JP2863258B2 - サーマルプリンタ - Google Patents

サーマルプリンタ

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JP2863258B2 JP2115909A JP11590990A JP2863258B2 JP 2863258 B2 JP2863258 B2 JP 2863258B2 JP 2115909 A JP2115909 A JP 2115909A JP 11590990 A JP11590990 A JP 11590990A JP 2863258 B2 JP2863258 B2 JP 2863258B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は原稿画像から得られる画像情報信号を、新規
な階調変換方式により変換処理し、階調の再現性に優れ
た複製画像を形成することができるサーマルプリンタに
関する。
詳しくは、本発明は、各種の原稿画像(本発明は記録
紙上に複製しようとするものを全て含む。本発明におい
て留意しなければならない点は、原稿画像とは、通常の
意味での原稿、例えばモノクロやカラーの写真画像やビ
デオ信号(TV)画像から複製画像を形成しようとする場
合、これら自体が原稿画像となることはもとより、更
に、その元になる風景、静物、人物などの被写体や被撮
像体自体、即ち文字通り元になる画像を原稿画像という
場合がある点である。)から複製画像を製作するに際し
て、原稿画像から真の画像情報値を入手するようにし、
これを新規な階調変換式を用いた階調調整機構のもとで
変換処理し、この階調変換された出力信号に基づいて記
録紙上に階調や色調の再現性に優れた複製画像を形成す
ることができる画像形成装置に関するものである。
更に詳しくは、本発明は、サーマルプリンタにより原
稿画像から複製画像を作成するに際して、画像情報値を
各種の画像情報の入力媒体(例えば、写真感光材料、あ
るいは二次元CCD、フォロマル、フォト・ダイオード、C
CDなどの光電変換素子などが使用される。)のものから
入手するが(本発明において、原稿画像との対比で、こ
れら入力媒体のもとにある画像を媒体画像と総称する。
なお、入力媒体のもとで、原稿画像が記録や蓄積されず
に、画像情報を入手するために単に処理される場合も対
象とされる。)、媒体画像から入手される濃度情報値
(これは、後述するように最広義に解釈されるべきもの
である。)を使用するのでなく、原稿画像から媒体画像
を形成するためにこれら入力媒体に入力される光量に相
関した画像情報値を使用するようにし、かかる画像情報
値を新規な階調変換式の元で変換処理する階調調整機構
を有するサーマルプリンタを提供しようとするものであ
る。
(従来技術) 写真のような連続階調を有する原稿画像から画像を複
製する場合、記録シートとして感光紙を用いるものは原
稿のアナログ的処理(露光)により原稿に対応した連続
階調を有する画像が形成(銀塩写真記録)される。一
方、普通紙にデジタル的に画像を記録する各種のプリン
ター,複写機器などにおいては、前記したアナログ的処
理により画像を形成するものでないため、濃度階調(グ
ラデーション)の再現が難しく、特にカラー画像の複製
の場合には前記した濃度階調とともに色調(カラーバラ
ンス)の調整も容易ではない。
このため、各種の複製画像を形成するための画像形成
装置において階調や色調の再現性を改良する努力が盛ん
に行われている。サーマルプリンタにおける複製画像の
形成は、印刷における写真製板の連続階調から網点階調
に変換する手法と同様に、写真等の連続階調を有する原
稿画像を光電走査などして得れらる濃度情報値を処理
し、その信号により原稿画像に対応した階調や色調をも
つ画素の分布から成る複製画像を記録用紙上に形成しよ
うとするものである。
しかしながら、現在のサーマルプリンタは、原稿画像
から得られる濃度情報値を濃度階調(グラデーション)
の再現のために処理する階調調整方式が非科学的である
ため、満足のいく濃度階調及びそれと密接な関係を有す
る色調の再現製が得られていないのが現状である。
周知のように複製画像の濃度階調は画素の濃度表示方
式に依存する。サーマルプリンタの場合、画素の濃度階
調を表示する方法としては、ドットの大きさで画素の被
覆率を変える方法(サイズ変調法)、規定(同一大の)
ドットの配列数で画素の被覆率を変える方法(密度変調
法)、及び規定(同一大の)ドット自体の濃度を変える
方法(濃度変調法)がある。
しかしながら、前記したように、原稿画像を従来のサ
ーマルプリンタにより複製しようとする場合、原稿画像
上の所定の標本点(画素)の濃度情報値に対して、例え
ばこれに対応する複製画像上の画素においてドットの径
の大小や密度により画素の被覆率(画素ブロックを構成
する単位画素の数に対して、どのような割合で記録する
かという比率)、即ち画素の濃度階調を規定する値(以
下、画素の階調強度値あるいは単に階調強度値とい
う。)をどのように設定すべきか、またそのような画素
の階調強度値を得るにはどのようにすべきかについて、
科学的な検討がなされていないのが現状である。
即ち、原稿画像上の所定の画素の濃度情報値に対し
て、該画素に対応する複製画像上の画素に、どのような
画素の階調強度値を相関させるべきかということについ
て、科学的な相関式が開発されておらず、現状では、こ
れら機器メーカーが予め経験、勘あるいは限られた数の
固定条件に基づいて決定したもの(相関式)に依存せざ
るを得ない。
そのため、機器メーカーが想定しなかった画質の原稿
画像、例えば非標準的な(露光オーバの明るすぎる原
稿、露光アンダーの暗すぎる原稿、ハイキーやローキー
の原稿、色カブリや退色した原稿など)カラーフィルム
原稿などの場合、階調や色調に優れた所望の複製画像を
得ることが極めて困難である。従って、標準的な画質を
もつ原稿画像は勿論のこと、前記した非標準的な原稿画
像からでも所望の画質の複製画像が得られ、かつ、原稿
画像の画質を任意に変更や修正(階調や色調の変更や修
正)したりできるフレキシビリティのあるサーマルプリ
ンタを開発することができないでいる。
これは、従来のサーマルプリンタが、複製画像を製作
するうえで極めて重要な画像情報値である原稿画像上の
所定の画素の濃度情報値を、対応する複製画像上の画素
の階調強度値に科学的かつ合理的に変換させるとができ
ないでいることを意味するものである。
(発明が解決しようとする課題) 従来のサーマルプリンタにおける上記した問題を生起
させている原因は、連続階調画像などの原稿画像から最
終的に画素の分布による複製画像を形成する最、その最
初の段階で、かつ重要な役割を果す画像の濃度階調の変
換工程に対する考え方にあると認められる。
即ち、原稿画像上の所定の画素の濃度情報値を、対応
する複数画像上の画素の階調強度値に変換する際、従来
の画像の階調変換技術が科学的に合理的な変換技術に基
づいて行なうというものでなく、専ら経験と勘に依存す
るものであったことにあると認められる。
本発明者らは、このような状況のもとにおいて、画像
形成工程の究極的な合理化と品質の優れた複製画像を作
成するためには、合理的な画像の階調変換技術を確立し
なければならないという基本的認識のもとに鋭意、研究
を重ねた。
その結果、サーマルプリンタにより複製画像を製作す
るに際して、画像の複製のために必須の画像情報値とし
て、該プリンタの画像情報検出(読取)機構、より具体
的にはCCDなどの記録媒体は記録または蓄積された媒体
画像から入手される画像情報値を使用する従来の方式に
かえて、複製の真に対象となる物(原稿画像)の画像情
報値を入手するようにし、かつ、このようにして入手さ
れた画像情報値を特定の階調変換式で処理して階調強度
値を求めるとき、極めて濃度階調の再現性に優れた複製
画像が製作されることを見出した。
前記したように、本発明においては、画像の複製のた
めに必須である画像情報値として、どのようなものを使
用するかを重要視しており、従来とは相違した画像情報
値を採用している。これを、複製の対象となる画像の観
点から明らかにするため、本発明においてはサーマルプ
リンタの画像情報入手機構を構成する記録媒体系に複製
対象物が記録ないし蓄積される前後を境目にして、 (i)複製の真に対象となる物を、媒体画像の元をなす
原稿画像あるいは実体画像といい(通常、原稿画像とい
われるが、本発明の特徴を強調するために実体画像とも
いう。又原稿画像を被写体や被撮像体とみなす場合があ
るので、被写体ともいう。)。
(ii)該記録媒体で記録あるいは蓄積された物を、媒体
画像という。
即ち、本発明において、濃度階調の変換に際して使用
されるべき原稿画像の画像情報値は、媒体画像から入手
される濃度情報値(これは、後述するように濃度に相関
した物理量であればいずれでもよく、最広義に解釈され
るべきものである。)ではなく、各記録媒体の有する、
濃度情報値と当該記録媒体に入射される原稿画像からの
光量に相関した画像情報値との関係を規定する特性曲線
(以下、本発明において、どのような記録媒体系におい
ても、それぞれの記録媒体系が有する前記した特性曲線
を濃度特性曲線と総称する。)を介して求めた光量に相
関した画像情報値である。そして、本発明により該光量
に相関した画像情報値を特定の〈階調変換式〉により変
換処理して階調変換用の階調強度値とするとき、原稿画
像(実体画像)に忠実な画像特性はもとより、任意に画
像特性を修正や変更した複製画像が得られる。
本発明において、前述したように原稿画像(実体画
像)とは、複数の真に対象になる画像をいい、各種の記
録媒体上に記録または蓄積、あるいは該記録媒体で処理
されている媒体画像をいうものではない。これら媒体画
像の元をなす文字通りの原稿である。なお、本発明にお
いては、後述するように複製対象物として透過型のカラ
ーフィルム原稿を使用するとき、該フィルム(写真用感
光材料という記録媒体)に記録されている風景,静物,
人物などの実景(写真画像などでは被写体といわれ
る。)を複製の真に対象としようとする場合がある。こ
のような場合、被写体が原稿画像となるものである。本
発明はこれを総称して原稿画像(実体画像)といってい
る。
本発明は、従来の各種の記録媒体のもとにある媒体画
像から入手される濃度情報値を重視した複製画像の製作
技術を改め、複製の真の対象となるべき原稿画像(実体
画像)のもつ画像情報値、即ち原稿画像から記録媒体系
に入射される光量に相関した画像情報値を重視するとい
う全く新しい複製画像の製作技術、特にその中核技術と
なる画像の階調変換技術を組込んだサーマルプリンタを
提供しようとするものである。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明を概説すれば、本発明は、原稿画像が画像処理
のために所定の記録媒体に記録された媒体画像から得ら
れる濃度情報値を階調調整機構で処理し、該処理信号に
基づいて、記録用紙上に1色または多色の中間調を有す
る複製画像を形成するためのサーマルプリンタにおい
て、 前記階調調整機構が、 (i)原稿画像の各画素の濃度情報値(Dn値)を、記録
媒体の有する濃度情報値(D値)と原稿画像から該記録
媒体に入射される光量に相関した画像情報値(X値)と
の関係を規定する濃度特性曲線を利用して、前記各画素
の濃度情報値(Dn値)に対応する光量に相関した画像情
報値(Xn値)に変換し、 (ii)更に、該光量に相関した画像情報値(Xn値)を、
下記〈階調変換式(1)〉により階調調整のための階調
強度値(y値)に変換すること、 を特徴とするサーマルプリンタに関するものである。
以下、本発明の構成について詳しく説明する。
まず、本発明の理論的背景について言及し、本発明の
位置づけを明確にする。
なお、本発明に適用される画像の階調変換の理論は、
複製画像の製作技術として特に代表的な分野である印刷
画像の製作時における階調変換の問題点を解決すべく開
発されたものであるため、印刷画像のスキャナー(モノ
クロ及びカラースキャナ)による製作技術との関連で多
くが説明される。しかし、これは説明の便宜のためのも
のであり、もとよりサーマルプリンタにおける階調変換
に際しても同様な問題点があることから、ここで説明さ
れる本発明の階調変換の理論の価値がこれらサーマルプ
リンタにビルトインされるとき、いささかもその価値が
減じられるものではない。
本発明者らは、画像の階調変換技術に合理的な理論の
裏付けを行ない、かつ前記した各種の原稿画像からでも
調子(濃度階調と色調の両者を含むものである。)の再
現性をもち、さらに進んで所望の調子をもつ複製画像を
合理的に製作するためには、複製画像の製作において中
核的な二つの要素技術、即ち階調変換技術(gradation
cotrol)色補正と(修正)技術(colour correction)
のうち、色補正(修正)技術の向上に先立ち、画像の各
画像の濃度階調の変換を合理的に行なうことができる技
術が第一義的に重視されなければならないと考えてい
る。
前記した点は、代表的にはカラー印刷画像の製作など
に見られるごとく、複製画像の製作において科学的な解
析(マスキング方程式あるいはノイゲバウア方程式によ
る解析)が比較的に容易である色補正(修正)技術、カ
ラーマッチング技術を画像の濃度階調の変換技術よりも
重視している従来技術に対して、大きな反省をせまるも
のである。
そして、本発明者らは、原稿画像から複製画像を作成
するときに用いられる現在の画像の濃度階調の変換技術
が、原稿画像、例えば複製画像である印刷画像を作成す
るときのカラーフィルム原稿(原稿画像)について、そ
の最明部から最暗部に至る濃度特性を合理的に把握して
いないこと、及び原稿画像の濃度特性を1:1の忠実性を
もって複製画像に変換させるうえで不可欠な両画像(原
稿画像と複製画像)間の相関関係(階調変換式)の決定
に合理的な理論の裏付けがなく、専ら人間の経験と勘に
依存したままである、という基本認識をもっている。
このような基本認識のもとで、先に本発明者らは、画
像の階調変換技術を科学的、合理的なものとするために
特定の〈階調変換式〉を提案した(特開昭64−7770号公
報,特願昭63−114599号,特願昭63−207326号,米国特
許第4,811,108号明細書)。
しかしながら、本発明者らのその後の研究において、
前記した特定の〈階調変換式〉のもとで行なう画像の階
調変換技術に一定の限界があることが見い出された。
この限界事項とは、前記したように複製画像の真の対
象とすべきものは原稿画像(実体画像)であるべきとこ
ろ、本発明者らの先の提案を含めて従来の画像の階調変
換技術においては、原稿画像(実体画像)から画像情報
を入手するために複製画像を製作するための機器の記録
媒体系に原稿画像を一端、記録ないし蓄積(即ち、媒体
画像となし)、ここから入手される濃度情報値を手掛か
りとして画像の階調変換を行なっているということであ
る。これでは、記録媒体系の感光特性や光電変換特性に
左右されてしまい原稿画像(実体画像)自体の画像情報
を利用していることにはならない。
これを、複製画像としてカラー印刷画像を製作する場
合を例に説明する。
カラーフイルム原稿は、写真用感光材料という記録媒
体に静物、人物などの画像が撮影された、本発明でいう
媒体画像である。従って、カラーフィルム原稿(媒体画
像)から濃度情報値を検出して、これを画像の階調変換
に利用した場合、被写体(実体画像)の画像情報値を基
礎とするものでなくなる。即ち、従来のカラーフィルム
原稿(媒体画像)を用いた印刷画像の製作技術において
は、被写体から記録媒体である写真用感光材料(写真用
感光乳剤層)へ入射される光を所定の露光条件(周知の
ごとく、入射光の強さIと入射時間tの条件のとき、露
光量EはE=Itで表される。)で記録した写真画像の濃
度情報値を基礎として色分解作業(カラーセパレーショ
ン作業とは、前記したカラーコレクションとグラデーシ
ョンコントロールの両者を含むものである。)を行なっ
ている。
周知のように被写体が撮影された写真用感光材料には
現像により写真濃度(photographicdensity)が形成さ
れ、これが媒体画像となるものである。前記した写真濃
度(黒化度)と写真用感光材料の露光量Eの相関関係を
表す曲線が、写真濃度特性曲線(photographic charact
−eristic curve)である。これは、縦慈雨に写真濃度
(D)(D=log Io/I)、横軸に露光量Eの対数値(lo
g E)をとって表示されるものである。なお、フィルム
や乾板(透過原稿)では透過光の強さIと入射光の強さ
Ioとの比が、また印画紙(反射原稿)では反射光の強さ
Iと完全反射光の強さIoの比が用いられることはいうま
でもないことである。
典型的な写真濃度特性曲線は、下に凸形状の足部、略
直線状の直線部、上に凸形状の肩部を有するかなり複雑
な曲線(この点は、後述する第1図を参照のこと。)と
なることは周知のことである。
別言すれば、従来のカラー印刷画像を製作するときの
色分解技術は、前記写真濃度特性曲線の縦軸(濃度値)
の立場から組み立てられた色分割技術であり、被写体か
ら写真用感光材料に入射される露光量(以下、本発明に
おいては後述するように露光量の絶対値を用いてもある
いは相対値を用いてもよいことから、「光量に相関した
画像情報値」という。)、即ち前記写真濃度特性曲線の
横軸(光量に相関した画像情報値)の立場から組み立て
られた色分解技術ではない。そして従来技術が色分解作
業の基礎とするカラー原稿画像の濃度情報値は、写真濃
度特性曲線の形状から明らかの如く被写体(実体画像)
の光量に相関した画像情報値とは相違し(別言すれば、
被写体の画像情報を線形に与えていない。)、しかも露
光条件や現像条件などの与件の変化により両者の乖離の
様相は千差万別のものとなる。
すなわち、記録媒体である写真用感光乳材の感光特性
に影響されるため、媒体画像であるカラーフィルム原稿
の濃度情報値である写真濃度と被写体(実体画像)の光
量に相関した画像情報値とを直線関係(1:1の45゜の直
線関係)で相関させることができない。
一方、人間の視覚においては、明暗に対する弁別特性
が対数的であることは周知のことであり、人間は被写体
(実体画像)より視覚系に入射させる光量を前記した弁
別特性に基づいてその明暗を評価している。ここでは、
濃度変化の勾配が直線的(リニア)であるものを自然な
ものとして感じているのである。
従って、カラー印刷画像の製作において、写真用感光
材料に記録された媒体画像の濃度値(D=log Io/I)を
手掛かりに作業を進めると、それは写真用感光乳材の感
光特性に影響されたあとの濃度情報値を使用しているこ
とになり、複製の真の対象となる被写体(実体画像)の
光量に相関した画像情報値を使用していることにならな
い。
本発明者らは、前記した状況を踏まえて、複製画像の
製作において各種の画像の記録媒体)写真用感光乳材、
あるいは二次元CCD、フォトマル、フォトダイオード、C
CDなどの光電変換素子)の感光特性や光電変換特性によ
って影響された媒体画像の濃度情報値を使用することな
く、複製の真に対象となる原稿画像(実体画像、被写
体)からの第1次の(生の、原初的な)光量に相関した
画像情報値を基礎として各種の複製画像を製作する方法
について鋭意検討を加えた。
その結果、印刷画像の製作において、 (1)写真濃度特性曲線を使用して、縦軸(D=log Io
/I)の値から横軸(log E)の値を求め(以下、縦軸を
D軸、横軸をX軸ともいう。)、別言すれば写真濃度特
性曲線上で規定される最明部から最暗部に至るカラーフ
ィルム原稿(媒体画像)のD軸上の濃度情報値(D値)
をX軸上に投影させてX軸上の画像情報値(X値)を求
め、 (2)より具体的には媒体画像上の任意の画素のD軸上
の濃度値(Dn値)を該写真濃度特性曲線を介してX軸上
に投影して対応する画素の画像情報値(Xn値)(X軸は
写真濃度特性曲線においては露光量の対数値を示すが、
本発明においてはその絶対値を用いてもあるいはD軸と
同じスケーリングで読みとった相対値を用いても等しく
有効であるため、前記したように、これを「被写体から
記録媒体に入射された光量に相関した画像情報値」、あ
るいは単に「光量に相関した画像情報値」という。)を
求め、次いで、 (3)前記のようにして得られたXn値を基礎とし、かつ
本発明者らが先に提案した特定の〈階調変換式〉を運用
して該Xn値から網点面積%値を示す階調強度値を求め、
これにより網点の大きさを制御したとき、 被写体(実体画像)に忠実な画像特性を有する優れた
網点階調の印刷画像が得られることを見い出した。
本発明の画像の階調変換において、原稿画像上の任意
の画素の濃度情報値を対応する複製画像の画素の階調強
度値に変換するのに際し、該画素の濃度情報値として前
記したごとく各種の記録媒体に記録または蓄積された媒
体画像から入手される濃度情報値をそのまま使用するも
のではない。即ち、該濃度情報値から記録媒体系の感光
特性や光電変換特性に影響されない複製の真の対象とな
る原稿画像(実体画像)が有する画像情報値(原稿画像
から各種の記録媒体に入射させる光量に相関した画像情
報値)も求め、これを前記した〈階調変換式(1)〉の
もとで処理して階調強度値に変換するというように行な
う点に大きな特徴を有するものである。
次に、本発明の前記〈階調変換式(1)〉の導出法や
特質などについて説明する。
サーマルプリンタにより形成される複製画像におい
て、その複製画像を構成する基本的構成要素は、所定の
画素における階調強度値と画像の形成材料(インクやト
ナー等)の表面反射濃度との二つであり、このうち、人
間の視覚が例えば印刷画像における網点面積の大きさの
1%の差異を濃度差として容易に識別する能力を持って
いることからわかるように、画像の形成手段として網点
面積の大きさと同じ関係にある画素の階調強度値が極め
て重要な役割を果たす。例えば、ある所定の画素に設定
されるドットに注目して、そのドット上に塗布するイン
キの量の変化とドットの大きさの変化が濃度階調に与え
る影響を調べてみると、後者の方が格段に大きく、階調
の再現性に優れた複製画像の製作においては階調強度値
をどのように設定すべきかは、極めて重要な問題であ
る。そして、濃度階調の再現性に優れる複製画像は、色
調の再現性においても優れたものであり、これは多くの
事例で確認することができる。
また前記したことと関連して、サーマルプリンタによ
り複製画像を製作しようとする場合、原稿画像の品質内
容が千差万別であること、画像の形成工程も多様な特性
を有するものであること、さらに画像品質の評価基準が
一様でないことなどの背景を抱えており、これらの複
雑、不安定要因を克服するメカニズムがサーマルプリン
タの中にビルトインされていることが強く望まれてい
る。
このようなことから、連続階調画像などの原稿画像か
らサーマルプリンタにより中間調を有する複製画像を製
作するにあたり、複製画像上の最明部(H)の画素の階
調強度値(yH)と最暗部(S)の画素の階調強度値
(yS)とを任意に選択することができ、しかも最明部
(H)から最暗部(S)にいたる画像の濃度階調を合理
的かつ簡便に調整管理することができる手だてを設ける
ことが是非とも必要である。
このような考え方に立脚して案出したのが本発明の階
調の調整方法、具体例には前記〈階調変換式(1)〉を
用いた階調の調整方法である。
本発明者らは、連続階調のカラーフィルム原稿から網
点階調の印刷画像を製作するとき、合理的に階調の変換
(連続階調の網点階調への変換)を行わしめるために使
用する本発明の〈階調変換式(1)〉と同様の〈階調変
換式〉を先に提案したが(特開昭64−7770号,特願昭63
−114599号参照)、その運用条件は本発明と全く相違す
るものである。
前記の先に提案した網点階調の印刷画像を製作すると
きに用いられる網点面積パーセントの数値(y)を求め
る〈階調変換式〉(これは、前記したように基本骨格は
本発明の〈階調変換式(1)〉と同様のものであるが、
その運用条件は全く異なるものである。)は、一般に認
められる濃度公式(写真濃度、光学濃度)から誘導する
ことができる。即ち を応用すことによって誘導することができる。
この濃度Dに関する一般公式を、製版・印刷に適用す
ると次のようになる。
この製版・印刷に関する濃度式(D′)に、印刷画像
のH部とS部に所望の大きさの網点を任意に設定するこ
とを可能とし、かつ、連続階調画像(原稿画像)上の任
意の標準本における基礎濃度値(x)と、これに対応し
た網点階調画像(印刷画像)上の標準本における網点の
網点面積パーセントの数値(y)とを合理的に関連づけ
るという要請を組込み、理論値と実測値が近似的に合致
するように誘導して得たものが、下式で示される〈階調
変換式(2)〉である。
前記〈階調変換式(2)〉を印刷画像を製作するとき
の画像の階調変換に適用する場合、α,yH,yS,γ値を任
意に選びながら、原稿画像上の任意の画素の基礎濃度値
(x)から印刷画像上の対応した画素における網点の網
点面積パーセントの数値(y)を求めるように運用され
る。これにより原稿画像(連続階調画像)の濃度階調を
印刷画像(網点階調画像)上に1:1に忠実に再現させる
ことができるばかりでなく、所望の画質(所望の濃度階
調や色調を有するもの)の印刷画像を製作することがで
きる。
尚、多色製版(一般にシアン(C)、マゼンタ
(M)、イエロー(Y)、墨(BL)の4版が1組と考え
られている。)の場合、基準となる版(多色製板版の場
合、周知の如くシアン版(C)が基準の板となる。)の
作業基準特性曲線、即ち原稿画像の濃度情報値を印刷画
像の網点面積値に変換するための作業基準となる網点階
調特性曲線(前記したx値とy値をグラフ化して得られ
る曲線で、これが連続階調を網点階調に変換するための
基準となるものである。)が決まれば、その他の色版の
網点階調特性曲線は、基準となった版のy値に印刷イン
キ各色のグレー・バランス比に基く適切な調整数値を乗
ずることにより、常に、合理的に決めることが出来る。
このようにして決められた各色版の網点階調特性曲線は
夫々が合理的な特性曲線であることは勿論のこと、更に
はそれらの特性曲線間の階調および色調に係る相互関係
もまた合理的かつ適切なものである。
即ち、連続階調の原稿画像から網点階調の印刷画像を
作成するとき、画像の階調変換を前記〈階調変換式
(2)〉に基づいて行うならば、従来の経験と勘に頼る
画像の階調変換方法から脱却して、任意かつ合理的に画
像の階調変換を行うことができ、しいては階調と密接不
可分の関係にある色調についても合理的に調整すること
ができる。これにより人間の視覚感覚にとって自然な濃
度勾配、色調を有する印刷画像を得ることができる。
以上は、複製画像として網点階調の印刷画像を製作す
る場合を中心にして説明してきたが、前記した〈階調変
換式(2)〉を使用する階調の変換作業を支える理論は
各種のプリンタ、複写機器などによる複製画像の製作に
も適用することができることはいうまでもないことであ
る。
しかしながら、前記した〈階調変換式(2)〉を運用
して複製画像を製作する場合、濃度階調の変換は濃度情
報値を使用するものである。
これに対して、本発明の画像の階調変換においては、
前記したようにより優れた濃度階調の変換を図るため
に、階調変換時に採用すべき原稿画像の画像情報値とし
て、従来の濃度情報値を使用するかわりに光量に相関し
た画像情報値を採用するものである。前記した従来とは
相違する本発明の階調変換を行なうために〈階調変換式
(2)〉の運用条件を整理すると、〈階調変換式
(1)〉になることはいうまでもないことである。
次に、本発明の前記〈階調変換式(1)〉の各項の意
味、運用面の特質などについて説明する。
本発明の前記〈階調変換式(1)〉の運用において、
原稿画像が所定の記録媒体に記録された媒体画像から基
礎光量値(x)を求めなければならない。前記したよう
に、基礎光量値(x)は原稿画像が記録あるいは蓄積さ
れている記録媒体の濃度特性曲線を介して、原稿画像上
の所定の画素の濃度情報値(Dn値)を手掛かりにして求
められるものである。
本発明において、濃度情報値は原稿画像の各画素のも
っている濃度に関する物理量を反映するものであればい
ずれでも良く、最広義に解釈されるべきである。同義語
としては、反射濃度、透過濃度、輝度、電流・電圧値、
などがある。これらの濃度情報値は、原稿画像を光電走
査などして濃度情報信号として取り出せばよい。なお、
本発明の前記〈階調変換式(1)〉において、基礎光量
値(x)を濃度特性曲線の縦軸と同じスケーリングによ
り目盛った横軸の光量に相関した画像情報値から求め、
(例えば、ポジカラーフィルムの人物画として、縦軸に
おいて0.2〜2.70の濃度値をもつものなどがあるが、こ
れに対応した横軸の値を採用する。)、また、yH[最明
部(H)の画素に設定される階調強度値]とyS[最暗部
(S)の画素に設定される階調強度値]パーセント数値
(例えば5%とか95%という画素の被覆率。)を用いる
と、y値[原稿画像上の任意の画素に対応する複製画像
上の画素に設定される階調強度値]はパーセント数値で
算出される。
本発明の前記〈階調変換式(1)〉の運用において、
次のように変形して利用することはもとより、任意の加
工、変形、誘導するなどして使用することも自由であ
る。
y=yH+E(1−10-kX)(yS−yH 前記の変形例は、α=1としたものである。これは、
複製画像を記録する記録用紙(基材)の表面反射率を10
0%としたものである。αの値としては、記録用紙を基
準として濃度測定機構の零点調整を行なうならば実務上
1.0として構わない。
また、前記変形例(α=1.0)によれば、サーマルプ
リンタによる複製画像上の最明部HにyHを、最暗部Sに
ySを所定した通りに設定することができる。これは、複
製画像上の最明部Hにおいてはx=0となること、また
最暗部Sにおいてはx=(XSn−XHn]となること、即
ち、 従って−kX=−γとなることから明らかである。
本発明の前記〈階調変換式(1)〉の運用において、
α、β、γ(これは、前記したようにβ=10−γにより
β値を規定する。)の数値は種々の値をとる。本発明に
おいては、これらの数値を適宜選ぶことにより、原稿画
像の品質特性がどのようなものであれ画像の階調の変換
処理を合理的に行うことができる。
即ち、本発明の前記〈階調変換式(1)〉をベースと
した画像の階調の変換処理法は、原稿画像の濃度階調や
色調の再現、即ち原稿画像の調子を複製画像に1:1に再
現させるうえで極めて有用であるが、その有用さはこれ
に限定されるものではない。本発明の前記〈階調変換式
(1)〉は、原稿画像の特性を忠実に再現する以外に
も、該〈階調変換式(1)〉の性格から容易にわかるよ
うにα、β、γ値、さらにはyH,yS値を適宜選択するこ
とにより原稿画像の特性を合理的に変更したり修正した
りするうえで極めて有用なものである。なお〈階調変換
式(1)〉のパラメータのうち、特にγ値が原稿画像の
特性を調整(修正または変更を含む。)するうえで大き
な役割を果すことは、該〈階調変換式(1)〉を運用し
てみれば容易にわかることである。
前記〈階調変換式(1)〉を使用して多色画像を形成
する場合、例えばカラーフィルム原稿を用いてカラーの
複製画像を製作する場合、印刷などの分野において周知
の色分解技術、即ち、カラー原稿からの反射光などをブ
ルー(B)、グリーン(G)、レッド(R)に分光させ
て各色毎の濃度情報値(D値)に相関した信号を入手
し、これを光量に相関した画像情報値(X値)に変換
し、更に前記〈階調変換式(1)〉を用いた階調調整機
構で処理し、この処理情報値(y値)に基づいてサーマ
ルプリンタの記録部を調整し画像を形成していけば良
い。その際、基準となる色版(例えばC版)に関するy
値、即ち基準となる色版の階調特性曲線(y値を計算
し、x値に対するy値をプロットしていくと、前記した
印刷技術における網点階調特性曲線と同様の階調特性曲
線が得られる。)を決め、その他の色版(M版、Y版)
の階調特性曲線は該基準となる色版のy値に、各インク
のグレー・バランス比に基づく適切な階調数値を乗ずる
ことにより合理的に決めることができるので、これらの
階調特性曲線を利用して画像を形成していけば良い。
前記のようにして設定された各色版についての階調特
性曲線は、〈階調変換式(1)〉で規定されるため合理
的な特性曲線であることは勿論、それらの特性曲線間の
階調及び色調に係る相互関係も合理的かつ適切なもので
ある。
次に、各記録媒体のもつ濃度特性曲線を利用して原稿
画像上の任意の画素の濃度情報値(D値)から、各記録
媒体に入射される対応する画素の光量に相関した画像情
報値(X値)を求める方法について説明する。
本発明において、原稿画像(実体画像)から階調変換
のための画像情報値、特に濃度情報値を入手するため
に、原稿画像は種々の記録媒体、例えば写真用感光材
料、あるいは二次元CCD、フォトマル、フォトダイオー
ド、CCDなどの光電変換素子という記録媒体に記録され
て媒体画像とされる。そして、原稿画像の各画素におけ
る濃度情報値(D値)から各記録媒体のもつ固有の濃度
特性曲線(原稿画像の記録媒体から読みとられる濃度情
報値と各記録媒体に入射される原稿画像からの光量に相
関する画像情報値との関係を規定する特性曲線)を介し
て対応する画素の光量に相関した画像情報値(X値)を
求めなければならない。そのためには各記録媒体の濃度
特性曲線が正確にあるいは近以的に関数化(数式化)さ
れなければならない。
ここでは、記録媒体が写真用感光材料であるカラーフ
ィルム原稿(媒体画像)を用いたときを例にして、写真
濃度特性曲線の数式化法について説明するが、他の記録
媒体の濃度特性曲線(光電変換特性曲線)の数式化も同
様にして行えばよい。なお、カラーフィルム原稿(媒体
画像)を用いるとき、複製の真に対象となるもの(原稿
画像)は、カラーフィルム中に撮影されている静物、人
物などの被写体(実体画像)であることは、前記した通
りである。
写真濃度特性曲線として、第1図に示されるカラーフ
ィルム(フジクローム、富士写真フィルム社製)のもの
を使用した。なお、以下の数式化においては、多色製版
のうち基準となるC版用の階調特性曲線を設定すること
を前提としているため、第1図にはカラーフィルムのR
乳剤層の感光特性曲線(写真濃度特性曲線)が示されて
いる。従って、他の色版(M版、Y版)に対してはG,B
乳剤層の感光特性曲線(写真濃度特性曲線)を利用でき
ることはいうまでもないことである。
写真濃度特性曲線の数式化にあたっては適宜の方法に
より数式化すればよく、何等の制限を受けるものではな
い。
例えば、縦軸D=logIo/I,横軸X=(但し、X軸の目
盛りスケールをD軸と一致させるようにした。)とし、
a,b,c,d,e,fを常数とすれば、 (イ)写真濃度特性曲線の足の部分(下に凸形状のとこ
ろで、D値が小さい領域) D=a・bc・(X+d)+e+f (ロ)略直線状の部分(略直線状のところで、D値が中
間値の領域) D=a・X+b または D=a・X2+bX+c (ハ)肩の部分(上に凸形状のところで、D値が大きい
領域) D=a・log{b−(X+c)}+d などで数式化すればよい。
第1表に、第1図に示される写真濃度特性曲線を数式
化した内容を示す。第1表には、可能な限り正確に写真
濃度特性曲線を数式化するために、数式化区分を複数と
している。
本発明においては、第1図に示されるようにカラーフ
ィルム原稿(媒体画像)の濃度値を示すD軸の目盛と、
被写体(実体画像)のlogEで示される画像情報値を示す
X軸の目盛が同一であるとしてDとXの相関関係を関数
化した。
これは、次の観点から行なった一種の相対化(擬制)
であり、本発明者らにおいて合理的なものと考えてい
る。
即ち、本来、写真濃度特性曲線においては、X軸には
露光量Eの対数値(log E=log I×t)が位置づけられ
ること、これが視覚の明暗に対する弁別特性が対数的に
評価してリニヤ(直線性、線形)なものとしていること
に対応すること、以上の点からみて前記したD軸とX軸
のスケーリングを同一のものにするという相対化(擬
制)は合理的なものであると考える。後述する実施例で
示されるように、この相対化(擬制)のもとで画像の階
調変換において優れた結果を得ることができる。なお、
本発明において上記の目盛りづけは一種の簡便法であ
り、これに限定されないことはいうまでもないことであ
る。
本発明は、前記したように被写体(実体画像)の各画
素の有するD軸で表わされる濃度情報値(Dn値)を基礎
とするのでなく、X軸で表わされる光量に相関した画像
情報値(Xn値)を基礎とするものである。そして、写真
濃度特性曲線が第1表に示されるようにDn値とXn値とは
X=f(D)の間数式により相関されているため、容易
にDn値からXn値を求めることができる。
以上のようにして、被写体(実体画像)から写真感光
乳材層へ入射される光量に相関した画像情報値(Xn値)
を容易に得ることができる。
次いで、このようにして合理的に求めた原稿画像(媒
体画像)の各画素におけるXn値を前記〈階調変換式
(1)〉を使用して、各画素に対応するy値を求めるこ
とができる。
本発明において、該Xn値を表示するX軸(横軸)、y
値を表示する縦軸の直交座標系に、Xn値と対応するy値
をプロットすると、階調特性曲線が得られることは前記
した通りである。本発明を従来技術と区別するために、
該階調特性曲線をX軸色分割カーブと称し、従来のD軸
上の濃度情報値を重視するものをD軸色分解カーブとい
う。
前記した本発明により得られるX軸分解カーブと従来
のD軸色分解カーブの特徴について説明する。
本発明の〈階調変換式(1)〉を一定の条件、即ち
α,yH,yS,γ値をそれぞれ一定として運用し、かつカラ
ーフィルム原稿(媒体画像)として画質が相違している
(即ち各原稿の濃度レンジや濃度情報値が相違してい
る)複数のカラーフィルム原稿を使用して夫々のX軸色
分割カーブ(階調特性曲線)を求めるとき、得られる夫
々のX軸色分割カーブ(階調特性曲線)は、最終製品で
ある複製画像のH部からS部に至るy値の配列状態を全
て相対的に同じ関係にするという特質を有する。これは
極めて重要な本発明の特徴である。別言すれば、後述す
る実施例で示されるように、各原稿画像のX軸上の光量
に相関した画像情報値(X値)のレンジが相違していて
も(これは、カラーフィルム原稿の画質の相違を反映す
るもので濃度レンジが相違すれば当然のことである。)
所定の同一のX軸レンジに調整すると、本発明により得
られるX軸色分解カーブ(階調特性曲線)は一本(唯一
のもの)に収れんするということである。
従って、夫々のX軸色分解カーブ(階調特性曲線)か
ら、例えば網点の配列状態(y値を網点面積%値に対応
させたとき)からみて最終的に複製画像としてどのよう
な画質のものが得られるか、校正刷をしなくても事前に
正しく評価することができる。
これに対して、D軸色分解カーブにおいては、夫々の
カラーフィルム原稿に対応した曲線が得られるものの、
前記したようにD軸上で同一のD軸レンジに調整して
も、これらは一本(唯一のもの)に収れんしないもので
ある。即ち、夫々のD軸色分割カーブは階調変換の選択
肢を示すにすぎず、夫々のD軸色分割カーブに従って校
正刷しないと所定の階調変換が行なわれ、所望の画質の
複製画像が製作されるのか否かを正確に判断することが
できない関係にある。
上記の点と関連して、本発明の〈階調変換式(1)〉
の性格上、α,yH,yS,γ値を任意に変えることにより
(特にγ値を変えることにより)、合理的に階調特性曲
線の形状を変更することができること、即ち階調の変換
作業を管理する作業者は本発明の〈階調変換式(1)〉
のもとで複製画像の階調を任意に所望するものに調整
(修正、変更)することができること、別言すれば該X
軸色分解カーブのもとで階調の変換作業を合理的に管理
することができる。
以上、本発明のサーマルプリンタにおける中枢機構で
ある画像の階調調整機構がもつべき特徴、特質につい
て、主に印刷画像の製作を例にとり説明してきたが、
(モノクロまたはカラー)スキャナによる印刷画像の製
作法とサーマルプリンタによる複製画像の製作法に実質
的な差異はない。
ただ、サーマルプリンタにおいては、原稿画像からプ
リンタ系の濃度情報検出(読取)機構(CCDなどの記録
媒体系で構成される。)で媒体画像を形成し(勿論、一
過性のものであってもよいことはいうまでもないことで
ある。)、ここから入手される濃度情報値を光量に相関
した画像情報値に変換するとともに〈階調変換式
(1)〉で階調強度値を算出するように処理し、該階調
強度値により複製画像を製作するようにすればよい。
この種の記録媒体として各種のもの、例えば二次元CC
D、フォトマル、フォトダイオード、CCDなどの光電変換
素子が使用されるが、これらの記録媒体は、写真用感光
材料と同様に原稿画像から、これら記録媒体系に入射さ
れる光量に相関した画像情報値により結像(撮像)する
ものである。これらの記録媒体は本発明でいうところの
固有の濃度特性曲線(光電変換特性曲線)を有している
ので、これらの記録媒体に記録されている媒体画像から
複製画像を製作するに際して、前記カラーフィルム原稿
と同様に濃度特性曲線(光電変換特性曲線)を利用して
基礎光量値(X)を求め、次いで〈階調変換式(1)〉
により階調変換を行なうようにすればよい。
なお、本発明のサーマルプリンタにおいて、複製(コ
ピー)の対象物として、写真用感光材料(本発明でいう
記録媒体)に記録されたカラーフィルム原稿(ネガタイ
プ)を使用することができる。このような場合、サーマ
ルプリンタの濃度測定機構(例えばCCDで構成され
る。)より入手される濃度情報値を光量に相関した画像
情報値に変換するに際して、CCDの光電変換特性曲線を
用いるのか、あるいは写真濃度特性曲線を用いるのかが
問題になるが、いずれかにより光量に相関した画像情報
値を求めればよい、しかし、モノクロまたはカラーフィ
ルム原稿の場合、複製(コピー)の真に対象となるも
の、即ち写真用感光材料という記録媒体に記録されてい
る媒体画像の元になる被写体(実体画像)により近い複
製物を製作しようとするならば、写真濃度特性曲線を用
いたほうがよい。
また、本発明により複製画像を製作する場合、前記し
た記録媒体系を構成するフォトダイオードやCCDなどの
記録媒体として、これら記録媒体の有する固有の濃度特
性曲線(光電変換特性曲線)が規定できれば、既存の記
録媒体で十分であり、これにより階調(濃度階調や色
調)に優れた複製画像が製作される。即ち、高画質の複
製画像を製作しようとして、各種の記録媒体の特性(感
光特性や光電変換特性)を改善する努力が栄んになされ
ているが、本発明により複製画像を製作する場合、必ず
しも各種の記録媒体の高級化、高性能性が要求されず既
存の性能(特性)もので十分である。これは、本発明の
サーマルプリンタに組込まれる階調変換法によるもので
あり、本発明の他の特徴をなすものである。
以上、説明したように、本発明のサーマルプリンタに
より複製画像を製作する場合、その階調調整機構部に、
前記〈階調変換式(1)〉に基づいて階調変換を行うハ
ードまたはソフトを組込むことにより、濃度階調はもと
より色調の再現に優れた複製画像、あるいは原稿画像の
画質を任意に修正または変更した複製画像を得ることが
できる。
その際、〈階調変換式(1)〉の演算処理により得ら
れるy値(階調強度値)をサーマルプリンタに適した濃
度表示方式(サイズ変調法、密度変調法、濃度変調法)
に対応させればよいことはいうまでもないことである。
例えば第6図(b)に示されるように、所定の画素ブ
ロックにおいて記録される画素の分析に対応させればよ
い。
画素ブロックはここでは4×4のマトリックス型のも
のであり、これにより17段階の階調が表現される。一般
的にn×nのマトリックス型の画素ブロックでn2+1段
階の階調(0〜100%)が表現される。
このようにマトリックス型の画素ブロックにおいて形
成される画素の分布により連続階調画像などの原稿画像
の濃度階調を表現する方法は、一般的にディザ・マトリ
ックス法と称され周知のものである(例えば特開昭58−
85434号、同58−114569号、同59−52969号、同60−1415
85号、同62−186663号等に示されている。)。
(実施例) 以下、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する
が、本発明はこれら実施例のものに限定されるものでは
ない。
本発明にいおいては、サーマルプリンタによる複製画
像の製作において中核的な画像の階調変換を前記〈階調
変換式(1)〉のもとで行なわせることに最大の特徴を
有する。従って、まず最終製品である複製画像の品質を
決定づける色分解カーブ(階調特性曲線)の設定例につ
いて説明する。ここでは本発明のX軸色分解カーブと従
来のD軸色分解カーブの設定例とその相違点を明確にす
る。次いで本発明の〈階調変換式(1)〉に基づいて階
調変換を行うハードまたはソフトを組込んだ階調調整機
構部を有するサーマルプリンタについて説明する。
実施例1(X軸色分解カーブの設定) 1.実験に使用した濃度特性曲線 濃度特性曲線として第1図(D−X直交座標系)に示
される写真濃度特性曲線(F社製、フジクロームのも
の)を使用した。第1図においてD軸(縦軸)はカラー
原稿画像の濃度値を表示する。一方、X軸は写真濃度特
性曲線においては露光量(logE=logI×t)を示すが、
ここではD軸と同じスケーリングで数値化した。また、
該写真濃度特製曲線の関数式は第1表に記載されたもの
を使用した。
2.実験用原稿画像 カラーフィルム原稿(媒体画像)の画質は、一般的に
は写真撮影時の露光条件などにより標準的なもの(適性
露光)、非標準的なもの(オーバー/アンダー露光)な
ど千差万別である。これら千差万別のカラーフィルム原
稿に対して本発明が合理的に対応できるかどうかを検証
するために、カラー原稿画像の濃度レンジ(Density Ra
nge=DR)が相違するもの(D軸における濃度レンジが
相違するもの)について実験した。
3.X軸色分解カーブの設定用データの計算 第1図の写真濃度特性曲線を関数化した第1表の関数
式を用いて、各種カラーフィルム原稿(媒体画像)のD
軸上のDn値をX軸上のXn値に変換した。次いで、該Xn
を〈階調変換式(1)〉により階調強度値(y値)に変
換した。
なお、〈階調変換式(1)〉の運用条件は以下の通り
である、 x=Xn−XHn yH=5%,yS=95%, γ=1.00,β=10−γ=0.1,α=1.00 k=γ/XSn−XHn, (下記第2表の場合、XHn=0.4781 XSn=2.2300となる。その他の場合は第2表を参照のこ
と。) 結果を第2表に示す。
第2表において、第2表の〜は露光オーバーのも
の(淡い原稿)、第2表の〜は適性露光に近いも
の、第2表の〜は露光アンダーのもの(濃い原
稿)、をそれぞれ示す。
4.X軸色分解カーブ 第2表のデータを第2図,第3図に示す。なお、第2
図〜第3図において、縦軸はy値を示すが、横軸の性格
が相違することに注意しなければならない。第2図の横
軸は光量に相関した画像情報値を示し、第3図の横軸は
カラーフィルム原稿の濃度値を示す。グラフ化するに当
たり、比較の便宜を図るために同一の光量及び濃度に関
するレンジとして調整した数値(本実施例の場合は2.50
00とした。)を用いた。この調整後の値は、第2表に
(Dn→)Dn′,(Xn→)X′として示される。Dn→Dn
への調整は、第2表の場合、 により計算すればよい。同様にXn→Xn′は、 により計算すればよい。
第2図は、本発明による階調特性曲線、即ちX軸色分
解カーブ(前記したようにXn′とyの関係)を示し、第
3図はD軸色分解カーブ(前記したようにDn′とyの関
係を示すもので、これは従来の色分解カーブの設定例と
みなすことができる。)を示すものである。
第2図,第3図から明らかな如く、極めて驚くべき事
実を発見することができる。即ち、どのような画質のカ
ラーフィルム原稿(媒体画像)を用いようとも、〈階調
変換式(1)〉中のα,yH,yS,γ値の四つの値を同一に
する場合、第2図に示されるように夫々のX軸色分解カ
ーブは一つの同一のカーブに収れんしてしまうという驚
くべき事実であり、かつ色分解後に得られるカラー複製
画像の調子を統一的に表示しているという事実である。
即ち、本発明の階調特性曲線(X軸色分解カーブ)の設
定技術によれば、どのような画質のカラーフィルム原稿
を用いようとも、全てy値の配列状態が同一な同質の複
製画像を製作することができる階調特性曲線が得られ
る。加えて、サーマルプリンタにより複製画像を製作し
ようとする作業者は、前記のようにして求めたX軸色分
解カーブを〈階調変換式(1)〉中のパラメーター、特
にγ値を変えることにより所望の形状に変更することが
できる。即ち、前記したX軸色分解カーブをベースとし
て所望な画質や調子が得られるように階調を合理的に管
理することができる。
これに対して、第3図に示される従来の色分解カーブ
の設定例においては、各カラーフィルム原稿の画質内容
に対応したD軸色分解カーブが得られるものの、色分解
後に製作されるカラー印刷画像の調子が全て同じものに
なっているかを夫々のD軸色分解カーブからは予め正確
に知ることができない。即ち、従来のD軸色分解カーブ
のもとでは実際に校正刷をして評価してみないと、最終
製品の画質や調子が適正なものなのかどうか判らないと
いう欠点を有する。
これは、サーマルプリンタに適用される階調変換作業
において数多くの色分解カーブの中から適切な色分解カ
ーブを選び出さなければならないというセットアップ作
業、及びセットアップ作業の前工程においてカラーフィ
ルム原稿(媒体画像)のグルーピング作業などが必要で
あることを意味する。即ち、従来のD軸色分解カーブの
設定技術では階調の変換作業を効率的に実施したり管理
することができない。
実施例2(サーマルプリンタについて) 本発明のサーマルプリンタを第4図〜第6図に基づい
て説明する。
第4図は本発明の第1実施例のサーマルプリンタのブ
ロック図である。
第4図(a)に示されるように、本発明のサーマルプ
リンタは複写(コピー)対象物の透過光または反射光を
R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)に分光し
て画像情報値を読み取る検出部1と、検出部1の出力信
号をY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブ
ラック)の色分解信号に変換する色分解部2と、前述し
た本発明の〈階調変換式(1)〉を用いて色分解信号を
適正な階調画像が形成されるように処理する階調変換部
3と、この階調変換部3の出力信号に基づいてプリンタ
の熱スタイラス(ヘッド)の加熱熱量を変化させ、これ
に応じてインクを記録用紙に転写する出力部4との四つ
のブロックから構成される。
ここに検出部1は、フォトマルや固体撮像素子(CC
D)など、原稿画像5の各部の透過光または反射光を検
出して、電流値としてのR、G、B、USM各信号を出力
し、この信号をA/V変換部6において電圧信号に変換す
る。
色分解部2は、ログアンプ7において、検出部1のR,
G,B,USMそれぞれの電圧信号を対数演算して濃度に変
換、ベーシックマスキング(BM)8においてこの濃度か
らブラック(K)成分を分離し、さらにY,M,Cの各成分
を分離する。即ち、本発明のサーマルプリンタにおい
て、複写対象物(印刷物など)は、まず、検出部1にお
いてフォトマルや固体撮像素子(CCD)などで構成され
る画像情報読取機構に記録あるいは蓄積され、色分解部
2において複写対象物の画像情報として、濃度情報値
(Dn)が入手される。これは、前記したごとく各色(Y,
M,C)成分毎に求める。次いで、前記濃度情報値(Dn
は、例えば記録媒体であるCCDの光電変換特性曲線を利
用して、光量に相関した画像情報値(Xn)、更には基礎
光量値(X)に変換される。これらは図示しないソフト
やハードのもとで行えばよい。また濃度情報値(Dn)か
ら光量に相関した画像情報値(Xn)などを求める機能
を、次に説明する階調調整部3に組込んでもよい。
なお、第4図(a)には、色分解部2の構成としてカ
ラーコレクション(CC)部9が示されている。ここにお
いてR,G,BおよびY,M,Cの各原稿色に対しY成分,M成分,C
成分をコントロールし、さらに原稿のブラック成分をUC
R/UCA部10のUCR(under color removal),またはUCA
(under color addition)において、Y,M,Cの3種のイ
ンクで表現する比率とK(ブラックインク)で表現する
比率を決定する。
このようにして、光量に相関した画像情報値に変換さ
れたY,M,C,K成分は、階調調整部11でY,M,C,Kから各色成
分の画素ブロックにおける画素濃度値(階調強度値)、
即ち各色成分の実効面積率を示すye′,me′,ce′,ke′
への変換を行う。階調調整部11は〈階調変換式(1)〉
のアルゴリズムを内部に持ち、Y,M,C,Kそれぞれについ
て〈階調変換式(1)〉を適用し、前記ye′,me′,c
e′,ke′を求める。
階調調整部11としては、〈階調変換式(1)〉のアル
ゴリズムをソフトウェアとして保有しかつA/D、D/AのI/
F(インターフェース)を有する汎用コンピュータ、ア
ルゴリズムをロジックとして汎用ICにより具現化した電
気回路、アルゴリズムの演算結果を保持したROMを含む
電気回路、アルゴリズムを内部ロジックとして具現化し
たPAL、ゲートアレイ、カスタムIC等々種々の形態をと
ることができる。
階調調整部11によって得られた各色成分の色濃度情報
に対応する実効面積率(画素の階調強度値)はカラーチ
ャンネルセレクタ12に入力され、カラーチャンネルセレ
クタ12はye′,me′,ce′,ke′を出力する。この出力はA
/D変換部13によりA/D変換されて、出力部4に入力され
る。出力部4では既知のサーマルプリント手段により、
ドットコントロール部14からの画像情報信号に応じたパ
ルス信号がサーマルヘッド16に加えられ、記録用紙17に
記録が行われる。なお、本実施例においては同図(b)
に示すような複色インクフィルム18を用いている。
第5図は本発明の第2の実施例のサーマルプリンタの
ブロック図である。第5図のものは、原稿画像の画像情
報信号として、TV信号を用いる。該TV信号は、複製対象
物の画像情報値に相関するものであり、これは被写体を
撮像するCCDなどの撮像素子の光電変換特性曲線を利用
して、第1実施例と同様に既に光量に相関した画像情報
値に変換されたものであることはいうまでもないことで
ある。
前記TV信号のY,M,C,K成分信号を〈階調変換式
(1)〉のアルゴリズムを有する階調調整部11に入力
し、カラーチャンネルセレクタ12を通してA/D変換装置2
1でデジタル信号を変換する。そしてこのデジタル信号
を半導体メモリー等のデータ記憶装置22に送って、これ
を必要画素数分アドレスを定めて記憶させ、スタートパ
ルスをアドレスカウンタ24に加え、又基準クロックをア
ドレスカウンタ24に送ると、アドレスカウンタ24により
1回目のアドレスがデータ記憶装置22に送られ、その番
地に入っているデータがデータ記憶装置22により送り返
され、このデータが濃淡データ比較回路25に送り込まれ
る。この時、データカウンタ26のカウントを0としてお
き、データ記憶装置から送り返されたデータとデータカ
ウンタ26よりのデータ(カウント0)との比較を濃淡デ
ータ比較回路25で行い、データ記憶装置22からのデータ
がデータカウンタ26よりのデータ(カウント0)に等し
いか又は大きければ、シフトレジスタ回路27に1の信号
を、小さければシフトレジスタ回路27に0の信号を送
る。そして、アドレスカウンタ24がサーマルヘッドの発
熱用抵抗体R1,R2,…,Rnの総数nをカウントし終ると、
データ転送パルスをラッチ回路28に1つ送る。又、最初
のデータパルスを送ると同時に加熱パルスをゲートG1,G
2,…,Gnに送る。
以後、同様にしてアドレスカウンタ24がnのカウント
を終了する度にデータカウンタ26のカウントを1つずつ
増加させ、最大発色濃度をmとするとアドレスカウンタ
24のnのカウントをm回行い、データカウンタ26の数と
データ記憶装置22から送り返されてくる各アドレスのデ
ータとをその都度濃淡データ比較回路25で比較し、デー
タ記憶装置22からのデータがデータカウンタ26からのカ
ウント数より大きいか等しければシフトレジスタ回路27
に1つの信号を送り、小さければ0の信号を送る。そし
て、アドレスカウンタ24がサーマルヘッドの発熱用抵抗
体R1,R2,…,Rnの総数nをカウントし終った時にデータ
転送パルスをラッチ回路28に1つ送り、又、同時に加熱
パルスをゲートG1,G2,…,Gnに送る。
このようにして、発熱用抵抗体R1,R2,…,Rnに所定の
時間電流が流されて加熱されたサーマルヘッド4と圧力
ローラ3との間に、転写紙2の熱溶融性インク2′と密
着して記録用紙1が矢印方向に速度Vで送り込まれてい
ると、アドレスカウンタ24がnのカウントに要する時間
をtとすれば、最大発色濃度に対応する部分ではmvtの
長さのドットの転写が行われ、又最小発色濃度に対応す
る部分ではvtの長さのドットの転写が行われ、それぞれ
の発色濃度に応じてvtの整数倍の長さのドットの転写が
行われて同図(b)のような単位面積当りの発色濃度を
変えた(サイズ変調法)記録画像を作成することができ
る。
第6図は本発明の第3の実施例のサーマルプリンタの
ブロック図である。
図中151〜153はドットパターン発生器、16はバッファ
メモリである。この例はM×Nドットを1画素に対応さ
せるドットパターン法と一般に呼ばれる中間調の再現方
法(密度変調法)である。ドットパターン発生器151〜1
53は〈階調変換式(1)〉により調整された各原色の濃
度レベルに応じて、レベルに応じた“1"の数を含むドッ
トのパターンを選択して出力する。またバッファメモリ
16はM×Nドットを1画素に対応させたために生じる速
度差、即ちドットの記録速度と画像情報信号の入力され
る速度のちがいを吸収するためのバッファである。
なお、同図(b)にM=N=4の時のドットパターン
の例を示す。
〔発明の効果〕
本発明は、次のような優れた効果を奏するものであ
る。
1) 複製画像を製作するうえで最も基本的な事項であ
る、連続階調画像などの原稿画像上の所定の画素の濃度
情報値と製作される複製画像(画素の分布によって記録
される画像)上の対応する画素の階調強度値との相関関
係を決めるにあたり、従来は専ら作業者の経験と勘、あ
るいは限られた数の固定予件の資料に基づくという非合
理的な方法によるものであった。これに対して、本発明
では、どのような予件の下にあっても、これを〈階調変
換式(1)〉のもとで合理的に決定することができる。
また連続階調画像などの原稿画像を画素の分布による複
製画像に変換するとき、最も重要な要素技術である階調
の管理(階調の変換、修正又は変更)の如何は、単に画
像の濃度階調のみに止まらず、画像の色調にも直接的に
深い係り合いをもっているため、本発明により濃度階調
と色調を合理的に管理することができる。即ち、階調の
調整機構に前記〈階調変換式(1)〉のアルゴリズムを
採り入れた本発明のサーマルプリンタは、階調変換作業
(色分解作業)を理論的、合理的に体系化し、その作業
を単純化することができ、その効果は極めて大きなもの
である。
2) 〈階調変換式(1)〉のアルゴリズムをサーマル
プリンタの階調調整機構に取り入れることにより、サー
マルプリンタが合理化、簡素化され、製造コストを低滅
させることが可能である。また、操作も簡易化、明確化
され、作業のやり直しを極端に少なくし、消耗資材の消
費を大幅に節約して、サーマルプリンタの性能を大幅に
向上させることができる。特に、サーマルプリンタの性
能において、原稿画像の品質がどのようなものであれ、
階調や色調に優れた複製画像を形成できるという大きな
メリットを有する。
3) 〈階調変換式(1)〉のアルゴリズムを採り入れ
た階調調整機構により、原稿画像の画像情報と切り離し
て合理的に、かつ簡便に画素の分布による記録画像の品
質の評価基準を規定することができる。従って、顧客の
多様化したニーズに合理的に対応することができる。
4) 〈階調変換式(1)〉に基づく階調変換法を採用
することにより、サーマルプリンタ機器の高度化にとも
なって必要とされる技術者の教育、訓練を〈階調変換式
(1)〉の運用を通じて効果的に行うことができ、かつ
日常作業における無用な労力を省き、新しい創造的開発
に向ける時間的余裕を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、カラーフィルムの写真濃度特性曲線を示す。 第2図は、第1図の写真濃度特性曲線に基づいて設定さ
れたX軸色分解カーブ(本発明の階調変換において使用
されるもの)を示す。 第3図は、第1図の濃度特性曲線に基づいて設定された
D軸色分解カーブ(従来例の階調変換において使用され
るもの)を示す。 第4図は、本発明の第1実施例の画像形成装置のブロッ
ク図である。 第5図は、第2実施例の画像形成装置のブロック図であ
る。 第6図は、第3実施例の画像形成装置のブロック図であ
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/36 H04N 1/40 - 1/407

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原稿画像の各画素の濃度情報値を原稿画像
    が所定の記録媒体に記録された媒体画像から入手し、該
    濃度情報値を階調調整機構で処理し、該処理信号に基づ
    いて、記録用紙上に1色または多色の中間調を有する複
    製画像を形成するためのサーマルプリンタにおいて、 前記階調調整機構が、 (i)原稿画像の各画素の濃度情報値(Dn値)を、記録
    媒体の有する濃度情報値(D値)と原稿画像から該記録
    媒体に入射される光量に相関した画像情報値(X値)と
    の関係を規定する濃度特性曲線を利用して、前記各画素
    の濃度情報値(Dn値)に対応する光量に相関した画像情
    報値(Xn値)に変換し、 (ii)更に、該光量に相関した画像情報値(Xn値)を、
    下記〈階調変換式(1)〉により階調調整のための階調
    強度値(y値)に変換すること、 を特徴とするサーマルプリンタ。
  2. 【請求項2】媒体画像が記録媒体としての光電変換素子
    上に記録されたものである請求項1に記載のサーマルプ
    リンタ。
  3. 【請求項3】記録媒体の特性曲線が、濃度情報値(D
    値)と原稿画像から記録媒体に入射される光量に相関し
    た画像情報値(X値)の関係を規定する光電変換特性曲
    線である請求項2に記載のサーマルプリンタ。
  4. 【請求項4】媒体画像が記録媒体としての写真感光材料
    上に記録されたものである請求項1に記載のサーマルプ
    リンタ。
  5. 【請求項5】記録媒体の特性曲線が、濃度情報値(D
    値)と原稿画像から記録媒体に入射される光量に相関し
    た画像情報値(X値)の関係を規定する写真濃度特性曲
    線である請求項4に記載のサーマルプリンタ。
  6. 【請求項6】中間調を有する複製画像が、ディザマトリ
    ックスにより形成されたドット密度の変調画像である請
    求項1に記載のサーマルプリンタ。
  7. 【請求項7】中間調を有する複製画像が、記録ドット径
    を変化させることにより形成されたドットサイズの変調
    画像である請求項1に記載のサーマルプリンタ。
  8. 【請求項8】中間調を有する複製画像が、記録ドット自
    体の濃度を変えることにより形成されたドット濃度の変
    調画像である請求項1に記載のサーマルプリンタ。
  9. 【請求項9】多色の複製画像が、複数の印字ヘッドと、
    それに対応する複数インクフィルムにより得られる請求
    項1に記載のサーマルプリンタ。
  10. 【請求項10】多色の複製画像が、単一の印字ヘッド
    と、多色がくり返し配列されたインクフィルムとにより
    得られる請求項1に記載のサーマルプリンタ。
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