JP2736347B2 - 過酸化水素製造用電極の賦活方法及び過酸化水素の製造方法 - Google Patents

過酸化水素製造用電極の賦活方法及び過酸化水素の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性の低下した炭素を
主成分とするガス拡散電極を賦活する方法、及びこの賦
活方法を利用した過酸化水素の製造方法に関する。更に
詳しくは、活性の低下した炭素を主成分とするガス拡散
電極を賦活することにより、長時間に渡り、中、低濃度
の過酸化水素を含有するアルカリ性水溶液を連続的に電
解法により製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】過酸化水素は、漂白剤及び酸化剤として
古くから有用であり、現在ほとんどがアンスラキノンの
水添、酸化により製造されている。しかるに、アンスラ
キノンの水添・酸化法は、設備が大型で大量生産向きで
ある。従って、アンスラキノンの水添・酸化法により製
造された過酸化水素は、約50〜60%に濃縮され、消
費地まで輸送されるのが一般的である。そのため、濃縮
設備も併せて必要であり、装置が更に巨大化しているの
が現状である。
【0003】しかるに、過酸化水素の使用時には特に高
濃度である必要はなく、むしろ希釈して使用するのが普
通である。従って、中、低濃度の過酸化水素を含有する
水溶液を、使用時に使用場所で簡便に生産でき、かつそ
のまま使用できれば、使用者にとってのメリットは大き
い。例えば、パルプの漂白等に多量の過酸化水素を使用
する製紙業界にとっては、中、低濃度の過酸化水素を含
有する水溶液を、パルプ工場等に隣接して簡便かつ安価
に生産できれば、極めて有益である。
【0004】そこで、本発明者らは、このような観点か
ら、これまでに知られている過酸化水素の製法を再度検
討した。その結果、酸素をアルカリ水溶液中で電解還元
する方法は、工程が単純であり、かつ耐腐食性の材料も
必要としないので、装置を簡素化できる可能性があるこ
とが判明した。
【0005】電解法による過酸化水素製造法では、イオ
ン交換膜で分離された陰極側では供給された酸素が電解
されてアルカリ性の過酸化物アニオンを生成し、陽極側
では酸素を発生しながら水素イオンを生成する。これが
カチオン交換膜を透過して陰極側でアルカリ性の過酸化
水素水溶液を生成する。従って、本来陽極は酸性である
のが自然で、且つ陰極で生成する過酸化水素も酸性側の
方が安定なので、保存用の過酸化水素を得たいときは陽
極を酸性側で運転する例が多い。
【0006】例えば、陽極側を酸性にした例としては、
米国特許4384931号に陽極/酸水溶液/カチオン
交換膜/アルカリ水溶液/ガス拡散電極よりなる陰極/
酸素の順に構成された電解槽が開示されている。さら
に、KuhnらのJ.Electrochem.Soc.130 巻.117p(1983) に
は陽極/酸水溶液/カチオン交換膜/酸水溶液/アニオ
ン交換膜/アルカリ水溶液/ガス拡散電極よりなる陰極
/酸素の順に構成された電解槽が記載されている。
【0007】一方、パルプの漂白剤としての過酸化水素
はアルカリ側で使用する。従って、この場合は陰極で生
成したアルカリ性の過酸化水素水溶液をそのまま利用す
るためにも、陽極にアルカリ性電解液を流して中和する
かアルカリ側にして運転することが多い。
【0008】陽極側をアルカリ性にした例としては、特
公昭59−15990号に陽極/アルカリ水溶液/隔離
板/ガス拡散電極よりなる陰極/酸素の例が開示されて
いる。さらに、Sudoh らのJ.Chem.Eng.Japan, 24巻,165
p(1991) には陽極/アルカリ水溶液/イオン交換膜/ア
ルカリ水溶液/ガス拡散電極よりなる陰極/酸素の例が
開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記拡散電
極における反応は、ガスと電解液と固体伝導体との間の
三相が接触する点において起こると考えられる。そのた
め、電流効率を最大にするためには、三相接触区域の面
積を最大にする必要がある。拡散電極中の空間が電解液
で満たされてしまうと電導体へのガスの物質移動速度が
遅くなりすぎて電流効率は悪くなる。逆に拡散電極中の
空間がガスで満たされている電解液が存在しないために
電解反応はほとんど起こらない。
【0010】そこで三相の接触を良好に保つ方法とし
て、ガス拡散電極である陰極の材質について数多くの研
究がなされている。本質的に多孔性の電導体であるとこ
ろの炭素や金属粒子の流動床や固定床、さらには炭素繊
維や金属繊維のフェルトやクロス等の従来から用いられ
ている電極材質について、酸素を効率よく拡散し電流効
率を良くするために種々の提案がなされている。
【0011】例えば竹中らのDENKI KAGAKU, 57巻, 11
号,1073pでは活性炭やカーボンブラック、黒鉛について
の考察があり、更に、撥水処理の検討がなされている。
又、前記のSudoh らのJ.Chem.Eng.Japan, 24巻,165p(19
91) では、グラファイト粉末の成形体やグラファイトフ
ェルトの検討が行われている。さらに、撥水処理につい
ては前記以外にも、堀田紀好ら, 材料, 40巻,448号,84
〜88p に、固体導電体をポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)で処理する方法が開示されている。しか
し、固体導電体を均一にPTFE処理して、PTFE被
覆によって導電性を損なうことなく、適度な濡れ性を付
与することは技術的に難しい。
【0012】本出願人は既に電解方式における電流効率
を上げるためのガス電極の材質に関して、種々の実験及
び検討を行った。その結果、通常用いられる炭素、金属
粒子の流動床や固定床、さらには炭素繊維や金属繊維の
フェルトやクロスの中でも、充填密度の高い炭素繊維
(クロス)が電流効率を長期に良好に持続させることを
見出して先に特許出願を行った(特開平6−20038
9号)。
【0013】さらに、検討の過程で、電解方式の過酸化
水素製造設備を運転するに当たって、運転開始当初は電
流効率が高くても長時間連続して運転を行うと電流効率
が次第に低下するという問題があることも判明した。こ
の問題についても本出願人は特開平6−200389に
おいて、多孔質の無定形炭素繊維材料を陰極に用いるこ
とにより改善できることを提案した。しかし、その後の
検討の結果、多孔質の無定形炭素繊維材料を陰極に用い
た場合でも、装置のスケールアップをしたり、供給電流
量を上げると、やはり時間とともに電流効率が低下する
ことが判明した。また、電流効率が低下してもそのまま
電解を続けると、ついには陰極が失活することもあっ
た。
【0014】そこで、本発明の目的は、電解の結果、電
流効率が低下してきた炭素を主成分とするガス拡散電極
からなる陰極を賦活して、再度、高い電流効率で使用で
きるようにする方法を提供することにある。特に本発明
の目的は、陰極室内に設置されたガス拡散電極を陰極室
から取り出すことなく賦活する方法を提供することにあ
る。さらに本発明の目的は、陰極室内に設置されたガス
拡散電極を陰極室から取り出すことなく賦活する方法を
利用した、賦活の度に電解装置の組み立てが不要な、連
続運転に適した過酸化水素の製造方法を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ水溶
液中の酸素を還元して過酸化水素を製造する方法におい
て陰極に用いられ、活性の低下した炭素を主成分とする
ガス拡散電極を賦活する方法であって、陰極室内の電解
液を除去し、陰極室内に気体を導入して前記活性の低下
したガス拡散電極に気体を接触させることを特徴とする
過酸化水素製造用陰極の賦活方法(第1の賦活方法)に
関する。
【0016】さらに本発明は、陰極においてアルカリ水
溶液中の酸素を還元して過酸化水素を製造する方法であ
って、前記酸素の還元と、活性の低下した炭素を主成分
とするガス拡散電極である陰極の賦活とを交互に繰り返
し行い、かつ前記賦活を陰極室内の電解液を除去し、陰
極室内に気体を導入して前記活性の低下したガス拡散電
極に気体を接触させることにより行うことを特徴とする
過酸化水素の製造方法に関する。
【0017】加えて本発明は、アルカリ水溶液中の酸素
を還元して過酸化水素を製造する方法において陰極に用
いられ、活性の低下した炭素を主成分とするガス拡散電
極を賦活する方法であって、陰極室内から取り出した前
記活性の低下したガス拡散電極を40℃以上の温度で熱
処理することを特徴とする過酸化水素製造用陰極の賦活
方法(第2の賦活方法)に関する。以下本発明について
説明する。
【0018】本発明において賦活の対象となる陰極は、
アルカリ水溶液中の酸素を還元して過酸化水素を製造す
る方法において用いられ、活性の低下した炭素を主成分
とするガス拡散電極である。アルカリ水溶液中の酸素を
還元して過酸化水素を製造する方法は公知であり、公知
の方法に用いられ、活性の低下した陰極は本発明におい
て賦活の対象となる。尚、公知の方法としては、例えば
特開平6−88273号及び特開平6−200389号
に記載の方法が挙げられる。但し、これらに限られるも
のではない。
【0019】また、賦活の対象となる炭素を主成分とす
るガス拡散電極にも制限はない。例えば、特開平6−2
00389号に記載の充填密度0.3以上の炭素繊維材
料を挙げることができる。炭素繊維材料としては、炭素
繊維の編物を例示することができ、炭素繊維の編物とし
ては、例えば市販のグラファイトクロスを挙げることが
できる。グラファイトクロス以外の炭素繊維材料であっ
ても良い。
【0020】さらに、本発明において賦活の対象となる
陰極として、多孔質の無定形炭素材料を例示することも
できる。多孔質の無定形炭素材料は、非結晶質で実質的
に無配向、即ち異方性のない多孔質の炭素材料である。
そのような炭素材料としては、例えば、多孔質の無定形
炭素繊維材料及び多孔質の無定形炭素成形体を挙げるこ
とができる。
【0021】上記多孔質の炭素繊維材料は、以下のよう
にして得られる。ノボラック型のフェノール樹脂を溶融
紡糸し、これをホルマリンで熱処理すると分子間に僅か
な三次元架橋を形成した非結晶、無配向のフェノール繊
維が得られる。この繊維は、防炎性、耐熱性、耐薬品性
の繊維で、これを加熱するとその形態のまま炭素化し炭
素含有率の高い無定形構造の炭素繊維となる。この際、
溶融したり収縮したりすることがないため、フェノール
繊維をフェルトやクロスに加工してから炭化すると、そ
のまま無定形炭素繊維のフェルトやクロスを得ることが
できる。これはグラファイトの如き結晶構造を持たない
ものの、僅かに架橋しているために柔軟で、無定形のグ
ラッシーカーボン(ガラス状炭素)として電極に最適で
ある。
【0022】多孔質の炭素繊維材料は、電極としての形
状を保持するためには、クロス状である方が好ましく、
このクロスを所定の面積、厚みになるよう電極保持枠の
中に充填することが好ましい。充填密度は電解効率に大
きく影響し、密度が低いと電極と酸素、アルカリ電解液
との接触が不充分で電解効率が悪く、密度が高すぎると
酸素、アルカリ電解液の流れが妨げられて電解効率が落
ちる。このような観点から、充填密度は0.3以上1.
5以下、好ましくは0.4以上1.0以下とすることが
適当である。
【0023】又、本発明のガス拡散電極として例示した
多孔質の炭素成形体は以下のようにして得ることができ
る。懸濁重合法による微粒球状のフェノール樹脂を架橋
密度をコントロールして、炭素化後に適当な多孔性とな
るように調整する。この微粒球状のフェノール樹脂は、
フェノール繊維と同じく僅かな架橋を行い、次いで架橋
した微粒球状のフェノール樹脂を焼結成形して炭素化す
ると、多孔質のグラッシーカーボン成形体を得ることが
できる。この時の樹脂の粒径、成形圧力等を選ぶことに
より、空孔径、空孔率を適宜コントロールすることが可
能である。
【0024】多孔質の炭素成形体は、微粒球状フェノー
ル樹脂の焼結成形による炭素化の際に任意の電極の形状
に成形することができる。電極の形状は、炭素繊維材料
(クロス)の場合と同じく、電解槽中の形状及び大きさ
を考慮して適宜決定できる。多孔質の炭素成形体の密度
(炭素成形体の真の密度ではなく、見かけの密度)は、
炭素繊維材料の場合と同じく、電解効率に影響し、例え
ば約0.9〜1.4の範囲とすることが適当である。
【0025】尚、前記の特開平6−200389号にお
いて用いた炭素繊維は、無定形の炭素繊維ではなく、ピ
ッチ系又はアクリル系の炭素繊維である。一般に、ピッ
チ系の炭素繊維は、グラファイト構造(無定形炭素を高
温に加熱して生じる層状の結晶構造)であり、異方性が
大きく結晶方向により電気抵抗値も異なる。アクリル系
の炭素繊維は、結晶構造を有する繊維をそのまま炭素化
しているのでグラファイトよりも更に結晶性が高い。
【0026】本発明において「活性の低下した陰極」と
は、電解開始時に比べて活性、即ち電流効率が低下した
陰極である。通常、過酸化水素製造用電解装置において
は、陰極反応が律速になるように設定されており、電流
効率の低下は、陰極の活性の低下により生じる。賦活を
行うべき活性の低下の度合いは、賦活に必要な時間等を
考慮して、適宜決定することができる。電流効率の低下
は、そのまま生産性の低下につながるので好ましくない
が、賦活処理が頻繁過ぎるのも生産性に悪影響を及ぼ
す。賦活処理は、電流効率が例えば80%(使用開始当
初の電流効率は陰極材料により異なるが、通常、約90
%である)を割った時点で行うこともできるし、一日に
1〜3回又は2〜3日間に1〜2回程度行うこともでき
る。
【0027】本発明の第1の賦活方法においては、陰極
室内の電解液を除去し、陰極室内に気体を導入して前記
活性の低下したガス拡散電極に気体を接触させること
で、陰極の賦活を行う。具体的な操作の流れは以下のと
おりである。 過酸化水素製造用の電源供給を停止する。 陰極及び陽極への電解液の供給を停止する。 陰極への加湿酸素の供給を停止する。 陰極室内の電解液を除去する。 陰極室内に気体を導入して活性の低下した陰極に気体
を接触させる。 上記〜は順次行うことも、同時に行うこともでき
る。の陰極室内の電解液の除去は、陰極室の底部に排
出口を設け行うことができる他、の気体を導入するこ
とによって、気体に電解液を同伴させて排出することに
よっても行うことができる。また、必要により、電解液
の除去後、気体の導入前に、陰極室内に水、例えば蒸留
水を満たして、陰極を洗浄することもできる。また上記
工程において陽極の電解液供給は停止せず、陰極への
電解液の供給のみを停止することもできる。
【0028】において陰極室内に導入される気体は、
湿度の低い気体であることが好ましく、例えば相対湿度
が50%RH以下であることが好ましく、絶乾状態であ
ることがより好ましい。陰極の賦活の程度は、導入され
る気体の湿度の影響を受け、導入される気体の湿度は低
いことが好ましいので、導入前に気体を乾燥させること
もできる。また、気体の種類には特に制限はないが、例
えば、酸素、空気、窒素等の容易に入手できる気体を挙
げることができる。特に酸素は、電解用に用いることか
ら、賦活用の気体として酸素を用いることで、操作及び
装置を簡素化することができる。
【0029】陰極室内への気体の導入量、導入速度、導
入時間等は、陰極の材料、構造、量、陰極の賦活の程度
等を考慮して適宜決定される。実用上は、生産性の観点
から導入時間が短い方が好ましく、例えば5〜60分
間、好ましくは10〜30分間の範囲とすることが好ま
しい。また、陰極室内への気体の導入は、室温で行うこ
とができる他、加熱下で行うこともできる。加熱は、陰
極室を直接加熱する方法や加熱した気体を導入すること
により行うことができる。加熱の温度には特に制限はな
いが、例えば30〜70℃とすることができる。但し、
イオン交換膜の劣化を防止するとうい観点からは、30
〜50℃の範囲とすることが好ましい。
【0030】気体の導入終了後は、陰極室へ電解液及び
加湿酸素を供給し、かつ陽極室へ電解液を供給し、次い
で過酸化水素製造用の電源の供給を再開することで、過
酸化水素の製造を再開する。
【0031】次に本発明の上記第1の賦活方法を利用し
た本発明の過酸化水素の製造方法について説明する。本
発明の過酸化水素の製造方法は、酸素の電気化学的還元
による過酸化水素の製造と、活性の低下した炭素を主成
分とするガス拡散電極である陰極の賦活とを交互に繰り
返し行うこと、及び陰極の賦活を前記の本発明の第1の
賦活方法により行うことが特徴である。まず、酸素の電
気化学的還元による過酸化水素の製造は公知の方法であ
る、例えば特開平6−88273号及び特開平6−20
0389号に記載の方法をそのまま用いることができ
る。さらに、電解に用いられる陰極は、前記第1の賦活
方法において説明したものを用いることができる。
【0032】イオン交換膜としては、陰極においてアル
カリ性の過酸化水素水溶液を得るので、カチオン交換膜
を使用する。耐薬品性を考慮するとフッ素樹脂系のイオ
ン交換膜を使用することが好ましい。陰極室及び陽極室
に供給されるアルカリ水溶液としては、通常水酸化ナト
リウム水溶液が用いられるが、他に水酸化カリウム等の
水溶液を用いることもできる。陰極に供給される酸素と
しては、酸素以外に酸素を含有する空気等の酸素混合ガ
スであっても良い。
【0033】陰極で得られたアルカリ性の過酸化水素水
溶液はそのまま、希釈又は濃縮することなしに使用され
ることが好ましく、従って、運転条件も過酸化水素の使
用目的に応じて適宜変動させることができる。例えば、
パルプの漂白に使用する場合、過酸化水素水溶液中のア
ルカリ比率は漂白の使用条件に近い方が好ましい。従っ
て、陰極室に供給されるアルカリ水溶液濃度は高くない
ことが望ましく、陽極室に供給されるアルカリ水溶液濃
度より低いことが好ましい。具体的には陰極室のアルカ
リ濃度は0.6モル以下、好ましくは0.4モル以下が
適当であり、陽極室のアルカリ濃度は0.6モル以上、
好ましくは0.9モル以上であることが適当である。
【0034】電解液の濃度及び供給量、酸素の供給量並
びに電流は電解槽の規模により適宜設定することができ
る。又、電圧は1.5〜2.5ボルト、好ましくは1.
7〜2.3ボルトとすることができる。更に電解液の温
度は、電解による発熱を考慮して、供給液が高温になら
ないようにすることが好ましい。特に陰極室の電解生成
液の温度は、過酸化水素を含有することから、40℃以
下の温度になるように制御することが好ましい。
【0035】以上のような条件で連続的に過酸化水素の
製造を続けていると、陰極の種類にもよるが、1〜3日
間経過後には電極効率は80%程度に低下する。そこ
で、上記本発明の第1の賦活方法により、陰極を賦活
し、賦活後、再度過酸化水素の製造を再開する。賦活の
頻度は、前述のように、一定時間経過後または電流効率
が一定値より低くなった時に行うことができる。
【0036】次に、本発明の第2の賦活方法について説
明する。本発明の第1の方法のような賦活処理を繰り返
し行なえば、極めて長期に渡り高い電流効率で陰極を使
用し続けることができる。しかし、いずれは電流効率が
下がるか又は事実上失活する(例えば電流効率20%以
下)ことも予測される。または、自動賦活操作の誤動作
等のミスで陰極が失活することも起こり得る。本発明の
第2の賦活方法は、上記のような場合に、失活した陰極
を賦活回復させる方法である。従って、本発明の第2の
賦活方法において、「アルカリ水溶液中の酸素を還元し
て過酸化水素を製造する方法において陰極に用いられ、
活性の低下した炭素を主成分とするガス拡散電極を賦活
する方法」の点は、本発明の第1の賦活方法とほぼ同様
であるが、活性の低下の程度は、本発明の第1の賦活方
法における場合より、低いものであっても良い。
【0037】本発明の第2の賦活方法においては、活性
の低下した陰極を陰極室内から取り出しす。取り出しに
際しては、電源、電解液の供給及び加湿酸素の供給を停
止する。取り出した陰極は、必要により水洗等の洗浄を
行った後、40℃以上の温度で熱処理する。熱処理の温
度は、好ましくは45℃以上である。また、上限は、1
50℃であり、好ましい熱処理温度は、50〜100℃
の間である。また、熱処理時間は、賦活の程度を勘案し
て、適宜決定することができるが、例えば1〜5時間で
あることができる。また、加熱の雰囲気は、特に制限は
ないが、通常は空気で良い。但し、必要により、非酸化
性の例えば窒素雰囲気中で行う事もできる。賦活処理し
た陰極は、再度陰極室に設置して過酸化水素の製造に使
用することができる。
【0038】
【発明の効果】本発明の第1の賦活方法によれば、装置
を分解し、陰極を取り出すことなく、かつ使用開始前と
同程度に、活性の低下したガス拡散電極を賦活すること
ができる。さらに、この第1の賦活方法を利用する本発
明の過酸化水素の製造方法によれば、過酸化水素の製造
を長期間に渡り、高い電流効率で連続的に行うことがで
きる。従って、パルプ漂白等の用途に適したNaOH/
2 2 重量比が2前後である過酸化水素のアルカリ水
溶液を効率良く製造することができる。また、本発明の
第2の賦活方法によれば、活性の低下したガス拡散電極
を簡単な処理により賦活することができ、再び高い電流
効率で過酸化水素の製造に使用することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明す
る。 実施例1電解条件 陽極にNi板を用い、アルカリ水溶液(NaOH濃度
1.00モル/リットル)を陽極側電解液として、3.
00ml/minで陽極室に供給した。隔膜にはカチオ
ン交換膜(ナフィオン117:デュポン社製、膜厚0.
3mm)を用いた。陰極には、充填密度を0.44とし
た面積50cm2 のグラファイトクロス(日本カーボン
製GF−20−P−21E)を用いた。陰極(反応層)
のアルカリ水溶液(NaOH濃度0.1モル/リット
ル)を0.8ml/minで供給した。電解すべき加湿
酸素は2.5リットル/minで陰極室に供給した。電
解は電流値3.0Aの定電流電解で行った。尚、陰極室
内の陰極の容量は5cm2 であった。
【0040】賦活条件 上記条件により電解を12時間行った後に、下記の処理
を行なった。 電源を切り電気分解を停止 陰極及び陽極への電解液供給停止 陰極への加湿酸素の供給停止 陰極室内の液を蒸留水に置換 陰極に乾燥酸素(相対湿度30%RH)を供給 〜を同時に行い、に5分間を要した。次に、室温
で乾燥酸素を2リットル/minで20分間供給した。
尚、乾燥酸素供給開始後、600秒で陰極室内の蒸留水
は完全に除去された。乾燥酸素の供給完了後、陰極及び
陽極への電解液の供給並びに陰極への加湿酸素の供給の
再開し、次いで電源を入れ電気分解を再開した。停止か
ら再開までに30分間を要した。尚、乾燥酸素の供給完
了直前の陰極室から排出される気体の湿度は約48%で
あった。さらに、電解開始時間から24時間、48時間
及び72時間後にも上記賦活処理を行った。各賦活処理
直前における陰極生成液量、陰極液の過酸化水素濃度及
び電流効率を表1に示す。
【0041】実施例2 実施例1において、における陽極の電解液供給は停止
せず流し続け、さらにの陰極室内の液の蒸留水との置
換を行なわなかった以外は、実施例1と同様にして電解
及び賦活を繰り返し行った。電解開始時間から12時
間、24時間、48時間及び72時間後の賦活処理直前
における陰極生成液量、陰極液の過酸化水素濃度及び電
流効率を表1に示す。さらに、電解を24時間行った後
に賦活を繰り返し行い、1488時間及び2496時間
後の賦活処理直前における陰極生成液量、陰極液の過酸
化水素濃度及び電流効率も表1に示す。
【0042】比較例1 実施例1と同様の電解条件で、かつ賦活を行うことな
く、連続的に過酸化水素の製造方法を行った。各時間に
おける陰極生成液量、陰極液の過酸化水素濃度及び電流
効率を表1に示す。
【0043】比較例2 実施例1において、賦活処理の代わりに、電解開始12
時間、24時間、48時間及び72時間後に以下の操作
を行った。 電源を切り電気分解を停止 陰極への加湿酸素の供給停止 陰極及び陽極への電解液の供給を続ける 30分経過後に、電解を再開する。各処理直前の陰極生
成液量、陰極液の過酸化水素濃度及び電流効率を表1に
示す。
【0044】比較例3 実施例1において、賦活処理の代わりに、電解開始12
時間、24時間、48時間及び72時間後に以下の操作
を行った。 電源を切り電気分解を停止 陰極への電解液供給を停止 陽極液は流し続ける 陰極への加湿酸素は供給を続ける 30分経過後に、電解を再開する。各処理直前の陰極生
成液量、陰極液の過酸化水素濃度及び電流効率を表1に
示す。
【0045】
【表1】
【0046】上記実施例及び比較例から以下のことが分
かる。実施例1と2の比較から、停止処理時の陽極の蒸
留水置換は行なっても行なわなくても良い。但し、蒸留
水置換を行うと、イオン交換膜の劣化防止できるという
利点がある。実施例2と比較例3との比較により、停止
処理時に加湿酸素(80%RH)を流し続けると、電流
効率の回復は少し起こるが不充分である。比較例1と2
から、停止処理時に加湿酸素も乾燥酸素も流さない場合
は、電流効率の回復は全くなく、連続運転と変わらな
い。
【0047】実施例3 陰極としてフェノール系炭素焼成繊維クロス(日本カイ
ノール社製、CC509−20を用いた以外は実施例1
に示す条件で、1200時間連続運転し、電流効率が約
20%にまで落ちた陰極のカーボンシートを取り出した
(電解開始当初の電流効率約89%)。取り出したカー
ボンシートは蒸留水で洗浄し、表2に示す温度及び時間
で乾燥機(雰囲気:空気)中で熱処理した。熱処理後、
カーボンシートを陰極室に設置し、再び実施例1と同様
の条件で電解を行った。電解開始当初の電流効率を表2
に示す。表2から明らかなように、上記熱処理により、
カーボンシートは賦活された。
【0048】
【表2】

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ水溶液中の酸素を還元して過酸
    化水素を製造する方法において陰極に用いられ、活性の
    低下した炭素を主成分とするガス拡散電極を賦活する方
    法であって、陰極室内の電解液を除去し、陰極室内に気
    体を導入して前記活性の低下したガス拡散電極に気体を
    接触させることを特徴とする過酸化水素製造用陰極の賦
    活方法。
  2. 【請求項2】 陰極においてアルカリ水溶液中の酸素を
    還元して過酸化水素を製造する方法であって、前記酸素
    の還元と、活性の低下した炭素を主成分とするガス拡散
    電極である陰極の賦活とを交互に繰り返し行い、かつ前
    記賦活を陰極室内の電解液を除去し、陰極室内に気体を
    導入して前記活性の低下したガス拡散電極に気体を接触
    させることにより行うことを特徴とする過酸化水素の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ水溶液中の酸素を還元して過酸
    化水素を製造する方法において陰極に用いられ、活性の
    低下した炭素を主成分とするガス拡散電極を賦活する方
    法であって、陰極室内から取り出した前記活性の低下し
    たガス拡散電極を40℃以上の温度で熱処理することを
    特徴とする過酸化水素製造用陰極の賦活方法。
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