JP2744067B2 - 歯 車 - Google Patents
歯 車Info
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- JP2744067B2 JP2744067B2 JP13912989A JP13912989A JP2744067B2 JP 2744067 B2 JP2744067 B2 JP 2744067B2 JP 13912989 A JP13912989 A JP 13912989A JP 13912989 A JP13912989 A JP 13912989A JP 2744067 B2 JP2744067 B2 JP 2744067B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gear
- gears
- resin
- tpi
- temperature
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- Gears, Cams (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、新規な素材よりなる歯車に関するもので
ある。
ある。
[従来の技術] 機械要素部品である歯車は、動力の伝達に使用され、
増速,減速,回転軸の方向移動,動力合成,差動等種々
の目的に用いられている。そして負荷の大きさ、回転
数、使用環境(温度、雰囲気等)の条件より、適切な形
状や材質が選定され設計される。近年、オフィスへのOA
機器の普及、家庭内の家電製品の普及、自動車の普及等
われわれは、文明の利器の恩恵を受けているが、この陰
にはエンジニアリングプラスチックスを始めとする新素
材の開発があり、一方それを使いこなした設計思想の転
換がある。
増速,減速,回転軸の方向移動,動力合成,差動等種々
の目的に用いられている。そして負荷の大きさ、回転
数、使用環境(温度、雰囲気等)の条件より、適切な形
状や材質が選定され設計される。近年、オフィスへのOA
機器の普及、家庭内の家電製品の普及、自動車の普及等
われわれは、文明の利器の恩恵を受けているが、この陰
にはエンジニアリングプラスチックスを始めとする新素
材の開発があり、一方それを使いこなした設計思想の転
換がある。
従来の金属歯車はどんな成形方法であつても、同一寸
法で高精度のものを得るためには最終工程で切削あるい
は研磨による精度出しが必要である。
法で高精度のものを得るためには最終工程で切削あるい
は研磨による精度出しが必要である。
一方プラスチックス歯車は主として射出成形により生
産され、後加工なしに、同一寸法で高精度のものが比較
的容易に大量生産される。プスチックス歯車は、金属歯
車と比較して上記の量産性に加え、軽量性,静粛性,断
熱性等の長所があるが、一般に強度,耐熱性,対まもう
性に劣るという短所がある。
産され、後加工なしに、同一寸法で高精度のものが比較
的容易に大量生産される。プスチックス歯車は、金属歯
車と比較して上記の量産性に加え、軽量性,静粛性,断
熱性等の長所があるが、一般に強度,耐熱性,対まもう
性に劣るという短所がある。
また、プラスチックス歯車は、その成形材料の樹脂組
成物の中に比較的容易に固体潤滑剤を混練分散させるこ
とが可能で、低負荷下では潤滑油なしでも使用すること
ができる点が金属歯車に比較して大きな特長である。
成物の中に比較的容易に固体潤滑剤を混練分散させるこ
とが可能で、低負荷下では潤滑油なしでも使用すること
ができる点が金属歯車に比較して大きな特長である。
したがって、プラスチックス歯車は、強度をあまり必
要としない事務機器,家電製品,玩具等の低負荷、好環
境下で使用される用途に利用され始めた。ポリアミド樹
脂、ポリアセタール樹脂等の歯車がその代表例である。
要としない事務機器,家電製品,玩具等の低負荷、好環
境下で使用される用途に利用され始めた。ポリアミド樹
脂、ポリアセタール樹脂等の歯車がその代表例である。
中〜高負荷で使用されるプラスチックス歯車について
はその成形材料の樹脂組成物の中にガラス繊維や炭素繊
維等の繊維状補強材を混入させることが多い。ガラス繊
維強化ポリアセタール樹脂、炭素繊維強化ポリアミド樹
脂等の歯車がその代表例である。これらの歯車は一般に
グリース等の潤滑油の存在下で自動車の電装部品や電動
工具や家電製品の中〜高負荷のモータ動力伝達機構に低
コスト化、静粛性を主な利点として金属歯車に替えて多
用さている。しかしながら、自動車のエンジン内部機構
等の150℃前後の温度で、中〜高負荷で使用される場
合、従来は、金属歯車を使用することが常識であった。
はその成形材料の樹脂組成物の中にガラス繊維や炭素繊
維等の繊維状補強材を混入させることが多い。ガラス繊
維強化ポリアセタール樹脂、炭素繊維強化ポリアミド樹
脂等の歯車がその代表例である。これらの歯車は一般に
グリース等の潤滑油の存在下で自動車の電装部品や電動
工具や家電製品の中〜高負荷のモータ動力伝達機構に低
コスト化、静粛性を主な利点として金属歯車に替えて多
用さている。しかしながら、自動車のエンジン内部機構
等の150℃前後の温度で、中〜高負荷で使用される場
合、従来は、金属歯車を使用することが常識であった。
この他複写機、熱ロール駆動機構等の200℃を越える
ような温度で使用される歯車の場合、自動車のエンジン
内部機構とは異なり、この温度での油潤滑は、油の耐熱
性や油による器内汚染の問題より事実上不可能である。
したがって、固体潤滑剤を配合し、繊維状補強材で機械
強度を強化した熱硬化性ポリイミド樹脂(たとえばデュ
ポン社商品名ベスペル等)の切削加工により成形した歯
車を使用することが常識であった。
ような温度で使用される歯車の場合、自動車のエンジン
内部機構とは異なり、この温度での油潤滑は、油の耐熱
性や油による器内汚染の問題より事実上不可能である。
したがって、固体潤滑剤を配合し、繊維状補強材で機械
強度を強化した熱硬化性ポリイミド樹脂(たとえばデュ
ポン社商品名ベスペル等)の切削加工により成形した歯
車を使用することが常識であった。
最近、熱可塑性樹脂でありながら、今までになく優れ
た耐熱性、機械強度等を有する新素材が開発され、これ
等の新素材を機械設計の中に取り入れる努力がされて来
た。
た耐熱性、機械強度等を有する新素材が開発され、これ
等の新素材を機械設計の中に取り入れる努力がされて来
た。
例えばICI社のポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテ
ルサルホン樹脂、GE社のポリエーテルイミド樹脂等がそ
の代表例である。これらは、いずれも加熱変形温度が20
0℃を越えるエンジニアリングプラスチックスではある
が、たとえ200℃の温度下でも長期間機械強度が継続で
きるものではなく、自動車その他で150℃を越える温度
で使用される歯車で長寿命を期待する場合は、金属を使
用するか、前述の繊維状補強材で強化した熱硬化性ポリ
イミド樹脂を使用するかのどちらかであった。
ルサルホン樹脂、GE社のポリエーテルイミド樹脂等がそ
の代表例である。これらは、いずれも加熱変形温度が20
0℃を越えるエンジニアリングプラスチックスではある
が、たとえ200℃の温度下でも長期間機械強度が継続で
きるものではなく、自動車その他で150℃を越える温度
で使用される歯車で長寿命を期待する場合は、金属を使
用するか、前述の繊維状補強材で強化した熱硬化性ポリ
イミド樹脂を使用するかのどちらかであった。
ただし前述の複写機熱ロール駆動歯車の場合、コスト
面から、前述の熱可塑性樹脂を使用し、射出成形で歯車
を得、それを保守部品として定期的交換を行うことによ
り寿命の問題を解消している場合もある。
面から、前述の熱可塑性樹脂を使用し、射出成形で歯車
を得、それを保守部品として定期的交換を行うことによ
り寿命の問題を解消している場合もある。
[発明が解決しようとする課題] このように、従来の技術では、熱可塑性樹脂を使用し
て溶融成形により得られる歯車では量産性に優れてはい
るものの、150℃を越える温度下、特に200℃を越える温
度下で、連続して使用され、長寿命でかつ中〜高荷重の
動力を伝達できるものは得るられないという問題点があ
った。本発明の目的は、これらの問題点のない歯車を提
供することにある。
て溶融成形により得られる歯車では量産性に優れてはい
るものの、150℃を越える温度下、特に200℃を越える温
度下で、連続して使用され、長寿命でかつ中〜高荷重の
動力を伝達できるものは得るられないという問題点があ
った。本発明の目的は、これらの問題点のない歯車を提
供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記の課題を解決するために、発明者らは、新規な歯
車用素材を種々検討の結果、特定のポリイミド樹脂およ
びその樹脂組成物を使用することにより、前記目的を達
成し、発明を完成するに至った。
車用素材を種々検討の結果、特定のポリイミド樹脂およ
びその樹脂組成物を使用することにより、前記目的を達
成し、発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、式 で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド樹脂(以
下TPIという)が50〜100重量%、繊維状補強材が0〜40
重量%、および/または固体潤滑剤が0〜30重量%より
なり、繊維状補強材と固体潤滑剤の合計量が全組成の0
〜50重量%であるTPI樹脂またはTPI樹脂組成物を成形し
てなる歯車である。
下TPIという)が50〜100重量%、繊維状補強材が0〜40
重量%、および/または固体潤滑剤が0〜30重量%より
なり、繊維状補強材と固体潤滑剤の合計量が全組成の0
〜50重量%であるTPI樹脂またはTPI樹脂組成物を成形し
てなる歯車である。
本発明に使用するTPIは、特開昭62−205124に開示さ
れている結晶を有る熱可塑性樹脂で、その特性の中で、
(株)東洋精機製作所製のバイブロン動的粘弾性特性試
験機にて測定した弾性率の温度依存性を第1図に示す。
図中(A)がTPI(ガラス転移温度250℃、融点388℃、
結晶性)で250℃を越える領域まで弾性率の低下が認め
られない。この特性は前述の熱硬化性ポリイミド樹脂の
特性にほぼ等しい。また対比として(B)にポリエーテ
ルエーテルケトン樹脂(以下PEEKという)(ガラス転移
温度143℃、融点334℃、結晶性)(C)にポリアミド6,
6樹脂(PAm6,6)(ガラス転移温度80℃、融点265℃、結
晶性)の弾性率を示す。図より明らかなように、TPIは2
00℃を越える領域でも良好な弾性率を維持している。
れている結晶を有る熱可塑性樹脂で、その特性の中で、
(株)東洋精機製作所製のバイブロン動的粘弾性特性試
験機にて測定した弾性率の温度依存性を第1図に示す。
図中(A)がTPI(ガラス転移温度250℃、融点388℃、
結晶性)で250℃を越える領域まで弾性率の低下が認め
られない。この特性は前述の熱硬化性ポリイミド樹脂の
特性にほぼ等しい。また対比として(B)にポリエーテ
ルエーテルケトン樹脂(以下PEEKという)(ガラス転移
温度143℃、融点334℃、結晶性)(C)にポリアミド6,
6樹脂(PAm6,6)(ガラス転移温度80℃、融点265℃、結
晶性)の弾性率を示す。図より明らかなように、TPIは2
00℃を越える領域でも良好な弾性率を維持している。
第2図にTPI(結晶化品)と対比として熱硬化性ポリ
イミド樹脂(デュポン社ベスペル)とPEEK(結晶化品)
の動まさつ係数の経時変化を示す。
イミド樹脂(デュポン社ベスペル)とPEEK(結晶化品)
の動まさつ係数の経時変化を示す。
(株)東洋精機製作所製のピンオンディスク型スラス
トまさつまもう試験機を使用し、負荷圧力2.0kgf/cm2、
摺動速度120m/min、室温の条件で、各試験樹脂の直径5m
mに切削加工した丸棒を、SUS304製直径110mmのターンテ
ーブルの表面を#1500のエメリーペーパーで研磨処理し
た平滑面に、垂直に立て、錘により面圧2.0kgf/cm2と
し、摺動速度120m/minとなるように回転数調整を行い、
無潤滑下でまさつ係数の経時変化を測定した。
トまさつまもう試験機を使用し、負荷圧力2.0kgf/cm2、
摺動速度120m/min、室温の条件で、各試験樹脂の直径5m
mに切削加工した丸棒を、SUS304製直径110mmのターンテ
ーブルの表面を#1500のエメリーペーパーで研磨処理し
た平滑面に、垂直に立て、錘により面圧2.0kgf/cm2と
し、摺動速度120m/minとなるように回転数調整を行い、
無潤滑下でまさつ係数の経時変化を測定した。
第2図より明らかなようにTPIは、長時間にわたり安
定かつ、低まさつ係数をもつものである。
定かつ、低まさつ係数をもつものである。
第1,2図に物性例を示したように、TPIそのものの強
度,耐熱性,耐まさつまもう特性は、他の熱可塑結晶性
樹脂と比較し、飛躍的に向上しており、一方、成形特性
においては同等の特性を有しており、OA機器,家電製品
の分野でまもう粉汚染が心配される分野で使用される歯
車として、本発明の歯車は最適である。
度,耐熱性,耐まさつまもう特性は、他の熱可塑結晶性
樹脂と比較し、飛躍的に向上しており、一方、成形特性
においては同等の特性を有しており、OA機器,家電製品
の分野でまもう粉汚染が心配される分野で使用される歯
車として、本発明の歯車は最適である。
本発明による歯車は、配合材を添加することなくTPI
のみで成形されたものは、高温、低負荷下では充分実用
に供されるが、さらに高温あるいは高負荷等の条件で使
用される歯車には、TPIに繊維状補強材および/または
固体潤滑剤の配合が好ましい。
のみで成形されたものは、高温、低負荷下では充分実用
に供されるが、さらに高温あるいは高負荷等の条件で使
用される歯車には、TPIに繊維状補強材および/または
固体潤滑剤の配合が好ましい。
この発明において使用する繊維状補強剤としては、炭
素繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、アスベス
ト繊維、芳香族ポリイミド繊維、芳香族ポリエステル繊
維、芳香族ポリアミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維
等がある。
素繊維、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、アスベス
ト繊維、芳香族ポリイミド繊維、芳香族ポリエステル繊
維、芳香族ポリアミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維
等がある。
一般的な熱可塑性樹脂の中で、最も高耐熱、高強度な
樹脂の一つであるPEEKのナチュラルおよび炭素繊維30重
量%強化品(結晶化品)とTPIのナチュラルおよび炭素
繊維30重量%強化品(結晶化品)のヤング率および引張
強度の温度依存性を表−1に示す。
樹脂の一つであるPEEKのナチュラルおよび炭素繊維30重
量%強化品(結晶化品)とTPIのナチュラルおよび炭素
繊維30重量%強化品(結晶化品)のヤング率および引張
強度の温度依存性を表−1に示す。
なお、表−1の値はASTM D−638に従って測定した値
である。
である。
表中、TPI CF30はPEEK CF30に比較して150℃を越える
高温においてもヤング率の低下がほとんどなく、強度低
下も少ないことが分る。
高温においてもヤング率の低下がほとんどなく、強度低
下も少ないことが分る。
一般に、結晶性樹脂を繊維強化したものは、加熱変形
温度等の実用耐熱強度が大幅に向上するというものの、
基本的に樹脂の軟化開始温度であるガラス転移温度が、
TPIはPEEKの143℃に比較して250℃と大幅に高いことが
圧倒的に高温物性に対して有利な点である。現在工業生
産されており市場で比較的容易に入手可能な一般的な熱
可塑結晶性樹脂で、成形が一般的な射出成形が可能なも
のの中で、このTPIほどガラス転移温度の高い樹脂は他
にない。
温度等の実用耐熱強度が大幅に向上するというものの、
基本的に樹脂の軟化開始温度であるガラス転移温度が、
TPIはPEEKの143℃に比較して250℃と大幅に高いことが
圧倒的に高温物性に対して有利な点である。現在工業生
産されており市場で比較的容易に入手可能な一般的な熱
可塑結晶性樹脂で、成形が一般的な射出成形が可能なも
のの中で、このTPIほどガラス転移温度の高い樹脂は他
にない。
本発明で使用する固体潤滑剤としては四フッ化エチレ
ン樹脂(以下PTFEという)、黒鉛、六方晶チッ化ホウ
素、二硫化モリブデン、一酸化鉛、フッ化炭素などがあ
る。
ン樹脂(以下PTFEという)、黒鉛、六方晶チッ化ホウ
素、二硫化モリブデン、一酸化鉛、フッ化炭素などがあ
る。
TPIをベースとした配合材(繊維状補強材、固体潤滑
剤)の種類とその配合割合の組合せは無限にあるが、目
的とする歯車の使用条件により、その組合せを選定す
る。
剤)の種類とその配合割合の組合せは無限にあるが、目
的とする歯車の使用条件により、その組合せを選定す
る。
具体的には強度重視の場合は特に炭素繊維またはガラ
ス繊維を、耐まもう特性重視の場合は特に芳香族有機繊
維を、まさつ特性重視の場合は特にPTFEおよび/または
黒鉛等の固体潤滑剤を配合すれば良い。
ス繊維を、耐まもう特性重視の場合は特に芳香族有機繊
維を、まさつ特性重視の場合は特にPTFEおよび/または
黒鉛等の固体潤滑剤を配合すれば良い。
低負荷用途で歯車を無潤滑で使用する場合、TPIに配
合するものは、繊維状補強材と固体潤滑剤を併用する。
特に、固体潤滑剤としては耐まさつまもう特性上PTFE,
黒鉛、またはPTFEと黒鉛の併用が、繊維状補強材として
は、強度の面では炭素繊維が、経済性の面ではガラス繊
維あるいはチタン酸カリウム繊維の使用が好ましい。繊
維状補強材として芳香族ポリイミド繊維、芳香族ポリエ
ステル繊維、芳香族ポリアミド繊維等を使用すると歯車
の耐まもう特性は非常に改良されるが、強度が低下する
欠点がある。
合するものは、繊維状補強材と固体潤滑剤を併用する。
特に、固体潤滑剤としては耐まさつまもう特性上PTFE,
黒鉛、またはPTFEと黒鉛の併用が、繊維状補強材として
は、強度の面では炭素繊維が、経済性の面ではガラス繊
維あるいはチタン酸カリウム繊維の使用が好ましい。繊
維状補強材として芳香族ポリイミド繊維、芳香族ポリエ
ステル繊維、芳香族ポリアミド繊維等を使用すると歯車
の耐まもう特性は非常に改良されるが、強度が低下する
欠点がある。
中〜高負荷用途で歯車を油潤滑下で使用する場合、PT
Iに配合するものは繊維状補強材のみ、特に強度の面で
炭素繊維またはガラス繊維の使用が好ましい。
Iに配合するものは繊維状補強材のみ、特に強度の面で
炭素繊維またはガラス繊維の使用が好ましい。
配合量としては、TPI50〜100重量%、繊維状補強材0
〜40重量%、固体潤滑剤0〜30重量%(繊維状補強材と
固体潤滑剤の合計量が全樹脂組成物の0〜50重量%)配
合したものが好ましい。ここで、繊維状補強剤と固体潤
滑剤の合計量が樹脂の50重量%を越えてTPIの量が50重
量%未満になると、混合が不充分で均一な組成物が得ら
れず、樹脂の流動性が失われて成形が困難になる。ま
た、繊維状補強剤の量が40重量%を越えると、TPIと繊
維状補強材のかさ密度が著しく異なるなどのため、混合
が不充分となり、コンパウンド化の工程が困難になり均
一な組成物が得られない。固体潤滑剤の量が30重量%を
越えると、組成物の流動性は著しく低下し、得られた成
形品の強度も同様に著しく低下するので好ましくない。
〜40重量%、固体潤滑剤0〜30重量%(繊維状補強材と
固体潤滑剤の合計量が全樹脂組成物の0〜50重量%)配
合したものが好ましい。ここで、繊維状補強剤と固体潤
滑剤の合計量が樹脂の50重量%を越えてTPIの量が50重
量%未満になると、混合が不充分で均一な組成物が得ら
れず、樹脂の流動性が失われて成形が困難になる。ま
た、繊維状補強剤の量が40重量%を越えると、TPIと繊
維状補強材のかさ密度が著しく異なるなどのため、混合
が不充分となり、コンパウンド化の工程が困難になり均
一な組成物が得られない。固体潤滑剤の量が30重量%を
越えると、組成物の流動性は著しく低下し、得られた成
形品の強度も同様に著しく低下するので好ましくない。
ここで、TPI、繊維状補強材および固体潤滑剤などの
混合手段は、これらを個別に溶融混合機に供給しても、
また、これらを予めヘンシェルミキサー、タンブラー、
リボンブレンダーなど汎用の混合機で乾燥混合した後、
溶融混合機に供給してもよく、その具体的方法は、特に
限定されるものではない。
混合手段は、これらを個別に溶融混合機に供給しても、
また、これらを予めヘンシェルミキサー、タンブラー、
リボンブレンダーなど汎用の混合機で乾燥混合した後、
溶融混合機に供給してもよく、その具体的方法は、特に
限定されるものではない。
[実施例] 実施例および比較例に用いた諸材料は次に示す通りで
ある。
ある。
TPI(三井東圧化学社NEW−TPI450) ポリエーテルエーテルケトン樹脂(ICI社VICTREX P
EEK450) ポリアミド樹脂(66ナイロン:東レ社アミランCM30
01−N) 炭素繊維(チョップドストランド:東邦レーヨン社
ベスファイトHTA) 芳香族ポリアミド繊維(チョップドストランド:東
レデュポン社ケブラー) PTFE(ダイキン工業社ルブロンL−5) 上記諸材料を表−2に示すような割合(重量%)で乾
式混合し、溶融押出機で表−2に示す温度条件で、混練
及び造粒を行った。得られたペレットを表−2に示す成
形条件で射出成形を行い得られた歯車を表−2に示すア
ニール条件で成形歪除去等の加熱処理を行い、TPIベー
スの歯車A,AF,AN(実施例1,2,3)ポリエーテルエーテル
ケトン樹脂ベースの歯車B,BF,BN(比較例1,2,3)および
ポリアミド樹脂ベースの歯車C,CF,CN(比較例4,5,6)の
9種類の歯車を得た。
EEK450) ポリアミド樹脂(66ナイロン:東レ社アミランCM30
01−N) 炭素繊維(チョップドストランド:東邦レーヨン社
ベスファイトHTA) 芳香族ポリアミド繊維(チョップドストランド:東
レデュポン社ケブラー) PTFE(ダイキン工業社ルブロンL−5) 上記諸材料を表−2に示すような割合(重量%)で乾
式混合し、溶融押出機で表−2に示す温度条件で、混練
及び造粒を行った。得られたペレットを表−2に示す成
形条件で射出成形を行い得られた歯車を表−2に示すア
ニール条件で成形歪除去等の加熱処理を行い、TPIベー
スの歯車A,AF,AN(実施例1,2,3)ポリエーテルエーテル
ケトン樹脂ベースの歯車B,BF,BN(比較例1,2,3)および
ポリアミド樹脂ベースの歯車C,CF,CN(比較例4,5,6)の
9種類の歯車を得た。
なお、歯車の射出成形に使用した冷却金型はすべて同
一金型である。歯車はインボリュート平歯車で、諸元は
ピッチ円直径60mm、モジュール1.0、歯数60枚、歯巾5m
m、圧力角20゜のもので、JIS・B1701に従って設計した
標準歯車である。
一金型である。歯車はインボリュート平歯車で、諸元は
ピッチ円直径60mm、モジュール1.0、歯数60枚、歯巾5m
m、圧力角20゜のもので、JIS・B1701に従って設計した
標準歯車である。
各歯車について第3図に示すギヤテスターにより一定
の回転数における破壊トルク試験を行った。
の回転数における破壊トルク試験を行った。
第3図において、5.5KWのACサーボモーター及びコン
トローラ1(80〜8000rpm可変)の回転軸は、前記試験
用歯車と同一諸元で、構造用炭素鋼S45Cを切削後高周波
焼入れ処理を行った歯車3の回転軸2(直径25mm)と連
結させる。歯車3に試験用歯車4が組合わされ、歯車4
の回転軸5はトルク発生機6(5〜500kgf・cm可変)と
連結し、トルク指示計兼回転計7でトルクおよび回転数
が読みとられ、記録計8で記録される。組合わされた歯
車は、ギヤボックス9(寸法150mm×150mm×50mm上下2
分割)におさめられ、油潤滑試験時には、潤滑油として
出光アポロイルギヤオイルHE90Sを入れて潤滑油浴とし
て使用した。さらに高温時試験のため、ギヤボックス9
は内寸法200mm×200mm×150mm、上下2分割の電熱式熱
風循環過熱炉10におさめ、その温度は、温度調節器兼温
度指示計11で調節指示され、前記記録計8で記録するよ
うにした。
トローラ1(80〜8000rpm可変)の回転軸は、前記試験
用歯車と同一諸元で、構造用炭素鋼S45Cを切削後高周波
焼入れ処理を行った歯車3の回転軸2(直径25mm)と連
結させる。歯車3に試験用歯車4が組合わされ、歯車4
の回転軸5はトルク発生機6(5〜500kgf・cm可変)と
連結し、トルク指示計兼回転計7でトルクおよび回転数
が読みとられ、記録計8で記録される。組合わされた歯
車は、ギヤボックス9(寸法150mm×150mm×50mm上下2
分割)におさめられ、油潤滑試験時には、潤滑油として
出光アポロイルギヤオイルHE90Sを入れて潤滑油浴とし
て使用した。さらに高温時試験のため、ギヤボックス9
は内寸法200mm×200mm×150mm、上下2分割の電熱式熱
風循環過熱炉10におさめ、その温度は、温度調節器兼温
度指示計11で調節指示され、前記記録計8で記録するよ
うにした。
破壊トルク試験は、回転数を2000rpmと一定にし、加
えたトルクは、トルク発生機により、2.5kgf・cm/分の
割合で増加させて行い、油潤滑時の試験を実施例1,3比
較例1,3,4,6について室温および150℃において、また無
潤滑時の試験を実施例2,3比較例2,3,5,6について室温15
0℃及び200℃において行った。なお油潤滑時の試験を20
0℃で行わなかったのは、ギヤオイルの耐熱性を考慮し
たためである。
えたトルクは、トルク発生機により、2.5kgf・cm/分の
割合で増加させて行い、油潤滑時の試験を実施例1,3比
較例1,3,4,6について室温および150℃において、また無
潤滑時の試験を実施例2,3比較例2,3,5,6について室温15
0℃及び200℃において行った。なお油潤滑時の試験を20
0℃で行わなかったのは、ギヤオイルの耐熱性を考慮し
たためである。
試験の結果は表−3に一括して示した。
表3中、測定不能とは、負荷開始直後に歯車が変形又
は破壊してしまい、トルクの測定が不可能であったこと
を示し、5>はトルク発生機のトルク下限値以下で破壊
したことを示す。
は破壊してしまい、トルクの測定が不可能であったこと
を示し、5>はトルク発生機のトルク下限値以下で破壊
したことを示す。
本発明によるTPIを使用した歯車A,AFおよびANは、比
較例のポリエーテルエーテルケトン樹脂あるいはポリア
ミド樹脂を使用した歯車B,C,BF,CFおよびBN,CNと比較し
て150℃および200℃における破壊トルク値に圧倒的優位
性を示した。
較例のポリエーテルエーテルケトン樹脂あるいはポリア
ミド樹脂を使用した歯車B,C,BF,CFおよびBN,CNと比較し
て150℃および200℃における破壊トルク値に圧倒的優位
性を示した。
[発明の効果] この発明は、TPIを含む成形材料を溶融成形し、得ら
れたものの特性が特に200℃を越える高温下でも充分な
機械強度および耐まもう特性を保有している歯車を提供
することができ、内燃機関内部歯車や、複写機あるいは
レーザープリンターの熱転写ロール駆動歯車等の用途に
最適であり、産業上の利用価値はきわめて大きい。
れたものの特性が特に200℃を越える高温下でも充分な
機械強度および耐まもう特性を保有している歯車を提供
することができ、内燃機関内部歯車や、複写機あるいは
レーザープリンターの熱転写ロール駆動歯車等の用途に
最適であり、産業上の利用価値はきわめて大きい。
第1図は各種耐熱性樹脂の弾性率の温度依存性を示すグ
ラフ、第2図は各種耐熱性樹脂の動まさつ係数の経時変
化を示すグラフ、第3図は、ギヤテスターの説明図であ
る。 1……サーボモーターおよびコントローラ 2,5……回転軸、3……炭素鋼製歯車 4……試験用歯車、6……トルク発生機 7……トルク指示計兼回転計 8……記録計、9……ギヤボックス 10……加熱炉 11……温度調節器兼温度指示計
ラフ、第2図は各種耐熱性樹脂の動まさつ係数の経時変
化を示すグラフ、第3図は、ギヤテスターの説明図であ
る。 1……サーボモーターおよびコントローラ 2,5……回転軸、3……炭素鋼製歯車 4……試験用歯車、6……トルク発生機 7……トルク指示計兼回転計 8……記録計、9……ギヤボックス 10……加熱炉 11……温度調節器兼温度指示計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 79:00
Claims (2)
- 【請求項1】式 で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を用
いてなる歯車。 - 【請求項2】式 で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド樹脂が50
重量%以上、繊維状補強材が40重量%以下および/また
は固体潤滑剤が30重量%以下よりなる樹脂組成物を用い
てなる歯車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13912989A JP2744067B2 (ja) | 1989-06-02 | 1989-06-02 | 歯 車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13912989A JP2744067B2 (ja) | 1989-06-02 | 1989-06-02 | 歯 車 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH035134A JPH035134A (ja) | 1991-01-10 |
JP2744067B2 true JP2744067B2 (ja) | 1998-04-28 |
Family
ID=15238200
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13912989A Expired - Lifetime JP2744067B2 (ja) | 1989-06-02 | 1989-06-02 | 歯 車 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2744067B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05308719A (ja) * | 1992-04-28 | 1993-11-19 | Hitachi Ltd | ネットワーク受変電システム |
JPH05320505A (ja) * | 1992-05-15 | 1993-12-03 | Toray Ind Inc | ポリイミド樹脂組成物 |
JP3119288B2 (ja) * | 1993-10-05 | 2000-12-18 | ダイキン工業株式会社 | 導電性および非粘着性を付与しうる組成物、該組成物を用いた塗料ならびにローラ |
JP3891607B2 (ja) * | 1995-07-11 | 2007-03-14 | Ntn株式会社 | 耐熱・潤滑性樹脂組成物 |
CN1085707C (zh) * | 1997-10-23 | 2002-05-29 | 上海市合成树脂研究所 | 钛酸钾晶须增强聚酰亚胺复合材料的制备方法 |
JP2002306880A (ja) * | 2001-04-17 | 2002-10-22 | Juki Corp | ミシンの回転伝動装置 |
JP2009014152A (ja) | 2007-07-06 | 2009-01-22 | Sony Corp | 軸受ユニット、軸受ユニットを有するモータ及び電子機器 |
-
1989
- 1989-06-02 JP JP13912989A patent/JP2744067B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH035134A (ja) | 1991-01-10 |
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