JP2744459B2 - エンジンの排気制御装置 - Google Patents

エンジンの排気制御装置

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JP2744459B2 JP5946089A JP5946089A JP2744459B2 JP 2744459 B2 JP2744459 B2 JP 2744459B2 JP 5946089 A JP5946089 A JP 5946089A JP 5946089 A JP5946089 A JP 5946089A JP 2744459 B2 JP2744459 B2 JP 2744459B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、排気通路を通路面積を、エンジンの運転状
態に応じて変化させるようにした排気制御装置に関し、
特に燃焼用空気を導入する吸気通路の長さ,又は断面積
をエンジン回転速度に応じて切り換えるように構成され
た吸気装置を備えた場合に、ピークトルク回転領域より
低回転側及び高回転側においてもトルクの増大を図るこ
とができ、かつ上記吸気通路の切り換え時におけるトル
クの低下(いわゆるトルク谷)の問題を解消できるよう
にしたエンジンの排気制御装置に関する。
〔従来の技術〕
4サイクルエンジンの排気装置では、排気弁が開くと
同時に排気管内に排出される正の圧力波が排気管内を音
速で伝播し、下流の開口端で負の圧力波に反転して排気
管内を再び音速で逆流する。高速型エンジンでは、高速
時にこの負の反射波が吸気弁,排気弁のオーバーラップ
時に排気を促進するように排気装置全体が設定されてい
る。しかしこのような設定にすると、設計の如何によっ
ては逆に中速時に正の反射波がオーバーラップ時に作用
して排気を妨げ、出力が低下する場合がある。そこで、
排気通路の途中に排気制御弁を設け、通路面積をエンジ
ン運転状態に応じて低速時には閉側に、最高トルク領域
すなわち高速時には開側に制御するようにした排気制御
装置が提案されている(例えば特開昭63−212728号公報
参照)。
ところで、エンジンの吸気装置では、吸気通路の長さ
を、吸入空気柱の動的効果を利用したいわゆる慣性過給
効果が得られる長さに設定する場合がある。この場合、
エンジンの最高トルク,あるいは最高出力を発生する回
転数付近で上記慣性過給効果が得られるように吸気通路
長を設定するのが一般的である。この場合、当然ながら
上記設定回転数以外の回転領域ではトルクの増大は望め
ないが、上述の排気制御装置を採用すれば、特に低速側
でのトルク増大が実現できる。この場合、上記排気制御
弁の開度は、上記設定回転領域(最高トルク領域)及び
これより高速側は最大開度あるいは全開に設定されるこ
ととなる。
一方、最近の吸気装置には、吸気通路長をエンジンの
回転速度の低,高に応じて長,短に切り換えるように構
成した2系統吸気型のものがある。これは上記慣性過給
効果を低速側,及び高速側の2つの設定回転数(以下、
第1,第2設定回転数と記す)領域において実現し、広範
囲に渡って吸入空気量を増大してトルクの増加を図るこ
とを目的としている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら上記2系統吸気装置を備えたエンジンで
は、上記第1,第2設定回転数のそれぞれの領域でピーク
トルクを発生し、該回転数より低速側,及び高速側でト
ルクが低下するから、結果的に上記吸気管長の切り換え
時にトルク谷が生じるという問題がある。
またこのような2系統吸気装置を備えたエンジンに上
述の排気制御装置を付加する場合、上記低速側の第1設
定回転数付近及びこれより高速側で排気制御弁を全開に
設定することが考えられる。しかしこのように設定した
場合は、該第1設定回転数よりさらに低速側においては
トルクの増大が期待できるものの、高速側では排気制御
弁を設けた効果はなく、結局上記トルク谷の問題は残る
こととなる。
そこで本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもの
で、第1設定回転数より低速側におけるトルクの増大を
図ることができ、かつ吸気通路の長さ又は断面積の切り
換え時におけるトルク谷の問題を解消できるようにした
エンジンの排気制御装置を提供することを目的としてい
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、吸気管長又は断面積をエンジン回転速度に
応じて切り換えるように構成した吸気装置を備えたエン
ジンにおいて、排気通路の途中に通路面積を変化させる
排気制御弁を設け、該排気制御弁をエンジン回転速度の
低速時には閉側に、高速時には開側に開閉制御するよう
にした排気制御装置であって、上記吸気通路の切り換え
時に、上記排気制御弁を一旦閉側に絞るようにしたこと
を特徴としている。
ここで本発明における吸気通路の切り換えは、通路長
又は通路断面積を2段階に切り換える場合及び複数段階
又は無段階に徐々に切り換える場合の両方を含む。
〔作用〕
本発明に係るエンジンの排気制御装置によれば、上記
吸気通路の切り換え時に排気制御弁を一旦閉側に制御す
るようにしたので、該排気制御弁は、閉状態からエンジ
ン回転数の上昇に伴って徐々に開かれ、低速側の第1設
定回転数付近で全開となり、これより高回転領域におい
て再び絞られることとなる。従って上記第1設定回転数
より低回転側のトルクが増大する。また上記排気制御弁
は、高速側の第2設定回転数より少し低速の回転領域に
おいては上述のように絞られており、該第2設定回転数
付近で再び全開となる。これにより第1設定回転数より
少し高速側及び第2設定回転数より少し低速側の両方、
つまり吸気通路の切り換え時に相当する回転数領域にお
いてトルクが増大し、その結果上記吸気通路の切り換え
時におけるトルクの落ち込みが抑制され、トルク谷の問
題が解消される。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図について説明する。
第1図ないし第4図は本発明の一実施例によるエンジ
ンの排気制御装置を説明するための図である。
本実施例エンジンの車両搭載状態を示す第3図におい
て、39は上部開口がボンネット38で開閉されるエンジン
ルームであり、該エンジンルーム1内の前端にはラジエ
ータ42が配置されており、その後方に本実施例のエンジ
ン1が搭載されている。第2図に示すように、上記エン
ジン1は、水冷式4サイクル並列4気筒型のものであ
り、シリンダブロック2の下面にオイルパン3を、上面
にシリンダヘッド4を接続し、該シリンダヘッド4の上
端開口をヘッドカバー5で覆った構成となっている。上
記シリンダブロック2内に上下に摺動自在に配設された
ピストン6はコンロッド7を介してクランク軸8に連結
されている。なお、37は該エンジン1の外方を通るよう
に配索されたオイルパイプであり、これはシリンダヘッ
ド4内の潤滑油をオイルパン3に戻すためのものであ
る。
上記シリンダヘッド4には、排気ポート10,及び吸気
ポート14の燃焼室4a側開口を開閉する動弁装置9が設け
られている。この動弁装置9は、上記排気ポート10の燃
焼室4a側開口を開閉する排気弁11を、排気リフタ12を介
して排気カム軸13で開閉駆動し、また、上記吸気ポート
14の燃焼室4a側開口を開閉する吸気弁15を吸気リフタ16
を介して吸気カム軸17で開閉駆動するように構成されて
いる。
上記吸気ポート14の外側開口には、各気筒ごとにスペ
ーサ管18,スロットル管21,及び第2吸気管22が順次接続
され、この4本の第2吸気管22に1つのサージタンク23
が接続されており、これにより吸気装置20が構成さてい
る。また、上記スペーサ管18,スロットル管21にはそれ
ぞれ燃料噴射弁19,スロットル弁21aが装着されている。
上記サージタンク23は、例えばアルミニューム合金製
の鋳造品であり、エンジン1の上方を覆い、かつ車両前
側が低くなる傾斜状に形成されている。またこのサージ
タンク23は、下側タンク25とこれに着脱可能に装着され
た上側タンク24とからなる2分割構造になっている。そ
して上側タンク24内には4本の第1吸気管24aが一体形
成され、これの一端は上記各第2吸気管22と所定間隔を
開けて対向している。この対向部間にはスライダ27が移
動可能に配置されており、該両吸気管24a,22間の対向隙
間を拡縮できるようになっている。このスライダ27は第
1吸気管24aに接続された支持パイプ26によって摺動自
在に支持されており、連結プレート28を介してアクチエ
ータ(図示せず)で駆動される。また、25aは下側タン
ク25に一体形成され、空気を第2吸気管22に導くガイド
パイプである。なお、25b(第3図参照)は下側タンク2
5の側面に形成された空気導入部であり、これは空気導
入管41を介してエアクリーナ40に接続されている。
ここで本実施例の吸気装置20では、スライダ27によっ
て第1,第2吸気管24a,22間の隙間を全閉にしたときの有
効吸気管長は、低速側の第1設定回転数R1において上述
の慣性過給効果が得られる長さに設定されており、ま
た、スライダ27を全開にした場合の有効吸気管長は、高
速側の第2設定回転数R2において慣性過給効果が得られ
る長さに設定されている。そして上記スライダ27による
切り換え動作は、上記第1,第2設定回転数R1,R2間に位
置する切り換え回転数R3において行われる。
また上記排気ポート10の外側開口には、排気マニホー
ルド29の各排気部29aが各気筒ごとに接続されており、
該排気マニホールド29の集合部には排気制御弁30を間に
挟んで1本の排気パイプ31が接続されている。上記排気
マニホールド29はエンジン1の前側を通って下方に延
び、上記排気制御弁30は該エンジン1の前側に位置して
おり、図示していないが、該排気制御弁30の前方に走行
風の取入口が位置している。また、上記排気パイプ31は
該エンジン1の下側を通って車両後方に延びている。な
お、31aは排気ガス浄化用の触媒装置である。
ここで、上記排気弁11から排気制御弁30までの長さ
は、排気通路内を逆流する負の反射波(第2頁の説明参
照)が、エンジンの高速回転時において、吸,排気弁の
オーバーラップ時に作用して排気を促進する長さに設定
されている。
上記排気制御弁30は、第4図に示すように、ケーシン
グ30a内に上記各排気部29aの下流端開口を開閉する弁本
体32を配設し、該弁本体32の両端に形成された支持軸32
a,32bを軸受を介して該ケーシング30aで回動自在に支持
するとともに、一方の支持軸32bの外方突出部に駆動用
のプーリ32cを固着した構成となっている。
上記排気制御弁30は、第2図に示す排気制御装置33で
開閉制御される。この排気制御装置33は、エンジンの回
転数を検出する検出装置34と、該検出装置34からのエン
ジン回転数に応じた上記排気制御弁30の開度信号を出力
するコントロールユニット35と、該コントロールユニッ
ト35からの開度信号に応じて上記排気制御弁30を開閉駆
動するサーボモータユニット36とから構成されている。
該ユニット36の駆動機構は、サーボモータの出力軸に固
定されたプーリ36aと上記排気制御弁30のプーリ32cとを
駆動ワイヤ36bで連結した構成となっている。
次に本実施例の作用効果を主として第1図を参照しな
がら説明する。
本実施例の吸気装置20では、エンジン回転速度が切り
換え回転数R3以下の低速回転時には、スライダ27が前進
して第1,第2吸気管24a,22間の隙間を閉塞し(第2図の
二点鎖線参照)、有効吸気管長は第1,第2吸気管24a,2
2、及びスロットル管21,スペーサ管18,吸気ポート14の
和の長さとなる。また切り換え回転数R3以上の高速回転
時には、スライダ27が後退して上記隙間が開放され(第
2図実線参照)、有効吸気管長は第2吸気管22及びスロ
ットル管21,スペーサ管18,吸気ポート14の和の長さとな
る。
ここで上記吸気管長の切り換えを行い、かつ排気制御
を行わない従来装置の場合、発生トルクは、低速側で
は、破線のトルクカーブB1で示すように第1設定回転数
R1をピークとし、また高速側では、トルクカーブB2で示
すように第2設定回転数R2をピークとする特性を描くこ
ととなる。この場合、上述したように、またトルクカー
ブB1,B2からも明らかなように、上記第1設定回転数R1
より少し高速側、及び第2設定回転数R2より少し低速側
でそれぞれトルクが低下し、その結果切り換え回転数R3
付近にトルク谷C2が発生することとなる。
一方、本実施例の排気制御弁30は、排気制御装置33に
より、第1図に示すバルブ開度カーブDに沿って開閉制
御される。即ち、アイドリング回転付近では最低開度に
保持され(D1)、上記第1設定回転数R1付近で全開され
(D2)、さらに上記切り換え回転数R3付近でD1,D2の中
間開度まで絞られ(D3)、再び第2設定回転数R2付近で
全開される(D4)。
このように本実施例の排気制御弁30は、上記第1設定
回転数R1付近で全開,これより低速側及び高速側では低
開度に絞られることとなり、また第2設定回転数R2より
高速側で全開,これより低速側では低開度に絞られるこ
ととなる。そのため、発生トルクは第1図に実線のトル
クカーブA1,A2で示すように、第1設定回転数R1より高
速側、及び第2設定回転数R2より低速側でトルクが共に
増大する。その結果、切り換え回転数R3付近に生じてい
た従来のトルク谷C2はC1に押し上げられ、トルク谷の発
生を抑制できる。また、第1設定回転数R1において排気
制御弁30を全開にしたので、排気抵抗が少なくなり、吸
気管長をR1に対応した長さにすることによって得た高ト
ルクをそのまま生かすことができる。さらにR1より低速
側でもトルクが増大し、エンジンの出力特性を改善でき
る。
また、本実施例では、排気制御弁30を、エンジン1の
前側で、かつ走行風取入口に臨むように配置したので、
排気制御弁30が走行風で効果的に冷却され、該排気制御
弁30及び駆動機構の熱変形等による作動不良を防止でき
る。
なお、上記実施例では、第1設定回転数R1において排
気制御弁30を全開したが、必ずしも全開する必要はな
く、第1図に一点鎖線で示すバルブ開度カーブEに沿う
ように、つまりR1において、ピーク開度となるように中
程度の開度とし、R3においてこれより絞るように制御し
てもよい。
さらに上記実施例では第1設定回転数R1においてピー
ク開度となるようにしたが、本発明では、要は切り換え
回転数R3において一旦絞るようにすれば良く、例えば第
1図に二点鎖線で示すバルブ開度カーブFに沿うように
制御しても良い。この場合にも、R1以下の回転時及びト
ルク谷におけるトルクを向上できる効果が得られる。
また上記実施例では、吸気装置20が、吸気管長を長,
短のいずれかに切り換えるように構成されていたが、本
発明ではこの吸気装置は、吸気管長を上記長,短の間で
多段階に、あるいは無段階に切り換えるように構成した
場合にも勿論適用できる。この無段階切り換えは例えば
上記実施例において、スライダをエンジン回転数に応じ
て徐々に移動させることで実現でき、この場合は排気制
御弁の絞り量をスライダの移動量に対応させるように設
定することとなる。
さらにまた、上記実施例では、吸気管長を長,短の2
通りに切り換えたが、本発明は3通り以上の長さに切り
換える場合にも適用できる。この場合、排気制御弁を、
各設定回転数においてピーク開度に制御し、かつ各切り
換え時に一旦閉側に絞るように制御することにより、各
トルク谷のトルク向上を図ることができる。
また上記実施例では、吸気装置が吸気通路の長さを切
り換えるように構成されていたが、この吸気装置として
は、吸気通路の断面積を切り換えるように構成すること
もでき、本発明はこのような構造の吸気装置を備えた場
合にも適用できる。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明に係るエンジンの排気制御装置
によれば、吸気通路を切り換える時点において、排気制
御弁の開度を一旦閉側に制御するようにしたので、低速
側設定回転数より少し高速側、及び高速側設定回転数よ
り少し低速側におけるトルクを増大でき、切り換え時点
において生じるトルク谷の発生を抑制できる効果があ
り、また設定回転数以外の領域のトルクを増大して、エ
ンジンの出力特性を改善できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は本発明の一実施例によるエンジン
の排気制御装置を説明するための図であり、第1図はエ
ンジン回転数とトルク,及びバルブ開度との関係を示す
特性図、第2図は本実施例装置の概略構成図、第3図は
その平面図、第4図は排気制御弁部分の断面平面図であ
る。 図において、1はエンジン、22,24aは吸気管、29は排気
マニホールド(排気管)、30は排気制御弁、33は排気制
御装置である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸気通路の長さ又は断面積をエンジン回転
    速度に応じて切り換えるように構成した吸気装置を備え
    たエンジンにおいて、排気通路の途中に通路面積を変化
    させる排気制御弁を設け、該排気制御弁をエンジン回転
    速度の低速時には閉側に、高速時には開側に開閉制御す
    るようにした排気制御装置であって、上記吸気通路の切
    り換え時に上記排気制御弁を一旦閉側に絞るようにした
    ことを特徴とするエンジンの排気制御装置。
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