JP2738798B2 - シリコーンゴム組成物 - Google Patents

シリコーンゴム組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、優れた加工性を有し、加
硫物の表面特性(すべり性・光沢・吸着能等)を調整し
得るシリコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】従来のシリコーンゴ
ム組成物、特にミラブル型と称される、コンパウンドを
成形加工して加硫させる工程を取るタイプの組成物は、
その未加硫状態のコンパウンドの粘着性・グリーンスト
レングスが成形品の物性に大きく影響することが知られ
ており、他のエラストマーに比較し、結晶性もなく、分
子量も低いシリコーンゴムは、コンパウンドの粘着性が
大きく、ロール作業性、押出作業性、カレンダー加工性
に難のあるものが多かった。このような加工性の問題を
解決するため、従来は、フェニル基などの極性基を導入
した低分子のポリオルガノシロキサン類を配合したり、
そのSP値の差を利用してマイグレーションさせたり、
ステアリン酸などの脂肪酸類やその金属塩などを配合す
るなどの手段を用い、粘着性の改善を図っていた。ま
た、加硫物の表面特性(すべり性・光沢・吸着能等)の
調整には、(真)球状充填剤を配合してその摩擦係数を
低下させたり、あるいは配合する充填剤の性状・形状を
考慮して配合設計を行ったり、前述したマイグレーショ
ン作用を応用するなどの手段を用いていた。しかしなが
ら、上記従来の粘着性改良手段は、その適用できる範囲
の幅が狭いため一般的技術とはいい難く、さらに粘着性
改良効果が低い上、逆にシリコーンゴムの物性を低下さ
せてしまうおそれもあった。また、表面特性の調整も、
全ての配合に適用できる技術とはいい難く、しかもその
効果については持続性に乏しく、やはりシリコーンゴム
の物性低下の要因ともなっていた。
【0003】
【発明の目的】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、配合制限がなく、シリコーンゴムの物性を低下させ
ることなく、シリコーンゴムコンパウンドの粘着性を低
減化することにより加工性を向上させ、更に表面特性の
調整を簡単に行えるシリコーンゴム組成物の提供を目的
とする。
【0004】
【発明の構成】本発明者等は、上記目的を達成するべく
鋭意検討した結果、低密度の低分子量ポリエチレンが有
効であることを見出し、本発明を完成するに到った。即
ち本発明は、20℃における密度が0.95を越えない低分子
量ポリエチレンが配合されていることを特徴とするシリ
コーンゴム組成物である。
【0005】以下、本発明のシリコーンゴム組成物を詳
細に説明する。本発明のシリコーンゴム組成物の主成分
は、(a) ポリオルガノシロキサンベースポリマーと、
(b) 硬化剤と、必要に応じて各種添加剤等を配合し、均
一に分散させたものである。このようなポリオルガノシ
ロキサン組成物に用いられる各種成分のうち、(a)シリ
コーンベースポリマーと(b) 硬化剤とは、ゴム状弾性体
を得るための反応機構に応じて適宜選択されるものであ
る。その反応機構としては、(1) 有機過酸化物加硫剤に
よる架橋方法、(2) 付加反応による方法などが知られて
おり、その反応機構によって、(a) 成分と、(b) 成分す
なわち硬化用触媒若しくは架橋剤との好ましい組合せが
決まることは周知である。すなわち、上記(1) の架橋方
法を適用する場合においては、通常(a) 成分のベースポ
リマーとしては、1分子中のケイ素原子に結合した有機
基のうち、少なくとも2個がビニル基であるポリジオル
ガノシロキサンが用いられる。また、(b)成分の硬化剤
としては、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロ
ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クミ
ル−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチ
ルペルオキシド等の各種の有機過酸化物加硫剤が用いら
れ、特に低い圧縮永久歪みを与えることから、ジクミル
ペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキ
サン、ジ−t−ブチルペルオキシドが好ましい。なお、
これらの有機過酸化物加硫剤は、1種または2種以上の
混合物として用いられる。(b) 成分の硬化剤である有機
過酸化物の配合量は、(a) 成分のシリコーンベース100
重量部に対し、0.05〜15重量部の範囲が好ましい。有機
過酸化物の配合量が0.05重量部未満では加硫が十分に行
われず、15重量部を超えて配合してもそれ以上の格別な
効果がないばかりか、得られたシリコーンゴムの物性に
悪影響を与えることがあるからである。上記(2) の付加
反応を適用する場合の(a) 成分のベースポリマーとして
は、上記(1) におけるベースポリマーと同様なものが用
いられる。また、(b) 成分の硬化剤としては、硬化用触
媒として、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金ビニ
ルシロキサン錯体、白金黒、白金トリフェニルフォスフ
ィン錯体等の白金系触媒が用いられ、架橋剤としてケイ
素原子に結合した水素原子が一分子中に少なくとも平均
2個を超える数を有するポリジオルガノシロキサンが用
いられる。(b) 成分の硬化剤のうち、硬化用触媒の配合
量は、(a) 成分のベースポリマーに対し、白金元素量で
1〜1000ppm の範囲となる量が好ましい。硬化用触媒の
配合量が白金元素量として1ppm 未満では、十分に硬化
が進行せず、また1000ppmを超えても特に硬化速度の向
上等が期待できない。また、架橋剤の配合量は、(a) 成
分中のアルケニル基1個に対し、架橋剤中のケイ素原子
に結合した水素原子が0.5 〜4.0 個となるような量が好
ましく、さらに好ましくは、1.0 〜3.0 個となるような
量である。水素原子の量が0.5 個未満である場合は、組
成物の硬化が十分進行せずに、硬化後の組成物の硬度が
低くなり、また、水素原子の量が4.0個を越えると硬化
後の組成物の物理的性質と耐熱性が低下する。以上のよ
うな各種の反応機構において用いられる(a) 成分のベー
スポリマーとしてのポリオルガノシロキサンにおけるア
ルケニル基以外の有機基は、1価の置換または非置換の
炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基のようなアルキル基
や、フェニル基のようなアリール基、β−フェニルエチ
ル基、β−フェニルプロピル基のようなアラルキル基等
の非置換の炭化水素基や、クロロメチル基、3,3,3
−トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基が例示さ
れる。なお、一般的にはメチル基が合成のしやすさ等か
ら多用される。
【0006】なお、本発明のシリコーンゴム組成物に
は、充填剤、顔料、耐熱性向上剤、難燃剤等を随時付加
的に配合してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で
他のポリオルガノシロキサンを併用してもよい。このよ
うなものとしては、通常、けいそう土等の補強性充填
剤、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化
鉄、酸化セリウム、マイカ、クレイ、炭酸亜鉛、炭酸マ
ンガン、水酸化セリウム、ガラスビーズ、ポリジメチル
シロキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン等が例示
される。
【0007】次に、本発明の特徴をなす20℃における密
度が0.95を越えない低分子量ポリエチレンについて説明
する。本発明における20℃における密度が0.95を越えな
い低分子量ポリエチレンは、一般にポリエチレンワック
ス類と称されるものに包含される。このような20℃にお
ける密度が0.95を越えない低分子量ポリエチレンは低密
度タイプと区分されているものである。本発明において
は、この条件を満たすものであればよく、色相、粘度、
軟化点、針入度、酸価、平均分子量などの諸特性に限定
はない。ここで、20℃における密度が0.95を越える低分
子量ポリエチレンを配合すると、シリコーンゴムの物性
を低下させ、また、配合物コンパウンドの可塑度を上げ
て加工性を低下させるので好ましくない。また、その配
合量は、特に限定されるものではないが、シリコーンゴ
ム100 重量部に対して0.01〜20重量部が適当であり、さ
らに好ましくは0.1 〜5重量部が好適である。また、コ
ンパウンドへの混練及び配合方法も通常の方法、手順、
混練装置を用いればよい。尚、低分子量ポリエチレンの
配合時に、その軟化点以上に温度を上げれば分散は良好
になるが、ヒュームの発生による環境問題が生じるの
で、上記温度を軟化点以上に上げないが、このことは本
発明の効果に何等影響を及ぼさない。
【0008】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の例において、部は重量部を示す。 実施例1、比較例1〜2 末端がトリメチルシリル基で閉塞され、メチルビニルシ
ロキサン単位を0.21mol %含有するポリジメチルシロキ
サン(重合度約7000)100 部に、フェニル基を有するポ
リジメチルシロキサン(粘度20cSt) 1.5部、低分子量ポ
リエチレンとして「商品名:サンワックス131−P、
20℃における密度0.93、三洋化成工業(株)製」0.1 部
をニーダーに仕込み、回転速度30r.p.m で煙霧質シリカ
「商品名:アエロジル200 、日本アエロジル(株)製」
40部を徐々に加えて混練し、シリコーンゴムコンパウン
ドを調製した。次いで、これに加硫剤として2,4−ジ
クロロベンゾイルパーオキサイド1.0 部を均一に混合し
てシリコーンゴム組成物を得た。得られたシリコーンゴ
ム組成物を、押出機(L/D=10)を用いて1mmφの銅
線上に外径 2.4mm(肉厚 0.7mm)となるように押出し、
線速を上げ、そのコンパウンドの外観に、シワ、スジ、
肌あれ等の外観不良が出た時点の線速を測定し、加工性
に与える影響を調査した。また、比較のために、低分子
量ポリエチレンを配合しない点を除いて上記実施例1と
同様にしてシリコーンゴム組成物(比較例1)、および
20℃における密度が0.95を越える低分子量ポリエチレン
「商品名:サンワックスLEL−400 P、20℃における
密度0.96、三洋化成工業(株)製」を用いた点を除いて
上記実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物(比較
例2)を調製し、これらについて、上記実施例1と同様
の特性評価を行った。結果は、実施例1の組成物が79m
/min 、比較例1の組成物が24m/min 、比較例2の組
成物が19m/min であった。
【0009】実施例2、比較例3〜4 末端がトリメチルシリル基で閉塞され、メチルビニルシ
ロキサン単位を0.07mol %含有するポリジメチルシロキ
サン(重合度約6600)100 部に、軽質炭酸カルシウム30
部、低分子量ポリエチレンとして「商品名:サンワック
ス165 −P、20における密度0.91、三洋化成工業(株)
製」2部をニーダーに仕込み、混練し、シリコーンゴム
コンパウンドを調製した。次いで、これに2,5−ジメ
チル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン0.5
部を均一に混合してシリコーンゴム組成物を得た。この
シリコーンゴム組成物について、8インチロールでシー
ト化し、何mmの厚さにまで無理なくゴムシートが分出可
能かを調査した。また、比較のために、低分子量ポリエ
チレンを配合しない点を除いて上記実施例2と同様にし
てシリコーンゴム組成物(比較例3)、および20℃にお
ける密度が0.95を越える低分子量ポリエチレン「商品
名:サンワックスLEL−800 、20℃における密度0.9
6、三洋化成工業(株)製」を用いた点を除いて上記実
施例2と同様にしてシリコーンゴム組成物(比較例4)
を調製し、これらについて、上記実施例2と同様の特性
評価を行った。比較例3、4のコンパウンドは粘着性が
高いので、夫々シート厚が2.8mm 及び2.5mm というよう
に、ある程度厚くないとロールにくっついて剥がれなく
なってしまうのに対し、本発明の実施例2のコンパウン
ドは、0.4mm という極薄シートまで分出可能であった。
【0010】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のシリコーン
ゴム組成物にあっては、20℃における密度が0.95を越え
ない低分子量ポリエチレンが配合されているので、押出
加工性に優れたものとなり、またそのコンパウンドは、
粘着性が低減化されるので、それに起因してロール加工
性等も優れている。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20℃における密度が0.95を越えない低分
    子量ポリエチレンが配合されていることを特徴とするシ
    リコーンゴム組成物。
JP4322865A 1992-12-02 1992-12-02 シリコーンゴム組成物 Expired - Lifetime JP2738798B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5930178B2 (ja) * 1980-05-23 1984-07-25 古河電気工業株式会社 ポリエチレン組成物
JP2862445B2 (ja) * 1992-09-08 1999-03-03 株式会社トクヤマ 樹脂組成物及びその製造方法

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