JP2736567B2 - ポリグルタミン酸の製造法 - Google Patents
ポリグルタミン酸の製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリグルタミン酸の製造
法に関し、詳しくは容易に脱離可能なエステル基をγ位
カルボキシル基に持つグルタミン酸を原料としてグルタ
ミン酸 α−アルキル γ−置換 エステルを製造し、
次いでこの化合物からγ−グルタミルグルタミン酸
α,α, −ジアルキル エステルを得たのち、これを重
縮合させてポリグルタミン酸を製造する方法に関する。
法に関し、詳しくは容易に脱離可能なエステル基をγ位
カルボキシル基に持つグルタミン酸を原料としてグルタ
ミン酸 α−アルキル γ−置換 エステルを製造し、
次いでこの化合物からγ−グルタミルグルタミン酸
α,α, −ジアルキル エステルを得たのち、これを重
縮合させてポリグルタミン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】本発
明者らは、既にグルタミン酸のγ−カルボキシル基とα
−アミノ基がアミド結合により結合している化合物、γ
−ポリグルタミン酸(以下、PGAと略記することがあ
る。)の高度重合体を微生物を用いて有利に製造する方
法を開発した(特開平1−174397)。また、PG
Aの有するα−カルボキシル基を経済的にアルキル基ま
たはベンジル基などによりエステル化し、産業上有用な
ポリ−γ−グルタミン酸 α−置換 エステル(以下、
PGAエステル化物と略記することがある。)を得るこ
とにも成功している(特開平3−234730)。
明者らは、既にグルタミン酸のγ−カルボキシル基とα
−アミノ基がアミド結合により結合している化合物、γ
−ポリグルタミン酸(以下、PGAと略記することがあ
る。)の高度重合体を微生物を用いて有利に製造する方
法を開発した(特開平1−174397)。また、PG
Aの有するα−カルボキシル基を経済的にアルキル基ま
たはベンジル基などによりエステル化し、産業上有用な
ポリ−γ−グルタミン酸 α−置換 エステル(以下、
PGAエステル化物と略記することがある。)を得るこ
とにも成功している(特開平3−234730)。
【0003】しかし、上記PGAエステル化物は特定の
高極性溶媒にのみ可溶であるという性質のため、広範な
用途開発の障害となっていた。溶媒可溶性が狭い原因の
一つとして、PGAを構成するグルタミン酸が光学不活
性であることが挙げられる。
高極性溶媒にのみ可溶であるという性質のため、広範な
用途開発の障害となっていた。溶媒可溶性が狭い原因の
一つとして、PGAを構成するグルタミン酸が光学不活
性であることが挙げられる。
【0004】ところで、ポリ−γ−グルタミン酸 α−
置換 エステルの化学合成法は既にKajatar ら[Acta.Ch
im.Acad.Sci.Hungar.,vol.62,191(1969)] やKovacks ら
[Biochemistry,vol.11,1953(1972)]によって報告されて
いるが、N−カルボベンジルオキシ−グルタミン酸酸無
水物をアルコールと反応させることにより得られる合成
中間体であるグルタミン酸 α−アルキル エステルの
収率が理論上60%を上回ることがないことから、総収
率が極めて低くなるなどの課題を有していた。
置換 エステルの化学合成法は既にKajatar ら[Acta.Ch
im.Acad.Sci.Hungar.,vol.62,191(1969)] やKovacks ら
[Biochemistry,vol.11,1953(1972)]によって報告されて
いるが、N−カルボベンジルオキシ−グルタミン酸酸無
水物をアルコールと反応させることにより得られる合成
中間体であるグルタミン酸 α−アルキル エステルの
収率が理論上60%を上回ることがないことから、総収
率が極めて低くなるなどの課題を有していた。
【0005】そこで、本発明者らは商業上安価かつ安定
的に入手可能なL−グルタミン酸を原料として光学活性
なポリグルタミン酸を製造する方法を確立すべく検討を
重ねた。まず、L−グルタミン酸のγ位カルボキシル基
に容易に脱離可能なエステル基を導入し、これをアルキ
ルハライドと反応させてグルタミン酸 α−アルキルγ
−置換 エステルを効率よく製造する方法の確立に成功
した。次いで、この化合物のγ位のエステル基を接触還
元すれば、グルタミン酸 α−アルキル エステルが得
られる。しかる後、該グルタミン酸 α−アルキル エ
ステルを縮合させてγ−グルタミルグルタミン酸 α,
α, −ジアルキル エステルを得、これを重縮合させて
ポリ γ−グルタミン酸 α−アルキルエステルを製造
する方法を開発したのである。
的に入手可能なL−グルタミン酸を原料として光学活性
なポリグルタミン酸を製造する方法を確立すべく検討を
重ねた。まず、L−グルタミン酸のγ位カルボキシル基
に容易に脱離可能なエステル基を導入し、これをアルキ
ルハライドと反応させてグルタミン酸 α−アルキルγ
−置換 エステルを効率よく製造する方法の確立に成功
した。次いで、この化合物のγ位のエステル基を接触還
元すれば、グルタミン酸 α−アルキル エステルが得
られる。しかる後、該グルタミン酸 α−アルキル エ
ステルを縮合させてγ−グルタミルグルタミン酸 α,
α, −ジアルキル エステルを得、これを重縮合させて
ポリ γ−グルタミン酸 α−アルキルエステルを製造
する方法を開発したのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ベンジル基ま
たはt−ブチル基をγ位カルボキシル基に持つ光学活性
なグルタミン酸に塩基の存在下アルキルハライドを作用
させてα位カルボキシル基にアルキル基を導入すること
を特徴とするグルタミン酸 α−アルキル γ−置換
エステルの製造法、該グルタミン酸 α−アルキル γ
−置換 エステルを常法により処理してそのγ位カルボ
キシル基のエステル基を脱離した後、アミノ基保護剤と
反応させてN−保護−グルタミン酸 α−アルキル エ
ステルを得、これをグルタミン酸 α−アルキル γ−
置換 エステルと反応させることを特徴とするγ−グル
タミルグルタミン酸 α,α, −ジアルキル エステル
の製造法並びに得られたγ−グルタミルグルタミン酸
α,α, −ジアルキル エステルを縮合剤の存在下重縮
合させることを特徴とするポリ−γ−グルタミン酸α−
アルキル エステルの製造法を提供するものである。
たはt−ブチル基をγ位カルボキシル基に持つ光学活性
なグルタミン酸に塩基の存在下アルキルハライドを作用
させてα位カルボキシル基にアルキル基を導入すること
を特徴とするグルタミン酸 α−アルキル γ−置換
エステルの製造法、該グルタミン酸 α−アルキル γ
−置換 エステルを常法により処理してそのγ位カルボ
キシル基のエステル基を脱離した後、アミノ基保護剤と
反応させてN−保護−グルタミン酸 α−アルキル エ
ステルを得、これをグルタミン酸 α−アルキル γ−
置換 エステルと反応させることを特徴とするγ−グル
タミルグルタミン酸 α,α, −ジアルキル エステル
の製造法並びに得られたγ−グルタミルグルタミン酸
α,α, −ジアルキル エステルを縮合剤の存在下重縮
合させることを特徴とするポリ−γ−グルタミン酸α−
アルキル エステルの製造法を提供するものである。
【0007】本発明において、原料の光学活性なグルタ
ミン酸としてはL−グルタミン酸が好ましい。次に、グ
ルタミン酸 α−アルキル γ−置換 エステルの製造
に用いる容易に脱離可能なエステル基としては、ベンジ
ル基とt−ブチル基がある。また、アルキルハライドと
しては、塩化物,臭化物,ヨウ化物があり、特に臭化物
が好適である。アルキル基の具体例には、炭素数1〜1
0の直鎖もしくは分岐アルキル基がある。塩基として
は、1.1〜5当量の無機アルカリ金属塩(水酸化物,
ハロゲン化物,カルボン酸化合物等)や1〜3級アミン
化合物が用いられ、望ましくは炭酸水素ナトリウムを原
料化合物に対し2当量の割合で使用する。この反応は、
溶媒の存在下に行われ、溶媒としては生成物であるグル
タミン酸α−アルキル γ−置換 エステルが溶解する
ものであればよく、好ましくはジメチルホルムアミドな
どが用いられる。また、反応は室温から80℃の範囲、
好ましくは室温乃至室温付近の温度で行う。反応終了
後、副生物や未反応物などはろ過,減圧濃縮等により除
去することができる。
ミン酸としてはL−グルタミン酸が好ましい。次に、グ
ルタミン酸 α−アルキル γ−置換 エステルの製造
に用いる容易に脱離可能なエステル基としては、ベンジ
ル基とt−ブチル基がある。また、アルキルハライドと
しては、塩化物,臭化物,ヨウ化物があり、特に臭化物
が好適である。アルキル基の具体例には、炭素数1〜1
0の直鎖もしくは分岐アルキル基がある。塩基として
は、1.1〜5当量の無機アルカリ金属塩(水酸化物,
ハロゲン化物,カルボン酸化合物等)や1〜3級アミン
化合物が用いられ、望ましくは炭酸水素ナトリウムを原
料化合物に対し2当量の割合で使用する。この反応は、
溶媒の存在下に行われ、溶媒としては生成物であるグル
タミン酸α−アルキル γ−置換 エステルが溶解する
ものであればよく、好ましくはジメチルホルムアミドな
どが用いられる。また、反応は室温から80℃の範囲、
好ましくは室温乃至室温付近の温度で行う。反応終了
後、副生物や未反応物などはろ過,減圧濃縮等により除
去することができる。
【0008】次に、γ−グルタミルグルタミン酸 α,
α, −ジアルキル エステルの製造法について説明す
る。この反応は、前記グルタミン酸 α−アルキル γ
−置換エステルを原料として行われ、この原料を常法、
例えば触媒の存在下水素と接触還元させてγ位カルボキ
シル基のエステル基を脱離した後、アミノ基保護剤であ
るS−Boc −4,6−ジメチル−2−チオピリミジンと
反応させてN−t−ブトキシカルボニル−グルタミン酸
α−アルキル エステルを得、これをグルタミン酸
α−アルキル γ−置換 エステルと縮合剤の存在下に
反応させ、さらに脱保護剤で処理することにより目的と
するγ−グルタミルグルタミン酸 α,α, −ジアルキ
ル エステルを得るものである。この際、アミノ基保護
剤としてはカルボベンジルオキシクロリドなどのZ化
剤、S−Boc −4,6−ジメチル−2−チオピリミジ
ン,t−ブトキシカルボニルクロリドなどのBoc 化剤
やウレタン型保護基として知られているものを用いるこ
とができる。
α, −ジアルキル エステルの製造法について説明す
る。この反応は、前記グルタミン酸 α−アルキル γ
−置換エステルを原料として行われ、この原料を常法、
例えば触媒の存在下水素と接触還元させてγ位カルボキ
シル基のエステル基を脱離した後、アミノ基保護剤であ
るS−Boc −4,6−ジメチル−2−チオピリミジンと
反応させてN−t−ブトキシカルボニル−グルタミン酸
α−アルキル エステルを得、これをグルタミン酸
α−アルキル γ−置換 エステルと縮合剤の存在下に
反応させ、さらに脱保護剤で処理することにより目的と
するγ−グルタミルグルタミン酸 α,α, −ジアルキ
ル エステルを得るものである。この際、アミノ基保護
剤としてはカルボベンジルオキシクロリドなどのZ化
剤、S−Boc −4,6−ジメチル−2−チオピリミジ
ン,t−ブトキシカルボニルクロリドなどのBoc 化剤
やウレタン型保護基として知られているものを用いるこ
とができる。
【0009】また、N−t−ブトキシカルボニル−グル
タミン酸 α−アルキル エステルとグルタミン酸 α
−アルキル γ−置換 エステルの縮合反応に用いる縮
合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以
下、DCCと略記することがある。),カルボジイミダ
ゾール(以下、CDIと略記することがある。),N−
エチル−5−フェニルイソキサゾリウム−3' −スルホ
ン酸塩(Woodward試薬“K”)などの一般にカップリン
グ試薬として知られているものを使用することができ
る。この際、ラセミ化を極力抑える目的で1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール(以下、HOBtと略記すること
がある。)などを添加することができる。脱保護剤とし
ては、フッ化水素,臭化水素,塩化水素,トリフルオロ
酢酸などの酸を用いることができ、望ましくは30%臭
化水素を含む酢酸を用い、4℃で反応を行う。
タミン酸 α−アルキル エステルとグルタミン酸 α
−アルキル γ−置換 エステルの縮合反応に用いる縮
合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以
下、DCCと略記することがある。),カルボジイミダ
ゾール(以下、CDIと略記することがある。),N−
エチル−5−フェニルイソキサゾリウム−3' −スルホ
ン酸塩(Woodward試薬“K”)などの一般にカップリン
グ試薬として知られているものを使用することができ
る。この際、ラセミ化を極力抑える目的で1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール(以下、HOBtと略記すること
がある。)などを添加することができる。脱保護剤とし
ては、フッ化水素,臭化水素,塩化水素,トリフルオロ
酢酸などの酸を用いることができ、望ましくは30%臭
化水素を含む酢酸を用い、4℃で反応を行う。
【0010】次に、ポリ−γ−グルタミン酸 α−アル
キル エステルの製造法について説明する。この反応は
前記γ−グルタミルグルタミン酸 α,α, −ジアルキ
ルエステルを原料として行われ、この原料をジメチルホ
ルムアミド溶液中で縮合剤およびラセミ化抑制剤の存在
下に反応させることにより目的とするポリ−γ−グルタ
ミン酸 α−アルキル エステルを得るものである。こ
こで用いる縮合剤およびラセミ化抑制剤としては、前記
DCC,HOBtなどのペプチド合成試薬として一般に
使用されているものを用いることができる。また、反応
温度は0〜80℃の範囲で実施可能であるが、低温が望
ましく、通常は4℃程度の温度が採用される。
キル エステルの製造法について説明する。この反応は
前記γ−グルタミルグルタミン酸 α,α, −ジアルキ
ルエステルを原料として行われ、この原料をジメチルホ
ルムアミド溶液中で縮合剤およびラセミ化抑制剤の存在
下に反応させることにより目的とするポリ−γ−グルタ
ミン酸 α−アルキル エステルを得るものである。こ
こで用いる縮合剤およびラセミ化抑制剤としては、前記
DCC,HOBtなどのペプチド合成試薬として一般に
使用されているものを用いることができる。また、反応
温度は0〜80℃の範囲で実施可能であるが、低温が望
ましく、通常は4℃程度の温度が採用される。
【0011】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
る。 参考例 L−グルタミン酸 γ−ベンジル エステルの合成 L−グルタミン酸(12.65g)の60%硫酸溶液
(13.70g)にベンジルアルコール(9.72g)
を加え、30℃で70分かき混ぜた。この後、減圧濃縮
を行い水分を除去した。反応液を炭酸水素ナトリウム
(13.0g)を含む冷水500mlにかき混ぜながら
加え、さらに冷水500mlを加えて一晩放置した。析
出した結晶を濾取して16.19gの結晶を得た(収率
79%)。この結晶の融点は174℃であり、他の物性
を以下に示す。1 H NMR δ(ppm,D2O);2.24(m,2H,CH2),2.60(m,2H,CH2),
4.31(s,1H,CH),5.17(s,2H,CH2),7.37(s,5H,C6H5) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);3060(NH2),1740
(エステル),1581(COOH)
る。 参考例 L−グルタミン酸 γ−ベンジル エステルの合成 L−グルタミン酸(12.65g)の60%硫酸溶液
(13.70g)にベンジルアルコール(9.72g)
を加え、30℃で70分かき混ぜた。この後、減圧濃縮
を行い水分を除去した。反応液を炭酸水素ナトリウム
(13.0g)を含む冷水500mlにかき混ぜながら
加え、さらに冷水500mlを加えて一晩放置した。析
出した結晶を濾取して16.19gの結晶を得た(収率
79%)。この結晶の融点は174℃であり、他の物性
を以下に示す。1 H NMR δ(ppm,D2O);2.24(m,2H,CH2),2.60(m,2H,CH2),
4.31(s,1H,CH),5.17(s,2H,CH2),7.37(s,5H,C6H5) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);3060(NH2),1740
(エステル),1581(COOH)
【0012】実施例1 L−グルタミン酸 α−メチル γ−ベンジル エステ
ルの合成 参考例により得たL−グルタミン酸 γ−ベンジル エ
ステル(2.28g)をジメチルホルムアミド(40m
l)に懸濁し、さらに炭酸水素ナトリウム(3.29
g)とヨウ化メチル(4.41g)を加え、室温(約2
5℃)下にて48時間反応させた。反応液を4℃に冷却
し析出したヨウ化ナトリウムを濾過により除去した後、
減圧下にジメチルホルムアミドを留去し、結晶2.63
gを得た(収率71%)この粗結晶全量をメタノール
(20ml)に溶解し、濾過した後、300mlのジエ
チルエーテルに添加し結晶を析出させた。この結晶の物
性を以下に示す。1 H NMR δ(ppm,CD3OD);2.24(m,2H,CH2),2.60(m,2H,C
H2),3.84(s,3H,CH3),4.31(s,1H,CH),5.17(s,2H,CH2),7.
37(s,5H,C6H5) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);3060(NH2),174
2,1739(エステル),1170( エステル)
ルの合成 参考例により得たL−グルタミン酸 γ−ベンジル エ
ステル(2.28g)をジメチルホルムアミド(40m
l)に懸濁し、さらに炭酸水素ナトリウム(3.29
g)とヨウ化メチル(4.41g)を加え、室温(約2
5℃)下にて48時間反応させた。反応液を4℃に冷却
し析出したヨウ化ナトリウムを濾過により除去した後、
減圧下にジメチルホルムアミドを留去し、結晶2.63
gを得た(収率71%)この粗結晶全量をメタノール
(20ml)に溶解し、濾過した後、300mlのジエ
チルエーテルに添加し結晶を析出させた。この結晶の物
性を以下に示す。1 H NMR δ(ppm,CD3OD);2.24(m,2H,CH2),2.60(m,2H,C
H2),3.84(s,3H,CH3),4.31(s,1H,CH),5.17(s,2H,CH2),7.
37(s,5H,C6H5) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);3060(NH2),174
2,1739(エステル),1170( エステル)
【0013】実施例2 N−t−ブトキシカルボニル−L−グルタミン酸 α−
メチル エステルの合成 実施例1により得られたL−グルタミン酸 α−メチル
γ−ベンジル エステル(0.86g)をメタノール
(5ml),酢酸(3ml),水(2ml)の混液に溶
解した後、パラジウムカーボン触媒量を添加し、水素ガ
スを通気して接触還元を行った。還元終了後、減圧濃縮
し、内容物を乾固した。この後、乾固物を1mlの脱イ
オン水に溶解してトリエチルアミン(0.706g)お
よびS−Boc −4,6−ジメチル−2−チオピリミジン
(1.05g)を含む1mlのジオキサン溶液を添加
し、室温下に24時間撹拌した。次いで、反応液に酢酸
エチル(10ml)を添加し、未反応物を抽出除去した
のち水溶液を減圧乾固することにより淡黄色の結晶0.
763gを得た。この結晶の物性を以下に示す。1 H NMR δ(ppm,CD3OD);1.20(t,9H,(CH3)3),2.24(m,2H,
CH2),2.60(m,2H,CH2),3.84(s,3H,CH3),4.31(s,1H,CH) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);1742(エステ
ル),1633,1600(ウレタン),1170( エステル)
メチル エステルの合成 実施例1により得られたL−グルタミン酸 α−メチル
γ−ベンジル エステル(0.86g)をメタノール
(5ml),酢酸(3ml),水(2ml)の混液に溶
解した後、パラジウムカーボン触媒量を添加し、水素ガ
スを通気して接触還元を行った。還元終了後、減圧濃縮
し、内容物を乾固した。この後、乾固物を1mlの脱イ
オン水に溶解してトリエチルアミン(0.706g)お
よびS−Boc −4,6−ジメチル−2−チオピリミジン
(1.05g)を含む1mlのジオキサン溶液を添加
し、室温下に24時間撹拌した。次いで、反応液に酢酸
エチル(10ml)を添加し、未反応物を抽出除去した
のち水溶液を減圧乾固することにより淡黄色の結晶0.
763gを得た。この結晶の物性を以下に示す。1 H NMR δ(ppm,CD3OD);1.20(t,9H,(CH3)3),2.24(m,2H,
CH2),2.60(m,2H,CH2),3.84(s,3H,CH3),4.31(s,1H,CH) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);1742(エステ
ル),1633,1600(ウレタン),1170( エステル)
【0014】実施例3 γ−L−グルタミルL−グルタミン酸 α,α, −ジメ
チル エステルの合成 実施例1で得たL−グルタミン酸 α−メチル γ−ベ
ンジル エステル(0.174g)および実施例2で得
たN−t−ブトキシカルボニル−L−グルタミン酸 α
−メチル エステル(0.158g)を10mlの乾燥
ジメチルホルムアミドに溶解後、DCC(0.313
g),HOBt(0.139g)およびトリエチルアミ
ン(0.074g)を添加し、4℃で24時間反応を行
った。この後、反応系内に沈澱したジシクロヘキシルウ
レアを濾過により除いたのち減圧乾固した。乾固物を酢
酸エチル(10ml)に溶解し、10mlの脱イオン水
により抽出した。抽出液を減圧濃縮して乾固物0.34
1gを得た。この乾固物を30%臭化水素−酢酸溶液1
0mlに溶解し、4℃で48時間反応を行った。次い
で、反応液を100mlのジエチルエーテルに添加し、
沈澱物を得た。この沈澱物を濾取して目的とするγ−L
−グルタミルL−グルタミン酸 α,α, −ジメチル
エステル0.096gを得た(収率90%)。この化合
物の物性を以下に示す。1 H NMR δ(ppm DMSO-d6);2.24(m,2H,CH2),2.60(m,2H,C
H2),3.84(s,3H,CH3),4.31(s,1H,CH),8.20(s,1H,NHCO) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);1742(エステ
ル),1633,1594(アミド)
チル エステルの合成 実施例1で得たL−グルタミン酸 α−メチル γ−ベ
ンジル エステル(0.174g)および実施例2で得
たN−t−ブトキシカルボニル−L−グルタミン酸 α
−メチル エステル(0.158g)を10mlの乾燥
ジメチルホルムアミドに溶解後、DCC(0.313
g),HOBt(0.139g)およびトリエチルアミ
ン(0.074g)を添加し、4℃で24時間反応を行
った。この後、反応系内に沈澱したジシクロヘキシルウ
レアを濾過により除いたのち減圧乾固した。乾固物を酢
酸エチル(10ml)に溶解し、10mlの脱イオン水
により抽出した。抽出液を減圧濃縮して乾固物0.34
1gを得た。この乾固物を30%臭化水素−酢酸溶液1
0mlに溶解し、4℃で48時間反応を行った。次い
で、反応液を100mlのジエチルエーテルに添加し、
沈澱物を得た。この沈澱物を濾取して目的とするγ−L
−グルタミルL−グルタミン酸 α,α, −ジメチル
エステル0.096gを得た(収率90%)。この化合
物の物性を以下に示す。1 H NMR δ(ppm DMSO-d6);2.24(m,2H,CH2),2.60(m,2H,C
H2),3.84(s,3H,CH3),4.31(s,1H,CH),8.20(s,1H,NHCO) 赤外吸収スペクトル(cm-1,KBr錠剤法);1742(エステ
ル),1633,1594(アミド)
【0015】実施例4 ポリ−γ−L−グルタミン酸 α−メチル エステルの
合成 実施例3により得たγ−L−グルタミルL−グルタミン
酸 α,α, −ジメチル エステル(0.123g),
DCC(0.202g),HOBt(0.089g)お
よびトリエチルアミン(0.095g)を10mlの乾
燥ジメチルホルムアミドに溶解し、4℃で48時間反応
を行った。次いで、反応系内に沈澱したジシクロヘキシ
ルウレアを濾過により除いたのち反応液全量を100m
lのジエチルエーテルに投入して沈澱物0.102gを
得た。この沈澱物(10mg)を10mM臭化リチウム
を含むジメチルホルムアミド2mlに溶解し、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフにより分子量を測定した。
その結果、数平均分子量4.09×103 のポリ−γ−
L−グルタミン酸 α−メチル エステルが得られた。
合成 実施例3により得たγ−L−グルタミルL−グルタミン
酸 α,α, −ジメチル エステル(0.123g),
DCC(0.202g),HOBt(0.089g)お
よびトリエチルアミン(0.095g)を10mlの乾
燥ジメチルホルムアミドに溶解し、4℃で48時間反応
を行った。次いで、反応系内に沈澱したジシクロヘキシ
ルウレアを濾過により除いたのち反応液全量を100m
lのジエチルエーテルに投入して沈澱物0.102gを
得た。この沈澱物(10mg)を10mM臭化リチウム
を含むジメチルホルムアミド2mlに溶解し、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフにより分子量を測定した。
その結果、数平均分子量4.09×103 のポリ−γ−
L−グルタミン酸 α−メチル エステルが得られた。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、商業的に安価かつ安定
的に入手可能なL−グルタミン酸を原料として光学活性
なポリ−γ−L−グルタミン酸を効率よく製造すること
ができる。
的に入手可能なL−グルタミン酸を原料として光学活性
なポリ−γ−L−グルタミン酸を効率よく製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 聡 大阪府大阪市天王寺区堂ヶ芝1丁目6番 5号 (72)発明者 南部 洋子 神奈川県横浜市緑区藤が丘1−17−26− 524 (72)発明者 遠藤 剛 神奈川県横浜市西区宮ケ谷54−13
Claims (3)
- 【請求項1】 ベンジル基またはt−ブチル基をγ位カ
ルボキシル基に持つ光学活性なグルタミン酸に塩基の存
在下アルキルハライドを作用させてα位カルボキシル基
にアルキル基を導入することを特徴とするグルタミン酸
α−アルキル γ−置換 エステルの製造法。 - 【請求項2】 請求項1記載のグルタミン酸 α−アル
キル γ−置換 エステルを常法により処理してそのγ
位カルボキシル基のエステル基を脱離した後、アミノ基
保護剤と反応させてN−保護−グルタミン酸 α−アル
キル エステルを得、これをグルタミン酸 α−アルキ
ル γ−置換 エステルと反応させることを特徴とする
γ−グルタミルグルタミン酸 α,α, −ジアルキル
エステルの製造法。 - 【請求項3】 請求項2記載のγ−グルタミルグルタミ
ン酸 α,α, −ジアルキル エステルを縮合剤の存在
下重縮合させることを特徴とするポリ−γ−グルタミン
酸 α−アルキル エステルの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7032291A JP2736567B2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | ポリグルタミン酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7032291A JP2736567B2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | ポリグルタミン酸の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04283232A JPH04283232A (ja) | 1992-10-08 |
JP2736567B2 true JP2736567B2 (ja) | 1998-04-02 |
Family
ID=13428097
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7032291A Expired - Lifetime JP2736567B2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | ポリグルタミン酸の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2736567B2 (ja) |
-
1991
- 1991-03-12 JP JP7032291A patent/JP2736567B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04283232A (ja) | 1992-10-08 |
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