JP2734571B2 - 中空糸型血漿分離膜 - Google Patents

中空糸型血漿分離膜

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、血漿から血漿を分離する血漿分離膜に関
するものであり、さらに詳細には、血漿交換療法、健常
者からの血漿を採取する採漿等の医療分野に利用され得
る血漿分離膜に関するものである。
[従来の技術分野] 膜を用いて血液から血漿を分離する血漿分離は、劇症
肝炎、慢性関節リウマチ、全身エリスマトーデスおよび
膠原病等の難治療疾患に対する治療用途を目指して開発
されたものである。このような血漿分離に関する従来技
術は、たとえば特開昭56−11065号公報および特公昭58
−41883号公報などに開示されている。
近年、血漿製剤の需要が飛躍的に高まりつつあり、従
来の全血献血に代わるものとして、血漿のみを採取する
成分献血(採漿)が行なわれるに至った。血漿分離膜
は、このような健常者からの採漿用途に応用されてお
り、血漿採取における安全性が非常に重要になってきて
いる。特に、血漿分離法の中枢を占める血漿分離膜の生
体適合性に対する要求は非常に厳しくなってきている。
従来の技術分野における生体適合性は、たとえば人工肝
臓基準等に見られるように、毒性等がないこと、機能に
血管がないことなどが中心であり、また血漿分離膜に関
しては、これに加えて、血漿分離の際に血球成分を損傷
しないということが従来の生体適合性の重要な要件であ
った。しかしながら、現在要求されている生体適合性に
おいては、これらは必要最低限のものに留まり、さらに
高度な生体適合性が要求されている。すなわち、血漿分
離膜に対する生体反応や、生体と血漿分離膜との相互作
用にかかわる生体適合性までが要求されるに至ってい
る。
[発明が解決しようとする課題] 生体と血漿分離膜とが接触するとき、生体側は自己に
とって異物である血漿分離膜を認識して何らかの相互作
用に基づく反応が引き起こされることはよく知られてい
る。生体適合性が良好であるとは、このような異物認識
反応の程度が軽微であることを意味している。人工臓器
が使用される際に特に問題となる生体反応は、凝固系
と免疫系に大別される。この発明の膜が用いられる血
漿分離方法において、凝固系の反応は、抗凝固剤の使用
により阻止されるので、血漿分離の際に問題となる生体
反応は免疫系の反応のみである。血漿分離自体は、短期
の対外循環であるため、その生体適合性は免疫系の中で
も、特に液性免疫、すなわち補体活性が対象となる。つ
まり血漿分離膜において生体適合性を改善するために
は、この補体活性化を抑制することが必要である。
それゆえに、この発明の目的は、従来まで血液透析や
血漿分離の際に問題となっていた補体の活性化を抑制
し、より生体適合性において優れた中空糸型血漿分離膜
を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 請求項1の発明に従う血漿分離膜は、ポリカーボネー
ト樹脂からなる中空糸膜であって、その内径が150〜450
μm、膜厚が100μm以下である。
請求項2の発明に従う血漿分離膜は、さらに紡糸後の
オートクレーブ処理により開口率が高められたことを特
徴としている。
[発明の作用効果] 一般に補体の活性化は、血漿分離膜の素材の化学構造
に依存しており、中でも化学構造上、水酸基を多く有す
るセルロースやポリビニールアルコールでは著しく大き
な補体活性化を示すことが知られている。このため、た
とえばR.C.EberhatらによるTrans.Am.Soc.Artif.Inter
n.Organs.vol.XXIX,p.242〜244,1983では、水酸基等を
化学修飾する方法等が研究されている。しかしながら、
これらの方法は新規な方法であるため、安全性の面に関
しては、長期の実績がなく、今後より慎重な検討を行な
う必要がある。
この発明の血漿分離膜では、ポリカーボネート樹脂か
らなる中空糸膜を使用している。このポリカーボネート
樹脂は、化学構造上安定であり、かつ従来から血液透析
用モジュールケース等に使用されているので、安全性の
面から長期の実績を有している。さらに、血液透析膜な
どのハウジングケース等に使用されているポリカーボネ
ート樹脂は、潤滑剤や安定化剤等の添加物を含んでいる
が、この発明に用いるポリカーボネート樹脂はこのよう
な安定化剤等の添加物を含まないことが好ましい。この
ような添加物を含むと、膜面から人体に悪影響を及ぼす
添加物が溶出するとともに、補体の活性化が増大するか
らである。
この発明の血漿分離膜では、その内径を150〜450μm
としている。これは、内径が150μmより小さいと詰ま
りやすくなり、内径が450μmより大きいと中空糸とし
ての強度が弱くなるからである。
また、この発明の血漿分離膜ではその膜厚を100μm
以下としている。これは、血漿が膜内を通過する際の膜
面との接触面積が補体の活性化反応に著しい影響を与え
るという知見に基づくものであり、膜厚を100μm以下
にすることによって、膜面と血漿との接触面積をできる
だけ小さくし、補体の活性化をできる限り低く抑えよう
とするものである。膜厚が100μmを越えると、補体の
活性化の抑制が不十分となる。血漿分離膜は、その構造
上、約0.05〜0.5μm程度の半径の孔を有しており、多
孔質であるため、膜自体は構造上の局所的な乱れを伴な
いやすい。また、実際的な強度は低いことから、血漿分
離膜としての機械的特性を考慮すれば、膜厚は30μm以
上であることが好ましい。したがって、この発明におい
て血漿分離膜の膜厚は好ましくは、30〜10μmである。
請求項2の発明では、紡糸後のオートクレーブ処理に
より開口率を高めたことを特徴としている。これは、血
漿分離膜の生体適合性を、血漿分離膜のハイドロダイナ
ミックス(hydrodynamics:流体力学)の面から考慮した
ことに基づくものである。血漿分離膜のハイドロダイナ
ミックスとは、血漿分離の際に膜内を血漿がいかにスム
ースに流れるかに関するものであり、膜構造を評価する
際に従来から用いられてきたtrotousity factorを小さ
くことによって達成されるものである。本発明者等は、
補体の活性化のメカニズムについて鋭意検討を重ねた結
果、Classical Pathway等で広く知られているように、C
1 Complex形式等において、ある程度の接触時間が必要
であり、血漿蛋白質が膜内を通過するときに局所的な停
滞が起こった際に始めて補体の活性化が活発に起こり得
ることを見出した。そして、補体の活性化を補足するた
めには、膜内での血漿の通過をスムースに行なわせ、局
所的な停滞を防止することが重要であることを見出し
た。請求項2の発明では、この目的達成のため、防止後
のオートクレーブ処理により開口率を高め、血漿のスム
ースな通過を実現している。
以下、このようなオートクレーブ処理の具体的な一例
について説明する。
まずポリカーボネート樹脂を溶媒に溶解し、2重管ノ
ズルより乾湿式紡糸または湿式紡糸により紡糸し製膜す
る。この際、中空糸膜の芯液にも凝固性を有する液体を
用い、中空糸の内外よりほぼ同時に凝固させる。この結
果、非常に開口率が低く、滑らかな膜面を有しかつ膜内
部に連続空孔構造を有する中空糸膜が得られる。この中
空糸膜を水に浸漬した状態で121℃でオートクレーブ処
理する。このオートクレーブ処理により、膜の開口率を
増加させ、優れた血漿分離性能を膜に付与することがで
き、補体の活性化をさらに抑制することができる。
また、この発明に従う血漿分離膜は、血液適合性とし
て、血漿分離の際に溶血が起こりにくいという特性をも
有している。
[実施例] 以下、実施例によりこの発明をさらに詳細に説明する
が、その前に実施例および比較例において行なう血漿分
離膜の評価方法について説明する。
実施例および比較例において得られた中空糸膜を通常
のウレタン樹脂接着法によりモジュール化し、長さ20c
m、有効膜面積0.2cm2の血漿分離モジュールに成形す
る。抗凝固剤としてACD液を添加した牛血液を用い、牛
血液を50ml/minで供給しながら、血漿分離性能を評価す
る。評価方法は、たとえば人工臓器,14,p.1902〜1910,
1985,日赤,伴野丞計,池田博之らの報告等で教示され
ている一般的な評価方法を用いた。評価項目は、最大血
漿分離速度QfMAXおよび血漿蛋白質のふるい係数SCTotal
Proteinとした。なお、SCTotal Proteinは以下の式で
定義されるものである。
また、生体適合性については、補体の活性化および
血液適合性(溶血)について以下のように評価した。
補体活性化 中空糸膜100cm2(内径換算の膜面積)を細く裁断し、
ゼラチンベロナール緩衝液1mlを加えて浸漬した後、ヒ
ト全補体(Cordis株式会社製)を1ml加え、37℃で1時
間インキュベートする。その後Mayarの方法により、血
清補体価CH50を測定し、補体活性化の程度を評価する。
溶血 牛血液を用いた血漿分離性の評価において、血漿中の
遊離ヘモグロビン濃度をモニターすることにより溶血を
評価する。
以下実施例および比較例について説明する。
実施例1 添加物のないポリカーボネート樹脂を、溶媒、非溶媒
の3元系に溶解させてドープとした後、内液として溶
媒、非溶媒、水の混合溶液を用い、2重管ノズルより吹
出し、エアギャップを2cmとして、溶媒、非溶媒および
水よりなる凝固浴に導き、中空糸とする。次に、この中
空糸を水洗し、水に浸漬した状態で、121℃のオートク
レーブ処理を行なう。次に、膜構造保持剤として、グリ
セリンを用いて処理を行なった後、乾燥させて、中空糸
型血漿分離膜を得た。得られた血漿分離膜の内径は、30
0μmであり、膜厚は50μmであった。この得られた血
漿分離膜を上記の方法でモジュール化し、評価した。
補体活性化においては、ゼラチンベロナールバッファ
中で37℃1時間インキュベートしたブランクの場合の血
清補体化が32CH50であったのに対し、この実施例の血漿
分離膜は30CH50であり、ほぼ変わらない値を示し、良好
な生体適合性を示した。
その値の項目の評価は表1に示すとおりである。
表1 最大血漿ろ過速度:QfMAX=16ml/min ふるい係数SCTotal protein:0.9以下 溶血:認められず(TMP≦100mmHg) 実施例2 実施例1と同一の方法で、中空糸を作製し、水洗し
た。水洗後オートクレーブ処理せずに、グリセリンで処
理し、乾燥し、中空糸型血漿分離膜を得た。この得られ
た中空糸型血漿分離膜の内径は300μm、膜厚は50μm
であり実施例1と同じであった。
実施例1と同一の方法でモジュール変し評価したとこ
ろ、補体の活性化においては、30CH50の値を示し良好な
生体適合性を示した。
しかしながら、以下の表2に示すように、最大血漿ろ
過速度は実施例1よりも低い値であった。
表2 最大血漿ろ過速度:QfMAX=2ml/min ふるい係数SCTotal protein:0.9以下 溶血:認められず(TMP≦100mmHg) 比較例1 中空糸の内径は300μmで、膜厚が150μmとなるよう
に、実施例1と同じ条件で製膜を行なった。実施例1と
同一の方法により評価したところ、補体活性化について
は、ブランクが32CH50であるのに対して、24CH50を示
し、血清補体価の低下が認められ、補体化が活性された
ことが認められた。このため、この比較例1の生体適合
性は、実施例1および2に比べ劣ったものとなってい
る。
その他の項目の評価については、以下の表3に示すよ
うにほぼ実施例1と同様の結果が得られた。
表3 最大血漿ろ過速度:QfMAX=14ml/min ふるい係数SCTotal protein:0.9以下 溶血:認められず(TMP≦100mmHg) 比較例2 分離膜の材質を構成するポリマーとして、ポリカーボ
ネートに代えて酢酸セルロース(CA)を用い、実施例1
と同様にして作製した。ただし、オートクレーブ処理は
行なわなかった。内径300μm、膜厚50μmの中空糸型
血漿分離膜が得られた。実施例1と同様にして評価を行
なったところ、補体活性化においては、ブランクが32CH
50を示したのに対し、13CH50という値を示し、著しい血
清補体価の低下を示した。このことにより、この比較例
2の血漿分離膜は、実施例1および2に比べ生体適合性
に劣るものであることが明らかとなった。
その他の項目の評価については、以下の表4に示すと
おりほぼ実施例1と同様の結果が得られた。
表4 最大血漿ろ過速度:QfMAX=14ml/min ふるい係数SCTotal protein:0.9以下 溶血:TMP≦50mmHg以下では認められず ただし、TMP100mmHgで発生。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリカーボネート樹脂からなる中空糸膜で
    あって、その内径が150〜450μm、膜厚が100μm以下
    である、中空糸型血漿分離膜。
  2. 【請求項2】ポリカーボネート樹脂からなる中空糸膜で
    あって、その内径が150〜450μm、膜厚が100μm以下
    であり、紡糸後のオートクレーブ処理により開口率が高
    められた、中空糸型血漿分離膜。
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