JP2748312B2 - 路面舗装法及び路面舗装用組成物 - Google Patents

路面舗装法及び路面舗装用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は路面の舗装法及びそ
の舗装用の組成物に関し、特に、施工現場で発生する廃
棄残土の有効利用を可能とし、かつ歩行性、透水性、熱
吸収性に優れた舗装路面を提供する路面舗装法及び路面
舗装用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば特開平6−257103号公報、
特開平7−138905号公報、特開平8−12800
2号公報等には、種々のアスファルト舗装やコンクリー
ト舗装の改善技術が開示されているが、近年、都市居住
空間や公園等には、訪れる者のアメニティを考慮した遊
歩道が多く見受けられ、このようなプロムナードでは従
来のアスファルト舗装やコンクリート舗装にはない、周
囲の環境に調和した自然派志向の路面の提供が要望され
ている。
【0003】また、このような遊歩道や散策道をはじ
め、屋外のスポーツ用コートや、屋内外に設けられる駐
車場等の施設などでは、熱吸収性が良好で舗装面からの
反射熱の少ない、かつ透水性のよい路面の実現が望まれ
ている。
【0004】そして、このような機能を有する舗装路面
を、土地の造成や掘削等で生じる残土を廃棄処理するこ
となく再利用して施工することができれば、地球環境の
保全につながると共に、周辺の緑との共存にも寄与し得
るものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、従来提案されて
いる各種舗装技術は、例えば上記各公報に開示されてい
るように、施工現場から発生する排土を再生使用するこ
とや、重荷重に耐え得る透水性の舗装構造あるいは高強
度のコンクリート舗装構造等が知られているものの、廃
棄残土を有効利用して土の質感を残したままの自然な舗
装面を実現し、歩行する者が心地よく散策でき、かつ、
透水性、熱吸収性に優れる舗装路面を提供する技術は見
当たらない。
【0006】本発明者は、かかる現状に鑑み、廃棄残土
を再利用して、自然環境に優しく、快適な歩行性を実現
する路面舗装技術の開発に鋭意研究を重ねた結果、さら
に透水性及び熱吸収性に優れる舗装面が得られるという
顕著な知見を得て、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のうち
請求項1に記載の発明は、路面舗装法であって、土壌に
セメント及び高炉水砕スラグをそれぞれ所定量づつ混合
した後、アンモニウム塩類又はナトリウム塩類の少なく
ともいずれかと、カリウム塩類と、鉄化合物と、硝酸カ
ルシウム又は塩化カルシウムと、マグネシウム塩類とを
水に添加してなる溶液を上記混合物に所定量添加して練
り合わせ、これを被舗装面上に展圧することを特徴とす
る。
【0008】また、請求項2に記載の発明は、上記溶液
の組成を限定したものであって、該溶液が、100重量
部の水にアンモニウム塩類又はナトリウム塩類の少なく
ともいずれかを1〜3重量部、カリウム塩類を1〜4重
量部、鉄化合物を3〜10重量部、硝酸カルシウム又は
塩化カルシウムを70〜150重量部、及びマグネシウ
ム塩類を3〜7重量部添加してなることを特徴とする。
【0009】次に、請求項3に記載の発明は、上記各配
合成分の混合比率を限定したものであって、100重量
部の土壌に、セメントを2〜5重量部、及び高炉水砕ス
ラグを1〜2重量部混合した後、この混合物に上記溶液
を0.2〜0.7重量部添加することを特徴とする。
【0010】一方、請求項4に記載の発明は、路面舗装
用組成物であって、(A)土壌を100重量部、(B)
セメントを2〜5重量部、(C)高炉水砕スラグを1〜
2重量部、及び、(D)100重量部の水にアンモニウ
ム塩類又はナトリウム塩類の少なくともいずれかを1〜
3重量部、カリウム塩類を1〜4重量部、鉄化合物を3
〜10重量部、硝酸カルシウム又は塩化カルシウムを7
0〜150重量部、及びマグネシウム塩類を3〜7重量
部添加してなる溶液を0.2〜0.7重量部含有するこ
とを特徴とする。
【0011】このように、本発明においては、種々の無
機化合物が添加されて多くのアルカリイオンや金属イオ
ンを含有するように調整されたイオンリッチな溶液(以
下「触媒溶液」という。)が、土壌、セメント、高炉水
砕スラグと共に配合される。本発明者は、上記触媒溶液
を土壌、セメント、高炉水砕スラグと混合して養生する
と、結合力が高く緻密で強固な構造体が得られ、これが
舗装材として使用し得る耐荷重性を有することを見出し
た。
【0012】この理論については必ずしも明らかではな
いが、触媒溶液中に存在する多量のイオンによって電子
濃度が高くなり、ケイ酸カルシウムやシリカ等の無機成
分のイオン化反応が活性化され、このような触媒的な作
用の結果として、土壌、セメント、高炉水砕スラグ同士
の凝結、硬化が促進されると共に、さらに、その場合
に、凝結、硬化の支障となる水酸基やカルボン酸基を有
するイオン化速度の低い有機化合物が活性化した無機イ
オン間の速やかな結合反応に関与する確率が低減され
て、これらの相乗効果により、無機成分間の結合力が大
きく、強固で緻密な構造体が得られるものと考えられ
る。
【0013】なお、この触媒溶液の調整に用いられるア
ンモニウム塩類としては、例えば、塩化アンモニウム等
が使用でき、これらの一又は二以上を併用してもよい。
【0014】また、ナトリウム塩類としては、例えば、
塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等が
使用でき、これらの一又は二以上を併用してもよい。
【0015】さらに、カリウム塩類としては、例えば、
炭酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリ
ウム等が使用でき、これらの一又は二以上を併用しても
よい。
【0016】一方、鉄化合物としては、例えば、硫酸鉄
等の+2価の鉄化合物等が使用でき、これらの一又は二
以上を併用してもよい。
【0017】そして、マグネシウム塩類としては、例え
ば、塩化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸マグ
ネシウム等が使用でき、これらの一又は二以上を併用し
てもよい。
【0018】この触媒溶液の調整方法の一例を説明する
と、まず、カルキ分(塩素分)を除去した水100重量
部に、1〜3重量部のアンモニウム塩類又はナトリウム
塩類の少なくともいずれかと、1〜4重量部のカリウム
塩類とを、例えばこれらを予め混合しておく等して同時
に水に添加するようにする。同時に添加することによ
り、これらの成分のイオン化が促進されて、溶液調整が
容易となるからである。
【0019】また、これらの添加後は、約12〜18分
間撹拌すると共に、水温を3〜10℃に保つようにす
る。水温をこの温度範囲に保つことによって、調整され
た触媒溶液の触媒作用が常に安定的に得られるようにな
る。
【0020】そして、これに3〜10重量部の鉄化合物
を添加し、約12〜18分間撹拌する。この鉄化合物を
水に添加するときも、上記と同様の理由により、水温を
3〜10℃に保つようにする。
【0021】次に、70〜150重量部の硝酸カルシウ
ム又は塩化カルシウムを添加し、約25〜35分間撹拌
する。
【0022】このとき、硝酸カルシウム又は塩化カルシ
ウムに代えて、リン酸カルシウム又はケイ酸カルシウム
等の他のカルシウム塩類を使用してもよい。
【0023】そして、得られた溶液をさらに10〜15
時間放置すると共に、水温を15〜20℃、好ましくは
17〜18℃に冷却し、然る後、3〜7重量部のマグネ
シウム塩類を添加することにより、本発明で使用する触
媒溶液が最終的に得られることになる。
【0024】本発明の舗装法においては、まず土壌にセ
メントと高炉水砕スラグとを混合しておき、これに上記
組成の触媒溶液を添加して練り合わせ、被舗装面上に展
圧する。このときの各配合成分の混合比率としては、例
えば、土壌100重量部、セメント2〜5重量部、高炉
水砕スラグ1〜2重量部、及び上記組成の触媒溶液0.
2〜0.7重量部等とすることができ、特に、養生後に
得られる舗装路面における土壌成分の含有率を90%以
上と高くすることができる。
【0025】このように土壌成分の含有率を高くできる
ことにより、自然土の質感が残存されて快適な歩行性が
確保されると共に、土壌成分特有の微細孔構造によって
良好な透水性と熱吸収性がそのまま生かされることにな
る。そして、このように土壌成分の含有率が高い状態
で、該土壌成分に相対的に僅かな配合量のセメントや高
炉水砕スラグ成分が触媒溶液の働きにより強固に固化反
応して緻密な結合構造体となり、舗装路面としての使用
に耐え得る十分な耐荷重性が実現される。
【0026】その場合に、触媒溶液は、土壌、セメン
ト、高炉水砕スラグの混合物に対して原液のまま添加す
るのではなく、予め水で希釈してから添加すると、より
好適な舗装路面が得られる。特に、上記組成の触媒溶液
の場合では、希釈倍率は7〜15倍が好ましく、また、
該触媒溶液の添加後の組成物中における土壌の含有率が
70〜80%となるような量の水で希釈することが好ま
しい。
【0027】なお、被舗装面上の展圧厚さは、施工条件
にもよるが、一般に、3cm〜10cm程度が標準であ
る。また、舗装路面に要望される機能や用途等によっ
て、触媒溶液の組成、あるいは、各配合成分の混合比率
を適宜変更することができることはいうまでもない。さ
らに、本発明の路面舗装法又は路面舗装用組成物におい
て、得られる舗装路面に着色あるいは模様を施すために
各種の顔料を配合してもよい。
【0028】このように、本発明の路面舗装法又は路面
舗装用組成物によれば、施工現場で発生する残土を主成
分として有効利用し、これを触媒溶液の働きで僅かな量
のセメント及び高炉水砕スラグと反応させて結合力が高
く緻密で強固な構造体に変性させるので、環境破壊を抑
制しつつ、周囲の自然や緑とよく調和する舗装路面が実
現される。そして、土壌含有率が高いため、快適な歩行
性と、良好な透水性及び熱吸収性を有する舗装面が得ら
れ、公園内の遊歩道や散策道路、テニスコート等の屋外
スポーツ施設、屋内外のパーキングスペース等、広範な
利用が期待できる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく
説明する。触媒溶液の調整 123kgの工業用水に12gのチオ硫酸ナトリウムを
加えて10分間撹拌し、水中のカルキ分を除去した。次
に、水温を約7℃に保ちながら、1.7kgの塩化アン
モニウムと2.9kgの炭酸カリウムとを同時に加え、
15分間撹拌したのち、同じく水温を約7℃に保ちつ
つ、硫酸鉄を5.6kg添加してさらに15分間撹拌し
た。さらに、この溶液に塩化カルシウム130kgを加
えて30分間撹拌した後、12時間室温で放置し、水温
がおよそ17〜18℃になったところで、6.1kgの
塩化マグネシウムを添加して触媒溶液を得た。舗装構造体の作成 上記触媒溶液を配合して舗装構造体の作成を行なった。
すなわち、土壌、普通ポルトランドセメント、高炉水砕
スラグの混合物に、上記触媒溶液を添加して練り合わ
せ、これを5cmの厚さに展圧して養生させることによ
り、土壌成分89.87%(重量%、以下同じ)、セメ
ント成分5.8%、スラグ成分2.2%、触媒溶液成分
0.63%、水分1.5%の含有率を有する舗装構造体
を得た。舗装構造体の圧縮強度試験 得られた構造体から、直径約25mm、長さ約40mm
の円柱状供試体を切り出し、この供試体の両端面を石膏
混入セメントペーストでキャッピングした後、定速型万
能試験機(使用レンジ:10kN、載荷速度:0.5m
m/分)を用いて一軸漸増圧縮荷重を加えて際大荷重を
求め、式1に従って圧縮強度を算出した。結果を表1に
示す。
【0030】
【式1】
【0031】
【表1】土壌成分が約90%の本供試体における圧縮強
度は平均で110kgf/cm2であり、一般歩行者道
路はもとより、車両交通道路にも適用し得る耐荷重性を
有し、遊歩道等に敷設する場合であれば、セメント成分
をさらに3〜5%程度に低減することができる。舗装構造体の透水試験 上記構造体から、表2に示す寸法の円柱状供試体を作成
し、JIS A 1218、JSF T 311に準
じ、内径10.00cm、長さ12.73cmの透水円
筒を用いて水道水による透水試験を行ない、22℃及び
15℃における透水係数をそれぞれ式2、式3に従って
算出した。表3に各透水係数を示したように、本発明で
得られた舗装構造体は良好な透水性を有する。
【0032】
【式2】
【0033】
【式3】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
造成や掘削等、施工現場で発生する残土を路面舗装材の
主成分として有効利用するので、環境破壊を抑制しなが
ら、従来のアスファルト舗装やコンクリート舗装では得
られ難い、周辺の自然や緑とよく調和し、快適な歩行性
と、良好な透水性及び熱吸収性を具備した遊歩道等が提
供される。
【0037】
【式1】
【0038】
【式2】
【0039】
【式3】
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌にセメント及び高炉水砕スラグをそ
    れぞれ所定量づつ混合した後、アンモニウム塩類又はナ
    トリウム塩類の少なくともいずれかと、カリウム塩類
    と、鉄化合物と、硝酸カルシウム又は塩化カルシウム
    と、マグネシウム塩類とを水に添加してなる溶液を上記
    混合物に所定量添加して練り合わせ、これを被舗装面上
    に展圧することを特徴とする路面舗装法。
  2. 【請求項2】 土壌にセメント及び高炉水砕スラグをそ
    れぞれ所定量づつ混合した後、100重量部の水にアン
    モニウム塩類又はナトリウム塩類の少なくともいずれか
    を1〜3重量部、カリウム塩類を1〜4重量部、鉄化合
    物を3〜10重量部、硝酸カルシウム又は塩化カルシウ
    ムを70〜150重量部、及びマグネシウム塩類を3〜
    7重量部添加してなる溶液を上記混合物に所定量添加し
    て練り合わせ、これを被舗装面上に展圧することを特徴
    とする路面舗装法。
  3. 【請求項3】 100重量部の土壌に、セメントを2〜
    5重量部、及び高炉水砕スラグを1〜2重量部混合した
    後、100重量部の水にアンモニウム塩類又はナトリウ
    ム塩類の少なくともいずれかを1〜3重量部、カリウム
    塩類を1〜4重量部、鉄化合物を3〜10重量部、硝酸
    カルシウム又は塩化カルシウムを70〜150重量部、
    及びマグネシウム塩類を3〜7重量部添加してなる溶液
    を上記混合物に0.2〜0.7重量部添加して練り合わ
    せ、これを被舗装面上に展圧することを特徴とする路面
    舗装法。
  4. 【請求項4】 (A)土壌を100重量部、(B)セメ
    ントを2〜5重量部、(C)高炉水砕スラグを1〜2重
    量部、及び、(D)100重量部の水にアンモニウム塩
    類又はナトリウム塩類の少なくともいずれかを1〜3重
    量部、カリウム塩類を1〜4重量部、鉄化合物を3〜1
    0重量部、硝酸カルシウム又は塩化カルシウムを70〜
    150重量部、及びマグネシウム塩類を3〜7重量部添
    加してなる溶液を0.2〜0.7重量部含有することを
    特徴とする路面舗装用組成物。
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