JP2761966B2 - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JP2761966B2
JP2761966B2 JP2146334A JP14633490A JP2761966B2 JP 2761966 B2 JP2761966 B2 JP 2761966B2 JP 2146334 A JP2146334 A JP 2146334A JP 14633490 A JP14633490 A JP 14633490A JP 2761966 B2 JP2761966 B2 JP 2761966B2
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久義 石橋
武彦 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、風圧力や地震力のような外力を受けて揺れ
る建築物ような制振対象物の揺れを緩和するための制振
装置に関する。
(従来の技術) 従来、共振現象を利用して建築物の揺れを緩和する振
子式制振装置が知られている。この制振装置は、建築物
に揺動可能に吊り下げられた重りと、前記重りの揺動を
減衰するための減衰手段とを含む(特開昭63-254247
号)。
(発明が解決しようとする課題) 前記従来の制振装置では、重りの重量が建築物の重量
の約1%に設定され、重りが建築物と共振可能であるよ
うに、重りの振動周期が建築物に固有の振動周期に合致
される。
建築物の固有振動周期は、例えば鉄骨造の建築物の場
合、建築物の階数に0.1を乗じた値にほぼ等しいとされ
ている。これによれば、例えば50階建ての超高層建築物
の固有振動周期は約5秒であり、また、前記重りの振動
周期を約5秒に設定するために必要な前記重りの吊り部
材の長さ、すなわち吊り長さは約6.2mである。これは建
築物の一層階の高さ寸法を越える長さであり、したがっ
て、高層の建築物における前記一層階への前記制振装置
の設置は実質的に不可能である。
本発明の目的は、重りの吊り長さを増大させることな
しに固有振動周期を長くすることができる振子式制振装
置を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明に係る制振装置は、制振対象物に揺動可能に吊
り下げられた第1の重りと、前記制振対象物上に配置さ
れた第2の重りであって前記第1の重りの揺動時にその
水平方向力を受けて前記制振対象物上を移動するように
前記第1の重りに接続された第2の重りと、前記第1の
重りまたは前記第2の重りの運動を減衰するための減衰
手段と、前記第1の重りの吊り長さを調整するための調
整手段とを備える。
(発明の作用および効果) 本発明によれば、制振対象物に吊持された第1の重り
に、揺動時の第1の重りの水平方向力を受けて制御対象
物上を移動する第2の重りを接続した結果、第1及び第
2の重りの重量を増減することによって振子式制振装置
の固有振動周期を決定することが可能となり、このた
め、第1の重りの吊り長さを増大させることなしに前記
固有振動周期の増大を図ることができる。装置の設定固
有振動周期は、前記第1の重りの吊り長さ調整手段によ
り、その微調整を容易に行なうことができる。
(実施例) 第1図〜第4図を参照すると、全体を符号10で示す本
発明に係る振子式の制振装置が、門形のフレーム12を介
して、制振対象物の一例である建築物14に取り付けられ
ている。制振装置10は、フレーム12を介在させることな
しに、建築物14の構成部材である梁や床スラブに支持さ
せることができる。また、制振装置10は、地震力や風力
を受けて揺れる建築物14の最も揺れの大きい場所である
屋上や、最上階層上に設置することが望ましい。
制振装置10は、フレーム12に吊り下げられた第1の重
り16と、建築物14の平面上に配置された第2の重り18と
を含む。
第1の重り16は、棒材、ワイヤ、ロープ、チェーン等
からなる複数の吊り部材20でフレーム12に吊り下げられ
ている。第1の重り16が矢印24の方向へ揺動することが
できるように、各吊り部材20の上下両端部がフレーム12
と第1の重り16とにそれぞれ枢着されている。各吊り部
材20には、第1の重り16の吊り長さすなわち吊り部さ20
の長さ寸法を調整することができるように、タンーンバ
ックル、チェーンブロック等から成る調整手段22が設け
られている。
第2の重り18には前記平面上を転動可能の車輪26が取
り付けられている。第2の重り18は接続手段28を介して
第1の重り16に接続されている。接続手段28は第1およ
び第2の重り16,18に枢着された棒材から成り、該棒材
は矢印24の方向と直角な水平方向(紙面方向)に伸びる
枢軸線の周りに揺動可能である。したがって、第1の重
り16が矢印24の方向へ揺動するとき、接続手段28はその
枢軸線の周りに揺動し、第2の重り18は矢印30の方向へ
直線的に移動する。接続手段28は前記枢軸線の周りに揺
動可能であることから、揺動するときの第1の重り16の
上下方向への変位を許しかつ第1の重り16の水平方向へ
の変位を第2の重りに伝達する。その結果、第1の重り
16の揺動に従って第2の重り18が直線方向へ往復動す
る。
第1の重り16の揺動を減衰するための油圧ダンパのよ
うな減衰手段32が、矢印30の方向に向けて配置されかつ
第1の重り16と建築物14とに連結されている。
第2の重り18を第1の重り16の側方に配置する第1図
の例に代えて、第2図に示すように、第2の重り18を第
1の重り16の下方に配置することができる。この例で
は、両重り16,18の連結手段28が、第1の重り16の底部
に固定され下方へ伸びる軸部材34と、第2の重り18の頂
部に固定され、軸部材34を受け入れるブシュ36とから成
る。この連結手段によれば、第1の重り16が矢印24の方
向へ揺動するとき、すなわち軸部材34が上下方向および
水平方向に変位するとき、ブシュ36は軸部材34の上下方
向への変位を許し、また、ブシュ36は軸部材34の水平方
向力を受けて矢印30の方向へ移動する。この例では、矢
印30の方向へ向けられた油圧ダンパ26が建築物14と第2
の重り18とに連結されている。
第3図を参照すると、第1の重り16が、第2の重り18
に設けられた凹所38に受け入れられている。第1の重り
16は、しかし、静止および揺動のいずれのときも、凹所
38を規定する第2の重り18の壁面には接しない。この例
によれば、第1図の例に比べて両重り16,18が占める面
積を小さくし、また、第2図の例に比べて両重りの高さ
寸法を小さくすることが可能である。
前記した各例によれば、建築物14が矢印30の方向に揺
れるとき、第1の重り16が矢印24の方向に揺動し、これ
に追随して第2の重り18が直線運動をする。第1および
第2の重り16.18の運動は油圧ダンパ32の働きにより、
減衰され、これによって建物の揺れが緩和される。
ところで、このときの第1および第2の重り16,18の
運動すなわち振動の周期は、第1および第2の重り16,1
8の質量をm1,m2、各吊り部材20の長さ寸法を1、重力
加速度をgとすると、 で表わされる。このことから、装置10の固有振動周期
は、吊り部材20の長さ寸法または第1および第2の重り
16,18の質量の大きさに応じて変わる。したがって、両
重り16,18の重量によって定まる{(m1+m2)/m1}の
値を増大させることにより、吊り部材20の長さ寸法を大
きくすることなしに装置10の周期を長くすることができ
る。装置10の固有振動周期を建築物の固有振動周期に合
致するように設定し、また、両重り16,18の合計重量(m
1+m2)を建築物14の重量の約1%に設定すれば、建築
物14が揺れるとき、これに両重り16,18を共振させるこ
とができる。
また、建築物14はその内装の設計変更等のためにその
設計重量と完成時の重量との間に差が生じ、このために
建築物の固有振動数がわずかに変動することがある。こ
のわずかな変動に対応すべく両重り16,18の重量を変更
することには多大の労力と時間とを要する。これを回避
するために、調整手段22を操作して装置の固有振動周期
を調整することが望ましい。
次に、第4図を参照すると、この制振装置10において
は、第2の重り18が、前記車輪ではなく、平面上の互い
に直角な方向に伸びる二対のレール40,42と、両レール4
0,42上を滑動可能の四対(但し、二対のみ図示されてい
る。)のスライダ44,46を介して建築物14に接してい
る。より詳細には、建築物14に固定され矢印30の方向に
伸びる一対のレール40上に、板部材48の一方の面に固定
された二対のスライダ44があり、板部材48の他の一方の
面に固定された他の一対のレール42上に二対のスライダ
44があり、スライダ44は第2の重り18の底部に固定され
ている。
第4図に示す第1の重り16は、建築物14が矢印30の方
向またはこれと直角な方向(紙背方向)に揺れるときに
矢印24の方向または前記紙背方向へ揺動可能であり、第
1の重り16の揺動に従って、第2の重り18はレール40お
よびスライダ44、または、レール42およびスライダ46の
案内作用のもとに、滑動可能である。この例では、矢印
30の方向に向けられた油圧ダンパ32が板部材48と建築物
14とに連結されている。また、矢印30と直角な水平方向
(紙背方向)に向けられた油圧ダンパ(図示せず)が第
2の重り18と板部材48とに連結されている。言うまでも
なく、油圧ダンパは、第1または第2の重り16,18の矢
印30の方向およびこれと直角な水平方向への減衰のため
に配置され、この目的のために任意に配置されかつ連結
される。第4図に示す例によれば、互いに直角な二方向
に関して制振効果を及ぼすことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図および第3図は、それぞれ、一方向に制
振作用を及ぼすことができる制振装置の各例の概略的な
正面図、第4図は互いに直角な平面上の二方向のそれぞ
れに制振作用を及ぼすことができる制振装置の概略的な
正面図である。 10:制振装置、12:フレーム、14:建築物、16,18:第1お
よび第2の重り、20:吊り部材、22:調整手段、32:油圧
ダンパ(減衰手段)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制振対象物に揺動可能に吊り下げられた第
    1の重りと、前記制振対象物上に配置された第2の重り
    であって前記第1の重りの揺動時にその水平方向力を受
    けて前記制振対象物上を移動するように前記第1の重り
    に接続された第2の重りと、前記第1の重りまたは前記
    第2の重りの運動を減衰するための減衰手段と、前記第
    1の重りの吊り長さを調整するための調整手段とを含
    む、制振装置。
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