JP2743070B2 - 画像特性の変換処理法 - Google Patents

画像特性の変換処理法

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JP2743070B2 JP63209431A JP20943188A JP2743070B2 JP 2743070 B2 JP2743070 B2 JP 2743070B2 JP 63209431 A JP63209431 A JP 63209431A JP 20943188 A JP20943188 A JP 20943188A JP 2743070 B2 JP2743070 B2 JP 2743070B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、絵画、モノクロやカラー写真などの印刷用
原稿や複写用原稿、撮像管やCCDに蓄積されている被写
体に関する画像情報など(以下、これらを総称して「原
画像」という。)から、印刷画像などのハード画像やCR
T(ビデオ)画像などのソフト画像(光による一過性の
表示画像)など(以下、これらを総称して「複製画像」
という。)を作成するときの、即ち原画像から複製画像
を作成するときの新規な画像特性の変換処理法とそれを
利用した機器に関するものである。
(従来の技術とその問題点) 原画像から複製画像を作成するときの画像特性の変換
処理技術において、原画像の調子(原画像の階調と色調
をいう。以下同じ。)を再現性良く複製画像に変換する
ことができる基礎技術が確立されていないのが現状であ
る。
別言すれば、原画像の複製画像における調子再現にお
いて、その基本ともなる「画像の濃度領域における非線
形変換処理技術」が、全く人間の経験と勘に依存してお
り非科学的、非合理的なものである。
ここに言う、「画像の濃度領域における非線形変換処
理技術」(以下、画像の濃度領域における変換処理技
術、あるいは単に画像特性の変換処理技術という。)と
は、空間領域における画像処理、空間周波数領域におけ
る画像処理、所与の画像の統計的手法による画像処理、
あるいは所与の画像のパターン解析などに係る画像特性
の処理技術とは根本的に相違する領域の技術であり、む
しろ、これら画像処理技術の基礎技術ともなるものであ
る。
何となれば、画像特性の変換処理技術において原画像
の特性の何如にかかわらず、かつその技術的構成や手段
の如何にかかわらず、原画像の調子が1:1で変換され、
かつ得られた複製画像の調子が人間の視覚感覚にとって
自然であると感じられる適切な濃度勾配をもっているこ
とが、複製画像を作成するときの画像特性の変換処理の
核心であり、基礎であり、基本であるからである(例え
ば、特開昭61−82576号、特開昭61−25372号を参照)。
しかしながら、現在の画像の濃度領域における画像特
性の変換処理技術は、全く人間の経験と勘に依存してお
り、しかもこれを科学的で合理的な技術体系に改めよう
とする試みがなされていない。このため、従来の画像特
性の変換処理技術に基づく複製画像を得るための具体的
な機械、装置、部品など、あるいはこれらを組合わせた
システム技術やシステム機械・装置などは、複製画像に
おける原画像の調子の再現性が良くないことはもとよ
り、その機構が不必要に複雑・高度化しており、製造コ
スト、使用上の便宜さ、修理やメンテナンスなどの点で
問題がある。
これは科学的かつ合理的に原画像の調子を1:1に複製
画像に変換することができる、前記した画像特性の変換
処理の基礎技術としての画像の濃度領域における変換処
理技術が確立されていないことに主因がある。
この点を、具体的な画像特性の変処理技術について少
し考察してみる; (i) 印刷画像の作成においては、 (イ) 製版作業に規則性がなく、特に、非標準的品
質(例えば露光オーバーまたはアンダー)をもつカラー
フィルム写真画像(現在、約30〜70%がこのような非標
準的な原稿である。)を原稿画像として製版する場合、
合理的な対処の方法がなく、全く人間の経験と勘に依存
している。この分野での科学的アプローチが進展しない
大きな理由の1つは、印刷物に宿命的に付随している芸
術的要素という、合理的な技術の探求にとっての逃避場
があるためである。
(ロ) 製品の品質を安定させ、製版作業の生産性を
高めようとすると、それに対応して製版機器であるスキ
ャナーの機構が複雑かつ高価なものとなる。しかも機械
装置の操作が難かしく、そのための関係技術者の教育訓
練に多大の労力を要する。
(ハ) このような高度化かつ複雑化したスキャナー
を導入しても、その色分解作業はヤレの理由などに基づ
き作業の30〜40%はやり直しである。
(ii) カラー複写機などのデジタル画像処理装置やそ
のためのソフトウェアにおいては、依然としてテスト刷
りをしてみなければならず、また、画像処理機能を高度
化し、処理速度を早くし、かつその機能にフレキシビリ
ティを持たせようとすればするほど、幾何級数的にソフ
トウェアーとハードウェアーの機構が複雑となり、かつ
製作コストが増大し、逆にフレキシブリティを失ってい
く結果となっている。同時に、ソフトウェアーのハード
ウェアー化を益々、困難にしている。
(iii) テレビ画像などの輝度画像においては、調子
の再現性が強く求められており、また調子の調整のため
の簡素な方法が求められている。テレビ画像の調子を手
動で調整する場合には、ブライトネス、コントラスト、
R・G・Bの3色の調整など複雑な調整手続が必要であ
り、自動調整の場合には機構が複雑かつ高価なものとな
っているが、十分に満足しうる調子の再現性が得られて
いない。
(iv) 人間の視覚にとっての不可視域の撮像の代表的
の一つである、低照度領域(暗視界)における撮像にお
いては、撮影対象物の変動速度による撮影条件の時間的
制約を受けるが、これを単純な増幅手段等によって解決
しようとしても鮮明かつ調子再現性の優れた画像を得る
ことが困難である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、前記した従来の原画像から複製画像を
作成するときの画像の濃度領域における画像特性の変換
処理技術全般において、それらが共通している欠陥は、
その画像特性の変換処理が、人間の経験と勘に大きく依
存しているという基本認識をもっている。
本発明の目的は、原画像から複製画像を作成するとき
の濃度域域における画像特性の変換処理技術を、人間の
経験と勘に依存する技術体系から科学的で合理的な技術
体系へ改めること、かつ経済的な画像処理装置を提供す
ることにある。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明を概説すれば、本発明は、最明部濃度値がHnで
ある原画像から、濃度領域における<画像特性変換式>
を用いて複製画像を作成するにあたり、下記<画像特性
変換式>中のγ値として採用するγn値を、 最明部濃度値(H値)が相違する複数の原画像から所
望の画質の複製画像を与える時のγ値を求め、前記H値
とγ値の相関関係よりHn値に対応するγn値を設定する
こと、 を特徴とする原画像から複製画像を作成することの画像
特性の変換処理法、並びに前記画像特性の変換処理法を
組込んだ各種の複製画像を製作するための機器に関する
ものである。
<画像特性変換式> y=yH+[α/(α−β)]・(1−10-kx)・(yS−yH) 前記<画像特性変換式>において、 x :原画像上の任意の点Xにおける基礎濃度情報値。即
ち、点Xにおいて測定した濃度情報値から原画像上の最
明部における濃度情報値を差し引いた値。
y :原画像上の点Xに対応した複製画像上の点Yにおけ
る階調強度値。
yH :複製画像上の最明部に設定する、所望の階調強度
値。
yS :複製画像上の最暗部に設定する、所望の階調強度
値。
α:複製画像を表現するために用いる基材の表面反射
率。
β:β=10−γにより求められる数値。
k :γ/(原画像の濃度域情報値)により求められる数
値。
γ:任意の係数。
を表わすものとする。
以下、本発明の構成について詳しく説明する。
(i) 本発明の<画像特性変換式>の開発について。
本発明者らは、先に印刷画像等の複製画像を作成する
ときの画像の階調変換方法について提案した(特願昭62
−148912号、特願昭63−114599号参照)。
ここにおいて、本発明者らは画像の階調変換技術から
人間の経験や勘を排除するために、理論的に求めた<階
調変換式>により画像の階調変換作業を行なうことを提
案した。
本発明の技術的構成は、この先に提案した階調変換技
術をさらに一般化した関係にあり、先に提案した階調変
換時に用いられる<階調変換式>の誘導過程は、本発明
の技術的構成の理解を深めるために有用であると考え
る。
従って、まず、先に提案した印刷画像などの複製画像
を作成するときの画像の階調変換時に用いる、<階調変
換式>の誘導過程から説明する。なお、ここでは複製画
像として印刷画像に的を絞って説明する。
印刷物の作成時において写真製版カメラ等を使い、カ
ラー写真原稿から網点階調画像を作成するとき、あるい
は電子的色分解装置(モノクロ・スキャナー,カラー・
スキャナー)を使ってカラー写真原稿から色分解作業を
行なうとき、原稿画像の階調を連続階調から印刷画像の
網点階調に変換しなければならないことは周知のことで
ある。
もとより、この変換作業は色分解特性曲線(後述する
ように、これは作業基準特性曲線とか網点階調特性曲線
といわれるものである。)のもとで行なわれる。
その際、次の点を留意しなければならない。
印刷画像である網点階調画像において、 ・印刷画像の濃度階調を表現するための具体的構成要素
が「網点の面積」と「インキの反射濃度」の2つである
こと、 ・経験上、前記「インキの反射濃度」のファクターにつ
いては、印刷版上のHおよびSにおける網点を正しく印
刷用紙上に再現させて印刷をする、いわゆる適正な印刷
を行なうという条件下では、印刷機上で加減できるイン
キの量は適性インキ量を中心として±約10%であるが
(ものによっては画質や墨文字をよくするために、墨板
では±約20%も加減することがあるが)、インクの量が
階調や色調を変化させる度合が小さいこと、 ・経験上、人間の視覚感覚は「網点面積」パーセントに
おける1%の差異をも濃度差として容易に識別する能力
をもっており、その精度は濃度計よりも優れているこ
と、また製版及び印刷作業工程において同一網点におけ
る面積変動量は数10%にも及ぶこと、 ・所与の網点群(網点配列)に対して、インキの塗布量
を変化させることにより、印刷画像の調子(階調や色
調)を変化させる能力は、所与のインキの塗布量のもと
で網点の大きさを変化させることにより、印刷画像の調
子を変化させる能力と比較して格段に小さいこと、 という客観的事実及び経験則を考えると、網点階調画像
である印刷画像の作成において網点の面積の管理が極め
て重要であることがわかる。
また、前記したことと関連して写真製版作業において
は、原稿画像の品質内容が千差万別であること、写真製
版作業に続く印刷画像形成工程が多様であり、しかもそ
れぞれの工程はそれぞれの工程なりの作業特質を持って
いること、印刷画像を表現する印刷用紙などの基材及び
印刷インキなどの色材の特質が多様であること、ならび
に印刷物発注者の印刷画像に対する品質評価基準が一様
でないことなどの背景を抱えている。
従ってこれら写真製版、印刷に係る複雑で不安定な要
因を吸収し克服するためには、カラーフィルムなどの連
続階調画像である製版用原稿画像を網点階調画像である
印刷画像に変換するにあたって、作成する網点階調画像
(印刷画像)における最明部最小網4点(yh)と最暗部
最大網点(ys)を所望のものに任意に選択することが出
来、しかも最明部から最暗部に至る画像の階調を所望し
た通りの階調に、合理的でしかも簡便に設定し調整管理
することができる手だてを設けることが是非とも必要で
ある。
このような考え方に立脚して、本発明者らは下記に示
される<階調変換式>を理論的に、かつ製版実務と整合
するように導出した。なお、ここで注意を換起すると、
下記の印刷画像の作成時に使用する<階調変換式>は、
本発明の<画像特性変換式>と一見して同じようである
が、各項の意味や数値どりに重要な相違があることであ
る。この点は後述することにして、下記の<階調変換式
>の導出過程について更に説明する。
<階調変換式> 前記した印刷画像の作成時に用いられる網点面積パー
セントの数値(y)を求める<階調変換式>は、一般に
認められる濃度公式(写真濃度、光学濃度)、即ち から誘導したものである。
この濃度Dに関する一般公式を、製版・印刷に適用す
ると次のようになる。
本発明はこの製版・印刷に関する濃度式(D′)に、
前述した連続階調画像上の任意の標本点における基礎濃
度値(x)と、これに対応した網点階調画像上の標本点
における網点の網点面積パーセントの数値(y)との関
連づけの要請を組込み、理論値と実測値が近似的に合致
するように、前記<階調変換式>を誘導したものであ
る。
前記<階調変換式>を印刷画像を作成するときの画像
の階調変換方法に適用する場合、印刷用紙の反射率
(α)、印刷インキの表面反射率(β)、及び印刷画像
濃度域/原稿画像濃度域の比(k)の数値を基礎とし
て、印刷画像のHとSに置きたいと所望する網点の大き
さ(yh,ys)を任意に選びながら、原稿画像上の任意の
標本点(X)の基礎濃度値(x)から印刷画像上の対応
した標本点(Y)における網点の網点面積パーセントの
数値(y)を求めるように運用される。
これにより原稿画像(連続階調画像)の濃度階調を印
刷画像(網点諧調画像)上に1:1に忠実に再現させるこ
とができる。
尚、多色製版(一般にシアン(C)、マゼンタ
(M)、イエロー(Y)、墨(BL)の4版で1組と考え
られている)の場合、基準となる版(多色製版の場合、
周知の如くシアン版(C)が基準の版となる。)の作業
基準特性曲線、即ち原稿画像の濃度情報値を印刷画像の
網点面積値に変換するための基準となる網点階調特性曲
線が決まれば、その他の色版の網点階調特性曲線は、基
準となった版のyの値に印刷インキ各色のグレー・バラ
ンス比に基く適切な調整数値を乗ずることにより、常
に、合理的に決めることが出来る。しかも、このように
して決められた各色版の網点階調特性曲線は夫々が合理
的な階調を変換するための特性曲線(以下、製版分野で
常用されている色分解曲線、色分解カーブという用語を
用いる。)であることは勿論のこと、更にはそれらの特
性曲線間の階調および色調に係る相互関係もまた合理的
かつ適切なものである。即ち画像の階調変換を前記<階
調変換式>に基づいて行うならば、多色印刷における印
刷画像の階調と色調の調整、管理を合理的に行うことが
できる。
本発明者らは、以上のようにして求めた<階調変換式
>を用いることに依り、従来の経験と勘に頼る画像の階
調変換方法から脱却して、任意かつ合理的に画像の階調
の変換を行なうことができ、ひいては階調と密接不可分
の関係にある色調についても合理的に変換することがで
きることを、先に提案した。
しかしながら、その後の研究において前記<階調変換
式>の運用において、一定の限界があることが判明し
た。
その限界とは、 ・原稿画像が非標準的品質であるもの、特に極端に悪い
品質内容のもの(例えば、写真撮像時の露光がオーバー
またはアンダーであるもの)に十分に対応することがで
きないこと、このことを前記<階調変換式>の運用操作
の点から説明すると、 ・kの分子に、原稿画像が標準的品質(適正露光で撮影
され、適正な濃度特性を有する。)の場合、印刷インキ
で刺激値の大きい黄色インキのベタ刷り濃度値(その代
表的数値は、0.9〜1.0である。)を用いるときは有効で
はあるが、品質内容の悪い原稿に対応するときは十分に
満足しえないこと、 ・β値において、前記した非標準的品質であるものに対
応するとき、印刷インキの表面反射率以外の数値を採用
しても十分に満足しえないこと、 などである。
次に、本発明者らは、前記した非標準的品質内容の原
稿画像(前記従来技術とその問題点の項で説明したよう
に、入稿される原稿の約30〜70%がこの種の非標準なも
のである。)においても、十分に対応し得る方策、即
ち、品質内容の悪い原稿画像であっても濃度階調のバラ
ンスのとれた印刷画像を得る方策について検討した。そ
の結果、次の条件のもとで前記<階調変換式>を運用す
ればよいことを見い出した。
・β値=10−γにより求められる数値。
・k値=γ/(原稿画像の濃度域値)により求められる
数値。
・γ値=正または負の任意の数値。
以上の条件を前記<階調変換式>に組み込むことによ
り、本発明が前提とする<画像特性変換式>になること
はいうまでもないことである。
(ii) 本発明の<画像特性変換式>に採用されるγ値
の決定法について。
周知のごとく、連続階調の原稿画像から網点階調の印
刷画像を作成するには、スキャナーを用いて製版が行な
われている。このスキャナーによる階調の変換処理(ス
キャナー色分解、スキャナー分解)において色分解曲線
(色分解カーブ)(これは、前記したように網点階調特
性曲線といわれるものである。この色分解曲線が、前記
した<階調変換式>,本発明の<画像特性変換式>に相
当することはいうまでもない。)が使用される。そして
適切な印刷画像を作成するには、該色分解曲線が予定し
ている標準の濃度特性をもつ原稿画像を用いなければな
らない。従って、原稿の品質内容、即ち濃度特性が千差
万別であることから、理論的には原稿の濃度に係る画像
情報を適切に処理してから色分解すべきである。即ち、
原画像であるカラーフィルム原稿をスキャンニングして
得られる濃度情報、本発明の前記<画像特性変換式>に
あってはxの値を適切に処理して、画像の階調変換を行
なうことが技術論的に筋の通った考え方である。
前記した方法を採用するときは、得られる複製画像の
画質は極めて良好なものであるが、その反面、階調変換
のための処理装置の機構が精巧複雑なものとなりコスト
高に通じる。
一方、複製画像の画質が、原稿画像と比較して高い忠
実度を要求しない分野があり、そのような複製画像を作
成するための機器の開発ニーズが存在している。
本発明は、このような複製画像を作成するための機器
に適用され、画像の階調変換の処理を簡便化し、機器の
低コスト化を実現しようとするものである。
本発明の前記<画像特性変換式>の大きな特徴点は、
α及び/又はβ(β=10−γ)の数値を、その本来的意
義から離れて任意の数値を用いたり、α,βの数値を固
定して、別の数式等を該<階調変換式>に加減乗算する
ことによって、y値を変化させることができること、即
ち種々の形状を異にする色分割曲線を入手することがで
きるという点である。特にγ値の値により、種々の色分
割曲線を入手することができるという特徴を有してい
る。このことの意義は極めて重要であり、画質の優れた
印刷画像を作成するうえで原稿画像の品質内容とγ値と
の相関関係を見い出し得るならば、簡便に最適な色分解
曲線を設定することができるということ、かつ色分解作
業を効率的に行ない得るということを意味する。
種々のγ値に対して、y値(すなわち、色分解曲線)
がどのように変化するかをみたのが第1表である。第1
表は、γ値を変化させながら(第1表に示されるように
γ値=2.00〜−0.20を採用)、前記<画像特性変換式>
を、yh=3%,ys=95%,α=1.00,β=10−γ,k=γ/
(原稿画像の濃度域値)=γ/(2.8−0.2)の条件のも
とで計算して求めた、各濃度ステップ(第1表には、原
稿画像の濃度域を9ステップに区分している。)におけ
る網点面積パーセントの数値を示すものである。
第1表により、γ値を変化させたとき、それぞれに対
応する個別的な色分解カーブ(以下、個別色分解カーブ
という。)が得られる。従って、与えられた原稿画像を
このうちから最適なものを設定して色分解すればよいこ
とになる。第1表の結果を第1図に図示する。
第1表に示される個別色分解カーブの特徴を理解する
には、実務的上、HとSの網点の網点面積パーセントの
数値が同じであることから、例えば50%網点がどの位置
またはどの濃度ステップに置かれているかをチェックす
ればよい。
第1表より、y値、即ち網点面積パーセントの配列状
態を観察することにより、得られる複製画像、例えば校
正印刷画像(校正作業を経て作成されるもの。)の画質
を、事前に、的確に予見することができる。
次に、製版用原稿画像であるカラーフィルムの画質に
則して、採用すべきγ値との関連を考察する。
標準画質でないハイキー(露光オーバで撮影されたも
の。)やローキー(露光アンダーで撮影されたもの。)
の製版用カラーフィルム原稿が製版メーカーに入稿され
たとき、どのような観点からγ値を決定するかが重要で
ある。
前記したような非標準画質の原稿が入稿されたとき、
所望する標準画質の校正印刷画像を作成するためにはγ
値を合理的な観点から設定しなければならないが、その
設定原理を第2図の(A),(B)に示す。
第2図(A)により,ハイキーな画質のカラーフィル
ム原稿が入稿したときに、どのようにして所望の画質を
備えた校正印刷画像を得るのかを説明する。
標準画質の原稿の場合、その原稿のH〜Sに至る濃度
特性曲線(以下、基準濃度特性曲線という。)と、標準
画質の原稿を色分解する色分解カーブ(以下、基準色分
解カーブ)とは、第2図(A)中に示される関係にあ
る。多くの実証的裏付けにより、該基準色分解カーブは
γ=0.9〜1.0の値のもとで前記<画像特性変換式>を計
算して設定されるものである。
同様に、ハイキーな画質のカラーフィルム原稿の濃度
特性曲線(以下、ハイキーな濃度特性曲線という。)
と、それを色分解する色分解カーブ(以下、個別ハイキ
ー色分解カーブ)も、第2図(A)中に示される関係に
あるものとする。
このような状況のもとで、ハイキーなカラーフィルム
原稿から基準色分解カーブによって示されている標準的
画質を備えた校正印刷画像を作成しようとすれば、基準
色分解カーブと個別ハイキー色分解カーブとの差を調整
しなければならない。この調整を行なった結果を、第2
図(A)に調整した個別ハイキー色分解カーブとして示
す。第2図(A)中には、その時の必要な調整量をm1,m
2で示してある。以上のようにして得られる調整した個
別ハイキー色分解カーブを使用して色分解を行なうなら
ば、基準色分解カーブによって得られるものと同じ標準
的画質を備えた校正印刷画像を作成することができる。
第2図(B)は、上記とは逆のローキーな画質のカラ
ーフィルム原稿の場合における、階調調整の要領を示す
ものである。
因みに、前記したハイキーまたはローキーなどの個々
のカラーフィルム原稿がもつ濃度特性曲線、即ち個別濃
度特性曲線は、写真感光材料固有の基本濃度特性曲線か
ら求められることは説明を要するまでもないことであ
る。この関係は後述する第4図に示される。第4図にお
いて、露光条件によりハイキー(露光不足)、ローキー
(露光過多)などの原稿が入手されること、かつこれら
は基本濃度特性曲線の特定の領域(レンジ)により規定
されることが示されている。適正露光による原稿が基準
濃度特性曲線を有している。
次に、このようにして得られた調整を加えた個別色分
解カーブと、γ値を調製(γ値を調整することにより、
種々の色分解カーブが得られることは第1表、第1図に
示した。)して得た色分解カーブを、特にカーブの形を
重点にして、その整合性をチェックしてみたところ、極
めて良好な整合性を示した。このことを、第3図に図示
する。第3図は、次のことを示している。
(i)現在、当業界におけるスキャナー色分解の実務を
反映させて、標準画質(濃度域D.R=0.20〜2.80の濃度
特性曲線を有する。)に対して、γ=1.00に設定して得
られる色分解カーブを基準にして、 (ii)ハイキー画質(濃度域D.R=0.10〜2.70の濃度特
性曲線を有する。)に対して、γ=1.80に設定して得ら
れる色分解カーブ、 (iii)ローキー画質(濃度域D.R=0.60〜3.18の濃度特
性曲線を有する。)に対して、γ=1−0.20に設定して
得られる色分解カーブ、をみると、色分解カーブの形が
極めて酷似していること、即ち、原稿画像の画質により
γ値を調整することにより、最適な色分解カーブを設定
することができることを示している。本発明者らの実験
により、最明部の濃度が0.10〜0.70程度の範囲にあるカ
ラーフィルム原稿(この濃度レンジに、標準画質のもの
はもとより、ハイキー及びローキーのもののほとんどが
含まれる。)の印刷画像への階調変換は、γ値を2.00か
ら−0.40の間で変化させることによって、対応できるこ
とが確認されている。
従って、次の問題は、原稿画像の画質に対応するγ値
の決定をどのようにして合理的に行なうかである。
前記したように、カラー原稿が標準的画質をもつ場合
には、理論的に求まるγ値、即ち黄インキのベタ刷り濃
度より求めたγ値(β=10−γ)、具体的にはγ値=0.
9〜1.0の値をもって本発明の<画像特性変換式>を運用
すると、満足すべき画質をもった印刷画像が得られる。
しかし、非標準的画質の場合、γ=0.9〜1.0をそのまま
用いると理論と実務の乖離の度合が大きくなるため、適
切なγ値を求めなければならない。
そのため、本発明者らは、前記<画像特性変換式>を
非標準的画質のカラーフィルム原稿に対して適用するこ
とを困難とする基本的理由について検討した。その結
果、与えられたカラーフィルム原稿の最明部(H)から
最暗部(S)に至る濃度特性が標準のカラー原稿のもの
と比較して大きく相違していることに注目した。
この状況を図を用いて説明すると、第4図のようにな
る。第4図は露光量とカラーフィルム濃度の関係を示す
もので、露光条件により濃度特性曲線が相違する各種の
カラーフィルム原稿が得られることを示している。
実際、製版メーカーには、この種の雑多な品質内容の
ものが入稿され、これが製版作業を困難なものにしてい
るのである。
ここで注目しなければならないことは、カラーフィル
ム原稿の濃度特性曲線(第4図に基本濃度特性曲線が示
されている。)は、現像条件を一定にした場合、基本的
には一つしかないということである。この点は現在の写
真業界において、カラーフィルムの現像処理は各フィル
ムメーカーの指定した現像条件のもとで行なわれている
のが常態であることから首骨されるところである。そし
て、カラーフィルム原稿の画質、特に濃度階調が一定し
ない本質的理由は、写真撮影時の露光量の多寡によって
個別濃度特性曲線が前記した唯一の感材固有の濃度特性
曲線上において占める位置と範囲が異なるということに
基づくものである。さらに、カラー写真の撮影時におけ
る露光量はカラー原稿の最明部濃度値(H値)と直接的
関係をもっていることは自明のことである。
以上の点から、所定の最明部濃度値Hnを有するカラー
フィルム原稿から印刷画像を作成するとき、本発明の<
画像特性変換式>を運用うするうえで、γ値として採用
されるべきγ値を合理的に設定する原点は、H値とγ
値との相関関係に置かれなければならない。
前記した考え方に立脚し、実際に種々のカラー原稿を
スキャナー分解と色校正を行ない、複製画像の画質を人
間の視覚感覚により評価、判定してH値とγ値の相関を
求めた。このような実験を繰返し行なった結果、第5図
〜第8図に示されるように原稿の最明部濃度値(H値)
とγ値との間に合理的な相関関係があることが確かめら
れた。なお、下記第2表に、これらの実験試料の一部を
示す。
第2表において、 (i) 実験No2に用いたカラーフィルム原稿の画質は
標準的なものである。No1とNo3は非標準的なものであ
る。
(ii) 実験No1およびNo3で得られた複製画像の画質
は、実験No2と殆んど同等であり、極めて満足すべきも
のである。
(iii) カラーフィルム原稿のHnとして0.12〜0.50の
値のものと選択したのは、当業界において通常使用され
ているカラーフィルム原稿の現状、及びカラーフィルム
原稿の濃度特性曲線における足の部分の形を考慮に入れ
たものである。
前記第2表及び第5図〜第8図に示される実験試料か
ら、最明部濃度値がHnである非標準的画質のカラーフィ
ルム原稿に本発明の<画像特性変換式>を適用して、理
論と実務が整合する複製画質の画質を得るための、H値
とγ値の相関関係を検討した。
<相関関係>(その1) ・標準的画質をもつカラー原稿であれば、常に理論と実
務が整合した所望の画質の複製画像が得られること、こ
のときのγ値は前記実験No2より0.9〜1.0の値であるこ
と(以下、これをγ値とする。)、また最明部濃度値
が0.20近傍であること(以下、これをH0値とする。)、 ・γ値,H値の物理量は、どちらもlogスケールに関係す
ること(γ値は、理論的には印刷画像の濃度域に関係す
るもの、H値は最明部の濃度値からみて自明のことであ
る。)、 ・γ値は、γを中心にして、|H0−H|の差に対応して
相関されれば便利であること、 を念頭にH値とγ値の相関関係を検討した。
その結果、第5図に示される相関関係を求めることが
できた。
第5図は、縦軸をγ値(基準となる画質をもつ原稿
画像から所望の画像をもつ複製画像を作成したときに使
用したγ値)を含む任意の数値を対数目盛で表わしたγ
軸とし、横軸を前記γ値を原点としH0値(基準となる
画質をもつ原稿画像の最明部濃度値)を含む任意の数値
を対数目盛で表わしたH軸として、前記γ−H直交座標
系(両対数グラフ)に、第2表に示される実験結果をプ
ロットしたものである。
第5図に示される如く、H値とγ値の間に直線的相関
関係が成立しているという事実は驚くべきことであり、
かつ、このことは濃度領域における画像特性の変換処理
技術を合理的に簡素化するために、極めて有用なことで
ある。
第5図より、どのような品質のカラー原稿が製版メー
カーに入稿されても、その原稿(最明部濃度値がHnのも
の。)に採用すべきγ値を、 γ=γ±|Dn|・tanα により、合理的に決定することができる。
<相関関係>(その2,3,4) 本発明において、H値とγ値の相関関係式は前記した
もの(その1)に限定されず、第6〜第8図に示される
ものであってもよい。
なお、第6図は全対数グラフを用いてH値とγ値の相
関関係を示したものであり(F社製カラーポシフィルム
を使用。基準濃度特性曲線の濃度域0.20〜2.80,基準γ
値1.00)、 第7図は片対数グラフを用いてH値とγ値の関係を示
したものであり(同0.20〜2.80,1.00)、 第8図は通常のクロスセクションペーパーを用いてH
値とγ値の関係を示したものである(同0.20〜2.80,1.0
0)。
第6〜第8図から、カラーフィルム原稿の最明部濃度
値がHnのとき、採用すべきγ値は次の関係式から求め
ることができる。
(i) γ=1.70−2.2961(logHn+1)(第6図の
関係より) (ii) γ=1.70−2.3(logHn+1)(第7図の関係
より) (第8図の関係より) 以上に説明した如く、本発明の合理的に決定されたγ
値のもとで<画像特性変換式>を運用することによ
り、標準的及び非標準的品質内容の原稿原稿から濃度階
調の再現性に優れた印刷画像に作成することができる。
なお、前記した各種の相関関係式のもとで所定のHn値に
対するγ値を計算すると、多少の相違がみられる。し
かしながら、γとして計算値±0.05の範囲では、実務
上、製品の画質に差異を認めることは難しい。
以上のようにして、本発明は、本来的には前記<画像
特性変換式>中のカラーフィルム原稿の濃度値(あるい
は基礎濃度値)を適切に処理して画像の階調変換を行な
うべきところ、該濃度値と直接的には技術的関係をもた
ないγ値を操作することにより、標準的画質の原稿画像
は勿論のこと非標準的画質をもつ原稿画像を合理的に階
調変換させることができる。従って、画像処理の合理
化、画像処理機構部の省力化、操作の簡便化、製作コス
トの低減化などにおいて、大きな効果を発揮することが
できる。
次に、本発明の前記<画像特性変換式>の各項の意
味、運用面、応用面の特質などについて説明する。
本発明の前記<画像特性変換式>の運用において、濃
度情報値とは原画像(本発明は、前記したように印刷画
像を作成するときのカラー写真原稿に限定されない。)
の各画素をもっている濃度に関する物理量を反映するも
のであればいずれでも良く、最広義に解釈されるべきで
ある。同義語としては、反射濃度、透過濃度、輝度、電
流・電圧値などがある。
本発明の前記<画像特性変換式>の運用において、
(y)値は一般には階調強度値と称されるものである。
ただし、複製画像が印刷画像の場合、(y)値は網点面
積%値といわれ、定数となる(yH)値と(yS)値は所望
する網点面積%値で設定されることになる。
本発明の前記<画像特性変換式>の運用において、次
のように変形して利用することはもとより、任意の加
工、変形、誘導するなどして使用することも自由であ
る。
前記の変形例は、α=1としたものである。これは、
例えば印刷画像を表現するために用いられる印刷用紙
(基材)の表面反射率を100%としたものである。αの
値としては、任意の値を取り得るが、実務上1.0として
構わない。このことはビデオ画像などの輝度画像におい
ても同じである。
また、前記変形例(α=1.0)によれば、印刷画像上
の最明部HにyHを、最暗部SにySを予定した通りに設定
することができ、大きな特徴をなしている。このこと
は、原稿画像上の最明部Hにおいてはx=0となるこ
と、また最暗部Sにおいてはx=〔原稿画像濃度域〕と
なること。即ち、 従って−kx=−γとなることから明らかである。このよ
うに、本発明の<画像特性変換式>(α=1の変形例)
を利用するに当り、常に予定した通りのyHとySを設定す
ることができることは、利用者が作業結果を考察する上
で極めて重要なことである。
また、本発明の前記<画像特性変換式>をベースとし
た画像特性の変換処理法は、原画像の階調や色調の再
現、即ち原画像の調子を複製画像に1:1に再現させるう
えで極めて有用であるが、その有用さはこれに限定され
るものではない。本発明の前記<画像特性変換式>は、
原画像の特性の忠実な再現性以外にも、α,β,γ値、
さらにはyH,yS値を適宜選択することにより原画像の特
性を合理的に変更したり修正したりするうえで極めて有
用なものである。本発明においては、「画像特性の変
換」をこのように広義に解すべきである。
本発明の前記<画像特性変換式>は、これまで特に印
刷画像の作成との関連で説明してきたが、その応用面
は、こと印刷画像の作成に限定されるものではない。
即ち、本発明の<画像特性変換式>の応用面として
は、 (i) 既に詳しく説明した凸版、平版、網点グラビ
ヤ、シルク・スクリーンなどの印刷画像、あるいは、ド
ットの大きさを変えることができる溶融転写型感熱転写
画像などにみられる網点(ドット)の大きさで複製画像
の階調や色調を表現しようとする場合(これは面積階調
法ともいわれる。)はもとより、 (ii) 昇華転写型感熱転写画像、(銀塩利用)熱現像
転写画像、コンベンショナル・グラビヤ画像などにもみ
られる一定面積の画素当り(例えば1ドット当り)に付
着させる印刷インキなどの顔料、染料(色素)などの濃
淡により階調や色調を表現しようとする場合(これは濃
度階調法ともいわれる。)、 (iii) デジタル式の複写機(カラーコピーなど)、
プリンター(インキジェット式、バブルジッユニット式
など)、あるいはファクシミリなどにみられる一定面積
当りの記録密度、例えばドット数、インキの粒の数や大
小などを変化させることにより階調を表現しようとする
場合(これは、前記(i)の面積階調と類似したもので
ある。)、 (iv) ビデオ信号、テレビ信号、ハイビジョン信号な
どの画像情報電気信号より、単位面積の輝度の強弱を調
整して画像を表現するCRT画像やこれらから階調のある
印刷物やハードコピーを得ようとする場合、 (v) 前記したほぼ同等の濃度(輝度、照度)領域に
おける原画像と複製画像との間の画像の変換処理の場合
だけでなく、空間的、輝度的、波長的および時間的不可
視域における撮像、例えば原画像のコントラストが極め
て低いため原画像と複製画像との間に大きな濃度領域差
のある、低照度領域における画像情報の入力変換(高感
度カメラによる撮像など)の場合(このような場合、画
像の階調の変換というより画像のコントラストの強調変
換に力点がある。)、 (vi) この他、濃度表示とともに網点面積%などをも
表示させるようにした濃度・階調変換機構つき濃度計、
色分解事前点検用(例えば校正用カラープルーフ)や色
分解教育用シミュレータなどの印刷関連機器など、 に応用することができる。
本発明の<画像特性変換式>を用いた画像特性の変換
処理法を、前記した種々の応用分野に適用する際、連続
階調の原画像(ハードな原稿もソフトな原稿も含む。)
から入手される画像濃度に関する画像情報及び/又は画
像情報電気信号(アナログでもデジタルでもいずれでも
良い。)を、前記し各種応用分野の機器の画像変換処理
部(階調変換部)で行ない、その処理値であるy値(階
調強度値)に対応させて機器の記録部(記録ヘッド)の
電流値や電圧値、あるいはその印加時間などを制御し、
網点面積,一定面積(1画素)当りのドット数,一定面
積(例えば1ドット)当りの濃度などを変化させて原画
像の濃度階調を1:1に対応させた網点階調などの複製画
像を出力するようにすれば良い。
例えば、本発明の<画像特性変換式>をベースとした
画像特性の変換処理法を用いて、網点階調画像である印
刷画像の原版、すなわち印刷用原版を製作するには、当
業界において周知である既存システムを利用すればよ
く、市販の電子的色分解装置(カラー・スキャナー、ト
ータル・スキャナー)等の色分解・網かけ機構に、本発
明の画像の変換処理法を組み込むことにより達成され
る。より具体的には、カラー写真などの連続階調画像で
ある原稿画像に対して小さなスポット光を照射し、この
反射光あるいは透過光(画像情報信号)を光電変換部
(フォトマル)で受光し、光の強弱を電圧の強弱に変換
し、得られた画像情報電気信号(電気値)をコンピュー
タによって所要の整理・加工を行ない、コンピュータか
らアウトプットされる加工した画像情報電気信号(電圧
値)に基づいて露光用光源光の制御を行ない、次いで生
フィルムにレーザーのスポット光をあて印刷用原版を作
成する周知の既存システムにおいて、例えば原稿画像の
画像情報電気信号を整理・加工するためのコンピュータ
の計算処理機構部に、本発明の<画像特性変換式>を利
用して連続階調の画像情報電気信号を網点階調の画像情
報電気信号となすことができるソフトを組み込めば良い
だけである。このようなソフトとしては、本発明の<関
係式>のアルゴリズムをソフトウェアとして保有しかつ
A/D(アナログーデジタル変換)、D/AのI/F(インター
フェース)を有する汎用コンピュータ,アルゴリズムを
ロジックとして汎用ICにより具現化した電気回路、アル
ゴリズムの演算結果を保持したROMを含む電気回路、ア
ルゴリズムを内部ロジックとして具現化したPAL、ゲー
トアレイ、カスタムIC等々種々の形態をとることができ
る。特に最近においてはモジュール化が発達しており、
本発明の前記<画像特性変換式>をベースとして濃度領
域における画像特性の変換処理を行なうことができる演
算実現機構は、専用のIC、LSI、マイクロプロセッサ
ー、マイクロコンピューターなどのモジュールとして容
易に製作することができる。そして、光電走査用のスポ
ット光を順次、点に分割しながら進行させ、一方、レー
ザー露光部もこれと同期するように行えば、前記<画像
特性変換式>により導き出される網点面積パーセントの
数値(y)を持つ網点階調の印刷用原版を容易に作成す
ることができる。
また、本発明による画像の濃度領域における画像特性
の変換処理は、入力変換の過程で行なわれるのが通常で
あるが、出力変換、記録、伝送、解析、表示など何れの
過程で処理されることを妨げない。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明す
る。
本発明の<画像特性変換式>に採用されるγ値の合理
的な設定法は、発明の詳細な説明の項で説明したよう
に、経験的合理性に基礎を置くものである。具体的には
第7図で示される、 γ=1.70−2.3(logHn+1) からγを設定しようとするものである。
従って、標準的画質をもつカラーフィルム原稿を含め
て、出来るだけ数多くの実験例によりその妥当性が検証
されなければならない。
(実験条件) (1) Hn(カラーフィルム原稿の最明部濃度値)とSn
(カラーフィルム原稿の最暗部濃度値)は通常使用され
ているマクベス社製透過型カラー濃度計で測定した。
(2) γ値は、第7図に示したH−γ相関関係図よ
り求めた。
(3) 発明の詳細な説明の項で述べたようにスキャナ
ーによる色分解により製版し、得られた校正印刷画像の
画質によって、その良否を評価した。なお、色分解用ス
キャナーとしてHELL社のDC−360ER、色校正としてデュ
ポン社のクロマリン校正法を採用した。
(実験結果) 実験結果を第3表に示す。
第3表に示されるように、作成された複製カラー原稿
(校正印刷画像)は、何れも十分に満足すべきものであ
った。
これは、カラー原稿の品質内容がどのようなものであ
れ、第5図〜第8図に示される同じH−γ相関関係図の
もとで決定したγ値を利用できることを意味するもの
である。
即ち、γ値の設定法が極めて簡便かつ合理的なもの
であり、現在の色分解作業(画像特性の変換処理作業)
を、非標準画像をもつカラー原稿を処理する場合を含め
て大幅に合理化するものである。
〔発明の効果〕
本発明により、画像の処理最初の工程にある画像の濃
度領域における画像特性の変換処理技術を、科学的かつ
合理的技術に改めることが出来たことにより、次の効果
を収めることが出来る。
(1) 生産技術や製品品質に不安定さと混乱を生起さ
せてきた人間の経験と勘にもとづく従来の画像特性の変
換処理技術、即ち、画像の階調や色調などの変換、なら
びにそれらの変更、修正、調整、管理などの技術を、科
学的かつ合理的な技術に置き換えることができる。
(2) 画像特性の変換処理技術、即ち画像の階調や色
調などの変換、ならびにこれらの変更、修正、調整、管
理などのすべての技術に、作業的規則性を与えることを
可能とする。
このために、技術、生産性、コスト、品質などの高度
化かつ安定化に対する貢献は大きなものがある。その具
体例を列挙すれば、次の通りである。
スキャナーやシミュレーターの機構を簡単なものに
することができ、そのコストを低減することができる。
現在のスキャナーにおいては、必須の機構である、人
間の経験と勘にもとづいて設定された色分解特性曲線や
網点階調特性曲線などを数式化するための電子計算機等
の計算機構や、それら特性曲線の記憶装置を不用とした
り、あるいは極めて簡素なものにすることができる。
印刷画像形成のための製版工程で必須の作業であっ
た、時間と労力とコストを要する煩らわしい色分解特性
曲線や網点階調特性曲線などの設定手続きそのものを不
用とする。
さらに、現在の印刷画像の形成工程では、一般に必
須であると理解されている校正手続きを不用にすること
ができる。
また、現在必要あるいは利便であると考えられている
画像形成シミュレーターを使用せずに、品質の良い製品
が安定的に作られるようになる。
印刷画像の形成においては、原画像の品質が標準的
なもの、あるいは非標準的なものであるとに拘らず、常
に、同じ作業手続き、同じ作業時間で、安定的に良い製
品を作ることが可能となる。
このため、製版時間は大幅に短縮され、資材の節約が
図られ、さらに従来30〜40%にも及ぶやり直し作業を少
なくとも5%にまで減少させることができ、製版におけ
る瞬発力を大きくすることができる。
印刷画像などにおける画像の調子、すなわち画像の
階調と色調とを、常に、人間の視覚感覚にとって、適切
かつ自然であると感じられる画質をもつ画像を安定的に
うることができるようになる。
(3) すべての画像処理技術の教育・訓練課程を、科
学的かつ合理的な内容に変革することができる。
(4) すべての画像処理において、その画像特性や画
像の階調、画像のコントラストの変換、変更、調整、管
理などの日常作業が合理的で科学的、計画的かつ規則的
となる。
(5) 低照度領域で画像のコントラストが不足する場
合の撮像(画像情報の入力変換)において、コントラス
トを増すために必要であった光量子数積分撮影時間の制
約から解放されるため、撮像対象物の変動速度の如何に
かかわらず、低照度域における撮像においても鮮明な画
像を得ることが可能となる。
(6) 画像情報処理用ICあるいはLSIなどのアーキテ
クチャーにおいて、画像情報の演算回路設定を合理的に
簡素化することができ、かつその機能を高度化すること
が容易となる。
また、このことは、デジタル画像などの処理用ソフト
ウェアの内容を、少くとも濃度領域における画像の変換
処理においては、機能を高度化しながら設計を簡単に
し、ソフトウェアのハードウェア化を容易に、ソフトウ
ェアコストを著しく低減させることができるようにな
る。
(7) 画像情報処理用シミュレーター、濃度計などの
機器の類に、本発明の技術を採り入れることによって、
この機能の質を高度化するとともに、画像処理システム
の中におけるそれらの機器類の位置づけと役割とを、シ
ステム全体の技術と、より一層緊密な整合性が得られる
ようにする。
(8) すべての画像処理機器が、構造や機構が合理的
に簡素化されて、使い易さが著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図はγ値の変動量とy値(色分解曲線)の形状変化
の関係を図示したものである。第2図(A)はハイキー
な画質の原稿画像の階調変換要領を、第2図(B)はロ
ーキーな画質の原稿画像の階調変換要領を説明したもの
である。第3図はγ値と各種の画質を持つ原稿画像の色
分解カーブとの関係を示すものである。第4図はカラー
フィルム原稿の露光量と濃度との相関関係が基本濃度特
性曲線で表わされることを示したものである。第5図は
両対数グラフを使用して表わしたγ値−H値の相関関係
を示し、第6図は両対数グラフを使用して別の態様で表
わしたγ値−H値の相関関係を示し、第7図は対数グラ
フを使用して表わしたγ値−H値の相関関係を示し、さ
らに、第8図は通常目盛のグラフを使用して表わしたγ
値−H値の相関関係を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−61578(JP,A) 特開 昭60−192460(JP,A) 特開 平2−167580(JP,A) 特公 平5−47156(JP,B2) 特公 平5−64909(JP,B2) 特公 平6−14682(JP,B2) 特公 平6−34499(JP,B2) 特公 平6−91612(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最明部濃度値がHnである原画像から、濃度
    領域における<画像特性変換式>を用いて複製画像を作
    成するにあたり、下記<画像特性変換式>中のγ値とし
    て採用するγn値を、 最明部濃度値(H値)が相違する複数の原画像から所望
    の画質の複製画像を与えるときのγ値を求め、前記H値
    とγ値の相関関係よりHn値に対応するγn値を設定する
    こと、 を特徴とする原画像から複製画像を作成するときの画像
    特性の変換処理法。 <画像特性変換式> y=yH+[α/(α−β)]・(1−10-kx)・(yS−yH) 前記<画像特性変換式>において、 x :原画像上の任意の点Xにおける基礎濃度情報値。即
    ち、点Xにおいて測定した濃度情報値から原画像上の最
    明部における濃度情報値を差し引いた値。 y :原画像上の点Xに対応した複製画像上の点Yにおけ
    る階調強度値。 yH :複製画像上の最明部に設定する、所望の階調強度
    値。 yS :複製画像上の最暗部に設定する、所望の階調強度
    値。 α:複製画像を表現するために用いる基材の表面反射
    率。 β:β=10−γにより求められる数値。 k :γ/(原画像の濃度域情報値)により求められる数
    値。 γ:任意の係数。 を表わすものとする。
  2. 【請求項2】H値とγ値の相関関係よりγn値を決定す
    るに際して、 縦軸を対数目盛で表わしたγ軸とし、横軸を対数目盛で
    表わしたH軸としたγ−H直交座標系に実験的に求めた
    所望の画質の複製画像を与えるγ値とH値の相関関係を
    求め、該相関関係よりHn値に対応するγn値を決定する
    ものである請求項1に記載の画像特性の変換処理法。
  3. 【請求項3】H値とγ値の相関関係よりγn値を決定す
    るに際して、 縦軸を通常目盛のγ軸とし、横軸を通常目盛のH軸とし
    たγ−H直交座標系に実験的に求めた所望の画質の複製
    画像を与えるγ値とH値の相関関係を求め、該相関関係
    よりHn値に対応するγn値を決定するものである請求項
    1に記載の画像特性の変換処理法。
  4. 【請求項4】H値とγ値の相関関係よりγn値を決定す
    るに際して、 縦軸を通常目盛のγ軸、横軸を対数目盛のH軸としたγ
    −H直交座標系に実験的に求めた所望の画質の複製画像
    を与えるγ値とH値の相関関係を求め、該相関関係より
    Hn値に対応するγn値を決定するものである請求項1に
    記載の画像特性の変換処理法。
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