JP2745744B2 - 自動車用空調制御装置 - Google Patents

自動車用空調制御装置

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JP2745744B2
JP2745744B2 JP1315432A JP31543289A JP2745744B2 JP 2745744 B2 JP2745744 B2 JP 2745744B2 JP 1315432 A JP1315432 A JP 1315432A JP 31543289 A JP31543289 A JP 31543289A JP 2745744 B2 JP2745744 B2 JP 2745744B2
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潤一郎 原
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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、自動車の車室内の空調を制御する自動車
用空調制御装置に関する。
(従来の技術) 従来の自動車用空調制御装置としては、例えば特開昭
56-86814号公報に示されたものがある。この装置では、
吹出口からの空調風の吹出しを検出室温と設定室温との
温度差に応じて連続的に吹出す連続吹出状態と、断続的
に吹出す断続吹出状態とに切換え制御するように構成さ
れている。
すなわち、この空調制御装置は、検出室温が設定室温
よりも所定値以上高い場合には、空調風を乗員に連続的
に吹出すことにより快適感を向上し、また、検出温度が
所定室温に十分近づいた場合には、空調風を乗員に断続
的に吹出すことにより冷え過ぎ等の不快感を除去するよ
うになっている。
また、実開昭61-7408号公報に記載されたようなもの
もある。この装置では、空調風の吹出方向を連続的に変
更自在で、かつ、変更速度を可変とする吹出口を備え、
日射センサによる日射方向の検出に応じて空調風の吹出
方向の変更速度を制御するように構成している。そし
て、日射の当たる側では、吹出方向の変更をゆっくる行
ない空調風を多く吹出すことにより快適感を向上するよ
うになっている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、前者の従来例では、日射量の変化に伴う乗員
の温冷感変化に対して何ら考慮されていないため、必ず
しも快適性が得られないものであった。
また、後者の例では、車両の一部に日射が当たる場合
には、日射の当たる側に空調風を多く配風し、日射の当
たらない側へ空調風を少なく配風することによって、全
体の風量を変化させないで風量配分を適切にして快適な
環境を形成するようになっているが、車両全体で日射量
が変化した場合については考慮されていない。また、た
とえ考慮したとしても満足な結果は得られないものであ
る。すなわち、一般に自動車の空調制御装置にあって
は、空調風の風量を検出室温と乗員が設定する設定室温
との差によって制御するようになっている。この差が大
きい場合には風量を大きくして室温を早く設定室温に近
づけ、逆に室温が設定室温に十分近づくとその状態を維
持するために必要な風量に低減する。従って、日射量に
よって風量を変化させる幅は通常は大きくても15%程度
であり、風量を大きく変更すると室温を安定的に制御す
ることができない。ところが車両全体への日射量が変化
した場合には、車両全体での風量を大きく変化させなけ
ればならず、反面車両全体の風量をほぼ維持したままで
は、乗員に適切な風速をもった空調風の配風ができない
ので快適性の向上には限界があった。
ここで、日射量が急に増加したり減少したりすると、
乗員の温冷感が急激に変化することをさらに説明する。
例えば、夏期における昼間、晴天の日には、日射から
放射熱として乗員には空気温度よりも約3℃〜5℃高い
温度分の熱量が与えられ、この放射熱により乗員は暑い
と感じるが、適度な風速と風温をもった空調風を配風す
ることで快適環境に近づけることができる。ところが、
この放射熱が急に減少すると空調風は嫌みに感じられる
ことが多い。
そこて、第8図、第9図の第2表および第3表に示す
ように、3通りの環境条件を設定し、人体の熱環境状態
を定量的に把握する。ここで、人体の熱環境状態を定量
化するために、ファンガー氏が提案した「快適指標」を
用いる。この指標は人体の発熱と放熱および環境からの
受熱を定量的に算出し、これから人体の温冷感を定量化
したものである(Fanger,P.O(1972)Thermal Comfort,
2nd.ed.,facsimile of 1970,ed.,McGraw-Hill.New York
参照)。この指標を用いると日射からの放射熱や風速の
影響を定量的に把握することができる。この指標は第7
図の第1表に示すように乗員の申告に対応している。
つぎに、日射が急激に減少した場合の計算例を第2表
に示す。
ここで、グローブ温度はグローブ温度計で測定するも
ので、この温度計は約15cmの黒色の球形の容器内に通常
の棒温度計が差し込まれ、この球形の容器が受ける放射
熱を内部の棒温度計の温度に反映させることにより放射
熱の影響を温度として定量化する測定器具である。
この計算条件1の指標値が1.64というのは、第1表の
「やや暖かい」から「暖かい」という申告の中間的な値
となる。この条件1のような熱環境状態から日射が急に
少なくなった条件2では、指標値で−0.25となるため、
約2の指標値の差がでる。発明者らの実験では、指標値
で2も差が開くと前の状態からみて「寒い」という感覚
になり違和感を生じる。そこで、条件3のように風速を
低減させると、指標値で0.78となり約1の指標値の差に
押えることができる。指標値で1程度の差であれば「や
や寒い」程度にしか感じないために、日射が急激に減少
してもその影響は十分小さくなる。
また、日射が急激に増加した場合の計算例を第3表に
示す。この計算で条件1の指標値0.12というのは、温冷
感的に中立な状態である。この条件1のような熱環境状
態から日射による放射熱が増加して「やや暖かい」から
「暖かい」という申告の中間的な状態である条件2の指
標値1.41になった場合でも、条件3のように適切な風速
を与えれば、指標値で0.68となり、わずかな熱環境的な
変化にとどめることができる。この計算例では、指標値
上では約半減しているといえる。
上記のように、日射量の変化に対しては温冷感変化が
発生し、空調快適性に影響を及ぼすことがわかるととも
に、風速を適宜変化させることにより、日射量変化に対
して温冷感変化を緩和させることも判明した。
そこでこの発明は、風量を変化させることなく、日射
による乗員の不快感を適切に除去するように配風するこ
とにより、乗員の快適性をより向上することができる自
動車用空調制御装置の提供を目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 日射量を検出する日射量検出手段と、車室内温度等の
熱負荷を検出する熱負荷検出手段と、ブロワファンから
の空調風の吹出しを風速又は風量の少なくとも一方が低
い低負荷域、風速又は風量の少なくとも一方が中間の中
負荷域、風速又は風量の少なくとも一方が高い高負荷域
の少なくとも3段階の吹出しモードに切換え可能な吹出
口と、前記検出した日射量と車室内熱負荷とに応じて前
記吹出口を切替える制御手段とを備えた自動車用空調制
御装置において、前記制御手段を、前記低負荷域・中負
荷域、高負荷域の少なくとも3つの吹出しモードに所定
のヒステリシスを設けて前記吹出口を切換える通常吹出
しモード選択手段と、前記日射量検出手段又は熱負荷検
出手段の検出値の変化が一定以上であるとき、前記通常
吹出しモード選択手段に換えて一時的に用いられ、前記
ヒステリシスを含まない中負荷域内に包含される小さな
中負荷域と、該小さな中負荷域に応じて拡大した低負荷
域及び高負荷域を設定した一時的吹出しモード選択手段
とで形成したことを特徴とする。
(作用) 上記構成によれば常時は熱負荷により吹出状態が制御
され、日射量等が所定以上変化したとき、制御手段は、
一時的吹出しモード選択手段を一時的に用い、吹出口を
一時的に迅速に切換えて維持する。
(実施例) 以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図はこの発明の一実施例に係る構成図を示すもの
で、この実施例の車両は空調ユニット1を車両インスト
ルメント内に備えている。この空調ユニット1は、車室
内または車室外よりの空気の吸入口3を選択的に切換え
るインテークドア5の下流側にブロワファン7を備えて
いる。ブロワファン7の下流側には図示しないコンプレ
ッサ、コンデンサおよび膨脹弁等からなる冷凍サイクル
から冷媒を導入して送風空気を冷却通過させるエバポレ
ータ9と、図示しないエンジンの冷却水を導入してその
熱により送風空気を加熱通過させるヒータコア11とを備
えている。ヒータコア11はエバポレータ9の通過空気に
対しヒータコア11に導入する割合を調整して温度調整を
行なうエアミックスドア13を備えている。温度調整が行
なわれた空気風は吹出口CL1であるベント吹出口15およ
び足元吹出口17から吹出し、車室内を適温に制御する構
造となっている。
また、ベント吹出口15は、吹出し気流を対象乗員の方
向へ集中させる集中吹出しモードと、車室内全体に拡散
させる拡散吹出しモードとに切換え可能な機能を備えて
いる。
すなわち、前記インストルメントの前面には、前記ベ
ント吹出口15からの空調風の風向をルーバの制御によっ
て前席35の乗員に向ける風向設定器37,39,41,43が設け
られ、その風向は前席乗員および前席乗員の頭部上方へ
設定可能となっており、前記モードの切換えもできるよ
うになっている。
前記インテークドア5はインテークドア駆動装置19に
よって回動され、ブロワファン7はブロワファン駆動装
置21によって回転駆動され、また、エアミックスドア13
はエアミックスドア駆動装置23によって回動される。
ベント吹出口15はベントドア25を備えており、このベ
ントドア25はベントドア駆動装置27によって回動され
る。また、足元吹出口17には、該足元吹出口17とデフロ
スタ吹出口29とに送風を切換える切換ドア31が備えら
れ、この切換ドア31は切換ドア駆動装置33によって回動
される。
また、車室外の適当な位置には、外気温を検出する外
気温検出器45および日射量を検出する日射量検出手段CL
2としての日射量検出器47が備えられている。さらに、
車室内の適当な位置に車室内温度を検出する室温検出手
段CL3としての室温検出器49と、室内温度を設定する室
温設定器51とが備えられている。
以上の各検出器45乃至49により検出された信号と設定
器51により設定された信号とは、制御手段CL4としての
マイクロコンピュータ53へ入力され、このマイクロコン
ピュータ53から各ドア駆動装置19,23,37,33およびブロ
ワファン駆動装置21へ駆動信号を出力するようになって
いる。
つぎに、第3図の制御フローチャートを用いてこの実
施例の作用を説明する。
キースイッチON後A/CスイッチがONすると、まずステ
ップS1で、この制御フローチャートで用いる定数の初期
セットが行われる。すなわち、目標吹出温度Tofの計算
式に用いる定数A〜Eと、エアミックス開度Xの計算式
に用いるF,G,Hのセットである。
つぎに、ステップS2で外気温検出器45により検出され
た外気温Ta、日射量検出器47により検出された日射量
S、室温検出器49により検出された室温Tic、および室
温設定機51で設定された設定室温Tset等の各データが読
み込まれる。そして、ステップS3でブロワファン7の風
量を印加電圧によって制御するために、室温Ticと設定
室温Tsetとの差(Tic-Tset)によりブロワファン印加電
圧VFが設定される。具体的には、この偏差が大きいほ
ど印加電圧を増加し、風量を大きくすることで室温Tic
を設定室温Tsetに近づける。
つぎに、ステップS4において、外気温Ta、室温Tic、
日射量Sおよび設定温度Tsetから定数A乃至Eを用いて
目標吹出温度Tof′が計算され、さらに、この目標吹出
温度Tof′から定数F乃至Hを用いてエアミックス開度
Xが計算される(ステップS5)。
ついで、ステップS6で、目標吹出温度Tof′に基づい
て吹出しモードが計算される。すなわち、目標吹出温度
Tof′が高ければヒータモード(足元吹出し)、中程度
あればバイレベルモード(ベントおよび足元吹出し)、
低ければベントモード(ベント吹出し)である。そし
て、ステップS7では、吹出モードが判別され、ベントモ
ードであればステップS8へ移行し、そうでなければステ
ップS10へ移行する。
ステップS8では、室温Ticと日射量Sとから吹出しモ
ードが選択される。すなわち、室温Ticが所定値以上高
いか、日射量Sが所定値以上であれば集中吹出しモード
にし、室温Ticおよび日射量Sが所定値以下ならば拡散
吹出しモードにし、その両者の中間的な熱環境状態なら
ば、集中吹出しと拡散吹出しとをほぼ周期的に繰り返す
変動風吹き出しモードにする。
つぎに、ステップS9において、前記ステップS8で選択
した吹出しモードを日射量の所定以上の変化により一時
的に切換える必要があるか否かが判別される。すなわ
ち、日射量の急変があったとき約30秒間はステップS8で
選択した吹出しモードは使用せずに、このステップS9で
選択した吹出しモードを一時的に使用する。ここで、変
動風の熱環境条件をステップS8で決定した熱環境条件の
範囲の内側に包含されるより小さい熱環境条件範囲でし
か変動風の設定にならないようにする。この実施例では
日射量増減方向に変動風吹出しモードの範囲を狭めてい
る。このようにすることで、変動風吹出しモードを行っ
ている場合でも日射量の変化により一時的に吹出しモー
ドを適宜切換えることが可能となる。これをさらに説明
すると、例えばステップS9で選択した吹出しモードが選
択されたものとし、ステップS10では前記ステップS3で
決定したブロワファン印加電圧VFをブロワファン駆動
装置21へ出力し、さらに、各ドア駆動装置19,23,27,31
へ出力し、各ドア5,13,25,29を設定する(ステップS1
1)。次いで、ステップS25では一時的吹出しモードの選
択が行なわれたか否かの判断が行なわれ、YESとなっ
て、タイマーのアップカウントが行なわれる(ステップ
S26)。そして、タイマーアップカウントがt=30秒に
なると一時的吹出しモードの選択が終了となる(ステッ
プS27,S28)。従って、上記一時的選択作用が行われ
る。
つぎに、一例として室温が比較的高く集中吹出しモー
ドになっているときに、日射量が変化した場合の制御タ
イミングチャートをモード切換えのための設定量と共に
第4図に示す。
この図には、横軸を時間として4個のグラフが示され
ており、下のグラフから第4図()は日射量の時間的
変化を示す図、第4図()は熱環境状態に応じて集中
吹出しモードか、拡散吹出しモードか、あるいは集中吹
出しモードと拡散吹出しモードとを時間的に切換える変
動吹出しモードかを判別する図、第4図()は第4図
()で変動風制御によった場合の集中吹出しモードと
拡散吹出しモードとの切換え制御を示す図、第4図
()は集中吹出し位置と拡散吹出し位置との間を変動
する吹出口の位置を示した図である。
まず、第4図()においては、縦軸を日射量として
いる。ここでは、第3図のフローチャートのステップS8
のように日射量Sと室温Ticで熱環境を制御するのであ
るが、この例では説明を簡便にするために室温Ticは一
定とし日射量Sだけで吹出しモードが変わる熱環境とし
た。
同図において、第一設定量は集中吹出しモードと変動
風吹出しモードとを切換える設定量、第二設定量は変動
風吹出しモードと拡散吹出しモードとを切り換える設定
量、第三設定量は変動風吹出しモードから一時的に拡散
吹出しモードへ切り換える設定量である。従って、この
実施例では変動風吹出しモードが風速の高い第1吹出し
モードとなり、拡散吹出しモードが風速の低い第2吹出
しモードとなっている。なお、第1吹出しモードを集中
吹出しモードとし、第2吹出しモードを変動風吹出しモ
ード、又は拡散吹出しモードすることもできる。また、
モードの切り換えは車両が一時的に日向に出るような走
行のときは(例えばビル街での渋滞中にビルの切れ目に
出たようなとき)、第2吹出しモードから一時的に第1
吹出しモードを選択するように構成できる。
第4図でまず、区間1の前には変動風吹出しモードに
設定されていて、日射量Sが第一設定量のヒステリシス
を越えないので、そのまま変動風吹出しモードになり、
第4図()に示すように集中吹出しと拡散吹出しとを
切換える制御となる。この切換え制御に応じて第4図
()に示すように吹出口位置が集中吹出し位置から拡
散吹出し位置まで移動し、拡散吹出し位置に固定され、
集中吹出しモードに設定されると、拡散吹出し位置から
集中吹出し位置へ移動する。
区間2になると、日射量Sが増加して第一設定量のヒ
ステリシスを越えるので、第4図()に示すように集
中吹出しモードとなる。従って、第4図()に示すよ
うに吹出口位置は集中吹出し位置に固定されたままとな
る(日向の走行)。
区間3になると第1設定量以下になるので再び変動風
制御となる。
しかし、区間4になると、第三設定量以下になるの
で、一時的に変動風吹出しモードから拡散吹出しモード
へ切換わる(一時的に車両が日影に入ったような場
合)。前記第三設定量は、例えば前記第3図のステップ
S9において設定されている変動風吹出しモードと拡散吹
出しモードとを切り換えるための設定量となっている。
従って乗員は寒さを感ぜず、快適感が維持できる。そし
て、第4図()に示すように、区間Aでは一時的に拡
散吹出しモードにするために約30秒間拡散吹出しモード
に固定する。もしこの30秒間に日射量Sが増加して第三
設定量のヒステリシスを越えれば、再び変動風制御とな
る。しかし、この例のように30秒間を越えても第三設定
量のヒステリシス以下であれば、30秒経過した時点で第
4図()区間Bに示すように、吹出口位置が拡散吹出
し位置から集中吹出し位置に切換わり、区間Cでは変動
風制御によって拡散吹出しモードとなり、吹出口位置も
拡散吹出し位置に切換わる。したがって、第3図のステ
ップS8は、検出した日射量と車室内熱負荷とに応じて、
低負荷域(拡散吹出しモード)、中負荷域(変動風吹出
しモード)、高負荷域(集中吹出しモード)の少なくと
も3段階の吹出しモードを相互域間に所定のヒステリシ
ス(第一設定量ヒステリシス、第二設定量ヒステリシ
ス)を有して吹出口15を切換える通常吹出しモード選択
手段を構成している。また、ステップS9は、車室内の熱
負荷の変化が一定以上であるとき、前記通常吹出しモー
ド選択手段に換えて一時的に用いられ、前記ヒステリシ
スを含まない中負荷域内に包含される小さな中負荷域
と、該小さな中負荷域に応じて拡大した低負荷域及び高
負荷域を設定した一時的吹出しモード選択手段を構成し
ている。
区間5では変動風吹出しモードになる。区間6では、
車両が再び日向に向けて日射量Sが増加すると第一設定
量のヒステリシスを越えるので、集中吹出しモードとな
る。
区間7では、第一設定量のヒステリシス以下になるの
で変動風吹出しモードになり、区間8では集中吹出しモ
ードになる。
上記の制御により、例えば変動風状態で空調風を吹出
しながら日射量が所定値以上の環境条件で走行している
自動車が急に建物等の影に入った場合、乗員は今まで存
在していた放射熱が急に減少するために寒い感じがする
が、この制御では、この時点での吹出口のモードを強制
的に拡散吹出しモードにするので、寒い感じを与えるこ
とがない。
また、逆に道路の両側に木々があり、日射が遮ぎられ
た影の中を走行している途中で、急に木々が途切れた場
所にくると日射を急に受ける。このような環境条件の変
化に対し、乗員は暑いと感じてしまうのであるが、この
制御では、吹出しモードを拡散吹出しモードから集中吹
出しモードに所定の時間、切り換えることで日射からの
放射熱を空調気流によって冷却できるので、乗員は快適
な環境のままでいることができる。
第5図はこの発明の他の実施例の制御フローチャート
を示すものである。第3図のフローチャートと同様のス
テップは同符号を付し、重複した説明は省略する。
この実施例は、日射量Sと室温Ticのデータを所定時
間ごとに入力し、最初のデータを含む所定個数のデータ
から時間的に平均化した積分日射量Sσおよび積分室温
Ticσを計算して、この積分日射量Sσおよび積分室温T
icσを用いて吹出しモードを選択するようにしている。
すなわち、ステップS12で日射量Sと室温Ticの時間積
分を作るために、日射量Sと室温Ticを例えば15秒ごと
に入力して記憶する。この実施例では、それぞれ10個の
データを記憶する領域を備え、もっとも古いデータを棄
却して順次最新のデータを記憶する。すなわち、日射量
Sのもっとも古い値をS(1)に記憶し、S(2)、S
(3)と順次新しい値を記憶しS(10)に最新の値を記
憶する。室温Ticも同様にTic(1)にもっとも古い値を
記憶し、Tic(10)に最新の値を記憶する。つぎに、ス
テップS13では、記憶した10個の日射量S(1)乃至S
(10)と室温Tic(1)乃至Tic(10)のデータからの時
間平均した値としての積分日射量Sσおよび積分室温Ti
cσを計算する。そして、ステップS14でこの積分日射量
Sσおよび積分室温Ticσを用いて吹出しモードが選択
される。
ステップS15では、現在の熱環境状態量、すなわち現
在の日射量Sおよび室温Ticを用いて吹出しモードを一
時的に切換える。ここでは第3図におけるステップS9と
は異なり、所定時間切り換えて元の吹出モードに戻る制
御ではなく、ステップS15での吹出しモードの切り換え
が行われないかぎり、吹出しモードの一時的切り換えか
ら元の吹出しモードに切り換わらない(ステップS2
9)。
この実施例では、ステップS14のように時間的に平均
化した熱環境状態量を用いることで、吹出しモードその
ものの切り換えを安定的に行うことができる。
そして、日射量Sの急激な減少や増加に対して、熱環
境状態の別の判別値(現在値)を用いるので、一時的な
モード切換えが上記のように行なわれ例えば日射量Sが
急減しても、乗員が寒く感じるようなことが防止され、
快適性が向上される。
なお、この例では、積分日射量Sσおよび積分室温Ti
cσを単純な時間平均としたが、最新のデータの重みを
大きくし、古いデータの重みを小さくする重み付き平均
を行ってもよい。
第6図はこの発明のさらに他の実施例の制御フローチ
ャートを示すものである。第5図のフローチャートと同
様のステップは同符号を付し、重複する説明は省略す
る。
この実施例は例えば日射量検出手段として時間的な応
答性が劣る日射量検出器を使用した場合等でも、時間的
な遅れをほとんど回避することができるようにしたもの
である。
すなわち、ステップS16で、日射量Sの時間的な変化
率ΔSが計算される。つぎに、ステップS17では、吹出
しモードが集中吹出しモードか否かが判別される。ここ
で、集中吹出しモードのときはステップS18へ移行し、
また、集中吹出しモードでないときにはステップS20へ
移行する。ステップS18では、日射量変化率ΔSが予め
定められた所定値ΔS1以下か否かが判別される。この例
では、ΔS1=−20kcal/m2h/秒に設定されている。そし
て、所定値ΔS1以下であれば、日射が急激に減少してい
ると判定してステップS19へ移行し、拡散吹出しモード
に設定してステップS10へ移行する。また、ステップS18
における判別が所定値ΔS1以下でないときにはステップ
S20へ移行する。ステップS20では、吹出しモードが拡散
吹出しモードか否かが判別される。ここで、拡散吹出し
モードであればステップS21へ移行し、また、拡散吹出
しモードでないときにはステップS15へ移行する。ステ
ップS21では、日射量変化率ΔSが予め定められた所定
値ΔS2上か否かが判別される。この例ではΔS2=20kcal
/m2/h秒に設定されている。そして、所定値ΔS2上であ
れば、日射が急激に増大していると判定してステップS2
2へ移行し、集中吹出しモードに設定してステップS10へ
移行する。また、ステップS21における判別が所定値ΔS
2上でないときにはステップS15へ移行する。
このような制御にすることで、日射量の検出手段とし
て時間的な応答性に劣る日射量検出器を使用しても、時
間的な遅れを殆ど回避することが可能となる。通常、日
射量の検出には光量をそのまま電流に変換するフォト・
トランジスタなどが用いられるが、低廉なサーミスタ型
の温度センサで日射量の検出を行うこともある。この場
合には温度の変化で日射量を検出するのでセンサの熱容
量もあってどうしても時間的な遅れをともなう。
そこで、このような応答性に劣るセンサを日射量検出
器として使用する場合には、日射量だけでなく日射量の
時間的変化も制御に取り入れることで、時間的遅れを解
消できる上に低廉なセンサを用いることが可能になるの
である。
この発明の自動車用空調制御装置は、日射量が急変し
た場合に生じる放射熱の増減に対しては、空調風の風速
変化によって乗員を快適な空調状態のままに維持するこ
とが可能となる。また、日射の多く当る部分に多くの風
量を配分するのではなく、風量の変化を伴わないで吹出
口での風速変化だけで行うことによって、室温を設定室
温附近に維持する制御を何ら阻害することなく乗員の空
調快適性を維持できる。
従って、室温維持制御のための風量制御と乗員の放射
熱による温冷感変化を空調風の風速変化で対処すること
ができ、乗員の快適性をより向上することができる。
なお、この発明は上記実施例に限定されるものではな
い。例えば、吹出口を集中吹出しあるいは拡散吹出しに
設定する際、その設定のためのモータ等の駆動装置の耐
久性を向上するために小さいヒステリシスをいれてもよ
い。また、上記実施例では、集中吹出しと拡散吹出しと
で変化させる形式の変動風としたが、例えば新たに設け
た別の吹出口からの空調風の配風を開放、閉止すること
も可能である。ここで、閉止する中間的な操作として配
風量を調節することとしてもよい。さらに、上記実施例
では、日射量と室温を用いて制御するようにしたが、こ
れに室温設定値や外気温を用いてもよく、また、対象乗
員の表面温度等を非接触の赤外線温度計で測定したり、
放射の影響を加味する目的でグローブ温度計の値を用い
るようにしてもよい。
[発明の効果] 以上の説明より明らかなように、この発明の構成によ
れば、ブロワファンをほとんど変化させることなく、日
射等による乗員の不快感を適切に除去するように配風す
ることができ、乗員の快適性をより向上することができ
る。しかも、通常吹出しモード選択手段は、ヒステリシ
スをもって吹出しモードの切り換え設定をするので、制
御域が不必要に切換わることなく安定した制御により快
適性と装置の耐久性とを維持することができる。同時
に、一時的な一時的吹出しモード選択手段への切換えに
より、ビル街で不連続に日射を受けた場合等では、通常
吹出しモード選択手段による中負荷域の吹出しモード等
の設定に係わらず、一時的に他のモード、例えば高負荷
域または低負荷域を維持することができる。従って、通
常吹出しモードではヒステリシスを有して装置のハンチ
ングを防止しながら、日射の急変等に対しても的確な変
化を得ることができ、より快適性を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の構成図、第2図はこの発明の一実施
例に係る構成図、第3図は第2図に基づく制御フローチ
ャート、第4図は第3図に基づく制御状態を示すタイム
チャート、第5図はこの発明の他の実施例の制御フロー
チャート、第6図(a),(b)はこの発明のさらに他
の実施例の制御フローチャート、第7図はファンガー快
適指標を示す図、第8図,第9図は人体の熱環境状態を
定量的に把握する計算例を示す図である。 7……ブロワファン CL1……吹出口 CL2……日射量検出手段 CL3……室温検出手段 CL4……制御手段 CL5……補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−136813(JP,A) 特開 昭59−34915(JP,A) 実開 昭58−8612(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】日射量を検出する日射量検出手段と、 車室内温度等の熱負荷を検出する熱負荷検出手段と、 ブロワファンからの空調風の吹出しを風速又は風量の少
    なくとも一方が低い低負荷域、風速又は風量の少なくと
    も一方が中間の中負荷域、風速又は風量の少なくとも一
    方が高い高負荷域の少なくとも3段階の吹出しモードに
    切換え可能な吹出口と、 前記検出した日射量と車室内熱負荷とに応じて前記吹出
    口を切替える制御手段とを備えた自動車用空調制御装置
    において、 前記制御手段を、前記低負荷域・中負荷域・高負荷域の
    少なくとも3つの吹出しモードに所定のヒステリシスを
    設けて前記吹出口を切換える通常吹出しモード選択手段
    と、 前記日射量検出手段又は熱負荷検出手段の検出値の変化
    が一定以上であるとき、前記通常吹出しモード選択手段
    に換えて一時的に用いられ、前記ヒステリシスを含まな
    い中負荷域内に包含される小さな中負荷域と、該小さな
    中負荷域に応じて拡大した低負荷域及び高負荷域を設定
    した一時的吹出しモード選択手段とで形成したことを特
    徴とする自動車用空調制御装置。
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