JP2762206B2 - 硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物 - Google Patents

硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物

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JP2762206B2
JP2762206B2 JP8922693A JP8922693A JP2762206B2 JP 2762206 B2 JP2762206 B2 JP 2762206B2 JP 8922693 A JP8922693 A JP 8922693A JP 8922693 A JP8922693 A JP 8922693A JP 2762206 B2 JP2762206 B2 JP 2762206B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、室温硬化および光硬化
の何れの硬化方法を行い得る硬化性オルガノポリシロキ
サン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】室温硬化性オルガノポリシロキサン組成
物(以下これをRTVシロキサン組成物と略記する)と
しては、各種のものが知られている。その中でも、分子
鎖末端に水酸基を持つオルガノポリシロキサンに、メチ
ルトリメトキシシランなどの架橋剤及び有機チタン化合
物またはチタンキレート化合物などの触媒を添加した組
成物は、硬化時にアルコールを発生してゴム状のオルガ
ノポリシロキサンを形成するものである。したがって、
この硬化性組成物は腐食性がなく、刺激臭も出さないの
で、電気あるいは電子工業における接着剤として汎用さ
れている。
【0003】しかし、この種の脱アルコール型のRTV
シロキサン組成物は、一般に硬化速度が遅いし、内部硬
化性、保存性が悪いという欠点があり、長期保存の場合
にはそれが無水の状態であっても使用時に硬化しなくな
るという問題がある。
【0004】そのため、この種の脱アルコール型のRT
Vシロキサン組成物に、アルコキシ基を2個有するシラ
ン化合物を所謂シラスカベンジャーとして配合して、そ
の保存安定性、硬化性を改良するという方法が提案され
ている。また、脱アルコール型RTVシロキサン組成物
として、分子鎖末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポ
リシロキサンに、アルコキシシランまたはその部分加水
分解物、下記式: 〔(CH3 2 N〕C=N(CH2 3 −Si(OCH
3 3 で示されるグアニジル置換アルキルアルコキシシランお
よび有機錫化合物を添加してなるものが提案されている
(特開昭58−52351号公報参照)。
【0005】しかし、2個のアルコキシ基を有するシラ
ン化合物がシラスカベンジャーとして配合された組成物
においては、保存安定性をよくするためには、このシラ
ン化合物の2つのアルコキシ基以外の基として、アミド
基、アミノ基等の高い反応性を有する加水分解性基を有
することが必要である。従って、この組成物では、腐食
性や臭気をもたらすという問題が発現し、電気、電子工
業における接着剤としての使用が制限される。また本発
明者らは、この不利を解決し、アルコール類に対して高
活性な反応性を有するα−シリルエステル化合物が配合
された脱アルコール型のRTVシロキサン組成物を先に
提案した(特開平3−47868号公報参照)。この組
成物は保存安定性が良好であるとともに、腐食性、臭気
などの発生が有効に回避されている。
【0006】しかしながら、近年における電気、電子工
業の生産ラインのスピード化から、接着剤等に使用され
る硬化性組成物に対しては、硬化速度の向上が要求され
ていおり、上述した脱アルコール型のRTV等のRTV
シロキサン組成物は、その硬化速度に関する要求を満足
するには至っていない。
【0007】従来公知の縮合型、加熱硬化型、白金付加
反応型等の硬化性組成物に対し、硬化スピードの速い硬
化機構を持つものとしては、紫外線硬化型の組成物が公
知である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】紫外線硬化型のオルガ
ノポリシロキサン組成物としては、例えばビニル基含有
ポリシロキサンとメルカプト基含有ポリシロキサンとを
光ラジカル付加反応によって硬化させてなるものが知ら
れている(特公昭52−40334号公報、特開昭60
−104158号参照)。しかし、この組成物には、メ
ルカプト基による臭気と金属に対する腐食性に問題があ
るため、その用途が制限されている。
【0009】また、光照射により硬化する組成物として
は、アクリル基含有ポリシロキサンと増感剤とからなる
組成物が提案されている(特公昭53−36515号公
報、特開昭60−215009号参照)。しかし、この
組成物においては、ゴム状弾性体の硬化物を得るために
はベースポリマーとして高分子量の線状ポリマーを用い
る必要があり、このために末端に位置するアクリル基量
が相対的に非常に少なくなって硬化性の悪く、また空気
と接している表面部分が酸素による硬化阻害によって殆
ど硬化しないという欠点がある。従って、この種の光硬
化型組成物としては、比較的アクリル基量の多いレジン
状のものしか実用化されておらず、満足すべきゴム状弾
性を有する硬化物を形成し得るものは知られていない。
例えば得られる硬化物は、引っ張り強さに劣り、また組
成物自体も保存性に欠けるという問題がある。
【0010】更に、上述した光硬化型のオルガノポリシ
ロキサン組成物の欠点が改善されたものとして、本発明
者等は先に、アルコキシ−α−シリルエステルという新
規な化合物を(メタ)アクリル官能性アルコキシシラ
ン、2価の錫系化合物、光重合開始剤及び硬化触媒と組
合せで使用した組成物を提案した。
【0011】しかしながら、この組成物は、硬化物とし
て実用可能なシリコーンゴム弾性体を与えるという利点
は有しているものの、この硬化物がガラスや金属に対し
て全く接着しないという問題があり、各種接着やシール
用には不向きであることが判った。この接着性を改善す
るために、この組成物に、アミノ基またはアクリル基を
有する有機ケイ素化合物を添加することが考えられる
が、この場合には、ガラスに対する接着性は改善される
が、金属等のガラス以外に対する接着性は未だ不十分で
ある。またガラスに対する接着性に関しても、これが発
現するまでに数日程度の時間がかかるという欠点を有す
る。
【0012】従って本発明の課題は、室温で湿分の存在
下で硬化可能であり、また紫外線照射でも容易に硬化
し、しかも保存安定性が良好であり、ガラス、金属、プ
ラスチックなどに対しても優れた接着性を示すゴム弾性
体硬化物を形成し得る硬化性オルガノポリシロキサン組
成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、 (A)下記一般式(1):
【化5】 式中、Rは、同一または異なる非置換もしくは置換の
一価炭化水素基、nは、〜10000の整数である、
で表される末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン、 (B)下記一般式(2):
【化6】 式中、Rは、水素原子またはメチル基、Rは、アル
キレン基、R及びRは、それぞれ同一または異なる
非置換もしくは置換の一価炭化水素基、aは、0、1ま
たは2の整数である、で示される(メタ)アクリル官能
性アルコキシシラン、 (C)下記一般式(3): SnX (3) 式中、Xは、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原
子、アルコキシ基及び−OOC−RRは一価の炭化
水素基)で表される基から成る群より選択される少なく
とも一種の基、で表される二価の錫化合物、 (D)下記一般式(4):
【化7】 式中、R及びRは、メチル基またはエチル基、R
10及びR11は、同一でも異なっていてもよく、それ
ぞれ水素原子または非置換もしくは置換の一価炭化水素
基、R12は、非置換もしくは置換の一価炭化水素基、
bは、0、1または2の整数である、で表されるアルコ
キシ−α−シリルエステル、 (E)下記一般式(5)または(6):
【化8】 式中、R 13 は、同一でも異なっていてもよく、水素原
子または非置換もしく は置換の炭素原子数1〜8の一価
の炭化水素基であり、 14 は、同一でも異なっていて
もよく、水素原子または非置換もしく は置換の炭素原子
数1〜8の炭化水素基であり、 Yは、炭素原子数2〜6
の二価の炭化水素基である、で表される、アルケノキシ
基を有するシラシクロ環化合物 (F)Va、VIaまたはVIIa族元素のオニウム塩
系化合物 (G)光重合開始剤 (H)硬化触媒 を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物が提供
される。
【0014】すなわち、本発明者らは特に接着性と保存
安定性の優れた硬化性オルガノポリシロキサン組成物を
開発すべく種々検討した結果、上記(A)成分〜(D)
成分を混合せしめ、光重合開始剤と硬化触媒を添加した
組成物に上記したアルケノキシ基を有するシラシクロ環
化合物とオニウム塩系化合物を添加すると、この組成物
は紫外線を照射したときに短時間で硬化するし、予想外
にも瞬間的に接着力が発現されて、ガラス、金属、プラ
スチックなどにもよく接着することを見いだし、本発明
を完成させた。
【0015】(A)オルガノポリシロキサン (A)成分はベースポリマーであり、これには前記一般
式(1)で表される末端ヒドロキシオルガノポリシロキ
サンが使用される。該一般式(1)において、非置換も
しくは置換の一価炭化水素基R1 としては、炭素原子数
1〜10、特に1〜8のものが好ましく、具体的にはメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル
基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル
基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニ
ルエチル基等のアラルキル基、あるいはこれらの水素原
子の一部または全部をハロゲン原子などで置換した基、
例えばクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロ
ピル基等を例示することができる。また、nは1〜10
000の整数である。
【0016】上記一般式(1)から明らかな通り、この
オルガノポリシロキサンは線状であり、その両端に水酸
基が結合している。かかるオルガノポリシロキサンの適
当な例としては、これに限定されるものではないが、以
下のものを例示することができる。下記式中、Meはメ
チル基であり、Phは置換又は非置換のフエニル基を示
す。
【化9】
【0017】(B)(メタ)アクリル官能性アルコキシシラン この(B)成分の(メタ)アクリル官能性アルコキシシ
ランは、この組成物に紫外線硬化性を付与するものであ
り、例えば縮合によりベースのオルガノポリシロキサン
中に組み込まれ、安定した紫外線硬化性を与える。
【0018】該アルコキシシランを示す前記一般式
(2)において、Rは水素原子またはメチル基であ
る。またR はアルキレン基、特に炭素原子数1〜6の
ものが好適である。またR及びRは、それぞれ非置
換もしくは置換の一価炭化水素基であり、具体的にはメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル
基、フェニル基等のアリール基を例示することができ、
特に炭素原子数が1〜8のものが好適である。さらに一
般式(2)において、aは、0、1または2の整数であ
り、この数から理解される様に、炭化水素基Rは必須
の基ではない。かかるアルコキシシランの適当な例とし
ては、これに限定されるものではないが、以下のものを
例示することができる。
【0019】
【化10】
【0020】本発明において、かかる(メタ)アクリル
官能性アルコキシシランは、(A)成分のオルガノポリ
シロキサン100重量部当たり、0.1〜10重量部、特
に1〜5重量部の量で使用されることが望ましい。0.1
重量部よりも少ないと、組成物の紫外線硬化性が低下
し、また10重量部よりも多量に使用されると、(メ
タ)アクリル官能性アルコキシシランのみの硬化によ
り、硬化物のゴム弾性が損なわれる等の不都合を生じる
ことがある。
【0021】(C)二価の錫化合物 (C)成分の2価の錫化合物は、シラノールとアルコキ
シ基との縮合反応を選択的に進行させる触媒として作用
するものであり、一般的に、(A)成分のオルガノポリ
シロキサン100重量部当たり、0.01〜5重量部、特
に0.1〜3重量部の量で使用されることが望ましい。0.
01重量部よりも少ないと、触媒としての能力が十分に
発揮されず、また5重量部よりも多量に使用されると、
組成物の保存安定性が悪くなる等の不都合を生じること
がある。
【0022】この2価の錫化合物は、前記一般式(3)
で表されるものであり、その適当な例としては、これに
限定されるものではないが、以下のものを例示すること
ができる。 SnCl2 ,SnBr2 ,SnI2 ,Sn(OOCCH
3 2 ,Sn(OOC)2 ,Sn(OOCC
7 152 ,Sn(OMe)2 ,Sn(OOCC
15312
【0023】(D)アルコキシ−α−シリルエステル (D)成分で示されるアルコキシ−α−シリルエステル
は、アルコキシを有していることから、架橋剤として作
用するものであり、前記(A)成分のオルガノポリシロ
キサンと反応して硬化物を形成し、また脱アルコールス
カベンジャーとして作用するものであり、このアルコキ
シ−α−シリルエステルを配合することにより、組成物
の保存安定性が向上する。
【0024】このようなアルコキシ−α−シリルエステ
ルとしては、前記一般式(4)で表されるものが使用さ
れる。この一般式(4)において、R8 及びR9 は、そ
れぞれメチル基またはエチル基であり、好ましくはメチ
ル基である。
【0025】またR10及びR11は、それぞれ水素原子ま
たは非置換もしくは置換の一価炭化水素基である。かか
る一価炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数が4以下の低
級アルキル基、及びその水素原子の一部もしくは全部を
ハロゲン原子で置換した基が好適である。
【0026】さらにR12は、非置換もしくは置換の一価
炭化水素基であり、例えば炭素原子数が8以下のアルキ
ル基、フェニル基、及びこれらの基の水素原子の一部も
しくは全部をハロゲン原子で置換した基が好適である。
【0027】かかるアルコキシ−α−シリルエステルの
適当な例としては、これに限定されるものではないが、
以下のものを例示することができる。
【0028】
【化11】
【化12】
【0029】本発明において、上述したアルコキシ−α
−シリルエステルは、通常、(A)成分のオルガノポリ
シロキサン100重量部当たり、0.1〜10重量部、特に
0.5〜10重量部の量で使用されることが望ましい。0.
1重量部よりも少ないと、組成物の保存安定性が低下
し、また10重量部よりも多量に使用されると、架橋に
取り込まれないアルコキシシランが残存するため、硬化
物のゴム弾性が損なわれる等の不都合を生じることがあ
る。
【0030】(E)シラシクロ環化合物 本発明において、(E)成分のアルケノキシ基含有のシ
ラシクロ環化合物は、組成物の接着性を向上させるもの
である。即ち、この化合物はアルケノキシ基を有し、さ
らに環を形成していることで、アルコール等の活性水素
原子を有する化合物に対して極めて高い反応性を示す。
このことから、各種物質の表面特性を改善する作用を有
しており、組成物の各種基材、例えばガラス、金属、各
種プラスチック等に対する接着性を極めて効果的に向上
せしめる。
【0031】かかるシラシクロ環化合物は、前記一般式
(5)または(6)で表されるケイ素化合物である。
中、R13は、同一でも異なっていてもよく、水素原子
または非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価の
炭化水素基であり、R14は、同一でも異なっていても
よく、水素原子または非置換もしくは置換の炭素原子数
1〜8の炭化水素基であり、Yは、炭素原子数2〜6の
二価の炭化水素基である。
【0032】上記のシラシクロ環化合物は、例えば下記
一般式(7):
【化13】 または下記一般式(8):
【化14】 上記式中、R14及びYは、前記の通りである、で表され
る化合物に、ジクロロシラン或いはテトラクロロシラン
を反応させて縮合環化させることにより容易に合成され
る。即ち、ジクロロシランを用いれば一般式(5)の有
機ケイ素化合物が得られ、またテトラクロロシランを用
いれば一般式(6)の有機ケイ素化合物が得られる。上
記の縮合環環化反応は、アルカリ触媒を用いて行うこと
が好ましい。かかるアルカリ触媒として最も好適なもの
はトリエチルアミンである。また反応温度は、一般に1
0〜150℃の範囲が適当であり、反応に際しては適当
な不活性溶剤が使用される。
【0033】本発明において、前記一般式(5)のシラ
シクロ環化合物の代表的な例としては、以下のものを例
示することができる。
【化15】
【0034】また前記一般式(6)のシラシクロ環化合
物の代表的な例としては、以下のものを例示することが
できる。
【化16】 尚、上記式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Pr
はプロピル基、Viはビニル基、Phはフェニル基をそ
れぞれ指す。
【0035】上述したシラシクロ環化合物は、通常、
(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部当た
り、0.1〜10重量部、特に0.1〜5重量部の量で
使用されることが望ましい。0.1重量部よりも少ない
と、組成物の接着性が低下し、また10重量部よりも多
量に使用されると、硬化物のゴム弾性が損なわれる等の
不都合を生じることがある。
【0036】(F)オニウム塩系化合物 成分(F)のオニウム塩化合物は、上記成分(E)のシ
ラシクロ環化合物と組み合せで使用することによって組
成物の接着性を改善するものである。このオニウム塩系
化合物は、それ自体公知の、Va、VIaまたはVII
a族元素のオニウム塩系化合物である。例えば、アリー
ル基をArで表して、下記式: (Ar), (Ar), (Ar)Se, (Ar), (Ar)N ここに、XはSbF ,ASF ,PF ,B
,HSO , ClO 等の非求核性かつ非塩基性の陰イオンであ
る、で示されるジアリールヨードニウム塩、トリアリー
ルスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、テト
ラアリールホスホニウム塩、アリールジアゾニウム塩な
どを例示することができる。このオニウム塩系化合物
は、通常、(A)成分のオルガノポリシロキサン100
重量部当たり、0.01〜40重量部、特に0.1〜1
0重量部の量で使用されることが望ましい。0.1重量
部よりも少ないと、この組成物に紫外線を照射した時に
発現する接着性が乏しくなり、40重量部より多くなる
と接着性は向上するものの硬化した皮膜の表面状態に悪
影響が生じて、ゴムが劣化するなどの恐れがある。
【0037】(G)光重合開始剤 (G)成分の光重合開始剤は、アクリル基の光重合を促
進させるためのものであるが、これは当業界で良く知ら
れているものでよい。例えば、アセトフェノン、プロピ
オフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレ
イン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニ
ルアミン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルア
セトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロ
モアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジ
アセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−
メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、
4,4−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4−
ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、
3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニ
ルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルア
ミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2
−クロロチオキサントーン、ジエチルアセトフェノン、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メ
チル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕2−モルフォリ
ノ−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニ
ルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどが例
示される。
【0038】この配合量は上記した(A)成分のオルガ
ノポリシロキサン100重量部当たり、0.01〜10重
量部、特に0.1〜5重量部の量で使用されることが望ま
しい。0.01重量部未満とするとその添加効果がなく、
10重量部より多くするとこれから得られるシリコーン
ゴムが強度の低いものとなって硬化物の物理特性が悪く
なる傾向がある。
【0039】(H)硬化触媒 (H)成分は、前記成分(D)のアルコキシ−α−シリ
ルエステルによる硬化を促進させるものであって、例え
ば湿分の存在下で硬化するシリコーン樹脂組成物に使用
されているものと同様のもの、具体的には、錫系触媒、
チタン系触媒等を使用することができる。錫系触媒とし
ては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテー
ト、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレート、
ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジ
ブチル錫ジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシ
シロキシ)錫、ジブチル錫ベンジルマレート等を挙げる
ことができる。また、チタン系触媒としては、テトライ
ソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テ
トラビス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキ
シビス(アセチルアセトナ)チタン、チタンイソプロポ
キシオクチレングリコール等のチタン酸エステルやチタ
ンキレート化合物を挙げることができる。一般にこの硬
化触媒は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100
重量部当たり、0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量
部の量で使用される。
【0040】その他の配合剤 本発明の組成物は、上記した(A)成分〜(H)成分を
必須成分として含有しているものであるが、その接着性
や保存安定性を阻害しない範囲で、それ自体公知の配合
剤を使用することもできる。例えば、得られるシリコー
ンゴム弾性体の機械的性質を向上させるために、光硬化
を阻害しないフュームドシリカ系の充填剤を添加しても
よく、さらにはその物性を調節する目的においてチクソ
トロピー付与剤、耐熱性向上剤、着色剤などを添加する
こともできる。
【0041】本発明の組成物は、前述した各成分を、水
分の非存在下で均一に混合することによって得ることが
できる。このようにして得られた本発明の硬化性組成物
は、大気中に暴露することにより、大気中の湿分の作用
によって室温で硬化する。また紫外線を照射することに
よって、極めて迅速に硬化する。得られる硬化物は、耐
熱性、耐候性、低温特性等の特性に優れたシリコーンゴ
ム弾性体であり、幅広い分野で実用に供される。特に硬
化物が、ガラス、各種金属、プラスチック等に対する接
着性に優れ、しかも腐食性がなく且つ刺激臭の発生もな
いので、接着剤、シール剤、コーティング剤、ポッティ
ング剤として極めて有用である。
【0042】
【実施例】次に、本発明の実施例をあげるが、例中の部
は重量部を、また粘度は25℃での測定値を示したもの
である。
【0043】実施例1 両末端がOH基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘
度が5,000cP) 100部 煙霧状シリカ 10 部 メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 1.7部 錫ジオクトエート 0.1部 2−トリメトキシシリルプロピオン酸2−エチルヘキシ
ル 3部 ジエトキシアセトフェノン 2部 ジブチル錫ジラウレート 0.5部 ジアリールヨウドニウム塩 0.5部 2,4,4−トリメチル−2−ビニル−6−メチレン−
1,3−ジオキサ−2−シラシクロヘキサン 0.5部 を配合して硬化性組成物を調製した。
【0044】ついで、この硬化性組成物に紫外線照射装
置・ASE−20(日本電池(株)製商品名)を用いて
紫外線(照射エネルギー量1.5J/cm2 )を1m/mi
nのスピードで3回照射してこれを硬化させ、20±3
℃・55±5%RH×7日後のゴム物性を測定した。
【0045】さらに、前記の硬化性組成物を用いてガラ
スせん断接着力測定用サンプルを作り、上記と同様の条
件で硬化させ、硬化1時間後におけるガラスせん断接着
力を測定し、さらに70℃で7日間加熱保存した後にも
同様な測定を行った。結果を表1に示す。
【0046】実施例2 実施例1において、3部の2−トリメトキシシリルプロ
ピオン酸2−エチルヘキシルの代わりに、同量の2−ト
リメトキシシリルプロピオン酸2−エチルを用いた以外
は同様にして硬化性組成物を調製し、且つ同様の試験を
行った。結果を表1に示す。
【0047】比較例1 実施例1において、シラシクロ環化合物(2,4,4−
トリメチル−2−ビニル−6−メチレン−1,3−ジオ
キサ−2−シラシクロヘキサン)を使用しなかった以外
は同様にして硬化性組成物を調製し、且つ同様の試験を
行った。結果を表1に示す。
【0048】比較例2 実施例1において、ジアリールヨウドニウム塩を使用し
なかった以外は同様にして硬化性組成物を調製し、且つ
同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0049】比較例3 実施例1において、α−シリルエステル(2−トリメト
キシシリルプロピオン酸2−エチルヘキシル)を使用し
なかった以外は同様にして硬化性組成物を調製し、且つ
同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】この結果から、保存性に関しては、(D)
成分としてのアルコキシ−α−シリルエステルが、接着
性に関しては(E)成分としてのアルケノ基を有するシ
ラシクロ環化合物と(F)成分としてのオニウム塩系化
合物が必須成分であることが確認された。
【0052】
【発明の効果】本発明の組成物は、紫外線を照射すると
短時間で硬化し、また大気中に暴露することによっても
湿分の存在により容易に室温で硬化する。得られたシリ
コーンゴム硬化物はガラス、プラスチックなどによく接
着する。さらに、この硬化性組成物は(D)成分である
アルコキシ−α−シリルエステルの効果により保存性に
優れる。従って、本発明の組成物は、接着剤、シール
剤、コーティング剤、ポッティング剤として有用であ
り、しかも金属に対する腐食性がなく且つ刺激臭の発生
もないので、特に電気・電子部品の分野において極めて
有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記一般式(1): 【化1】 式中、Rは、同一または異なる非置換もしくは置換の
    一価炭化水素基、nは、〜10000の整数である、 で表される末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン、 (B)下記一般式(2): 【化2】 式中、Rは、水素原子またはメチル基、 Rは、アルキレン基、 R及びRは、それぞれ同一または異なる非置換もし
    くは置換の一価炭化水素基、 aは、0、1または2の整数である、 で示される(メタ)アクリル官能性アルコキシシラン、 (C)下記一般式(3): SnX (3) 式中、Xは、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原
    子、アルコキシ基及び−OOC−RRは一価の炭化
    水素基)で表される基から成る群より選択される少なく
    とも一種の基、 で表される二価の錫化合物、 (D)下記一般式(4): 【化3】 式中、R及びRは、メチル基またはエチル基、 R10及びR11は、同一でも異なっていてもよく、そ
    れぞれ水素原子または非置換もしくは置換の一価炭化水
    素基、 R12は、非置換もしくは置換の一価炭化水素基、 bは、0、1または2の整数である、 で表されるアルコキシ−α−シリルエステル、 (E)下記一般式(5)または(6): 【化4】 式中、R 13 は、同一でも異なっていてもよく、水素原
    子または非置換もしく は置換の炭素原子数1〜8の一価
    の炭化水素基であり、 14 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子また
    は非置換もしく は置換の炭素原子数1〜8の炭化水素基
    であり、 Yは、炭素原子数2〜6の二価の炭化水素基である、 で表される、 アルケノキシ基を有するシラシクロ環化合
    物 (F)Va、VIaまたはVIIa族元素のオニウム塩
    系化合物 (G)光重合開始剤 (H)硬化触媒 を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した組成物を硬化させて
    なる硬化物。
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