JP2738957B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、例えば家庭用洗濯機における脱水（洗濯）
槽、業務用水洗機、ドライクリーナ等の遠心脱水機、或
いは家庭用及び産業用の洗濯・脱水・乾燥を同一槽で連
続して行なう全自動の洗濯・脱水・乾燥機に適用される
回転ドラム槽をもつ各種洗濯機に関するものである。

（従来の技術） 従来のドラム式洗濯機の一例を第４図及び第５図に示
す。

第４図は同洗濯機のドラム回転軸線を含む垂直断面
図、第５図は第４図のＡ−Ａ矢視図である。

図中、１は洗濯機の運転を制御する制御部、２は制御
部を操作するダイアル、３は洗濯物を投入したり取出す
際に開閉する蓋、４は外装、５は洗濯脱水槽を構成する
回転ドラムで、脱水時に水を分離する脱水孔11が周面に
多数設けられており、更に槽中心部を境にして軸方向に
高さが極端に異なり、かつその間を曲線で結んだ複数の
リフタ9,10,29,30がその向きが交互になるように設けら
れている。８は外槽で底部に排水管13、排水弁18が設け
られ、更にモータ12及び変速機26が取り付けられる。ま
た回転ドラム５は、その中心部前後面から突設した軸1
9,27でそれぞれ軸受21,28を介して外槽８に取り付けら
れており、後面側の軸27に設けられたプーリ15、ベルト
17、プーリ16を介して変速機26の回転を受けて回転す
る。第５図において、６は外槽８を支承する釣り棒、７
はばね、20は外装４の底面に取り付けられた脚である。

以上のような構成のドラム式洗濯機の洗い動作を説明
すると次の通りである。

即ち、「洗い」の工程では図示していない給水電磁弁
等から外槽８及ひドラム５内に給水し、その水位が設定
水位に達したとき図示していない圧力スイッチがこれを
検知して給水を断ち、同時にモータ12に通電して回転ド
ラム５を回転させることにより行われる。

この場合、前述したように各リフタ9,10,29,30の高さ
が軸方向に極端に変化しており、かつ各リフタの変化の
方向が交互となるように設定されているため、布かき上
げ作用の強弱が顕著に作用して、落下による衝撃作用の
他に布の入れ替え、屈伸、摩擦作用が促進されてそれま
での一般的なドラム式洗濯機に比して洗浄力は大幅に向
上する。

（発明が解決しようとする課題） しかるに、回転ドラム内に軸方向の高さが極端に異な
るリフタが取り付けられた上記洗濯機の場合にも次の問
題点があった。

即ち、上記洗濯機はドラム内の洗濯物がドラムの軸方
向に対し前後に入れ替わるメリットはあるが、洗濯物は
ドラムの重心に対しアンバランスとなり易いため、洗濯
時、特に脱水工程においてはこのアンバランスによりド
ラムの振動が過大となる欠点がある。そこで、上記洗濯
機では軸受荷重を小さくするため回転ドラムを両持方式
により支持しているが、ドラム本体の振動は軽減出来な
い、しかも、同機の如く両持機とすると、洗濯物の出し
入れは図に示す通りドラムの上方からせざるを得ず、洗
濯物の出し入れを狭い蓋から行なう必要があり、作業性
を著しく阻害する。

従って、本発明の目的はドラム内での洗濯物の入れ替
わりが良くなされ、しかもドラム重心に対しバランスが
とり易く、作業性に優れたドラム式洗濯機を提供するこ
とにある。

（課題を解決するための手段） この目的を達成するため、本発明は外胴内に設置さ
れ、周面上に多数の通液穴を有し、駆動回転されがら内
部洗濯物の洗濯・脱水・乾燥を単独又は連続して行うド
ラム式洗濯機において、ソロバン玉形の大径面同志を合
わせた外形面及び内壁面を有し、その小径面中心を結ぶ
水平軸先端部回りに回転し、軸方向に対して中央部が外
方に突出した山形をなす回転ドラムと、同回転ドラムの
内壁面円周上に所定の間隔をおいて求心状に配置され前
記回転軸線方向に延びて複数個取り付けけられ、前記外
形面の山形角度とほぼ等しい谷形をなし、全長にわたっ
てドラムの直径比で８〜14％の高さを有する板状ビータ
とを備えてなるもので、これを課題解決のための手段と
するものである。

（作用） ドラム内の洗濯物は洗濯工程におけるドラム回転時に
はビータにより上方に持ち上げられ、ビータ形状が谷形
のためドラムの中央部に集まり、そこで落下することと
なり、洗濯物はドラム内で絶えずその前後位置を変えて
高い洗浄力を得ることが出来る。

一方、ドラムの形状はいわゆるソロバン玉形として、
このドラム中心は弾性支持の中央部に近い位置となるよ
うに設置されているため常に重心部に近い位置で洗濯物
を保持することになる。従ってアンバランスを少なくし
高速回転時にも振動を発生させず、しかも設計上ドラム
を片持支持できるため、洗濯機の前面に洗濯物の出入れ
口を設けることができ、洗濯物の取り出しを容易にし作
業性を向上させる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。

第１図は本発明の代表的な実施例に係るドラム式洗濯
機の側断面図、第２図は同正面図である。これらの図か
ら明らかなように、本実施例に係るドラム形状は軸に対
し垂直方向の断面ではどの位置でも円形をなしており、
回転軸線を含んだ側断面ではドラム壁面と回転軸線とが
所定の角度をなすように構成されている。

その全体構成について述べると、図中31は回転ドラム
であり、その外形は２つの截頭円錐形の大径部同志をつ
ないだ丁度ソロバンの玉と同様の形状であって、回転軸
33を略水平に保ちつつ同回転ドラム31の背面（第１図左
側）を支持固定し、軸受を介してドラムサポート38に回
転自在に片持支持される。回転軸33にはプーリ34が固着
され、駆動用Ｖベルト35、モータ37に固着されている駆
動用プーリ36の伝達経路を介して、回転軸33即ちドラム
31が回転駆動される。ドラム31の外筒面40には通気、通
水用の穴44が多数設けられている。

32はドラム31の外部に配置された外胴であり、ドラム
回転軸33を支持するブラケットからなるドラムサポート
38を背面側に固着し、またその一部にドラム31内へ水、
蒸気、加熱空気等を供給するための吹込部（図示省略）
を固着している。更に外胴32の前面にはドラム31内へ洗
濯物を供給、取出すための開閉可能なドア39が取り付け
られている。

モータ37は上記の如くドラム31を駆動するための動力
源であり、外胴32の下部に取り付けられ、その回転数は
速度可変装置50により適宜設定される。

外筒面40はドラム31の外周壁部であり、通水用直径数
mm程度の穴44が多数設けられている。この外筒面40は回
転軸方向に対する垂直断面が円形であり、軸方向に対し
ては中央部が外方に突出した山形角度θをなす。

42は洗濯物であり、洗濯・脱水処理されるシーツ、タ
オル、ワイシャツ等の繊維製品である。

43はビータであり、ドラム31内の外筒面40の内壁面に
回転軸方向に延びて求心状に複数個取り付けられた板か
らなり、ドラム31の回転により洗濯物42を上方へ持ち上
げる作用をもつ。本発明の構成部分をなす前記ビータ43
は第１図に示す如き形状を有し、即ち外筒面40の内壁面
から所定の高さをもち、ドラム内部からみると外筒面と
同様の又はそれより大きい角度をもつ谷形となる。

第３図は上記外筒面40に取り付けるビータ形状を示し
ている。同図（ａ）は本発明に従ったビータ43a、同図
（ｂ）（ｃ）はその比較のために取り付けたビータ43b,
43cである。

ビータ43bは板の平面が頂角θの２等辺三角形状をな
し、その底辺が回転軸線に平行である水平型ビータであ
り、ビータ43cは同平面が略菱形に近似した回転軸線に
向けて突出する頂点をもつ山形ビータである。

ドラム31及び外胴32は防振用のスプリング51上に懸架
される。

45は外胴32の上部に取り付けられたバランスウエイト
であり、外胴32の下部に取り付けられているモータ37と
のバランスを保つための重量を有している。このバラン
スウエイト45の設置によりドラム31の中央大径部が外胴
32を弾性支持するためのスプリング51のほぼ中央部に配
設され、その重心を保つことが出来る。

また外胴32の上面にはドラム31内に洗濯用の水を送り
込むための給水管46が接続されており、同じく外胴32の
ドラム31中央下方には洗濯工程の途中で、又は脱水工程
に於いてダンパ48の開閉によって外胴32内の水を排出す
る排水管が設けられている。

ダンパ48は外胴32からの排液時に開き、排液を機外の
排水溝49へ排出する。

モータ37の回転速度は速度可変装置50によって調整さ
れ、モータ37は洗濯・脱水工程に於いてそれぞれ最適な
速度でドラム31が回転されるように回転速度が制御され
る。

以上の構成において次にその作用を説明する。

まず洗濯工程では、給水管46から水をドラム31、外胴
32内に一定量給水する。ドラム31の外筒面40には多数の
穴44が明いているため、外胴32内に供給された水は穴44
を通過し、ドラム31内に溜まり、次第にドラム31内の水
位が上昇してくる。図示せぬ水位検知装置により水位を
チェックして、一定水位となったら給水を停止する。給
水が終えたらドア39を開けて洗濯物42をドラム31内に供
給する。

その後モータ37を駆動し、一定回転でドラム31を回転
する。このときのドラム31の回転は正転と逆転を繰り返
すようにすると、洗濯物42の絡みつきを防止するのに効
果的である。またドラム31の回転数は0.6〜0.8Gが最適
である。

図示せぬ洗剤・助剤等の供給装置から洗剤・助剤をド
ラム31内に供給し、予洗を行なう。予洗が終了した時点
で、ダンパ48を開いて予洗に使用した洗濯水を排水管47
を介して排水溝49に排出し、一定時間後又は予洗水の排
水が完了したことを図示せぬセンサーで検知してダンパ
48を閉じる。

次に改めて洗濯水を上記同様にドラム31内に一定水位
まで給水し、また図示せぬ洗剤・助剤供給装置から洗剤
・助剤をドラム31内に供給する。

ここで、図示せぬ蒸気ノズルを作用させ、外胴32の水
中に蒸気を吹き込んで洗濯用の水を一定温度迄昇温させ
る。ドラム31の回転は速度可変装置50の制御によりモー
タ37の回転数を制御することにより行なう。洗濯物42を
ビータ43でドラム31の上方まで持ち上げ、落下させる時
の水面との衝撃による機械力等の作用で洗濯物42から汚
れを除去する。このようにして温水中で本洗いを行な
い、その後ドラム31の回転を中速回転として洗濯物42に
付着している洗濯水を遠心力で振り切る。この時は当然
ダンパ48を開いて洗濯液を排水管47から機外へ排水す
る。

ここでビータ43について、第３図（ａ）（ｂ）（ｃ）
に示したビータの上面がドラム31の山形角度θとほぼ同
等又は大きい角度をもつ形の谷形ビータ43a、ドラム31
の回転軸33とほぼ平行の形をもつ水平ビータ43b、ドラ
ム31の山形角度θに対し、ドラム中心方向に突出した形
の山形ビータ43cの各作用効果につき比較してみた。

即ち、それぞれのビータ43a,43b,43cによる洗浄性と
ドラム31のバランス性についてテストした結果は下表の
通りであり、谷形ビータ43aが最も優れていることが判
明した。

つまり、ビータ43の作用は洗濯工程に於いてドラム31
の回転につれてビータ43で洗濯物42を上方まで持ち上げ
て、通常は時計の10〜11時の位置（右回転時）で落下さ
せるのであるが、ビータ43の高さ（第３図、Ｌ）が大き
過ぎると落下させることが出来ずに洗濯物42がドラム31
につれ回ってしまう。この為、ドラム31の回転数を小さ
くしてやる必要がある。この場合、洗濯物42のドラム内
での落下回数が減少してしまうため洗浄力が悪化する原
因となる。

また、ビータ43の高さが低すぎる時は洗濯物42は上方
に持ち上げられず、洗浄性は極めて悪くなることは言う
迄もない。

上記表に現われた結果は以上のことを良く表わしてい
る。

この後、洗濯物42に付着している水分を遠心脱水し、
次のすすぎ工程に備えるわけであるが、この遠心脱水す
る時には洗濯物42をドラム31内で均一に分布させて中間
バランスをとるためにドラム31の回転数を選択する必要
がある。この回転数はドラム31の内壁で通常1.0〜1.5G
の加速度が得られる回転である。この中間バランスをと
るための回転時、ビータ43の高さが高すぎると洗濯物42
は隣り合うビータ43間にバランスよく入らないため、ド
ラム31は偏心負荷を受けることになり、その回転振動が
極めて大となり安全上機械を停止して再度中間バランス
をとり直す必要がある。

こうした理由からもビータ43の形状は本発明で採用す
る谷形ビータ43aが好適であり、またこのビータ43aの適
正高さは、ドラム直径比で８〜14％であることがテスト
結果により判明した。

洗濯後の汚れた水が脱水された後、ダンパ48を閉じて
清浄な水をドラム31内に再度給水し、すすぎ工程を行な
う。すすぎ工程は洗濯工程と同様にして良い。すすぎ水
の給水、排水を繰り返してのすすぎ工程が終わると、次
は脱水工程に入る。

脱水工程では、ドラム31は速度可変装置50の制御によ
り、まずドラム内周において1.0〜1.5Gの加速度を受け
る回転で運転される。これは前述の如くドラム31内に入
れられている洗濯物42をドラム31の内周面にほぼ均一に
分布させるためである。洗濯物42がドラム31の内周面に
均一に分布された状態となった後、ドラム31は高速回転
され、洗濯物42に付着している水は遠心力によりドラム
31の穴44から外部へ排出され、この水は外胴32から排水
管47を経て排水溝49を通り機外へ排出される。

ここで、ドラム31の山形角度θを変えてテストした結
果は、本発明者らが先に提案した特願昭63−40513号で
述べている通りであり、θ90゜乃至160゜の角度が最適
であることが判明しており、好ましくは120゜〜150゜が
実用的である。

（発明の効果） 本発明に示すドラム形状、ビータ形状とすることによ
り、洗濯工程に於いては洗濯物をドラム内で絶えず中央
部に集めるように作用すること及びドラム内での落下回
数を十分に多くとることが出来、洗浄性向上に効果絶大
である。また、脱水工程に於いてはビータ高さ、形状の
工夫により中間バランスを容易にとれること、ソロバン
玉形のドラムとビータの適正高さにより、洗濯物はドラ
ムの中央部に容易に集めることができ、その重心部に負
荷を集めることが可能となって、極めて振動の少ない運
転を行なうことが可能である。

更に本発明では、ドラムを水平に片持支持ができるた
め、洗濯物等の出入れが容易であり、作業性が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例に係る遠心脱液装置の側断
面図、第２図は第１図のII視図、第３図は回転ドラムの
ビータ形状比較図、第４図は従来のドラム式洗濯機を示
す側断面図、第５図は第４図に於けるＡ−Ａ線矢視図で
ある。 図の主要部分の説明 31……ドラム 32……外胴 37……モータ 43……ビータ 45……バランスウエイト 51……スプリング

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外胴内に設置され、周面上に多数の通液穴
   を有し、駆動回転されがら内部洗濯物の洗濯・脱水・乾
   燥を単独又は連続して行うドラム式洗濯機において、ソ
   ロバン玉形の大径面同志を合わせた外形面及び内壁面を
   有し、その小径面中心を結ぶ水平軸先端部回りに回転
   し、軸方向に対して中央部が外方に突出した山形をなす
   回転ドラムと、同回転ドラムの内壁面円周上に所定の間
   隔をおいて求心状に配置され前記回転軸線方向に延びて
   複数個取り付けけられ、前記外形面の山形角度とほぼ等
   しい谷形をなし、全長にわってドラムの直径比で８〜14
   ％の高さを有する板状ビータとを備えることを特徴とす
   るドラム式洗濯機。