剣先48が左基線Lに達したことを、
パルス数をカウントすることによって判断するまで、S1
70、S180の処理を繰り返し実行してかま剣先48を移動さ
せる(S180)。そして、第4図(エ)のように糸輪Sを
捕捉したかま剣先48が左基線Lに達したときに、針駆動
用モータ16を1パルス回転駆動させて針30を上方へ移動
させ(S190)、かま駆動用モータ52を1パルス回転駆動
させてかま剣先48を移動させる(S200)。次に、針30が
最上位置に達したと判断するまで、前記S190、S200、S2
10の処理を繰り返し実行し(S210)、針30が最上位置に
達したら、前記S110に戻って以下の処理を繰り返し実行
する。但し、針振り用モータ24により作動杆20を駆動さ
せ、針30を左に振らせ、前回第4図(ア)のように右基
線Rに沿って降下させた針30を、第4図(オ)のように
左基線Lに沿って降下させる。
左基線Lに於ける針30とかま剣先48の動きを簡単に説
明すると、第4図(カ)において針30は最下位置に達し
てから上昇に移り、第4図(キ)のように、かま剣先48
が右基線Rに達するまでに針30は糸輪捕捉位置に達して
停止する。そして、回転移動するかま剣先48は、糸輪捕
捉位置で停止している針30により形成された糸輪Sを捕
捉すると同時に左基線Lに達し、その時針30は再度上昇
を始める。
尚、S110〜S160の処理の実行が、位置制御手段M3とし
て働き、S170〜S200の処理の実行が、駆動制御手段M4と
して働く。
このように、かま剣先48が右基線Rに達するまでに、
針30を糸輪捕捉位置に移動させる。その後、かま剣先48
を駆動させて、糸輪捕捉位置で停止している針30により
形成された糸輪をかま剣先が捕捉して左基線Lに達した
ときに、針30を再び駆動させるため、針30が右基線R、
左基線Lのどちらに振られて針落ちしても、常に、かま
剣先48が、糸輪捕捉位置において糸輪と出合い、かま剣
先48が確実に糸輪を捕捉することができ、目とび、ヒッ
チ目等を生じることなく整った縫目を形成することがで
きる。
以上本発明はこの様な実施例に何等限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々な
る態様で実施し得る。本実施例では、針30が右基線R、
左基線Lのどちらに振られて針落ちしても、かま剣先48
が右基線Rに達するまでに、針30を右基線R、若しくは
左基線Lの糸輪捕捉位置に移動させている。これに代え
て、例えば右基線Rに振られて針落ちする場合には、か
ま剣先48が右基線Rに達するまでに針30を右基線Rでの
糸輪捕捉位置に移動させ、左基線Lに振られて針落ちす
る場合には、かま剣先48が左基線Lに達するまでに針30
を左基線Lでの糸輪捕捉位置に移動させるように構成し
てもよい。このように、針30が右基線R、左基線Lのど
ちらに針落ちするかに応じて、かま剣先48が右基線R、
若しくは左基線Lに達したかを判断してもよく、本実施
例のように、左基線Lに針落ちする場合においても尚、
かま剣先48が右基線Rに達するまでに、針30を左基線L
での糸輪捕捉位置に移動させておくという必要がなくな
り、針30を停止させておく時間が短縮される。
そしてまた、本実施例では、針30が右基線R、左基線
Lのどちらに針落ちしても、糸輪を捕捉したかま剣先48
が左基線Lに達したときに針30を再び駆動させている。
これに代えて、右基線Rに振られて針落ちする場合に
は、糸輪を捕捉したかま剣先48が右基線Rに達した後に
針30を再び駆動させ、左基線Lに振られて針落ちする場
合には、糸輪を捕捉したかま剣先48が左基線Lに達した
後に針30を再び駆動させるように構成してもよい。
このように、上記と同様、針30が右基線R、左基線L
のどちらに針落ちするかに応じて、かま剣先48が右基線
R、若しくは左基線Lに達したかを判断し、糸輪を捕捉
したらすぐに針30を再び駆動させればよく、本実施例の
ように、右基線Rに針落ちする場合においても尚、かま
剣先が48が左基線Lに達するまで待っているという必要
がなくなり、針30を停止させておく時間が短縮される。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明のジグザグミシンは、針を
左右に振らせても、常に、かま剣先が糸輪を確実に捕捉
することができ、目とび等を生じることなく、整った縫
目を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成を例示するブロック図、第
2図は本発明の一実施例であるジグザグミシンの概略斜
視図、第3図は本実施例の電子制御回路において行われ
る糸輪捕捉制御処理を示すフローチャート、第4図は糸
輪捕捉制御処理の実行時における針とかま剣先の動作説
明図である。 M1,32……針駆動手段 M2,56……かま駆動手段 M3……位置制御手段 M4……駆動制御手段 R……右基線 L……左基線 S……糸輪 30……針 48……かま剣先 60……電子制御回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】針を上下動させると共に右基線と左基線と
    の間で振らせる針駆動手段により前記針を駆動させ、か
    ま剣先を前記右基線から前記左基線に向かって駆動させ
    るかま駆動手段により前記かま剣先を駆動させ、糸輪を
    捕捉してジグザグ縫いを行うジグザグミシンにおいて、 前記かま剣先が前記針の振られた側の基線に達するまで
    に、前記針駆動手段を制御して、前記針を、前記かま剣
    先が前記糸輪を捕捉し得る糸輪捕捉位置に駆動させる位
    置制御手段と、 前記位置制御手段により前記針が前記糸輪捕捉位置に駆
    動された後、前記かま駆動手段を制御して前記かま剣先
    を駆動させ、前記糸輪捕捉位置で停止している前記針に
    より形成された前記糸輪を、前記かま剣先が捕捉して前
    記振られた側の基線に達した後に、前記針駆動手段を制
    御して、前記針を駆動させる駆動制御手段と、 を備えたことを特徴とするジグザグミシン。
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JP2001137578A (ja) * 1999-11-12 2001-05-22 Juki Corp 電子ミシン
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