JP2752216B2 - 熱電対装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の効果］ （産業上の利用分野） 本発明は熱電対装置に関する。

（従来の技術） 熱電対装置は温度測定用センサとして広い分野に使用
されている。この熱電対装置は構造面から接地型と非接
地型とに区分され、非接地型はさらに密閉型と露出型と
に区分されている。

接地型の熱電対装置には、第３図に示すように先端を
開放した金属製の保護管ａの内部に熱電対ｂを挿入して
絶縁物ｃに埋設し、金属キャップｄに形成した孔に熱電
対ｂの先端を挿入して溶接により接続する構成のものが
ある。

密閉型をなす非接地型の熱電対装置には、第４図に示
すように先端を閉塞した保護管ａに熱電対ｂを挿入し、
熱電対ｄの熱接点ｆを保護管ａから離した状態で絶縁物
ｃに埋設した構成のものがある。

露出型をなす非接地型の熱電対装置には、第５図に示
すように熱電対ｂが熱接点ｄが位置する先端を除いて保
護管ａに充填した絶縁物ｃに埋設し、熱接点ｄを保護管
ａの先端から外部に露出させて外気に直接接触させる構
成としたものがある。

（発明が解決しようとする課題） しかし、これらの従来の各形式の熱電対装置には次に
述べる問題がある。

すなわち、接地型の熱電対装置は、熱電対の熱接点の
外気による腐食および応答性という点は問題がないが、
熱電対ｂの各素線を保護管ａに接続するためにキャップ
ｄに溶接して熱接点を構成するために、熱接点にキャッ
プｄの金属および溶接金属が溶融して混じる。このた
め、熱電対ｂの熱接点において発生する熱起電力があら
かじめ設定した仕様とは異なり、このことに伴い測定温
度に誤差が生じることがある。

また、密閉型をなす非接地型の熱電対装置は、熱電対
の熱接点における外気による腐食および熱接点に他の金
属成分が混入するという点については問題がないが、熱
接点が保護管及び絶縁物により外気とから遠く隔てられ
ているために、外部の熱が保護管から絶縁物を介して熱
接点に達するまでの間に時間がかかり、これにより熱電
対の応答性が低いという問題がある。

さらに、露出型をなす非接地型の熱電対装置は、応答
性および熱接点に他の金属成分が混入するという点につ
いては問題がないが、熱接点が外気に直接接触して腐食
および汚損し易く、このことから耐久性に問題がある。

本発明は前記事情に基づいてなされたもので、反応
性、耐久性および信頼性の各点で優れた熱電対装置を提
供することを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために本発明の熱電対装置は、一
端が開放され他端が閉塞され且つ閉塞された他端壁部に
貫通孔が形成された金属からなる保護管と、この保護管
の内部に一端開口から挿入された熱電対と、この熱電対
の熱接点部から延長され前記保護管の貫通孔に挿入して
保護管に溶接により固定された延長線とを具備すること
を特徴とするものである。

（作用） この構成によれば、保護管外部の熱が迅速に熱電対の
熱接点に伝達できて熱電対の応答性が良く、また熱接点
に他の金属が直接混入しないので熱電対の温度測定の精
度が良く、さらに熱接点が外気に直接触れないので、熱
接点が外気により腐食されることおよび汚損されること
がなくが熱電対の耐久性が高い。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を第１図及び第２図について
説明する。

図中１は耐食姓を考慮して例えばステンレス鋼で形成
された保護管で、先端の外形が流線形をなしている。保
護管１の孔２は基端が開放され、先端が閉塞されてお
り、この先端壁部には保護管内部と保護管外部との間を
貫通する細孔３が形成されている。４は熱電対で、この
熱電対４は種類の異なる一対の金属線５、６例えばアル
メル線とクロメル線とを組み合わせ、各金属線５、６の
先端を接合して熱接点７を形成したものであり、熱接点
７では一対の金属線５、６のうち耐食性に優れた一方の
線５、例えばクロメル線を僅かに延長して延長線として
いる。熱電対４は保護管１の孔２の基端開口から内部に
挿入され、孔２に嵌合したアルミナなどの絶縁材料から
なる棒状の絶縁体８に通して保護管１に対して絶縁した
状態で支持されている。熱電対４の先端部は絶縁体８か
ら突出して絶縁体８と孔２の先端との間で形成される空
間部に位置しており、熱電対４の熱接点７は保護管１の
内壁面に接触している。また、熱電対４の熱接点７から
延長している延長金属線５は保護管１の先端壁に形成し
た細孔３に挿入してあり、その細孔３の先端開口におい
て溶接により保護管１に固着されている。

なお、絶縁体８と孔２との間で形成される空間部には
ポリイミドなどの樹脂９を充填して熱電対４の熱接点５
および絶縁体８をを絶縁支持している。保護管１の孔２
より外部に位置する部分は四弗化エチレンなどの絶縁被
覆層10で絶縁被覆してある。保護管１の外周には絶縁ス
リーブ11が嵌合してある。熱電対４の基端は図示しない
温度測定器に接続されている。

このように構成された熱電対装置により温度測定を行
う場合について説明する。

保護管１の先端を温度測定すべき箇所に向けて保護管
１を適宜な固定部に固定する。保護管１の外部の熱が保
護管１の細孔３に挿入されている熱電対４の延長金属線
５に伝達して熱電対４の熱接点７に達する。これにより
熱電対４の一対の金属線５、６の間に起電力が発生して
一対の金属線５、６を接続してなる熱接点５に電流が流
れる。温度測定器はこの熱電対４に発生する電流を測定
して保護管１の外部の温度を測定する。

この実施例の熱電対装置は、熱電対４の熱接点７が保
護管１の内壁面に接触して接地型として、保護管１外部
の熱を保護管１から熱電対４の熱接点７に直接伝達でき
るとともに、熱電対４の延長金属線５を保護管１の細孔
３に挿入して、保護管１外部の熱を延長金属線５を介し
て熱接点７に直接伝達できるので、熱電対４が外部に熱
の変化に応じて迅速に温度測定動作を行う。

熱電対４の熱接点７は保護管１の内部に位置し、延長
金属線５は溶接により形成された溶接金属部（溶接棒の
金属が溶融して冷却硬化したもの）12により覆われるの
で、熱接点７および延長金属線５が外気に接触すること
がなく外気に接触して汚損および腐食することがない。
熱電対装置を使用して温度測定する箇所には腐食雰囲気
や汚損雰囲気の箇所があり、このような環境で温度測定
を行う場合に効果的である。

熱電対４の熱接点７に対しては溶接は施されず他の金
属成分が混入しないので精度の良い温度測定を行うこと
ができる。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明の熱電対装置によれば、保
護管の内部に一端開口から挿入された熱電対と、この熱
電対の熱接点部から延長され保護管の貫通孔に挿入して
保護管に溶接により固定された延長線とを具備するの
で、保護管外部の熱が迅速に熱接点に伝達されて熱電対
における応答性が良く、また熱接点に他の金属が直接混
入しないので熱電対における温度測定の精度が良く、さ
らに熱接点が外気に直接触れないので、保護管外部の流
体による熱接点の腐食及び汚損がなく耐久性が高い。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の一実施例を示すもので、
第１図は断面図、第２図は斜視図、第３図ないし第５図
は従来の熱電対装置を示す断面図である。 １……保護管、４……熱電対、５……延長金属線、７…
…熱接点、８……溶接部。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が開放され他端が閉塞され且つ閉塞さ
   れた他端壁部に貫通孔が形成された金属からなる保護管
   と、この保護管の内部に一端開口から挿入された熱電対
   と、この熱電対の熱接点部から延長され前記保護管の貫
   通孔に挿入して保護管に溶接により固定された延長線と
   を具備することを特徴とする熱電対装置。