JP2755169B2 - 流体制御弁および水流制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、流路切換えおよび流量
制御が可能な流体制御弁および用便後の人体局部の洗浄
を行う衛生洗浄便座等に好適な水流制御装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】衛生洗浄便座は、用便後の肛門部の洗浄
や、小用時、生理時の女性局部の洗浄を目的とする装置
であるが、適温に加熱した洗浄用の温水を洗浄用のノズ
ル装置に供給するために、次のようなモータ駆動の流体
制御弁が提案されている。

【０００３】例えば、従来のこの種の流体制御弁および
水流制御装置を使用した衛生洗浄便座（例えば実開平６
−１４２７８号公報）を図１１および図１２、図１３に
示す。同図において、１は洗浄水の給水路２中に設けら
れ電磁開閉弁や調圧弁を組み込んだバルブユニット、３
は洗浄ノズルユニットであり、４はヒータ５と温度セン
サ６を備え設定された温度に洗浄水を加熱して溜めてお
く温水タンク、７は洗浄ノズルユニットからの洗浄水の
噴出流量を加減する流体制御弁で、８はバルブユニット
１や温水タンク４および流体制御弁７など各機能部を全
て制御するためのコントローラである。

【０００４】流体制御弁７は、モータ９によって駆動さ
れるロータ１０をハウジング１１内に備え、このロータ
１０の回転角度によってノズル装置へ向かう洗浄水の流
量を設定可能な弁構造で、モータ９の出力軸１２とロー
タ１０との間の回転動力伝達部１３に隙間１４を有した
構成である。

【０００５】上記従来の流体制御弁７の構成においてモ
ータ９を起動してその出力軸１２が回転を始めるとき、
出力軸１２に設けたピン１５はロータ１０のスリット１
６の中で隙間１４を有しているので、出力軸１２が回転
を始めてからピン１５がスリット１６の周方向の端面１
７に突き当たった後に、ロータ１０に回転が伝達され
る。すなわち、出力軸１２が回転する初期において、出
力軸１２とロータ１０との回転動力伝達部１３には出力
軸１２の回転方向に向けて遊びが形成されているので、
出力軸１２はロータ１０のスリット１６の中で無負荷で
回転し、その後ロータを回転駆動する。

【０００６】したがって、モータ起動時のトルク不足に
よるスリップつまり脱調やロータ１０の回転位置ずれの
発生を防止できるというものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
ような従来の流体制御弁および水流制御装置では、ロー
タ１０を逆方向に回転するときは、モータ９の出力軸１
２に設けたピン１５とロータ１０のスリット１６で構成
された回転動力伝達部１３の隙間１４が、いわゆる遊び
として作用するので、モータ９の起動時のトルク不足に
よる脱調を防止するのに効果を発揮できるが、例えばモ
ータ９によってロータ１０を回転し洗浄ノズルユニット
３からの洗浄水の噴出を中程度の流量位置でモータ９を
停止後、さらに流量を増やすべくモータ９を再起動する
とき、ピン１５とスリット１６との間に同回転方向に対
してはいわゆる遊びが無い状態であるため、前記の逆回
転起動時のような無負荷回転起動によるトルク不足を補
う効果を発揮することができず、脱調やその脱調による
ロータ１０の回転位置ずれを生じるという課題があっ
た。

【０００８】本発明は上記課題を解決するものであり、
簡単な構成でモータと弁体の組立偏心等による回転不良
を防止でき、かつ必要駆動トルクが小さい流体制御弁を
提供することを第一の目的としている。

【０００９】第二の目的は、簡単な構成で必要駆動トル
クが小さく、かつ弁体周囲のすきま洩れの少ない流量制
御を可能にする流体制御弁を提供することにある。

【００１０】第三の目的は、単一の駆動手段でかつ簡単
な構成で必要駆動トルクが小さく、複数の流路の選択切
換えと、各々の流路における流量制御を可能にする流体
制御弁を提供することにある。

【００１１】また第四の目的は、第一の洗浄ノズルと第
二の洗浄ノズルを別々に設けるとともに、上記ノズルの
選択切換えと水勢調節が可能なコンパクトな衛生洗浄便
座に好適な水流制御装置を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記第一の目的を達成す
るために本発明の流体制御弁は、流入路と流出路を有す
るハウジングと、前記ハウジング内に回動可能に設けら
れた弁体と、前記弁体を回転駆動するモータと、前記モ
ータの出力軸に対してクリアランスを有する前記弁体の
軸穴と、前記モータの前記ハウジングへの取り付け用の
取付穴に対してクリアランスを有する前記ハウジングの
ボスを設けたものである。

【００１３】上記第二の目的を達成するために本発明の
流体制御弁は、流入路と流出路を有するハウジングと、
前記ハウジング内に回動可能に設けられた弁体と、前記
流入路と前記流出路の連通面積を可変する前記弁体内部
の流路の出口部が前記ハウジングとの摺動接触面に設け
られ、前記出口部を囲むように形成した凸部と、前記弁
体を回転駆動するモータと、前記モータの出力軸に対し
てクリアランスを有する前記弁体の軸穴と、前記モータ
の前記ハウジングへの取り付け用の取付穴に対してクリ
アランスを有する前記ハウジングのボスを設けたもので
ある。

【００１４】上記第三の目的を達成するために本発明の
流体制御弁は、流体供給路に連通する流入路と、前記流
入路から各々分岐して設けられた複数の流出路を有する
ハウジングと、前記ハウジング内に回動可能に設けられ
た略円筒形弁体と、前記弁体内部の流路の出口部が前記
ハウジングとの摺動接触面に設けられ、前記出口部を囲
むように形成した凸部と、前記弁体を回転駆動するモー
タと、前記モータの回転角を制御することにより前記複
数の流出路の選択切換と流量制御を行う回転角制御手段
と、前記モータの出力軸に対してクリアランスを有する
前記弁体の軸穴と、前記モータの前記ハウジングへの取
り付け用の取付穴に対してクリアランスを有する前記ハ
ウジングのボスを設けたものである。

【００１５】また第四の目的を達成するために本発明の
水流制御装置は、洗浄水を供給する給水路に設け洗浄水
を加熱する温水タンクと、前記温水タンクに連通する流
入路および前記流入路から各々分岐して設けた第一の流
出路と第二の流出路を有するハウジングと、前記ハウジ
ング内に回動可能に設けられた弁体と、前記弁体内部の
流路の出口部が前記ハウジングとの摺動接触面に設けら
れ、前記出口部を囲むように形成した凸部と、前記弁体
を回転駆動するステッピングモータと、前記ステッピン
グモータの出力軸に対してクリアランスを有する前記弁
体の軸穴と、前記ステッピングモータの前記ハウジング
への取り付け用の取付穴に対してクリアランスを有する
前記ハウジングのボスを設けた流体制御弁と、前記流体
制御弁の第一および第二の流出路に各々連通する第一お
よび第二の洗浄ノズルと、前記第一および第二の洗浄ノ
ズルを選択駆動する洗浄スイッチと水量を調節する水勢
調節スイッチを有する操作手段と、前記操作手段の信号
により前記ステッピングモータの回転角を制御する回転
角制御手段を設けたものである。

【００１６】

【作用】本発明の流体制御弁は、ハウジング内に回動可
能に設けられた弁体と、その弁体を回転駆動するモータ
と、このモータの出力軸に対してクリアランスを有する
前記弁体の軸穴と、前記モータの前記ハウジングへの取
り付け用の取付穴に対してクリアランスを有する前記ハ
ウジングのボスを設けたことにより、モータの出力軸と
弁体の軸心が組み付け時において少々偏心していても、
前記出力軸と前記軸穴とのクリアランスおよび前記取付
穴と前記ボスとのクリアランスとにより、偏心によるい
わゆるこじりを防止できるので、簡単な構成で弁体を駆
動するのに必要な駆動トルクが小さい流体制御弁を実現
できる。

【００１７】また本発明の流体制御弁は、ハウジング内
に回動可能に設けられた弁体と、流入路と流出路との連
通面積を可変する前記弁体内部の流路の出口部が前記ハ
ウジングとの摺動接触面に設けられ、前記出口部を囲む
ように形成した凸部と、前記弁体を回転駆動するモータ
と、そのモータの出力軸に対してクリアランスを有する
前記弁体の軸穴と、前記モータの前記ハウジングへの取
り付け用の取付穴に対してクリアランスを有する前記ハ
ウジングのボスを設けたことにより、前記凸部がハウジ
ングとの摺動接触面のすきまを小さくするので、弁体外
周のすきまからの洩れが著しく減少できるとともに、摺
動接触面積が減少し、弁体を回転させるのに必要なトル
クを小さくできることと、前記両方のクリアランスによ
り偏心こじりを解消する作用とが相まって、さらに必要
駆動トルクが小さくて、なおかつ弁体周囲のすきま洩れ
の少ない流量制御が可能になる。

【００１８】また本発明の流体制御弁は、複数の流出路
を有するハウジング内に回動可能に設けられた略円筒形
弁体と、その弁体内部の流路の出口部が前記ハウジング
との摺動接触面に設けられ、前記出口部を囲むように形
成した凸部と、前記弁体を回転駆動するモータと、その
モータの回転角を制御することにより前記複数の流出路
の選択切換と流量制御を行う回転角制御手段と、前記モ
ータの出力軸に対してクリアランスを有する前記弁体の
軸穴と、前記モータの前記ハウジングへの取り付け用の
取付穴に対してクリアランスを有する前記ハウジングの
ボスを設けたことにより、複数の流路の選択切換えと、
各々の流路におけるすきま洩れの少ない流量制御を、単
一の駆動手段でかつ簡単な構成かつ小さいトルクにでき
るので、小型・低コストで、高速応答の流体制御が可能
になる。

【００１９】また本発明による水流制御装置は、ステッ
ピングモータを回転駆動手段とし、第一および第二の洗
浄ノズルの選択切換えと各々の洗浄ノズルから吐出され
る洗浄水の流量調節を行う弁体と、その弁体内部の流路
の出口部がハウジングとの摺動接触面に設けられ、前記
出口部を囲むように形成した凸部と、前記ステッピング
モータの出力軸に対してクリアランスを有する前記弁体
の軸穴と、前記ステッピングモータの前記ハウジングへ
の取り付け用の取付穴に対してクリアランスを有する前
記ハウジングのボスを設けた流体制御弁と、前記洗浄ノ
ズルの操作手段と、この操作手段の信号により前記ステ
ッピングモータの回転角を制御する回転角制御手段を設
けたものであるので、操作手段からの信号により、ビデ
洗浄用の第一の洗浄ノズルと、肛門洗浄用の第二の洗浄
ノズルを小さいトルクのステッピングモータで選択的に
切換えることが可能で、第一および第二の洗浄ノズルか
ら吐出される洗浄水量（水勢）を操作手段の信号に応じ
てきめ細かい調節ができるコンパクトな水流制御装置が
可能となる。

【００２０】

【実施例】以下本発明の実施例を図面にもとづいて説明
する。

【００２１】図１は本発明の第一の実施例を示す流体制
御弁２３の構成図であり、図２（ａ）〜（ｃ）は図１の
Ｂ−Ｂ断面図である。同図において２４はハウジングで
あり、流入路２５と流出路２６を有している。２７はハ
ウジング２４内に回動可能に設けらた弁体であり、内部
に流入路２５と流出路２６とを連通ないし遮断する流路
２８が形成されている。弁体２７の流路２８の出口部２
９は、ハウジング２４との摺動接触面３０に設けられ、
かつ弁体２７を回転するとその出口部２９とハウジング
２４の流出路２６とが連通する位置に設けられている。
３１は弁体２７を駆動するハウジング２４の外に臨む回
転軸部３２のリング状の溝部３３に設けた略Ｘ字形断面
の弾性シール部材である。３４は弁体２７を駆動するモ
ータである。なお弁体２７の先端近傍の外周部にもリン
グ状の溝部３５が形成されており、その溝部３５にＸ字
形断面の弾性シール部材３６が設けられている。

【００２２】またモータ３４は、流体制御弁２３のハウ
ジング２４にビス３７、３８により取り付けられてお
り、そのモータ３４のフランジ３９に開けられた取付穴
４０、４１に対してハウジング２４のボス４２、４３
は、それぞれクリアランス４４、４５が設けてあり、ビ
ス３７、３８を締め付けた状態でも、モータ３４はクリ
アランス４４、４５に相当するガタいわゆる遊びがあ
り、移動自在である。

【００２３】さらにまた、図１のＣ−Ｃ断面を図３に示
したとおり、弁体２７の軸穴４６と、その軸穴４６に挿
入されているモータ３４の出力軸４７の断面形状は、い
ずれも円形の円弧部分２カ所を対称的に削り取った形を
しており、かつ軸穴４６と出力軸４７との間にはクリア
ランス４８が設けてある。

【００２４】以上の構成において本実施例の動作につい
て説明する。図２（ａ）は弁閉止状態を示したものであ
り、流入路２５に連通する流路２８は、流出路２６とは
連通せず、弁体２７とハウジング３２とのすきまを微小
にして流体の漏れが防止されている。図２（ｂ）は弁半
開状態、図２（ｃ）は弁全開状態をそれぞれ示したもの
である。図１で示した略Ｘ字形断面の弾性シール部材３
１は、流入路２５から流出路２６に流れるハウジング２
４の内部の流体が、ハウジング２４の外部に漏れないよ
う、断面形状がＸ字形をしたゴムのリングで、弁体２７
の溝部３３とハウジング２４の内面にそれぞれ密着する
２本のシール帯が形成される。すなわち１個のシール部
材３１で、実質的には二重のシールができ、確実な漏れ
防止効果が得られる。しかも、例えばＯリングによるシ
ールのように円形断面を押しつぶす容積圧縮変形と異な
り、Ｘ形断面を押し挟むような曲げ変形によるシールな
ので、同じシールつぶししろの場合でも変形に要する力
は、Ｏリングに較べてＸ字形シール部材３１の方が圧倒
的に小さい。すなわち、シール部材３１とハウジング２
４および溝部３３との接触摺動摩擦力が小さくなり、弁
体２７を回転駆動するのに必要なトルクを飛躍的に低減
できる。実験した結果によると、Ｏリングに対しＸリン
グは、５分の１ないし６分の１のトルクで弁体２７を駆
動することができた。

【００２５】またＯリングの場合は、ハウジングおよび
溝部との接触シール部にグリス等の潤滑剤を塗布してい
ても、そのグリス保持ができにくいので、弁体を長い期
間動作させなかったりすると、Ｏリングとハウジング１
１および弁体１０が固着して作動しずらくなるなどの不
都合があった。これに対してＸ形シール部材３１の場合
は、Ｘ形断面の窪み部がグリスだまりとなってグリス等
の潤滑剤が保持される。したがって、上記のような固着
の問題も解消され、長期間、安定して弁体２７を軽く滑
らかに駆動でき、耐久信頼性も向上できる。

【００２６】また、正逆転回転可能なモータ３４の出力
軸４７は、円形の円弧部分２カ所を対称的に削り取った
断面形状で弁体２７の同じく円形の円弧部分２カ所を対
称的に削り取った断面形状の軸穴４６に挿入され、クリ
アランス４８を有し、モータ３４の取付フランジ３９の
取付穴４０、４１の径はハウジング２４の取付ボス４
２、４３の径に対し大きく、取付スキマガタとなるクリ
アランス４４、４５を有し、ハウジング２４と弁体２７
との軸心の偏心を吸収する構成であり、なおハウジング
２４の取付ボス４２、４３の高さ寸法は、モータ３４の
取付フランジ３９の板厚より大きく、モータ３４はビス
３７、３８で締め付け後も、上記した取付スキマガタで
あるクリアランス４４、４５の範囲内で偏心を補償する
動きの自由度を有する構成であるため、モータ３４とハ
ウジング２４および弁体２７の軸心が偏心して組み付け
られた場合でも、クリアランス４４、４５、４８によっ
て偏心によるこじりを回避するように作用する。

【００２７】すなわち、弁体軸穴４６とモータ出力軸４
７の間のクリアランス４８およびモータ取付穴４０、４
１とハウジング取付ボス４２、４３の間のクリアランス
４４、４５が、ビス３７、３８を締め付け後も確保され
ていることによって、自在継手を使用していないにもか
かわらずそれと同等の自在性があるためである。従来例
のように、ビス１８、１９の締め付けによってモータ９
がハウジング１１に固定される構成の場合、出力軸１２
と軸穴２０との間にクリアランス２１が設けてあって
も、ビス１８、１９を締め付ける際に偏ってモータ９が
固定されると、偏心によるこじりは回避することができ
ない。

【００２８】以上述べたように本実施例によれば、ハウ
ジング２４内に回動可能に設けられた弁体２７と、その
弁体２７を回転駆動するモータ３４と、このモータ３４
の出力軸４７に対してクリアランス４８を有する弁体軸
穴４６と、モータ３４の取付穴４０、４１に対してクリ
アランス４４、４５を有するハウジングボス４２、４３
を設けたことにより、モータ出力軸４７と弁体２７の軸
心が組み付け時において少々偏心していても、出力軸４
７と軸穴４６とのクリアランス４８および取付穴４０、
４１とボス４２、４３とのクリアランス４４、４５とに
より、偏心によるいわゆるこじりを防止できるので、簡
単な構成で弁体２７を駆動するのに必要な駆動トルクが
小さい流体制御弁２３を実現できる。

【００２９】また、回転軸部３２とハウジング２４との
間のリング状の溝部３３に略Ｘ字形断面の弾性シール部
材３１を設けたことにより、弁体２７を駆動するのに必
要な力が著しく低減でき、弁体２７を軽く滑らかに駆動
操作できるとともに、耐久信頼性の優れた流体制御弁２
３を実現できる。

【００３０】なお、弁体２７の先端側の溝部３５に設け
られたＸ字形断面の弾性シール部材３６は、シール部材
３１同様に低摺動トルクで優れたシール効果を発揮する
ことは同じであるが、シール部材３１が外部漏れを防止
するのに対し、シール部材３６は流入路２５からの流体
を弁体２７の回転角度に応じて流路２８から流出路２６
に流すとき、弁体２７の外周すきまから漏れて流れる漏
れ流量いわゆる内部漏れを防止する。特に弁体２７の出
口部２９とハウジング２４の流出路２６との連通開口面
積が、狭く絞られる角度に弁体２７の回転位置がモータ
３４で操作されたとき、シール部材３６による内部漏れ
防止効果が顕著に発揮され、弁体２７の回転角度に応じ
た優れた流量調節性能が低トルクで可能になる。

【００３１】図４は本発明の第二の実施例を示す流体制
御弁４９の構成図であり、図５（ａ）〜（ｃ）は図４の
Ｄ−Ｄ断面図である。同図において５０はハウジングで
あり、流入路５１と流出路５２を有している。５３はハ
ウジング５０内に可動可能に設けらた弁体であり、内部
に流入路５１と流出路５２とを連通ないし遮断する流路
５４が形成されている。弁体５３の流路５４の出口部５
５は、ハウジング５０との摺動接触面５６に設けられ、
この出口部５５を囲むように凸部５７が、弁体５３と一
体的に形成されている。かつ弁体５３を回転するとその
出口部５５とハウジング５０の流出路５２とが連通する
位置に設けられている。５８は弁体５３を駆動するハウ
ジング５０の外に臨む回転軸部５９のリング状の溝部６
０に設けた略Ｘ字形断面の弾性シール部材である。６１
は弁体５３を駆動するモータである。なお弁体５３の先
端近傍の外周部にもリング状の溝部６２が形成されてお
り、その溝部６２にＸ字形断面の弾性シール部材６３が
設けられている。

【００３２】またモータ６１は、流体制御弁４９のハウ
ジング５０にビス６４、６５により取り付けられてお
り、そのモータ６１のフランジ６６に開けられた取付穴
６７、６８に対してハウジング５０のボス６９、７０
は、それぞれクリアランス７１、７２が設けてあり、ビ
ス６４、６５を締め付けた状態でも、モータ６１はクリ
アランス７１、７２に相当するガタいわゆる遊びがあ
り、移動自在である。

【００３３】さらにまた、図４のＥ−Ｅ断面を図６に示
したとおり、弁体５３の軸穴７３と、その軸穴７３に挿
入されているモータ６１の出力軸７４の断面形状は、い
ずれも円形の円弧部分２カ所を対称的に削り取った形を
しており、かつ軸穴７３と出力軸７４との間にはクリア
ランス７５が設けてある。

【００３４】以上の構成において本実施例の動作につい
て説明する。図５（ａ）は弁閉止状態を示したものであ
り、流入路５１に連通する流路５４は、流出路５２とは
連通せず、出口部５５を囲むように形成された凸部５７
によって、ハウジング５０とのすきまを微小にして流体
の漏れが防止されている。図５（ｂ）は弁半開状態、図
５（ｃ）は弁全開状態をそれぞれ示したものである。な
おここで、凸部５７は弁体５３と一体的に高分子材料で
成型できるので加工生産性もよく、ハウジング５０とは
部分的な小さい接触面積なので、弁体５３の回動時に必
要な駆動トルクを小さく押さえることができる。

【００３５】図４で示した略Ｘ字形断面の弾性シール部
材５８は、流入路５１から流出路５２に流れるハウジン
グ５０の内部の流体が、ハウジング５０の外部に漏れな
いよう、断面形状がＸ字形をしたゴムのリングで、弁体
５３の溝部６０とハウジング５０の内面にそれぞれ密着
する２本のシール帯が形成される。すなわち１個のシー
ル部材５８で、実質的には二重のシールができ、確実な
漏れ防止効果が得られる。しかも、例えばＯリングによ
るシールのように円形断面を押しつぶす容積圧縮変形と
異なり、Ｘ形断面を押し挟むような曲げ変形によるシー
ルなので、同じシールつぶししろの場合でも変形に要す
る力は、Ｏリングに較べてＸ字形シール部材５８の方が
圧倒的に小さい。すなわち、シール部材５８とハウジン
グ５０および溝部６０との接触摺動摩擦力が小さくな
り、弁体５３を回転駆動するのに必要なトルクを飛躍的
に低減できる。実験した結果によると、Ｏリングに対し
Ｘリングは、５分の１ないし６分の１のトルクで弁体５
３を駆動することができた。

【００３６】またＯリングの場合は、ハウジングおよび
溝部との接触シール部にグリス等の潤滑剤を塗布してい
ても、そのグリス保持ができにくいので、弁体を長い期
間動作させなかったりすると、Ｏリングとハウジング１
１および弁体１０が固着して作動しずらくなるなどの不
都合があった。これに対してＸ形シール部材５８の場合
は、Ｘ形断面の窪み部がグリスだまりとなってグリス等
の潤滑剤が保持される。したがって、上記のような固着
の問題も解消され、長期間、安定して弁体５３を軽く滑
らかに駆動でき、耐久信頼性も向上できる。

【００３７】また、正逆転回転可能なモータ６１の出力
軸７４は、円形の円弧部分２カ所を対称的に削り取った
断面形状で弁体５３の同じく円形の円弧部分２カ所を対
称的に削り取った断面形状の軸穴７３に挿入され、クリ
アランス７５を有し、モータ６１の取付フランジ６６の
取付穴６７、６８の径はハウジング５０の取付ボス６
９、７０の径に対し大きく、取付スキマガタとなるクリ
アランス７１、７２を有し、ハウジング５０と弁体５３
との軸心の偏心を吸収する構成であり、なおハウジング
５０の取付ボス６９、７０の高さ寸法は、モータ６１の
取付フランジ６６の板厚より大きく、モータ６１はビス
６４、６５で締め付け後も、上記した取付スキマガタで
あるクリアランス７１、７２の範囲内で偏心を補償する
動きの自由度を有する構成であるため、モータ６１とハ
ウジング５０および弁体５３の軸心が偏心して組み付け
られた場合でも、クリアランス７１、７２、７５によっ
て偏心によるこじりを回避するように作用する。

【００３８】すなわち、弁体軸穴７３とモータ出力軸７
４の間のクリアランス７５およびモータ取付穴６７、６
８とハウジング取付ボス６９、７０の間のクリアランス
７１、７２が、ビス６４、６５を締め付け後も確保され
ていることによって、自在継手を使用していないにもか
かわらずそれと同等の自在性があるためである。従来例
のように、ビス１８、１９の締め付けによってモータ９
がハウジング１１に固定される構成の場合、出力軸１２
と軸穴２０との間にクリアランス２１が設けてあって
も、ビス１８、１９を締め付ける際に偏ってモータ９が
固定されると、偏心によるこじりは回避することができ
ない。

【００３９】また上記の構成作用に加えて弁体５３の出
口部５５を囲む凸部５７を設けたことにより、凸部５７
がハウジング５０との摺動接触面５６のすきまを小さく
し、弁体５３の外周のすきまからの漏れがさらに減少
し、所定流路以外への漏れ流量を極小にできる。

【００４０】また、弁体５３に設けられたその凸部５７
により、摺動接触面積が減少し、弁体５３を回転させる
のに必要な駆動トルクをさらに小さくでき、極めて軽く
滑らかに回転操作することができる。

【００４１】以上述べたように本実施例によれば、ハウ
ジング５０内に回動可能に設けられた弁体５３と、流入
路５１と流出路５２との連通面積を可変する弁体５３内
部の流路５４の出口部５５がハウジング５０との摺動接
触面５６に設けられ、その出口部５５を囲むように形成
した凸部５７と、弁体５３を回転駆動するモータ６１
と、このモータ６１の出力軸７４に対してクリアランス
７５を有する弁体軸穴７３と、モータ６１の取付穴６
７、６８に対してクリアランス７１、７２を有するハウ
ジングボス６９、７０を設けたことにより、凸部５７が
ハウジング５０との摺動接触面５６のすきまを小さくす
るので、弁体５３の外周のすきまからの洩れが著しく減
少できるとともに、摺動接触面積が減少し、弁体５３を
回転させるのに必要なトルクを小さくできることと、前
記両方のクリアランス７１、７２、７５により偏心こじ
りを解消する作用とが相まって、さらに必要駆動トルク
が小さくて、なおかつ弁体周囲のすきま洩れの少ない流
量制御が可能になる。

【００４２】図７は、本発明の第三の実施例を示す流体
制御弁７６の構成図であり、図８（ａ）〜（ｄ）は図７
のＦ−Ｆ断面図である。同図において７７はハウジング
であり、流入路７８と、第一および第二の流出路７９、
８０を有している。８１はハウジング７７内に回動可能
に設けられた弁体であり、内部に流入路７８と第一ある
いは第二の流出路７９、８０とを選択的に連通する流路
８２が形成されている。弁体８１の流路８２の出口部８
３は、ハウジング７７との摺動接触面８４に設けられ、
この出口部８３を囲むように凸部８５が、弁体８１と一
体成型されている。なお、弁体８１の流路８２の出口部
８３は、弁体８１をモータ８６にて回転したときハウジ
ング７７の複数の流出路７９ないし８０とそれぞれ連通
する位置に設けられている。８７は弁体８１を駆動する
ハウジング７７の外に臨む回転軸部８８のリング状の溝
部８９に設けた略Ｘ字形断面の弾性シール部材である。
なお弁体８１の先端近傍の外周部にもリング状の溝部９
０が形成されており、その溝部９０にＸ字形断面の弾性
シール部材９１が設けられている。

【００４３】またモータ８６は、流体制御弁７６のハウ
ジング７７にビス９２、９３により取り付けられてお
り、そのモータ８６のフランジ９４に開けられた取付穴
９５、９６に対してハウジング７７のボス９７、９８
は、それぞれクリアランス９９、１００が設けてあり、
ビス９２、９３を締め付けた状態でも、モータ８６はク
リアランス９９、１００に相当するガタいわゆる遊びが
あり、移動自在である。

【００４４】さらにまた、図７のＧ−Ｇ断面を図９に示
したとおり、弁体８１の軸穴１０１と、その軸穴１０１
に挿入されているモータ８６の出力軸１０２の断面形状
は、いずれも円形の円弧部分２カ所を対称的に削り取っ
た形をしており、かつ軸穴１０１と出力軸１０２との間
にはクリアランス１０３が設けてある。

【００４５】以上の構成において本実施例の動作につい
て説明する。図７（ａ）は弁閉止状態を示したものであ
り、流入路７８に連通する流路８２は、第一および第二
の流出路７９、８０のいずれにも連通せず、出口部８３
を囲むように形成された凸部８５によって、ハウジング
７７とのすきまを微小にして流体の漏れが防止されてい
る。図７（ｂ）弁体８１を回転し、出口部８３がハウジ
ング７７の第一の流出路７９の方へ向いて第一の流出路
７９を全開した状態、図７（ｃ）は弁体８１が回転して
第二の流出路８０を半開した状態、図７（ｄ）は弁体８
１をさらに回転して第二の流出路８０を全開した状態を
それぞれ示したものである。なおここで、凸部８５は弁
体８１と一体的に高分子材料で成型できるので加工生産
性もよく、ハウジング７７とは部分的な小さい接触面積
なので、弁体８１の回動時に必要な駆動トルクを小さく
押さえることができる。

【００４６】また、正逆転回転可能なモータ８６の出力
軸１０２は、円形の円弧部分２カ所を対称的に削り取っ
た断面形状で弁体８１の同じく円形の円弧部分２カ所を
対称的に削り取った断面形状の軸穴１０１に挿入され、
クリアランス７１０３有し、モータ８６の取付フランジ
９４の取付穴９５、９６の径はハウジング７７の取付ボ
ス９７、９８の径に対し大きく、取付スキマガタとなる
クリアランス９９、１００を有し、ハウジング７７と弁
体８１との軸心の偏心を吸収する構成であり、なおハウ
ジング７７の取付ボス９７、９８の高さ寸法は、モータ
８１の取付フランジ９４の板厚より大きく、モータ８６
はビス９２、９３で締め付け後も、上記した取付スキマ
ガタであるクリアランス９９、１００の範囲内で偏心を
補償する動きの自由度を有する構成であるため、モータ
８６とハウジング７７および弁体８１の軸心が偏心して
組み付けられた場合でも、クリアランス９９、１００、
１０３によって偏心によるこじりを回避するように作用
する。

【００４７】すなわち、弁体軸穴１０１とモータ出力軸
１０２の間のクリアランス１０３およびモータ取付穴９
５、９６とハウジング取付ボス９７、９８の間のクリア
ランス９９、１００が、ビス９２、９３を締め付け後も
確保されていることによって、自在継手を使用していな
いにもかかわらずそれと同等の自在性があるためであ
る。従来例のように、ビス１８、１９の締め付けによっ
てモータ９がハウジング１１に固定される構成の場合、
出力軸１２と軸穴２０との間にクリアランス２１が設け
てあっても、ビス１８、１９を締め付ける際に偏ってモ
ータ９が固定されると、偏心によるこじりは回避するこ
とができない。

【００４８】また上記の構成作用に加えて弁体８１の出
口部８３を囲む凸部８５を設けたことにより、凸部８５
がハウジング７７との摺動接触面８４のすきまを小さく
し、弁体８１の外周のすきまからの漏れがさらに減少
し、所定流路以外への漏れ流量を極小にできる。従来例
のようにロータ１０の流量可変溝に対向して、ゴムのリ
ング状シール部材２２がハウジング１１に設けた構成の
場合、ゴムのリップ部分が前記流量可変溝になじむよう
に変形し、その変形が経時的に永久変形してシール性が
損なったり、流量特性が変化するなどの不都合があった
が、本実施例は、弁体８１と一体的に凸部８５が樹脂成
型した構成なので、経時的にも安定したシール性と流量
特性を維持できる。

【００４９】また、弁体８１に設けられたその凸部８５
により、摺動接触面積が減少し、弁体８１を回転させる
のに必要な駆動トルクをさらに小さくでき、極めて軽く
滑らかに回転操作することができる。したがって、小型
で低トルクのモータで軽く滑らかに回転駆動することが
でき、コンパクトで安価で高耐久寿命の流体制御弁７６
を実現できる。また、必要駆動トルクが小さくできるこ
とにより、駆動手段であるモータ８６の減速ギアの減速
比を低減できる。これにより切換えや流量調節の応答性
を向上できる。

【００５０】図７で示した略Ｘ字形断面の弾性シール部
材８７は、流入路７８から複数の流出路７９、８０に流
れるハウジング７７の内部の流体が、ハウジング７７の
外部に漏れないよう、断面形状がＸ字形をしたゴムのリ
ングで、弁体８１の溝部８９とハウジング７７の内面に
それぞれ密着する２本のシール帯が形成される。すなわ
ち１個のシール部材８９で、実質的には二重のシールが
でき、確実な漏れ防止効果が得られる。しかも、Ｏリン
グによるシールのように円形断面を押しつぶす容積圧縮
変形と異なり、Ｘ形断面を押し挟むような曲げ変形によ
るシールなので、同じシールつぶししろの場合でも変形
に要する力は、Ｏリングに較べてシール部材８７の方が
圧倒的に小さい。すなわち、シール部材８７とハウジン
グ７７および溝部８９との接触摺動摩擦力が小さくな
り、弁体８１を回転駆動するのに必要なトルクを飛躍的
に低減できる。実験した結果によると、Ｏリングに対し
Ｘリングは、５分の１ないし６分の１のトルクで弁体８
１を駆動することができた。

【００５１】またＯリングの場合は、ハウジングおよび
溝部との接触シール部にグリス等の潤滑剤を塗布してい
ても、そのグリス保持ができにくいので、弁体を長い期
間動作させなかったりすると、Ｏリングとハウジングお
よび弁体が固着して作動しずらくなるなどの不都合があ
った。これに対してＸ形シール部材８７の場合は、Ｘ形
断面の窪み部がグリスだまりとなってグリス等の潤滑剤
が保持される。したがって、上記のような固着の問題も
解消され、長期間、安定して弁体８１を軽く滑らかに駆
動でき、耐久信頼性も向上できる。

【００５２】したがって、簡単な構成で他方流路への漏
れ流量を最小限にでき、かつ必要駆動トルクが小さく、
複数の流路の選択切換えと、各々の流路における流量制
御を可能にする流体制御弁７６を提供することができ
る。

【００５３】以上述べたように本実施例によれば、複数
の流出路７９、８０を有するハウジング７７内に回動可
能に設けられた略円筒形弁体８１と、その弁体８１内部
の流路８２の出口部８３がハウジング７７との摺動接触
面８４に設けられ、出口部８３を囲むように形成した凸
部８５と、弁体８１を回転駆動するモータ８６と、その
モータ８６の回転角を制御することにより複数の流出路
７９、８０の選択切換と流量制御を行う回転角制御手段
１０４と、モータ８６の出力軸１０２に対してクリアラ
ンス１０３を有する弁体８１の軸穴１０１と、モータ８
６の取付穴９５、９６に対してクリアランス９９、１０
０を有するハウジング７７のボス９７、９８を設けたこ
とにより、複数の流出路７９、８０の選択切換えと、各
々の流出路７９、８０におけるすきま洩れの少ない流量
制御を、単一の駆動手段でかつ簡単な構成かつ小さいト
ルクにできるので、小型・低コストで、高速応答の流体
制御が可能になる。

【００５４】図１０は本発明の第四の実施例を示す水流
制御装置の構成図であり、同図において１０５は、洗浄
水を供給する給水路１０６に設けられ加熱ヒータ１０７
を有する温水タンク１０５であり、その温水タンク１０
５の下流側に図７に示した流体制御弁７６が設けられて
いる。１０８および１０９は流体制御弁７６の第一、第
二の流出路７９、８０にそれぞれ連通可能に設けられた
第一、第二の洗浄ノズルであり、第一の洗浄ノズル１０
８は、ビデ洗浄用であり、また第二の洗浄ノズル１０９
は肛門洗浄用である。

【００５５】１１０は衛生洗浄便座の操作手段であり、
第一および第二の洗浄ノズル１０８、１０９を選択する
ための洗浄スイッチ１１１、１１２、各々の洗浄におい
て水量を調節する水勢調節スイッチ１１３、１１４、選
択している水勢を表示するための表示手段１１５および
停止スイッチ１１６から構成されている。１１７は操作
手段１１０の信号により流体制御弁７６の駆動手段であ
るステッピングモータ８６の回転角を制御する回転角制
御手段である。

【００５６】以上の構成において本実施例の動作につい
て説明する。使用者が衛生便座（図示せず）に着座して
用便後、洗浄スイッチ１１１、１１２を選択する、例え
ば肛門洗浄を行う第二の洗浄ノズル１０９を駆動させる
ために洗浄スイッチ１１２が投入されると、その信号が
回転角制御手段１０４を介してステッピングモータ８６
が回転駆動され、図８（ｃ）に示した位置、すなわち標
準水勢になる位置に弁体８１が回転される。これにより
洗浄水が給水路１０６、温水タンク１０５などを経て流
体制御弁７６の流入路７８から第二の流出路８０へ吐出
され、第二の洗浄ノズル１０９へと流入される。回転角
制御手段１０４は、洗浄スイッチ１１２が押されると、
まず標準水勢となるようにステッピングモータ８６を制
御し、弁体８１を回転する。また水勢調節スイッチ１１
３、１１４によって好みの水勢を指示することにより、
弁体８１の回転角が制御され、吐出流量を任意に増減す
ることが可能となる。

【００５７】洗浄動作後、停止スイッチ１１６を投入す
ればステッピングモータ８６が駆動されて図８（ａ）に
示す位置に弁体８１が制御されて水回路が閉止される。
またビデ洗浄を行う場合は、洗浄スイッチ１１１を選択
すれば同様に制御される。

【００５８】また、正逆転回転可能なモータ８６の出力
軸１０２は、円形の円弧部分２カ所を対称的に削り取っ
た断面形状で弁体８１の同じく円形の円弧部分２カ所を
対称的に削り取った断面形状の軸穴１０１に挿入され、
クリアランス７１０３有し、モータ８６の取付フランジ
９４の取付穴９５、９６の径はハウジング７７の取付ボ
ス９７、９８の径に対し大きく、取付スキマガタとなる
クリアランス９９、１００を有し、ハウジング７７と弁
体８１との軸心の偏心を吸収する構成であり、なおハウ
ジング７７の取付ボス９７、９８の高さ寸法は、モータ
８１の取付フランジ９４の板厚より大きく、モータ８６
はビス９２、９３で締め付け後も、上記した取付スキマ
ガタであるクリアランス９９、１００の範囲内で偏心を
補償する動きの自由度を有する構成であるため、モータ
８６とハウジング７７および弁体８１の軸心が偏心して
組み付けられた場合でも、クリアランス９９、１００、
１０３によって偏心によるこじりを回避するように作用
する。

【００５９】すなわち、弁体軸穴１０１とモータ出力軸
１０２の間のクリアランス１０３およびモータ取付穴９
５、９６とハウジング取付ボス９７、９８の間のクリア
ランス９９、１００が、ビス９２、９３を締め付け後も
確保されていることによって、自在継手を使用していな
いにもかかわらずそれと同等の自在性があるためであ
る。従来例のように、ビス１８、１９の締め付けによっ
てモータ９がハウジング１１に固定される構成の場合、
出力軸１２と軸穴２０との間にクリアランス２１が設け
てあっても、ビス１８、１９を締め付ける際に偏ってモ
ータ９が固定されると、偏心によるこじりは回避するこ
とができない。

【００６０】また上記の構成作用に加えて弁体８１の出
口部８３を囲む凸部８５を設けたことにより、凸部８５
がハウジング７７との摺動接触面８４のすきまを小さく
し、弁体８１の外周のすきまからの漏れがさらに減少
し、所定流路以外への漏れ流量を極小にできる。従来例
のようにロータ１０の流量可変溝に対向して、ゴムのリ
ング状シール部材２２がハウジング１１に設けた構成の
場合、ゴムのリップ部分が前記流量可変溝になじむよう
に変形し、その変形が経時的に永久変形してシール性が
損なったり、流量特性が変化するなどの不都合があった
が、本実施例は、弁体８１と一体的に凸部８５が樹脂成
型した構成なので、経時的にも安定したシール性と流量
特性を維持できる。

【００６１】また、弁体８１に設けられたその凸部８５
により、摺動接触面積が減少し、弁体８１を回転させる
のに必要な駆動トルクをさらに小さくでき、極めて軽く
滑らかに回転操作することができる。したがって、小型
で低トルクのモータで軽く滑らかに回転駆動することが
でき、コンパクトで安価で高耐久寿命の流体制御弁７６
を実現できる。また、必要駆動トルクが小さくできるこ
とにより、駆動手段であるモータ８６の減速ギアの減速
比を低減できる。これにより切換えや流量調節の応答性
を向上できる。

【００６２】以上述べたように本実施例によれば、ステ
ッピングモータ８６を回転駆動手段とし、第一および第
二の洗浄ノズル１０８、１０９の選択切換えと各々の洗
浄ノズルから吐出される洗浄水の流量調節を行う弁体８
１と、その弁体８１内部の流路８２の出口部８３がハウ
ジング７７との摺動接触面８４に設けられ、出口部８３
を囲むように形成した凸部８５と、ステッピングモータ
８６の出力軸１０２に対してクリアランス１０３を有す
る弁体８１の軸穴１０１と、ステッピングモータ８６の
取付穴９５、９６に対してクリアランス９９、１００を
有するハウジング７７のボス９７、９８を設けた流体制
御弁７６と、洗浄ノズル１０８、１０９の操作手段１１
０と、この操作手段１１０の信号によりステッピングモ
ータ８６の回転角を制御する回転角制御手段１０４を設
けたものであるので、操作手段１１０からの信号によ
り、ビデ洗浄用の第一の洗浄ノズル１０８と、肛門洗浄
用の第二の洗浄ノズル１０９を小さいトルクのステッピ
ングモータ８６で選択的に切換えることが可能で、第一
および第二の洗浄ノズル１０８、１０９から吐出される
洗浄水量（水勢）を操作手段１１０の信号に応じてきめ
細かい調節ができるコンパクトな水流制御装置が可能と
なる。

【００６３】また、流体制御弁７６の回転軸部８８とハ
ウジング７７との間のリング状の溝部８９に略Ｘ字形断
面の弾性シール部材８７を設けたことにより、小さい摺
動接触抵抗で高いシール性能が得られ、弁体８１を回転
させるのに必要な駆動トルクを小さくでき、小型で低ト
ルクのステッピングモータ８６で軽く滑らかに回転駆動
することができる。それでコンパクトで安価で高耐久寿
命の流体制御装置を実現できる。また、必要駆動トルク
が小さくできることにより、駆動手段であるステッピン
グモータ８６の内蔵減速ギアの減速比を低減できる。こ
れにより切換えや流量調節の応答性を向上できる。

【００６４】また、流体制御弁７６において弁体８１の
先端側溝部９０に略Ｘ字形断面の弾性シール部材９１を
設けたことにより、低摺動トルクで優れた内部漏れ防止
効果が発揮され、例えば第一の洗浄ノズル１０８で洗浄
しているとき、他方の第二の洗浄ノズル１０９への漏れ
流量は、ほとんど無しといえる最小限レベルにできる。

【００６５】したがって、複数の流路の選択切換えと、
各々の流路における流量制御が可能で、かつ必要駆動ト
ルクが小さくて所定流路以外への漏れの少ない、小型、
低コストで耐久信頼性の優れた水流制御装置を提供する
ことができる。

【００６６】また弁体８１の駆動手段としてステッピン
グモータ８６を用いるので、供給するパルス信号により
高精度に弁体８１の回転角、すなわち弁開度制御が可能
となるとともに、正逆転が可能となる。この結果、例え
ば洗浄水量にゆらぎを与えることが可能となり、強弱水
流の繰り返しにより人体局部に付着した汚物の剥離効果
が向上して効率的な洗浄ができるとともに、洗浄時の単
調感が解消される。

【００６７】つまり、簡単な構成により複数の洗浄ノズ
ルの選択切換えと水勢調節が可能な衛生洗浄便座に好適
な水流制御装置を提供することができる。

【００６８】

【発明の効果】以上詳述したように本発明の流体制御弁
は、ハウジング内に回動可能に設けられた弁体と、前記
弁体を回転駆動するモータと、前記モータの出力軸に対
してクリアランスを有する前記弁体の軸穴と、前記モー
タの前記ハウジングへの取り付け用の取付穴に対してク
リアランスを有する前記ハウジングのボスを設けたもの
であり、以下の効果が得られる。

【００６９】（１）モータの出力軸と弁体の軸穴とのク
リアランスおよびモータ取付穴とハウジングのボスとの
クリアランスとにより、偏心によるいわゆるこじりを防
止でき、簡単な構成で弁体駆動トルクが小さい流体制御
弁を実現できる。

【００７０】（２）自在継手を使用していないにもかか
わらずそれと同等の自在性があるため、コンパクトで構
成簡単な流体制御弁を実現できる。

【００７１】また、本発明の流体制御弁は、ハウジング
内に回動可能に設けられた弁体と、流入路と流出路の連
通面積を可変する前記弁体内部の流路の出口部がハウジ
ングとの摺動接触面に設けられ、その出口部を囲むよう
に形成した凸部と、前記弁体を回転駆動するモータと、
そのモータの出力軸に対してクリアランスを有する弁体
の軸穴と、モータの取付穴に対してクリアランスを有す
るハウジングのボスを設けたものであり、以下の効果が
得られる。

【００７２】（１）凸部がハウジングとの摺動接触面の
すきまを小さくするので、弁体外周のすきまからの洩れ
が著しく減少できるとともに、摺動接触面積が減少し、
弁体を回転させるのに必要なトルクを小さくできること
と、前記両方のクリアランスにより偏心こじりを解消す
る作用とが相まって、さらに必要駆動トルクが小さく
て、なおかつ弁体周囲のすきま洩れの少ない流量制御が
可能になる。

【００７３】（２）弁体を回転させるのに必要な駆動ト
ルクをさらに小さくでき、極めて軽く滑らかに回転操作
することができるので、小型で低トルクのモータで軽く
滑らかに回転駆動することができ、コンパクトで安価で
高耐久寿命の流体制御弁を提供することができる。

【００７４】また、本発明の流体制御弁は、複数の流出
路を有するハウジング内に回動可能に設けられた略円筒
形弁体の内部の流路の出口部が前記ハウジングとの摺動
接触面に設けられ、その出口部を囲むように形成した凸
部と、前記弁体を回動するモータと、そのモータの回転
角制御手段と、前記モータの出力軸に対してクリアラン
スを有する前記弁体の軸穴と、モータの取付穴に対して
クリアランスを有するハウジングのボスを設けたもので
あり、以下の効果が得られる。

【００７５】（１）単一の駆動手段の簡単な構成で所定
流路以外への漏れ流量を極少にでき、複数の流路の選択
切換えと、各々の流路における流量制御が可能になる。

【００７６】（２）必要な駆動トルクを小さくできるの
で、小型で低トルクのモータで弁体を回転駆動でき、コ
ンパクトで安価で高耐久寿命の流体制御弁を実現でき
る。

【００７７】（３）必要駆動トルクが小さくできること
により、駆動手段であるモータの減速ギアの減速比を低
減できるので、流路切換や流量調節の応答性を向上でき
る。

【００７８】また本発明の水流制御装置は、ステッピン
グモータを駆動手段とし、第一および第二の洗浄ノズル
の選択切換えと各々の洗浄ノズルから吐出される洗浄水
の流量調節を行う弁体の出口部を囲むように凸部を設
け、前記ステッピングモータの出力軸に対してクリアラ
ンスを有する弁体の軸穴と、前記ステッピングモータの
取付穴に対してクリアランスを有するハウジングのボス
を設けた流体制御弁と、前記洗浄ノズルの操作手段と、
この操作手段の信号により前記ステッピングモータの回
転角を制御する回転角制御手段を設けたものであり、以
下の効果が得られる。

【００７９】（１）操作手段からの信号により、ステッ
ピングモータへ供給されるパルス信号が制御され、ビデ
洗浄用の第一の洗浄ノズルと、肛門洗浄用の第二の洗浄
ノズルを選択的に切換えることが可能で、第一および第
二の洗浄ノズルから吐出される洗浄水量（水勢）を操作
手段の信号に応じて任意にきめ細かい調節ができ、かつ
凸部がハウジングとの摺動接触面のすきまを小さくする
ので、弁体外周のすきまからの洩れが著しく減少できる
とともに、摺動接触面積が減少し、弁体を回転させるの
に必要なトルクを小さくできることと、前記両方のクリ
アランスにより偏心こじりを解消する作用とが相まっ
て、さらに必要駆動トルクが小さくでき、小型、低コス
トで経時変化の問題のない耐久信頼性の優れた水流制御
装置を提供することができる。

【００８０】（２）上記により、ステッピングモータの
回転トルクの低減が可能となり、ステッピングモータの
小型、低コスト化が図れ、またステッピングモータの減
速比を低減できるため、複数の流路の選択切換えと、正
確な水勢調節が高速応答できるコンパクトな水流制御装
置を提供することができる。

【００８１】（３）ステッピングモータに供給するパル
ス信号により高精度に回転角制御ができ、正逆転動作を
任意回転角範囲においてできるので、洗浄水量にゆらぎ
を与えることが可能となり、人体局部に付着した汚物の
剥離効果が向上して効率的な洗浄ができるとともに洗浄
時の単調感が解消される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施例を示す流体制御弁の構成
図

【図２】同流体制御弁のＢ−Ｂ断面図

【図３】同流体制御弁のＣ−Ｃ断面図

【図４】本発明の第二の実施例を示す流体制御弁の構成
図

【図５】同流体制御弁のＤ−Ｄ断面図

【図６】同流体制御弁のＥ−Ｅ断面図

【図７】本発明の第三の実施例を示す流体制御弁の構成
図

【図８】同流体制御弁のＦ−Ｆ断面図

【図９】同流体制御弁のＧ−Ｇ断面図

【図１０】本発明の第四の実施例を示す水流制御装置の
構成図

【図１１】従来の流体制御弁を使用した温水洗浄便座の
ブロック構成図

【図１２】従来の流体制御弁の構成図

【図１３】同流体制御弁のＡ−Ａ断面図

【符号の説明】

２３ 流体制御弁 ２４ ハウジング ２５ 流入路 ２６ 流出路 ２７ 弁体 ３４ モータ ４０ 取付穴 ４１ 取付穴 ４２ ボス ４３ ボス ４４ クリアランス ４５ クリアランス ４６ 軸穴 ４７ 出力軸 ４８ クリアランス ４９ 流体制御弁 ５０ ハウジング ５１ 流入路 ５２ 流出路 ５３ 弁体 ５５ 出口部 ５６ 摺動接触面 ５７ 凸部 ６１ モータ ６７ 取付穴 ６８ 取付穴 ６９ ボス ７０ ボス ７１ クリアランス ７２ クリアランス ７３ 軸穴 ７４ 出力軸 ７５ クリアランス ７６ 流体制御弁 ７７ ハウジング ７８ 流入路 ７９ 第一の流出路 ８０ 第二の流出路 ８１ 弁体 ８２ 流路 ８３ 出口部 ８４ 摺動接触面 ８５ 凸部 ８６ モータ ９５ 取付穴 ９６ 取付穴 ９７ ボス ９８ ボス ９９ クリアランス １００ クリアランス １０１ 軸穴 １０２ 出力軸 １０５ 温水タンク １０６ 給水路 １０８ 第一の洗浄ノズル １０９ 第二の洗浄ノズル １１０ 操作手段 １１１ 洗浄スイッチ １１２ 洗浄スイッチ １１３ 水勢調節スイッチ １１４ 水勢調節スイッチ １１７ 回転角制御手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E03D 9/08 F16K 5/00 - 5/22

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】流入路と流出路を有するハウジングと、前
   記ハウジング内に回動可能に設けられた弁体と、前記弁
   体を回転駆動するモータと、前記モータの出力軸に対し
   てクリアランスを有する前記弁体の軸穴と、前記モータ
   の前記ハウジングへの取り付け用の取付穴に対してクリ
   アランスを有する前記ハウジングのボスを設けた流体制
   御弁。
2. 【請求項２】流入路と流出路を有するハウジングと、前
   記ハウジング内に回動可能に設けられた弁体と、前記流
   入路と前記流出路の連通面積を可変する前記弁体内部の
   流路の出口部が前記ハウジングとの摺動接触面に設けら
   れ、前記出口部を囲むように形成した凸部と、前記弁体
   を回転駆動するモータと、前記モータの出力軸に対して
   クリアランスを有する前記弁体の軸穴と、前記モータの
   前記ハウジングへの取り付け用の取付穴に対してクリア
   ランスを有する前記ハウジングのボスを設けた流体制御
   弁。
3. 【請求項３】流体供給路に連通する流入路と、前記流入
   路から各々分岐して設けられた複数の流出路を有するハ
   ウジングと、前記ハウジング内に回動可能に設けられた
   略円筒形弁体と、前記弁体内部の流路の出口部が前記ハ
   ウジングとの摺動接触面に設けられ、前記出口部を囲む
   ように形成した凸部と、前記弁体を回転駆動するモータ
   と、前記モータの回転角を制御することにより前記複数
   の流出路の選択切換と流量制御を行う回転角制御手段
   と、前記モータの出力軸に対してクリアランスを有する
   前記弁体の軸穴と、前記モータの前記ハウジングへの取
   り付け用の取付穴に対してクリアランスを有する前記ハ
   ウジングのボスを設けた流体制御弁。
4. 【請求項４】洗浄水を供給する給水路に設け洗浄水を加
   熱する温水タンクと、前記温水タンクに連通する流入路
   および前記流入路から各々分岐して設けた第一の流出路
   と第二の流出路を有するハウジングと、前記ハウジング
   内に回動可能に設けられた弁体と、前記弁体内部の流路
   の出口部が前記ハウジングとの摺動接触面に設けられ、
   前記出口部を囲むように形成した凸部と、前記弁体を回
   転駆動するステッピングモータと、前記ステッピングモ
   ータの出力軸に対してクリアランスを有する前記弁体の
   軸穴と、前記ステッピングモータの前記ハウジングへの
   取り付け用の取付穴に対してクリアランスを有する前記
   ハウジングのボスを設けた流体制御弁と、前記流体制御
   弁の第一および第二の流出路に各々連通する第一および
   第二の洗浄ノズルと、前記第一および第二の洗浄ノズル
   を選択駆動する洗浄スイッチと水量を調節する水勢調節
   スイッチを有する操作手段と、前記操作手段の信号によ
   り前記ステッピングモータの回転角を制御する回転角制
   御手段を設けた水流制御装置。