JP2738088B2 - テープ走行装置 - Google Patents

テープ走行装置

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JP2738088B2
JP2738088B2 JP1307039A JP30703989A JP2738088B2 JP 2738088 B2 JP2738088 B2 JP 2738088B2 JP 1307039 A JP1307039 A JP 1307039A JP 30703989 A JP30703989 A JP 30703989A JP 2738088 B2 JP2738088 B2 JP 2738088B2
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総一郎 藤岡
博 岡本
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は8mmVTRやR-DAT等のヘリカルスキャン方式の
磁気記録再生装置において、磁気ヘッドの走査軌跡がト
ラックに沿う様にテープの走行位相を制御し、かつ、磁
気テープのテンションを一定に保ちながらテープを走行
させるテープ走行装置に関するものである。
従来の技術 一般に、ヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置に
おいては、信号再生時に磁気ヘッドが磁気テープ上の記
録トラックを正確に走査するように磁気テープの走行位
相を制御する。例えば、R-DATではATF(automatic trac
k finding)信号を記録時にエリア分割で記録し、再生
時にはATFエリアを磁気ヘッドが走査する際に両隣接ト
ラックからのクロストークを利用してトラッキングずれ
を検出し、これに応じて磁気テープの走査位相を制御し
ている(例えば、「日経エレクトロニクス」1987 6-2
9)。
また、磁気テープのテンションを適当な値に保つため
に、磁気テープのテンションを検出する手段を設け、検
出結果に応じて磁気テープが巻かれた供給リールの駆動
トルクを制御して磁気テープのテンションを略一定にす
ることを行なっていた(例えば、「VTR設計最新技術資
料集」日本工業技術センター編)。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記のような構成では、例えばカセッ
ト式VTRにおいては供給リールと供給リールを駆動する
手段との間には機械的なガタがあり、制御利得を大きく
するとこのガタによってバックラッシュが発生し制御帯
域を十分確保できず、高い周波数のテンション変動を抑
制することができない課題があった。すなわち、磁気ヘ
ッドが磁気テープ上の記録トラッキングを正しく走査よ
うに磁気テープの走行位相を制御することによって発生
する高い周波数の磁気テープのテンション変動を十分抑
制することができなかった。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明のテープ走行装置
は、ヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置におい
て、磁気テープが巻かれた供給リールを駆動するリール
駆動手段と、前記磁気テープを磁気ヘッドが搭載される
回転ドラムを介して前記供給リールから引き出し略一定
速度で走行させるテープ移送手段と、前記供給リールと
前記テープ移送手段との間に設置され前記供給リールと
前記テープ移送手段との前記磁気テープの長さを可変規
制する可動ポストと、前記可動ポストを駆動するアクチ
ュエータ手段と、前記磁気テープ上の記録トラックの位
置と前記磁気ヘッドの走行位置のずれを検出するトラッ
キングエラー検出手段と、前記トラッキングエラー検出
手段の出力に応じて前記テープ移送手段を制御して前記
磁気テープの走行位相を制御するトラッキング制御手段
と、前記トラッキングエラー検出手段の出力を可変倍す
る可変利得増幅手段と、前記可変利得増幅手段の出力に
応じて前記アクチュエータ手段を駆動し前記可動ポスト
の位置を制御する可動ポスト制御手段と、前記アクチュ
エータの負荷トルクを推定する負荷測定器と、前記負荷
測定器の出力に応じて前記リール駆動手段を制御するリ
ールモータ制御手段とを具備し、前記負荷観測器の出力
に応じて前記可変利得増幅手段の利得を増減するもので
ある。
作用 本発明は上記した構成によって、トラッキングエラー
検出手段の出力に応じてテープ移送手段を駆動し、磁気
テープの走行位相を制御して磁気ヘッドの走査軌跡を磁
気テープ上の記録トラックに沿うようにする際、アクチ
ュエータ手段によって可動ポストは磁気テープの走行位
相変動によるテンション変動を打ち消すようにテープ移
送手段に対して差動動作するのでトラッキング動作によ
って発生する高い周波数のテンション変動は抑制され
る。すなわち、テープ移送手段の動作によって磁気テー
プの走行位相が進められ供給リールから磁気テープを引
き出される時はアクチュエータ手段によって可動ポスト
は磁気テープ長の規制を短くし磁気テープを弛ませる方
向に駆動され、逆にテープ移送手段の動作によって磁気
テープの走行位相が遅らされ磁気テープが弛む時はアク
チュエータ手段によって可動ポストは磁気テープ長の規
制を長くし磁気テープを張る方向に駆動される。
また、負荷観測器は可動ポストに加わる負荷トルクを
推定する。可動ポストに加わる負荷トルクは磁気テープ
のテンションによるものが支配的である。すなわち、負
荷観測器は、磁気テープのテンションを推定しているこ
とになる。
そして、テープ移送手段に対する可動ポストの差動動
作の誤差がテンション変動として発生することから可変
利得増幅手段によって、可動ポストの動作振幅を負荷観
測器の出力に応じて増減・調整している。
また、直流的なテンションはリール駆動手段によって
制御され安定したバックテンションを得ている。
以上の作用によって、トラッキング動作による高い周
波数のテンション変動を抑制し上記した課題を解決して
いる。
実施例 以下本発明の一実施例のテープ走行装置について、図
面を参照しながら説明する。
第1図は本発明の実施例におけるテープ走行装置の構
成図を示すものである。第1図において、供給リール2a
には、磁気テープ1が巻かれ、その同心軸2bを介してリ
ールモータ3によって駆動される。テープ移送手段4
は、磁気テープ1を供給リール2aから引き出し移送す
る。テープ移送手段4は、キャプスタンモータ4cによっ
て直接回転駆動されるキャプスタン軸4aと磁気テープ1
をキャプスタン軸4aに押圧するピンチローラ4bで構成さ
れる。また、キャプスタンモータ4cの回転位相を検出す
るためにキャプスタンモータ4cの回転位相に同期したパ
ルスを発生するパルス発生手段4dが設置される。
磁気テープ1は供給リール2から引き出されポストP
1、可動ポスト5、ポストP2,P3を経てテープ移送手段4
に至り、巻取リール(図示を省略)によって巻き取られ
る。
アクチュエータ6aには、軸6cを介して可動ポスト5が
取りつけられたアーム6bが接続される。アクチュエータ
6aの駆動によって、可動ポスト5の位置が可変され、磁
気テープ1のポストP1、可動ポスト5、ポストP2で規制
されるテープ長が可変される。また、可動ポスト5の位
置を検出する位置センサー6dが設置される。
磁気ヘッド8は回転シリンダ7と共に回転し、磁気テ
ープ1上の記録トラックをヘリカル走査する。
トラッキングエラー検出手段9は、磁気ヘッド8の再
生出力aから磁気テープ1に記録構成されたトラックの
位置と磁気ヘッド1の走査位置のずれを検出する。トラ
ッキングエラー検出手段9の出力bはトラッキング検出
手段10に入力される。トラッキング制御手段10はトラッ
キングエラー検出手段9の出力bに応じてテープ移送手
段4を駆動し、磁気テープ1の走行位相を制御して磁気
ヘッド1の走査位置と磁気テープ1上の記録トラック位
置のずれを補正する。
さらに、トラッキングエラー検出手段9の出力bは可
変利得増幅手段11に入力される。可変利得増幅手段11は
トラッキングエラー検出手段9の出力信号bを可変倍し
て信号cを出力する。
可変ポスト制御手段12は、可変利得増幅手段11の出力
信号cを入力指令としてアクチュエータ6aを駆動し、テ
ープ移送手段4に対して略差動動作させる。すなわち、
テープ移送手段4の動作によって磁気テープ1の走行位
相が進められ供給リール2から磁気テープ1が引き出さ
れる時はアクチュエータ6によって可動ポスト5は磁気
テープ長の規制を短くし磁気テープ1を弛ませる方向に
駆動され、逆にテープ移送手段4の動作によって磁気テ
ープ1の走行位相が遅らされ磁気テープ1が弛む時はア
クチュエータ6によって可動ポスト5は磁気テープ長の
規制を長くし磁気テープを張る方向に駆動される。
可変利得増幅手段11の出力cは同時に負荷観測器13に
入力される。負荷観測器13は可動ポスト制御手段12によ
る可動ポスト5の位置制御系を数学的モデルとして有
し、入力信号cと可動ポスト5の位置を検出する位置セ
ンサー6dの出力(可動ポスト制御手段12による位置制御
系の出力)を同数学的モデルの出力(可動ポスト制御手
段12による位置制御系の出力推定値、あるいは位置セン
サー6dの出力推定値)から可動ポスト5に加わる負荷ト
ルクを推定する。すなわち、現代制御理論における「オ
ブザーバ」を構成するものである。この数学的モデル
は、マイクロコンピュータ上で容易に実現できる。すな
わち、入力信号cは力のディメンションを持つので、こ
の入力信号cを時間積分するプログラム処理を行ない、
この処理の出力が可動ポスト5の速度の推定値となる。
さらに、可動ポスト5の速度推定値を時間積分処理した
ものが可動ポスト5の位置の推定値となる。さらに、こ
の可動ポスト5の速度推定値と位置センサー6dの出力を
比較して誤差を計算する。この誤差を速度推定を行なう
時間積分処理の入力、及び、位置推定を行なう時間積分
処理に、それぞれ所定の利得で帰還・加算する。この誤
差の帰還処理に加えて、この誤差を時間積分して速度推
定を行なう時間積分処理の入力に帰還加算する。この誤
差の時間積分結果が可動ポスト5に加わる負荷トルクの
推定値を与えることになる。
さて、可動ポスト5に加わる負荷トルクは磁気テープ
1のテンションによるトルクが支配的であり、負荷推定
器13の推定結果dは磁気テープ1のテンションを推定し
ていることになる。
負荷観測器13の可動ポスト5に加わる負荷トルクの推
定結果dによって、可変利得増幅手段11の利得が調整さ
れる。すなわち、テープ移送手段4に対する可動ポスト
P2の差動動作の誤差がテンション変動として発生するこ
とから可変利得増幅手段11によって、可動ポストP2の動
作振幅(すなわち、可動ポスト制御手段12の入力指令)
を負荷推定器13の出力d(磁気テープ1のテンションの
推定値)に応じて調整している。
また、負荷観測器13の可動ポスト5に加わる負荷トル
クの推定結果dはリールモータ制御手段14に入力され
る。リールモータ制御手段14は入力信号dに応じてリー
ルモータ3に電力を供給して、磁気テープ1に適当なバ
ックテンションを与える。
次に、第1図における構成要素の動作について説明す
る。
第2図は磁気テープ1に記録されたトラックの様子を
示す概念図である。21,22,23が記録トラックを示す。各
トラックにはそれぞれf1,f2,f3の周波数の信号が記録さ
れるエリア21a,22a,23aが設けられる。
第3図はトラッキングエラー検出手段9の具体的な構
成を表す構成図である。例えば、磁気ヘッド8が第2図
に示したトラック22を走査している場合、まず磁気ヘッ
ド8の再生出力aは周波数選別回路32に入力される。周
波数選別回路32は、f2なる周波数の信号の入力を検出す
る。f2なる周波数の信号の入力が検出されると、磁気ヘ
ッド8が第2図に示したエリア22aの位置を走査してい
ることが検出される。周波数選別回路32の結果によって
サンプリングタイミング発生回路33が動作して時間t1後
にスイッチ34を、時間t2後にスイッチ37をそれぞれ所定
時間だけ閉じる。時間t1後の磁気ヘッド1の走査位置は
エリア21aに差しかかった所であり、時間t2後の磁気ヘ
ッド1の走査位置はエリア23aに差しかかった所である
ように時間t1,t2が設定される。磁気ヘッド8の再生出
力aはエンベロープ検出回路31にも入力される。エンベ
ロープ検出回路31は再生信号aの包絡線を検出して出力
する。周波数選別回路32によって磁気ヘッド8の走査位
置がエリア22aにあると検出された後、時間t1後にスイ
ッチ34が所定時間だけ閉じられるとエンベロープ検出回
路31の出力はホールド回路35によってその後ホールドさ
れる。このときの磁気ヘッド1にはクロストークによっ
て、隣接トラック21のエリア21aの周波数f1の信号が再
生されている。また、時間t2後にはスイッチ37が所定時
間だけ閉じられと先のt1後にホールドした信号から現時
刻のエンベロープ検出回路の出力を減算器36によって減
算した信号がホールド回路38によってホールドされる。
このとの磁気ヘッド1にはクロストークによって、隣接
トラック23のエリア23aの周波数f3の信号が再生されて
いる。すなわち、この一連の動作によって磁気ヘッド8
がトラック22を走査する場合のトラック22と磁気ヘッド
8の走査位置のずれが検出されることになる。なお、39
は時間積分回路であって、ホールド回路38の出力を時間
積分して信号bを出力している。
第4図はトラッキング制御手段10の具体的な構成を表
す構成図である。
キャプスタンモータ4cの回転位相に同期したパルスを
発生するパルス発生手段4dの出力パルスと基準パルス44
の位相差を位相比較器45で検出する。トラッキングエラ
ー検出手段9の出力bと位相比較器45の出力は比較器46
で比較されその結果が補償回路43に入力される。補償回
路43はここでの制御ループの安全性を確保するために入
力信号の所定の周波数以上の成分を+6dB/octの傾斜で
強調して出力する。補償回路43の出力は駆動回路42に入
力され、駆動回路42はキャプスタンモータ4cに入力に応
じたトルクを発生させる。すなわち、トラッキングエラ
ー検出手段9の出力bに応じた分だけキャプスタンモー
タ4cの回転位相を増減させる。結局、トラッキングエラ
ー検出手段9の出力bに応じて磁気テープ1の走行位相
が補正され、磁気テープ1上のトラック位置に対する磁
気ヘッド8の走査位置のずれを無くすように動作する。
第5図はリールモータ制御手段14の具体的な構成を表
す構成図である。
負荷観測器13の出力d(磁気テープ1のテンション推
定値)は補償回路51に入力される。補償回路51は所定の
周波数以上の成分を+6dB/octの傾斜で強調して出力す
る。補償回路51の出力は駆動回路52に入力され、駆動回
路52はリールモータ3に入力に応じたトルクを発生さ
せ、磁気テープ1のバックテンションを略一定に制御す
ることになる。
第6図は可変利得増幅手段11の具体的な構成を表す構
成図である。
負荷観測器13の出力d(磁気テープ1のテンション推
定値)は、微分器61に入力され、微分器61は微分結果で
ある信号gを出力する。加算器62は信号dと信号gを所
定の利得で加算し、加算結果である信号hを出力する。
さらに、乗算器63は信号hとトラッキングエラー検出手
段9の出力bを乗算し、乗算結果である信号iを出力す
る。積分器64は信号iを時間積分し、積分結果である信
号jを出力する。乗算器65はトラッキングエラー検出手
段9の出力bと信号jを乗算し、出力信号cを発生す
る。すなわち、トラッキングエラー検出手段9の出力b
を負荷観測器13の出力d(磁気テープ1のテンション推
定値)に応じて可変倍して信号cを出力する。
第7図は可動ポスト制御手段12の具体的な構成を表す
構成図である。
可変利得増幅手段11の出力cは、比較器72によって可
動ポスト5の位置を検出する位置センサ6dの出力と比較
されその結果が補償回路73に入力される。補償回路73は
ここでの制御ループの安定性を確保するために入力信号
の所定の周波数以上の成分を+6dB/octの傾斜で強調し
て出力する。補償回路73の出力は駆動回路74に入力さ
れ、駆動回路74はアクチュエータ6aに入力に応じたトル
クを発生させ、軸6c、アーム6bを介して可動ポスト5を
駆動し位置制御する。
第8図は負荷観測器13の動作を説明する制御ブロック
線図である。
図中、sはラプラス演算子である。
ブロック81はアクチュエータ6aの伝達を表すブロック
であり、ブロック81aはアクチュエータ6aに入力される
駆動トルクからアクチュエータ6aの角速度までの伝達を
表す。Jはアクチュエータ6aの慣性モーメント、gは重
力加速度である。ブロック81bはアクチュエータ6aの角
速度から角度までの物理的な伝達を表す。ブロック82は
位置センサ6dの検出感度Ksを表す。
ブロック91は負荷観測器13の伝達を表すブロックであ
る。
アクチュエータ6aの数学モデルのブロック83が、ブロ
ック81に対応して表される。ブロック83aおよびブロッ
ク83bは、それぞれブロック81a、81bに対応する数学モ
デルの伝達を表す。同様に、位置センサ6dに対応して、
数学モデルのブロック84がある。
さて、アクチュエータ6aに可動ポスト制御手段12の出
力である駆動トルクTmが入力されると、ブロック81の伝
達にしたがってアクチュエータ6aの角度(可動ポスト5
の位置)が制御される。ところで、アクチュエータ6aへ
の入力トルクは可動ポスト制御手段12の出力である駆動
トルクTm以外に磁気テープ1のテンションによる負荷ト
ルクTLがある。すなわち、アクチュエータ6aにはブロッ
ク80に表すように、可動ポスト制御手段12の出力である
駆動トルクTmと磁気テープ1のテンションによる負荷ト
ルクTLが加算されて入力される。
アクチュエータ6aの数学モデルにアクチュエータ6aと
同様に可動ポスト制御手段12の出力である駆動トルクTm
を入力し、ブロック83,84で表される数学モデルによっ
てアクチュエータ6aの角度(可動ポスト5の位置)を演
算する。演算結果(アクチュエータ6aの推定角度)は、
位置センサ6dの出力と比較される。この比較動作を表す
ブロック85の出力はブロック87,86で表される利得g1,g2
でブロック88,89を通じてアクチュエータ6aの数学モデ
ルに帰還される。また同時に、ブロック85の出力はブロ
ック90で表されるように、積分(利得=g3)されて、数
学モデルの伝達ブロック83の入力に帰還される(ブロッ
ク88)と同時に、ブロック90の出力TLS(第1図の信号
dに対応する)が負荷観測器13の負荷推定値として出力
される。
第8図の制御ブロック線図を整理して、アクチュエー
タ6aに実際に加わる負荷トルクTLから、アクチュエータ
6aの数学モデルにおける推定負荷トルクTLSまでの伝達
を表すと第9図のようになる。すなわち、アクチュエー
タ6aに実際に加わる負荷トルクTLから、アクチュエータ
6aの数学モデルにおける推定負荷トルクTLSまでの伝達
は利得g1,g2,g3によって決まる周波数まで、ほぼ「1」
であることが容易にわかる。先にも述べた様に、アクチ
ュエータ6aに加わる負荷トルクの要因は磁気テープ1の
テンションによるものが支配的であることから、負荷観
測器13は磁気テープ1のテンションを推定していること
になる。
さて、前述の通り、テープ移送手段4によって磁気テ
ープ1が略一定速度で走行されるとき、負荷観測器13に
よって、可動ポスト5に加わる負荷トルク、すなわち、
磁気テープ1のテンションが推定され、これに応じてリ
ールモータ制御手段14はリールモータ3のトルクを制御
し、磁気テープ1に適当なバックテンションを与える。
さらに、トラッキングエラー検出手段9によって磁気テ
ープ1上の記録トラックの位置と磁気ヘッド8の走査位
置のずれが検出されるとトラッキング制御手段10によっ
てテープ移送手段4を制御し、磁気テープ1の走行位相
を補正して磁気テープ1上の記録トラックの位置と磁気
ヘッド8の走査位置のずれをなくする。このトラッキン
グ動作の繰り返しにおいて、磁気テープ1にはリールモ
ータ制御手段14だけでは抑制できない高い周波数のテン
ション変動が発生しようとする。しかし、トラッキング
エラー検出手段9の出力は可変利得増幅手段11を介して
可動ポスト制御手段12に送られ、可動ポスト5をテープ
移送手段4の動作に対して略差動駆動して、磁気テープ
1の供給リール2からテープ移送手段4に至る規制長を
可変して磁気テープ1のテンション変動を抑制する。ま
た、テープ移送手段4と可動ポスト5の差動動作の誤差
が存在することによってテンション変動が発生すること
に注目し、磁気テープ1のテンション(負荷観測器13に
よって推定される磁気テープ1のテンション推定値)を
テープ移送手段4と可動ポスト5の差動駆動の誤差信号
とし、これによって可変利得増幅手段11の利得が調整さ
れ、テンション変動が無くなったところで収束する。
以上、本発明の一実施例のテープ走行装置について説
明したが、テープ走行装置全体の系の安定性を考慮する
と、磁気テープ1の走行位相を制御するトラッキング制
御手段10の制御周波数特性(極配置)と可動ポスト5を
位置制御する可動ポスト制御手段12の制御周波数特性
(極配置)は、ほぼ等しく設計されることが望ましい。
また、可変利得増幅手段11の入力部には所定の周波数
以下の周波数の信号は通過させない様なフィルタ手段を
挿入することが望ましい。
発明の効果 以上のように本発明によるテープ走行装置は、トラッ
キングエラー検出手段の出力に応じてテープ移送手段を
駆動し、磁気テープの走行位相を制御して磁気ヘッドの
走査軌跡を磁気テープ上の記録トラックに沿うようにす
る際、アクチュエータ手段によって可動ポストは磁気テ
ープの走行位相変動によるテンション変動を打ち消すよ
うにテープ移送手段に対して差動動作してトラッキング
動作によって発生する高い周波数のテンション変動は抑
制されるので、従来によるテープ走行装置の課題を解決
し、磁気ヘッドと磁気テープのタッチは良好に保たれ、
かつ、再生ジッタは極めて小さくなると同時に磁気テー
プのダメージも極めて小さくなる。
磁気テープのテンションを検出するのに、センサーを
別途設けることなく可動ポストに加わる負荷トルクを推
定することによって磁気テープのテンションに比例する
信号を得ているので物理的構成が極めて簡単である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例におけるテープ走行装置の構成
図、第2図は磁気テープに記録されたトラックの様子を
示す概略図、第3図はトラッキングエラー検出手段の具
体的な構成を表す構成図、第4図はトラッキング制御手
段の具体的な構成を表す構成図、第5図はリールモータ
制御手段の具体的な構成を表す構成図、第6図は可変利
得増幅手段の具体的な構成を表す構成図、第7図は可動
ポスト制御手段の具体的な構成を表す構成図、第8図は
負荷観測器の動作を説明する制御ブロック図、第9図は
第8図を整理して、アクチュエータに実際に加わる負荷
トルクから、アクチュエータの数学モデルにおける推定
負荷トルクまでの伝達を表す説明図である。 1……磁気テープ、2……供給リール、3……リールモ
ータ、4……テープ移送手段、5……可動ポスト、6a…
…アクチュエータ、7……回転シリンダ、8……磁気ヘ
ッド、9……トラッキングエラー検出手段、10……トラ
ッキング制御手段、11……可変利得増幅手段、12……可
動ポスト制御手段、13……負荷観測器、14……リールモ
ータ制御手段。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置
    において、磁気テープが巻かれた供給リールを駆動する
    リール駆動手段と、前記磁気テープを磁気ヘッドが搭載
    される回転ドラムを介して前記供給リールから引き出し
    略一定速度で走行させるテープ移送手段と、前記供給リ
    ールと前記テープ移送手段との間に設置され前記供給リ
    ールと前記テープ移送手段との前記磁気テープの長さを
    可変規制する可動ポストと、前記可動ポストを駆動する
    アクチュエータ手段と、前記磁気テープ上の記録トラッ
    クの位置と前記磁気ヘッドの走査位置のずれを検出する
    トラッキングエラー検出手段と、前記トラッキングエラ
    ー検出手段の出力に応じて前記テープ移送手段を制御し
    て前記磁気テープの走行位相を制御するトラッキング制
    御手段と、前記トラッキングエラー検出手段の出力を可
    変倍する可変利得増幅手段と、前記可変利得増幅手段の
    出力に応じて前記アクチュエータ手段を駆動し前記可動
    ポストの位置を制御する可動ポスト制御手段と、前記ア
    クチュエータの負荷トルクを推定する負荷測定器と、前
    記負荷測定器の出力に応じて前記リール駆動手段を制御
    するリールモータ制御手段とを具備し、前記負荷観測器
    の出力に応じて前記可変利得増幅手段の利得を増減する
    ことを特徴とするテープ走行装置。
  2. 【請求項2】負荷観測器はアクチュエータによって駆動
    される可動ポストの位置を検出する位置検出器と、前記
    アクチュエータ手段と前記可動ポストの挙動を表現する
    数学的モデルを有し、前記アクチュエータ手段に入力さ
    れる前記可変利得増幅手段の出力を前記数学モデルに同
    時に入力し、前記数学モデルの出力と前記位置検出器の
    出力との出力誤差を定数倍した結果と時間積分した結果
    を前記数学モデルの入力に帰還するように構成され、前
    記出力誤差の時間積分結果を前記アクチュエータの負荷
    トルクの推定値として出力することを特徴とする請求項
    (1)記載のテープ走行装置。
  3. 【請求項3】可変利得増幅手段は負荷観測器の出力の値
    を時間微分する微分器と、前記負荷観測器の出力の値と
    前記微分器の微分結果の値を加算する加算器と、前記加
    算器の加算結果の値と前記トラッキングエラー検出手段
    の出力の値を乗算する第1の乗算器と、前記第1の乗算
    器の乗算結果を時間積分する積分器と、前記トラッキン
    グエラー検出手段の出力の値と前記積分器の積分結果の
    値を乗算する第2の乗算器から構成され、前記第2の乗
    算器の乗算結果を前記可動ポスト制御手段の入力信号と
    することを特徴とする請求項(1)記載のテープ走行装
    置。
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