JP2739683B2 - フッ化物ガラスの単一モード光ファイバーの作製方法 - Google Patents

フッ化物ガラスの単一モード光ファイバーの作製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遠隔通信用の光ファイ
バーに関し、特にフッ化物ガラスの単一モード光ファイ
バーの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高効率の光学的増幅器を製造するために
向けられるフッ化物ガラスの単一モード光ファイバー
は、1:100程度のコア直径とクラッド直径との間の
比率を必要とする、ということが周知である。このこと
は、適合性という明白な理由のためこれらのファイバー
のクラッドの直径は遠隔通信用の慣用の光ファイバーの
それ(典型的には、125μm)と一致しなければなら
ないということを考慮すると、コアの直径は1μmより
わずかに大きく(典型的には、約1.5μm)なければ
ならないということを意味する。フッ化物ガラスファイ
バー用のプリフォームの製造のための現在の方法(例え
ば、回転注型又は組込み注型として当業界で知られてい
るもの及びその他の方法)は、上記の程度の大きさの直
径比を得ることを可能とせず、2〜3:10の程度の比
率を可能にするにすぎない。実際、直径が数ミリメート
ル未満であるコアを形成させることは可能でない一方、
他方ではクラッドの最大直径は約10ミリメートルを越
えてはならない(より大きな直径はガラスの安定性の問
題を起こし、またプリフォームの線引きを可能にしない
故)。こういう理由のため、フッ化物ガラスの単一モー
ド光ファイバーを製造するために一般的に利用されてい
る技術は、プリフォームを線引きする前に、プリフォー
ムを延伸しそして次いで延伸されたプリフォームをクラ
ッドと同じ組成の管で被覆することを伴う。該延伸は初
期のプリフォームの全体の直径(及び従ってコアの直
径)の減少を引き起こし、クラッドの一部となる該管で
の被覆はコア直径に対するクラッド直径の比率を増大さ
せることを可能にする。
【0003】所望の直径比を得る前に延伸及び被覆の操
作を数回繰り返すことが必要であり得る。最終プリフォ
ームが、次いで線引きされる(一般には、コラプスされ
た後)。この技法の例は、ダブリュウ・アンドリュウ
ス、ディー・コウルソン及びジー・ロスマンの論文“単
一モードZBLAN光ファイバーの作製(Fabricationo
f single mode ZBLAN optical fibres )”(ジャーナ
ル・オブ・ノン−クリスタリン・ソリッズ(Journal of
Non-Crystalline Solids )140(1992),第2
81〜284頁)に記載されている。この技法は、材料
のガラス転移温度より高い温度における繰返し操作を必
要とし(特に、プリフォームの製造及び線引きに加え
て、プリフォームの各延伸及び管での各被覆に対して加
熱が必要とされる。)、このことはガラスマトリックス
の結晶化又は失透の過程を生じ、それによりファイバー
の機械的及び光学的特性を悪化させる。延伸されたプリ
フォームの被覆により生じる追加的界面の存在もファイ
バーの機械的及び光学的特性を悪化させる一因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明によれば、最終
ファイバーを達成するのに必要とされる加熱段階の数が
減らされかつ追加的界面の形成が必要でない方法が提供
される。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による方法は、 −ファイバーのクラッドを形成するのに適した組成の第
1のフッ化物ガラスの外層(2)及びファイバーのコア
を形成するのに適した組成の第2のフッ化物ガラスの内
層(4)からなる管(5)を作製し、 −該管(5)の内層(4)の体積と外層(2)の体積と
の間の比率が、単一モードファイバーのために必要とさ
れるコア直径とクラッド直径との間の比率に相当するよ
うになるまで、周囲温度において化学的エッチングによ
り該内層(4)を薄くし、 −前工程の結果として得られた管(5)を線引きする
とからなり、 前記の内層(4)を薄くする工程は、前記管(5)の両端を、化学的エッチング溶液源(1
1)、水源(12)およ びアルコール源(13)に選択
的に連結して、該管自体を処理するために必要 な物質を
該管中に導いて、各源(11、12、13)の使用済み
物質を戻せる ようにし、 −a)第一操作段階では、周囲温度にて化学エッチング
溶液を、前記管(5)に 内層の厚みが所望値になるのに
必要とされる時間循環させ、 b)第二操作段階では、周囲温度にて水を管(5)に循
環させて管(5)をリ ンスし、 c)第三操作段階では、アルコールを管(5)に循環さ
せて残存する水を管( 5)から除去する 、ことからな
る。
【0006】
【実施例】次に、図面を参照して本発明を一層詳細に記
述する。本発明による方法は、第1工程として、フッ化
物ガラスファイバーのクラッド及びコアのためにそれぞ
れ必要とされる材料の2つの同軸層からなる管の作製か
らなる。単に指摘する例によれば、クラッドはZHBL
ANガラス(即ち、Zr、Hf、Ba、La、Al、N
aのフッ化物から構成されたガラス)から成り得、一方
コアはZBLAYNPガラス(即ち、Zr、Ba、L
a、Al、Y、Na、Pbのフッ化物から構成されたガ
ラス)から成り得る。やはり非制限的例によれば、該管
は回転注型技法により製造され得ることは当然のことで
あるが、フッ化物ガラスファイバープリフォームを実現
するために慣用的に利用されている他の公知の技法も用
いられ得る。この方法の詳細な記載は、例えば、ディー
・シー・トラン等の“回転注型法により製造されるフッ
化物ガラスプリフォーム(Fluoride glass preforms pr
epared by a rotational casting process)”(エレク
トロニクス・レターズ(Electronics letters )第18
巻(1982),第657頁以下)に与えられている。
【0007】これについて述べると、該管を形成させる
ために、クラッドのガラスの構成成分の混合物が、ガラ
ス転移温度に近い温度に予熱されたモールド1中に注が
れる。モールド1は、生じる管の外径が線引き要件と適
合し得るような内径、かくして約10ミリメートル(例
えば、8〜12mm)程度の直径を有するべきである。
該モールドは、管2が得られるようにルツボ中で急速に
回転(例えば、3000rpm又はそれ以上)され(図
1の段階a,b)、しかして該管2は最終の管の外層を
なすことになる。材料の量は、3.5〜4.5mmの厚
さの層を形成するような量であるべきである。このよう
にして、一般にこの技法で得られ得る管の軸方向の穴の
直径は数ミリメートル(例えば、2〜3mm)より小さ
くないことを考慮すると、ファイバーのコアを作るのに
向けられる層の後続の形成には問題が全くない。層2が
一旦固化すると、それはガラス転移温度に加熱され、コ
アのガラスの構成成分の溶融された混合物が軸方向の穴
3中に注がれ、そしてモールド1が前のように回転され
て該管の内層4が作られる(段階c,d)。コアの混合
物のために注がれる材料の量は、例えば、多くとも0.
5〜1mmの厚さである層を形成するような量である。
最終の管5の横断面が図2に示されている。
【0008】引き続いて行われる工程は、内層4の厚さ
が外層の厚さの約1/100に等しい値(かくして、約
30〜40μm)に減じられて、線引きされる管におい
てコア直径とクラッド直径との間の比率が単一モードフ
ァイバーの実現のために必要とされる比率になるよう
に、内層4を薄くすることにある。この薄くすることを
行うことを可能にするプラントが、図3において極めて
簡単な形態で示されている。管5の両端が、この管の処
理のために必要な物質のための吸入ダクト8並びに用い
られた該物質のための排出ダクト9に連結されるべきテ
フロン継手6,7中に置かれる。ダクト8は、下記に一
層充分に説明されるような化学的エッチング溶液又は水
あるいはアルコールを作動段階に依りそれぞれのタンク
11、12又は13から取りそして管5中に送るポンプ
10特にぜん動ポンプに連結される。ダクト9は、除去
された材料を含有する化学的エッチング溶液、該水及び
該アルコールをそれぞれのタンク中に戻す。本発明の理
解にとって、該プラントの構造を更に詳細に述べること
は必要でない。
【0009】適当な化学的エッチング溶液は、例えば、
HCl及びZrOCl2 の溶液あるいはHNO3 、H3
BO3 及びHClの溶液である。本発明の例示的態様で
は、第1の溶液の成分の濃度はHClについて1MでZ
rOCl2 について0.4Mであり、そして第2の溶液
の成分の濃度はHClについて1MでH3 BO3 につい
て0.5MでHNO3 について1Mである。上記の濃度
の場合、第1の溶液は静的条件において(即ち、溶液中
への単なる浸漬の場合)400μm/hの程度のコア材
料に対するエッチング速度を有し、そして第2の溶液は
やはり同じ条件において1200μm/hの程度のエッ
チング速度を有する。内層4に対して初期の厚さが指摘
されたものとすると、最終の厚さを達成するのに必要さ
れる時間は妥当な程短く、工業的製造の要求に適合し得
ることが分かる。更に、本発明において採用される動的
条件におけるエッチング速度は静的条件において達成さ
れ得る速度よりも明らかに全く高い、ということが留意
されるべきである。
【0010】エッチング溶液が周囲温度において該管内
に通され、しかしてこのことは本発明の必須の特徴であ
る。一旦所望の厚さが獲得されると、ポンプ10はエッ
チング溶液のタンク11から離されそしてタンク12に
連結されて、洗浄水がやはり周囲温度で管5に通される
ようにされる。引き続いて、該ポンプはタンク12から
離されそしてタンク13に連結されて、水の除去のため
にアルコール(有利には、メチル又はイソプロピルアル
コール)が管5に通される。この時点で、該管は線引き
の準備がされたものであり、しかして線引きには泡のあ
り得る形成を避けるために低真空が該管内に適用され得
る。慣用のプリフォームのような中実構造でなくむしろ
管を線引きすることは、より大きな体積の材料が所与の
温度においてかつ該管の表面と中心との間又はその逆の
所与の熱勾配に対して線引きされ得ること、並びに所与
の量の材料の線引きに対してより低い熱勾配で充分であ
ることの利点がある。より大きな体積の材料は明らかに
より長いファイバーを得ることを可能にし、一方より低
い勾配は品質の向上の助けとなる。
【0011】
【発明の効果】分かり得るように、本発明による方法に
必要とされる高温度操作は、現実のプリフォームが製造
されそして線引きされる慣用の方法においてのように、
該管の形成及び線引きにとって固有のものである。その
代わり、線引きされるべき中間製品におけるクラッドと
コアとの間の所望の寸法比を得るために必要とされる操
作は周囲温度において行われ、かくして、慣用の技法に
よりプリフォームを延伸するために並びにプリフォーム
をクラッドと同じ材料の管で被覆するために必要とされ
る加熱段階は除かれる。更に、該管をコラプスすること
なく直接線引きすることは、その材料の更なる加熱段階
を除く。上記に記載された例は非制限的例として与えら
れていること並びに種々の態様が本発明の範囲から逸脱
することなく可能であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なるフッ化物ガラスから成る2つの層を有す
る管の作製法を示す概略図である。
【図2】該管の横断面図である。
【図3】図2の管の内層を化学的エッチングにより薄く
するために用いられ得るプラントを簡単に示す図であ
る。
【符号の説明】
1 モールド 2 外層となる管 3 穴 4 内層 5 管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジユセツペ・コチート イタリー国エツセ・ジユスト・カナヴエ セ(テーオー)、ヴイア・エム・ダゼグ リオ 15 (56)参考文献 特開 昭62−265140(JP,A) 特開 平6−1634(JP,A) 特開 平5−155637(JP,A) 米国特許5055120(US,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化物ガラスの単一モードファイバーの
    作製方法において、 −ファイバーのクラッドを形成するのに適した組成の第
    1のフッ化物ガラスの外層(2)及びファイバーのコア
    を形成するのに適した組成の第2のフッ化物ガラスの内
    層(4)からなる管(5)を作製し、 −該管(5)の内層(4)の体積と外層(2)の体積と
    の間の比率が、単一モードファイバーのために必要とさ
    れるコア直径とクラッド直径との間の比率に相当するよ
    うになるまで、周囲温度において化学的エッチングによ
    り該内層(4)を薄くし、 −前工程の結果として得られた管(5)を線引きする
    とからなり、 前記の内層(4)を薄くする工程は、前記管(5)の両端を、化学的エッチング溶液源(1
    1)、水源(12)およ びアルコール源(13)に選択
    的に連結して、該管自体を処理するために必要 な物質を
    該管中に導いて、各源(11、12、13)の使用済み
    物質を戻せる ようにし、 −a)第一操作段階では、周囲温度にて化学エッチング
    溶液を、前記管(5)に 内層の厚みが所望値になるのに
    必要とされる時間循環させ、 b)第二操作段階では、周囲温度にて水を管(5)に循
    環させて管(5)をリ ンスし、 c)第三操作段階では、アルコールを管(5)に循環さ
    せて残存する水を管( 5)から除去する 、 ことを特徴とする上記方法。
  2. 【請求項2】エッチング溶液の循環をぜん動ポンプにて
    行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】化学的エッチングから得られる管(5)を
    直接線引きすることを特徴とする、請求項1または2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 線引きのために該管(5)内に真空を生ぜ
    しめる、請求項に記載の方法。
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