JP2755394B2 - 腫瘍壊死因子抑性蛋白質及びその精製 - Google Patents
腫瘍壊死因子抑性蛋白質及びその精製Info
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Description
合抑制能力及びTNFの細胞毒性抑制能力を有しTNFの有害
な効果に対して使用することのできるTNF抑制蛋白質、
その塩、その機能的誘導体及びその活性フラクシヨンに
関する。また本発明は、TNF抑制蛋白質の精製法、実質
的に精製された該蛋白質、及び組換えDNA技術による該
蛋白質のクローニング並びにその製造に関する。更に本
発明は、TNFの有害な効果に対して保護するための、上
記蛋白質、その塩、その機能的誘導体、又はその活性フ
ラクシヨンを含む薬学的組成物に関する。
NF−α(以後、TNF−αとTNF−βの両者をTNFと言う)
は細胞に対して多くの効果を及ぼすサイトカインである
〔Wallach,D.(1986);インターフエロン7(Ion Gres
ser,Ed.),pp.83−122,Academic Press,London;Beutle
r,B.とCerami,A.(1987),New England J.Med.,316;379
−385〕。TNF−α及びTNF−βは特定の細胞表面レセプ
ターに結合することによつてその効果を始めて発揮す
る。その効果のいくつかは組織にとつて有益なものであ
る。即ち、TNF−αは、例えば腫瘍細胞またはウイルス
感染細胞を破壊し、顆粒球の抗菌活性を増大する。しか
しながら、TNF−αは有害な作用も明らかに有してい
る。TNF−αが過剰に生産されるとそれはいくつかの疾
患の主たる病原体としての役割りを演ずるという明らか
な証拠がある。しかして、TNF−αの管脈構造に及ぼす
作用は、敗血性シヨツク症状の主たる原因であることが
知られている〔Tracey,K.J.et al.,(1986)Science 23
4;470−474〕。いくつかの疾患においては、TNFはアジ
ポサイトの活性を抑制するためにあるいは食欲不振を引
き起こす(TNF−αはカシエクチンとも言われている)
ために、体重の大幅な減少(悪態症)を起こす原因とも
なる。またTNF−αは、リユーマチ疾患における組織障
害のメデイエイターでもある(Beutler,上記と同じ)。
またTNF−αは、移植片対宿主反応において観察される
障害の主たるメデイエイターであることが報告されてい
る。
与されるTNF−αを中和しあるいはその作用を除去する
方法を開発する必要がある。このような方法を開発する
本発明者らの最初の試みは、TNF−αの細胞毒性を中和
するモノクローナル抗体を開発することであつた。そし
てこのようなモノクローナル抗体は、敗血性シヨツクを
引き起こすような条件下でTNF−αの致死効果に対して
マウスを保護する作用を有することが明らかにされた
(U.S.Patent Serial No.06/808,262;1985年12月12日出
願)。しかしながら、ムリンモノクローナル抗体を用い
た治療は、特に繰返し投与する場合には、ヒトに対して
適切な治療法とは必ずしも言えないものである。従つ
て、TNF−αの効果を中和することのできる生物学的試
薬を開発することが必要である。
細胞毒性を中和する生物学的試薬の存在を示す報告はな
されていない。85−kdaの免疫抑制糖蛋白質であるウロ
モジリン(uromodulin)が妊娠した女性の尿から単離さ
れたことを記載する報告はある〔Muchmore,Andrew V.と
Decker,Jean M.(1985)Science 229;479−481〕。そし
てウロモジリンはインターロイキン1(IL−1)の高親
和性リガンドでありそしてIL−1の強力な抑制剤である
ことが示されている〔Muchmore,Andrew V.とDecker,Jea
n M.(1986)J.Biol.Chem.261:13404−13407;Brown,K.
M.et al.(1986)Proc.Natl.Acad,Sci.USA 83:9119−91
23〕。また後になつて、ウロモジリンは、正常人の尿中
に最も豊富に存在する腎由来の蛋白質であるタムーホー
スフオール糖蛋白質と同じであることが示された〔Penn
ica,Diane et al,(1987)Science 236:83−88〕。他の
1つのIL−1抑制因子が発熱患者の尿中に見出されたこ
とがいくつかの文献に報告されている〔Liao,Zenghva e
t al.(1984)J.Exp.Med.159:126−136;Seckinger,Phil
lippe et.al.(1987)J.Immunol.139:1546−1549〕。こ
のIL−1抑制因子は組換えIL−1,IL−1α及びIL−1β
に対して多くの生物学的活性をある程度及ぼすことが示
されている。ヒトTNF−αはIL−1のいくつかの生物学
的活性と同じ活性を有しているが、このIL−1抑制因子
はTNF−αの生物学的活性を抑制しない〔Seckinger,Phi
llippe et.al.(1987)J.Immunol.139:1541−1545〕。
ホースフオール糖蛋白質はレクチン様相互作用により組
換えIL−1α,IL−1β及びTNF−αと結合することが報
告されており、そしてこの事実がこれらリンホカインの
循環レベルを調節する上で重要な役割りをはたしている
ことが提案されている〔Hession,Catherine et al.(19
87)Science 237:1479−1484〕。ウロモジリンは、標的
腫瘍細胞の溶解によつてモニターした所、TNF−αの細
胞毒性を抑制はしないが、糖鎖を介してrec.TNF−αと
相互に作用し、この相互作用がTNF及び他のリンホカイ
ンの毒性のin vivoでのクリアランスの促進及び/又は
該毒性のin vivoでの減少に重要であることが示されて
いる〔Sherblom,Anne P.(1988)J.Biol.Chem.263:5418
−5424〕。
尿から得られるTNF−αヒト抑制因子はTNF−αの細胞毒
性を抑制する40−60kdaの蛋白質であることが記載され
ている〔J.Exp,Med.(1988)167:1511−1516〕。そして
それはウロモジリンとも相違し、また上記したIL−1抑
制因子とも相違することが示されている。
NF抑制蛋白質、その塩、その機能的誘導体及びその活性
フラクシヨンが提供される。この中和作用は、TNFが細
胞表面レセプターに結合するのを阻害する作用を測定す
るとともに、TNF−αの細胞毒性の減少度を測定するこ
とによつて判定できる。
純物を含まない該TNF抑制蛋白質に関する。
列を含む組換えDNA分子、該分子を含む発現ベクター、
それによつて質態転換された宿主細胞、及び該形質転換
細胞を適当な培養培地で培養してTNF抑制蛋白質を製造
する方法に関する。
及びその活性フラクシヨンは、TNFの有害な効果に対し
て哺乳動物を保護するための薬学的組成物の活性成分と
して使用される。
抑制蛋白質の溶出パターンを示す。2つの2ml画分を集
め、258nmでの吸収による蛋白質量 125I−TNF−αがその細胞表面レセプターに結合するの
を阻止する能力 及びTNF−α細胞毒性抑制能 についてテストした。TNF抑制活性の主要ピークは、主
蛋白質ピークの少し前に溶出した。
に対して透析した場合のTNF抑制蛋白質の溶出パターン
を示す。
I)(a),TNF−α−CHI(b),あるいはTNF−α−CHI
とTNF抑制蛋白質(c)で処理した時の形態を示す。
示す。カルボキシメチル(CM)セフアロースで精製した
TNF抑制蛋白質を、Mono S5/5カチオン交換カラムの8×
2ml部分に付し、10mMクエン酸及び0.02%ナトリウムア
ジドを含む0−350mM NaClバッフアー溶液(pH5.0)の
リニアーグラジエント で溶出した。流速0.5ml/分で溶出せしめて0.5ml画分を
集め、ムリンA9細胞に対するTNF細胞毒性の抑制につい
てテストした。TNF抑制蛋白質の主要部分は、180−200m
M NaClの塩濃度で溶出した 280nmでの吸収によつて該蛋白質をモニターした 第4図は、TNF抑制蛋白質の精製の第3工程の結果を
示す。CM−セフアロース及びMono Sで精製した活性蛋白
質を、5mMナトリウムボレート及び0.02%ナトリウムア
ジドを含むバツフアー(pH9.0)に対して透析し、Mono
Q 5/5アニオン交換カラムに付した。結合蛋白質を、0
−60mM NaClリニアーグラジエント次いで60−300mM NaC
lリニアーグラジエントで、流速0.5ml/分で溶出させた 0.5ml画分を集め、ムリンA9細胞に対するTNF細胞毒性の
抑制についてテストした。280nmでの吸収を測定するこ
とによつて、溶出中の蛋白質をモニターした 図に示したように、30−40mMの塩濃度で活性を示す大部
分が溶出した。
す。Mono Q 5/5から溶出した活性蛋白質を、Aquapore R
P−300HPLCカラム(BrownleeLabs)の1.6ml部分の注入
し、0.3%TFA(バツフアーF)水溶液で流速0.5ml/分で
流した。次いで、0−20%アセトニトリルバツフアーF
溶液リニアーグラジエントで5分間溶出し、次いで20−
50%リニアーグラジエントで60分間、更に50−80%リニ
アーグラジエントで5分間溶出した 0.5ml画分を集め、ムリンA9細胞に対するTNF細胞毒性の
抑制についてテストした。フルオレスカミン(fluoresc
amine)で自動的に反応後、それぞれの画分のサンプル
の相対螢光度を測定することによつて、溶出中の蛋白質
濃度をモニターした TNF抑制活性部分が、分離した蛋白質ピークとともにシ
ヤープなピークとして溶出した。
SDS PAGE〔Laemmli U.K.etal.,(1970)Nature 227:68
0〕で分析した結果を示す。CM−セフアロース,Mono S,M
ono Qから溶出した活性画分であつてそれぞれ5μmの
蛋白質を含む活性画分のアリコートを、6%SDS(w/v)
及び15%β−メルカプトエタノール(v/v)を含む3倍
濃度サンプルバツフアーと混合し、15%ポリアクリルア
ミドゲルに付した。HPLC RP300カラムから溶出した画分
21−23(レーンE.F.G)のサンプルも同様に処理してゲ
ルに付した。分子量マーカーとして、α−ラクトアルブ
ミン14.4kDa、大豆トリプシンインヒビター20.1kDa、カ
ルボニツクアンヒドラーゼ30kDa、オボアルブミン43kD
a、ウシ血清アルブミン67kDa及びホスホリラーゼb.94kD
aの混合物を、レーンAに流した。レーンHでは、ブラ
ンクとしてサンプルバツフアーのみを流した。蛋白質バ
ンドを銀発色により視覚化せしめた。画分21,22及び23
は、見掛け分子量26−28kDaの単一バンドを示した。こ
れらの画分は、ムリンA9細胞に対するTNF−α細胞毒性
の抑制についてテストした所、活性を示すことが見出さ
れた。
NFの細胞毒性効果を抑制する能力のあるTNF抑制蛋白
質、その塩、その機能的誘導体、及びその活性フラクシ
ヨンが提供される。
βの両者の生物学的活性を抑制できることが見出され
た。しかして、TNF抑制蛋白質によるこれら2つのサイ
トカイン(本明細書ではTNFと言う)の抑制も本発明に
包含される。
ヒト尿の濃縮物から得られるその粗調製物を、Ultrogel
ACA 44ゲル濾過カラムを用いたクロマトグラフイーに
付した時には、それは40−80kDaの見掛け分子量を示し
た。蛋白質の不純物を実質的に含まない、実質的に精製
された蛋白質は、還元条件下でSDS PAGEにより分析した
場合には、約26−28kDaの見掛け分子量を示し、逆相高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)では単一ピークとし
て移動した。その活性は、ヒトHeLa細胞及FS11線維芽細
胞の細胞レセプターへのTNF−αの結合を抑制する能力
及び/又はムリンA9細胞に対するTNF−αの細胞毒性の
抑制能力によつて測定した。
んでいるという特徴を有する。
定されなかつた。4番目の位置にシステイン(Cys)が
存在するのは論理的に裏付けられている。なぜなら、そ
のようなものとしてPTH(フエニルチオヒダントイン)C
ysを同定することができず、他のアミノ酸残基もこの位
置では検出されなかつたためである。
基の塩及びアミノ基の酸付加塩の両者を指す。カルボキ
シ基の塩は公知の方法によつて形成することが出来、例
えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、
鉄塩、亜鉛塩などの無機塩;例えば、トリエタノールア
ミン、アルギニンもしくはリシン、ピペリジン、プロカ
インなどのアミンと形成される有機塩基との塩等が挙げ
られる。酸付加塩としては、例えば、塩酸、硫酸などの
無機酸との塩;例えば酢酸、オキザル酸などの有機酸と
の塩等が挙げられる。
の側鎖又はNもしくはC−末端の官能基から公知の方法
によつて調製される誘導体を包含するものであり、それ
らが薬学的に許容し得るものである限り、即ち、それら
が蛋白質の活性を破壊せずそしてそれらを含む組成物に
対して毒性を与えるものでない限り本発明に包含され
る。
肪族エステル;アンモニア、第1級アミン又は第2級ア
ミンとの反応から得られるカルボキシ基のアミド;アシ
ル部分(例えばアルカノイル又はカルボサイクリツクア
ロイル)との反応で形成されるアミノ酸残基のフリーア
ミノ酸のN−アシル誘導体;アシル部分との反応で形成
されるフリーカルボキシ基(例えばセリル、スレオニル
残基のカルボキシ基)のO−アシル誘導体などが挙げら
れる。
えば、蛋白質分子のみのポリペプチド鎖の断片もしくは
前駆体;関連分子あるいは糖残基、リン酸残基などの残
基を有する蛋白質分子のポリペプチド鎖の断片もしくは
前駆体;蛋白質分子あるいは糖残基自体の凝集体などが
包含される。但しこれらのフラクシヨンは、TNFのレセ
プターへの結合を抑制する能力を有しそしてin vitroで
細胞に対するTNFの細胞毒性の抑制能力を有していなけ
ればならない。
TNF抑制蛋白質の以下の特性及び活性が観察された。
も見出される。
透析できない。
マトグラフイーに付した時の活性TNF抑制蛋白質の見掛
け分子量は、40kDaと80kDaの間であつた。水に対して充
分に透析した場合でも、この方法での蛋白質の挙動には
変化はなかつた(第1A及び第1B図)。
は、pH6と8の間であつた。
の1部が結合し、そしてそれはメチル−α−D−マンノ
ピラノシドで特異的に溶出できた。このことは該蛋白質
が糖蛋白質であることを示している。
テアーゼインヒビターによつては阻害されなかつた。こ
のことは、TNF抑制のメカニズムは粗尿中に存在する蛋
白質加水分解活性によっては説明できないことを示して
いる。
は、TNF抑制蛋白質をTNFと同時に適用した時にのみ生じ
た(表1)。
つかの特性、即ち、(a)ゲル濾過での見掛け分子量、
(b)等電点、及び(c)水に対して透析した時に蛋白
質のかなりの程度の凝集は観察されない、などの特徴か
ら、ウロモジリンとは相違する。
より、尿蛋白質のゲル濾過による分画によつて得られ
る。
子量排除膜(Amicon YM 5メンブレン)を用いた限外濾
過により、尿を濃縮する。濃縮物を、1mM Mg2+及び1mM
Ca2+を含むPBS(リン酸緩衝化食塩水)に対して透析
し、同じ緩衝液で平衡化したコンカナバリン−Aセフア
ロースカラムに付した。カラムを洗浄し、次いでカラム
に特異的に結合した蛋白質を0.5Mメチル−α−D−マン
ノピラノシドで溶出させた。TNF−αのレセプターへの
結合を抑制する活性を示す、全部ではないが大部分はレ
クチンに特異的に吸着され、そしてメチル−α−D−マ
ンノピラノシドで溶出できる。
ンプルをPBSに対し透析し、次いで2×45cm Ultrogel A
CA 44カラム(LKB,sweden)を用いたゲル濾過により分
画した。溶出蛋白質の258nmでの吸収を測定した 2mlの画分を集め、1:20に希釈して、後述する2.1の方法 及び2.2の方法によりTNF−αに対する保護能力を調べ
た。2.2の方法は、75U/ml濃度のTNF−αが適用できBalb
/c−CL.7細胞が使用できるように改良したものである。
12時間後に、中性赤色染料の取り込みを測定することに
よつて (第1A図)、細胞の生存を調べた。
留水に対して48時間透析に付し、次いで不溶性蛋白質を
除くためにスピンした。次いで凍結乾燥し、更にPBS中
で再構成し、上記と同様にしてUltrogel ACA 44カラム
を用いたクロマトグラフイーに付した。画分を集め、上
記と同様にしてアツセイした。保護活性の分画パターン
には有意な変化は認められなかつた(第1B図)。分子量
マーカー(ウシ血清アルブミン67kDa、オボアルブミン4
3kDa、大豆トリプシシインヒビター20.1kDa及びチトク
ロームc12.3kDa)の保持時間と比較した所、約50−70kD
aの見掛け分子量の最大活性を有する主要蛋白質のピー
クの少し前に、活性部分が溶出することが見出された。
のみ、尿濃縮物中に存在するTNF抑制蛋白質による125I
−TNF−αの細胞への結合の減少が観察され、蛋白質を
細胞に最初に適用しTNF−αを適用する前に蛋白質を除
いた場合には、このような結合の減少は観察されなかつ
た。この事実は、TNFの細胞への結合の抑制は、TNF抑制
蛋白質の細胞に対する効果によるものでもなく、また尿
中にTNF−α自身が存在することによるものでもなく、
むしろ本発明の蛋白質とTNF−αとのある種の相互作用
によるものであることを示すものである。
異なる画分中のTNF抑制蛋白質の活性をモニターした。
l.(1986)Immunol.Letters 12:217−224;Holtmann,H.
とWallach,D.(1987)J.Immunol.139:1161−1167に記載
された方法と同様にして実施した。
グル最少必須培地)に、2.5×108セル/ウエルの密度で
細胞(HeLa又はFS11包皮線維芽細胞)を接種した。5%
CO2で37℃で24時間インキユベーシヨン後、プレートを
氷に移し、生育培地を除き、TNF抑制蛋白質を含むサン
プルのアリコートを、ラベル化125I−TNF−α(105cp
m)10ユニツを含む0.15mlリン酸緩衝化食塩水(PBS)
〔1mM Ca2+,1mM Mg2+,0.5mg/mlウシ血清アルブミン(BS
A)及び0.1%ナトリウムアジド(PBS/BSA)を添加〕と
混合し、細胞に適用し、次いで4℃で2時間インキユベ
ートした。次いで細胞をPBS/BSAでリンスし、放射活性
測定用バイアルに移し、ガンマカウンターでラベル量を
定量した。アツセイ系に非ラベル化TNFを過剰に加え
て、非特異的結合量を測定し、全ての場合においてこの
値を差し引いた。
感作細胞に対するTNFの細胞毒性効果及び中性赤色染料
取り込み法によるその定量〔Wallach,D(1984)J.Immun
ol.132:2464−2469〕に基づき開発したものである。
で一連の2倍希釈を行ない、これに40Ug/ml TNF−α及
び400μg/mlシクロヘキシイミド(CHI)を含む同様の培
地の等量を加える。
(5%胎児ウシ血清及び5%ウシ血清を含む)とともに
ムリンA9細胞を接種する(1.5×104セル/ウエル)。
アリコートをそれぞれのウエルに適用し、更に細胞を
14時間インキユベートした。
料を洗い流し、Sorensonクエン酸緩衝液−エタノール混
合物で細胞に取り込まれた中性レツドを抽出し、次いで
Microelisaオートリーダーにより570nmで比色定量を行
なうことによつて、細胞の存在を測定した。
護を与える希釈倍率として定義した(P<0.05)。
射ラベル化物質を使用しないため、精製工程における蛋
白質活性をモニターするには好ましく用いることができ
る。このバイオアツセイにおいては、個々のウエルから
細胞をカウント用バイアルに移す必要がなく、またMicr
oelisaオートリーダーを用いることにより多くのアツセ
イ結果をより迅速に記録することができる。
態は第2図に示した通りである。第2図の(a)には、
CHIだけでインキユベートした細胞が示されており、
(b)にはTNF−α−CHI混合物でインキユベートした細
胞が示されており、(c)にはTNF抑制蛋白質(前記し
たCMセフアロースで精製後のもの)とともにTNF−α−C
HI混合物でインキユベートした細胞が示されている。TN
F−αの細胞毒性に対するTNF抑制蛋白質の保護効果は
(c)から極めて明らかである。
精製された蛋白質は、以下に示す工程から得られる。
る; (b)、工程(a)で得られる粗蛋白質画分をイオン交
換クロマトグラフイーに付して、TNFのレセプターへの
結合抑制能力及びTNFの細胞毒性抑制能力で規制される
部分精製されたTNF抑制蛋白質の活性画分を得; (c)、工程(b)で得られる部分精製されたTNF抑制
蛋白質の活性画分を逆相高圧液体クロマトグラフイー
(HPLC)に付して、TNFのレセプターへの結合抑制能力
及びTNFの細胞毒性抑制能力で規定される実質的に精製
されたTNF抑制蛋白質の活性画分を得;次いで、 (d)、工程(c)の実質的に精製された蛋白質であつ
て、還元条件下でのSDS PAGEで約26−28kDaの分子量を
有し、逆相HPLCで単一ピークとして移動し且つTNFのレ
セプターへの結合抑制能力及びTNFの細胞毒性抑制能力
を有する蛋白質を回収する。
カルボキシメチルセフアロース、Mono S HR5/5 FPLC及
びMono Q HR 5/5 FPLCカラムを好ましくはこの順序で用
いて3ステツプで実施するのが好ましい。逆相HPLCはAq
uapore RP 300カラムで実施するのが好ましい。
て、蛋白質濃度を測定し(280nmでの吸光度、又は代表
的なアリコートとフルオレスカミンとの自動化反応後に
相対螢光度を測定することによる)、そして前記2.2で
述べたバイオアツセイによりTNF−α細胞毒性の抑制を
測定して、条精製工程をモニターした。
5μmのPelliconメンブレンでのマイクロ濾過に付す。
次いで、得られる濾液を、10kDaの分子量排除Pellicon
メンブレンを用いた限外濾過で濃縮して終濃度500mlと
する。得られる濃縮物を、1mMベンズアミジン及び0.1%
ナトリウムアジドを含むリン酸緩衝化食塩水に対して透
析する。
ラフイー 2.7×10cm CMセフアロースカチオンイオン交換カラム
(Pharmacia)を、0.02%ナトリウムアジドを含む1M Na
Cl,10mMクエン酸緩衝液(pH5.0)(バツフアーC)であ
らかじめ洗浄し、0.02%ナトリウムアジドを含む10mMク
エン酸緩衝液(pH5.0)で平衡化した。上記した3.1の工
程の尿濃縮物を、100倍容量のバツフアーAで2回透析
し、8000rpmで15分間スピンした。得られる上清を4℃
で流速2ml/分でCM−セフアロースカラムに付し、50ml画
分を集めた。蛋白質が検出されなくなるまでバツフアー
A(約1500ml)でカラムを洗浄し、次いで0.02%ナトリ
ウムアジドを含む200mM NaCl,10mMクエン酸緩衝液(pH
5.0)(バツフアーB)の5倍カラム容量で溶出し(5
画分)、次いでバツフアーCの3倍カラム容量で溶出し
た(3画分)。画分を集め、前記したテストを行なつ
た。TNF抑制蛋白質の生物学的活性を示す主要部分は、
バツフアーBによる溶出の第2番目の画分中に見出され
た。
イー Mono S HR 5/5カラム(Pharmacia)を、0.02%ナトリ
ウムアジドを含む10mMクエン酸緩衝液(pH5.0)(バツ
フアーA)で、安定なベースラインが得られまで(280n
mにてUVデイテクターでもモニターした)洗浄した。CM
−セフアロースカラムから溶出した活性画分を集め、10
0倍容量のバツフアーAで2回透析した。得られるサン
プルを、カラムの最大結合能が達成されるまで(28mg)
カラムの8×2ml部分に注入した。平らなベースライン
が観察されるまで、カラムをバツフアーAで洗浄した。
結合蛋白質を、バツフアーAのリニアーNaClグラジエン
ト(0−350mM)で溶出した。グラジエントを流速0.5ml
/分で40分間流した。次いでカラムを350mM NaClバツフ
アーA(バツフアーD)で10分間洗浄した。350mM NaCl
の濃度で溶出しなかつた蛋白質が、バツフアーCでカラ
ムから溶出した。0.5ml画分を集め、前記したようにし
てテストした。得られる結果は第3図に示した。活性を
示す主要部分は、180−220mM NaClの濃度に対応する画
分20−23に溶出していることが判つた。
イー Mono Q HR 5/5カラム(Pharmacia)を、安定なベース
ラインが得られるまで、0.02%ナトリウムアジドを含む
5mMナトリウムボレート緩衝液(pH9.0)(バツフアー
E)で洗浄した。MonoSカラムから溶出した活性画分を
集め、100倍容量のバツフアーEで2回透析した。得ら
れるサンプルをカラムの2ml部分に注入し、ベースライ
ンが平らになるまでハツフアーEをカラムに流した。バ
ツフアーEのリニアーNaClグラジエント0−60mMで30分
間、次いでバツフアーEのリニア−NaClグラジエント60
−300mMで30分間、結合蛋白質を溶出させた。カラム
を、300mM NaClバツフアーEで10分間次いで1M NaClバ
ツフアーEで流速0.5ml/分で4分間洗浄した。0.5ml画
分を集め、活性及び蛋白質量をテストした。第4図に示
したように、活性を示す大部分は、約40mMのNaCl濃度の
画分15−18中に溶出した。
ee Labs)を、フルオレスカミン検出系で安定なベース
ラインが得られるまで、0.3%トリフルオロ酢酸(TFA)
水溶液(バツフアーF)であらかじめ洗浄した。Mono Q
カラムから溶出した活性画分を集め、カラムの1.6ml部
分に注入した。螢光光度計で蛋白質が検出されなくなる
まで、カラムにバツフアーFを流速0.5ml/分で流した。
次いで、バツフアーFの0−20%アセトニトリルリニア
ーグラジエントで5分間、20−50%アセトニトリルリニ
アーグラジエントで60分間、最後に50−80%アセトニト
リルリニアーグラジンエントで5分間、流速0.5ml/分で
溶出した。次いで、80%アセトニトリルで15分間カラム
を洗浄した。0.5ml画分を集め、蛋白質量及び活性をア
ツセイした。第4図に示されるように、単離された蛋白
質ピークと共に画分21−23(画分22にピークを有する)
に活性部分がシヤープに溶出した。これらの画分は27%
アセトニトリルに対応していた。
l.(1970)Nature 227:680に記載された方法により、ナ
トリウムドデシルスルフエートポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE)を実施した。上記工程3.2、3.3
及び3.4のイオン交換カラムから溶出した5μg蛋白質
を含む活性画分のサンプル(レーンB:CM−セフアロース
カラムから溶出した活性画分;レーンC:Mono Sカラムか
ら溶出した活性画分;レーンD:Mono Qカラムから溶出し
た活性画分)、あるいは逆相HPLCで得られる画分21−23
の40μサンプル(レーンE−G)を、6%SDS(w/v)
及び15%(v/v)β−メルカプトエタノールを含む3倍
濃度のサンプルバツフアーと混合し、15%アクリルアミ
ドゲルに付した。対照分子量として、分子量マーカー混
合物(α−ラクトアルブミン14.4kDa、大豆トリプシン
インヒビター20.1kDa、カルボニツクアンヒドラーゼ30k
Da、オボアルブミン43kDa、ウシ血清アルブミン67kDa及
びホスホリラーゼb94kDa)を上記と同様に処理し、レー
ンAに付した。サンプルバツフアーをブランクとしてレ
ーンHに付した。ゲルを160ボルトで流し、蛋白質バン
ドを銀染色により発色させた〔Oakley,B.R.et al.Anal.
Biochem.105:361〕。第6図に示したように、精製したT
NF抑制蛋白質は、見掛け分子量26−28kDaを有する単一
ピークとして移動した(レーンE−G)。
ル(1−5μg,それぞれ50−200pmol)を、あらかじめ
処理したバイオブレン被覆ガラスフアイバーデイスに適
用した。この乾燥デイスクを、オンラインHPLC PTH−ア
ミノ酸アナライザー(Model 120)及びデータ入手とプ
ロセツシングユニツトModel 900を備えた自動パルス液
ガス相蛋白質マイクロ配列分析機(Model 475)(全てA
pplied Biosystem Inc.Foster City.CA,U.SA)でEdman
分解繰返しサイクルに付した。コンピユーターで得られ
る配列をなまデータと比較し、必要に応じて修正した。
配列データを確認するため、それぞれ独立に3回分析を
実施した。最初の収率は40%以上であり、このことは、
調製物中の主要蛋白質(27kDaバンド)は得られる配列
と関連していることを示している。
酸配列を有している。
テイン残基については、その存在は理論的である。なぜ
なら、PTH(フエニルチオヒダントイン)cysがそのよう
に同定できず、他のアミノ酸残基はこの位置では検出さ
れなかつたためである。
tion蛋白質ライブラリー(No.16まで)のコンピユータ
ーサーチでは、公知の蛋白質と有意な相同性を示さなか
つた。
ヌクレオチド配列を含むDNA分子、該DNA分子を含む複製
可能な発現ベクター、該ベクターによつて形質転換され
た宿主に関する。ここで言う“DNA分子”とは、ゲノムD
NA,cDNA,合成DNA及びそれらの組合わせを含む意味であ
る。
法によつて実施することができる。その1つのアプロー
チは、TNF抑制蛋白質に対して特異的抗体(ポリクロー
ナル又はモノクローナル)を得、これを用いてTNF抑制
蛋白質のcDNAをクローン化する方法である。このアプロ
ーチは以下に示す3つの工程からなる。
を用いることにより得られる。即ち、本発明の実質的に
精製されたTNF抑制蛋白質を用いる方法;TNF抑制蛋白質
の知られた配列、例えばN−末端配列などと同じ1つま
たはその以上の合成ペプチドを用いる方法;あるいは、
TNF抑制蛋白質のアミノ酸配列から推定される可能なヌ
クレオチド配列の1つをプロテインAをコードする遺伝
子と融合しE.coliにてプロテインA−TNF抑制蛋白質融
合体を発現せしめることによる方法によつて得られる。
TNF抑制蛋白質又はその合成ペプチドを担体蛋白質に結
合したものをラビツトに注射する。モノクローナル抗体
を得るには、プロテインA−TNF抑制蛋白質融合合成遺
伝子をE.colにて発現せしめ、生成する融合蛋白質をIgG
セフアロースカラムを用いたアフイニテイークロマトグ
ラフイーにより精製しマウスに注射する。あるいは、本
発明の実質的に精製されたTNF抑制蛋白質をマウスに直
接注射する。
はウエスタンブロツト法によりTNF抑制蛋白質産生細胞
を捜す。
素を用いてcDNAを調製する。得られるcDNAをλgt 11な
どの発現ベクターにクローン化し、抗体を用いてスクニ
ーニングする。λgt 11発現ベクターは、そのβ−ガラ
クトシダーゼ終止コドンから53塩基上流の非反復E10RI
部位に7kbまでのDNAを挿入するのに用いることができ
る。従つて、外来配列DNAをこの部位に挿入し、適当な
条件下で融合蛋白質として発現することができる。λgt
11発現ベクターは、抗体プローブを用いたスクリーニ
ングを行なうcDNAライブラリーの構築に特に有用である
〔Huynh,T.V.et al.:David Glover(ed.),DNA Cloning
Techniques:A Practical Approach,IRL Press,Oxford
(1984)pp.49−78〕。
例えばN−末端アミノ酸配列などから得られる配列を有
する合成オリゴヌクレオチド又はその混合物を調製し、
このオリゴヌクレオチド又はそのその混合物を、TNF抑
制蛋白質をコードするゲノムDNA又はcDNAをクローニン
グするためのプローブとして用いる。
合もあり含まれない場合もある。ゲノムDNAは、例え
ば、適当な細胞から抽出し公知の方法により精製して得
ることができる。ヒトゲノムDNAなどの好適なDNA調製物
は、制限酵素によつて酵素的に開裂することができ、ま
たランダムに切ることができ、得られる断片は遺伝子ラ
イブラリーを構築するために適当な組換えベクターに挿
入される。次いで、得られるベクターは、本発明のTNF
抑制蛋白質をコードする配列を同定するために合成オリ
ゴヌクレオチドプローブでスクリーニングすることがで
きる。
する細胞から単離し、これを用いて公知の方法によりcD
NAを調製することができる。得られるcDNAは、2本鎖に
変換後、クローン化し、得られるクローンについて、適
当なプローブを用いて目的とする配列をコードするcDNA
であるか否かをスクリーニングする。目的とするクロー
ンが単離されると、ゲノムDNAと実質的に同様の方法に
よりcDNAを増幅する。しかしながら、cDNAの場合にはイ
ントロンや介在配列は存在しない。
ために、インタクトTNF抑制蛋白質の配列分析を実施す
るか、あるいはそのペプチド断片を得そのアミノ酸配列
の特徴付けを行なうことができる。ペプチド断片を得る
には、精製された蛋白質調製物を、公知の方法〔Oike,
Y.et al.(1982)J.Biol.Chem.257:9751−9758〕によ
り、例えばトリプシン、キモトリプシン、パパインなど
のプロテアーゼを用いた消化などのフラグメンテーシヨ
ンに付す。消化により得られるペプチド断片を逆相HPLC
で分離し、自動アミノ酸配列分析法により配列決定を行
なう。
初の16個のアミノ酸に対応する配列を、自動配列分析機
を用いて決定した。そして以下に示すアミノ酸配列が得
られた。
定され、または蛋白質の部分配列が決定されたら、それ
らをコードするDNA配列について調べる。遺伝子コドン
の縮重により、1つまたはそれ以上のコドンを用いて特
定のアミノ酸をコードすることができ、従つて1つまた
はその以上の異なるオリゴヌクレオチドを調製すること
ができ、これらのいずれもがTNF抑制蛋白質ペプチド断
片をコードすることができる〔Watson,J.D.,Molecular
Biology of the Gene;3rd ed.;W.A.Benjamin,Inc.Menlo
Park,CA(1977),pp.356−357〕。しかしながら、これ
らのオリゴヌクレオチドのうち1つだけが、遺伝子のヌ
クレオチド配列と同じヌクレオチド配列を含んでいる。
このようなオリゴヌクレオチドが存在しておりそしてそ
のオリゴヌクレオチドは他のオリゴヌクレオチドが存在
していてもDNAとハイブリダイズすることが出来るた
め、単一のオリゴヌクレオチドを用いてペプチドをコー
ドする遺伝子をクローン化するのと同じ方法で、一連の
未分画のオリゴヌクレオチドをそのまま用いることがで
きる。ペプチドをコードするオリゴヌクレオチド、ある
いはTNF抑制蛋白質断片をコードすることのできる理論
的に“最も可能性の高い”配列を含む一連のヌクレオチ
ド(ヌクレオチドのセツト)を用いることにより〔Lath
e,R.et al.(1985);J.Molec.Biol.183:1−12に記載さ
れた“コドン使用ルール”に従い〕、相補性オリゴヌク
レオチドの配列を同定することが出来、あるいはTNF抑
制蛋白質もしくはその少なくとも1部をコードする“最
も可能性の高い”配列とハイブリダイズすることのでき
るヌクレオチドのセツトもしくはそのような配列のセツ
トを同定することが出来る。次いで、このような相補性
配列を含むヌクレオチドを合成し、本発明のTNF抑制蛋
白質の遺伝子を同定し単離するためのプローブとして用
いることができる〔Maniatis,T.et al.Molecular Cloni
ng:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Co
ld Spring Harbor,N.Y.(1982)〕。
の適当なオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの
セツト(あるいはそのようなオリゴヌクレオチドと相補
性を示すオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの
セツト)が上記したようにして同定されるとそれらオリ
ゴヌクレオチドが合成され、次いで、DNAにハイブリダ
イズされる。好ましくは目的とする遺伝子を発現できる
細胞から誘導されたcDNA調製物とハイブリダイズされ
る。そしてかかるハイブリダイズは、好ましくは、目的
とする遺伝子を高レベルで産生する細胞からRNAを抽出
し逆転写酵素を用いて対応するcDNAに変換すること等に
よつてcDNA源が目的とする配列を豊富に含むようにした
後に、行なうのが好い。
り、例えば、Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Labora
tory Manual(上記と同じ);Haymes,B.T.,et al.,Nucle
ic Acid Hybridization:A Practical Approach,IRL Pre
ss,Oxford,England(1985)に記載されている。上記し
たヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドのセツトのプロ
ーブを用いいてハイブリダイゼーシヨンを行なうことに
より、cDNA又はゲノムライブラリーからハイブリダイズ
するDNA配列を同定することができ、次いで、得られるD
NA配列は分析に付されて、本発明のTNF抑制蛋白質のコ
ード配列をどの程度含んでいるか測定される。
ーターなどのいくつかのヒト蛋白質の遺伝子がクローン
化されている〔Pennica,D.et al.(1983)Nature 301:2
14−221〕。
質をコードするDNA分子は、一般的方法〔Manniatis et
al(上記と同)〕により、適当に構築された発現ベクタ
ーに挿入される。ホモポリマーテイル化、又は合成DNA
リンカーもしくは平滑末端リゲーシヨンを用いた連結化
により、2本鎖cDNAがプラスミドベクターに連結され
る。DNAリガーゼを用いてDNA分子が連結され、アルカリ
ホスフアターゼ処理によつて望ましくない連結が除かれ
る。
を可能にし蛋白質の産生を可能にするように、目的とす
る蛋白質をコードするDNAに転写及び翻訳調節領域が結
合された特定のヌクレオチド配列が、発現ベクターに含
まれていなければならない。最初に、遺伝子が転写され
るためには、RNAポリメラーゼによつて認識されるプロ
モーターがその遺伝子の上流に存在していなければなら
ず、このプロモーターにポリメラーゼが結合して転写工
程が開始される。このようなプロモーターには各種のプ
ロモーターが使用でき、これらはそれぞれ相違する効果
(強力プロモーター及び弱いプロモーターなど)を持つ
ている。プロモーターは、真核細胞、原核細胞によつて
も相違する。
テリオフアージλのintプロモーター、pBR322のβ−ラ
クタマーゼ遺伝子のbIaプロモーター、pPR325のクロラ
ムフエニコールアセチルトランスエラーゼのCATプロモ
ーターなどの構成(constitutive)プロモーター、ある
いはバクテリオフアージλのメジヤーライト及びレフト
プロモーター(PL及びRR)、E.coliのtrp,recA,lacZ,la
cI,ompF及びgalプロモーター,trp−lacハイブリツドプ
ロモーターなどの誘導プロモーター〔Glick,B.R.(198
7)J.Ind.Microbiol.1:277−282〕がある。
使用する外に、原核細胞にて高レベルの遺伝子発現を達
成するためには、mRNAの有効な転写を確かなものにする
ことのできるリボゾーム結合部位を使用することも必要
である。この1つの例が、開始コドンの上流の適当な位
置にあり16S RNAの3′−末端配列と相補性を示すシヤ
イン−ダルガノ配列(SD配列)である。
る転写及び翻訳調節配列が使用される。これらは、アデ
ノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミニアンウイ
ルスなどのウイルスから誘導できる。これらの場合に
は、調節シグナルは、高レベルの発現を有する特定の遺
伝子に関連している。例えば、ヘルペスウイルスのTKプ
ロモーター、SV40初期プロモーター、酵母gal 4遺伝子
プロモーターなどが挙げられる。抑制及び活性化のいず
れもが可能な転写開始調節ジグナルを選ぶこともでき、
この場合には遺伝子の発現を調節することが可能とな
る。
列、及び作動可能なように連結された転写及び翻訳調節
シグナルを含むDNA分子は、目的とする遺伝子を宿主細
胞のクロモゾームに組込むことのできるベクターに挿入
される。DNA分子をそのクロモゾームに安定に組込んだ
細胞は、1つもしくはそれ以上のマーカーによつて選択
できる。このマーカーは、発現ベクターを保持する宿主
細胞の選択を可能にするものである。マーカーは、栄養
要求性宿主に対して原栄養性を与えるもの、あるいは抗
生物質、銅などの重金属等の抗微生物剤に対して耐性を
与えるものである。選択マーカー遺伝子は、発現すべき
DNA遺伝子配列に直接連結してもよく、あるいは一緒に
トランスフエクトして同じ細胞に導入してもよい。更に
は、1本鎖結合蛋白質mRNAの合成を最適に行なうための
エレメントも必要である。このようなエレメントとして
は、転写プロモーター、エンハンサー、終止シグナルと
共にスプライスシグナルなどがある。このようなエレメ
ントを導入したcDNA発現ベクターとしては、例えばOkay
ama,H.,(1983)Mol.Cel.Biol.3:280に記載されたもの
などがある。
において自己複製可能なプラスミドもしくはウイルスベ
クターに導入される。特定のプラスミドもしくはウイル
スベクターを選択する上で重要な要素は、該ベクターが
導入された細胞が容易に認識され且つ該ベクターが導入
されない細胞から区別して容易に選択できるかというそ
の容易性;宿主細胞において存在する目的とするベクタ
ーのコピー数;及び、異なる種の宿主細胞間でベクター
を望ましく移動できるか否かという点である。
2,ColE1,pSC101,pACYC184などのE.coliで複製可能なプ
ラスミド〔Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Labo
ratory Manual(上記と同じ)〕;pC194,pc221,pT127な
どのバチルスプラスミド〔Gryczan,T.,The Molecular B
iology of the Bacilli,Academic Press,NY(1982),p
p.307−329〕;pIJ101などのストレプトマイセスプラス
ミド〔Kendall,K.J.et al.,(1987)J.Bacteriol.169:4
177−4183〕;φC31などのストレプトマイセスバクテリ
オフアージ〔Chater,K.F.et al.,Sixth International
Symposium on Actinomycetales Biology,Akademiai Kai
do,Budapest,Hungary(1986),pp.45−54〕;シユード
モナスプラスミド〔John,J.F.et al.,(1986)Rev.Infe
ct.Dis.8:693−704);Izaki.K.(1978)Jpn,J.Bacterio
l.33:729−742〕などがある。
クシニア,SU40,2−ミクロンサークル,これらの誘導体
などが挙げられる。このようなプラスミドはよく知られ
たものである〔Botstein,D.et al.(1982)Miami Wint,
Symp.19:265−274;Broach,J.R.,:The Molecular Biolog
y of the Yeast Saccharomyces:Life Cycle and Inheri
tance,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Ha
rbor,NY.pp.445−490(1981);Broach,J.R.,(1982)Ce
ll28:203−204;Bollon,D.P.,et al.(1980)J.Clin.Hem
atol.Oncol.10:39−48;Maniatis,T.,Cell Biology:A Co
mprehensive Treatise,Vol.3:Gene Expression,Academi
c Press,NY.pp.563−608(1980)〕。
れたら、形質転換、トランスフエクシヨン、コンジユゲ
ーシヨン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーシヨ
ン、リン酸カルシウム沈澱、直接マイクロインジエクシ
ヨンなどの各種の方法によつて、DNA構築体は適当な宿
主に導入される。
ずれでもよい。好ましい原核細胞宿主としては、例え
ば、E.coli,バチルス、ストレプトマイセス、プソイド
モナス、サルモネラ、セラチアなどのバクテリア等があ
る。最も好ましい原核細胞宿主はE.coliである。特に興
味あるバクテリア宿主は、例えば、E.coli K 12株294
(ATCC314466);E.coli X1766(ATCC31537);E.coli W3
110〔F-,ラムダ-,原栄養性(ATCC27325)〕;サルモネ
ラチフイムリウム、セラチアマルセツセンス、各種のプ
ソイドモナスなどの腸内バクテリア等がある。このよう
な宿主の場合には、蛋白質はグリコシル化されない。ま
た、原核細胞宿主は、発現プラスミドのレプリコーン配
列及びコントロール配列と親和性を有していなければな
らない。
チヤイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動
物細胞であり、これらの細胞は、正確な構成もしくは正
確な部位でのグリコシル化などの、蛋白質分子に対する
翻訳後の修正を行なうことができる。また、酵母もグリ
コシル化などの、翻訳後のペプチド修正を行なうことが
できる。強力プロモーター配列、及び酵母での目的とす
る蛋白質の産生に利用される高コピー数プラスミドを用
いた多くの組換えDNA技術が知られている。酵母は、ク
ローン化された哺乳動物遺伝子生産物のリーダー配列を
認識することができ、リーダー配列を保持したペプチド
(即ちプレペプチド)を分泌する。
細胞の生育を選択することのできる選択培地で生育され
る。クローン化遺伝子配列の発現により、目的とするTN
F抑制蛋白質又はその断片が産生される。次いで、発現
された蛋白質が、本明細書において記述した精製法(セ
クシヨン3)により、あるいは抽出、沈澱、クロマトグ
ラフイー、電気泳動などを用いた他の慣用的方法によ
り、単離精製される。
できる更なる精製手段は、アフイニテイークロマトグラ
フイーである。この目的のために、TNF抑制蛋白質に対
するモノクローナル抗体が調製され、カラム中のゲルマ
トリツクスに吸着される。組換え蛋白質を含む粗調整物
がカラムに流される。この時に、蛋白質は特異的抗体に
結合し、他方不純物はカラムから流出される。洗浄後、
pHもしくはイオン強度を変化させて目的とする蛋白質を
ゲルから溶出する。
リドーマ法〔Kohler et al.(1975)Nature256:495;Koh
ler et al.(1976)Eur.J.Immunol.6:511〕によつて調
製できる。一般的にこの方法は、目的とする精製蛋白質
抗原、又はウシ血清アルブミンなどの適当な担体に結合
した目的とする蛋白質のN−末端部分の配列を有する合
成ペプチドで動物を免疫化する工程をその方法の1工程
として含んでいる。免疫化された動物の脾細胞を単離
し、適当にミエローマセルラインと融合させる。融合
後、得られるハイブリドーマ細胞をHAT培地中で維持
し、次いでクローン化する。かくして得られるハイブリ
ドーマ細胞をアツセイして、TNF抑制蛋白質と結合する
抗体を分泌するクローンを同定する。同定後、サスペン
シヨンカルチヤーで、又は適当な宿主マウスの腹膜にク
ローン化細胞を注射して腹水液中で、目的とするクロー
ン化細胞を大量に生育させる。
このようにしてハイブリドーマから得られそして精製後
カラムに吸着されたモノクローナル抗体は、TNF抑制蛋
白質の精製に極めて有効である。
活性フラクシヨンは、哺乳動物でのTNFの有害な効果を
中和するために、即ち、過剰なTNFが内因的に形成され
るあるいは外部から投与される状態を処置するために使
用される。
分としての本発明のTNF抑制蛋白質、その塩、その機能
的誘導体又はその活性フラクシヨンを含む薬学的組成物
に関する。かかる組成物は、敗血性シヨツク、悪態症、
移植片対宿主反応、リウマチ性関節炎などの自己免疫疾
患等の、内因的なTNFの産生過剰状態に対して使用する
ことができる。投与方法は、同様の薬剤の投与法と同様
であり、そして投与対象者の状態によつてその方法は変
動する。即ち、例えば、敗血性シヨツクの場合には静注
であり、リウマチ性関節炎の場合には局部注射(例えば
ひざ)あるいは継続点滴などである。本発明の組成物
は、TNFの過剰投与によるTNF中毒の状態に使用すること
もできる。
理学的に許容し得る担体、安定化剤、希釈剤などと混合
することによつて調製することが出来、そして例えば投
与用バイアル中で凍結乾燥することにより単位投与形態
とすることができる。投与すべき活性化合物の量は、投
与ルート、病気、患者の状態などによつて変動する。リ
ウマチ性関節炎の炎症状態の場合の局所注射は、敗血性
シヨツクなどの静脈点滴の場合より、より少ないTNF抑
制蛋白質量が体重に応じて投与される。
制蛋白質の溶出パターンを示す。 第1B図は、Ultrogel ACA 44ゲル濾過に付す前に水に対
して透析した場合のTNF抑制蛋白質の溶出パターンを示
す。 第2図は、生物の形態を示す写真であり、シクロヘキシ
イミド(CHI)(a),TNF−α−CHI(b),あるいはTN
F抑制蛋白質とともにTNF−α−CHI(c)で処理したム
リンA9細胞の形態を示す。 第3図は、TNF抑制蛋白質の第2の精製工程の結果を示
す。 第4図は、TNF抑制蛋白質の第3の精製工程の結果を示
す。 第5図は、逆相HPLCによるTNF抑制蛋白質の分離を示
す。 第6図は、粒子構造を示す写真であつて、各精製工程に
おける活性物質を含むサンプルをSDS PAGEで分析した結
果を示す。
Claims (18)
- 【請求項1】(a)腫瘍壊死因子(TNF)のレセプター
への結合及びTNFの細胞毒性効果を抑制することのでき
る; (b)ヒト尿から以下の工程: (i)10kDa分子量排除膜を通しては透析できないヒト
尿のフラクションをレクチンアフィニティークロマトグ
ラフィーに付し; (ii)レクチンに吸着した蛋白質を溶出し; (iii)溶出した蛋白質をゲル濾過あるいはイオン交換
クロマトグラフィーに付し; (iv)TNFのレセプターへの結合を抑制し且つTNFの細胞
毒性効果を抑制するフラクションを回収する; ことによって得ることができる; (c)その尿粗調製物をUltrogel ACA 44ゲル濾過カ
ラムを用いたクロマトグラフィーに付した時に、TNF抑
制蛋白質の主要ピークは主蛋白質の少し前に溶出し、約
40−80kDaの見掛け分子量を有する; 及び (d)その尿粗調製物を分析した時に、その活性蛋白質
の等電点はpH6と8の間にある; という特徴を有するTNF抑制蛋白質、その塩、その機能
的誘導体、あるいはその活性フラクションであってTNF
のレセプターへの結合及びTNFの細胞毒性効果を抑制す
ることのできる活性フラクション。 - 【請求項2】実質的に精製された形態にある請求項1の
TNF抑制蛋白質。 - 【請求項3】実質的に精製された形態にある該蛋白質を
還元条件下のSDS PAGEにより分析した時に、約26−28k
Daの見掛け分子量を有する請求項1または2のTNF抑制
蛋白質。 - 【請求項4】逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
で単一ピークとして移動する請求項1から3のいずれか
のTNF抑制蛋白質。 - 【請求項5】ヒトHeLa及びFS11線維芽細胞の細胞表面レ
セプターにTNF−αが結合するのを抑制する能力を有す
る請求項1から4のいずれかのTNF抑制蛋白質。 - 【請求項6】ムリンA9細胞に対するTNF−αの細胞毒性
効果を抑制する能力を有する請求項1から5のいずれか
のTNF抑制蛋白質。 - 【請求項7】そのN−末端部分に以下のアミノ酸配列を
有する請求項1から6のいずれかのTNF抑制蛋白質: (式中、Xは同定されていないアミノ酸残基を示す)。 - 【請求項8】尿から単離される請求項1から7のいずれ
かのTNF抑制蛋白質。 - 【請求項9】尿がヒト尿である請求項8のTNF抑制蛋白
質。 - 【請求項10】(a)TNFのレセプターへの結合及びTNF
の細胞毒性効果を抑制することができる; (b)そのN−末端部分に以下のアミノ酸配列を有す
る: (式中、Xは同定されていないアミノ酸残基を示す); (c)溶解性蛋白である; という特徴を有するTNF抑制蛋白質。 - 【請求項11】実質的に精製されたTNF抑制蛋白質の製
造法であって、 (a)ヒト尿の透析濃縮物から粗蛋白質画分を回収し; (b)上記工程(a)で得られる粗蛋白質画分をイオン
交換クロマトグラフィーに付して、TNFのレセプターへ
の結合及びTNFの細胞毒性効果を抑制できる能力によっ
て規定されるTNF抑制蛋白質の部分精製活性画分を得; (c)上記工程(b)で得られる部分精製活性画分を逆
相高圧液体クロマトグラフー(HPLC)に付して、TNFの
レセプターへの結合及びTNFの細胞毒性効果を抑制でき
る能力によって規定されるTNF抑制蛋白質の実質的に精
製された活性画分を得;次いで (d)上記工程(c)の実質的に精製された蛋白質であ
って、逆相HPLCで単一ピークとして移動する蛋白質を回
収する; ことを含む上記製造方法。 - 【請求項12】実質的に精製されたTNF抑制蛋白質が還
元条件下のSDS PAGEで見掛け分子量が約26−28kDaであ
る請求項11の製造法。 - 【請求項13】工程(d)のイオン交換クロマトグラフ
ィーを、カルボキシメチルセファロース、Mono S HR
5/5 FPLC及びMono Q HR 5/5 FPLCを用いて好ま
しくはこの順序で3工程で行なう請求項11または12の製
造法。 - 【請求項14】工程(b),(c)及び(d)の画分の
活性を、ヒトHeLa及びFS11線維芽細胞の細胞表面レセプ
ターへのTNF−αの結合を抑制するTNF抑制蛋白質の能力
によって規定する請求項11から13のいずれかの製造法。 - 【請求項15】工程(b),(c)及び(d)の画分の
活性を、ムリンA9細胞に対するTNF−αの細胞毒性効果
を抑制するTNF抑制蛋白質の能力によって規定する請求
項11から14のいずれかの製造法。 - 【請求項16】請求項11から15のいずれかの製造法によ
って製造される請求項1から10のいずれかのTNF抑制蛋
白質。 - 【請求項17】薬学的に許容し得る担体、及び活性成分
として請求項1から10及び16のいずれかのTNF抑制蛋白
質、その塩、その機能的誘導体、又はその活性フラクシ
ョンであってTNFのレセプターへの結合及びTNFの細胞毒
性効果を抑制することのできる活性フラクションを含
む、哺乳動物におけるTNFの有害な効果を中和するのに
使用するための薬学的組成物。 - 【請求項18】過剰なTNFが内因的に形成される又は外
部から投与される状態の処置に使用するため請求項17の
薬学的組成物。
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