JP2735825B2 - 耐衝撃性改良剤 - Google Patents

耐衝撃性改良剤

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JP2735825B2
JP2735825B2 JP13485096A JP13485096A JP2735825B2 JP 2735825 B2 JP2735825 B2 JP 2735825B2 JP 13485096 A JP13485096 A JP 13485096A JP 13485096 A JP13485096 A JP 13485096A JP 2735825 B2 JP2735825 B2 JP 2735825B2
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polydialkylsiloxane
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幸雄 水谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン樹
脂の耐衝撃性改良剤および耐衝撃性の改良されたポリオ
レフィン樹脂系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン(以下、単に「PP」と
もいう。)樹脂は、汎用樹脂として多用されているが、
他の樹脂に比べて衝撃強度が低いという欠点を有してい
る。
【0003】上記PPの欠点を補うために、以下に示す
ような方法が既に提案されている。
【0004】例えば、PPの衝撃強度を向上させるため
に、エチレンプロピレンゴムやエチレンプロピレンター
ポリマーに代表されるゴム成分をPPに添加する方法が
一般的に採用されている。しかしながら、このようなゴ
ム成分をPPに添加すると、衝撃強度は向上するがPP
の剛性は低下する。また、熱時の流動性が著しく低下
し、成形性の悪化を招くことが問題となっている。
【0005】また、他の衝撃性改良方法として、PPに
ポリジメチルシロキサンを添加する方法が知られている
(「ポリマーダイジェスト」1988年11月号106
頁)。しかしながら、本発明者等が確認したところによ
ると、PP100重量部にポリジメチルシロキサンを3
重量部を添加した場合、PPが白化し外観が悪化すると
いう問題があることが明らかとなった。さらに、上記追
試においては、PPの耐衝撃性は殆ど変化なく、耐衝撃
性改良効果の再現性の点においても問題が指摘される。
【0006】このように、従来知られている化合物は、
ポリオレフィン樹脂に添加しても衝撃強度はほとんど向
上しないか、又は衝撃強度は目的どおり改良されたとし
ても他の物性が低下するという欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、他の物性、具体的には、剛性、熱時流動性およ
び外観を低下させずにポリオレフィン樹脂の耐衝撃性を
向上させる添加剤を開発することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく、各種のシロキサン化合物を合成してPP
樹脂への添加効果を検討してきた。その結果、特定の炭
素数のアルキル基を有し、かつ特定の重量平均分子量を
有するポリジアルキルシロキサンが少量の添加でポリプ
ロピレン樹脂の剛性、熱時流動性および成型品の外観を
損なうことなく衝撃強度を著しく向上させることを見出
し、本発明を提案するに至った。
【0009】即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0010】
【化3】
【0011】(但し、R1およびR2は、夫々同種または
異種の炭素数6〜16のアルキル基である。)で示され
る繰り返し単位よりなり、重量平均分子量(以下、「M
w」と略すこともある)が12,000〜500万であ
るポリジアルキルシロキサンよりなるポリオレフィン樹
脂用耐衝撃性改良剤である。
【0012】また、本発明の別の発明は、(a)ポリオ
レフィン樹脂100重量部および(b)下記一般式
(2)
【0013】
【化4】
【0014】(但し、R1およびR2は、夫々同種または
異種の炭素数6〜16のアルキル基である。)で示され
る繰り返し単位よりなり、重量平均分子量が12,00
0〜500万であるポリジアルキルシロキサン0.05
〜20重量部よりなるポリオレフィン系樹脂組成物であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の耐衝撃性改良剤は、前記
一般式(1)で示される繰り返し単位からなり、Mwが
1,2000〜500万のポリジアルキルシロキサンか
らなる。ここで、前記一般式(1)におけるR1および
2は、炭素原子数が6〜16のアルキル基である。ポ
リジアルキルシロキサンの側鎖アルキル基の炭素原子数
が上記範囲外のときは、PPに配合しても衝撃強度の改
良効果が不十分であり、本発明の目的を十分に達成する
ことができない。R1およびR2で示されるアルキル基の
炭素原子数は、上記の範囲内であればよいが、特に6〜
12の範囲であることが好ましい。R1およびR2で示さ
れるアルキル基は、直鎖および分岐の区別なく用いるこ
とができる。このようなアルキル基を具体的に示すと、
ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデ
シル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、
ペンタデシル基、ヘキサデシル基である。
【0016】本発明の耐衝撃性改良剤であるポリジアル
キルシロキサンのMwは12,000〜500万の範囲
である。Mwが12,000未満の場合には、PPに配
合しても衝撃強度の改良効果が不十分であり、本発明の
目的を十分に達成することができない。
【0017】上記ポリジアルキルシロキサンは、前記一
般式(1)で示される繰り返し単位からなり、且つMw
が1,2000〜500万のものであれば公知のものが
何ら制限なく使用することができるが、特に、次に示す
方法によって製造されたポリジアルキルシロキサンが好
適に使用される。
【0018】即ち、下記一般式(2)
【0019】
【化5】
【0020】(但し、R1およびR2 は、前記一般式
(1)と同じであり、nは3又は4である。)で示され
る環状ポリジアルキルシロキサン化合物とジシロキサン
化合物との混合物を、パーフルオロアルキルスルホン酸
と接触させて重合する方法である。この方法では、ジシ
ロキサン化合物は分子量調節剤として働くため、環状ポ
リジアルキルシロキサン化合物とジシロキサン化合物と
の量比を制御することにより最終的に得られるポリジア
ルキルシロキサンのMwを12,000〜500万の間
でほぼ任意に制御することができる。このとき使用され
るジシロキサン化合物は、公知のものが何ら制限なく使
用できるが、ヘキサメチルジシロキサン等のヘキサアル
キルジシロキサンおよびヘキサアルキルジシロキサンの
アルキル基の一部または全部を水素原子に置換した化合
物を使用するのが好適である。
【0021】上記重合反応において、重合条件は特に制
限されるものではないが、各反応試剤の量比や重合温度
等の好適な範囲は次のとおりである。即ち、各反応試剤
の量比については、重合触媒であるパーフルオロアルキ
ルスルホン酸の使用量および分子量調節剤となるジシロ
キサン化合物の使用量は、前記一般式(2)で示される
環状ポリジアルキルシロキサン化合物1モルに対して、
それぞれ0.001〜1モルおよび0.0003〜0.
1モルの範囲が好適である。また、重合温度は、0〜8
0℃の範囲であるのが好適である。
【0022】なお、上記重合反応で使用する一般式
(2)の環状ポリジアルキルシロキサン化合物は、例え
ば、各環状ポリジアルキルシロキサン化合物のR1およ
びR2 に対応するα−オレフィンとジクロルシランを塩
化白金酸触媒の存在下で反応させて得たジクロロジアル
キルシラン(R1・R2SiCl2)を加水分解・脱水縮合
させることにより得ることができる。
【0023】このようにして得られたMw12,000
〜500万のポリジアルキルシロキサンは、ポリオレフ
ィン樹脂に少量添加することにより、該樹脂の剛性等の
物性を低下させることなく、衝撃強度を著しく向上させ
ることができ、従来の耐衝撃性改良剤には見られない特
異な効果を示す。
【0024】本発明の耐衝撃性改良剤、すなわち前記一
般式(1)で示される繰り返し単位からなるMw12,
000〜500万のポリジアルキルシロキサン((b)成
分)のポリオレフィン樹脂((a)成分)に対する配合割
合は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.
05〜20重量部の範囲であり、耐衝撃性、曲げ弾性率
および熱時流動性等を勘案すると0.1〜10重量部の
範囲であることが好ましい。
【0025】
【発明の効果】本発明の耐衝撃改良剤は、具体的には、
PP100重量部に対して、一般式(1)のR1および
2 が共にオクチル基である化合物を3重量部添加する
とPPの衝撃強度は、本発明の耐衝撃性改良剤を添加し
ていないPPの衝撃強度に比べて4倍向上し、曲げ弾性
率は変化しない。一方、ポリジメチルシロキサンを上記
と同量添加した場合には、PPの衝撃強度および曲げ弾
性率は、本発明の耐衝撃性改良剤を添加していないPP
と比べてほとんど変化しなかった。
【0026】このような特異な効果は、後述する実施例
および比較例の対比で明らかなように、アルキル基が炭
素数6〜16のアルキル基からなり、且つMwが12,
000〜500万のポリジアルキルシロキサンに特有の
効果である。
【0027】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するため、以下に
実施例および比較例をあげて説明するが、本発明は、こ
れらの実施例になんら限定されるものではない。
【0028】なお、実施例および比較例中に示した樹脂
の各物性値は次の方法によって測定した。 衝撃強度 :JIS K 7110 曲げ強度 :JIS K 7203 熱時流動性:JIS K 7210 製造例1 1−オクテンとジクロルシランの反応生成物であるジオ
クチルジクロルシランを加水分解・脱水縮合させて得た
ヘキサオクチルシクロトリシロキサン(以下、OctD3
略す。)150gを40℃に加熱し、ヘキサメチルジシ
ロキサン150mg、トリフルオロメタンスルホン酸28
0mgを加えて16時間重合させた。重合終了後、重合物
をへキサンで溶解し、さらに残存のトリフルオロメタン
スルホン酸を水で抽出して除去した。また、重合中に副
生する低分子量化合物は、メチルイソブチルケトン(M
IBK)−アセトン混合溶液(MIBK/アセトン=1
/2容積比)で抽出除去した。その後、重合物を減圧乾
燥し、室温で固体である、重量平均分子量(Mw)15
0,000、数平均分子量(Mn)95,000のポリ
ジオクチルシロキサン118gを得た。なお、Mwはゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測
定した。結果を表1に示す。
【0029】製造例2〜18 製造例1の重合反応において、使用した環状ポリジアル
キルシロキサン化合物の種類および使用量を表1に示す
ように変え、さらにヘキサメチルジシロキサンの使用量
並びに重合温度を表1に示すように変えた他は製造例1
と同様にして、各種ポリジアルキルシロキサンを得た。
得られたポリジアルキルシロキサンの重量(収量)およ
びMwを合わせて表1に示す。なお、各製造例で使用し
た環状ポリジアルキルシロキサン化合物は、各環状ポリ
ジアルキルシロキサンの側鎖アルキル基に対応するα−
オレフィンとジクロルシランを原料に別途合成したもの
である。また、表1の環状ポリジアルキルシロキサンの
欄の略号は、下記化合物を意味する。
【0030】 OctD3 :ヘキサオクチルシクロトリシロキサン HexD3 :ヘキサヘキシルシクロトリシロキサン HepD3 :ヘキサヘプチルシクロトリシロキサン NonD3 :ヘキサノニルシクロトリシロキサン DecD3 :ヘキサデシルシクロトリシロキサン DodD3 :ヘキサドデシルシクロトリシロキサン OctDecD3 :1,3,5-トリオクチル-1,3,5-トリデシル-シ
クロトリシロキサン OctDodD3 :1,3,5-トリオクチル-1,3,5-トリドデシル-
シクロトリシロキサン OctHexdD3:1,3,5-トリオクチル-1,3,5-トリヘキサド
デシル-シクロトリシロキサン TetdD3 :ヘキサテトラデシルシクロトリシロキサン OctD4 :オクタオクチルシクロテトラシロキサン HexD4 :オクタヘキシルシクロテトラシロキサン DecD4 :オクタデシルシクロテトラシロキサン
【0031】
【表1】
【0032】実施例1 製造例1で得られたポリジオクチルシロキサン(Mw=
150,000)3gとポリプロピレン樹脂(徳山曹達
株式会社製MS−630)100gを180℃のロール
機で5分間混練した。その後、得られた混練物をJIS
K 6758に従って成形した。成型品の外観は、ポリ
ジオクチルシロキサン無添加のポリプロピレン樹脂と同
等であり、ポリプロピレン樹脂の白化は観察されなかっ
た。また、該成型品の衝撃強度、熱時流動性および曲げ
弾性率を測定したところ、ポリジオクチルシロキサン無
添加のポリプロピレン樹脂に比べ、衝撃強度は4倍に、
熱時流動性は1.5倍に向上しており、曲げ弾性率は同
等であった。結果を表2に示す。
【0033】実施例2〜21 実施例1において、配合するポリジアルキルシロキサン
の種類および量を表2に示すとおりに変えた他は実施例
1と同様にして、成型品を得、該成型品の諸物性を測定
した。その結果を合わせて表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】比較例1 エチレンプロピレンラバー(日本合成ゴム株式会社製
EP02)10gとポリプロピレン樹脂(徳山曹達株式
会社製MS−630)100gを180℃のロール機で
5分間混練した。その後、得られた混練物をJIS K
6758に従って成形した。成形体の外観は、エチレン
プロピレンラバー無添加のポリプロピレン樹脂と同等で
あり、ポリプロピレン樹脂の白化は観察されなかった。
また、該成型品の衝撃強度、熱時流動性および曲げ弾性
率を測定したところ、エチレンプロピレンラバー無添加
のポリプロピレン樹脂に比べ、衝撃強度は4倍に向上し
ていたが、熱時流動性は無添加ポリプロピレン樹脂の7
割に、曲げ弾性率は無添加ポリプロピレン樹脂の8割に
低下していた。
【0036】比較例2〜6 実施例1において、添加するポリジアルキルシロキサン
の種類および量を表3に示すとおりに変えた他は実施例
1と同様にして、成型品を得、該成型品の諸物性を測定
した。その結果を合わせて表3に示す。
【0037】
【表3】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (但し、R1およびR2は、夫々同種または異種の炭素数
    6〜16のアルキル基である。)で示される繰り返し単
    位よりなり、重量平均分子量が12,000〜500万
    であるポリジアルキルシロキサンよりなるポリオレフィ
    ン樹脂用耐衝撃性改良剤。
  2. 【請求項2】 (a)ポリオレフィン樹脂100重量部
    および(b)下記一般式(2) 【化2】 (但し、R1およびR2は、夫々同種または異種の炭素数
    6〜16のアルキル基である。)で示される繰り返し単
    位よりなり、重量平均分子量が12,000〜500万
    であるポリジアルキルシロキサン0.05〜20重量部
    よりなるポリオレフィン樹脂系組成物。
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