JP5561921B2 - 土系固化材 - Google Patents

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本発明は土に固化材を配合した土系固化材に関する。
以下の説明で、固化材とは、土系舗装のために土と混合する固化材であり、固化材自体は土を含まない。土系舗装用固化材も同様である。また土系固化材とは、土と上記固化材とを混合したものをいう。土系固化材を混合土と呼ぶこともある。
土の道路や歩道では通行に伴い轍や凹みが生じて快適な運転や安全な歩行ができなくなるばかりでなく、雨天時には轍や凹み部に水溜りができるため、道路にアスファルト舗装をするようになってきた。しかしアスファルト舗装は透水性が悪く水溜りが生じ、また夏季には舗装面が熱をためやすく、ヒートアイランド現象を引き起こす欠点があった。そこで、アスファルトの透水性を改善した透水性アスファルト舗装、保水性を有した保水性アスファルト舗装が広まりつつあるが、自然環境が好まれる居住区内や公園などの道路では歩道のアスファルトは人工的な景観になり、路面が硬く反発が強いため足に負担がかかっている。そこで、近年より自然に近く、人に優しい土系舗装が取り入れられつつある。
土系舗装とは、自然の土を利用して固化材と混合して土の強度を増し、土の良さを保持しつつ舗装としての機能を発揮するものである。土系舗装に用いる固化材として、従来はセメントを主原料としたセメント系固化材と石灰を主原料とした石灰系が主流であったが、近年スラグを使用した固化材も見られる。
特許文献1では土と土系舗装用固化材を混合した混合土を舗装場所に敷き均した後、転圧及び養生する土系舗装において、土系舗装用固化材が多孔質材料を含まず、消石灰とスラグを含むことを開示している。消石灰及びスラグを含む混合土は、常温下で固化が進行し、従来のアスファルト等からなるものほど高くなく、自然の土だけからなるものほど低くない強度及び硬度を有して固化するものである。実施例1によれば、消石灰を100質量部、粘土を50質量部、高炉スラグを50質量部混合して土系舗装用固化材とし、舗装現場で土に土系舗装用固化材を添加し、舗装施工した結果、充分な強度を有し、透水性を確保している。
また、スラグ単独で水硬性を持つものがあり、例えば特許文献2ではカルシウムアルミネート系スラグの特定の成分範囲を有するスラグを選別することにより、スラグそのものを水硬性組成物として提供している。
土系舗装に使用する自然の土は花崗岩が風化し粒状となった真砂土が多く使用されており、一般に真砂土舗装と呼ばれて、透水性に優れる特性がある。その他、舗装現場近くの産地から採取される粒状砕石、土壌なども使用される。真砂土の多くはナトリウム、カリウムなどのアルカリ分が無く、溶出液のpHは5〜6と酸性を示す。しかし、産地により溶出液のpHが9程度のアルカリ性を示すものがあり、環境庁告示46号法で測定した溶出成分もFで0.6mg/リットル近く検出され、土壌環境基準の0.8mg/リットル以下には合格するも限界近くにあるものもある。このようなアルカリ性を示す土を使用し、かつFをわずかに含むスラグ系の固化材をこの土と混合して土系固化材とし、この土系固化材を使用して真砂土舗装しようとする場合、この土系固化材の溶出を確認すると、溶出液のpHが11〜12と高く、Fの溶出が土壌環境基準を超える場合があり、またpHが高くなることでPb,Seなどの重金属の溶出も検出されやすくなり、舗装材として使用することはできない。真砂土舗装などに使用する土系固化材の材料は、土壌環境基準を満足し、安心して使用できる品質を確保する必要がある。
土壌からのFの溶出を抑制する方法としては、(1)セメントで固める方法、例えば廃棄物をセメントで混練し、重金属を珪酸カルシウムの水和物に表面吸着・固定化する方法や、(2)薬剤で処理する方法、例えば硫化ナトリウムではCd、Pb、Hgの不溶化による溶出を抑制し、硫酸第一鉄ではCr6+の溶出の抑制、塩化第二鉄ではAsの溶出を抑制する方法、(3)スラグ、石膏などの材料を添加して処理する方法、例えば特許文献3では、Cr6+、As、Se、Cd、Hgを含む汚染土壌に高炉スラグ微粉末、石膏、カルシウムを含むアルカリ材料、具体的には消石灰を混合することで汚染土壌から前記の溶出を抑制する方法がある。
(1)セメント系固化材では、先に説明したように使用する土により溶出が検出されやすく、またセメントに含有する六価クロムも溶出する危険性がある。(2)薬剤処理する方法では、薬剤のコスト負担が大きい上、土との混合時に薬剤起因の有害ガスが発生する危険がある。(3)スラグ、石膏などの材料を添加する方法は、本発明が対象とする土系固化材などへの適用は、溶出抑制のために更にスラグなどの添加が必要になり量が増えて実用的でない。また、溶出元素の特性に応じた処理方法が異なるため、全ての溶出元素を抑制できる万能な処理は難しく、特にFとPb、Seなどの重金属の溶出を同時に抑制することはできない。
特開2004−52536号公報 特開2006−89337号公報 特開2002−320954号公報
本発明は、真砂土などの土にカルシウムアルミネート系スラグを固化材として使用した土系固化材において、土系固化材のFとPb、Seなどの重金属の溶出を土壌環境基準内に安定して制御した土系固化材を提供することを目的としたものである。
本発明は、真砂土舗装に使用される土の特性により、カルシウムアルミネート系スラグと混合した土系固化材の溶出が、環境基準を超えて発生する土において、カルシウムアルミネート系スラグに加えて、石膏および硫化カルシウムを特定の比率で混合することにより、Fを不溶化させ、かつ溶出液のpHを制御することで重金属の溶出を抑制し、更に重金属を硫化カルシウムで固定させる微妙な条件に調整することで、これら固化材と混合した土系固化材のFとPb、Seなどの重金属の溶出を土壌環境基準以下に抑制することを見出したものである。
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1) 土に、CaOとAl 2 3 の含有量の合計で70質量%以上、かつCaO/Al 2 3 が1.5〜2.0であるカルシウムアルミネート系スラグと石膏と硫化カルシウムを配合してなり、カルシウムアルミネート系スラグ100質量部に対し、石膏が50〜150質量部、硫化カルシウムが2.5〜10質量部の範囲であり、土が100質量部に対して、カルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムの合計を5〜20質量部配合したことを特徴とする土系固化材

本発明においてカルシウムアルミネート系スラグとは、鋼の製造工程において副産される鉄鋼スラグであり、溶鋼の脱酸剤としてアルミニウムを使用した時に生成するアルミナ高含有スラグであって、スラグの主たる鉱物組成が12CaO・7Al23などのカルシウムアルミネートである特徴を有するスラグである。
さらに、本発明で固化材とは、土系舗装のために土と混合する固化材であり、固化材自体は土を含まない。また土系固化材とは、土と上記固化材とを混合したものをいう。土系固化材を混合土と呼ぶこともある。
本発明は、真砂土などの土に、カルシウムアルミネート系スラグを主体とする固化材を混合した土系固化材において、土系固化材からのFとPb、Seなどの重金属の溶出を土壌環境基準内に安定して制御し、かつ強度と透水性を有する土系固化材であり、この土系固化材を用いて道路や歩道、運動場や競技場などの表層部を舗装することができる。
本発明の土系固化材は、土にカルシウムアルミネート系スラグと石膏と硫化カルシウムを配合してなる。カルシウムアルミネート系スラグを用いる理由は、カルシウムアルミネート系スラグと石膏を配合したときに、土系固化材としての優れた性質を発揮し得るからである。
鋼の製造工程における溶鋼の溶製において、溶鋼の脱酸剤にアルミニウムを使用して脱酸した場合には、スラグ中にAl23が生成される。そのAl23を含めたスラグの組成は、例えばステンレス鋼の溶製において、質量%でCaO:50%、Al23:30%、SiO2:4%、その他MgOを含むカルシウムアルミネート系スラグが形成される。これらのスラグ組成は、溶製方法などの操業条件により大きく変化する。
カルシウムアルミネート系スラグは鉄の製造工程において副産される鉄鋼スラグを特定の成分範囲に選別することでスラグをそのまま使用することができ経済的である。
該スラグは、石膏と硫化カルシウムを配合し、土に混合して水を加えると硬化し、強度を発する。予め土と該スラグと石膏と硫化カルシウムを土の特性に合わせて適量の割合で混合したものを土系固化材として提供でき、水を加えるだけで舗装することができる。
しかし、土の産地により溶出液のpHが9程度のアルカリ性を示すものがあり、環境庁告示46号法で測定した溶出成分もFで0.6mg/リットル近く検出され、土壌環境基準の0.8mg/リットル以下には合格するも限界近くにあるものもある。このような土を使用し、かつFをわずかに含むスラグ系の固化材を混合した土系固化材を使用して真砂土舗装しようとするとき、混合土(土系固化材)からの溶出を確認すると、溶出液のpHが11〜12と高く、Fの溶出が土壌環境基準を超える場合があり、またpHが高くなることでPb,Seなどの重金属の溶出も検出されやすくなり、舗装材として使用することはできない。真砂土舗装などに使用する材料は、舗装に使用する混合した土で土壌環境基準を満足し、安心して使用できる品質を確保する必要がある。
本発明はカルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムを混合した固化材と土を混合した土系固化材であり、混合土(土系固化材)からの溶出を土壌環境基準内に安定して制御した土系固化材を提供するものである。
ここで土とは、日本で多く採れる花崗岩などが風化してできた真砂土と呼ばれるもの、その他、舗装現場近くの産地から採取される粒状砕石、土壌などなどで、天然に採取される土である。これらは歩道、公園、グランド、敷地内の庭や駐車場に多く使われている。また、これら採取された土に砂や砕石、スラグ骨材を混合したもの、瓦、ガラス、木材チップ、ゴムなど破砕して粒度調整した材料を混合して色調、質感、景観などの特性を活かした混合した土を含む。
本発明の土にカルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムを混合した土系固化材において、配合割合は、カルシウムアルミネート系スラグが100質量部に対し、石膏を50〜150質量部、硫化カルシウムを2.5〜10質量部含有することが必要である。
カルシウムアルミネート系スラグに石膏を加えて混合した水和物はエトリンガイトを形成し、カルシウムアルミネート系スラグを単独で使用したときの固化体の圧縮強度より更に強度を増すことができる。従って、土に配合するこれらの混合した固化材の割合を減少させる効果がある。さらに、カルシウムアルミネート系スラグに石膏を加え、土と混合した混合土(土系固化材)からの環境庁告示46号法による溶出試験では、溶出液のpHを低く抑えて、溶出を抑制する効果がある。
カルシウムアルミネート系スラグ単体を固化材として用いた場合、土に固化材を混合した混合土(土系固化材)からの環境庁告示46号法による溶出試験では、溶出液のpHが12程度と高くなり、真砂土の種類、例えばアルカリ質土壌などを使用した土系固化材の場合ではF、Pb、Seなどが溶出して検出されやすい。いずれの元素の溶出もpHと相関があり、溶出を抑制するためには、pHを下げる必要がある。
土と固化材を混合して土系固化材とするに際し、固化材としてカルシウムアルミネート系スラグに石膏を適量配合することにより、土系固化材からの溶出液のpHを溶出の抑制範囲に下げることができることが分かった。カルシウムアルミネート系スラグが100質量部に対し、石膏を50〜150質量部することが適切である。石膏の配合量が50質量部未満では均一に配合することが難しく、かつpH制御の安定性に欠ける。石膏の配合量が150質量部より多いと、エトリンガイトが効果的に生成するための石膏の量が多くなりすぎてカルシウムアルミネート系スラグと石膏の配合による強度の増加が見られず、安定領域に入り、かつ溶出を安定的に抑制できない。石膏の配合はFの溶出抑制に特に効果があり、石膏はカルシウムアルミネート系スラグからの溶出液のpHの上昇を抑えつつ溶出液中のCaの溶解量が増すため、石膏50〜150質量部の範囲でFの溶出を安定的に防止できる。好ましくは石膏80〜120質量部の範囲に配合することが望ましい。
さらに、溶出液のpHを下げることにより、Pb、Seの溶出も抑制することができるが、土壌環境基準以下への制御の安定性に欠け、石膏だけでは安定してPb、Seの溶出を防止することはできない。
Pb、Seの溶出を安定して防止するには、カルシウムアルミネート系スラグが100質量部に対し、石膏を50〜150質量部の配合に加え、さらに硫化カルシウムを2.5〜10質量部配合することが適切である。硫化カルシウムは、溶出液のpH制御により溶出を抑制した上で、残存する溶出元素を還元して、成分の溶出量を安定して土壌環境基準以下に制御できる。硫化カルシウムが2.5質量より少ないと還元不足になり溶出を安定的に抑制できない。また10質量部より多く配合すると、硫化カルシウムが溶出液のpHを高くする作用があるため、還元による溶出の抑制効果以上に溶出が増えるため溶出を防止することができない。従って、カルシウムアルミネート系スラグが100質量部に対し、石膏を50〜150質量部、硫化カルシウムを2.5〜10質量部配合することとした。溶出を防止するより望ましい範囲は3.0〜8.0質量部配合することが好ましい。
カルシウムアルミネート系スラグの組成は、CaOとAl23の含有量の合計で70質量%以上、かつCaO/ Al23が1.5〜2.0であることが適切である。
上述のとおり、土系固化材の強度を確保しつつ混合土の溶出を土壌環境基準以下に安定的に制御するために、カルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムを混合した土系固化材の配合割合は、カルシウムアルミネート系スラグが100質量部に対し、石膏を50〜150質量部、硫化カルシウムを2.5〜10質量部配合する。本発明の土系固化材に水を加えて固化体とした際の固化体の強度は、カルシウムアルミネート系スラグと石膏との配合で決まり、硫化カルシウムの配合の影響は小さい。カルシウムアルミネート系スラグに石膏を加えて混合した水和物はエトリンガイトを形成し、カルシウムアルミネート系スラグを単独で固化材として使用したときの土系固化材の固化体の圧縮強度より更に強度を増す。エトリンガイトの生成には、スラグの鉱物組成として、12CaO・7Al23が主体的に存在することが望ましい。12CaO・7Al23の鉱物組成を構成するためには、スラグ中のCaOとAl23の含有量の総和は質量%で70%以上有ることが適切であり、望ましくは80%以上有ることが好ましい。70%より少ないと、SiO2或いはMgOの含有量が増えてカルシウムシリケート等が発生するため、エトリンガイトの生成が少なくなり、固化材の配合を抑えて強度を確保する観点から適切でない。また、12CaO・7Al23の鉱物組成が主体的に発生するスラグの成分は、CaO/Al23の比で1.5〜2.0が適切であり、1.5〜1.7がより好ましい。従って、カルシウムアルミネート系スラグの組成が、CaOとAl23の含有量の合計が70%以上、かつCaO/Al23が1.5〜2.0とした。
本発明の土系固化体は、土が100質量部に対して、カルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムの合計を5〜20質量部配合することが適切である。以下、カルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムの合計を固化材ともいう。
真砂土などの土に固化材を混合して土系固化体とし、これを固化させて舗装するには、上記の条件で配合した固化材を使用し、さらに土が100質量部に対して固化材を少なくとも5質量部を混合すると好ましい。固化材を多く配合すると強度は増すものの、強度が高すぎて足に負担の少ない舗装で無いばかりでなく、溶出が増える。また固化材の配合を増やすと固化材の費用が高くなる。従って固化材を20質量部以下とすることが適切であり、望ましくは5〜12質量部の範囲が好ましい。
本発明は、土にカルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムを混合したことを特徴とする土系固化材であって、土の特性に合わせて固化材を適量に混合した土系固化材を使用し、或いは現地で土にカルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムを混合して土系固化材となし、水を加えて敷き均し適度に転圧して敷き固めて舗装することができる。土系固化材と水を混合する際にコンクリート用のミキサーがあれば容易に水と均一に混合できるが、混合機が無い場合、人力で混合するには負担が大きいため、混合した土系固化材を敷き均した後、表面から均一に散水して水を加えた後、敷き固めて舗装することもできる。
舗装するに当り、車両などの重量物が載る場合には、表層の舗装の下に砕石などの下層路盤材を敷き詰めるとよい。下層路盤材の敷き詰める厚さ、及び表層の舗装材の敷き詰める厚さは用途に応じて決定する。例えば歩道などでは、下層の路盤材を厚さ50〜100mmで敷き固めた後、表層部に土系固化材を50mm程度敷き固めて舗装するとよい。
土とカルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムの混合割合は、使用用途と土の特性を勘案して混合した土系固化材の溶出と路面強度から適切に決定することができる。歩道など足に負担のかからない路面の強度でよい場合、或いは駐車場などで路面強度が必要な場合などその用途に応じて適切な強度があるため、強度に応じた配合を決定することが望ましい。また、土の産地により品質が異なるので、現に使用する土の特性により同じ割合のカルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムを混合しても溶出特性や強度が異なる。従って、予め配合試験を行い土とカルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムの配合及び添加水分量を適切な溶出抑制、強度に適合するように求めておくことが必要である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
土系固化材に用いる土としては、一般的に公園、グランドなどに使用される真砂土のうち、アルカリ性を示し、比較的Fの溶出量の高い土を選んだ。土に混合する固化材は、種々の成分組成を有するカルシウムアルミネート系スラグを用いて、石膏及び硫化カルシウムを混合した。土と固化材を混合した土系固化材の圧縮強度、溶出試験結果について評価した。
土系固化材の圧縮強度の評価方法は、土と固化材を混合した土系固化材を良く混練した後に水を30%加えてさらに混練し、JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)に従って供試体を製作し、7日間養生後に1軸圧縮強度を測定した。
圧縮強度を測定した後の供試体試料を用いて、環境庁告示46号法に従って溶出試験を行った。溶出試験の分析を行う成分は、Cd、Pb、Cr6+、As、Se、F、B、Hgの8元素の確認を行った。これらのうち、Cd、Cr6+、As、B、Hgは使用した土、及び土と混合した固化材で安定して検出されなかったため、Pb、Se、Fを調査元素とした。
[実施例1]
実施例で用いたスラグの成分組成を表1に示す。
Figure 0005561921
Figure 0005561921
表1の本発明例1に示すカルシウムアルミネートスラグ(A)を用いて固化材とし、この固化材と真砂土との混合による土系固化材の評価を行った。
まず、実施例比較として、固化材を使用せずに真砂土のみを水で混練して試験体を製作して圧縮強度と溶出試験を行った。この結果を表2の実施例比較1に示す。固化材を配合しないで成型した試験体の強度は全く無い。その供試体の溶出試験では、pHが9.6とアルカリ性を示し、Fの溶出量は0.6mg/リットルであった。実施例比較2でカルシウムアルミネート系スラグのみを固化材に使用し、真砂土100質量部に対し、固化材を10質量部配合して混合した後に水を加えて混練し試験体を作成して、7日間養生した後に圧強度を測定した。圧縮強度は3.4N/mm2得られるものの、F、Pb、Seの溶出が土壌環境基準を超えて発生した。また実施例比較3では、固化材にカルシウムアルミネート系スラグと石膏を等量配合して均一混合したものを固化材とし、真砂土100質量部に対し、固化材10質量部を配合した試験体強度を測定した。圧縮強度は5.7N/mm2と高くなり、溶出試験結果ではFの溶出が土壌環境基準以下に抑制されたものの、Pb、Seの溶出が土壌環境基準を超えて発生した。
表2の本発明例1〜3では、カルシウムアルミネート系スラグ100質量部に対し、石膏を50〜150質量部、硫化カルシウムを2.5〜10質量部配合し、均一に混合して固化材とした。比較例と同様に真砂土100質量部に対し、固化材を10質量部配合して試験体を作成し、強度と溶出試験を行った。圧縮強度は充分な強度が得られ、溶出試験においてもF、Pb、Seの何れも土壌環境基準を満足し、本発明の優位性が明らかである。
[実施例2]
表3に示すように、カルシウムアルミネート系スラグの成分について表1の本発明例1〜比較例2(A〜G)のものを用い、カルシウムアルミネート系スラグのCaOとAl23の成分を変動させ、土系固化材の圧縮強度と溶出試験を行った。
Figure 0005561921
実施例比較1は表1におけるスラグの種類Fを用いた。Al23の含有量が少なく、CaOとAl23の合計量では46.7%と少なく、同時にCaO/Al23が2.6と高くなっている。また、実施例比較2のスラグの種類GはCaOとAl23の合計量が74%と70%を超えているものの、CaO/Al23が1.1と低い。これらの表1比較例1、2を用いた土系固化材から作成した試験体(表3の実施例比較1,2)の圧縮強度は2N/mm2レベル代と低い。
カルシウムアルミネート系スラグのCaOとAl23の含有量の合計が70%以上、かつCaO/Al23が1.5〜2.0である表1の本発明例1〜5(A〜E)を用いた固化材を用い、土と混合して作成した試験体(表3の本発明例1〜5)では圧縮強度が5N/mm2以上あり本発明の優位性が明らかである。溶出試験については、カルシウムアルミネート系スラグを100質量部に対し、石膏を100質量部、硫化カルシウムを5質量部配合することで、F、Pb、Seのいずれの元素の溶出も土壌環境基準以下に抑制することができる。
[実施例3]
表4に土系固化材における固化材の配合を変動させた本発明例及び比較例を示す。
Figure 0005561921
表1の本発明例1に示す組成のカルシウムアルミネート系スラグ(A)を用いて、該カルシウムアルミネート系スラグの100質量部に対し、石膏を100質量部、硫化カルシウムを5質量部配合した固化材を真砂土100質量部に対して5質量部(表4の本発明例1)、及び20質量部(表4の本発明例2)を配合してよく混合し、水を加えて混練した後に試験体を製造した。表4の本発明例1、2では、固化材の配合量を真砂土100質量部に対して5質量部以上配合することにより試験体の圧縮強度を3N/mm2以上得ることができる。溶出試験は土壌環境基準以下に問題なく抑制できる。
実施例比較1では固化材の配合量を真砂土100質量部に対して5質量部未満の配合では溶出は土壌環境基準を満足することができるが、圧縮強度は低く強度を確保することができない。また、実施例比較2では固化材の配合量を真砂土100質量部に対して20質量部を超えて配合すると圧縮強度は高く確保できるものの、固化材の配合量が増えることによりFの溶出が増えて土壌環境基準を超える。
固化材の配合割合を真砂土100質量部に対して5〜20質量部の範囲ですることにより、固化体の強度を確保し、成分の溶出を安定して抑制することができる。

Claims (1)

  1. 土に、CaOとAl 2 3 の含有量の合計で70質量%以上、かつCaO/Al 2 3 が1.5〜2.0であるカルシウムアルミネート系スラグと石膏と硫化カルシウムを配合してなり、カルシウムアルミネート系スラグ100質量部に対し、石膏が50〜150質量部、硫化カルシウムが2.5〜10質量部の範囲であり、土が100質量部に対して、カルシウムアルミネート系スラグ、石膏及び硫化カルシウムの合計を5〜20質量部配合したことを特徴とする土系固化材。
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