JP3083581B2 - ネガカラー原稿の階調変換方法 - Google Patents

ネガカラー原稿の階調変換方法

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JP3083581B2 JP03096083A JP9608391A JP3083581B2 JP 3083581 B2 JP3083581 B2 JP 3083581B2 JP 03096083 A JP03096083 A JP 03096083A JP 9608391 A JP9608391 A JP 9608391A JP 3083581 B2 JP3083581 B2 JP 3083581B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ネガカラー原稿を使用
して多色製版により、即ちシアン版、ゼンタ版、イエ
ロー版(以下、C,M,Y版ともいう。)を組合わせ
て、さらには墨版(以下、B版ともいう。)を組合わせ
て印刷画像を製作ときの、合理的な階調変換法に関する
ものである。
【0002】
【従来技術】カラー写真の利用の普及と共に、製版・印
刷業界では、ネガカラーフィルムで撮影された写真画像
(以下、ネガカラー原稿という。)を原稿としてカラー
印刷画像を製作しなければならないケースが増大して来
ている。しかしながら、ネガカラー原稿は取扱いが極め
て難しいということから、一般的にはネガカラー原稿か
らポジカラーフィルム画像(以下、ポジカラー原稿とい
う。)あるいはポジカラー印画紙画像(以下、印画紙カ
ラー原稿という。)を作成し、これらを原稿として色分
解を行ない、多色刷用の各色版を製作すること(以下、
色分解あるいは色分解技術という。)が常法となってい
る。
【0003】ところで、一つの画像処理工程を経る毎
に、写真画像の画質が劣化することは通常のことであ
る。従って、ネガカラー原稿から画質の高いカラー印刷
画像を製作するためには、ポジカラー原稿や印画紙カラ
ー原稿に依存することなく、ネガカラー原稿そのものを
利用して、直接、色分解することが良いことは当然のこ
とである。
【0004】しかし、従来技術によるネガカラー原稿の
色分解においては、次のような理由から、今日まで、理
論と実務が整合する合理的なネガカラー原稿の色分解技
術が開発されていない。即ち; (1) スキャナオペレータやレタッチマンにとって、ネガ
カラー原稿の調子(濃度階調と色調)、画質内容を正確
かつ適切に判定することが、以下に説明するように極め
て難しい。ネガカラー原稿が、外界画像の視感正常色
に対して余色(W−R=C,W−G=M,W−B=Y)
の関係で表現されている。ネガカラーフィルム(写真
感材)は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三つの色光
に感光する三層の感光乳剤層のほかに、写真画像処理上
の技術的必要性から、より具体的には自動マスキングの
観点から赤感層と緑感層に色光の副吸収を補正するため
にマスクが施されており、このため、ポジカラーフィル
ムにはみられない、全体として褐色のフィルター層が設
けられたようにオレンジ色を呈している。ポジカラー
原稿に比較して、ネガカラー原稿の濃度域値の幅が狭
く、ほぼ約1/2 程度である。いうまでもなく、濃淡階
調がポジカラー原稿と逆転しており、被写体の状態を正
確かつ適切に認識することが難しい。 (2) ポジカラー原稿の場合と比較して、ネガカラー原稿
のR,G,Bの三つの色フィルターによる測定濃度域値
間のバラツキが大きい。 (3) 従来の色分解の主流であるポジカラー原稿の色分解
においてさえ、今日に至るまで合理的な色分解技術が無
く、本質的かつ実務的にはスキャナオペレータの経験と
勘に依存している。また、色分解装置として各種のスキ
ャナが開発されているが、スキャナの心臓部である画像
処理部に合理的な階調変換技術が組込まれていないた
め、基本的には、これらスキャナの色分解技術も経験的
なものである。なお、いうまでもないことであるが、ネ
ガカラー原稿の色分解技術の開発を困難にしているもの
は、前記した諸々の理由が互いに相乗しあって問題の解
決を複雑にしているためである。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】本発明者らは、長年
に亘る研究から、ネガカラー原稿の色分解においても、
ポジカラー原稿の場合と同様に、色分解において第一義
的に重要である画像の濃度階調の調整管理(グラデーシ
ョンコントロール)について体系的で合理的な理論の裏
付けを行ない、かつ従来の色分解技術の色補正技術(カ
ラーコレクション)を利用すれば、前記したネガカラー
原稿の取扱いを困難にしている諸要因(余色表現、濃淡
の逆転的表現、褐色フィルター、濃度域値の狭小などの
諸問題)が合理的に解決し得ることを確信するに至っ
た。
【0006】特に、色分解のスタート時に遭遇する大き
な問題、即ちネガカラー原稿から入手するRフィルター
濃度値(C版を製作するための濃度情報値)、Gフィル
ター濃度値(M版を製作するための濃度情報値)、及び
Bフィルター濃度値(Y版を製作するための濃度情報
値)の三つの色フィルター濃度域値の大きなバラツキの
問題については、ネガカラー原稿を製作するために使用
した写真感材のR,G,Bの各色感光乳剤層の写真濃度
特性曲線を利用しつつ、製版において基準となる版(例
えばC版)の濃度情報値と露光量値の関係を利用して他
版の濃度情報値を調整することによって解決しうること
を見い出した。なお、本発明においては、後述するよう
に写真濃度特性曲線を規定する露光量値に対して、該露
光量値を包含する光量値という用語が用いられる。従っ
て、以下、光量値という用語が用いられる。また、この
ように調整された濃度情報を網点階調へ変換するには、
本発明者らの提案する新規な階調変換式が有効であるこ
とを見い出した。本発明はこれら有用な知見に基づくも
ので、従来技術では困難視されて来たネガカラー原稿の
色分解に対し、合理的な色分解の方法を提供するもので
ある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明を概説すれば、
本発明は、ネガカラー原稿から多色製版(C,M,Y
版)により網点階調の印刷画像を製作するときの階調を
変換する方法において、 (i) 基準となる色版の指定した最明部(H)から最暗
部(S)に至る濃度域値(DH 〜DS )を、該色版を製
作するための色フィルターを介して設定すること、 (ii) 前記基準となる色版以外の他版の最明部(H´)
から最暗部(S´)に至る濃度域値(D´H 〜D´S
を、前記基準となる色版の濃度域値(DH 〜DS )を利
用して、下記のように設定すること、 (a) 基準となる色版の濃度域値(DH 〜DS )から、ネ
ガカラー原稿を製作するために使用した写真感材の写真
濃度特性曲線を介して基準となる色版の光量域値(XH
〜XS )を求める、 (b) 他版の最明部(H´)の色フィルター濃度(D
´H )から、該写真濃度特性曲線を介して最明部(H
´)に対応する光量値(X´H )を求める、 (c) 前記(b) で求めた光量値(X´H )に、前記(a) で
求めた光量域値(XH〜XS )を加えて、他版の最明部
(S´)の濃度値(D´S )を決定するための光量値
(X´S )を求める、 (d) 次いで、前記(c) で求めた光量値(X´S )から、
該写真濃度特性曲線を介して他版の最明部(S´)の濃
度値(D´S )を求める、 (e) 以上により、他版の最明部(H´)から最暗部(S
´)に至る濃度域値(D´H 〜D´S )を設定するこ
と、 (iii)前記 (i)の基準となる色版の濃度域値(DH 〜D
S )、及び他版の濃度域値(D´H 〜D´S )にある任
意の画素n点の濃度情報値(DnまたはD´n)を、該
写真濃度特性曲線を介して光量値(Xn)に変換し、さ
らに基礎光量値(xn)を求め、該基礎光量値(xn)
を下記<階調変換式(1) >により網点面積%値(axn
に変換すること、を特徴とするネガカラー原稿の階調変
換方法に関するものである。 <階調変換式(1) > axn=aH +α(1−10-k・xn)(aS −aH )/(α−β)……(1) 上式において、各記号の意味は以下の通りである。 xn:これはxn=[X−XH ]または[X´−X
´H ]で示される基礎光量値を表す。即ち、xnは、基礎
となる色版用または他版用の写真濃度特性曲線を利用し
て、原稿画像上の任意の画素n点の濃度情報値(Dnま
たはD´n)より求めた対応する画素の光量値(Xnま
たはX´n)から、原稿画像上の指定された最明部(H
またはH´)の濃度情報値(DH またはD´H )より求
めた対応する最明部の光量値(XH またはX´H )を差
し引いて求められる基礎光量値を示す。 axn:原稿画像中の任意の画素n点に対応した各色版
(C,M,Y版)上の画素に設定される網点面積%値。 aH :各色版の最明部(HまたはH´)に予め設定され
る網点面積%値。 aS :各色版の最明部(SまたはS´)に予め設定され
る網点面積%値。 α:印刷画像を形成するために使用される紙の表面反射
率。 β:β=10−γにより決定される数値。 k:k=γ/(XS −XH )または、γ/(X´S −X
´H )により決定される数値。但し、XS またはX´S
は、基準となる色版用または他版用の写真濃度特性曲線
を利用して、原稿画像上の最暗部(SまたはS´)の濃
度情報値(DSまたはD´S )より求めた対応する最暗
部の光量値(XS またはX´S )を示す。 γ:任意の係数。
【0008】以下、本発明の技術的構成について詳しく
説明する。本発明は前記したように、色分解の原稿とし
て「ネガカラー原稿」を使用する点に大きな特徴を有す
る。そして、ネガカラー原稿においては、その色分解を
困難にする諸々の要因があることは前記した通りであ
る。特に、色分解の作業のスタート時に遭遇する大きな
問題は、画像の濃度情報値を網点階調に変換するに際し
て、ネガカラー原稿の濃度情報値はポジカラー原稿に比
較して大きなバラツキがあるという点である。即ち、各
色版(C,M,Y版)を製作するためにこれらと補色関
係にあるR,G,B各色フィルターを介して入手される
濃度域値(ダイナミックレンジ)に大きなバラツキがあ
り、これはポジカラー原稿にはみられない点である。
【0009】本発明においては、前記した各色版を製作
するための階調変換のベースとなる濃度値及びダイナミ
ックレンジの大きなバラツキという問題を、多色製版に
おいて基準となる版(具体的には、例えばC版)の濃度
情報値をベースとして他版(具体的には、例えばM版及
びY版)の濃度域値を調整するというアプローチを採用
する。前記したアプローチの採用は、以下に示す知見に
よるものである。 (1) 各色(R,G,B)フィルターを介して入手される
各色版(C,M,Y)用の濃度域値に大きなバラツキが
あるが、最明部(H)の濃度値(D値)を、ネガカラー
原稿を製作するために使用した写真感材の写真濃度特性
曲線を利用して、光量値(X値)を求めるとき、各色版
においてほぼ同一の光量値(露光量値)となる。なお、
濃度値から光量値を求めには、濃度値(D値)と光量値
を(X値)の関係を示す写真濃度特性曲線が適切に関数
化(D=f(X) )されていなければならないことはいう
までもないことである。 (2) 原稿中の最暗部(S)の階調再現は、人間の視覚認
識力からみて最明部(H)の再現性ほどディテール表現
に配慮しなくてもよい。この点は、UCRあるいはGC
Rにより墨版(B版)を使用するときもいえることであ
る。以上のことから、基本となる色版、例えばC版の最
明部(H)と最暗部(S)の濃度情報値(DH ,DS
からR感光乳剤層の写真濃度特性曲線(R曲線)を利用
して光量値(XH )とそのレンジ(XH 〜XS )を求
め、該光量域値(XH 〜XS )を他の色版の濃度域値を
調整するために使用することは有効なことであると考え
る。即ち、他の色版、例えばMまたはY版のH部の濃度
値(D´H )からGまたはB感光乳剤層の写真濃度特性
曲線(G,B曲線)を利用して光量値(X´H )を求
め、これに前記の光量域値(XH 〜XS )を加え、次い
でこのようにして得られるX値からD値を求めるように
写真濃度特性曲線を利用して他の色版のS部の濃度値
(D´S )を求める。このようにして、他の色版の濃度
域値(D´H ,D´S )を合理的に調整することができ
る。なお、前記した「調整」の意味は、画像の階調変換
において画像情報値として濃度値でなく光量値を使用す
るときに調整されているということである。本発明は、
後述するように後者の光量値を階調変換時に使用するも
のである。
【0010】前記したネガカラー原稿のR,G,Bの三
つの色フィルターにより測定した濃度情報値について調
査した結果を表1に示す。
【0011】
【表1】
【0012】表1に示されるように、同じネガカラー原
稿を用い、同じH部とS部の濃度を測定しても、R/G
/Bの三つの色フィルターによる測定濃度情報値間に、
大きなバラツキがみられる。従って、前記したように、
ネガカラー原稿を色分解するにあたり、このような大き
な濃度値のバラツキを合理的に調整する方法を確立して
おくことは極めて重要なことである。
【0013】次に、本発明は、前記したように基準とな
る色版(例えばC版)、及び前記したようにして調整し
て得た他の色版(例えばM版,Y版)の画像情報値を特
定の<階調変換式(1) >により網点面積%値に階調変換
する点に大きな特徴を有する。ここで留意しなけれはせ
ならない点は、画像情報値として、本発明においては従
来技術のように濃度情報値を直接、階調変換するもので
はないということである。以下、前記した本発明の大き
な特徴点について、更に詳しく説明する。
【0014】(1) 写真濃度特性曲線を利用した画像情報
値の調整について。 本発明者らは、前記したように、ネガカラー原稿のR,
G,Bの三つの色フィルターによる測定濃度域値(濃度
レンジ)が、ポジカラー原稿と比較して大きなバラツキ
をもっているという現状認識に立ち、これがネガカラー
原稿の色分解を困難にしているものと考えた。そこで濃
度域値のバラツキを解消するべく検討した結果、これら
の濃度情報値をネガカラー原稿を製作するために使用し
た写真感材の写真濃度特性曲線を利用して光量値に変換
したとき、指定した最明部(H)のC,M,Yの三つの
色版の光量値がほぼ同じ値であること、そして該最明部
(H)の光量値を基準とし、かつ多色製版における基準
となる色版(例えばC版)の光量域値(光量レンジ)に
より三つの色版(C,M,Y版)の光量域値が同じにな
るように調整するとき、後述する<階調変換式(1) >の
運用のもとに優れた画質の印刷画像を複製することがで
きることを見い出した。
【0015】前記した画像情報値の調整法を説明する。
本発明において、まず原稿画像が撮影されているネガカ
ラー写真フィルム感材の写真濃度特性曲線を関数化しな
ければならない。これにより原稿画像中の任意の画素点
(n点)の濃度情報値(D)から対応する画素の光量
値(X)値を求めることができる。写真濃度特性曲線
は各写真感材メーカーから技術資料などとして与えられ
ているものを関数化すればよい。例えば、図1にEK社
製ベニカラーII、プロフッショナルフィルム(タイプ
L)の写真濃度特性曲線を示す。なお、図1の写真濃度
特性曲線は露光(タングステン、1秒)、処理(プロセ
スC−41)、濃度測定(ステータスM)により得られた
ものである。次に図1に示される写真濃度特性曲線の数
式化方法について説明する。写真濃度特性曲線の数式化
にあたっては適宜の方法により数式化すればよく、何等
の制限を受けるものではない。例えば、縦軸=D=log
Io /I,横軸=X(例えば縦軸と同じスケールで目盛
る。)とし、a,b,c,d,fを常数とすれば、 (イ)写真濃度特性曲線の足の部分(下に凸形状のとこ
ろで、D値が小さい領域)、 D=a・bc・(X+d)+e +f (ロ)略直線上の部分(略直線上のところで、D値が中
間値の領域)、 D=a・X+b または D=a・X2 +bX+c (ハ)肩の部分(上に凸形状のところで、D値が大さい
領域)、 D=a・log {b+(X+c)}+d などで数式化すればよい。あるいは、足の部分〜略直線
部分〜肩の部分を小分割し、それぞれを直線で近似させ
るように関数化してもよい。その際、足の部分と肩の部
分の階調をよく再現させるためにこの領域を可能な限り
小さく分割し直線で近似させることが好ましい。表2
に、その結果を示す。なお、表2には、可能な限り正確
に写真濃度特性曲線を数式化するために、数式化区分を
複数としている。
【0016】
【表2】
【0017】本発明においては、図1に示されるような
写真濃度特性曲線を関数化するとき、カラー写真原稿の
濃度値を示すD軸の目盛(スケール)と、被写体(実体
画像)のlog Eで示される光量値を示すX軸の目盛を同
一なものとしてDとXの関係を関数化した。より具体的
には、横軸の値として光量値の絶対値を使用せず、図示
されるようなポジに対するネガカラー原稿のコントラス
トの逆転を考慮して、かつ、関数化時に取扱い易いよう
に目盛り付をした。このD軸とX軸に関するスケーリン
グは、次の観点から行なったもので、本発明者らにおい
て全く合理的なものと考えている。即ち、写真濃度特性
曲線においては、該X軸には露光量Eの対数値(log E
=log I×t)が位置づけられ、これが人間の視覚の明
暗に対する対数的な弁別特性により評価される。一方D
軸は文字通り対数的な物理量を示し、これも人間の視覚
においては対数的に評価されている。従って、D軸とX
軸を相関させるとき同一スケーリングのもとで行なって
も何等の不合理はないと考える。なお、本発明において
上記の目盛りづけは一種の簡便法であり、これに限定さ
れないことは言うまでもないことである。例えば、図1
に示されるD軸の濃度値とX軸の露光量の対数値との数
値関係で関数化してもよく、このような相対的な意味に
おいて、本発明においては、X軸の物理量として露光量
値を含む概念として、「光量値」という用語を用いてい
る。
【0018】以上のようにして、ネガカラー原稿のフィ
ルム感材の写真濃度特性曲線が関数化(D=F(X)、
またはX=F-1(D))されたあと、基準となる色版の
濃度値をベースにして、他の色版の濃度値は次のように
して調整される。 (i) 基準となる色版の最明部(H)から最暗部(S)
に至る濃度域値(DH 〜DS )を該色版を製作するため
の色フィルターを介して設定すること、(ii) 前記基準
となる色版以外の他版の最明部(H´)から最暗部(S
´)に至る濃度域値(D´H 〜D´S )を、前記基準と
なる色版の濃度域値(DH 〜DS )を利用して、下記の
ように設定すること、(a) 基準となる色版の濃度域値
(DH 〜DS )から、ネガカラー原稿を製作するために
使用した写真感材の写真濃度特性曲線を介して基準とな
る色版の光量域値(XH 〜XS )を求める、(b) 他版の
最明部(H´)の色フィルター濃度(D´H )から、該
写真濃度特性曲線を介して最明部(H´)に対応する光
量値(X´H )を求める、(c) 前記(b) で求めた光量値
(X´H )に、前記(a) で求めた光量域値(XH
S )を加えて、他版の最明部(S´)の濃度値(D´
S )を決定するための光量値(X´S )を求める、(d)
次いで、前記(c) で求めた光量値(X´S )から、該写
真濃度特性曲線を介して他版の最明部(S´)の濃度値
(D´S )を求める、(e) 以上により、他版の最明部
(H´)から最暗部(S´)に至る濃度域値(D´H
D´S )を設定する。以上のようにして、各色版用の大
きなバラツキのあった濃度域値は合理的に調整される。
例えば、多色製版において基準となる版をC版としたと
き、RフィルターによりC版の濃度域値(DH 〜DS
を実測し、M版およびY版のH部濃度(D´H )は対応
する色フィルターにより実測されるもの、S部濃度(D
´S )は上記した調整法により決定され、これにより他
の色版の濃度域値(D´H 〜D´S )が決定される。
【0019】前記した調整例を具体例を用いて説明す
る。なお、C版を基準の色版とする。 (1) まず、ネガカラー原稿の指定されたHとSの濃度値
をRフィルターを用いて測定する。そして表2(関数
表)によりC版の光量値を求める。結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】(2) 次に、M版,Y版用のHの濃度を測定
するとともに、第2表から対応する光量値を求める。そ
して、表3のC版のXR=2.2479を加え、M,Y版のS
´の光量値(X´S )を算出し、最後に表2を利用して
M,Y版用の濃度値(D´S )を算出する。結果を表4
に示す。
【0022】
【表4】
【0023】以上のようにして、実測あるいは調整され
た各色版用の濃度値とそのダイナミックレンジ(D
R)、及びこれらに対応する光量値とそのダイナミック
レンジ(XR)を表5にまとめる。
【0024】
【表5】
【0025】表5に示される光量値(X)データは、
次に説明する階調変換のために重要な基礎データがあ
る。以上の手続によってネガカラー原稿の各色版用の濃
度値を調整したとき、M版でGフィルターの濃度値が0.
8146以下(即ち、ポジ化したときに、当該濃度値以下の
シャドウ部)及び、Y版でBフィルターの濃度値が1.15
11以下(即ち、ポジ化したときに当該濃度値以下のシャ
ドウ部)の部分には、後述するように本発明の<階調変
換式(1) >の運用により、予め設定された最大の網点面
積%値(aS )が入ることになる。この点は、一見する
と不合理なようにみえるが、シャドウ部には実務上、カ
ラー印刷画像の製作において色版(C,M,Y版)の三
色の画像の上に計算された墨版(B版)が印刷されるこ
と、かつシャドウ部のディテールは人間の視覚認識から
してハイライト部ほど強くその再現性が要求されないこ
と、などから何等の不合理を生んでいるものではない。
【0026】次に、本発明の<階調変換式(1) >のもと
での階調変換法について説明する。本発明の階調変換法
は、前記したようにネガカラー写真原稿の濃度情報値
(D値)を基礎とするものではなく、被写体(実体画
像、実景)が与えてくれる画像情報値、即ちX軸で表わ
される光量値(X値)を基礎とするものである。この
点は、特に強調されるべきであって、画像の階調変換に
おいて、従来技術のように写真感光剤の特性に影響され
たあとの画像情報値(濃度値)を利用するのでなく、本
発明は被写体を真に複製するという観点から写真感光材
の特性に影響される前の画像情報値、即ち、光量値を利
用するものである。本発明においては、基準となる色版
の濃度域値(DH 〜DS )、及び他の色版の調整された
濃度域値(D´H 〜D´S )にある任意の画素n点の濃
度値(D)から、前期したように写真濃度特性曲線を
介して対応する被写体(実体画像)上の画素の光量値
(X)を求め、該X値を前記<階調変換式(1) >に
代入することにより階調強度値である網点面積%値が計
算される。なお<階調変換式(1) >の運用に際して、光
量値(X)は前記したように基礎光量値(xn)に変
換しておかなければならないが、これはH部とS部に予
め設定された網点面積%値(aH ,aS )を入れるため
に必要な手当である。そして、例えばC版を製作するた
めには、カラースキャナーの網点発生器(ドットジェネ
レータ)を<階調変換式(1) >により出力されるC版製
作用の網点面積%値に連動するようにすればよいだけで
ある。他の色版も同様である。
【0027】本発明の前記した<階調変換式(1) >の誘
導過程を、ここで簡単に説明する。網点階調である印刷
画像の製作において、原稿画像中の各画素に対して設定
される網点面積%値の数値(axn)を求める<階調変換
式(1) >は、一般に認められる濃度公式(写真濃度、光
学濃度)、即ち D=log Io /I=log 1/T 但し、Io =入射光量、 I =反射光量又は透過光量、 T =I/Io =反射率又は透過率、 を基準として誘導したものである。この濃度Dに関する
一般公式を、製版・印刷に適用すると次のようになる。 製版・印刷における濃度(D´)=log Io /I=log
(単位面積×紙の反射率)/{(単位面積−網点面積)
×紙の反射率+網点面積×インキの表面反射率}=log
αA/[α{A−(d1 +d2 +…dn )}+β(d1
+d2 +…dn )] ここで、 A:単位面積、 dn :単位面積内にある夫々の網点の面積、 α:印刷用紙の反射率、 β:印刷インキの表面反射率、 である。本発明は、この製版・印刷に関する濃度式(D
´)を基本として、画像情報として濃度値でなく光量値
を使用するとともに連続階調である原稿画像上の標本点
(画素)(n点)における基礎光量値(xn)と、これに
対応した網点階調である印刷画像上の標本点における網
点の網点面積%の数値(axn)との関連づけが理論値と
実測値が合致するように、前記<階調変換式(1) >を誘
導したものである。
【0028】本発明の前記<階調変換式(1) >の運用に
おいては、一般にaH ,aS のパラメーター(なお、各
色版を区別するために、HとSの前にC,M,Yを付す
る。)は定数化されており、例えば、C版のaCHに5
%,aCSに95%,MおよびY版ではaMH=aYHに3%,
MS=aYSに90%という網点面積%が使用される。な
お、前記<階調変換式(1) >の運用において、濃度計に
より測定したDn値との関連で求めたXn値を使用し、
H ,aS に百分率数値を用いると、axn値も百分率数
値で算出される。周知のように前記したXn値、より正
確には基礎光量値(xn)とaxnの関係を図示したものは
色分解カーブ(階調変換カーブ)である。本発明におい
て、X軸の光量値を重視するということから、これをX
軸色分解カーブといい、従来のD軸の濃度値を重視する
ものをD軸色分解カーブとして区別する。本発明の<階
調変換式(1) >の運用において、他の重要なパラメータ
γの値は、以下に示す理由でC版用色分解カーブの設定
においては一般的には定数化されていると考えてよい。
即ちC版用X軸色分解カーブの設定において、γ値=0.
45に固定してよい。これは、本発明者らにより本発明の
<階調変換式(1) >の開発過程で画像情報値として濃度
値を採用する階調変換式を開発した経緯から導かれるも
のである。この階調変換式の骨格は本発明のものと大差
がないが、そのときのγ値=0.9 〜1.0 という黄インキ
のベタ濃度値を採用した。黄インキのベタ濃度値を採用
したのは、印刷インキの中で黄インキが人間の視覚に対
して他のインキと比較して最も大きな刺激値を有すると
いう理由からであり、これにより色分解作業の実務と良
く整合するD軸色分解カーブを設定することができた。
画像情報値として濃度情報値から光量値に交換した本発
明の場合、γ値はおよそ半分のγ=0.45で良いというこ
とが多くの実験例で支持された。階調変換に際して濃度
情報値から光量値に変更したとき、γ値をγ=0.45に変
更しなければならない理由は、写真濃度特性曲線の形状
により説明することができるものであり、このようにγ
値を合目的に変更しうるということを認識しておくこと
は本発明にとって重要である。なお、該パラメータγは
後述するように色分解カーブの形状を合目的に変化させ
ることができること、別言すればγ値を合目的に操作す
ることにより所望の階調特性を有する印刷物を製作する
ことができるため、極めて重要なパラメータである。従
って、γ値は、前記した値に固定されるものではない。
本発明の<階調変換式(1) >のパラメータの数値設定
は、所与の被写体(実体画像)の調子をあくまで忠実に
印刷画像に再現させるという立場と、意識的に調子を調
整(修正または変更)した印刷画像を製作しようとする
立場により相違してくる。後者の場合、γ値を意識的に
変化させることにより、X軸色分解カーブの形状を所望
のものに変更することができるため、種々の調子の印刷
画像が得られる。例えばX軸色分解カーブの形状を上に
凸形状としたいとき(H部〜中間調の調子を強調したい
とき)は、γ値を0より多きい値とし、ほぼ直線上にし
たいときはγ値を0に近づけ、逆に下に凹形状としたい
とき(中間調〜シャドウ部の調子を強調したいとき)
は、γ値をマイナスの値とすればよい。
【0029】本発明の前記<階調変換式(1) >の運用に
おいて、次のように変形して利用することはもとより、
任意の加工、変形、誘導するなどして使用することも自
由である。 axn=aH +E(1−10-k・xn)(aS −aH )……(2) 但し、E=1/(1−β)=1/(1−10−γ) 前記の変形例は、α=1としたものである。これは、例
えば印刷画像を表現するために用いられる印刷用紙(基
材)の表面反射率を100 %としたものである。αの値と
しては、任意の値を取り得るが、実務上紙の白度に零点
調整するため0.1 として構わない。なお、前記変形例
(α=1.0 )によれば、印刷画像上の最明部Hにa
H を、最暗部SにaS を予定した通りに設定することが
でき、これは本発明において大きな特徴をなしている。
このことは、印刷画像上の最明部Hにおいては、定義に
よりxn=0となること、また最暗部Sにおいてはxn=X
Sn−XHnとなること、即ち、 −k・xn=γ・(XSn−XHn)/(XSn−XHn)=−γ となることから明らかである。このように、本発明の<
階調変換式(1) >(α=1の変形例)を利用するに当
り、常に予定した通りのaH とaS を印刷画像上に設定
することができることは、利用者が作業結果を考察する
上で極めて重要なことである。例えば印刷画像における
H とaS に所望する値を設定し、γ値を変化させると
(但し、α=1.0 )、各種のX軸色分解カーブが得られ
る。そして、これらのX軸色分解カーブのもとで得た印
刷画像をγ値との関係で容易に評価することができる。
特に製版実務において重要な点は、本発明で得られるX
軸色分解カーブが、従来のD軸色分解カーブと相違して
最終製品としての印刷画像のH〜Sに至る階調特性、調
子を表示しているという点である。即ち、製版作業者
は、所定のaH,aS 及びγ値のもとで得られるX軸色
分解カーブから、その形状の考察を通じて最終印刷画像
の仕上り(調子)を的確に予測することができる。これ
は、画質が相違する(例えば露光条件が相違する)複数
の原稿画像に対して、夫々に設定されるX軸色分解カー
ブが全て1つの同じカーブのものに収れんするという本
発明の階調変換法の大きな特徴によるものである。これ
に対して、従来のD軸色分解カーブ(同じaH ,aS
びγ値を採用する。)は、画質の異なる夫々の原稿画像
に対応する複数のカーブのものであり、その形状は複雑
なものである。従って、製版作業は、そのカーブを考察
しただけでは最終の印刷画像がどのようなものであるか
を的確に予測することができない。前記したことの意味
は極めて重要であり、製版作業者は各色版(C,M,
Y)と墨版(B)のX軸色分解カーブを例えばモニター
表示させることにより、最終印刷画像の仕上りを的確に
予測することができるため、各種の校正作業を不要なも
のとすることができる。即ち、本発明により、直接製版
(ダイレクト・プレート製版法)が可能となる。また、
本発明の前記<階調変換式(1) >の運用において、k値
がγ値になるように、即ち、(XSn−XHn)値が1.0 に
なるように正規化してもよい。このようにXHn〜XSn
ダイナミックレンジを0〜1=1.0 に正規化すると<階
調変換式(1) >の計算が極めて容易なものとなる。もと
よりダイナミックレンジ内の各画素の光量値(xn)も、
該正規化に準じて変化するが、相対的な変化であるため
色分解カーブの設定に何等の支障をきたすものではな
い。本発明の前記<階調変換式(1) >を使用した画像の
階調変換法は、被写体(実体画像)の階調や色調の再
現、即ち被写体の調子を作業規則性をもって印刷画像に
1:1に再現させるうえで極めて有用であるが、その有
用さはこれに限定されるものではない。本発明の前記<
階調変換式(1) >は、被写体の特性の忠実な再現性以外
にも、α,γ値、更にはaH ,aS 値を適宜選択するこ
とにより被写体の画像特性を合理的に変更したり修正し
たりすることができるため極めて有用なものである。次
に、多色製版(一般にC版,M版、Y版,B版の四版が
一組と考えられている。)に本発明の前記<階調変換式
(1) >を運用して、それぞれのX軸色分解カーブを設定
するには、次のようにすれば良い。前記<階調変換式
(1) >は多色製版のうち、一番重要な版であるC版を合
理的に決めるという観点から導出されている。従って、
前記<階調変換式(1) >の運用によりまずC版用のX軸
色分解カーブを設定し、その他のM版、Y版用のX軸色
分解カーブはグレーバランスやカラーバランスを維持す
るように当業界において周知の適切な調整値を乗じるこ
とにより決めればよい。例えばC版用のγ値(例えば0.
45)を用い、M版とY版用に異なるγ値(例えば0.185
)を用いて夫々のX軸色分解カーブを設定すれば良
い。多くの場合、前記したγ値のもとでグレーバランス
やカラーバランスを維持することができる。なお、墨版
(B)用の色分解カーブとしては従来のものを用いても
よいし、本発明者の先に提案したC版用のX軸色分解カ
ーブを基準にして設定した墨版用X軸色分解カーブを利
用してもよい。
【0030】以上のようにして、本発明により、ネガカ
ラー原稿のR,G,Bの三の色フィルターにより入手し
た各色版用の濃度情報値(Dn)を調整するとともに対
応する光量値(Xn)を求め、得られた光量値(Xn)
を<階調変換式(1) >を用いて網点階調の画像情報であ
る網点面積%値(axn)に変換することによって、対応
するシアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)の
各色版を合理的に製作することができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。なお、本発明は実施例のものに限定される。 (1) ネガカラー原稿 ネガカラー原稿としてEK社製の4”×5”のベリカラ
ーII プロフェッショナル フィルムタイプを使い、調
子再現ステト用の用具を配置した室内で女性を撮影した
ものを用いた。また、同原稿のHとSの部位の決定、な
らびにおよその濃度階調あるいは色調や色の再現性を検
討するために、同原稿よりポジカラー印画紙画像を製作
した。 (2) 各色フィルターによる濃度値の測定、及び濃度域値
の調整 ネガカラー原稿のR,G,Bの各色フィルターを介して
測定した濃度域値を調整するために、基準となる色版
を、当業界の常法に従ってC版とした。 (i) まず、マクベス濃度計DP−604 を用いて、ネガ
カラー原稿のHとSのR,G,Bの各フィルターを介し
て濃度値を測定した。結果を表6に示す。なお、表6に
はR(C版)の濃度域値DRを1.00にしたときの他版の
相対的な濃度域値(DR)が示されている。これによ
り、大きな濃度域値のバラツキが各色版間に存在するこ
とが判る。
【0032】
【表6】
【0033】(ii) 次に、C版のHとSの濃度値
(DH ,DS )から、表2を用いて光量値を求め、C版
の光量域値(XR)を求めた。結果を表7に示す。
【0034】
【表7】
【0035】(iii)次に、M、Y版のハイライト部(H
´)の濃度値(D´H )を対応する色フィルターを介し
て求め、表2を用いて夫々のH´の光等値を算した。そ
して、前記H´の光量値にC版のXR(光量域値)を加
え、M、Y版のシャドウ部(S´)の濃度値(D´S
を決定するためのS´の光量値を算出する。更に、前記
S´の光量値から表2を用いて、M、Y版のシャドウ部
(S´)の濃度値(D´S )を求める。以上のようにし
て実測及び算出されたH(H´)とS(S´)の濃度値
が、当該ネガカラー原稿を色分解するための基礎データ
となる。これらのデータを、その作業手順に従って表8
にまとめる。
【0036】
【表8】
【0037】(3) スキャナのセットアップデータ 以上の資料に基づいて,C,M,Yの各色版を製作する
ためのスキャナのセットアップデータ作成した。結果を
表9に示す。なお、表9の作成に当り、<階調変換式
(1) >の運用条件は、次の通りである。 (i) C版 aCH=5%,aCS=95%, α値=1.00,γ値=0.45 (ii) M版,Y版 aMH=aYH=3%,aMS=aYS=90%, α値=1.00,γ値=0.185 なお、表9において、濃度値(Dn)と網点面積%値
(axn)の関係を図示すると従来のD軸色分解カーブが
得られる。また光量値(Xn)と網点面積%値(axn
の関係を図示するとX軸色分解カーブが得られる。そし
て、各色版の光量域を正規化、例えば0〜1.0 に正規化
してX軸色分解カーブを整理すると、同一のカーブに収
れんする。これに対し、D軸色分解カーブにはこのよう
な特徴はみられない。
【0038】
【表9】
【0039】(4) 製版と結果 色分解用スキャナとして、クロスフィールド社製マグナ
スキャンを使用し、また色校正としてデュポン社製クロ
マリン校正機を使用した。また、墨版(B版)は、当業
界の常法に従いスケルトン型の墨版を使用した。以上の
ようにして、前記ネガカラー原稿を色分解し、クロマリ
ン校正機で校正したカラー印刷画像は、H〜Sに至るま
での階調が人間の視覚にとって極く自然のものであり、
しかもシャープさがあった。また、色調も良く整い、従
来技術より優れた調子(階調と色調)を有するものであ
った。
【0040】
【発明の効果】従来のネガカラー原稿に対する色分解技
術はオペレーター等の経験や勘に大きく依存したもので
ある。このことは、色分解作業に不可欠なスキャナにお
いて、その心臓部である画像処理部が合理的、科学的に
構成されていないことの反映である。これに対して、本
発明が提供するネガカラー原稿の色分解技術は、ネガカ
ラー原稿の調子や画質に左右されることなく、合理的に
色分解することができ、優れた調子(濃度階調と色調)
をもつカラー印刷画像を製作することができる。これは
連続階調のネガカラー原稿から網点階調のカラー印刷画
像への階調変換に際して、画像処理に付される画像情報
のフラツキ要因を予め調整するとともに、光量値をベー
スとする全く新規な<階調変換式>のもとで階調変換す
るという技術的構成のもとで達成されるものである。い
うまでもなく、本発明はカラー印刷画像を製作する印刷
産業に限らず、ネガカラー画像をベースとして画像を複
製しようとする全ての画像処理分野、及び関係機器に利
用できることはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ネガカラーフィルムの各感光乳剤層の写真濃
度特性曲線を示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ネガカラー原稿から多色製版(C,M,
    Y版)により網点階調の印刷画像を製作するときの階調
    を変換する方法において、 (i) 基準となる色版の指定した最明部(H)から最暗
    部(S)に至る濃度域値(DH 〜DS )を、該色版を製
    作するための色フィルターを介して設定すること、 (ii) 前記基準となる色版以外の他版の最明部(H´)
    から最暗部(S´)に至る濃度域値(D´H 〜D´S
    を、前記基準となる色版の濃度域値(DH 〜DS )を利
    用して、下記のように設定すること、 (a) 基準となる色版の濃度域値(DH 〜DS )から、ネ
    ガカラー原稿を製作するために使用した写真感材の写真
    濃度特性曲線を介して基準となる色版の光量域値(XH
    〜XS )を求める、 (b) 他版の最明部(H´)の色フィルター濃度(D
    ´H )から、該写真濃度特性曲線を介して最明部(H
    ´)に対応する光量値(X´H )を求める、 (c) 前記(b) で求めた光量値(X´H )に、前記(a) で
    求めた光量域値(XH〜XS )を加えて、他版の最明部
    (S´)の濃度値(D´S )を決定するための光量値
    (X´S )を求める、 (d) 次いで、前記(c) で求めた光量値(X´S )から、
    該写真濃度特性曲線を介して他版の最明部(S´)の濃
    度値(D´S )を求める、 (e) 以上により、他版の最明部(H´)から最暗部(S
    ´)に至る濃度域値(D´H 〜D´S )を設定するこ
    と、 (iii)前記(i) の基準となる色版の濃度域値(DH 〜D
    S )、及び他版の濃度 (D´H 〜D´S )にある任
    意の画素n点の濃度情報値(DnまたはD´n)を、該
    写真濃度特性曲線を介して光量値(Xn)を求め、さら
    に基礎光量値(xn)に変換し、該基礎光量値(xn)
    を下記<階調変換式(1) >により網点面積%値(axn
    に変換すること、 を特徴とするネガカラー原稿の階調変換方法。 <階調変換式(1) > axn=aH +α(1−10-k・xn)(aS −aH )/(α−β)……(1) 上式において、各記号の意味は以下の通りである。 xn:これはxn=[X−XH ]または[X´−X
    ´H ]で示される基礎光量値を表す。即ち、xnは、基礎
    となる色版用または他版用の写真濃度特性曲線を利用し
    て、原稿画像上の任意の画素n点の濃度情報値(Dnま
    たはD´n)より求めた対応する画素の光量値(Xnま
    たはX´n)から、原稿画像上の指定された最明部(H
    またはH´)の濃度情報値(DH またはD´H )より求
    めた対応する最明部の光量値(XH またはX´H )を差
    し引いて求められる基礎光量値を示す。 axn:原稿画像中の任意の画素n点に対応した各色版
    (C,M,Y版)上の画素に設定される網点面積%値。 aH :各色版の最明部(HまたはH´)に予め設定され
    る網点面積%値。 aS :各色版の最明部(SまたはS´)に予め設定され
    る網点面積%値。 α:印刷画像を形成するために使用される紙の表面反射
    率。 β:β=10−γにより決定される数値。 k:k=γ/(XS −XH )、または、γ/(X´S
    X´H )により決定される数値。 但し、XS またはX´S は、基準となる色版用または他
    版用の写真濃度特性曲線を利用して、原稿画像上の最暗
    部(SまたはS´)の濃度情報値(DSまたはD´S
    より求めた対応する最暗部の光量値(XS またはX
    ´S )を示す。 γ:任意の係数。
  2. 【請求項2】 ネガカラー原稿を製作するために使用し
    た写真感材の写真濃度特性曲線が、縦軸を濃度値、横軸
    を光量値とした直交座標系で表示されるものである請求
    項1に記載のネガカラー原稿の階調変換方法。
  3. 【請求項3】 横軸のスケールを、縦軸の濃度値スケー
    ルに適合させ、濃度値から横軸の光量値を求めるもので
    ある請求項2に記載のネガカラー原稿の階調変換方法。
  4. 【請求項4】 基準となる色版がC版である請求項1に
    記載のネガカラー原稿の階調変換方法。
  5. 【請求項5】 各色版の光量域値(XH 〜XS またはX
    ´H 〜X´S )を1.0 (0.0 〜1.0 )に正規化したもの
    である請求項1に記載のネガカラー原稿の階調変換方
    法。
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