JP2012158226A - シート空調装置を備えた車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】省エネの観点及び時間の観点から効率的に空調を行う。
【解決手段】シート空調を行うシート空調装置において、シート環境を絶対湿度で検出して快適か不快かを閾値によって判別するシート環境検出判別手段を具備し、前記シート環境検出判別手段により、シート環境が不快であると判断される場合は、シート空調の能力を増加させたことを特徴とする。
【選択図】図6
【解決手段】シート空調を行うシート空調装置において、シート環境を絶対湿度で検出して快適か不快かを閾値によって判別するシート環境検出判別手段を具備し、前記シート環境検出判別手段により、シート環境が不快であると判断される場合は、シート空調の能力を増加させたことを特徴とする。
【選択図】図6
Description
本発明は車両用シート空調装置における制御装置に適用され、特に車室内環境情報とシート内に設置されたシート環境検出器を用いて、車室内空調装置とシート空調装置を協調制御する車両用空調装置に関する。
従来技術として、特許文献1や特許文献2の技術が公開されている。これらは、車室内における環境状況(内気温湿度・日射・外気温など)に応じてシート空調を制御することにより快適性を向上させる技術であり、車室内空調を制御する情報(必要吹出温度TAO、オートエアコン制御については、非特許文献1参照。)に基づきシート空調の送風機および加熱冷却器を制御する。しかしながら、車室内環境とシート環境は必ずしも一致しないので、シート空調の制御を、車室内空調を制御する情報で行っても快適性が得られない。特許文献1では、車室内湿度(湿度センサー41)でシート空調を行っており、車室内湿度はシート着座部の湿度でないため、必ずしもシート環境を検出できない。したがって、車室内空調装置とシート空調装置の両方を制御する場合の快適性を、より向上させる必要があった。
一方、特許文献3は、シート温度またはシート空調の作動状態に応じた車室内空調制御に関するもので、車室内空調の作動状態に応じたシート空調制御に関する技術が公開されている。この技術は、シート空調の作動状態と車室内空調を同期させることによってシート空調の操作の煩わしさを低減させることを目的とした技術であるが、車室内環境とシート環境は必ずしも一致せず(シートの温度と温感にはズレがある)、その結果、必ずしも快適とは言えないものであった。
また、特許文献4は、シート表面温度、湿度により、シート空調を制御し快適性を向上させるものであるが、あくまでシート表面温度によるシート空調の制御であり、湿度を制御主体に着目して快適性を制御するものではない。また、シート空調を車室内空調と協調制御するものでもないため、乗員とシートの接触している(もしくは近傍)部分のみへ温熱感を与えるだけであり、シート空調の能力を制御しても、乗員とシートの接触しない(もしくはシートから離れた)部分(顔など)へ温熱感を与えることができず、常に快適性を向上させるとは言えない。その結果、無駄にエネルギーを消費することとなってしまっていた。
藤原健一監修「カーエアコン」、東京電気大学出版局、2009年9月20日発行
本発明は、上記問題に鑑み、車室内環境とシート環境により、車室内空調とシート空調とを協調させ、省エネの観点及び時間の観点から効率的に空調を行うことを目的とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、車室内空調を行う車室内空調装置と、シート空調を行うシート空調装置と、当該両者のそれぞれの空調能力を制御する空調制御装置とを具備する車両用空調装置において、車室内環境を検出して快適か不快かを閾値によって判別する車室内環境検出判別手段と、シート環境を絶対湿度で検出して快適か不快かを閾値によって判別するシート環境検出判別手段とをさらに具備し、前記空調制御装置が、前記車室内環境検出判別手段、及び、前記シート環境検出判別手段により、前記車室内環境のみが不快であると判断される場合は、車室内空調の能力を増加させ、前記シート環境のみが不快であると判断される場合は、シート空調の能力を増加させ、前記車室内環境、及び、前記シート環境がいずれも不快であると判断される場合は、車室内空調、及び、シート空調の能力を共に増加させて、車室内空調、及び、シート空調を協調させて制御する車両用空調装置である。
これにより、車室内空調を制御するかシート空調を制御するかについて、最も効果的な方法を合理的に選択し能力調整を行うことで、無駄なエネルギーを使うことなく、短時間に快適性を得ることが可能となる。シート環境として絶対湿度を採用すれば、車室内空調装置とシート空調装置との協調制御を、極めてシンプルかつ的確な制御とすることができる。また、シートで計測した相対湿度では、温度を見ないと快適・不快の判別ができないが、絶対湿度に着目すれば、温度に係わらず判別ができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記車室内環境は、車室内における温度、相対湿度、輻射、及び、日射量、並びに、温熱指標を用いたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記温熱指標として、不快指数、PMV指標、又は、SET*(標準有効温度)のうちいずれかを用いたことを特徴とする。
請求項4の発明は、シート空調を行うシート空調装置において、シート環境を絶対湿度で検出して快適か不快かを閾値によって判別するシート環境検出判別手段を具備し、前記シート環境検出判別手段により、シート環境が不快であると判断される場合は、シート空調の能力を増加させたことを特徴とするシート空調装置である。これにより、シートで計測した相対湿度では、温度を見ないと快適・不快の判別ができないが、絶対湿度に着目すれば、温度に係わらず判別ができる。
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図1は、本発明が適用される一例として、車室内空調装置(空調ユニットHVACを含む)とシート空調装置5の全体構成を示す模式図である。図2は、本発明が適用される一例として、車室内空調装置とシート空調装置5のシステム構成を示すブロック図である。
シート空調装置5は、背当て部3cおよび着座部3bからなるシート3と、このシート3の下部に形成された空間6に配設された送風機51と、この送風機51を制御するシート空調制御装置37bおよびシート空調操作パネル54とを備えている。
シート空調装置5は、背当て部3cおよび着座部3bからなるシート3と、このシート3の下部に形成された空間6に配設された送風機51と、この送風機51を制御するシート空調制御装置37bおよびシート空調操作パネル54とを備えている。
背当て部3cは内部に空間6と連通する第1ダクト3eが形成されており、その第1ダクト3eと連通する空気吹出孔3aが複数個形成されている。着座部3bは内部に空間6と連通する第2ダクト3dが形成されており、その第2ダクト3dと連通する空気吹出孔3aが複数個形成されている。シート表面には、後述するように、絶対湿度を検知する湿度センサ53が設けられている。着座部3bから離れた部位は車室内湿度と余り変わらないため、人から蒸散する湿度を検出する上では、着座部3b、及び、背当て部3cを含む着座部近傍が好ましい。
湿度センサとしては、空気中に含まれる水分により抵抗値が変化する乾湿膜を用いた抵抗式湿度センサや、空気中に含まれる水分量により、静電容量が変化する静電容量式湿度センサなどが挙げられる。53は、温度・湿度センサに変更してシート表面に配置しても良い。シート空調装置37bの一部とこれらのセンサとを合わせて、シート環境検出判別手段を構成する。
湿度センサとしては、空気中に含まれる水分により抵抗値が変化する乾湿膜を用いた抵抗式湿度センサや、空気中に含まれる水分量により、静電容量が変化する静電容量式湿度センサなどが挙げられる。53は、温度・湿度センサに変更してシート表面に配置しても良い。シート空調装置37bの一部とこれらのセンサとを合わせて、シート環境検出判別手段を構成する。
送風機51はシート3内に車室内空気を導いて空気吹出孔3aに向けて送風する。シート空調制御装置37bは、内蔵のROMに予め設定されたシート空調制御プログラムが設けられており、シート空調操作パネル54からの操作情報の他に、空調制御装置を構成する車室内空調装置37aからの制御情報を入力するように電気的に接続し、操作情報および制御情報に基づいて送風機51を制御している。シート空調操作パネル54は、シート空調運転の開始/停止などの操作を行なうためのシート空調スイッチなどを備え、乗員がシート3に着座した状態で操作できる位置に配設されている。
次に、空調ユニット21(HVAC)の構成について説明する。
送風ダクト22の上流側には、車室外の空気(外気)を吸入する外気吸込口23a、23bと車室内の空気(内気)を吸入する内気吸入口24a、24bとが設けられ、これら各吸入口23a、23b、24a、24bから吸入する内外気の混合割合が内外気ドア25a、25bによって切り替えるようになっている。外気吸込口、内気吸入口のそれぞれの吸込口の数は上記例示に限定されず、適宜設定される。
送風ダクト22の上流側には、車室外の空気(外気)を吸入する外気吸込口23a、23bと車室内の空気(内気)を吸入する内気吸入口24a、24bとが設けられ、これら各吸入口23a、23b、24a、24bから吸入する内外気の混合割合が内外気ドア25a、25bによって切り替えるようになっている。外気吸込口、内気吸入口のそれぞれの吸込口の数は上記例示に限定されず、適宜設定される。
送風ダクト22内には、送風機26が設けられ、この送風機26の下流側に、冷凍サイクル(図示せず)を構成する蒸発器28、エアミックスドア29およびエンジン冷却水が循環するヒータコア30が設けられている。周知のように、エアミックスドア29の開度を調節することによって、ヒータコア30を通過する空気と通過しない空気の混合割合を調節して、空調風の温度を調整するようになっている。
送風ダクト22の下流側には、車両の前面ガラスに向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口にダクトを介して接続されるデフロスタ開口部31と、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口にダクトを介して接続されるフェイス開口部32と、乗員の足元に向け空調風を吹き出すフット吹出口にダクトを介して接続されるフット開口部33とが設けられ、これら各開口部31、32、33の上流側に、それぞれ、制御ドア34、35、36が設けられている。
空調ユニット21は、車室内前方のインストルメントパネル内に配置され、シート空調装置5の送風機51とシート空調制御装置37bは、乗員席の各シート3内に配置され、車室内空調装置37aとシート空調制御装置37bとが電気的に接続するように構成している。車室内空調装置37aとシート空調制御装置37bとを合わせて、空調制御装置(ECU)という。
以上の構成による空調ユニット21は車室内空調装置37aにより制御される。この車室内空調装置37aは、内蔵のROMに予め設定された空調制御プログラムが設けられており、車両の熱負荷を検出するための内気温度センサ38、外気温度センサ39、日射量を検出する日射センサ40、湿度センサ41から、それぞれ検出した検出信号Tr、Tam、Ts、Huが入力されるとともに、インストルメントパネル内に配設されたエアコン操作パネル44からの操作信号が入力される。そして、その空調制御プログラムを実行することで、空調ユニット21から車室内に吹き出される空調風の、運転モード、吹出口モード、吹出温度、送風量などを制御している。車室内空調装置37aの一部とこれらのセンサとを合わせて、車室内環境検出判別手段を構成する。
エアコン操作パネル44には、一例として、周知のように空調運転をオン/オフするA/Cスイッチと、運転モードを自動/手動に切り替えるオートスイッチと、吹出口の切り替えをフェイス、バイレベル、フット、フットデフロスタ、デフロスタのいずれかを手動で切り替える5つの吹出モード切替スイッチと、吸気モードを外気吸入/内気循環に手動で切り替える吸気モード切替スイッチと、送風量を手動で切り替える送風切替スイッチと、空調制御の目標値となる設定温度を手動設定する温度設定スイッチとが設けられている。
オートスイッチは、吹出モード切替スイッチ、吸気モード切替スイッチ、送風切替スイッチの運転モードの切り替えを自動制御させる操作スイッチであって、この操作信号が車室内空調装置37aに入力されると、乗員が設定した設定温度と、内気温度センサ38、外気温度センサ39、日射センサ40より検出された内気温度Tr、外気温度Tam、日射量Tsとに基づいて算出した必要吹出温度TAOに基づいて、空調ユニット21から車室内に吹き出す空調風の運転モード、吹出温度、送風量などの制御量を求めて制御情報として空調ユニット21に出力して空調ユニット21による空調が行なわれる。
オートエアコンの制御、システムのハード構成については、上記一例に限らず、非特許文献1の88〜94頁、93頁の図5.20に記載した制御を適用すると良い。
オートエアコンの制御、システムのハード構成については、上記一例に限らず、非特許文献1の88〜94頁、93頁の図5.20に記載した制御を適用すると良い。
以下、本発明の基本的技術思想について説明するとともに、本発明の一実施形態の詳細を説明する。図2は、本発明のシステム構成を示す概略ブロック図である。
本システムの基本的技術思想は、車室内環境を各センサ(内気温・湿度、外気温、日射等)により検出し、ECUへ入力する。また、シート環境を、各センサ(表面温度、内部温度、湿度、熱流束など)により、検出しECUへ入力する。ECUでは、車室内環境・シート環境を考慮し「制御すべき空調」(能力UPを必要とする空調)を選択し、アクチュエータである車室内空調、シート空調を制御する構成である。ここでいう車室内空調とは、HVACであり、シート空調とはSVS(シート・ベンチレーション・システム)や、温度調整式シート空調、シートヒータなどを意味する。
本システムの基本的技術思想は、車室内環境を各センサ(内気温・湿度、外気温、日射等)により検出し、ECUへ入力する。また、シート環境を、各センサ(表面温度、内部温度、湿度、熱流束など)により、検出しECUへ入力する。ECUでは、車室内環境・シート環境を考慮し「制御すべき空調」(能力UPを必要とする空調)を選択し、アクチュエータである車室内空調、シート空調を制御する構成である。ここでいう車室内空調とは、HVACであり、シート空調とはSVS(シート・ベンチレーション・システム)や、温度調整式シート空調、シートヒータなどを意味する。
図3は、本発明の基本的技術思想の制御概念を示す模式図である。横軸には車室内環境から算出される快適度を示す指数が示されている。車室内環境を表す指標としては、不快指数(1957年米国で考案された夏の蒸し暑さを数量的に表した指数である。以下DIという。)、PMV指標(冷温感の指標のひとつ)、SET*(冷温感の指標のひとつ。ASHRAE(米国暖房・冷房空調学会)において採用された。)、又は、体感温度など、車室内の温感を示す指標であればいずれでも良い。
縦軸にはシートから算出される快適度を示す指数が示されている。一般的には、絶対温度、温度・相対湿度をマップ化したもの(一例として図5のような図)、熱流束センサ(熱の移動量を測るセンサ)の値、IRセンサやサーミスタによるシート表面温度などシートの温感を示す指標を用いればよい。図3に示すように、快適と不快の中間に閾値を設定すると、4つのマスに分類することが可能となる。横軸の車室内環境と縦軸のシート環境に着目して、それぞれ快適と不快の閾値を設定して以下のようにして行う制御を、ここでは協調制御という。
縦軸にはシートから算出される快適度を示す指数が示されている。一般的には、絶対温度、温度・相対湿度をマップ化したもの(一例として図5のような図)、熱流束センサ(熱の移動量を測るセンサ)の値、IRセンサやサーミスタによるシート表面温度などシートの温感を示す指標を用いればよい。図3に示すように、快適と不快の中間に閾値を設定すると、4つのマスに分類することが可能となる。横軸の車室内環境と縦軸のシート環境に着目して、それぞれ快適と不快の閾値を設定して以下のようにして行う制御を、ここでは協調制御という。
図3の右上領域は、車室内環境もシート環境も共に快適であり、現在の空調状態を維持すればよい領域である(車室内空調・シート空調共に能力UPさせる必要はない)。
また、右下領域は、車室内環境は快適であるが、シート環境が不快領域となる。この領域では当然のことながら車室内空調の能力UPを行うよりも、シート空調の能力UPをさせる方が、効率的であるため、車室内空調は現状維持、かつ、シート空調の能力をUPさせる領域となる。
また、右下領域は、車室内環境は快適であるが、シート環境が不快領域となる。この領域では当然のことながら車室内空調の能力UPを行うよりも、シート空調の能力UPをさせる方が、効率的であるため、車室内空調は現状維持、かつ、シート空調の能力をUPさせる領域となる。
一方、左上領域は右下領域とは逆にシート環境は快適で車室内環境が不快な領域となるため、シート空調の能力UPは効果がなく、車室内空調の能力をUPさせる必要がある(シート空調現状維持かつ車室内空調能力UP領域)。
また、左下領域は、車室内環境・シート環境共に不快となる領域であり、共に能力UPさせることが、必要な領域となる。
また、左下領域は、車室内環境・シート環境共に不快となる領域であり、共に能力UPさせることが、必要な領域となる。
上記説明の通り、本発明の基本的技術思想では車室内空調を制御するかシート空調を制御するかについて、最も効果的な方法を合理的に選択し能力調整を行うことで、無駄なエネルギーを使うことなく、短時間に快適性を得ることが可能となる。
ここで、横軸の車室内環境指標について、念のため簡単に補足説明する。
不快指数(DI)とは、よく知られているように、夏の蒸し暑さを数量的に表した指数である。不快指数(DI)は、下記に示す計算式により算出される。
DI=0.81×温度+0.01×湿度×(0.99×温度−14.3)+46.3
また、不快指数(DI)と体感との関係は下記の通りである。
〜55 ・・・ 寒い
55〜60 ・・・ 肌寒い
60〜65 ・・・ 無感
65〜70 ・・・ 快適
70〜75 ・・・ 暑くない
75〜80 ・・・ やや暑い
80〜85 ・・・ 暑くて汗が出る
85〜 ・・・ 暑くてたまらない
不快指数(DI)とは、よく知られているように、夏の蒸し暑さを数量的に表した指数である。不快指数(DI)は、下記に示す計算式により算出される。
DI=0.81×温度+0.01×湿度×(0.99×温度−14.3)+46.3
また、不快指数(DI)と体感との関係は下記の通りである。
〜55 ・・・ 寒い
55〜60 ・・・ 肌寒い
60〜65 ・・・ 無感
65〜70 ・・・ 快適
70〜75 ・・・ 暑くない
75〜80 ・・・ やや暑い
80〜85 ・・・ 暑くて汗が出る
85〜 ・・・ 暑くてたまらない
PMV指標(予測平均温冷感申告、Predicted Mean Vote)については、デンマーク工科大学のファンガー教授が、1300名の被験者実験から1970年に提唱したものである。人体の熱負荷と、人間の温冷感を結びつけたPMV指標とPPD(予測不満足率、その温熱環境に不満足・不快さを感じる人の割合)を提案したものである。1994年にISO規格ISO−07730となっている。図4(a)、(b)は、PMV指標の概略を示す説明図である。
人体の熱的快適感の影響は、室温、平均放射温度、相対湿度、平均風速の4つの物理的要素と、在室者の着衣量、作業量の2つの人間側の要素の6つの要素に関係している。PMV指標とは、それら6つの要素を快適方程式といわれる式に代入して、人間がその時暖かいと感じるか、寒いと感じるかを7段階評価尺度(図4(a)の左側2列参照)で数値化して表現したものである。この指標は、比較的快適温度範囲に近い温熱環境を評価するのに適しているといわれている。
SET*(エスイーティースター、Standard Effective Temperature、標準有効温度)も良く知られた温熱指標である。1971年ピアス研究所のギャッギが発表し、ASHRAE(米国暖房・冷凍空調学会、American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)の温熱指標として採用されている。SET*を一言で言うと、活動量(1met、1met=58.2W/m2)、着衣量(0.6clo、1clo=0.155m2℃/W)、風速(不感気流0.1m/s)、湿度(相対湿度50%)のもとで、周囲温度を変化させたときの温冷感を基準にした指標である。図3の横軸の車室内環境の快適度を示す指数として、以上示した指標に限らず、車室内環境の不快・快適を示すその他の指標を用いても良い。
次に、本発明の基本的技術思想において、図3の縦軸のシート環境として、絶対湿度とした場合の本発明の一実施形態の詳細を説明する。横軸の車室内環境を示す指標は、先に述べたとおり、DI、PMV指標、SET、又は、体感温度など、車室内の温感を示す指標であればいずれでも良い。
まず、シート環境として、絶対湿度を採用した場合の特徴について述べる。図5(a)は、相対湿度と絶対湿度が、快適・不快に与える影響を表示した図である。(b)は、例示で説明するための、(a)と同じ図である。図6は、本発明の一実施形態を示す概略的説明図である。
まず、シート環境として、絶対湿度を採用した場合の特徴について述べる。図5(a)は、相対湿度と絶対湿度が、快適・不快に与える影響を表示した図である。(b)は、例示で説明するための、(a)と同じ図である。図6は、本発明の一実施形態を示す概略的説明図である。
シート空調に関しては、これまでの従来技術では、シートの温度や相対湿度に応じてシート空調の能力(送風量や加熱)を切り替えていた。
図5(b)を参照して説明すると、所定温度(閾値)でシート空調の能力を切り替える場合においては、例えば、35℃を所定閾値としてシート空調の能力を切り替える時、相対湿度83%以上ならば、能力を切り替えることでムレ感を解消できるが、相対湿度83%未満ならば能力を切り替えても、ムレ感を解消の効果が見られず、無駄な能力切り替えとなってしまいエネルギーのロスを生じさせるものである。
図5(b)を参照して説明すると、所定温度(閾値)でシート空調の能力を切り替える場合においては、例えば、35℃を所定閾値としてシート空調の能力を切り替える時、相対湿度83%以上ならば、能力を切り替えることでムレ感を解消できるが、相対湿度83%未満ならば能力を切り替えても、ムレ感を解消の効果が見られず、無駄な能力切り替えとなってしまいエネルギーのロスを生じさせるものである。
また、所定相対湿度(閾値)で切り替える場合において、相対湿度80%を、所定閾値をしたとき、シート温度が35.7℃以上ならば、ムレ感を解消の効果を感じるが、35.7℃未満ならば、効果を感じない(図5(a)の快適・不快領域を参照)。相対湿度では、独立の閾値として不快・快適の判別を行うことはできないのである。
したがって、このように、温度と相対湿度を、別々にそれぞれの閾値で独立に制御しても、快適性は向上できるとは言い切れないのである。
したがって、このように、温度と相対湿度を、別々にそれぞれの閾値で独立に制御しても、快適性は向上できるとは言い切れないのである。
これに対して、図5(a)に示すように、絶対湿度に着目すれば、快適かどうかの判定を、温度とは無関係に行うことができる。このような図5(a)の快適・不快領域の絶対湿度による閾値Bは、これまでの研究開発の実験結果によって初めてわかってきたことである。すなわち、閾値Bを超える(例えば、B=0.03kg/kg)領域では明らかに暑さやムレ感を感じるようになる。
相対湿度とは、飽和水蒸気量(これ以上空気中に水分が入り込めない量)を100%とした時に、どの程度の水分が含まれているかを表した値である。したがって、50%の湿度と言っても、温度により水分量は異なる。一方、絶対湿度とは、空気中1kgに含まれる水分量kgを表すものである(単位:kg/kg)。
暑さやムレ感は、空気中に含まれる水分の絶対量が、起因しているものと推測される。この水分量(絶対湿度)が0.03(kg/kg)を境に快適/不快に分かれることが、初めて実験により明確になってきたものである。要は、シートで計測した相対湿度では、温度を見ないと、快適・不快の判別ができないが、絶対湿度に着目すれば、温度に係わらず判別ができるのである。
暑さやムレ感は、空気中に含まれる水分の絶対量が、起因しているものと推測される。この水分量(絶対湿度)が0.03(kg/kg)を境に快適/不快に分かれることが、初めて実験により明確になってきたものである。要は、シートで計測した相対湿度では、温度を見ないと、快適・不快の判別ができないが、絶対湿度に着目すれば、温度に係わらず判別ができるのである。
次に、シート環境として絶対湿度を採用した場合の、車室内空調装置とシート空調装置との協調制御の特徴について述べる。
シート環境として絶対湿度を採用した場合には、上述したような特徴を有する。すなわち、シートで計測した相対湿度では、温度を見ないと快適・不快の判別ができないが、絶対湿度に着目すれば、温度に係わらず判別ができるのである。シート環境として絶対湿度を採用すれば、車室内空調装置とシート空調装置との協調制御を、極めてシンプルかつ的確な制御とすることができる。
シート環境として絶対湿度を採用した場合には、上述したような特徴を有する。すなわち、シートで計測した相対湿度では、温度を見ないと快適・不快の判別ができないが、絶対湿度に着目すれば、温度に係わらず判別ができるのである。シート環境として絶対湿度を採用すれば、車室内空調装置とシート空調装置との協調制御を、極めてシンプルかつ的確な制御とすることができる。
図6は、縦軸に絶対湿度、横軸に不快指数(DI)とした本実施形態の一例である。縦軸、横軸の大小関係から快適、不快が図3とは逆になっている。横軸は不快指数(DI)限らずその他の温熱指標であって良い。図3と同様に、本実施形態の協調制御は次のように、縦軸の絶対湿度の閾値Bと横軸の不快指数の閾値Aによって、次の4つの制御領域に仕分けられる。
左下領域は、車室内環境もシート環境も共に快適であるので、現在の空調状態を維持すればよい領域である。左上領域は、車室内環境は快適であるが、シート環境が不快領域であるので、シート空調の能力のみUPをさせる。右下領域は、シート環境は快適で車室内環境が不快な領域となるため、車室内空調の能力のみをUPさせる必要がある。右上領域は、車室内環境・シート環境共に不快となる領域であり、共に能力UPさせることが必要な領域となる。
これにより、本実施形態では、車室内空調を制御するかシート空調を制御するかについて、最も効果的な方法を素早くシンプルに選択でき、両者の能力調整を効率的に行うことで、無駄なエネルギーを使うことなく、短時間に快適性を得ることが可能となる。
これにより、本実施形態では、車室内空調を制御するかシート空調を制御するかについて、最も効果的な方法を素早くシンプルに選択でき、両者の能力調整を効率的に行うことで、無駄なエネルギーを使うことなく、短時間に快適性を得ることが可能となる。
ここで、シート空調能力UPとは、シート空調の送風機51の風量を増加させてもよいし、シートヒータやペルチェ素子などの熱交換器(図1には図示されていない)の能力をUPさせる等どのような方法でも構わない。また、車室内空調能力UPとは、風量を増加させてもよいし、HVACユニット内のエアミックスドア開度(A/M開度)を減少させてもよいし、HVACユニットの必要吹出温度TAOやエバポレータ出口温度を下げる等どのような方法でも構わない。なお、HAVACユニットの制御については、非特許文献1の46〜50、88〜94頁に詳しく解説されている。また、シート空調システムについても、同様に非特許文献1の57、58頁に詳しく解説されており、これらの構成技術が適用される。
図7は、これまで説明した本実施形態の内容を示した概略的フローチャートである。
以下に制御の流れを説明する。
まず、ステップS1において、現在の車室内環境とシート環境について、快適であるか不快であるかを判定する。ステップS1での快適かどうかの判定は、これまで説明してきた不快指数DI<所定値A、かつ、絶対湿度<所定値Bであるか否かにより判断可能である。
ここで快適と判断された場合(YESの時)、車室内空調、シート空調共に能力をUPさせる必要はない。(ステップS2)
以下に制御の流れを説明する。
まず、ステップS1において、現在の車室内環境とシート環境について、快適であるか不快であるかを判定する。ステップS1での快適かどうかの判定は、これまで説明してきた不快指数DI<所定値A、かつ、絶対湿度<所定値Bであるか否かにより判断可能である。
ここで快適と判断された場合(YESの時)、車室内空調、シート空調共に能力をUPさせる必要はない。(ステップS2)
また、快適でない時、すなわち、ステップS1がNOの時は、車室内空調、又は、シート空調のいずれかを能力UPさせる必要がある。
ステップS1がNOの時は、どの空調能力をUPすべきかの判定を、ステップS3以降に実施する。まず、ステップS3で、不快指数DIが所定値Aより大きいか等しい場合について判定する。ここで、NOと判定される場合は、不快指数DIが所定値A未満(車室内は快適)、かつ、絶対湿度が所定値Bより大きい(シートが不快)場合なので、ステップS5で、シート空調の能力をUPさせることで、早急にシート環境を改善させる。
ステップS1がNOの時は、どの空調能力をUPすべきかの判定を、ステップS3以降に実施する。まず、ステップS3で、不快指数DIが所定値Aより大きいか等しい場合について判定する。ここで、NOと判定される場合は、不快指数DIが所定値A未満(車室内は快適)、かつ、絶対湿度が所定値Bより大きい(シートが不快)場合なので、ステップS5で、シート空調の能力をUPさせることで、早急にシート環境を改善させる。
ステップS3において、YESと判定された場合(車室内環境が不快)は、ステップS4において、シートの環境について判定する。絶対湿度が所定値B未満の場合は、ステップS6で、車室内環境が不快でシート環境は快適なので、車室内空調の能力をUPさせる。一方、ステップS4において、YESと判断された場合は、ステップS7で、車室内環境、シート環境が共に不快なため、両方の空調能力をUPさせる必要がある。
これらを繰り返し制御することにより、無駄なエネルギーを消費することなく早急に快適な空調を提供することが可能となる。ここでは、不快指数DIを、車室内環境の判別に用いたが、PMV指標、又は、SET*(標準有効温度)を用いても同じフローチャートになる。なお、所定値Aの閾値は、不快指数DIなら、65〜70、SET*ならば、25℃、PMVならば0.5程度が閾値になると考えられる。所定値Bの閾値は、絶対湿度が0.03(kg/kg)を境に、快・不快が分かれると考えられる。
これらのステップ、フローチャートにおける検出・判断は、車室内環境検出判別手段、シート環境検出判別手段によって行われる。
これらを繰り返し制御することにより、無駄なエネルギーを消費することなく早急に快適な空調を提供することが可能となる。ここでは、不快指数DIを、車室内環境の判別に用いたが、PMV指標、又は、SET*(標準有効温度)を用いても同じフローチャートになる。なお、所定値Aの閾値は、不快指数DIなら、65〜70、SET*ならば、25℃、PMVならば0.5程度が閾値になると考えられる。所定値Bの閾値は、絶対湿度が0.03(kg/kg)を境に、快・不快が分かれると考えられる。
これらのステップ、フローチャートにおける検出・判断は、車室内環境検出判別手段、シート環境検出判別手段によって行われる。
これまで説明してきた通り、車室内快適性をDI等によって判定し、シート快適性を絶対湿度によって判定した。これにより、車室内快適性を向上させるべきか、シート快適性を向上させるべきか、もしくは、両方必要なのか(制御領域)を決定することで、無駄にエネルギーを消費させることなく、素早く効率的に制御可能となる。
シート環境は、絶対温度だけでなく、図5(a)のように温度・相対湿度をマップ化したものや、熱流束センサ(熱の移動量を測るセンサ)の値、IRセンサやサーミスタによるシート表面温度などのシートの温感を示す指標であれば、同様の効果が得られる。
この場合、車室内空調を行う車室内空調装置と、シート空調を行うシート空調装置、両者のそれぞれの空調能力を制御する空調制御手段とを具備する車両用空調装置において、車室内環境を検出して快適か不快かを閾値によって判別する車室内環境検出判別手段と、シート環境を検出して快適か不快かを閾値によって判別するシート環境検出判別手段とをさらに具備し、空調制御手段が、車室内環境検出判別手段及びシート環境検出判別手段により、車室内環境のみが不快であると判断される場合は、車室内空調の能力を増加させ、シート環境のみが不快であると判断される場合は、シート空調の能力を増加させ、車室内環境及びシート環境がいずれも不快であると判断される場合は、車室内空調及びシート空調の能力を共に増加させて、車室内空調及びシート空調を協調させて制御する。
これまで説明した内容は、夏季の冷房を想定して説明してきたが、冬季のシートヒータ制御にも本発明は有効である。この場合の制御対象(アクチュエータ)は、車室内空調はこれまで同様のHVACユニットであり、一方、シート空調は、シート表面を暖めるシートヒータや、通風路内に設置される熱交換器から放熱される熱により空気を暖めるシート暖房装置となる。なお、これまでの説明では冷房を想定していたので、能力UPとは、吸熱量(熱量低減量)のUPを意味していたが、暖房時は放熱量のUPを意味することになる。
3 シート
5 シート空調装置
21 空調ユニット
37a 車室内空調制御装置
37b シート空調制御装置
51 送風機
5 シート空調装置
21 空調ユニット
37a 車室内空調制御装置
37b シート空調制御装置
51 送風機
Claims (4)
- 車室内空調を行う車室内空調装置と、シート空調を行うシート空調装置と、当該両者のそれぞれの空調能力を制御する空調制御装置とを具備する車両用空調装置において、
車室内環境を検出して快適か不快かを閾値によって判別する車室内環境検出判別手段と、シート環境を絶対湿度で検出して快適か不快かを閾値によって判別するシート環境検出判別手段とをさらに具備し、
前記空調制御装置が、前記車室内環境検出判別手段、及び、前記シート環境検出判別手段により、
前記車室内環境のみが不快であると判断される場合は、車室内空調の能力を増加させ、
前記シート環境のみが不快であると判断される場合は、シート空調の能力を増加させ、
前記車室内環境、及び、前記シート環境がいずれも不快であると判断される場合は、車室内空調、及び、シート空調の能力を共に増加させて、車室内空調、及び、シート空調を協調させて制御する車両用空調装置。 - 前記車室内環境は、車室内における温度、相対湿度、輻射、及び、日射量、並びに、温熱指標を用いたことを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
- 前記温熱指標として、不快指数、PMV指標、又は、SET*(標準有効温度)のうちいずれかを用いたことを特徴とする請求項2に記載の空調装置。
- シート空調を行うシート空調装置において、シート環境を絶対湿度で検出して快適か不快かを閾値によって判別するシート環境検出判別手段を具備し、前記シート環境検出判別手段により、シート環境が不快であると判断される場合は、シート空調の能力を増加させたことを特徴とするシート空調装置。
Priority Applications (1)
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JP2011018198A JP2012158226A (ja) | 2011-01-31 | 2011-01-31 | シート空調装置を備えた車両用空調装置 |
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