JP2745559B2 - 移動式屋根 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はスポーツ施設等の施設面の上方を覆う屋根に
関するもので、特に、天候や季節等に応じて開閉できる
ようにする移動式屋根に関するものである。

［従来の技術］ 野球、サッカー、テニス等の如きスポーツを行う施設
や屋外に設置される各種催し物の会場となるホール等で
は、これらの施設の側部から上方を全面にわたり覆うよ
うに屋根を設けることが行われている。

かかる施設面上を覆うように屋根を設けることは、降
雨、降雪時でも支障なくスポーツや遊技、演芸等の催し
物の実施ができ、又、真夏の炎天下でも強い日差しが遮
られて上記施設内を、競技者、観覧席での見物人にとっ
て快適な空間に維持できる利点があるが、反面、春季や
秋季等の如き穏やかな気候の下で暖かい日差しを受けて
気持ちよくプレーをしたり、見物したりしたいときに
は、屋根に覆われているためにできない、という問題が
ある。

このような問題を解決するために、天候や季節等に応
じて屋根の一部又は全部を開放したり、全閉にしたりす
ることができるようにした移動式屋根が提案されてい
る。

従来提案されている移動式屋根には、開閉方向を異に
する種々の形式のものがあるが、半球状又は蒲鉾状をな
す屋根体を構成する複数の屋根ブロックを、両端を支点
として回転させるようにし、施設面の上方を全開にでき
るようにしたものとして、たとえば、特開昭58−176336
号公報に記載の如きものがある。

すなわち、特開昭58−176336号公報に記載のものは、
第９図に一例を示す如く、断面半円弧状をなす屋根体を
断面と直交する方向に複数に分割した形状の屋根ブロッ
クa,bを形成し、該各屋根ブロックa,bの各両端を１つの
支持部ｃに回転自在に支持させ、且つ地中に上記屋根ブ
ロックa,bを収納するための収納空隙ｄを形成し、屋根
ブロックa,bを回転させて地下の収納空隙ｄに入れるこ
とによって施設面の上方をすべて開放できるようにし、
又、各屋根ブロックa,bを収納状態から展開させて閉じ
ることにより施設面の上方を屋根で覆うようにしてあ
る。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、上記従来の屋根は、全開できるようになっ
てはいるが、屋根ブロックa,bの収納場所が地中である
ため、地中に収納空隙ｄを形成する大掛りな工事が必要
であると共に、地下水の存在により屋根ブロックa,bを
長期にわたり収納しておくと腐食するおそれがある。

そこで、本発明は、大掛りな工事をすることなく屋根
ブロックをすべて収納できて施設面の上方を全開にでき
ると共に、収納した屋根ブロックが地下水により腐食さ
せられることもないようにしようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、上記目的を達成するために、中央部が最も
広い幅となるようにして両端が細くなるようにし且つ各
々径を異にした円弧状の複数の屋根ブロックを同一方向
に並べて屋根体を形成するように配置して、各屋根ブロ
ックの両端を、施設周縁の固定壁上のガイド部材に回動
自在に支持させ、且つ上記固定壁上のガイド部材の位置
を除く該固定壁の周辺部の内側位置に、複数の屋根ブロ
ックを重ねて収納するため該各屋根ブロックの中央部の
幅寸法に相当する深さとしてなる浅い収納ピットを設
け、更に、上記各屋根ブロックを回動させる駆動装置を
備えてなる構成とする。

［作用］ 各屋根ブロックを収納ピット内から引き出して展開さ
せると、施設面の上方が覆われるので、雨天の場合でも
屋内と同様にスポーツ、その他の催し物を実施すること
ができる。各屋根ブロックを回動させて順次収納ピット
に収納すると、施設面の上方を全開でき、直接太陽光線
や風を受けてスポーツ等を行うことができる。収納ピッ
トに収納される屋根ブロックは、径が異なって重合でき
るようにしてあるので、浅い収納ピットに重ねて収納で
き、屋根ブロックが地下水により腐食させられることが
なくなる。

［実 施 例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。

第１図乃至第６図は本発明の一実施例を示すもので、
スポーツや各種催し物を開催する施設面の周縁の固定壁
１上の相対する位置に、複数の屋根ブロックの端を回動
自在に支持するガイド部材２を設けると共に、上記固定
壁１の上記ガイド部材２を避けた位置に、屋根ブロック
の幅と同じ深さで且つ複数の屋根ブロックを重合した厚
さ分の幅をもつ収納ピット３を設け、施設面の上方を覆
う複数の屋根ブロックを上記収納ピット３にすべて収納
することにより施設面の上方が全開にされるようにす
る。

詳述すると、断面半円形状の屋根をその断面と直交す
る方向へ分割した如き形状とした複数の屋根ブロック4
a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを形成し、該屋根ブロック4aと
4h、4bと4g、4cと4f、4dと4eを各々同じ径にすると共に
これらの屋根ブロックの半径を、4a,4h＜4b,4g＜4c,4f
＜4d,4eのように変化させ、第１図に示す如く順次重ね
合わされるように配して、各端を固定壁１上に相対向す
るガイド部材２に移動自在に支持させ、全閉時に中央に
位置する屋根ブロック4dと4eの部分で互に左右に振り分
けられて全開させられるようにする。上記各屋根ブロッ
ク4a〜4hの両端を受けて開閉動作をガイドするガイド部
材２は、第３図に示す如く、重ね合わされる屋根ブロッ
ク4a,4b,4c,4dと4e,4f,4g,4hの端のスライダ５を受入れ
る溝６を、これら屋根ブロックの開閉時の動きに合わせ
て円弧状に形成し、各溝６に各屋根ブロック端部のスラ
イダ５を挿入してベアリング７にて支持させるようにし
てある。又、最大半径で且つ屋根全閉時に屋根体中央部
に位置する屋根ブロック4dと4eは同一径であるため、屋
根ブロック4dと4eを施設面の上方に展開させて閉じたと
きにシール性を確保する必要があり、屋根ブロック4dと
4eの接合部を全長にわたって第４図に示す構成にして雨
水等の浸入を防止するようにする。すなわち、一方の屋
根ブロック4dの突合わせ側のトラス８の端面に、全長に
わたり凹溝10を有する接合材９を取り付けて、凹溝10に
複数個のシール用のラバーゴム11を取り付けると共に、
他方の屋根ブロック4eの突合わせ側のトラス８の端面
に、全長にわたり凸部13を有する接合材12を取り付け
て、該凸部13の表面に、上記ラバーゴム11と当接するよ
うにシール用のラバーゴム14を取り付け、屋根ブロック
4dと4eを突合わせたとき凹溝10と凸部13とが嵌合し且つ
シール用のラバーゴム11と14が当接してシールが行われ
るようにし、更に、いずれか一方の屋根ブロック4d又は
4e（図面では屋根ブロック4d側の場合を示す）に、接合
部を覆うように水切板15をシール材16を介して取り付
け、全閉時に雨水等が浸入することがないようにする。

又、上記各屋根ブロック4a〜4hを回動させる駆動装置
としては、一例として各屋根ブロック同士の間に設ける
ようにする。第５図及び第６図はその例を示すもので、
重なり合う屋根ブロックのうち、径の小さい方の屋根ブ
ロックのトラス８に、胴縁17及び屋根材18を貫通して外
方へ突出する断面Ｔ字状のビーム19を開閉方向と平行に
固定し、該ビーム19の外面に、表面にラック20を有する
レール21を全長にわたって取り付け、一方、径の大きい
方の屋根ブロックの内面側には、上記レール21上のラッ
ク20と噛合するピニオンギヤ22と、モータ23と、ピニオ
ンギヤ22とモータ23とを連結する減速用ギヤ24とを取り
付け、モータ23の駆動によりピニオンギヤ22が回転させ
られて径の大きい方の屋根ブロックが径の小さい方の屋
根ブロックの外側のラック20に沿い移動させられるよう
にした構成の駆動装置25とし、該駆動装置25を屋根ブロ
ック間に互に干渉しないように設けるようにする。

なお、屋根ブロックの胴縁17及び屋根板18とビーム19
との間は雨水が漏れないようにシールしてある。

今、各屋根ブロック4a〜4hを展開して第１図に示す如
く閉じた状態では、中央部に位置する屋根ブロック4dと
4eは突合わせ部でシールされており、又、側部では径の
大きい屋根ブロックの下端縁が径の小さい屋根ブロック
の上端縁の外側に位置しているので、各屋根ブロック4
a,4b,4c,4dの間及び4h,4g,4f,4eの間では特にシール装
置を施さなくても雨水が浸入するおそれがない。かかる
屋根ブロック全閉の状態では、降雨、降雪時でも影響さ
れることなくスポーツや他の催し物を行うことができ
る。

次に、施設面の上方を全開にするときは、各屋根ブロ
ック間の駆動装置25を個々に作動させて屋根ブロックを
回動させる。この場合、下側の屋根ブロック4aと4hの外
側に上側の各屋根ブロック4b,4c,4dと4g,4f,4eが重合さ
せられても、最下段の屋根ブロック4aと4hは第１図の位
置にあるので、上方の屋根ブロック4b,4c,4dと4g,4f,4e
がすべて上記最下段の屋根ブロック4aと4hに重ね合わさ
れると、次に、図示してないが２段目の屋根ブロック4b
と4gをロック手段で固定壁１上にロックさせ、次いで、
屋根ブロック4aと4b間、4gと4h間の駆動装置25により最
下段の屋根ブロック4aと4hを収納ピット３内に収納させ
る。しかる後、屋根ブロック4b,4gのロックを解除させ
ると同時に屋根ブロック4aと4bの間及び4gと4hの間の駆
動装置25により全体を最下段の屋根ブロック4aと4hに沿
い下降させ、すべてを第７図に示す如く収納ピット３内
に収納させる。これにより施設面の上方には屋根ブロッ
クが全くない状態が実現でき、日差しを受け且つ穏やか
な風を受けてスポーツやその他の催し物の実施ができる
ことになる。この際、各屋根ブロックは順次重ねられて
固定壁１上の収納ピット３に収納されるので、収納ピッ
トとして特別に地中に設ける必要がなく、ピット形成に
大掛りな作業をしなくてすむ。

屋根ブロックを収納ピット３から出して展開させると
きは、たとえば、２段目の屋根ブロック4bと4gを屋根ブ
ロック4aと4hに沿い上方へ回動させて収納ピット３上へ
出すことによって他の屋根ブロック4c,4dと4f,4eを同時
に収納ピット３外へ出し、次いで、２段目の屋根ブロッ
ク4bと4gを固定壁１上にロックして最下段の屋根ブロッ
ク4aと4hを収納ピット３より引き出すようにし、下から
上へ順次屋根ブロックを移動させて第１図のように全閉
状態にする。

なお、本発明は上記実施例のみに限定されるものでは
なく、たとえば、複数に分割されている屋根ブロックの
回転駆動を、各屋根ブロック間に設けた駆動装置25で行
うようにした場合を示したが、小型の施設の屋根に適用
した場合には、１枚の屋根ブロックを回転させることに
より他の屋根ブロックが追従できるようにした形式のも
のとすることもできる。この場合は、第８図に示す如
く、径の小さい方の屋根ブロック4a,4b,4cの上端縁の外
面にフック26を取り付けると共に、径の大きい方の屋根
ブロック4b,4c,4dの下端縁の内面に、上記フック26と係
合できるフック27を取り付けて、各屋根ブロック同士は
フック26,27で吊られて引き上げられるようにし、中央
に位置する屋根ブロック4dと4eのみを支持部で図示しな
い駆動装置で回転駆動させることにより開閉させるよう
にしてもよい。又、中央部の屋根ブロック4dと4eから左
右へ振り分けるようにして左右の収納ピット３に収納さ
せる場合を示したが、いずれか一側の収納ピットをやや
深くしてすべての屋根ブロックを一側の収納ピットへ収
納させるようにしてもよく、その他本発明の要旨を逸脱
しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。

［発明の効果］ 以上述べた如く、本発明の移動式屋根によれば、中央
部が最も広い幅となるようにして両端が細くなるように
し且つ各々径を異にした円弧状の複数の屋根ブロックを
同一方向に並べて屋根体を形成するように配置して、各
屋根ブロックの両端を、施設周縁の固定壁上のガイド部
材に回動自在に支持させ、且つ上記固定壁上のガイド部
材の位置を除く該固定壁の周辺部の内側位置に、複数の
屋根ブロックを重ねて収納するため該各屋根ブロックの
中央部の幅寸法に相当する深さとしてなる浅い収納ピッ
トを設け、更に、上記各屋根ブロックを回動させる駆動
装置を備えてなる構成としてあるので、天候や季節によ
り屋根を開けたり閉めたりすることができ、開けたとき
は、屋根ブロックは重ね合わされて固定壁上の浅い収納
ピットに収納されるので、収納された屋根ブロックが地
下水により腐食させられることがないと共に、地下に大
掛りな工事をして屋根ブロックの収納部を形成すること
がない、等の優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の移動式屋根の概略を示す切断正面図、
第２図は第１図の側面図、第３図は屋根ブロック両端の
支持部を示す断面図、第４図は第１図のIV−IV矢視拡大
断面図、第５図は屋根ブロックを回転させる駆動装置の
一例を示す図、第６図は第５図のVI−VI矢視拡大断面
図、第７図は屋根ブロックを収納ピットに収納した状態
を示す図、第８図は屋根ブロックを回動させる他の例を
示す図、第９図は従来例の図である。 １……固定壁、２……ガイド部材、３……収納ピット、
4a〜4h……屋根ブロック、９……接合材、10……凹溝、
11……ラバーゴム、12……接合材、13……凸部、14……
ラバーゴム、15……水切板、20……ラック、21……レー
ル、22……ピニオンギヤ、23……モータ、25……駆動装
置。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中央部が最も広い幅となるようにして両端
   が細くなるようにし且つ各々径を異にした円弧状の複数
   の屋根ブロックを同一方向に並べて屋根体を形成するよ
   うに配置して、各屋根ブロックの両端を、施設周縁の固
   定壁上のガイド部材に回動自在に支持させ、且つ上記固
   定壁上のガイド部材の位置を除く該固定壁の周辺部の内
   側位置に、複数の屋根ブロックを重ねて収納するため該
   各屋根ブロックの中央部の幅寸法に相当する深さとして
   なる浅い収納ピットを設け、更に、上記各屋根ブロック
   を回動させる駆動装置を備えてなることを特徴とする移
   動式屋根。