JP2762495B2 - 耐食性および耐熱水性に優れたジルコニア焼結体 - Google Patents

耐食性および耐熱水性に優れたジルコニア焼結体

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は高強度であって耐食性および熱安定性に優
れ、かつ長時間熱水中に保持しても経時劣化の少ない、
すなわち耐熱水性に優れたジルコニア焼結体に関するも
のである。
[従来の技術] 従来から高強度セラミックス材料の1つとして、ジル
コニアにY2O3を添加した部分安定化ジルコニアが知られ
ている。しかしながら、この部分安定化ジルコニアは熱
的に不安定であり、大気中200〜250℃で長時間保持する
と結晶の正方晶が単斜晶に相転移し、このため機械的強
度や靭性が低下するという問題がある。これと同様のこ
とが酸,アルカリ水溶液または熱水中においても生じる
が、特に170〜200℃の熱水中では相転移が促進されるこ
とが知られている。
近年、この温度範囲における劣化(低温劣化)を防ぐ
ために、Y2O3添加量の増加したあるいは安定化剤をY2O3
からCeO2に変更した部分安定化ジルコニアが研究されて
いる(1983年窯業基礎討論会1A6,10項)。そして、Y2O3
の他にCeO2およびAl2O3の両者を含む耐熱安定性に優れ
た部分安定化ジルコニアが得られている(特開昭61−21
9756)。しかしながら、Y2O3含有量が増加したものやCe
O2系部分安定化ジルコニアを安定化剤として用いたもの
は、機械的強度が低い。また、Y2O3のほかCeO2およびAl
2O3を併用するものは、多量のCeO2を添加しないと効果
が発揮されない。この他、Y2O3系部分安定化ジルコニア
にAl2O3,MgO,SiO2およびCaOの4成分を添加して低温劣
化を抑制したものも知られているが(特開昭59−11197
6)、これも劣化を防ぐには十分でなく、機械的強度も
低いことや添加剤の種類が多いこともあり、経済的でな
い。
以上述べてきたように、Y2O3によって部分安定化した
ジルコニアには、優れた耐食性,耐熱安定性および耐熱
水性を示し、かつ高い機械的強度を有するものがないの
が現状である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明はこのような背景および状況において、優れた
耐食性,耐熱安定性および耐熱水性を示し、かつ高い機
械的強度を有するY2O3系部分安定化ジルコニアを提供す
ることにある。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明は、安定化剤としてY2O3を2.5〜5mol%含む主
として正方晶からなる部分安定化ジルコニア,Al2O3 0.
05〜60wt%およびCaO 0.01〜0.4wt%からなり、SiO2
有量は0.05w%t未満であり、平均結晶粒径が0.3μm以
下であるジルコニア焼結体、を要旨とするものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における部分安定化ジルコニアは、十分な機械
的強度および靭性をもたせるために、主として正方晶か
らなるものでなければならない。とくに正方晶70%以上
のものが望ましい。この他の結晶相として、単斜晶や正
方晶が含まれていてもかまない。
Y2O3は、正方晶のジルコニアを室温まで保持するため
に必要な安定化剤であるが、2.5mol%より少ないと焼結
体の熱安定性および耐熱水性を十分に向上させることが
できず、いっぽう、5mol%より多いと結晶が立方晶から
なるジルコニアとなって機械的強度が低下する。
Al2O3は、正方晶のジルコニアが単斜晶に転移する温
度を下げ、ジルコニアの粒成長を抑制し、かつジルコニ
ア粒界での滑り抵抗を増加させて高温強度を高める作用
があるが、0.05wt%より少ないとこの添加効果が十分で
なく、60wt%より多いと靭性の高い上記ジルコニアの含
有量を低めることとなって機械的強度,靭性共に十分な
焼結体とすることができない。しかし、その含有量が5w
t%以上になると耐食性,耐熱安定性および耐熱水性に
差のないことから、0.05〜5wt%でよい。
CaOは、正方晶ジルコニアを得るための安定化剤とし
ても、または焼結助剤としても知られている。Y2O3と併
用する場合は、Y2O3系ジルコニア焼結体の焼結助剤とし
て寄与することとなる。0.01wt%より少ないと添加効果
は見られず、0.4wt%より多くなるとジルコニアの粒成
長が促進され、平均結晶粒径0.3μm以下の焼結体とす
るのが困難になる。
SiO2は、ジルコニア中に0.05wt%以上含まれると、Al
2O3と共にジルコニア粒界にガラス相を形成して熱安定
性および耐食性を低下させる。
平均結晶粒径が0.3μmをこえると、Al2O3やCaOを含
有させても熱安定性および耐熱水性が向上しないので好
ましくない。
本発明の焼結体は、例えば、所定量の原料の混合粉末
をラバープレス法,射出成形法,金形成形法,押出成形
法などの周知の方法で成形して所望の成形体を作り、こ
の成形体を加熱炉に入れ、1300〜1500℃で焼成して製造
することができる。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明のジルコニア
焼結体は、従来のY2O3系部安定化ジルコニア焼結体が不
安定とされる温度に長時間さらされてもほとんど劣化す
ることなく、上記の従来の焼結体を激しく劣化させる
酸,アルカリ,熱水などの中においても高い安定性と機
械的強度を示すため、その実用上の価値は大なるものが
ある。
[実施例] 以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
製造例 第1表(本発明材)および第2表(比較材)に示す組
成の部分安定化ジルコニア焼結体を以下のようにして作
製した。すなわち、まず、純度99.9wt%のオキシ塩化ジ
ルコニウム,塩化イットリウムおよび塩化カリウムから
なる水溶液の加水分解によって得られたジルコニアゾル
溶液を凝縮させて沈澱をえ、これを脱水・乾燥し、900
℃で仮焼して部分安定化ジルコア粉末を得た。この粉末
の比表面積は、15m2/gであった。この粉末に純度99.9wt
%のAl2O3および純度99.9wt%のSiO2を加え、湿式混合
後、乾燥させたものを3ton/cm2の加圧で等方的に成型
し、1400〜1550℃で大気中2時間焼成した。こうして得
た焼結体を3×4×40mmに切断し、研磨し、加工したも
のを試験片とした。
焼結体における単斜晶および正方晶の割合を第3表お
よび第4表の試験前の欄に示す。
試験例 1 熱劣化試験を、オートクレーブを用いて170℃の熱水
中に24時間保持する方法で行った。そして、試験前と試
験後の焼結体表面の結晶相および曲げ強度を測定した。
結晶相の定量測定は、X線回折測定法により行った。す
なわち、単斜晶の(111)面と(11)面の積分強度IM
と、正方晶の(111)面の積分強度IT、立方晶の(111)
面の積分強度ICから単斜晶量が次のように求まる。
単斜晶量(%)={IM/(IM+IT+Ic)}×100 次に、焼結体を微粉砕し、X線回折による単斜晶およ
び立方晶の積分強度IM′およびIC′から立方晶量が次の
ように求まる。
立方晶量(%)={IC′/(IM′+IC′)}×100 上記の微粉砕によって正方晶はすべて単斜晶に相転移
したとみなせるので、正方晶は以下のように求まる。
正方晶量(%)= 100−(上記単斜晶量+上記立方晶量) 試験結果を第3表および第4表に示す。
これらの表において、本発明材である試料No.1〜12
は、試験後においても相転移が小さく、曲げ強度にも劣
化は認められず、これに対し、Y2O3が2mol%である比較
材No.1は、試験後において相転移が進んでおり、曲げ強
度にも劣化が見られる。逆にY2O3が6mol%のもの(比較
材No.12)は、試験後において相転移は生じていない
が、曲げ強度が低く、実用的でない。
Al2O3およびCaOのいずれの含有量も小さすぎるもの
(比較材No.2)、CaO含有量の小さすぎるもの(比較材N
o.3,No.6)、Al2O3含有量の小さすぎるもの(比較材No.
4,10,11)は相転移が進んでおり、曲げ強度にも劣化が
認められる。また、CaOが0.4wt%より多く含まれるもの
(比較材No.7)あるいは1550℃で焼成したもの(比較材
No.5)は粒成長が進み、0.3μmをこえているため、相
転移が大きく進む。SiO2が0.05wt%以上含まれる試料
(比較材No.8,9)も相転移が進んでいる。
以上のことから本発明によるジルコニア焼結体は優れ
た耐熱水性を有することが分る。
試験例 2 製造例の第1表および第2表にそれぞれ示した本発明
材の試料No.3,6,10,11および比較材の試料No.1,2,3,4を
用いて、250℃における熱エージング試験を行った。そ
の結果を第1図に示す。
この図より比較材No.1,2,3および4は、いずれも時間
と共に相転移が大きく進む。これに対し、本発明材No.
3,6,10および11は、いずれも相転移が小さいことが分
る。従って、本発明の焼結体は優れた耐熱性を有してい
ると言える。
試験例 3 試験例2と同じ試料を用いて100℃、30wt%H2SO4に対
する耐食性試験をつぎのようにして行った。すなわち、
試料を30wt%H2SO4溶液中に30日間浸漬した後、試料表
面の単斜晶量および曲げ強度を測定した。試験結果を第
5表に示す。この表より比較材No.1,2,3および4は、い
ずれも相転移が大きく進むことが分る。これに対し、本
発明材No.3,6,10および11は、いずれも相転移が小さ
く、曲げ強度にも劣化は認められない。従って本発明の
焼結体は耐食性に優れていることが分る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、試験例2における熱劣化試験の時間と単斜晶
の量との関係を示した図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】安定化剤としてY2O3を2.5〜5mol%含む主
    として正方晶からなる部分安定化ジルコニア,Al2O3 0.
    05〜60wt%およびCaO 0.01〜0.4wt%からなり、SiO2
    有量は0.05wt%未満であり、平均結晶粒径が0.3μm以
    下であることを特徴とする、ジルコニア焼結体。
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