JP2746126B2 - 板金のネジ孔構造及びその成形方法 - Google Patents

板金のネジ孔構造及びその成形方法

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JP2746126B2
JP2746126B2 JP6169254A JP16925494A JP2746126B2 JP 2746126 B2 JP2746126 B2 JP 2746126B2 JP 6169254 A JP6169254 A JP 6169254A JP 16925494 A JP16925494 A JP 16925494A JP 2746126 B2 JP2746126 B2 JP 2746126B2
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伴充 高松
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双葉金属工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、螺軸を締結するために
形成した板金のネジ孔構造及びその成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、板金に対してタップ加工を施して
ネジ孔を成形する場合には、先ず、打ち抜き或いはドリ
ルによりネジ孔を形成したい部位にネジ孔よりも小径の
下孔を成形し、次に、下孔に対してボール盤によりタッ
プ加工を行って下孔の開口縁部にネジ部を成形してい
る。
【0003】ところで、前記のようにしてネジ孔を成形
する場合、下孔はプレス成形機のヘッド或いはボール盤
のドリルを上下動させることで能率的に成形することが
可能であるが、ネジ部は、タップを正回転させながら下
方へ移動させ、フレームにネジ孔を成形し、タップを逆
回転させながら上方へ移動させ、ネジ孔からタップを抜
き取るという作業を行う必要があり、能率的に成形でき
ない。しかも、ネジ部は1つずつ成形する必要があるの
で、複数のネジ孔を成形する場合には、加工ラインのラ
イン全体の生産性が低下するという問題が発生する。
【0004】そこで、プレス成形により能率的に成形可
能なネジ孔構造として、例えば、実開昭51−8716
6号公報には、板金の螺軸締結部位にすり鉢状のネジ固
定部を形成し、ネジ固定部の先端部に螺軸の谷の径と略
同じ直径の貫通孔を設け、貫通孔に臨むネジ固定部の開
口縁部の一部を切欠いて切欠部を形成し、切欠部に臨む
開口縁部の両端部を貫通孔の軸方向に段違いに形成する
とともに開口縁部を螺旋状に形成し、開口縁部に螺軸の
ネジ溝に嵌合する1条のネジ山を形成したネジ孔構造が
提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記ネジ孔
構造では、板金の厚さが、螺軸のネジ溝の相対向する開
口縁間の距離よりも厚肉になると、ネジ固定部の開口縁
部に対する螺軸の螺合不良が発生すること、ネジ固定部
が板金の上面或いは下面から突出するので、ネジ孔構造
を成形してから板金を枠状等にプレス成形することが困
難であること、ネジ固定部の突出側に板状の部材を密着
させて固定出来ないこと、などの問題がある。
【0006】本発明の目的は、比較的厚肉の板金に対し
てプレス加工のみで容易に成形することが可能で、且つ
成形した後に板金を枠状等にプレス加工可能な板金のネ
ジ孔構造及びその成形方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る板金のネ
ジ孔構造は、板金に設けられる螺軸締結用のネジ孔を構
成するネジ孔構造であって、前記板金の螺軸締結部位を
含む一定領域に設けられ、螺軸のネジ山の1ピッチと略
同じ厚さの薄肉部と、前記薄肉部の中央部に設けられた
ネジ孔と、前記ネジ孔に臨む薄肉部の開口縁部の一部に
切り込みを入れるか或いは開口縁部の一部を切り欠いて
形成した変形促進部と、前記薄肉部の開口縁部に板金の
上下両面外へ突出しないように形成された1条のネジ山
であって、変形促進部に臨む始端と終端とがネジ孔の軸
方向に段違いに且つ螺軸のネジ溝に沿った螺旋状に形成
された1条のネジ山とを備えたものである。
【0008】ここで、前記ネジ山を螺軸のネジ溝に嵌合
する断面形状に形成すること、前記薄肉部を板金の厚さ
方向の一端側に形成し、薄肉部の中央部側を板金の厚さ
方向の他端側へ突出させることなどが好ましい実施例で
ある。
【0009】請求項4に係る板金のネジ孔構造の成形方
法は、板金の螺軸締結部位に下孔を成形する第1打ち抜
きプレス工程と、前記下孔に臨む板金の開口縁部を圧縮
成形して、板金の螺軸締結部位を中心とした一定領域に
薄肉部を成形する第1圧縮プレス工程と、前記下孔の開
口縁部に中心側へ向けて尖った環状の尖鋭部を成形する
第2圧縮プレス工程と、前記下孔の開口縁部を打ち抜い
て、直径が螺軸の谷の径と略同じ直径の貫通孔を成形
し、前記尖鋭部を螺軸のネジ溝に嵌合する断面形状の環
状ネジ山に成形する第2打ち抜きプレス工程と、前記薄
肉部の開口縁部の一部に切り込みを入れるか或いは開口
縁部の一部を切り欠いて変形促進部を成形するととも
に、変形促進部に臨む環状ネジ山の始端と終端を貫通孔
の軸方向に段違いにして環状ネジ山を螺旋状に成形し、
環状ネジ山により、板金の上下両面外へ突出しないよう
に、螺軸のネジ溝に嵌合する1条のネジ山を成形する曲
げプレス工程とを備えたものである。
【0010】請求項5に係る板金のネジ孔構造は、板金
に設けられる螺軸締結用のネジ孔を構成するネジ孔構造
であって、前記板金の表面側の螺軸締結部位を含む一定
領域に設けられ、螺軸のネジ山の1ピッチと略同じ厚さ
で表面が板金の表面と面一の薄肉部と、前記薄肉部の中
央部に設けられたネジ孔と、前記ネジ孔に臨む薄肉部の
開口縁部の一部に切り込みを入れるか或いは開口縁部の
一部を切り欠いて形成した変形促進部と、前記薄肉部の
開口縁部に板金の背面外へ突出しないように形成された
1条のネジ山であって、変形促進部に臨む始端と終端と
がネジ孔の軸方向に段違いに且つ螺軸のネジ溝に沿った
螺旋状に形成された1条のネジ山とを備えたものであ
る。
【0011】
【作用】請求項1に係る板金のネジ孔構造においては、
板金の螺軸締結部位を含む一定領域に、螺軸のネジ山の
1ピッチと略同じ厚さの薄肉部が設けられ、この薄肉部
の中央部にネジ孔が形成されるとともに、ネジ孔に臨む
薄肉部の開口縁部の一部に変形促進部が形成され、変形
促進部に臨む始端と終端とをネジ孔の軸方向に段違いに
且つ螺軸のネジ溝に沿った螺旋状に形成した1条のネジ
山が、板金の上下両面外へ突出しないように形成されて
いるので、ネジ孔構造を構成する薄肉部、ネジ孔、変形
促進部、ネジ山を全てプレス加工により成形することが
可能となる。
【0012】また、薄肉部を設けることで、比較的厚肉
の板金に対しても容易にネジ孔構造を形成出来、しか
も、薄肉部の素材の弾性力を有効活用して、スプリング
ワッシャー等を設けることなく、ネジ山に螺合させた螺
軸を回り止めすることが可能となる。更に、ネジ山が板
金の上下両面外へ突出しないので、ネジ孔構造を板金に
作成した後、板金に対してプレス加工を施して、枠状や
箱状等に加工することが可能となり、しかも、板金を板
状の部材間に密着させて固定することも可能となる。
【0013】請求項2に係る板金のネジ孔構造において
は、ネジ山が螺軸のネジ溝に嵌合する断面形状に形成さ
れているので、板金に対する螺軸の着脱がスムーズにな
るし、螺軸の取付け強度も向上する。請求項3に係る板
金のネジ孔構造においては、薄肉部が板金の厚さ方向の
一端側に形成され、薄肉部の中央部側が板金の厚さ方向
の他端側へ突出されているので、板金の厚さ方向の一端
側から螺軸を締結すると、薄肉部が突っ張ることで螺軸
の抜け方向への移動が効果的に規制される。また、薄肉
部の素材の弾性力を強く螺軸に作用させて、より一層効
果的に螺軸を回り止めすることが出来る。
【0014】請求項4に係る板金のネジ孔構造の成形方
法においては、下孔を成形する第1打ち抜きプレス工程
と、薄肉部を成形する第1圧縮プレス工程と、環状の尖
鋭部を成形する第2圧縮プレス工程と、貫通孔を成形し
て尖鋭部を環状ネジ山に成形する第2打ち抜きプレス工
程と、変形促進部を成形するとともに1条のネジ山を成
形する曲げプレス工程との5つのプレス工程により容易
にネジ孔構造を成形することが可能なる。
【0015】請求項5に係る板金のネジ孔構造において
は、請求項1と同様に、ネジ孔構造を構成する薄肉部、
ネジ孔、変形促進部、ネジ山を全てプレス加工により成
形することが可能となること、比較的厚肉の板金に対し
ても容易にネジ孔構造を形成出来ること、薄肉部の素材
の弾性力を有効活用して、スプリングワッシャー等を設
けることなく、ネジ山に螺合させた螺軸を回り止めする
ことが可能となること、などの作用が得られる。しか
も、薄肉部の表面が板金の表面と面一になるよに薄肉部
が形成され、板金の表面側にはネジ山の始端或いは終端
が突出状に形成されるものの、薄肉部を形成するための
窪みは、板金の背面側に形成されることになるので、表
面側の外観低下が防止され、加えて、ネジ孔の開口縁部
に形成された1条のネジ山は、板金の背面外へ突出しな
いので、背面側に対して板状の部材を密着させて固定す
ることが可能となる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。本実施例は、扉をキャビネットに対し
て開閉自在に支持するために用いられるヒンジ部材のネ
ジ孔構造に本発明を適用した場合のものである。
【0017】図1、図2に示すように、キャビネット1
の前面開口部2を開閉する左右1対の扉3が設けられ、
キャビネット1の上板4及び下板5の前面開口部2に臨
む左右両端近傍部には取付穴6が夫々形成され、左側の
扉3は、左側1対の取付穴6に夫々埋設状に装着された
軸受具7及び扉3の左端近傍部に固定された上下1対の
ヒンジ部材10、11を介して回動自在にキャビネット
1に取付けられ、右側の扉3は、右側1対の取付穴7に
夫々埋設状に装着された軸受具7及び扉3の左端近傍部
に固定された上下1対のヒンジ部材11、10を介して
回動自在にキャビネット1に取付けられている。尚、前
記扉3は、板ガラスや合成樹脂材料製の透明ボードなど
で構成されている。
【0018】前記ヒンジ部材10、11は、上下対称の
構成のものなので、左側の扉3の下端部に取付けられる
ヒンジ部材11について説明する。図2〜図5に示すよ
うに、前後に間隔をあけて対向配置された平板状の正面
板12及び背面板13と、正面板12及び背面板13の
下端部同士を連結する連結板14とからなる略コ字状の
ヒンジ本体15が設けられ、正面板12と背面板13間
には扉3の縁部を装着するための隙間16が形成され、
連結板14の左端近傍部には軸受具7に回転自在に装着
されるピン部材17が下方へ向けて突出状に設けられ、
背面板13には左右1対のネジ孔構造20が形成され、
ヒンジ部材11は、正面板12と背面板13間に扉3の
下端部を装着した状態で、左右のネジ孔構造20のネジ
孔21に螺軸18を夫々締結して扉3に固定されてい
る。尚、扉3の背面板13に対向する背面部に平板状の
当金を貼着して、螺軸18の端部が扉3の背面に直接的
に当接しないようにしてもよい。
【0019】次に、前記ネジ孔構造20について説明す
ると、図3〜図6に示すように、ヒンジ本体15の厚さ
t1が螺軸18のネジ山18aのピッチPの約2倍の厚
さに設定され、背面板13の左部及び右部には螺軸18
のネジ山18aのピッチPと略同じ厚さt2の環状の薄
肉部22が形成され、薄肉部22は背面板13の厚さ方
向の略中央部に形成され、薄肉部22の中央部はネジ孔
21が形成され、ネジ孔21に臨む薄肉部22の開口縁
部には切り込み或いは切り欠きからなる変形促進部23
が形成され、薄肉部22の開口縁部には背面板13の上
下両面外へ突出しないように形成された1条のネジ山で
あって、変形促進部23に臨む始端と終端とがネジ孔2
1の軸方向に段違いに且つ螺軸18のネジ溝18bに沿
った螺旋状の1条のネジ山24が形成され、ネジ山24
は螺軸18のネジ溝18bに嵌合する断面形状に形成さ
れている。
【0020】次に、前記ヒンジ部材11のネジ孔構造2
0の作用について説明する。前記ヒンジ部材11は、扉
3の背面側に背面板13が、また扉3の正面側に正面板
12が配置されるように、扉3の縁部を挟んで装着さ
れ、2つのネジ孔21に螺軸18を夫々締結して扉3に
固定される。前記螺軸18をネジ孔21締結して螺軸1
8の先端部が扉3の背面に圧接されると、その反力が薄
肉部22に作用し、薄肉部22の中央部付近が螺軸18
の進行方向とは反対側に多少弾性変形し、薄肉部22の
弾性変形による反力で螺軸18が回り止めされる。この
ため、スプリングワッシャー等を設けることなく、螺軸
18を回り止めすることが可能となる。
【0021】前記ネジ孔構造20は、薄肉部22とネジ
孔21と変形促進部23とネジ山24とで構成され、こ
れらは全てプレス加工により成形することが可能なの
で、ヒンジ部材11に対するネジ孔構造20の成形作業
を大幅に簡素化して、ヒンジ部材11の製作コストを大
幅に低減することが可能となる。また、薄肉部22を設
けてあるので、背面板13の肉厚が螺軸18のネジ山2
4のピッチPの2倍以上の肉厚でも、容易にネジ孔構造
20を形成出来る。更に、ネジ山24が背面板13の前
後両面外へ突出しないので、ネジ山24の終端部が扉3
の背面に引っ掛かったりすることなく、ヒンジ部材11
を扉3に装着することが可能となる。
【0022】尚、前記ネジ孔構造20として、図7に示
すネジ孔構造20Aのように、薄肉部22Aを背面板1
3の厚さ方向の一端側に形成し、中央部側が板金の厚さ
方向の他端側へ突出するように薄肉部22Aを形成して
もよい。この場合には、螺軸18締結時における薄肉部
22Aの突っ張りを利用して、螺軸18の抜け方向への
移動を効果的に規制出来、しかも、薄肉部22の素材の
弾性力を有効に螺軸18に作用させて、より一層効果的
に螺軸18を回り止めすることが出来る。
【0023】尚、本実施例では、扉3を回転自在に支持
するヒンジ部材11のネジ孔構造20に本発明を適用し
たが、ヒンジ部材11以外の家電機器の金属フレームの
ネジ孔や金属板からなるラックなどのネジ孔など、各種
機器や家具等で用いられる板金のネジ孔に対して本発明
を適用することが可能である。また、図8に示すよう
に、2つの部材30、31間にボルト32を介して固定
される板金33に対して本発明に係るネジ孔構造20を
設けると、板金33を両部材30、31に密着配置出来
るとともに、両部材30、31に対する板金33の取付
け強度を高めることも可能となる。
【0024】次に、前記ヒンジ部材11の製造方法につ
いて説明しながら、ネジ孔構造20の成形方法について
説明する。先ず、図9に示すように、板厚が螺軸18の
ピッチPの2倍の厚さt1(図10参照)の板金を、ヒ
ンジ部材11の設計サイズよりも少し大きめのサイズに
切断して、素材プレート40を製作する。
【0025】次に、第1打ち抜きプレス工程において、
図10に示すように、素材プレート40の2つの螺軸1
8締結部位に打ち抜き加工により下孔41を夫々成形す
るとともに、所定の位置にピン部材17を固定するため
の取付孔42を成形する。尚、前記下孔41の直径は、
次の第1圧縮プレス工程及び第2圧縮プレス工程におい
て下孔41の直径が小さくなることを見越して、ネジ孔
21の直径よりも多少大きめの直径に設定されている。
【0026】次に、第1圧縮プレス工程において、図1
1に示すように、下孔41に臨む素材プレート40の開
口縁部を圧縮プレス加工して、素材プレート40の下孔
41を中心とした一定領域に螺軸18のピッチPと略同
じ厚さt2の薄肉部22を素材プレート40の厚さ方向
の略中央部に成形する。但し、前記薄肉部22は平面視
が略正方形状や長方形状や楕円形状に形成してもよい。
次に、第2圧縮プレス工程において、図12に示すよう
に、下孔41の開口縁部を圧縮プレス加工して、中心側
へ向けて尖った環状の尖鋭部43を成形する。但し、尖
鋭部43は、螺軸18のサイズに対応する直径で、且つ
上下のテーパ面43a、43bの成す角度θが、螺軸1
8のネジ溝18bの側壁の成す角度と同じ(例えば、θ
=60°又はθ=55°)に設定されている。
【0027】次に、第2打ち抜きプレス工程において、
図13に示すように、下孔41に対して打ち抜き加工を
施して、直径が螺軸18の谷の径と略同じ直径の貫通孔
44を成形し、尖鋭部43を螺軸18のネジ溝18bに
嵌合する断面形状の環状ネジ山45に成形する。次に、
曲げプレス工程において、図14に示すように、薄肉部
22の開口縁部の一部に切り込みを入れるか或いは開口
縁部の一部を切り欠いて変形促進部23を成形するとと
もに、変形促進部23に臨む環状ネジ山45の始端と終
端を貫通孔44の軸方向に段違いにして環状ネジ山45
を螺旋状に成形し、環状ネジ山45により、図6に示す
ように、素材プレート40の上下両面外へ突出しないよ
うに、螺軸18のネジ溝18bに嵌合する1条のネジ山
24を成形し、ネジ山24を作成することで、貫通孔4
4に対応する位置がネジ孔21となる。こうして、素材
プレート40に2つのネジ孔構造20を成形することに
なる。
【0028】次に、図15に示すように、素材プレート
40に対して打ち抜き加工を施して、素材プレート40
の外縁部の不用な部分を除去して所望のサイズに成形
し、不用な部分を除去した素材プレート40を略コ字状
にプレス加工して、ヒンジ本体15を作成した後、或い
はその前に、取付孔42にピン部材17の端部を装着し
て、取付孔42から突出したピン部材17の端部をカシ
メ、素材プレート40にピン部材17を固定して、図3
に示すヒンジ部材11を得る。尚、前記ネジ山24が、
素材プレート40の上下両面外へ突出しないように配置
されているので、素材プレート40に対してネジ孔構造
20を作成した後に、素材プレート40に対してプレス
加工を施しても、ネジ孔構造20が潰れることはない。
【0029】このように、ネジ孔構造20を成形するた
めに設ける下孔41及び尖鋭部43と、ネジ孔構造20
を構成する、薄肉部22、貫通孔44、変形促進部2
3、ネジ山24を全てプレス加工により成形出来るの
で、ネジ孔構造20の成形作業が大幅に簡単になり、そ
の作業能率を格段に向上出来る。また、取付孔42の加
工や取付孔42に対するピン部材17の組付けも、プレ
ス成形により行えるので、ヒンジ部材11を製作するた
めの各工程における作業時間を略同じに設定することが
可能となる。つまり、従来のようにタップ孔を形成する
ためのサブラインを設けることなく、1つの製造ライン
上で素材プレート40に対して順々に加工を施して、ヒ
ンジ部材11を製作することが可能となり、ヒンジ部材
11の製造ラインのライン構成を簡略化出来、設備経済
的に有利になるとともに、ヒンジ部材11の生産効率を
高めることが可能となる。尚、ネジ孔構造20Aも、基
本的には前記成形方法と略同様にして成形出来るのでそ
の詳細な説明は省略する。
【0030】尚、前記ヒンジ部材11以外の家電機器の
金属フレームのネジ孔や金属板からなるラックなどのネ
ジ孔など、各種機器や家具等で用いられる板金のネジ孔
の成形方法に対しても、本発明を適用することが可能で
ある。
【0031】次に、前記ヒンジ部材11のネジ孔構造2
2の構成を部分的に変更した別実施例について説明す
る。尚、前記実施例と同一部材には同一符号を付してそ
の詳細な説明を省略する。図16・図17に示すよう
に、このヒンジ部材11Bのネジ孔構造20Bは、前記
実施例における薄肉部22を背面板13の背面側に形成
し、背面板13の背面と薄肉部22の背面とを面一に構
成したものである。このヒンジ部材11Bでは、ネジ山
24が、背面板13の後方へ多少突出することになる
が、背面板13の背面には窪みが形成されないので、ヒ
ンジ部材11Bの外観低下を防止出来る。また、このヒ
ンジ部材11Bは、基本的には、前記ヒンジ部材11の
製造方法と同じ工程を経て製作されるが、前記製造方法
の第1圧縮プレス工程においては、素材プレート40の
背面板13に対応する部分の背面側にのみ薄肉部22を
形成することになる。
【0032】尚、前記ネジ孔構造20Bは、前記実施例
と同様に、ヒンジ部材11B以外の家電機器の金属フレ
ームのネジ孔や金属板からなるラックなどのネジ孔な
ど、各種機器や家具等で用いられる板金のネジ孔に対し
ても適用することが可能である。例えば、図18に示す
ように、板状部材30Bの下面に固定される板金33B
に対して本発明に係るネジ孔構造20Bを設けると、板
金33Bを板状部材30Bに密着させた状態でボルト3
2Bで両者を連結することが可能となる。
【0033】
【考案の効果】請求項1に係る板金のネジ孔構造によれ
ば、ネジ孔構造を構成する薄肉部、ネジ孔、変形促進
部、ネジ山を全てプレス加工により成形することが可能
となり、板金に対するネジ孔構造の加工を大幅に簡単化
出来ること、薄肉部を設けることで、比較的厚肉の板金
に対しても容易にネジ孔構造を形成出来、しかも、薄肉
部の素材の弾性力を有効活用して、スプリングワッシャ
ー等を設けることなく、ネジ山に螺合させた螺軸を回り
止めすることが可能となること、ネジ山が板金の上下両
面外へ突出しないので、ネジ孔構造を板金に形成した
後、板金に対してプレス加工を施して、枠状や箱状等に
加工することが可能となり、しかも、板金を板状の部材
間に密着させて固定出来ること、などの効果が得られ
る。
【0034】請求項2に係る板金のネジ孔構造によれ
ば、ネジ山が螺軸のネジ溝に嵌合する断面形状に形成さ
れているので、板金に対する螺軸の着脱がスムーズにな
るし、螺軸の取付け強度も向上出来る。
【0035】請求項3に係る板金のネジ孔構造によれ
ば、薄肉部が板金の厚さ方向の一端側に形成され、薄肉
部の中央部側が板金の厚さ方向の他端側へ突出されてい
るので、薄肉部が突っ張ることを利用して、螺軸の抜け
方向への移動を効果的に規制出来ること、薄肉部の素材
の弾性力を強く螺軸に作用させて、より一層効果的に螺
軸を回り止めすることが出来る。
【0036】請求項4に係る板金のネジ孔構造の成形方
法によれば、ネジ孔構造を成形するために設ける下孔及
び尖鋭部と、ネジ孔構造を構成する、薄肉部、貫通孔、
変形促進部、ネジ山を全てプレス加工により成形出来る
ので、ネジ孔構造の成形作業が大幅に簡単になり、その
作業能率を格段に向上出来る。
【0037】請求項5に係る板金のネジ孔構造によれ
ば、請求項1と同様に、ネジ孔構造を構成する薄肉部、
ネジ孔、変形促進部、ネジ山を全てプレス加工により成
形することが可能となること、比較的厚肉の板金に対し
ても容易にネジ孔構造を形成出来ること、薄肉部の素材
の弾性力を有効活用して、スプリングワッシャー等を設
けることなく、ネジ山に螺合させた螺軸を回り止めする
ことが可能となること、などの効果が得られる。加え
て、板金の表面と面一になるよに薄肉部を形成されてい
るので、板金の表面側の外観低下が防止され、しかも、
ネジ孔の開口縁部に形成された1条のネジ山は、板金の
背面外へ突出しないので、背面側に対して板状の部材を
密着させて固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 キャビネットの斜視図
【図2】 キャビネットの要部及びヒンジ部材の斜視図
【図3】 ヒンジ部材の斜視図
【図4】 ヒンジ部材の平面図
【図5】 ヒンジ部材の背面図
【図6】 ネジ孔構造の横断面図
【図7】 変形例に係るネジ孔構造の図6相当図
【図8】 ネジ孔構造の別の使用形態の説明図
【図9】 素材プレートの平面図
【図10】 (a)は下孔を形成した状態を示す素材プ
レートの平面図、(b)は下孔付近の横断面図
【図11】 (a)は薄肉部を形成した状態を示す素材
プレートの平面図、(b)は薄肉部付近の横断面図
【図12】 (a)は尖鋭部を形成した状態を示す素材
プレートの平面図、(b)は尖鋭部付近の横断面図
【図13】 (a)は環状ネジ山を形成した状態を示す
素材プレートの平面図、(b)は環状ネジ山付近の横断
面図
【図14】 ネジ山を形成した状態を示す素材プレート
の平面図
【図15】 外縁の不用部分を除去した状態を示す素材
プレートの平面図
【図16】 別実施例に係るヒンジ部材の図3相当図
【図17】 別実施例に係るヒンジ部材の図6相当図
【図18】 別実施例に係るネジ孔構造を用いた別の使
用形態の説明図
【符号の説明】
1 キャビネット 22 薄肉部 2 前面開口部 23 変形促進部 3 扉 24 ネジ山 4 上板 20A ネジ孔構造 5 下板 22A 薄肉部 6 取付穴 30 部材 7 軸受具 31 部材 10 ヒンジ部材 32 ボルト 11 ヒンジ部材 33 板金 12 正面板 40 素材プレート 13 背面板 41 下孔 14 連結板 42 取付孔 15 ヒンジ本体 43 尖鋭部 16 隙間 44 貫通孔 17 ピン部材 45 環状ネジ山 18 螺軸 11B ヒンジ部材 18a ネジ山 20B ネジ孔構造 18b ネジ溝 30B 板状部材 20 ネジ孔構造 33B 板金 21 ネジ孔 32B ボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−193624(JP,A) 特開 平4−157032(JP,A) 特開 平6−74225(JP,A) 実開 昭51−87166(JP,U) 実開 平4−132215(JP,U) 実開 平4−80913(JP,U)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板金に設けられる螺軸締結用のネジ孔を
    構成するネジ孔構造であって、 前記板金の螺軸締結部位を含む一定領域に設けられ、螺
    軸のネジ山の1ピッチと略同じ厚さの薄肉部と、 前記薄肉部の中央部に設けられたネジ孔と、 前記ネジ孔に臨む薄肉部の開口縁部の一部に切り込みを
    入れるか或いは開口縁部の一部を切り欠いて形成した変
    形促進部と、 前記薄肉部の開口縁部に板金の上下両面外へ突出しない
    ように形成された1条のネジ山であって、変形促進部に
    臨む始端と終端とがネジ孔の軸方向に段違いに且つ螺軸
    のネジ溝に沿った螺旋状に形成された1条のネジ山と、 を備えたことを特徴とする板金のネジ孔構造。
  2. 【請求項2】 前記ネジ山を螺軸のネジ溝に嵌合する断
    面形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の板
    金のネジ孔構造。
  3. 【請求項3】 前記薄肉部を板金の厚さ方向の一端側に
    形成し、薄肉部の中央部側を板金の厚さ方向の他端側へ
    突出させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の板
    金のネジ孔構造。
  4. 【請求項4】 板金の螺軸締結部位に下孔を成形する第
    1打ち抜きプレス工程と、 前記下孔に臨む板金の開口縁部を圧縮成形して、板金の
    螺軸締結部位を中心とした一定領域に薄肉部を成形する
    第1圧縮プレス工程と、 前記下孔の開口縁部に中心側へ向けて尖った環状の尖鋭
    部を成形する第2圧縮プレス工程と、 前記下孔の開口縁部を打ち抜いて、直径が螺軸の谷の径
    と略同じ直径の貫通孔を成形し、前記尖鋭部を螺軸のネ
    ジ溝に嵌合する断面形状の環状ネジ山に成形する第2打
    ち抜きプレス工程と、 前記薄肉部の開口縁部の一部に切り込みを入れるか或い
    は開口縁部の一部を切り欠いて変形促進部を成形すると
    ともに、変形促進部に臨む環状ネジ山の始端と終端を貫
    通孔の軸方向に段違いにして環状ネジ山を螺旋状に成形
    し、環状ネジ山により、板金の上下両面外へ突出しない
    ように、螺軸のネジ溝に嵌合する1条のネジ山を成形す
    る曲げプレス工程と、 を備えたことを特徴とする板金のネジ孔構造の成形方
    法。
  5. 【請求項5】 板金に設けられる螺軸締結用のネジ孔を
    構成するネジ孔構造であって、 前記板金の表面側の螺軸締結部位を含む一定領域に設け
    られ、螺軸のネジ山の1ピッチと略同じ厚さで表面が板
    金の表面と面一の薄肉部と、 前記薄肉部の中央部に設けられたネジ孔と、 前記ネジ孔に臨む薄肉部の開口縁部の一部に切り込みを
    入れるか或いは開口縁部の一部を切り欠いて形成した変
    形促進部と、 前記薄肉部の開口縁部に板金の背面外へ突出しないよう
    に形成された1条のネジ山であって、変形促進部に臨む
    始端と終端とがネジ孔の軸方向に段違いに且つ螺軸のネ
    ジ溝に沿った螺旋状に形成された1条のネジ山と、 を備えたことを特徴とする板金のネジ孔構造。
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