JP2741141B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

高炉操業方法

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JP2741141B2 JP29663092A JP29663092A JP2741141B2 JP 2741141 B2 JP2741141 B2 JP 2741141B2 JP 29663092 A JP29663092 A JP 29663092A JP 29663092 A JP29663092 A JP 29663092A JP 2741141 B2 JP2741141 B2 JP 2741141B2
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和也 国友
守政 一田
保彦 藤原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高炉操業法に係わり、特
に不調傾向の高炉の炉況回復を図る高炉操業方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】高炉は鉱石の還元性の良否、鉱石、コー
クス等の粉化し易さなどにより炉況が変化する。また
スリップ、吹き抜けなどの現象も突発的に発生すること
があり、これにより炉況が悪化する。さらに近年製鋼工
程の負担軽減のため低Si操業が指向されており、この
ために燃料比を下げ炉熱を低下させると炉況の変動に伴
って冷込みが発生しやすい。
【0003】これらのことにより炉況が悪化した場合、
O/C比(鉱石/コークス)を下げて操業し、炉況の回
復を図る。しかしながら炉況が悪いときには炉内ガスの
偏流が生じていることが多く、吹き抜けが頻発し、回復
するのに時間がかかることが多い。そのうえ羽口前で発
生した熱量の大部分は羽口よりも上方の装入物の加熱に
費され、下方は直接的には加熱されないため、炉下部が
冷え込むと昇温に長時間を要し、この間出銑量が減少す
るという問題がある。
【0004】高炉炉芯部はコークス粒子が堆積して構成
されており、シャフト部の装入物が数時間で炉内を通過
するのに対して炉芯は数日間から数週間を要してコーク
スが入れ替わるものと推定されている。この炉芯部に高
温の炉内ガスが充分流れている間は活性化状態にあり問
題はないが、コークス粒子が急激に微細化したり、羽口
から吹き込んだ微粉炭の燃え残り(未燃チャー)が堆積
したりして炉芯部の通気性が悪化し炉内ガスが流れ難く
なると、炉芯部の温度が局部的あるいは全体的に低下し
始め、粉コークス、未燃チャー、灰等が滞留してますま
す炉内ガスが流れ難くなり、滴下、流動すべき溶銑、溶
滓の粘性が高まり炉芯内に滞留し、そして炉下部の冷え
込みに至ることになる。
【0005】これを送風条件、例えば特開昭61−19
9006号で開示されているようなプラズマ発生装置を
用いて送風温度を上昇させるとか送風湿分、微粉炭など
の吹き込み量を調整したとしても、高温の送風はもはや
炉芯内部に侵入することができず、仮に炉芯部表面が加
熱されたとしても炉芯内部の粉コークス、灰、スラグ等
の排除には至らない。また装入物分布の制御や、コーク
ス比を増大させても上記のような状態の炉芯はなかなか
置換されないので炉芯部の冷え込みを抑えることはでき
ない。さらに円周バランスの崩れ、荷下がりが平均化せ
ず、炉況が不安定になる場合が多々ある。
【0006】従って、装入物分布の制御、送風条件の調
整等多面的にアクションをとって円周バランスを改善す
る方法が種々提案されているが、炉況回復には長期を要
し、即効的な手段が未だ見出されていないのが現状であ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に対して、炉
芯部に直接の処置を行なう方法として特開平2−775
06号公報に開示されているものがある。これは炉芯部
にランスを挿入して燃料ガスと空気等を送り込み加熱昇
温するものである。この方法は炉芯部の速効性ある加熱
方法として有効であるが、管を挿入する場合炉芯部のあ
まり深いところへ入れようとすると、管内にコークスが
入り込みガスの供給が困難になるおそれがあるので、深
部に入れる場合には最初にこの方法で炉芯コークスを掘
削しておいてさらに奥に挿入するなどの手間を要するこ
とになる。大径の管を挿入した場合管内にコークスが入
り込みやすいので、ある程度小径の管を挿入するなどの
工夫も必要となる。
【0008】またこのような管を挿入する場合、すでに
ある開口部として羽口部より行なうのが最も簡易である
が、この場合管からの気体の送給と羽口からの送風は同
時に行なうことができない。すなわち羽口より送風を同
時に行なうと管がレースウェイの高温に曝されることに
なるからである。したがって挿入した管への気体の送給
は休風時か、送風時に当該羽口だけ送風を遮断して行な
うなどの方法をとる必要がある。
【0009】本発明は上記問題点に鑑み、炉芯部に気体
を送給するための管を挿入する場合において、管内への
コークスの詰まりを生ずることなく行なう方法を提供す
る。またさらに進んで羽口からの送風を行なう通常の操
業中においても炉芯部へ直接気体の送給を行なえる、よ
り作業の容易な方法を提供することも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、先端が開放された金属管よりなる内
管と外管の二重管を、高炉の休風時に高炉炉芯部に挿入
した後、前記内管のみを抜き出し、前記外管に気体を送
り込むことを特徴とする高炉操業方法である。またここ
において、羽口部より二重管を挿入すること、外管より
気体を送り込んでいる間に管を挿入していない羽口より
送風を開始することも特徴とする。
【0011】また先端が開放された金属管よりなる内管
と外管の二重管を、高炉の休風時に羽口部より高炉炉芯
部に挿入して外管は終端が炉内に入る位置にした後、前
記内管のみを抜き出し前記外管を炉内に残留せしめ、羽
口より送風を行なうことを特徴とする高炉操業方法であ
る。
【0012】また先端が開放された金属管よりなる内管
と外管の二重管であって、外管は途中に継ぎ目を有し軸
方向に押しているときには結合状態にあるが引張ったと
きには抜けて分離するものを、高炉の休風時に羽口部よ
り高炉炉芯部に挿入して前記継ぎ目が炉内に入る位置に
した後、前記内管および外管を引き抜き外管の前記継ぎ
目より先の部分のみを炉内に残留せしめ、羽口より送風
を行なうことを特徴とする高炉操業方法である。
【0013】またこれらの方法を実施するにあたり、二
重管を高炉内に挿入するときにおいて、その先端部分の
内径が他の部分の内径より小さくなっていることも特徴
とする。
【0014】
【作用】本発明においては高炉の休風時に高炉炉芯部に
二重管を挿入する。二重管は先端が開放された金属管よ
りなる内管と外管とで構成されている。すなわち内管と
外管とは密着しておらず自由に抜き差しできるものと
し、強度の点から金属管が適当である。また金属管は炉
内に置き去りにして消耗させるか比較的短時間だけ炉内
に挿入するので、水冷は前者の場合全く不要であるし、
後者の場合も通常は行なう必要がない。挿入箇所は高炉
の羽口部が容易に行なえて適当である。しかし目的によ
っては別に開口部を設けてそこから挿入してもよい。
【0015】図1は本発明の高炉操業方法を示す高炉下
部の断面図で、羽口部4から内管2と外管3よりなる二
重管1を挿入する場合を示している。図において5は炉
芯、6は送風支管、7は挿入台車である。この状態から
内管2のみを抜き出すと管内のコークスは内管とともに
取り出され、外管3はそのまま炉内に挿入された状態で
残る。したがって外管に加熱した空気や酸素富化空気な
どの気体を送給して炉芯の活性化を図ることができる。
【0016】この方法においては気体を送給して炉芯の
活性化を行なった後、外管を引き抜いて挿入口8を塞ぎ
羽口からの送風を開始すればよい。また外管が挿入され
た羽口のみ送風を遮断して、外管からの気体の送給と並
行して他の羽口から送風を行なうこともできる。また羽
口以外の部分から二重管を挿入した場合には羽口からの
送風と並行して外管からの送風を行なえる。なお外管は
非水冷の管を使用し、気体の送給中に損耗するにまかせ
た後、残った部分のみを炉外に取り出すのが簡便で好ま
しい方法である。
【0017】また本発明の別の方法として、図1に示し
た羽口部4から二重管1を挿入し、内管2のみを抜き出
し管内のコークスを内管とともに取り出すことは前と同
様であるが、外管3はその終端が炉内にあって外管全体
を炉内に残す方法がある。図2はこの方法を示す高炉下
部の断面図である。二重管としては終端まで炉内に入る
短いものを用い、挿入ヘッド9として長いものを使用す
る。図3は二重管と挿入ヘッドの結合部分を示す断面図
であるが、挿入ヘッド9により炉内に二重管を挿入して
引き抜いたとき内管2は一緒についてくるが、外管3は
抜けてそのまま残るようになっている。図2はこのよう
にして途中まで内管2を引き抜いた状態を示している。
さらに引き抜いて内管を全部炉外に出した後、挿入口8
を塞いで羽口より送風を開始する。
【0018】この方法により羽口からの送風は炉内に残
された外管3の中を通り炉芯の奥の方に入ることがで
き、微粉コークス、未燃焼チャー等を燃焼させて炉芯の
通気性、通液性を改善して活性化することができる。炉
内に残された外管はやがて熱により変形、溶損すること
になるが、それまでの間に目的を達することができる。
この方法は先の方法の外管から直接炉内にガスを吹き込
む方法に比べてその効果はゆるやかであるが、羽口から
の送風と別個にガスを吹き込まないので炉内のガス反応
やガス収支に影響を与えることがない。この方法におい
ては二重管の使用により、管内にコークスが詰まる問題
がなく十分に径の大きな管が使用できるから、管の径を
大にすれば羽口からの送風が入りやすくなり、効果をよ
り大きくすることもできる。炉内に残した管が完全に損
耗し、さらにこの部分の空洞が完全に塞がるにはかなり
の時間があるので羽口よりの送風中、すなわち高炉の操
業中かなり長時間にわたり炉況改善効果を得ることがで
きる。
【0019】この方法において外管全体を高炉炉内に残
すには、上記のように外管、内管とも短くして挿入ヘッ
ド先端が炉内に入るようにすればよい。他の方法として
は外管の途中に継ぎ目を作り、押し込み時には結合状態
にあるが引き抜き時には容易に抜けて分離するようにし
てもよい。図4はこの方法における外管の継ぎ目の部分
を示す断面図である。内管は連続した1本の管である
が、外管は炉内側の部分3Aと炉外側の部分3Bとに分
かれており継ぎ目10を有している。継ぎ目10におい
ては押し込み時には結合状態にあるが、ゆるく差し込ま
れているだけなので引き抜き時には容易に分離する。こ
の場合継ぎ目が炉内にある状態で内管と外管の炉外側と
を同時に引き抜けば外管の先の部分を炉内に残すことが
できる。
【0020】本発明の方法を実施するにあたり、二重管
の先端部分は単に管が二重になっているだけでもよい
が、炉芯に挿入したときの管内でのコークスの詰まりを
防ぎ、円滑に内部までコークスを取り込むため先端形状
を変えるとよい。図5はこの例を示すが、先端部は外管
3のみになっており内管2の先端部はこれより後退した
位置になっている。そして外管3の先端部3Cは、内径
が他の部分の内径より小さくなっていると同時に内管2
の内径よりもさらに小さくなっている。これにより二重
管を炉内に挿入したとき管内に入った炉芯コークスは内
管の内径が外管の先端部分3Cの内径より大になってい
るので圧縮されることなく内管の奥の方へ円滑に入って
いくことができる。
【0021】また図6は他の例を示すが、内管2の先端
部2Cの内径が他の部分より小さくなっており、これに
より先の例と同様の効果を得ることができる。なおこの
例では外管3の先端部分3Cが先細になっており、挿入
抵抗を小さくするようにしている。なお、上記いずれの
場合でも二重管の先端部分の内径を小さくした部分の長
さは他の部分の内径の同程度以下にすべきであり、あま
り長いと効果が小さくなる。また内径を小さくする程度
は他の部分の内径の5%から15%程度小さくすればよ
い。
【0022】
【実施例】
実施例1 本発明の高炉操業方法を内容積3880m3 の高炉にお
いて実施した。高炉操業中においてスリップ多発、炉熱
低下など操業状態に不調が認められたので、休風後図1
に示した方法により、外管の外径215mm、内管の内
径180mmの非水冷の鋼管よりなる二重管を高炉炉内
の炉壁より4mの位置まで挿入した。そして内管を抜き
出して内容物のコークスを調べたところコークス粒度3
mm以下のものが38%、また−1mmの粉において未
燃チャーが55%あり、炉芯の通気性、通液性が不良に
なっていると判断された。そこで図1には示さない加熱
装置により700℃に加熱した空気を外管より6000
Nm3 /h吹き込んだ。1時間後外管のうち溶損しなか
った部分を炉内から抜き出し送風を開始して安定した操
業をすることができた。
【0023】実施例2 高炉操業中においてスリップ多発、炉熱低下など操業状
態に不調が認められたので、休風後図1に示した方法に
より、外管の外径215mm、内管の内径180mmの
非水冷の鋼管よりなる二重管を高炉炉内の炉壁より4.
5mの位置まで挿入した。この例においては外管は先端
から3.8mの位置に図4に示すような継ぎ目10を有
している。そして内管と外管の炉外側とを炉外に抜き出
し、外管の炉内側を高炉内に残した。なおこのとき内管
の内部に採取されたコークスを調べたところ、コークス
粒度3mm以下のものが33%、また−1mmの粉にお
いて未燃チャーが47%あり、炉芯の通気性、通液性が
不良になっていると判断された。その後挿入口を閉塞し
て羽口より送風を開始した。その結果炉況は急速に回復
し、5時間後にはほぼ正常な状態になった。
【0024】
【発明の効果】本発明の高炉操業法においては炉芯への
気体吹込みに際して、二重管を炉芯に挿入してコークス
を抜き取るので管内が閉塞することなく気体吹込みがで
き、急速な炉況回復ができる。また抜き取ったコークス
によりコークスの粉率などの炉芯状態に関する情報も得
られる。さらに外管を炉内に残留せしめて羽口より送風
する方法においては効果の発生はやゝゆるやかであるが
炉内反応状態に影響を与えることなく通気性、通液性の
改善が可能である。また燃料比の増加、出銑量の低下を
生ずることなく安定な操業ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を示す高炉炉下部の断面図
【図2】本発明の方法を示す高炉炉下部の断面図
【図3】本発明の方法に使用する二重管の構成を示す断
面図
【図4】本発明の方法に使用する二重管の構成を示す断
面図
【図5】本発明の方法に使用する二重管の構成を示す断
面図
【図6】本発明の方法に使用する二重管の構成を示す断
面図
【符号の説明】
1 二重管 2 内管 3 外管 4 羽口部

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端が開放された金属管よりなる内管と
    外管の二重管を、高炉の休風時に高炉炉芯部に挿入した
    後、前記内管のみを抜き出し、前記外管に気体を送り込
    むことを特徴とする高炉操業方法。
  2. 【請求項2】 羽口部より二重管を挿入することを特徴
    とする請求項1記載の高炉操業方法。
  3. 【請求項3】 外管より気体を送り込んでいる間に管を
    挿入していない羽口より送風を開始すること特徴とする
    請求項1または請求項2記載の高炉操業方法。
  4. 【請求項4】 先端が開放された金属管よりなる内管と
    外管の二重管を、高炉の休風時に羽口部より高炉炉芯部
    に挿入して前記外管は終端が炉内に入る位置にした後、
    前記内管のみを抜き出し前記外管を炉内に残留せしめ、
    羽口より送風を行なうことを特徴とする高炉操業方法。
  5. 【請求項5】 先端が開放された金属管よりなる内管と
    外管の二重管であって、外管は途中に継ぎ目を有し軸方
    向に押しているときには結合状態にあるが引張ったとき
    には抜けて分離するものを、高炉の休風時に羽口部より
    高炉炉芯部に挿入して前記継ぎ目が炉内に入る位置にし
    た後、前記内管および外管を引き抜き外管の前記継ぎ目
    より先の部分のみを炉内に残留せしめ、羽口より送風を
    行なうことを特徴とする高炉操業方法。
  6. 【請求項6】 二重管を高炉内に挿入するときにおい
    て、その先端部分の内径が他の部分の内径より小さくな
    っていること特徴とする請求項1から請求項5のいずれ
    かに記載の高炉操業方法。
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JPH06122907A JPH06122907A (ja) 1994-05-06
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