JP2751307B2 - フェノール基含有低重合体の製法 - Google Patents

フェノール基含有低重合体の製法

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JP2751307B2 JP1024408A JP2440889A JP2751307B2 JP 2751307 B2 JP2751307 B2 JP 2751307B2 JP 1024408 A JP1024408 A JP 1024408A JP 2440889 A JP2440889 A JP 2440889A JP 2751307 B2 JP2751307 B2 JP 2751307B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なフェノール基含有低重合体の製法に関
し、詳しくはエチレンと飽和カルボン酸のビニルエステ
ルとの低共重合体と、フェノール基含有エステル化合物
を、無溶媒のもとにエステル交換することによるフェノ
ール基含有低重合体の製法に関するものである。
[従来の技術] 合成樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど
のポリオレフィンは、優れた機械的、化学的性質を有す
ることから多くの分野に利用されている。しかしこれら
のポリオレフィンに代表される合成樹脂は、加工時ある
いは使用時において、熱、酸素、光などの影響で分子中
の結合が切断されて、架橋や低分子量化等が惹起され、
軟化、脆化、表面亀裂などによる機械強度の低下や変色
などにより、その機能が低下することは良く知られてい
る。
このような劣化を防止するために、劣化の原因を考慮
した各種添加剤が合成樹脂に配合されている。なかでも
酸化防止剤と称される添加剤を、合成樹脂の製造、加工
工程中に添加して、劣化を防止することも良く知られて
いる。
このような酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t
−ブチル−4−メチルフェノール、2,2′−メチレンビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′
−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3
−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチ
ルフェニル)ブタン、ペンタエリスリトール テトラキ
ス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]等のフェノール系酸化防止剤が
知られており、これらを単独で用いたり、これらとトリ
ス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペン
タエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止
剤、あるいはジラウリルチオジプロピオネート、ジミリ
スチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロ
ピオネート等のイオウ系酸化防止剤と併用することによ
り、合成樹脂の劣化防止がなされている。
一方、このような低分子型の酸化防止剤に加え、酸化
防止剤の高分子量化も試みられている。
例えば、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ゾイックアシッドとビニル−β−クロロエチルエーテル
から得たβ−ビニロキシ(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシ)ベンゾエートをモノマーとして、このホモ
重合体を製造する方法、このモノマーとスチレンまたは
無水マレイン酸との共重合体を製造する方法(ジャーナ
ル オブ ポリマー サイエンス B版 第10巻 第15
7〜159頁(1972年)が提案されている。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体をアルコール分
解して得たエチレン−ビニルエーテル共重合体と3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオン酸エチルとを多量のベンゼン溶媒を用いてp−
トルエンスルホン酸触媒下にエステル交換することによ
る高分子型の酸化防止剤の製法(特公昭54−956号公
報)も提案されている。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体の高共重合体を
アルコール分解することなしに3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルと
多量のキシレンを用いてナトリウムメチラート触媒下に
エステル交換することによる高分子型の酸化防止剤(特
公昭51−136782号公報)も提案されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記の低分子型の酸化防止剤は、低分
子量物質であることおよびポリメチレン単位が少ないこ
と等から、ポリオレフィンなどの合成樹脂とは分子量や
極性が異なり、合成樹脂との相溶性に劣る場合が多く、
その結果、ポリオレフィンなどの合成樹脂と混合した
後、時間の経過とともに分離し、例えば成形製品の表面
に移行(ブリード現象)してロスし、性能が長期間維持
し難いという難点があった。
また特殊なモノマーを用いて重合もしくは共重合する
ことによル高分子量化する方法は、その製造収率が低か
ったり、酸化防止効果が十分でないという難点があっ
た。
またエステル交換による高分子量化する方法は、反応
率が低いため目的物の酸化防止能が不十分であったり、
その製造に多量の溶媒を用いるため、設備生産性が劣る
のみならず反応物の回収のための設備やエネルギーを必
要とし、製造コストの負担が大きいという工業的な難点
があった。
特に、前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体の高共重
合体をエステル交換する方法では、原料として、メルト
インデクス(MI)が30という高共重合体を用いている
が、この原料は100〜200℃においては、極めて高い粘性
を示すため、無溶媒のもとでは、混合操作が困難で均一
なエステル交換反応が困難となり、その結果高い反応率
のものが得られず、またさらに高い温度で操作すると、
脱酢酸反応等の共重合体の分解が起こり、不飽和結合の
生成や着色などがおこり、製品としての品質が大幅に低
下するという難点があり、多量の溶媒を用いて希釈溶液
でエステル交換を行う必要があった。エステル交換反応
は平衡反応であり、副生する酢酸メチルを減圧などによ
って、系外に排出することにより反応速度を高めること
ができるが、溶媒を用いると減圧操作が困難になるばか
りか、溶媒に酢酸メチルが溶け込み排出が困難になり反
応速度が低下し、十分な酸化防止能を有するものが得難
いという難点があった。
本発明は、ポリオレフィン等の合成樹脂との相溶性が
良く、ブリード性の低いしかも優れた酸化防止能を発揮
する物質を、工業的に有利に製造する方法を提供せんと
するものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した
結果、エチレンと飽和カルボン酸のビニルエステルとの
低共重合体を用いてエステル交換すれば、性能的にも非
常に良好である高分子型酸化防止剤が得られ、その製法
も工業的に極めて有利であることを見出し、本発明に到
達した。
すなわち本発明は、数平均分子量800〜5000、飽和カ
ルボン酸のビニルエステル含有量10〜50重量%であるエ
チレンと飽和カルボン酸のビニルエステルとの低共重合
体(A)と、一般式 (式中、R1は炭素数20以下のアルキル基、アリール基、
シクロアルキル基またはこれらの結合であり、R2、R3
炭素数20以下のアルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基またはこれらの結合であり、R2、R3のいずれか一方
が水素であってもよい。またmは0ないし3の整数であ
る。) で示されるフェノール基含有エステル化合物(B)を、
無溶媒のもとに50℃〜200℃で溶融撹拌してエステル交
換することを特徴とするフェノール基含有低重合体の工
業的に優れた製法を提供するものである。
本発明において使用される数平均分子量800〜5000、
飽和カルボン酸のビニルエステル含有量10〜50%である
エチレンと飽和カルボン酸のビニルエステルとの低共重
合体(A)は、公知の方法で製造し得る。
例えば、特公昭39−20069号、特公昭52−17558号、特
公昭60−33154号等の各公報に記載の、フリーラジカル
塊状重合、乳化重合、溶液重合などにより製造し得る。
共重合に際して用いられるコモノマーである飽和カル
ボン酸のビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、オクタン酸ビニル、
ステアリン酸ビニル等が挙げられる。これらは2種以上
使用し得る。
なお共重合するに際して、少量のエチレン以外のオレ
フィンコモノマー例えばプロピレン、ブテン、ヘキセン
あるいは少量の不飽和カルボン酸のアルキルエステル例
えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等を同時に
共重合することもできる。
また共重合における反応温度、圧力、溶剤の種類、分
子量調節剤の種類等は特に制限されるものではない。
本発明において使用されるエチレンと飽和カルボン酸
のビニルエステルとの低共重合体(A)は、数平均分子
量800〜5000の範囲が好ましく、数平均分子量が800未満
ではポリオレフィン等との相溶性が乏しくなったり、加
熱あるいは長時間の保持中にブリードしたりして酸化防
止能が十分に発揮し難くなる。また数平均分子量が5000
を超えるとエステル交換反応によってフェノール基含有
エステル化合物(B)を導入する際に、反応系の粘度が
上昇して撹拌が困難となるので好ましくない。
また飽和カルボン酸のビニルエステル含量は、10〜50
重量%の範囲が好ましく、10重量%未満または50重量%
を超えたものを用いると、生成物は、ポリオレフィン等
との相溶性が乏しくなったり、フェノール基含有化合物
の導入量が乏しくなって十分な酸化防止能を発揮し難く
なる。
なお数平均分子量は、蒸気圧平衡法、ビニルエステル
含有量は、ケン化法によって得られる値である。
本発明における、もう一方の原料である前記一般式で
示されるフェノール基含有エステル化合物(B)は、R2
および/またはR3がアルキル基、特にメチル基および/
またはt−ブチル基であることが好ましくかつR2および
/またはR3が水酸基に対してオルト位にあることが好ま
しい。
フェノール基含有エステル化合物(B)としては、例
えば、次に示すカルボン酸のメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、オクチル、ドデシル、フェニル、シクロヘ
キシルエステル等が挙げられるが、これらに限定される
ものではなく、また2種以上使用することもできる。
3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシ安息香酸、3−t−ブチル−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3−t−ブチル−5−エチル−4−
ヒドロキシ安息香酸、3−t−ブチル−6−エチル−4
−ヒドロキシ安息香酸、3−t−オクチル−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3−t−オクチル−5−メチル−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3−t−オクチル−5−エチル−4
−ヒドロキシ安息香酸、3−t−オクチル−6−メチル
−4−ヒドロキシ安息香酸、2−(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)酢酸、2−(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)酢酸、2−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、
2−(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)酢酸、2−(3−t−ブチル−5−エチル−4
−ヒドロキシフェニル)酢酸、2−(3−t−オクチル
−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2−(3−t−オク
チル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2
−(3−t−オクチル−6−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)酢酸、3−(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオン酸、3−(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオン酸、3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ン酸、3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオン酸、3−(3−t−ブチル−
6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
3−(3−t−ブチル−5−エチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオン酸、3−(3−t−ブチル−6−エ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3−
(3−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オン酸、3−(3−t−オクチル−5−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオン酸、3−(3−t−オク
チル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ン酸、3−(3,5−ジドデシル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸、4−(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)酪酸、4−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)酪酸、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)酪酸、4−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)酪酸、4−(3−t−ブチル−
5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酪酸、4−(3
−t−ブチル−5−エチル−4−ヒドロキシフェニル)
酪酸、4−(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)酪酸、4−(3−t−ブチル−6−エチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)酪酸、4−(3−t−オ
クチル−4−ヒドロキシフェニル)酪酸、4−(3−t
−オクチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酪
酸、4−(3−t−オクチル−6−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)酪酸。
本発明は、無溶媒のもとに50〜200℃で、前記の低共
重合体(A)とフェノール基含有エステル化合物(B)
をエスエル交換することを特徴とするものであるが、従
来技術では溶媒に希釈した高共重合体を用いて反応させ
ることから、反応後の溶媒の分離回収のための操作、装
置、エネルギー等が必要となり、甚だ不経済であった。
本発明によれば、無溶媒のもとで反応を行うので、溶媒
の分離回収を必要としないのみならず反応容器の容積効
率を向上することができ、目的物を工業的に有利に製造
し得る。さらに、反応温度において流動性に優れた低分
子量の共重合体すなわち前記の低共重合体(A)を用い
るので、反応率を高めることができ性能面でも優れた目
的物を製造し得る。
エステル交換させるに当たり、アルコール化合物を共
存せしめることが好ましく、これにより反応率をより一
層高めることができる。アルコール化合物の共存は、副
生する酢酸メル等を系外に除去して、エステル交換反応
の平衡を目的物側に移行させる効果を有している。
アルコール化合物としては、例えばメチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルア
ルコール、アミルアルコール、オクチルアルコール等が
有効である。アルコール化合物は2種以上用いることも
できる。なお、アルコール化合物は、溶媒すなわち低共
重合体(A)を溶解する効果は殆どなく、上記したよう
に副生する酢酸メチル等を系外に除去するために共存せ
しめるものである。
本発明においては、触媒として、例えばアルカリ金属
類のアルコラート、硫酸、塩酸、リン酸、p−トルエン
スルホン酸等の酸類、アミン類、ナトリウム、マグネシ
ユム、マンガン、亜鉛、パラジュウム、カドミウム、
錫、鉛等の金属の酢酸鉛、リン酸塩、ケイ酸塩等の鉛
類、塩化亜鉛、三塩化アンチモンなどの金属ハロゲン化
物などが使用し得る。
また、反応温度は、低共重合体(A)が溶融して撹拌
し得る温度以上、通常約50℃以上、好ましくは70〜200
℃である。200℃を超えると低共重合体(A)、フェノ
ール基含有エステル化合物(B)等が熱的に不安定にな
るので、好ましくない。
反応は、常圧もしくは減圧下で実施することが好まし
いが、副生する酢酸メチル等を系外に除去する手段、例
えば気相部のパージなどが行われるならば加圧下で実施
することもできる。
反応時間は、特に制限はないが、高温下で長時間保つ
と熱分解や副反応を誘発するので、目標とする反応率が
得られた時点で速やかに終了するのが好ましい。
また低共重合体(A)、フェノール基含有エステル化
合物(B)、アルコール化合物、触媒等の使用比率につ
ては、目標とする目的物の構造を考慮して決めれば良い
が、優れた酸化防止能を有する目的物を製造するために
は、低共重合体(A)中の飽和カルボン酸のビニルエス
テル含量100モルに対して、フェノール基含有エステル
化合物(B)を10〜200モル、好ましくは50〜100モルの
範囲で使用すれば良い。
触媒の使用量は、特に制限はないが、通常0.1〜100モ
ル程度、好ましくは1〜50モルの範囲が効率的である。
またアルコール化合物を使用する場合も、その使用量は
特に制限はないが、通常0.1〜200モル、好ましくは1〜
200モルの範囲が効率的である。
かくして得られた目的物は、酸化防止能を有するフェ
ノール基を多量に有するので、優れた酸化防止能を有し
かつポリオレフィン類等との相溶性に優れることから、
ポリオレフィン類と混合した後、時間の経過とともに表
面に移行(ブリード現象)して性能が低下するという弊
害も防止し得る。
そして従来の方法で製造した高分子型の酸化防止剤
は、反応率が低いため酸化防止能不十分であったり、溶
媒を用いるため、設備生産性が劣るのみならず目的物の
回収を必要とする等の工業上の難点があったが、本発明
の方法では、溶媒を用いないので、製造プロセス、装置
等も簡略化し得、かつ高い反応率でフェノール基含有低
重合体を製造し得るので、本発明の方法は工業的に有利
となる。
本発明によって得られたフェノール基含有低重合体
は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合樹脂、エチレン−ブテン共重合樹脂、
エチレン−ヘキセン共重合樹脂、ポリメチルペンテン等
のポリオレフィン類、スチレン−ブタジエンゴム、エチ
レン−プロピレン共重合ゴムなどの合成ゴム等に、従来
から使用されている酸化防止剤と同様に10〜10000ppmを
通常の方法、例えばミキサー、ブレンダー、ロール、ニ
ーダー等により混合することができ、ポリオレフィン
類、合成ゴム等の高分子化合物の安定性を高めることが
できる。
なおこの場合、高分子化合物に添加される他の添加
剤、例ば光安定剤、銅害防止剤、滑剤、過酸化物分解剤
等とも併用し得、また従来より使用されている酸化防止
剤とも併用し得る。後者の場合、各々の酸化防止剤の特
徴を出し合い、相乗効果としての一層優れた酸化防止効
果が得られる場合もある。
[実施例] 以下に実施例を示して、本発明を詳細に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1 (低分子量エチレン−酢酸ビニル共重合体の製造例) 高圧連続反応器を用い、エチレンと酢酸ビニルを、重
合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエートを用いて圧力1400kg/cm2、温度190℃、分子
量調節剤としてのプロパンの存在下に共重合させた。
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニ
ル含量30wt%、数平均分子量1900、軟化点30℃以下の高
粘性オリゴマーであった。
実施例1 250mlのフラスコに、参考例で製造した低分子量エチ
レン−酢酸ビニル共重合体28.7g(酢酸ビニル成分とし
て100ミリモル)と3−(3−t−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル(以下
MBPと略称する)25g(100ミリモル)を入れ、100℃で溶
解混合した後、撹拌しながら触媒としてのナトリウムメ
トキサイドを28%含むメチルアルコール溶液0.79g(ナ
トリウムメトキサイドとして5ミリモル)を加え、温度
を160℃まで昇温させながら徐々に減圧して最終的に5mm
Hgにした。
4時間後、100℃まで冷却し、テトラヒドロフラン50g
を加えて希釈し、これを冷メタノール500ml中に滴下し
て目的物を析出せしめて精製し、次いで減圧乾燥するこ
とにより、高粘性の黄褐色フェノール基含有低重合体3
6.4gを得た。
4時間後の反応物は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフにより分析したところMBPの反応率は45.2%であ
った。
得られた低重合体を紫外線吸収スペクトル分析によ
り、276nm付近の吸光度からフェノール基に基づく構成
成分を計算したところ、フェノール基含量は1gあたり0.
99ミリモルと算出された。結果を第1表に示した。
実施例2 実施例1においてMBPの代わりに3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル
(以下、2,6−BPと略称する)29.2g(100ミリモル)を
用いる以外は実施例1に準拠して実施し、黄褐色フェノ
ール基含有低重合体38.8gを得た。
なお、反応中に気化した成分をトラップしてガスクロ
マトグラフにより分析したところ、酢酸メチルの保持時
間に一致する成分の存在を認めた。
2,6−BPの反応率は57.8%、フェノール基含量は1gあ
たり1.16ミリモルであった。結果を第1表に示した。
実施例3 実施例1において、触媒を加えた後、メチルアルコー
ルを6g加える以外は、実施例1に準拠して実施した。結
果を第1表に示した。
実施例4 実施例2において、触媒を加えた後、メチルアルコー
ルを6g加える以外は、実施例2に準拠して実施した。結
果を第1表に示した。
実施例5 実施例2において、触媒を加えた後、エチルアルコー
ルを6g加える以外は、実施例2に準拠して実施した。結
果を第1表に示した。
実施例6 実施例2において、触媒としてリチウムアミド0.12g
(5ミリモル)用いる以外は実施例2に準拠して実施し
た。結果を第1表に示した。
実施例7 実施例2において、触媒としてp−トルエンスルホン
酸0.86g(5ミリモル)用いる以外は実施例2に準拠し
て実施した。結果を第1表に示した。
実施例8 参考例に準じて製造した酢酸ビニル含量38wt%、数平
均分子量2800、軟化点32℃のエチレン−酢酸ビニル低共
重合体22.6g(酢酸ビニル成分として100ミリモル)を用
いた以外は、実施例4に準拠して実施した。結果を第1
表に示した。
実施例9 参考例に準じて製造した酢酸ビニル含量24wt%、数平
均分子量1500、軟化点40℃のエチレン−酢酸ビニル低共
重合体35.7g(酢酸ビニル成分として100ミリモル)を用
いた以外は、実施例4に準拠して実施した。結果を第1
表に示した。
比較例1 エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂スミテート KC−10
(住友化学工業(株)製、酢酸ビニル含量28wt%、メル
トインデクス150、平均分子量 約7500、軟化点(ビカ
ット)30℃)を31g(酢酸ビニル成分として100ミリモ
ル)用いる以外は、実施例3に準拠して実施したが、16
0℃では撹拌混合が全くできず均一なフェノール基含有
重合体を製造することは不可能であった。念のために反
応物をゲルパーミッションクロマトグラフにより分析し
たが、反応率はわずか2.8%に過ぎなかった。
比較例2 比較例1において、MBPの代わりに、2,6−BPを同モル
用いる以外は、比較例1に準拠して実施したが、撹拌混
合が全くできず均一なフェノール基含有重合体を製造す
ることは不可能であった。また2,6−BPの反応率はわず
か3.6%に過ぎなかった。
比較例3 比較例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂
とMBPをキシレン150mlに溶解させた溶液系で実施する以
外は比較例1に準拠して実施した。
4時間反応後、100℃まで冷却し、冷メチルアルコー
ル500mlに加えて、ポリマーを析出せしめて精製、減圧
乾燥することにより、綿状の白色フェノール基含有重合
体37.5gを得た。フェノール基含量は1gあたり0.55ミリ
モルであった。結果を第1表に示した。
比較例4 比較例3において、MBPの代わりに2,6−BPを同モル用
いる以外は、比較例3に準拠して実施した。結果を第1
表に示した。
比較例5 エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エバフレックス 15
0(三井石油化学工業(株)製、酢酸ビニル含量33wt
%、メルトインデックス30)を26g(酢酸ビニル成分と
して100ミリモル)、キシレン1000mlを用いる以外は、
比較例4に準拠して実施した。ただし反応物の再沈には
メチルアルコールを3000ml用いた。
綿状の白色フェノール基含有重合体38.8gを得た。フ
ェノール基含量は1gあたり0.75ミリモルであった。結果
を第1表に示した。
参考例2 (ポリオレフィンの酸化防止能) エチレン−ブテン共重合体(密度0.92g/cm3、メルト
インデクス7.0、ブテン含量28%)100重量部に、実施
例、比較例で製造したフェノール基含有重合体、市販さ
れている酸化防止剤 スミライザー BHT(住友化学工
業(株)製、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ール)、スミライザー BP−101(住友化学工業(株)
製、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン)をそれぞれ0.2重量部添加し、ブラベンダーを用い
て160℃で10分間混合した後、150℃でプレスして厚さ50
0μmのシートとした。
なお無添加品も同様にしてシートを製造した。この無
添加品の引張り試験による機械的強度は、引張り破壊強
さが195kg/cm2、引張り破壊伸びが990%であった。
上記のプレスシートを空気中190℃のギヤオーブン中
で5時間保持した後、変形したシートーを再度150℃で
プレスして厚さ500μmのシートとし、引張り試験によ
って機械的強度を測定した。第2表にその結果を示し
た。
なお、引張り破壊強さと引張り破壊伸びの数値が小さ
くなるほど、エチレン−ブテン共重合体が劣化の傾向に
あると言えるが、本発明品は劣化防止に優れている。
[発明の効果] 本発明によれば、第1表の実施例、比較例、参考例か
らも明らかなように、数平均分子量800〜5000、飽和カ
ルボン酸のビニルエステル含有量10〜50重量%であるエ
チレンと飽和カルボン酸のビニルエステルとの低共重合
体(A)と、フェノール基含有エステル化合物(B)
を、無溶媒のもとに50℃〜200℃で溶融撹拌してエステ
ル交換することにより、従来法であるエチレンと飽和カ
ルボン酸のビニルエステルとの高共重合体を用いる方法
の難点、すなわち反応率が低いため目的物の酸化防止能
が不十分であったり、その製造に多量の溶媒を用いるた
め、設備生産性が劣るのみならず反応物の回収のための
設備やエネルギーを必要とし、製造コストの負担が大き
いという工業的な難点などを改善することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 寿三男 千葉県市原市姉崎海岸5―1 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 近成 謙三 千葉県市原市姉崎海岸5―1 住友化学 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭51−136782(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】数平均分子量800〜5000、飽和カルボン酸
    のビニルエステル含有量10〜50重量%であるエチレンと
    飽和カルボン酸のビニルエステルとの低共重合体(A)
    と、一般式 (式中、R1は炭素数20以下のアルキル基、アリール基、
    シクロアルキル基またはこれらの結合であり、R2、R3
    炭素数20以下のアルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基またはこれらの結合であり、R2、R3のいずれか一方
    が水素であってもよい。またmは0ないし3の整数であ
    る。) で示されるフェノール基含有エステル化合物(B)を、
    無溶媒のもとに50℃〜200℃で溶融撹拌してエステル交
    換することを特徴とするフェノール基含有低重合体の製
    法。
  2. 【請求項2】低共重合体(A)の数平均分子量が1500〜
    2800であることを特徴とする請求項1記載のフェノール
    基含有低重合体の製法。
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