JP2005306196A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】乗員の温熱感に合った適切な空調制御を行えるようにした車両用空調装置を提供する。
【解決手段】室温センサ26と、輻射温度センサ27と、着衣表面温度センサ28と、空調ユニット2と、車室温、車室内輻射温度、及び着衣表面温度に基づいて空調ユニットを制御する制御装置24と、を備え、制御装置は、車室温及び車室内輻射温度から外気温を推定し、その外気温において乗員が快適と感じられる着衣表面温度を目標着衣表面温度とし、実際の着衣表面温度が目標着衣表面温度となるように空調ユニットを制御する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両用空調装置に関するものである。
特開2002−127728号公報に開示された車両用空調装置は、乗員の着衣の表面温度を検出して着衣部温度信号を出力する着衣表面温度センサを備え、制御装置が、乗員の温熱感の推定値を着衣部温度信号に基づいて算出し、この温熱感推定値に基づいて車室内の空調制御を行うようにしている。
この車両用空調装置によれば、着衣は乗員の顔面の面積よりも大きく、また乗員が着座した状態での着衣の移動量は顔面よりも少ないため、乗員の動作、体格、着座姿勢等に関わらず、着衣が着衣表面温度センサの温度検出範囲から外れる可能性が小さく、温度を精度良く安定して検出することができるため、適切な空調制御を行うことができるとされている。
特開2002−127728号公報
しかしながら、この車両用空調装置では、温熱感の推定値を求めるにあたって、日射センサが検出した日射量を用いて温熱感を数式で表している。この日射センサは、乗員に日射が直接当たる場合と、ルーフ等で遮られる場合とを区別しないため、温熱感推定値と実際に乗客が感じる温熱感との間に差が生じ、乗員の温熱感に合った適切な空調制御を行うことができないと考えられる。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗員の温熱感に合った適切な空調制御を行えるようにした車両用空調装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明に係る車両用空調装置は、車室温を検出する室温センサ26と、車室内輻射温度を検出する輻射温度センサ27と、乗員の着衣表面温度を検出する着衣表面温度センサ28と、内外気を導入して温調し、車室内に供給する空調ユニット2と、車室温、車室内輻射温度、及び着衣表面温度に基づいて空調ユニット2を制御する制御装置24と、を備え、制御装置24は、車室温及び車室内輻射温度から外気温を推定し、その外気温において乗員が快適と感じられる着衣表面温度を目標着衣表面温度とし、実際の着衣表面温度が目標着衣表面温度となるように空調ユニット2を制御することを特徴としている。
また、第2の発明に係る車両用空調装置は、車室内輻射温度を検出する輻射温度センサ27と、乗員の着衣表面温度を検出する着衣表面温度センサ28と、内外気を導入して温調し、車室内に供給する空調ユニット2と、車室内輻射温度及び着衣表面温度に基づいて空調ユニット2を制御する制御装置24と、を備え、制御装置24は、車室内輻射温度及び着衣表面温度から設定される快適温度領域内に実際の車室内輻射温度及び着衣表面温度が入るように空調ユニット2を制御することを特徴としている。
本発明では、車室温や車室内輻射温度から求められる目標着衣表面温度と実際の着衣表面温度との差から、日射量、着衣の熱容量等による影響を正確に把握することができ、また、車室内輻射温度や着衣表面温度に基づく快適な状態をつくり出すことができる。したがって、乗員の温熱感に合った適切な空調制御を行うことができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態である車両用空調装置の空調ユニットの概略構成図、図2は実施形態の冷凍サイクルの概略構成図、図3は実施形態の制御システムの概略構成図である。
図1に示す車両用空調装置は、内部に空気通路1が形成された空調ユニット2を備えており、この空調ユニット2の上流側には、車室内空気を取り入れるための内気導入口3と、車室外空気を取り入れるための外気導入口4とが設けられている。
空調ユニット2の上流側の内部には、内気導入口3及び外気導入口4を選択的に開閉する内外気切換装置としてのインテークドア5と、内気導入口3及び外気導入口4を介して内外気を導入すると共に下流側に向けて送風する送風装置としてのブロワ6とが設けられている。
ブロワ6の下流側には、空気通路1を通る空気から吸熱して冷却する熱交換器7が設けられ、この熱交換器7の下流側には、空気通路1を通る空気を暖めるヒータコア8と、冷却された空気の一部をヒータコア8に導くと共に残りの空気をヒータコア8をバイパスさせる温調装置としてのミックスドア9とが設けられている。
ミックスドア9の下流にはエアミックスチャンバ10が設けられ、このエアミックスチャンバ10に連通するように、空調風吹出口としてのデフロスタ吹出口11、ベント吹出口12、及びフット吹出口13が設けられている。吹出口11、12、13は、それぞれ配風装置としてのデフロスタドア14、ベントドア15、フットドア16によって開閉されるようになっている。
このような車両用空調装置にあっては、インテークドア5により内気導入口3又は外気導入口4が開口され、ブロワ6が駆動されると内気又は外気が取り込まれる。取り込まれた空気は熱交換器7で冷却された後、ミックスドア9によりヒータコア8を通る流路とヒータコア8を迂回する流路とに適宜の比率で分配される。
そして、ヒータコア8で温められた空気とヒータコア8を迂回した空気とがエアミックスチャンバ10で混合され、空調風として吹出口11〜13から車室内に向けて吹き出す。
熱交換器7は図2に示す冷凍サイクルの一部を構成しており、このサイクルを循環する冷媒を蒸発させることにより空気を冷却する。図2において、19は圧縮機であり、エンジン等からの駆動力により駆動されて冷媒を圧縮する。圧縮機19で圧縮された冷媒は車室外に配置された熱交換器20で凝縮し、膨張弁21で膨張した後、熱交換器7で蒸発して圧縮機19に戻る。
図3に示すように、本実施形態の制御システムは、CPU、ROM、RAMを含むマイクロコンピュータにより構成された制御装置としての制御アンプ24を備えている。
この制御アンプ24には、外気温を検出する外気温センサ25、車室温を検出する室温センサ26、車室内の内装材から発する輻射温度を検出する輻射温度センサ27、乗員の着衣の表面温度を検出する着衣表面温度センサ28が接続されている。
輻射温度センサ27は、車室内内装材(例えばパネル、ルーフ、フロア、ウインド等)表面の平均輻射温度と相関が取れる部品の温度を検出するもので、そのような部品としては、例えば、運転席や助手席シートの背側の表面、リア座席バックシート中央部等、外気からの熱伝導が無く、且つ空調風が直接当たらない所であり、さらに日射が直接当たらない所であるのが好ましい。
なお、輻射温度センサ27としては、被測定物に接触して温度を検出する接触式のもの(例えば、サーミスタ、熱電対)や、被測定物に接触せずに温度を検出する非接触式のもの(例えば、焦熱センサ、サーモパイル)等を適宜使用することができる。これらのセンサを用いることにより、製造コストが安価となり、省スペース化を図ることができるという利点がある。
輻射温度はMRT=Σ(表面温度×各部の面積)/各部の面積(℃):周壁平均温度でも表現される。なお、MRT(Mean Radiant Temperature)は、車両内装材表面で人体に投射面積で平均化した温度である。
測定方法は一般的にはグローブ温度計を用い、MRT=グローブ温度+2.4×√V×(グローブ温度−気温)で求めるが、風速が推定できれば定義に従って輻射面の平均温度を使用することが可能である。車室内ではファン速度でほぼ風速が決まるので輻射面からの測定も可能である。
本発明では、このような測定を行わず、輻射温度センサ27の検出値から制御アンプ24が車室内内装材表面の平均輻射温度を推定するようにしている。すなわち、対象車両の空調安定時を基準とした平均輻射温度を、車室温と外気温の関数で、k1×所定部品表面温度(空調安定時)と仮定し、車室温と外気温が決まると車両の熱伝導率から車室内内装材表面温度が決まることを利用する。
k1は比例定数で、輻射温度センサ27が実際に測定した部品表面温度と空調安定時の部品表面温度との差から平均輻射温度を推定する。次式を基に実際の平均輻射温度を推定する。
実際平均輻射温度−平均輻射温度(安定時)=k1×(実測部品表面温度−安定時部品表面温度)。なお、安定時は、車室温と外気温で車両温度が安定した時点から求める。
このような方法によれば、特別な輻射温度センサを用いる必要が無くなるため、製造コストの増加を抑えることができる。
着衣表面温度センサ28は、着衣における日射が当たる範囲を含む表面の温度を検出するもので、被測定物に接触せずに温度を検出する非接触式のセンサ(例えば、焦熱センサ、サーモパイル)が用いられる。
なお、着衣表面温度センサ28を、赤外線センサ、特に複眼で細やかな温度測定を行うものとすると、着衣表面外で輻射温度代表を兼ねる部位も同時測定することで、輻射温度センサ27も兼ねるようにすることができるため、製造コストが低減する。
なお、着衣における日射が当たる範囲を含む表面温度を検出することで、着衣表面温度が推定温度より高い場合に、日射が直接乗員に当たっていると見なして、その影響をキャンセルする空調制御を行うことができるため、乗員の温熱感に合った適切な空調制御が可能となる。また、日射センサを省くことができるため、製造コストが低減する。
制御アンプ24は、推定された平均輻射温度と車室温と車両の熱伝導率から外気温を推定し、推定した外気温において乗員が快適と感じられる着衣表面温度を目標着衣表面温度とし、実際の着衣表面温度が目標着衣表面温度となるように空調ユニット2を制御する。
なお、目標着衣表面温度は、日射が乗員に当たらないときで、そのときの外気温に対し空調されて快適とされる室内環境での着衣量のとき、車室温、車室内輻射温度が快適な状態のときの着衣の表面温度である。
この目標着衣表面温度は、新標準有効温度(SET:Standard New Effective Temperature)や快適度指数(PMV:Predicted Mean Vote comfort equation) 等の温熱生理学的に90%以上の人が快適と感じる範囲で設定すると、客観的基準であるため適切な空調制御が可能となると共に、制御範囲に幅を持たせて弾力的な制御を行うことができる。
車室温と、車室内輻射温度と、乗員が快適と感じるときの着衣表面温度とは相関がある。例えば車室温が車室内輻射温度より高いときは、日射を受けて車室温が上がっているか、暖房された車両から下車して再び乗り込むまでの時間が短く、熱容量の関係で温度差が保たれている場合であると考えられる。つまり、日射の影響や昇降間隔の影響が大きい。
車室内輻射温度と目標着衣表面温度の相関関係は、実測による特性線図から求めるようにしてもよいし、温熱生理学等の理論に基づく計算により求めるようにしてもよい。
図4は、外気温に対する平均輻射温度(符号A)、目標着衣表面温度(符号B)、外気温を基準とした、乗員が快適と考える車室内設定温度(符号C)、外気温に対して温調された車室内での推定着衣量(符号D)の関係を示す特性線図である。
なお、着衣量の単位であるcloは着衣の熱絶縁量であり、ASHREで提唱されている値で、椅子に腰掛けている白人標準男性被服者が平均皮膚温33℃の快適な状態を維持できるのに必要な着衣の熱絶縁量である。
図4において符号Bで示す目標着衣表面温度より実際の着衣表面温度が高いときは、車室温が高いか、着衣が日射等の輻射を得て受熱量がオーバーしているか、着衣の温度が高いまま乗車して快適範囲からずれていることを示している。この状態では乗員が暑く感じることになる。また、その逆であれば着衣が冷えているか車室温が低いことを示し、体感的には受熱量が不足で寒く感じられる。
目標着衣表面温度と実際の着衣表面温度を比較することで、日射による影響等を量的に把握することができ、空調制御することにも、空調制御の補正を行うことにも用いることができる。空調制御の場合には、目標車室温、目標車室内輻射温度、目標着衣表面温度になるように制御シーケンスを作ることであり、空調制御の補正の場合には、空調制御に日射補正としての制御シーケンスを組み込むことになる。
乗員が外気にさらされている時間が長い場合など、着衣表面温度が目標温度から差が生じた場合でも、その量を把握でき、制御や補正制御を自動的に行うことができるので、体感に合った制御を行うことができる。つまり、目標着衣表面温度を決めて、その温度になるように制御することで、適切な空調が可能である。
図4に示す特性曲線は、制御アンプ24のメモリ24a(記憶手段)内に格納されており、制御マップとして用いられる。
本実施形態の制御システムのその他の構成は従来と同様であり、図示しないが、熱交換器7の吸込空気温度センサ及び吹出空気温度センサ、エンジン等の冷却水温センサやヒータコア8の温度センサ、圧縮機19の吐出冷媒圧センサ等を備えている。
次に、第1の実施形態の制御手順を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
エアコンスイッチがONされて制御がスタートすると、各種センサや制御アンプ24が初期化された後、ステップS5で車両が停止中か否かを判定し、YESの場合にはフローを終了する。NOの場合にはステップS10で制御アンプ24が室温センサ26の検出値Tr及び着衣表面温度センサ28の検出値Tcloを読み込むと共に、輻射温度センサ27の検出値を読み込んで平均輻射温度Tmrtを算出する。
そして、ステップS20で、制御アンプ24は、推定された平均輻射温度と車室温と車両の熱伝導率から外気温を推定し、推定した外気温における目標着衣表面温度Taを算出する。
次いで、ステップS30で、Tclo>Ta+αであるか否かを判定する。なお、αは快適である温度偏差であり、ここではTcloが図4のグレーの領域Rよりも上であるか否かを判定している。YESの場合には、ステップS40で車室温が下がるように空調ユニット2を制御する。
ステップS30でNOの場合にはステップS50に進み、Tclo>Ta−αであるか否かを判定する。YESの場合には、Tcloが図4のグレーの領域R内にあることを意味するので、ステップS60で空調ユニット2の制御状態を現状とし、車室温が変化しないようにする。
ステップS50でNOの場合には、Tcloが図4のグレーの領域Rよりも下にあることを意味するので、ステップS70に進み、車室温が上がるように空調ユニット2を制御する。
このように、車室温や車室内輻射温度から外気温を推定し、これに基づいて目標着衣表面温度を設定し、実際の着衣表面温度が目標着衣表面温度になるように制御を行うことで、日射量、着衣の熱容量等による影響を正確に把握することができるので、乗員の温熱感に応じた快適な室内温度環境を提供することができる。
また、輻射温度センサによって車室内の輻射温度を測定しているので、ウォームアップやクールダウンのような空調過渡期において、車両の内装材からの輻射量を考慮した適切な温度制御ができるため、乗員の温熱感に対して素早く温度調節を行うことができ、過渡期において所望の空調性能に到達する時間を短縮することができる。また、輻射温度に合わせた室温となるように自動的に制御されるため、各種の補正制御が簡素化される。
また、輻射温度センサで輻射温度を測定することにより、乗員の乗降が頻繁な場合に、車両の温まり具合、冷え具合を把握することができるため、最適な空調制御量を求めることができる。
また、目標着衣表面温度に快適温度範囲を設定し、実際の着衣表面温度が快適温度範囲外にあるときには、その点が快適温度範囲内に入るように最大能力で運転するため、不快な温度範囲からすばやく逃れることができる。
さらに、室温と輻射温度と着衣表面温度を用いて制御するため、外気温センサを省くこともできる。また、日射の影響は着衣表面温度や輻射温度に反映されるため、日射センサが不要である。したがって、製造コストが低減する。
なお、着衣表面温度の測定範囲を日射の影響を受ける部位だけでなく、上半身、下半身、右半身、左半身等のように測定部位を細分化し、これらを個別に測定し、各部位に対して表面温度に応じた空調制御(吹き出し温度制御、モード制御、風量制御、風向制御等)を行うようにすると、より快適性が向上する。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態のハードウエアの構成は第1の実施形態と同様であり、重複する説明は省略してある。
図6に示すように、車室内輻射温度と着衣表面温度との間には相関関係があり、関数で表すことが可能である。また、車室内輻射温度の不快領域と着衣表面温度の不快領域とにぞれぞれ上限と下限を設け、制御値として用いることが可能である。
乗客が快適と感じる領域は符号1〜3に示す領域で表すことができる。そして、その中央値である制御目標線C・Lは数式で表現することができる。各領域1〜3毎に制御目標線C.Lの数式が変化するため、それに応じて制御方法を変更し、車室内輻射温度と着衣表面温度とから成る座標を制御目標線C.Lに近づけるようにすればよい。
制御アンプ24は、着衣表面温度センサ28の値が、制御目標線C.Lに沿って形成された帯状の快適領域R’に入るよう、空調ユニット2のインテークドア5、ブロワ6、デフロスタドア14、ベントドア15、フットドア16等を制御する。
すなわち、着衣表面温度センサが制御目標線C.Lから外れた位置では急速駆動し、制御目標線C.Lに近づくように制御を行う。車室内輻射温度が改善されると、最適な着衣表面温度も変化するので、変化率を捉えて制御目標を設定して制御することも可能である。
上述したように、着衣表面温度の外乱因子としては日射が大きい。そのため、日射を受けやすい上半身と下半身とでは空調装置の挙動が異なり、上半身だけでなく下半身の着衣表面温度が測定できると、それぞれの体感温度を把握できるので、それに合わせて空調制御を細かく行うことができる。例えば、日射が当たる部位だけに空調風を向ける等のフィーリング改善操作が可能となる。
制御アンプ24は、空調ユニット2が車室内に供給する空調風の温度を車室内輻射温度に基づいて制御し、車室温と目標車室温(設定温度)の差、車室内輻射温度と目標車室内輻射温度の差、及び着衣表面温度と目標着衣表面温度の差に基づいて空調ユニット2の風速制御を行う。
このように、輻射温度と着衣表面温度を中心に空調制御を行うことで、室温のみで空調制御を行う場合に比べて、より乗員の温熱感に近い制御を行うことができるので、快適性が向上する。
なお、吹き出し風速による影響を制御内容に盛り込むためには、グリルでの吹き出し風温を把握できるようにする必要が有るため、空調ユニット2のモード設定に従って配風制御する部分もしくは吹き出しグリルでの温度測定用センサを追加することになる。なお、吹き出し口の温度が分かれば、他の方法でもよい。
次に、第2実施形態の制御手順を図6、図7に基づいて説明する。
エアコンスイッチがONされて制御がスタートすると、各種センサや制御アンプ24が初期化された後、ステップS105で車両が停止中か否かを判定し、YESの場合にはフローを終了する。NOの場合にはステップS110で制御アンプ24が着衣表面温度センサ28の検出値Tcloを読み込むと共に、輻射温度センサ27の検出値を読み込んで平均輻射温度Tmrtを算出する。
そして、ステップS120でT1≦Tclo≦T2及びTm1≦Tmrt≦Tm2であるかを判定する。ここで、T1は設定温度で約90%の人が快適と感じる下限気温、T2は設定温度で約90%の人が快適と感じる上限気温である。
また、Tm1は暖房で快適と考えられる最低輻射温度(通常、冬季の室内環境の服装で設定温度のときに快適感が得られる輻射温度)であり、Tm2は冷房で快適と考えられる最高輻射温度(通常、夏季の室内環境の服装で設定温度のときに快適感が得られる輻射温度)である。
ステップS120でYESの場合にはステップS130に進み、Tma≦Tmrt≦Tmbであるかを判定する(図5参照)。ここで、Tmaはオートエアコンで設定温度を補正することなく乗員が快適と感じる最低温度(通常、冬季の室内環境の服装で設定温度のときに快適感が得られる輻射温度)である。また、Tmbは設定温度(空調された屋内環境の服装をした人が乗車した際に90%以上の人が快適感が得られる温度)の中央値であり、一般的には25℃前後である。
ステップS130でYESの場合にはステップS140に進み、着衣表面温度センサ28の検出値Tcloが制御目標線C.L(図5参照)以下に位置するか否かを判定する。
YESの場合にはステップS150に進み、暖房能力を増強して運転する。また、NOの場合にはステップS60に進み、暖房能力を低減する。従ってTcloとTmrtを座標とする点が制御目標線C.Lに近づくことになる。
ステップS120でNOの場合にはステップS170に進み、Tmrt<Tm1又はTclo<T1であるかを判定する。YESの場合にはステップS175に進み、Tmrt>Tm2及びTclo<T1であるかを判定し、NOの場合にはステップS180に進み、最大暖房能力で運転する。YESの場合にはステップS190に進み、最大冷房能力で運転する。また、ステップS170でNOの場合にもステップS190に進む。
ステップS130でNOの場合には、ステップS200に進み、Tm1≦Tmrt<Tmaであるかを判定する(図5参照)。YESの場合には、ステップS210に進み、着衣表面温度センサ28の検出値Tcloが制御目標線C.L以下に位置するか否かを判定する。なお、図5に示すように、この制御範囲の目標着衣表面温度は全範囲にわたって一定(Tcb)である。
ステップS210でYESの場合にはステップS220に進み、暖房能力を増強して運転する。NOの場合にはステップS230に進み、暖房能力を低減する。
ステップS200でNOの場合には、Tmb<Tmrt≦Tm2であり(図5参照)、ステップS240に進んで着衣表面温度センサ28の検出値Tcloが制御目標線C.L以上に位置するか否かを判定する。なお、図5に示すように、この制御範囲の目標着衣表面温度は全範囲にわたって一定(Tca)である。
ステップS240でYESの場合にはステップS250に進み、冷房能力を増強して運転する。NOの場合にはステップS260に進み、冷房能力を低減する。
このように、輻射温度及び着衣表面温度がそれぞれ制御目標線に近づくように制御を行うので、乗員の温熱感に応じた快適な室内温度環境を提供することができる。
また、輻射温度センサによって車室内の輻射温度を測定しているので、ウォームアップやクールダウンのような空調過渡期において、車両の内装材からの輻射量を考慮した適切な温度制御ができるため、乗員の温熱感に対して素早く温度調節を行うことができ、過渡期において所望の空調性能に到達する時間を短縮することができる。また、輻射温度に合わせた室温となるように自動的に制御されるため、各種の補正制御が簡素化される。
また、輻射温度センサ27で輻射温度を測定することにより、乗員の乗降が頻繁な場合に、車両の温まり具合、冷え具合を把握することができるため、最適な空調制御量を求めることができる。
また、快適温度範囲を設定し、着衣表面温度及び平均輻射温度を座標とする点が快適温度範囲外にあるときには、その点が快適温度範囲内に入るように最大能力で運転するため、不快な温度範囲からすばやく逃れることができる。
さらに、室温と輻射温度と着衣表面温度を用いて制御するため、外気温センサを省くこともできる。また、日射の影響は着衣表面温度や輻射温度に反映されるため、日射センサが不要である。したがって、製造コストが低減する。
ータベースを制御アンプ24のメモリ24aに記憶させておき、このデータベー
また、着衣表面温度の測定範囲を日射の影響を受ける部位だけでなく、上半身、下半身、右半身、左半身等のように測定部位を細分化し、これらを個別に測定し、各部位に対して表面温度に応じた空調制御(吹き出し温度制御、モード制御、風量制御、風向制御等)を行うようにすると、より快適性が向上する。
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の改変を施すことができる。
本発明の一実施形態である車両用空調装置の空調ユニットの概略構成図。 実施形態の冷凍サイクルの概略構成図。 実施形態の制御システムの概略構成図。 外気温に対する平均輻射温度、目標着衣表面温度、車室内設定温度、想定着衣量の関係を示す特性線図。 第1の実施形態の制御フローチャート。 車室内輻射温度と着衣表面温度の関係を示す特性線図。 第2の実施形態の制御フローチャート。 第2の実施形態の制御フローチャート。
符号の説明
2 空調ユニット
24 制御アンプ(制御装置)
24a メモリ(記憶手段)
25 外気温センサ
26 室温センサ
27 輻射温度センサ
28 着衣表面温度センサ

Claims (11)

  1. 車室温を検出する室温センサ(26)と、
    車室内輻射温度を検出する輻射温度センサ(27)と、
    乗員の着衣表面温度を検出する着衣表面温度センサ(28)と、
    内外気を導入して温調し、車室内に供給する空調ユニット(2)と、
    車室温、車室内輻射温度、及び着衣表面温度に基づいて空調ユニット(2)を制御する制御装置(24)と、
    を備え、
    制御装置(24)は、車室温及び車室内輻射温度から外気温を推定し、その外気温において乗員が快適と感じられる着衣表面温度を目標着衣表面温度とし、実際の着衣表面温度が目標着衣表面温度となるように空調ユニット(2)を制御することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 車室内輻射温度を検出する輻射温度センサ(27)と、
    乗員の着衣表面温度を検出する着衣表面温度センサ(28)と、
    内外気を導入して温調し、車室内に供給する空調ユニット(2)と、
    車室内輻射温度及び着衣表面温度に基づいて空調ユニット(2)を制御する制御装置(24)と、
    を備え、
    制御装置(24)は、車室内輻射温度及び着衣表面温度から設定される快適温度領域内に実際の車室内輻射温度及び着衣表面温度が入るように空調ユニット(2)を制御することを特徴とする車両用空調装置。
  3. 着衣表面温度センサ(28)は、着衣における日射が当たる範囲を含む表面の温度を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
  4. 制御装置(24)は、空調ユニット(2)が車室内に供給する空調風の温度を車室内輻射温度に基づいて制御し、車室温と目標車室温の差、車室内輻射温度と目標車室内輻射温度の差、及び着衣表面温度と目標着衣表面温度の差に基づいて空調ユニット(2)の風速制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
  5. 目標着衣表面温度と車室内輻射温度の相関関係を、実測による特性曲線から求めるか、又は温熱生理学等の理論に基づく計算式から求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
  6. 制御装置(24)は、着衣表面温度と目標着衣表面温度の差が所定値以上の場合、空調ユニット(2)から車室内に供給される空調風の方向を、着衣における日射が当たる範囲に変更することを特徴とする請求項3記載の車両用空調装置。
  7. 輻射温度センサ(27)は車室内の所定の部品の表面温度を検出するものであり、制御装置(24)は、外気温、室温及び輻射温度に基づいて平均輻射温度を推定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
  8. 制御装置(24)は、新標準有効温度や快適度指数等の温熱生理学的に90%以上の人が快適とする範囲で目標着衣表面温度幅を決定し、着衣表面温度がその温度幅内となるように空調ユニット(2)を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
  9. 着衣表面温度センサ(28)は、着衣の複数の部位の表面温度を個別に測定し、制御装置(24)は、各部位に対して表面温度に応じた空調風を供給するように空調ユニット(2)を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
  10. 着衣表面温度センサ(28)は、車室内の所定の部品の表面温度を検出する輻射温度センサ(27)を兼ねることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
  11. 輻射温度センサ(27)及び着衣表面温度センサ(28)は、被測定物に接触しないで温度を検出する非接触式のものであることを特徴とする請求項10記載の車両用空調装置。
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