JP2750541B2 - 花木・山草を植えるコンクリートの天然状の岩石の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本件発明は、コンクリートで空洞のある岩石を造り、
空洞内に培養土を挿入し、花木・山草を植えて観賞に用
いる岩石の製造方法に関する。

コンクリートで岩石を造り花木・山草を植えて市販す
ることは、植木鉢では見受けられるが、コンクリートで
造った天然状の岩石に花木・山草を植えた物は見当たら
ない。火山の溶岩や軽石をセメントで接着させ凹部を造
って凹部に花木・山草を植えた物はある。だが格好が悪
く移動した時に接着部が離れやすい。

天然状の岩石に見せかけて花木を植えた類似品は色々
あり福岡県八女石又は鹿児島県桜島の軽石等の水成岩や
火山岩の柔らかい石をのみやグラインダーで天然の岩石
状に造った石が産出されてはいるが、のみやグラインダ
ーの加工跡が残って天然の状態とはほど遠く、岩石の胴
中を彫り抜くような加工が出来ない。焼物の岩石が有る
が、焼物は素地の乾燥中や窯の中で焼成中にひびが入り
易く、落とせば割れる恐れがあり又一見して焼物である
ことが分かり天然の岩石らしくない。岐阜県の楫斐川石
が全国に市販されているが、これは石灰岩の割石をドリ
ルやサンダーで荒型を造り塩酸の中に長期間入れて表面
を侵食させ天然状に造るのであるが酸が石の中に浸透し
て長期間植物が植えられず、値段も高くつく。尚、石の
中に空洞を造ることも出来ないので湖底より採集したケ
ト土を用いて花木・山草を岩石にへばりつけ何本もの銅
線で縛り付けておくのである。この方法は、花木・山草
がなかなか石に馴染まず、朝夕毎日水をやらなければ枯
れてしまい、栽培には高度の技術を要する。本件発明
は、シリコンゴムの抜型と石膏で造った支壁を組み立て
抜型内へ各種配合したコンクリート及び中央部に布を丸
めて詰め込み、固まった後支壁、抜型を取り除き岩石内
の布を抜き取って、抜き取った布の空洞部へ培養土を入
れて花木・山草の栽培を可能となした天然状のコンクリ
ート岩石を得る事を目的としたものである。

本発明を図面によって説明すると、まず粘土又はゴム
粘土で景色の良い岩石又は滝を縮写した天然状の岩石を
造り頂きに円柱の粘土を取り付けた元型１を造り、凝固
剤を混ぜ合わせたシリコン液を元型の底部及び最上部の
円柱の側面並びに上面を残し元型全体に円柱の付根まで
塗り、目の小さい網を小さく切って全面に貼りさらに網
の上にシリコン液を塗る。抜型の大きさにより網を二重
三重に貼って、シリコン液を塗って抜型２の全体像を造
り、次に煉瓦と泥土を用いて防流堤３を抜型２の周囲に
20〜50cm前後の間隔を置き、ドーナツ状に20〜30cm前後
の高さに積み上げる。厚紙又はブリキで抜型２の外面と
防流堤３の内面に合わせて造った区画板８をドーナツ状
の中へ縦に３箇所又は４箇所必要な数を差し込んで区画
を造り石膏を水に溶かし又はウレタン樹脂液を固形可能
な状態に調合して各々の区画内に防流堤３の天場の高さ
まで流し込み、固まった後石膏の天場に紙７をドーナツ
状の石膏の上に置き、さらに中段の防流堤３を積み上げ
下段と同じ事を繰り返して石膏を流し最上段に達するの
である。最上段の天場は、円柱の付根まで流し込む。石
膏の固まるのを待って防流堤３を取除き、固まった石膏
又はウレタン樹脂に各々の区画に番号を付けて最上段か
ら一個ずつバールでこじて外して支壁４が出来る。支壁
４を全部取り外せば抜型２が露出し、露出した抜型２を
小刀を用いて支壁４の各段の高さと同じ高さに水平に輪
切り状に切り離し、さらに輪切りした１箇所を縦に切り
離し元型１から剥ぎ取る。中段下段も同じ要領で剥ぎ取
り、解体した支壁４を解体前のようにドーナツ状に下段
を組み立てて下段の抜型２を支壁４のドーナツ状の中に
凹凸を合わせてはめ込み、抜型２の内面全体に水を吸わ
せ糊状の高吸水性樹脂又は水に溶かした化学糊等の糊を
塗り、ドーナツ状の空間９の中央の底に高吸水性樹脂を
塗った布５を直径５〜10cm、高さ10〜20cm前後を岩石の
大小に応じた大きさにして直立させて置き、抜型２の内
面と布５の間にセメントに着色剤及び白化防止剤を適量
入れさらに気泡の有るバラスを小・中・大粒と水を適量
混合させたコンクリートを布５の高さまで流し込み岩石
の土台と空洞部の底を造り、数個の高吸水性樹脂又は化
学糊を塗った布５を丸めて、コンクリートを流した上面
の中央にドーナツ状の抜型２の直径の２分の１前後の太
さにして支壁４の高さに塊となして積み上げ、積み上げ
た布５と抜型２の空間９へコンクリートを支壁４の高さ
まで流し込む。さらに中段の支壁４を下段の支壁４に合
わせて重ね、ドーナツ状に組み立て、組み立てた内面に
抜型２を差し込み高吸水性樹脂又は化学糊を塗り、下段
と同じように高吸水性樹脂又は化学糊を塗った布５を中
央に入れ、コンクリートを流し込む。花木・山草を植え
ようと思う所あるいは岩石に空洞を造り自然の状態に見
せようとする所には、高吸水性樹脂又は化学糊を塗った
布５を丸めて中央部より枝状に抜型２に達するまで詰め
込んでコンクリートを詰める。さらに最上段は１個だけ
支壁４を積まずに置き、他の支壁４を積み上げ袋状とな
し抜型２に高吸水性樹脂又は化学糊を塗って袋状の箇所
から押し込む。残しておいた支壁４を組み立て支壁穴13
・ゴム穴14より布を丸めて高吸水性樹脂又は化学糊を塗
って詰め込みコンクリートを同じ穴より流し込んで詰め
込みを終わる。詰め込んだコンクリートの外面は自重の
数百倍の水分を吸収した高吸水性樹脂又は化学糊と接し
てコンクリートのバラスの間にあるコロイド状のセメン
トの中に入り拡散を行い、又セメントは糊状の高吸水性
樹脂又は化学糊の中に入り、セメントの凝固を防ぎ、凝
固時間が過ぎても岩石の表面だけが固まらない。内部の
コンクリートだけが時間の経過と共に徐々に固まる。岩
石表面のセメントと混ざった高吸水性樹脂又は化学糊は
時間がたつと共に吸水した水分を放水して体積が小さく
なり、固まったコンクリートと抜型２の間に透き間が出
来、抜型２が簡単に剥ぎ取られるようになる。６・７日
過ぎれば支壁４を上部より取り外し次に抜型２を剥ぎ取
り岩石６を露出させ、布５を引き出して空洞となし岩石
表面を鋼線ブラシで強く擦って付着している高吸水性樹
脂又は化学糊を取り除くと共にコンクリートの表面の砂
や小石セメントを擦り落とし、大粒の石は固まったコン
クリートの中に深く入っているので落ちずに残り表面の
凹凸が大きくなり天然のゴロゴロした岩石状となる。出
来上がった岩石の底部の排水穴17へ、小石15を５〜10個
を入れて培養土の流出を防ぐと共に排水を良好な状態に
なしておく。空洞部全体に培養土を入れて植え込み穴16
へ花木11・山草12を植え水や肥料を与えて育成する。
尚、小さい岩石や背丈の低い横に広い石を造る場合は、
粘土で元型１を造りシリコン液を塗り網を貼って、前記
のゴム穴14及び支壁穴13は必要ないので設けない。その
他は同じように防流堤３を垂直に積み上げ上面と下面を
同じ大きさに石膏を流す。支壁４・抜型２が出来上がれ
ば、支壁４を裏返して逆さまに組み立て擦り鉢状となし
その中に抜型２を組入れる。高吸水性樹脂又は化学糊を
塗り、必要な箇所へ布５を入れてコンクリートを詰め、
上面を平らになしておく。固まった後ひっくり返して支
壁４・抜型２を取り除き前記と同じ作業を行って背丈の
低い岩石・小さい岩石を造る。

本件発明は、天然の岩石又は滝の景を粘土で造ること
で縮写出来る。縮写した元型を寸分違わぬようにシリコ
ンゴムによって元型が造られ、尚又支壁も外面に石膏を
流して同じ型の支壁が造られコンクリートを詰めた時、
元型と同じ物が形崩れせずに造ることが出来る。高吸水
性樹脂又は化学糊を抜型の内面に塗って、コンクリート
詰めを行うので、抜型に接するコンクリートの面はセメ
ントが固まらず、鋼線ブラシで擦れば表面のセメントや
砂及び小石を取り除くと大粒の石が表われ、天然の岩石
と変わらぬ相となる。尚又表面が固まらないので抜型に
もセメントが付着せず岩石も傷めず形外しも簡単に出来
る。シリコンゴムによって抜型が造られているので、伸
び・縮み・曲がりが自由に出来るので、Ｃ形弯曲・先太
り等の難しい型抜も簡易に抜ける。コンクリートの中に
高吸水性樹脂又は化学糊を塗った布を入れて固まらせる
ことにより簡単に引き出し、中空の岩石を造る事が出来
る。この方法で造れば１個の石で滝が造れ谷が出来、岩
上には花木・山草が植えられる。

日本庭園のように大きな土地を要することもなく、狭
い土地で深山幽谷の景を求めることが出来る。製作に高
度の技術を要せず型枠に入れて固めるので、同じ物が簡
単に短期間の内に造ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、粘土で造った岩石の元型に円柱をのせて正面
より見た図。 第２図は、元型１にシリコン液を塗り、抜型２を貼り下
段の防流堤３を積み上げた断面図。 第３図は、区画板８を入れ各々の区画の空間15内に石膏
を流し固まった後、中段の防流堤３を積み上げた断面
図。 第４図は、防流堤３の積み上げを完了して石膏を流し終
わった全体図の断面図。 第５図は、防流堤３を取り除き斜め前から見た組合わさ
った支壁４の全体図。 第６図は、支壁４の上段、中段を取り除き抜型２の上段
の部分を剥ぎ取り元型１の中段の抜型２を露出させた姿
を前から見た図。 第７図は、下段の支壁４を組み立てた斜視図。 第８図は、元型１より剥ぎ取った抜型２の斜視図。 第９図は、支壁４を組み立わせ、抜型２を挿入し中央部
に布５を入れ、真上より見た図。 第10図は、下段の支壁４を組み立て、抜型２を入れて中
心部に布５を入れて空間９にコンクリートを詰め、中段
の支壁及び抜型２を組み立てた断面図。 第11図は、コンクリートを詰め終わった全体の断面図。 第12図は、支壁４、抜型２を取り除き布５を抜き取って
空洞10の底に小石15を入れた岩石の断面図。 第13図は、横に広く高さの低い岩石造りの元型１に抜型
２を貼り、防流堤３を積み上げ区画板８を挿入した断面
図。 第14図は、元型１より支壁４及び抜型２を剥ぎ取り、支
壁４を逆さまに組み立て抜型２を挿入した断面図。 第15図は、流し込んだコンクリートが固まった後、型と
共に元に返して支壁４及び抜型２を取り除き、布５を引
き出した岩石の断面図。 第16図は、完成した大・中・小の岩石に花木11・山草12
を植えて配列し、正面より見た図。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】粘土又はゴム粘土で天然石のごとく元型
   （１）を造り、シリコンゴム液を底部以外の全面に塗り
   網目の布を小さく切ってその上に貼り付け、さらに網目
   の布の上にシリコンゴム液を塗りシリコンゴムの抜型
   （２）を造り、その下の床面に適当な間隔をおいて、変
   形のドーナツ状に防流堤（３）を煉瓦と泥土で20〜30cm
   前後に積み上げて、流し込み空間（15）を造り厚紙又は
   ブリキで抜型（２）の表面と防流堤（３）の内面凹凸に
   合わせた区画板（８）を造り、変形のドーナツ状の流し
   込み用空間（15）の中に２箇所以上を凹凸の大きさに応
   じた適当な数を差し込み区画を造り石膏を水で溶かした
   もの又はウレタン樹脂液等の液状のもの又は弱粘性の常
   温で固形可能なるもので各々区画ごとに防流堤（３）の
   天場に水平になる様に流し込み支壁（４）を造る。該流
   し込んだものが固まった後上面に紙（７）を全面に貼
   り、さらに防流堤（３）の上に煉瓦と泥土で中段を下段
   と同じ様に20〜30cmに積み上げ区画板（８）を差し込ん
   で、各々区画に流し、紙（７）を貼ってさらに上段を下
   段と同じように作業を繰り返して石膏を水で溶かしたも
   の又はウレタン樹脂液等の液状のもの又は弱粘性の常温
   で固形可能なるもののいずれかを流す。該流し込んだも
   のが固まった後、防流堤（３）を取除いて、各段区画ご
   とにブロックになった支壁（４）を取り外し、露出した
   抜型（２）をブロックの各段の高さと同じ高さに輪切状
   に小刀を用いて切り離し、さらに輪切りになった抜型を
   縦に一箇所切り離して元型（１）より各段ごとに剥ぎ取
   り抜型（２）を造り、取り外した支壁（４）を下段から
   変形ドーナツ状に組合わせ抜型（２）をドーナツ状の中
   に凹凸を合わせてはめ込む。さらに水を吸わせた糊状の
   高吸水性樹脂又は糊を抜型（２）の内面に塗り、変形ド
   ーナツ状の中心部に糊状となった高吸水性樹脂又は糊を
   塗った布（５）を丸めて抜型（２）の高さまで詰めて置
   き、布（５）と抜型（２）の空間（９）にセメントに砂
   及び大中小のバラス・着色剤・白化防止剤と水を適量混
   ぜたコンクリートを抜型（２）の高さまで詰め込み、さ
   らに中段の支壁（４）を下段の上に組み合わせ下段と同
   じ作業を行ってコンクリートを詰め、さらに上段を組み
   合わせてコンクリートを詰め、コンクリートが固まった
   後支壁（４）及び抜型（２）を取り外し布（５）を引き
   出し空洞（９）となし空洞（９）へ培養土を入れ花木・
   山草を栽培する事を可能にした天然状の岩石の製造方
   法。