JP2011062282A - サイトカイン吸着用中空糸膜およびその製造方法およびこれを内蔵した血液浄化器 - Google Patents
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Abstract
【課題】血液適合性に優れ、かつ高いサイトカイン吸着性能を示す血液浄化用中空糸膜およびこれを内蔵してなる血液浄化器を提供する。
【解決手段】次の項目を満足する、サイトカイン吸着用中空糸膜。(a)均一膜構造を有すること(b)アルブミンふるい係数が0.1%以上、5%未満であること(c)抱液率が140%以上であること(d)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン6が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン6の吸着率が40%以上であること(e)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン8が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン8の吸着率が10%以上であること。
【選択図】図1
【解決手段】次の項目を満足する、サイトカイン吸着用中空糸膜。(a)均一膜構造を有すること(b)アルブミンふるい係数が0.1%以上、5%未満であること(c)抱液率が140%以上であること(d)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン6が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン6の吸着率が40%以上であること(e)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン8が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン8の吸着率が10%以上であること。
【選択図】図1
Description
本発明は、インターロイキン6およびインターロイキン8(以下、IL−6およびIL−8と略す)などに代表されるサイトカイン吸着特性を持ち、かつ優れた生体適合性を示す中空糸膜およびこれを内蔵してなる血液浄化器に関するものである。
サイトカインは、感染、外傷などの刺激により免疫担当細胞をはじめとする各種の細胞によって産生され細胞外に放出されて作用する一群のタンパク質である。本来は生体防御のために産生する免疫関連のタンパク質と考えられるが、生体内で過剰に産生されることにより各種炎症性疾患における組織障害や病態に関与することが明らかになっている。特に、全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome;以下、SIRSと略す)を引き起こす原因として、インターロイキン(以下、ILと略す)や腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;以下、TNFと略す)やインターフェロン類が知られているが、その中でもIL−6やIL−8が近年注目されている。
IL−6は非特許文献1に記載されているように、免疫・造血・急性期反応など、生体防御反応に広く関与する因子で、T細胞、マクロファージ、線維芽細胞などからマイトジェン、ウイルス感染、IL−1などの刺激により分泌される、分子量が約2万1千の糖タンパク質であり、ヒトでは184アミノ酸からなる(非特許文献2)。IL−6は活性化B細胞に作用してIgM、IgG、IgAの各クラスの免疫グロブリンの産生を誘導することが確認されている。また、慢性関節リウマチや全身エリテマトーデスなどの自己免疫疾患、高ガンマグロブリン血症などの発症に関与することが報告されており、さらに、重症急性膵炎においては、血中のIL−6の濃度が高値である場合には臓器不全を合併するなどの重症化の危険性が高いことが報告されている(非特許文献3)。
IL−8は、活性化マクロファージをはじめとした種々の組織細胞によって産生される物質で、分子内に2つのジスルフィド結合を有した、72個のアミノ酸からなる塩基性のヘパリン結合性ポリペプチドである(非特許文献4)。その代表的な生物活性として、好中球・T細胞・好塩基球に対する走化性を挙げることができる。また、好中球を活性化して炎症局所へ遊走させるだけでなく骨髄から末梢血への動員にも関与しており、リソソーム酵素の放出や好中球の血管内皮細胞への付着の変化、カンジダ菌の増殖抑制を亢進する。IL−8を腹腔もしくは静脈注射すると、1時間以内に末梢血中の好中球が増加し、皮下投与や関節腔内投与では投与された局所に大量の好中球ならびにTリンパ球の動員が観察される。とくに持続静脈内投与によって肺胞の破壊を引き起こしてacute respiratory distress syndrome(急性呼吸窮迫症候群;以下、ARDSと略す)様の様相を示したり、関節腔内投与では著名な滑膜破壊が認められるなどの強い臓器障害作用もある。In vivoにおいては、痛風、慢性関節リウマチ、腎盂腎炎、喘息、敗血症、ARDS、潰瘍性大腸炎などの疾患でIL−8が検出されている。また、肝炎、虚血性心疾患、ぶどう膜炎、免疫性血管炎といった疾患にもIL−8が関与していると考えられている。
SIRSは急性の重篤全身性の炎症反応に対して提案されている概念である。たとえば敗血症などの感染に起因した疾患や重症膵炎、熱傷、外傷など非感染性の疾患では重篤な全身性の炎症反応が観察されるが、この際に体温、心拍数、呼吸数、白血球数のうち2項目以上が異常であったときにSIRSの状態であるとしている。SIRSの状態ではIL−6やIL−8などの炎症性サイトカインの血中濃度が高くなる(高サイトカイン血症)。炎症性サイトカイン濃度が高くなると、腎尿細管に障害が強く生じることが知られている。尿細管が障害を受けると尿細管上皮細胞が破壊され、それによって尿細管が閉塞する。また、糸球体の血管上皮細胞も障害を受け、腎機能の低下を招く。さらにSIRSによって血圧が低下しているため、腎血流量が低下し、糸球体ろ過量も減少する。その結果尿量が著しく減少する。この状態を急性腎不全といい、さらに進行すると全身性の炎症反応が進行して多臓器不全によって死に至る。
尿量が減少し急性腎不全が疑われると、持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:以下、CHDFと略す)による治療が行われる。CHDFによって除水が行われ、低下した腎機能を補助する。しかしながら、高サイトカイン血症が改善しなければ死に至ることが多く、CHDFでの救命率はそれほど高くなかった。ところが近年、急性腎不全に陥る前に積極的にサイトカインを除去することで救命率が向上することや、またCHDFに用いられる透析膜のうち、特に均一膜はサイトカインを吸着することが報告されている。しかしながら、サイトカイン以外のタンパク質も吸着してしまうために、特に凝固系タンパク質や血小板の吸着でろ過量が減少する問題があった。
このような問題に対して、透析膜を親水性高分子溶液と接触させ、放射線架橋により不溶化した親水性高分子被膜層を膜表面に形成する方法が、特許文献1に開示されている。この方法によって凝固系タンパク質や血小板の吸着は抑制できるが、サイトカインの吸着性能も低下してしまう問題があった。また、膜表面に固定化する親水性高分子を最適化して血液適合性とIL−6吸着性能を両立させる方法が、特許文献2に開示されている。この方法によればIL−6吸着性能をある程度維持しつつ、血液適合性を向上できるが、親水性高分子によって透析膜の細孔が狭窄する問題があった。また、サイトカインの分子量によって透析膜の細孔径との兼ね合いから吸着性能が異なり、細孔径によっては吸着除去できないものもあった。また、この方法ではサイトカイン吸着性能が向上することはない。
したがって、高いサイトカイン吸着性能を示し、かつ血液適合性の高い透析膜はいまだ発明されていない。
織田ら「日本アフェレシス学会雑誌」、2002年、21巻、1
「免疫学辞典」(東京化学同人)、1993年
「日本救急医学会雑」Volume 11,Number 10,October 2000
「別冊医学のあゆみ サイトカイン−基礎から応用まで」医歯薬出版株式会社、1992年
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、高いサイトカイン吸着性能を示し、かつ血液適合性に優れた血液浄化用中空糸膜およびこれを内蔵してなる血液浄化器を提供することにある。
前記課題に対して、本発明者らが鋭意検討した結果、下記の構成によって課題を解決できることを見出した。
1.次の項目を満足する、サイトカイン吸着用中空糸膜。
(a)均一膜構造を有すること
(b)アルブミンふるい係数が0.1%以上、5%未満であること
(c)抱液率が140%以上であること
(d)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン6が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン6の吸着率が40%以上であること
(e)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン8が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン8の吸着率が10%以上であること
(f)前記中空糸膜内表面にヒト血液を接触させたとき付着する血小板数が10個/(4.3×103μm2)以下であること
2.前記中空糸膜が陰性荷電を有する素材を含むことを特徴とする前記1または2に記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
3.前記中空糸膜がエステル基含有ポリマーからなることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
4.前記中空糸膜がポリメチルメタクリレートからなることを特徴とする前記4に記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
5.0.01重量%以上、1重量%以下の疎水化剤溶液に接触させた状態で放射線照射することにより得られることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
6.請求項1〜6のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜を内蔵した血液浄化器。
7.ポリメチルメタクリレートを含む紡糸原液を35℃以上48℃以下の液体中で凝固させ、75℃以上90℃以下の保湿成分の水溶液中で処理した後、0.01重量%以上、1重量%以下の疎水化剤溶液に接触させた状態で放射線照射することを特徴とするサイトカイン吸着用中空糸膜の製造方法。
1.次の項目を満足する、サイトカイン吸着用中空糸膜。
(a)均一膜構造を有すること
(b)アルブミンふるい係数が0.1%以上、5%未満であること
(c)抱液率が140%以上であること
(d)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン6が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン6の吸着率が40%以上であること
(e)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン8が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン8の吸着率が10%以上であること
(f)前記中空糸膜内表面にヒト血液を接触させたとき付着する血小板数が10個/(4.3×103μm2)以下であること
2.前記中空糸膜が陰性荷電を有する素材を含むことを特徴とする前記1または2に記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
3.前記中空糸膜がエステル基含有ポリマーからなることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
4.前記中空糸膜がポリメチルメタクリレートからなることを特徴とする前記4に記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
5.0.01重量%以上、1重量%以下の疎水化剤溶液に接触させた状態で放射線照射することにより得られることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
6.請求項1〜6のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜を内蔵した血液浄化器。
7.ポリメチルメタクリレートを含む紡糸原液を35℃以上48℃以下の液体中で凝固させ、75℃以上90℃以下の保湿成分の水溶液中で処理した後、0.01重量%以上、1重量%以下の疎水化剤溶液に接触させた状態で放射線照射することを特徴とするサイトカイン吸着用中空糸膜の製造方法。
本発明のサイトカインを吸着する血液浄化用中空糸膜は、膜素材がわずかに疎水化しており、アルブミンが中空糸膜内表面に吸着することで凝固系タンパク質や血小板の吸着を阻害し、かつ膜厚部分は疎水化によってサイトカインの吸着を向上することができる。
本発明の目的は、高いサイトカイン吸着除去性能を持ち、かつ血液適合性に優れた血液浄化用中空糸膜およびこれを内蔵してなる血液浄化器を提供することにある。
本発明に係る中空糸膜は、主に血液浄化器に用いることができ、通常、中空糸膜束として、筒部分であるプラスチック製のケース、ヘッダー等から構成されるモジュール内部に内蔵される。血液浄化器としては、一般に人工腎臓と呼ばれる血液透析器、血液濾過器や救急救命用途の緩徐式血液濾過器および血液透析濾過器、また中空糸膜が内蔵された吸着カラムなどが挙げられる。
本発明における中空糸膜は、東レ社製“ヘモフィール”(登録商標)CHシリーズ、ニプロ社製“UTフィルター”(登録商標)UTシリーズに代表される中空糸膜のような均一膜構造を有するものである。素材としては、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)、ポリアクリロニトリル(以下、PANという)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルローストリアセテート等が用いられるが、中でも、タンパク質を吸着できる特性を有する素材を含むことが好ましく、例えば、PMMA、PAN等が挙げられる。特に、素材の少なくとも一部が陰性荷電を有している素材を用いると、後述する中空糸膜の抱液率をより高くすることが可能となるため、開孔率が大きくなり、サイトカインの吸着面積を増大させるために好ましい。一般的にイオン性基を含むと親水性が増し、微分散(すなわち、細かな孔が数多く形成される)する傾向にある。陰性荷電を有する素材としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、硫酸エステル基、亜硫酸基、次亜硫酸基、スルフィド基、フェノール基、ヒドロキシシリル基等の置換基を有する素材が挙げられる。スルホン酸基を有するものとしてはビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸パラスチレンスルホン酸、3−メタクリロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ピリジン塩、キノリン塩、テトラメチルアンモニウム塩などがあげられる。陰性荷電量としては、乾燥した中空糸膜1gあたり5μeq以上が好ましい。また陰性荷電量が大きすぎると血液の凝固系を活性化させることが懸念されるため、30μeq以下のものが好ましい。陰性荷電量は、例えば、酸塩基滴定法を用いて測定することが出来る。
また、中空糸膜の膜厚が小さすぎると中空糸膜の強度が弱くなり、輸送や操作中の衝撃で中空糸に破れ、切れが起こり、患者の血液循環中にリークが発生することが懸念される。また、膜厚が大きすぎると中空糸外表面に近い厚み部分は吸着に十分利用されず、余分となる。また、製造上も相分離の進行速度が内表面と外表面で大きく異なり不利である。したがって中空糸膜の膜厚は20〜100μmであることが好ましい。
さらに、中空糸膜の内径が小さすぎると血液の圧力損失が増大することが懸念され、また詰まりによるろ過量の低下も考えられる。一方、大きすぎると血液浄化器の充填液量が大きくなり、体外循環の際患者に負担がかかることが考えられる。したがって中空糸膜内径は150〜300μmであることが好ましい。
本発明に係る中空糸膜は、先述のとおりアルブミンなどの有用物質が漏出しすぎないよう細孔径を制御して、ふるい係数を調節することが重要である。したがって、本発明に係る中空糸膜のアルブミンふるい係数の上限は5%未満であり、3%未満であることが好ましい。一方、アルブミンふるい係数が小さすぎることは、サイトカインが細孔に入り込めないため吸着性能は著しく低くなることを意味する。したがって、アルブミンふるい係数は0.2%以上が好ましい。ここでのアルブミンふるい係数とは、日本透析医学会の定める方法(血液浄化器の性能評価法、透析会誌29(8)1231−1245、1996)に従い、ACD−A液を用いて抗凝固したタンパク濃度6〜7g/dLの血漿を血液側溶液として用い、血液側流量を200mL/min、濾過流量を10mL/min/m2で循環した時の60分後の試験液から血液入口側液、血液出口側液および濾液を採取して、液中アルブミン濃度を測定して得た値である。濃度は、アルブミンとブロムクレゾールグリーン(以下BCGと略す)やブロムクレゾールパープルなどの色素との結合による色調の変化を利用して測定する。なお、循環中に得られた濾液は血液側に戻す。ふるい係数の算出式はJIST3250(2005)に従った。
また、中空糸膜の特性を示す重要な指標として抱液率がある。本発明に係る中空糸膜の抱液率は、140%以上であり、好ましくは220%以下である。膜の経時的な安定性の観点からより好ましい範囲は150%以上、200%以下である。抱液率とは中空糸膜での空孔の占める割合を示す指標であり、空孔の数と大きさに支配される。中空糸膜の内表面にサイトカインの大きさと同等以上の孔が数多く存在することが、サイトカインが細孔内に入り込み吸着するには効果的である。すなわち、単にアルブミンのふるい係数が0.2%以上5%未満である中空糸膜であっても、孔数と孔径がともに最適な範囲でなければ、サイトカイン吸着性能、特にIL−6吸着率を40%以上、IL−8吸着率を10%以上とすることはできない。我々は、本発明に係る均一膜の抱液率が140%以上であると、膜の孔数が最適で、併せてアルブミンふるい係数が上記数値範囲内である場合に、高いサイトカイン吸着性能を示すことを見いだした。一方、孔数、孔径が過大になると、有用タンパクであるアルブミンを漏出し過ぎることがあるため、抱液率を220%以下に抑えることが好ましい。本発明における抱液率は、上述のように膜の空孔率に依存するものであるが、膜がその空孔内に抱液可能な液体の中空糸膜に対する重量割合として中空糸膜束空孔部分を所定濃度のグリセリン水溶液に置換して測定される。製品には無菌蒸留水が充填されている場合が多いが、水を用いると、測定途中の自然乾燥等による微量の重量減少によって測定誤差が生じ得る。63重量%のグリセリン水溶液(比重1.17)に置換して測定し、算出する。乾燥状態の製品であれば一旦水充填した後の充填液を、63重量%のグリセリン水溶液(比重1.17)に置換して測定し、算出する。すなわち、血液浄化器に内蔵される糸束の中心部付近の中空糸膜480本を1サンプルとして、中空糸膜の表面および中空部分に付着しているグリセリン水溶液を遠心分離器中で2150×gの遠心加速度で30分間脱液し、一定量の中空糸膜束を切出し、グリセリン水溶液が付着した中空糸膜束の重量Aと、その中空糸膜束を水で洗浄してグリセリンを除去した後、減圧乾燥して乾燥した中空糸膜のみの重量Bを測定し、次式で算出する。
抱液率=(A−B)/B×100(%)
上式によって上記中空糸膜3サンプルについての測定および算出を行い、平均値を抱液率とする。なお、中空糸膜の周りにスペーサー糸を導入している場合は、スペーサー糸の重量を除いて、A,Bを測定する。
上式によって上記中空糸膜3サンプルについての測定および算出を行い、平均値を抱液率とする。なお、中空糸膜の周りにスペーサー糸を導入している場合は、スペーサー糸の重量を除いて、A,Bを測定する。
また、本発明は、中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積(中空糸膜の中空部分の表面積(モジュール内の中空糸膜とケースを接着した樹脂(ポッティング樹脂)で覆われた部分は除いた面積))を6×10−3m2としたものに、IL−6が10ng/mL添加されたウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて循環したとき、IL−6の吸着率が40%以上であり、また同様にIL−8の吸着率が10%以上である中空糸膜を提供できる。
ここで、有効膜面積は次式によって求められる。
有効膜面積(m2)=π×d×L×n/108
d:湿潤時の中空糸膜内径平均値(μm)
L:有効長(ポッティング樹脂で覆われていない中空糸膜部分の平均長さ)(cm)
n:中空糸膜本数
上記サイトカインの吸着性能について、以下に詳細測定方法を説明する。
1.中空糸48本入り、有効長12cmのミニモジュール(有効膜面積6×10−3m2)を製造する。
2.凍結したウシ胎児血清500mLを56℃の湯浴中にて融解後2時間保持し、その後、室温に戻す(非働化)。
3.非働化したウシ胎児血清にヒト由来のIL−1β、IL−6およびIL−8をそれぞれ10ng/mLとなるよう添加する。
4.ペリスタポンプを1mL/分に設定し、上記のミニモジュール1本に接続し、中空糸内を3のサイトカイン添加ウシ胎児血清10mLが循環するようセットする。このとき、ウシ胎児血清およびミニモジュールは37℃温浴中におく。
5.循環前にサイトカイン添加ウシ胎児血清をサンプリングしておき、4時間循環後、再度サンプリングする。
6.循環前濃度および循環後濃度を測定する。ここで、ヒトIL−1βおよびヒトIL−6 およびヒトIL−8濃度は、ELISA 法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay、酵素結合免疫吸着法)を用いて測定することができる。
7.循環前濃度と循環後濃度の差から吸着率を算出する。
有効膜面積(m2)=π×d×L×n/108
d:湿潤時の中空糸膜内径平均値(μm)
L:有効長(ポッティング樹脂で覆われていない中空糸膜部分の平均長さ)(cm)
n:中空糸膜本数
上記サイトカインの吸着性能について、以下に詳細測定方法を説明する。
1.中空糸48本入り、有効長12cmのミニモジュール(有効膜面積6×10−3m2)を製造する。
2.凍結したウシ胎児血清500mLを56℃の湯浴中にて融解後2時間保持し、その後、室温に戻す(非働化)。
3.非働化したウシ胎児血清にヒト由来のIL−1β、IL−6およびIL−8をそれぞれ10ng/mLとなるよう添加する。
4.ペリスタポンプを1mL/分に設定し、上記のミニモジュール1本に接続し、中空糸内を3のサイトカイン添加ウシ胎児血清10mLが循環するようセットする。このとき、ウシ胎児血清およびミニモジュールは37℃温浴中におく。
5.循環前にサイトカイン添加ウシ胎児血清をサンプリングしておき、4時間循環後、再度サンプリングする。
6.循環前濃度および循環後濃度を測定する。ここで、ヒトIL−1βおよびヒトIL−6 およびヒトIL−8濃度は、ELISA 法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay、酵素結合免疫吸着法)を用いて測定することができる。
7.循環前濃度と循環後濃度の差から吸着率を算出する。
また、本発明における血液適合性は、中空糸膜内表面への血小板付着数で評価される。血小板の付着、非付着は、血液適合性の指標となり、血液適合性が良好な中空糸膜内表面への血小板付着数は少なくなる。ここで、本発明における「ヒト血液を接触させたとき付着する血小板数」の測定方法は以下の通りである。
中空糸膜を半円筒状にそぎ切り、内表面を露出させ、生理食塩水で洗浄後、生理食塩水中で保管する。成人健常者の静脈血を採血後、直ちに抗凝固剤を、たとえばヘパリンナトリウム注射液を50U/mLになるように、または3.2%クエン酸ナトリムと血液が1:9の割合になるよう添加する。生理食塩水を廃棄後、前記血液を、採血後30分以内に接触させ、37℃で1時間振盪させる。その後、中空糸膜を生理食塩水で洗浄し、2.5容積%グルタルアルデヒド生理食塩水溶液で血液成分の固定を行い、続いて蒸留水にて洗浄する。電子顕微鏡用試料台に前記中空糸膜を貼り付け、常温66Paにて約10時間減圧乾燥する。その後、スパッタリングにより、白金/パラジウムの薄膜を中空糸膜表面に形成させて、試料とし、中空糸膜内表面を走査型電子顕微鏡にて、倍率1500倍で試料の内表面を観察し、1視野中(4.3×103μm2)の付着血小板数を数える。
中空糸膜に血液適合性を付与する場合には膜表面を親水化するのが一般的な方法である。しかしながら、この方法では凝固系タンパク質や血小板の吸着を阻害すると同時に、均一膜のタンパク質吸着特性を著しく低下させてしまう。そこで、本発明者らは鋭意検討の結果、膜を所定の方法によって逆に疎水化することで血液適合性とサイトカイン吸着性能向上を両立できることを見出した。
すなわち、膜素材をわずかに疎水化することによって凝固系タンパク質や血小板の吸着を阻害できることを見出した。これは、アルブミンの中空糸膜内表面への吸着平衡定数が大きくなり、内表面のアルブミン吸着層によって凝固系タンパク質や血小板の吸着が阻害されるためと考えられる。通常、当業者であれば、疎水化により、凝固系タンパク質や血小板の吸着は、アルブミンに比べ血液中の存在量が非常に少ないものではあるが、当然に増大するのではないかと考えるであろう。しかしながら、アルブミンと凝固系タンパク質や血小板が競争吸着したとしても、疎水化によりアルブミンの吸着速度が速くなるため、これらの吸着は阻害もしくは抑制されるのではないかと推察される。
一方、前述のとおり血液浄化用中空糸膜は有用物質であるアルブミンを漏出しないサイズの細孔に制御されている。これは、アルブミンおよびそれより大きな分子である凝固系タンパク質や血小板は、中空糸膜の厚み部分に入り込まないことを意味する。したがって、サイトカインの吸着される孔は確保されることとなり、結果的に疎水化によりサイトカインの吸着性能が向上することを本発明にて見出したものである。
膜の疎水化については素材の接触角が1〜5度高くなる程度が好ましい。疎水性が強すぎると、凝固系タンパク質や血小板の吸着性能も非常に高くなってしまい、サイトカイン吸着性能を向上できたとしても、血液適合性が損なわれてしまう。中空糸膜の接触角は、乾燥させた中空糸膜をクロロホルムなどの良溶媒で溶解したのち、フィルム状に乾燥させたものを用いて測定する。詳細は実施例にて述べる。
膜を疎水化する方法としては、化学修飾や物理吸着が考えられるが、生物学的安全性を確保できるならどのような方法を用いてもよい。血液浄化用中空糸膜は、その使用前に滅菌を行うことが不可欠であるため、滅菌と同時に中空糸膜の疎水化を行ってもよい。疎水化を行い、その後に本発明の効果を損なわない別の滅菌方法をとってもよい。
血液浄化用中空糸膜の滅菌法として、近年は残留毒性の少なさや簡便さの点から、放射線滅菌法が多用されており、特にγ線や電子線が好適に用いられている。放射線の照射線量は特に限定されないが、一般的に医療用具の滅菌には15kGy以上、50kGy以下の滅菌線量が必要とされている。
放射線滅菌時に、血液浄化器の充填液に疎水化剤を添加しておくことで、中空糸膜の疎水化が可能である。
その場合、血液浄化器に添加する疎水化剤は、その安全性を考慮する必要があり、毒性が低いことが求められる。また、細孔を狭窄することを避けるため、分子量の大きいラジカル架橋性高分子は好ましくなく、低分子量のものが好ましい。疎水化剤には、放射線によりラジカル化しやすいものが中空糸膜を疎水性に改質しやすいため好ましい。疎水化剤には、例えばビタミンCなどの水溶性ビタミン類、ポリフェノール類、アルコール類、糖類、ソジウムハイドロサルファイト、ステアリン酸などの疎水基を分子内に持つ可溶性低分子などが挙げられる。また、医療現場での洗浄効率や安全性から、疎水化剤は水溶液として中空糸膜に接触させることが好ましい。
上記の中から、我々は本発明に係る膜素材に添加する疎水化剤として、アルコールが少量で効果があり毒性も低く、細孔の狭窄もなく最適であることを見出した。
本発明の中空糸膜に血液適合性を付与するためには、少なくとも血液接触面がアルコール水溶液に接した状態で中空糸膜に放射線を照射する。アルコール水溶液におけるアルコール濃度は、0.001重量%以下になると濃度が薄く効果が得られないことがあり、1重量%以上になると必要量以上であり、充填液中の分解物も増える傾向がある。従って、本発明の効果を発現するためには、アルコール濃度が0.01重量%以上であることが好ましく、また、1重量%未満が好ましく、0.1重量%以下がより好ましい。
ここで用いられるアルコールのうち、2価以上のアルコールにおいて、エチレングリコールやグリセリンなどのように水酸基が結合している炭素原子が隣接しているものについては、放射線によって不飽和結合が生成しやすい。これは、水酸基が結合している炭素にラジカルが発生しやすいため、水酸基が結合している炭素原子が隣接していると、不飽和結合が生成しやすくなると考えられる。不飽和結合を持つ炭化水素基は血液の凝固系反応を活性化させることがあるため、血液適合性を低下させるおそれがある。従って、本発明において用いるアルコールとしては、1価のアルコール、もしくはモノマーもしくはそのポリマー単位について水酸基が結合している炭素間に1以上の炭素原子を有する2価以上のアルコールが好適に用いられ、特に1価のアルコールが好ましい。また、4価以上では、ラジカルの発生点が多くなるため、不飽和結合が形成される確率も高くなると考えられる。したがって、3価以下のアルコールが好適に用いられる。
1価アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノールなどのように1級アルコールでも、イソプロパノールやt−ブタノールなどの2級、3級アルコールであってもよい。また、上記好適な2価以上のアルコールの例としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。なお、アルコールの級数(1級、2級、3級のいずれか)は限定されない。
本発明における中空糸膜を詳細に解析した結果、従来の中空糸膜との間に次のような違いを発見した。
すなわち、本発明に係る中空糸膜では、膜表面と水分子の水素結合がバルク水の状態により近いのに対し、従来技術に係る中空糸膜では膜表面による水分子への影響で水素結合が乱されている、というものである。
詳細は実施例にて述べるが、中空糸膜を乾燥させ抱液率を低下させ、それぞれの時点での赤外吸収スペクトルを測定した。水分子のピークトップの値を読みとり、抱液率とプロットしたときに、本発明に係る中空糸膜と従来技術に係る中空糸膜との間に差があることを見出した。図1に示すように、従来技術に係る中空糸膜では、水のピークが高波数側へシフトしており、表面近傍の水分子の水素結合が膜表面からの影響を受けて弱くなっていることを示唆している。一方、本発明に係る中空糸膜では、高波数側へのシフトは従来のものほど大きくなく、抱液率が大きい領域での値とほぼ同等である。これは、水分子が、バルク水と同じような水素結合を膜表面近傍でも保持していることを示す。
上記より、本発明における中空糸膜表面にアルブミンが吸着するとき、より血液中に近い状態で吸着するのに対し、従来のものでは、表面近傍の水分子間の構造が血液中と大きく異なるために変性したアルブミンが吸着するのではないかと考えられる。このような表面に吸着したアルブミンの変性の有無によっても、血液適合性は変わってくると推察される。すなわち、本発明の中空糸膜表面にはアルブミンがより変性の少ない状態で吸着し、それによって覆われた膜表面ではいわば疑似的に血液中の環境と同等になるため、凝固系タンパク質や血小板が吸着しないのではないかと考えられる。
本発明においては、かかる中空糸膜を用いて、サイトカイン全般の吸着に適用できることを特徴としている。実施例においてはIL−6、IL−8およびIL−1βの吸着率のみを示しているが、本発明において、各サイトカインの吸着に最も支配的なのは中空糸膜の構造であって、具体的には膜厚、細孔径、孔数および疎水化された構造である。サイトカインは一般にアルブミンより小さい数千から数万の分子量であるため、ほとんどの種類のサイトカインは膜の厚み部分で吸着される。本発明においては、上記してきた通り、分子量数千から数万のタンパク質(サイトカイン)をより吸着しやすいように膜構造を最適化していることから、上記IL−6、IL−8およびIL−1β以外のサイトカイン全般、例えばインターロイキン−1〜インターロイキン−15、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死β、エリスロポエチン、単球走化因子、腫瘍壊死因子、単球走化活性化因子に対しても適用可能なものと考えられる。また、均一膜へのタンパク質吸着は膜が疎水化構造をとることによって一様に増加するものであるため、サイトカインの吸着も同様に底上げされるものと考えられる。
従来の技術には、特定のサイトカインを捕捉するために膜表面にリガンドを導入したり、膜に荷電を付与したりするものが見受けられる。しかしながら、本研究に係る中空糸膜ではそのような制約はない。なぜなら本発明の中空糸膜は陰性荷電を持つが、上記の通り膜の構造を設計してサイトカインを吸着しているため、各サイトカインの等電点によって吸着性能が変わるわけではない。例えば、IL−6の等電点は5.1で酸性タンパク質であるため陰性荷電膜には吸着しにくく、逆に等電点8.6の塩基性タンパク質であるIL−8は吸着しやすいということはなく、電荷による吸着性能への影響は認められない。したがって、これらの理由から本発明は特定のサイトカインに限定されるものではないと考えられる。
以下に本発明に係る中空糸膜の作成例を説明する。
ポリマーを溶媒に溶かした紡糸原液を調整する。このとき、陰性荷電基を有するポリマーを同時に溶解することも出来る。陰性荷電が高く、原液濃度(原液中の溶媒を除いた物質の濃度)が低い程、中空糸膜の抱液率を高くすることが出来るため、陰性荷電基および原液濃度を適宜設定することにより、抱液率をコントロールすることが可能である。かかる観点から、本発明において好ましい原液濃度は30重量%以下であり、より好ましくは27重量%以下、さらに好ましくは24重量%以下で用いられる。中空糸膜は、内側の管に中空部分を形成させるための液体もしくは気体を、外側の管に紡糸原液を流すことができる2重管環状スリット型中空糸膜用口金を用い、これらの液体等を一定距離の乾式空中部分を通した後に凝固浴に吐出する事により得られる。内側の管に注入される液体としては、たとえば、上記紡糸原液が溶解可能な溶媒、水やアルコールなどの凝固剤、これらの混合物、あるいはこれらに溶解可能な重合体やそれとの混合物の非溶媒であるような疎水性の液体、たとえば、n−オクタン、流動パラフィンなどの脂肪族炭化水素、ミリスチン酸イソプロピルの様な脂肪酸エステルなども使用できる。また、吐出糸条が空中での温度変化によってゲル化したり、凝固によって速やかに強固な構造を形成する場合には、自己吸引や圧入によって、窒素ガスや空気などの不活性気体を用いることができる。このような気体注入法は工程上からも非常に有利な方法である。温度変化によってゲル化をおこすような原液系の場合には、乾式部分において冷風を吹き付け、ゲル化を促進させることができる。中空糸膜の膜厚は紡糸原液の吐出量により、内径は注入液体もしくは気体の量によりコントロールする方法が一般的である。
2重管環状スリット中空糸膜用口金から吐出された紡糸原液は凝固浴にて中空の糸形状に凝固される。凝固浴は通常、水やアルコールなどの凝固剤、または紡糸原液を構成している溶媒との混合物からなる。通常は水を用いることができる。本発明においては、凝固浴の温度をコントロールすることにより、抱液率を変化させることができる。抱液率は紡糸原液の種類等によって影響を受け得るために、凝固浴の温度も適宜選択されるものであるが、一般に凝固浴温度を高くすることにより、抱液率を高くすることが出来る。この機序は正確には明らかではないが、原液からの脱溶媒と凝固収縮との競争反応で、高温浴では脱溶媒が速く、収縮する前に凝固固定されるからではないかと考えられる。しかしながら、凝固浴温度が高くなりすぎると、アルブミンふるい係数が高くなりすぎるために、例えば、中空糸膜がPMMAを含む膜で、かつ内管に気体を入れる場合の凝固浴温度は35℃以上が好ましく、38℃以上がより好ましい。一方で、48℃以下が好ましく、より好ましくは46℃以下である。
次いで、凝固した中空糸膜に付着している溶媒を洗浄する工程を通過させる。中空糸膜を洗浄する手段は特に限定されないが、多段の水を張った浴(水洗浴という)中に中空糸膜を通過させる方法が好んで用いられる。水洗浴中の水の温度は、膜を構成する重合体の性質に応じて決めればよい。例えばPMMAを含む膜である場合、30〜50℃が用いられる。
また、中空糸膜は水洗浴の後に孔径を保持するために、保湿成分を付与する工程を入れても良い。ここでいう保湿成分とは、中空糸膜の湿度を保つことが可能な成分、または、空気中にて、中空糸膜の湿度低下を防止することが可能な成分をいう。保湿成分の代表例としてはグリセリンやその水溶液などがある。
水洗や保湿成分付与の終わった後、収縮性の高い中空糸膜の寸法安定性を高めるため、加熱した保湿成分の水溶液が満たされた浴(熱処理浴という)の工程を通過させることも可能である。熱処理浴には加熱した保湿成分の水溶液が満たされており、中空糸膜がこの熱処理浴を通過することで、熱的な作用を受けて、収縮し、以後の工程で収縮しにくくなり、膜構造を安定させることが出来る。このときの熱処理温度は、膜素材によって異なるが、PMMAを含む膜の場合には75℃以上が好ましく、78℃以上がより好ましく、また、90℃以下が好ましく、86℃以下がより好ましい温度として設定される。
得られた中空糸膜を用いて血液浄化器とする手段は特に限定されないが、一例を示すと次の通りである。
まず、中空糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、血液浄化器用モジュールの筒部分となるプラスチックケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空糸膜両端部に中空糸膜をケースに固定するための樹脂を入れてポッティングする。医療用ポッティング樹脂としては、ポリウレタン系樹脂が好ましく用いられる。このとき遠心機でモジュールを回転させながら底部キャップもしくは、透析液用のポートから樹脂を入れてポッティングする方法は、樹脂が均一に充填されるために好ましい方法である。樹脂が固化した後、両端をカッター等で切断して中空糸膜が樹脂で閉塞している部分を取り除いて開口端面を形成し、ヘッダーキャップと呼ばれる血液入り口、出口ポートを取り付けて血液浄化器用のモジュールを得ることができる。
また、滅菌のため、上記血液浄化器用のモジュールに放射線を照射する。そのとき、上記した如く、モジュールに疎水化剤溶液に接触した状態で放射線を照射することにより、血液適合性を高くすることが可能である。
以下実施例と比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
1.中空糸膜モジュールの製造方法
(実施例1−6、比較例1−5)
重量平均分子量が40万のsyn−PMMAを31.7重量部、重量平均分子量が140万のsyn−PMMAを31.7重量部、重量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.7重量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む分子量30万のPMMA共重合体20重量部をジメチルスルホキシド376重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液の110℃での粘度は1240poiseであった。得られた紡糸原液を99℃に保温された環状スリット部分の外径/内径=2.1/1.95mmφの2重管中空糸膜用口金から、2.5g/minの速度で、空気中に吐出した。ここで、同時に2重管の内管部分には窒素ガスを注入し、空中部分を50cm走行させた後、凝固浴に導いた。凝固浴に用いた水温(凝固浴温度)を38〜48℃の間で表1に示すように変更し、それぞれ異なる中空糸膜を得た。それぞれの中空糸膜を水洗後、保湿剤としてグリセリンを63重量%水溶液として付与し、熱処理浴(CHT浴)温度を表1のように78℃から85℃まで変更し、余分のグリセリンを除去した後、スペーサー糸を巻き付けて60m/minで巻き取った。
1.中空糸膜モジュールの製造方法
(実施例1−6、比較例1−5)
重量平均分子量が40万のsyn−PMMAを31.7重量部、重量平均分子量が140万のsyn−PMMAを31.7重量部、重量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.7重量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む分子量30万のPMMA共重合体20重量部をジメチルスルホキシド376重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液の110℃での粘度は1240poiseであった。得られた紡糸原液を99℃に保温された環状スリット部分の外径/内径=2.1/1.95mmφの2重管中空糸膜用口金から、2.5g/minの速度で、空気中に吐出した。ここで、同時に2重管の内管部分には窒素ガスを注入し、空中部分を50cm走行させた後、凝固浴に導いた。凝固浴に用いた水温(凝固浴温度)を38〜48℃の間で表1に示すように変更し、それぞれ異なる中空糸膜を得た。それぞれの中空糸膜を水洗後、保湿剤としてグリセリンを63重量%水溶液として付与し、熱処理浴(CHT浴)温度を表1のように78℃から85℃まで変更し、余分のグリセリンを除去した後、スペーサー糸を巻き付けて60m/minで巻き取った。
それぞれの中空糸膜の内径/膜厚は200/30μmであった。
中空糸膜を条件毎に区別して、公知の方法で中空糸膜を束ねて、それぞれ表示の有効膜面積となるように装填し、図2に示すような有効膜面積1.6m2の中空糸膜モジュールを作成した。各モジュールに装填された中空糸膜の有効長は19.5cmとなるようにした。
(比較例6)
パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む重量平均分子量30万のPMMA重合体を21重量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む重量平均分子量90万のPMMA重合体を62重量部、重量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.8重量部をジメチルスルホキシド269.8重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。
(比較例6)
パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む重量平均分子量30万のPMMA重合体を21重量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む重量平均分子量90万のPMMA重合体を62重量部、重量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.8重量部をジメチルスルホキシド269.8重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。
凝固浴に用いた水温(凝固浴温度)を30℃、熱処理浴(CHT浴)温度を78度とした。
以下、同様に中空糸膜モジュールを得た。
(比較例7,8)
重量平均分子量が40万のsyn−PMMAを50重量部、重量平均分子量が140万のsyn−PMMAを33重量部、重量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.8重量部をジメチルスルホキシド316重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。
(比較例7,8)
重量平均分子量が40万のsyn−PMMAを50重量部、重量平均分子量が140万のsyn−PMMAを33重量部、重量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.8重量部をジメチルスルホキシド316重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。
凝固浴に用いた水温(凝固浴温度)を22℃、熱処理浴(CHT浴)温度を81度とした。
以下、同様に中空糸膜モジュールを得た。
2.測定方法
(1)陰性荷電量の測定方法
陰性荷電量は次のようにして測定した。
2.測定方法
(1)陰性荷電量の測定方法
陰性荷電量は次のようにして測定した。
乾燥させた中空糸膜を0.02g秤量し、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLで洗浄したのち、蒸留水で洗浄した。洗浄後の蒸留水に1%フェノールフタレイン溶液を滴下して着色しなくなるまで蒸留水での洗浄をくりかえした。洗浄後の中空糸膜を恒量になるまで凍結乾燥した。なお、乾燥による熱変性を防ぐために凍結乾燥が好ましいが、凍結乾燥が困難な場合はこれに限らない。凍結乾燥後の中空糸膜をプラスチック製試験管に入れ、0.001Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLを、中空糸膜が液に浸かるように加え、30℃で、1分間に150回の速度で24時間振盪した。振盪後、上清10mLを採取し、0.001Nの塩酸で滴定した。なお、指示薬として0.1%メチルレッドを2滴添加した。この滴定結果より陰性荷電量を求めた。また、塩酸の滴下量が2μmol未満で滴定が完了した場合、すなわち中空糸膜の陰性荷電量が大きい場合は、乾燥中空糸膜を減量し、再度測定を行った。陰性荷電量は、次式より算出した。
陰性荷電量(μeq/g)=(滴定に用いた上清量(mL)×水酸化ナトリウムの規定度(μeq/mL)−滴定量(mL)×塩酸の規定度(μeq/mL))/中空糸膜乾燥重量(g)
(2)血小板付着数の測定方法
18mmφのポリスチレン製の円形フィルムに両面テープを貼り付け、そこに中空糸膜を固定した。貼り付けた中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、中空糸膜の内表面を露出させた(中空糸内表面に汚れや傷、折り目などがあると、その部分に血小板が付着し、正しい評価ができないことがあるのでこのような部分はできるだけ用いないよう注意を要する。)。
陰性荷電量(μeq/g)=(滴定に用いた上清量(mL)×水酸化ナトリウムの規定度(μeq/mL)−滴定量(mL)×塩酸の規定度(μeq/mL))/中空糸膜乾燥重量(g)
(2)血小板付着数の測定方法
18mmφのポリスチレン製の円形フィルムに両面テープを貼り付け、そこに中空糸膜を固定した。貼り付けた中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、中空糸膜の内表面を露出させた(中空糸内表面に汚れや傷、折り目などがあると、その部分に血小板が付着し、正しい評価ができないことがあるのでこのような部分はできるだけ用いないよう注意を要する。)。
筒状に切ったFalcon(登録商標)チューブ(18mmφ、No.2051)に該円形フィルムを、中空糸膜を貼り付けた面が円筒内部に入るように取り付け、パラフィルム(登録商標)で取り付け部分の隙間を埋めてカップ状の試験サンプルを作成した。この円筒管内を生理食塩水で洗浄後、生理食塩水で満たした。成人健常者の静脈血を採血後、直ちにヘパリンナトリウム注射液(味の素社製)を50U/mLになるように添加した。前記円筒管内の生理食塩水を廃棄後、前記血液を、採血後10分以内に、円筒管内に1.0mL入れ、37℃で1時間振盪させた。その後、円筒管内を10mLの生理食塩水で洗浄し、2.5容積%グルタルアルデヒド(ナカライテスク社製)生理食塩水溶液で血液成分の固定を行い、20mLの蒸留水にて洗浄した。円筒管から洗浄した円形フィルムを取り外し、走査型電子顕微鏡の試料台に両面テープで貼り付けた。該試料台を常温66Paにて10時間減圧乾燥した。その後、スパッタリングにより、白金/パラジウムの薄膜を円形フィルム上の中空糸膜表面に形成させて、試料とした。この中空糸膜の内表面をフィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(日立社製S800)にて、倍率1500倍で試料の内表面を観察し、1視野中(4.3×103μm2)の付着血小板数を数えた。中空糸長手方向における中央付近で、異なる10視野での付着血小板数の平均値を血小板付着数(個/(4.3×103μm2))とした。中空糸の長手方向における端の部分は、血液溜まりができやすいため付着数の計測対象からはずした。
なお、血小板付着試験においては、試験が適切に行われているかどうかを確認するために、対照サンプルを実験毎に水準に入れた。血小板付着が多いことがわかっている既知のサンプルを陽性対照、血小板付着が少ないことがわかっている既知のサンプルを陰性対照とした。陽性対照としては東レ社製人工腎臓“フィルトライザー”(登録商標)BG−1.6Uの中空糸膜、陰性対照としては川澄化学社製人工腎臓PS−1.6UWの中空糸膜とした。上記の実験条件で血小板付着数が、陽性対照への付着数が40(個/(4.3×103μm2))以上、かつ、陰性対照への付着数が5(個/(4.3×103μm2))以下であったときに、測定値を採用した。対照サンプルの血小板付着数が上記範囲からはずれた場合は、血液の鮮度が欠けていたり、血液の過度な活性化が生じていることなどが考えられるので、試験をやり直すこととした。
本実験で血小板付着数が10(個/(4.3×103μm2))以下であれば、生体適合性が良好であると考えられる。
(3)アルブミンふるい係数の測定方法
アルブミンふるい係数は次のようにして測定した。
1.ACD−A液を用いて抗凝固した牛血液を遠心分離して得た牛血漿を、タンパク濃度6.5g/dLとなるよう調整する。
2.透析会誌29(8)1231−1245、1996記載の閉鎖循環回路を用いて、血液側(中空糸膜内側)流量(QBin)200mL/min、濾過液流量10mL/min/m2の条件で2Lの牛血漿溶液を個人用透析装置(TR3000S、東レ社製)を用いて循環する。
3.循環開始59〜60分の間に血液入口側液、血液出口側液および濾液を採取し、アルブミンふるい係数測定用サンプルとする。
4.3のサンプル中のアルブミン濃度をアルブミン・グロブリン比測定用キット(A/G B−テストワコー、Code274−24301、和光純薬製)を用いたBCG法で測定する。
アルブミンふるい係数は以下の式により算出される。
アルブミンふるい係数(%)=2CF/(CBin+CBout)×100
CBin : 血液入口側のアルブミンの濃度(g/dL)
CBout: 血液出口側のアルブミンの濃度(g/dL)
CF : 濾液のアルブミンの濃度(g/dL)
(4)抱液率の測定方法
抱液率は、次のようにして測定した。
1.人工腎臓の血液側および透析液側に、減圧ポンプで20分間脱気した蒸留水を100mL/minで10分間流し、中空糸膜内の空気を追い出す。
2.63重量%のグリセリン水溶液(20℃における屈折率1.417)を流速40mL/minにて血液入口側→血液出口側→透析液出口側→透析液入口側の順に30分間流す。
3.透析液入口側液の屈折率を、手持屈折計(R−5000、ATAGO製)を用いて測定し、1.417となったことを確認する。
4.3の人工腎臓の両端をケースごと切断し、中空糸膜束を取り出す。
5.糸束の中心部付近の中空糸膜480本を取り出し、両側を切断して、長手方向における中央部付近の5cmの長さの部分を残し、1サンプルとして、1本の人工腎臓から合計3サンプル準備する。
6.5のサンプルを遠心分離器(CF9RX形、T3S51ローター、日立工機製)を用いて2150×gの遠心加速度(3000rpm)にて30分間遠心脱液する。
7.6にて遠心脱液した中空糸膜の重量を秤量し、グリセリン水溶液が付着した中空糸膜束の重量Aとする(秤量した重量から各実施例、比較例において中空糸膜周りに巻くスペーサー糸の重量を減じて重量Aとする)。
8.6を40℃に加温した蒸留水100mL中で60分振盪する操作を3回繰り返す。
9.蒸留水を切り、40℃にて24時間以上減圧乾燥を行った後、中空糸膜の重量を測定し、7と同様にスペーサー糸の重量を減じて中空糸膜のみの重量Bとする。
10.再度数時間減圧乾燥を行い、直ちに重量を再度測定し、その後の重量変化が無いことを確認する。
11.抱液率は次式によって計算する。抱液率=(A−B)/B×100(%)
12.1本の人工腎臓から得た3サンプルの平均値を算出し、その人工腎臓に内蔵される中空糸膜の抱液率とする。
(5)接触角の測定方法
接触角は、次の方法で測定した。
1.中空糸膜を乾燥させ、クロロホルムに溶解して4%溶液とする。
2.直径5cmのアルミカップに5mL入れ、50℃の乾燥機にて乾燥させる。
3.アルミカップからフィルムを取り出し、接触角計(協和界面科学社製DropMasterシリーズDM500)を用いて接触角を測定し、「測定解析統合ソフトウェアFAMAS(interFAce Measurement & Analysis System)」にて計算する
(6)中空糸膜の赤外吸収スペクトル測定
中空糸膜の赤外吸収スペクトルは以下の方法で測定した。
1.中空糸膜を乾燥させてゆき、経時的に赤外吸収スペクトルを測定する。(異なる抱液率でのスペクトル測定を行う)
2.水分子由来のピーク(3000〜3500cm−1)のピークトップの値を読みとる。
3.X軸に抱液率、Y軸にピークトップ値をプロットする。
(7)サイトカイン吸着率測定
中空糸膜へのサイトカイン吸着率は下記の方法で測定した。
1.中空糸膜48本入り、有効長12cmのミニモジュール(有効膜面積6×10−3m2)を製造する。
2.凍結したウシ胎児血清(コスモバイオ社製)500mLを56℃の湯浴中にて融解後2時間保持し、その後、室温に戻す(非働化)。
3.非働化したウシ胎児血清にヒト由来のIL−1β(和光純薬社製)およびIL−6(鎌倉テクノサイエンス社製)およびIL−8(鎌倉テクノサイエンス社製)をそれぞれ10ng/mLとなるよう添加する。
4.ペリスタポンプを1mL/分に設定し、上記のミニモジュール1本に接続し、中空糸内を3のサイトカイン添加ウシ胎児血清10mLが循環するようセットする。このとき、ウシ胎児血清およびミニモジュールは37℃温浴中におく。
5.循環前にサイトカイン添加ウシ胎児血清をサンプリングしておき、4時間循環後、再度サンプリングする。
6.ヒトIL−1β ELISAキット(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)およびヒトIL−6 ELISAキット(鎌倉テクノサイエンス社製)およびヒトIL−8 ELISAキット(鎌倉テクノサイエンス社製)を用いて、循環前濃度および循環後濃度を測定する。
7.循環前濃度と循環後濃度の差から吸着率を算出する。
(実施例1、5、6)
0.02重量%のエタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
実施例1の陰性荷電は9.28μeq/gであった。また、実施例1の接触角は82度であった。
(実施例2)
0.02重量%の1−ブタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
0.02重量%の1−ヘキサノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
(3)アルブミンふるい係数の測定方法
アルブミンふるい係数は次のようにして測定した。
1.ACD−A液を用いて抗凝固した牛血液を遠心分離して得た牛血漿を、タンパク濃度6.5g/dLとなるよう調整する。
2.透析会誌29(8)1231−1245、1996記載の閉鎖循環回路を用いて、血液側(中空糸膜内側)流量(QBin)200mL/min、濾過液流量10mL/min/m2の条件で2Lの牛血漿溶液を個人用透析装置(TR3000S、東レ社製)を用いて循環する。
3.循環開始59〜60分の間に血液入口側液、血液出口側液および濾液を採取し、アルブミンふるい係数測定用サンプルとする。
4.3のサンプル中のアルブミン濃度をアルブミン・グロブリン比測定用キット(A/G B−テストワコー、Code274−24301、和光純薬製)を用いたBCG法で測定する。
アルブミンふるい係数は以下の式により算出される。
アルブミンふるい係数(%)=2CF/(CBin+CBout)×100
CBin : 血液入口側のアルブミンの濃度(g/dL)
CBout: 血液出口側のアルブミンの濃度(g/dL)
CF : 濾液のアルブミンの濃度(g/dL)
(4)抱液率の測定方法
抱液率は、次のようにして測定した。
1.人工腎臓の血液側および透析液側に、減圧ポンプで20分間脱気した蒸留水を100mL/minで10分間流し、中空糸膜内の空気を追い出す。
2.63重量%のグリセリン水溶液(20℃における屈折率1.417)を流速40mL/minにて血液入口側→血液出口側→透析液出口側→透析液入口側の順に30分間流す。
3.透析液入口側液の屈折率を、手持屈折計(R−5000、ATAGO製)を用いて測定し、1.417となったことを確認する。
4.3の人工腎臓の両端をケースごと切断し、中空糸膜束を取り出す。
5.糸束の中心部付近の中空糸膜480本を取り出し、両側を切断して、長手方向における中央部付近の5cmの長さの部分を残し、1サンプルとして、1本の人工腎臓から合計3サンプル準備する。
6.5のサンプルを遠心分離器(CF9RX形、T3S51ローター、日立工機製)を用いて2150×gの遠心加速度(3000rpm)にて30分間遠心脱液する。
7.6にて遠心脱液した中空糸膜の重量を秤量し、グリセリン水溶液が付着した中空糸膜束の重量Aとする(秤量した重量から各実施例、比較例において中空糸膜周りに巻くスペーサー糸の重量を減じて重量Aとする)。
8.6を40℃に加温した蒸留水100mL中で60分振盪する操作を3回繰り返す。
9.蒸留水を切り、40℃にて24時間以上減圧乾燥を行った後、中空糸膜の重量を測定し、7と同様にスペーサー糸の重量を減じて中空糸膜のみの重量Bとする。
10.再度数時間減圧乾燥を行い、直ちに重量を再度測定し、その後の重量変化が無いことを確認する。
11.抱液率は次式によって計算する。抱液率=(A−B)/B×100(%)
12.1本の人工腎臓から得た3サンプルの平均値を算出し、その人工腎臓に内蔵される中空糸膜の抱液率とする。
(5)接触角の測定方法
接触角は、次の方法で測定した。
1.中空糸膜を乾燥させ、クロロホルムに溶解して4%溶液とする。
2.直径5cmのアルミカップに5mL入れ、50℃の乾燥機にて乾燥させる。
3.アルミカップからフィルムを取り出し、接触角計(協和界面科学社製DropMasterシリーズDM500)を用いて接触角を測定し、「測定解析統合ソフトウェアFAMAS(interFAce Measurement & Analysis System)」にて計算する
(6)中空糸膜の赤外吸収スペクトル測定
中空糸膜の赤外吸収スペクトルは以下の方法で測定した。
1.中空糸膜を乾燥させてゆき、経時的に赤外吸収スペクトルを測定する。(異なる抱液率でのスペクトル測定を行う)
2.水分子由来のピーク(3000〜3500cm−1)のピークトップの値を読みとる。
3.X軸に抱液率、Y軸にピークトップ値をプロットする。
(7)サイトカイン吸着率測定
中空糸膜へのサイトカイン吸着率は下記の方法で測定した。
1.中空糸膜48本入り、有効長12cmのミニモジュール(有効膜面積6×10−3m2)を製造する。
2.凍結したウシ胎児血清(コスモバイオ社製)500mLを56℃の湯浴中にて融解後2時間保持し、その後、室温に戻す(非働化)。
3.非働化したウシ胎児血清にヒト由来のIL−1β(和光純薬社製)およびIL−6(鎌倉テクノサイエンス社製)およびIL−8(鎌倉テクノサイエンス社製)をそれぞれ10ng/mLとなるよう添加する。
4.ペリスタポンプを1mL/分に設定し、上記のミニモジュール1本に接続し、中空糸内を3のサイトカイン添加ウシ胎児血清10mLが循環するようセットする。このとき、ウシ胎児血清およびミニモジュールは37℃温浴中におく。
5.循環前にサイトカイン添加ウシ胎児血清をサンプリングしておき、4時間循環後、再度サンプリングする。
6.ヒトIL−1β ELISAキット(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)およびヒトIL−6 ELISAキット(鎌倉テクノサイエンス社製)およびヒトIL−8 ELISAキット(鎌倉テクノサイエンス社製)を用いて、循環前濃度および循環後濃度を測定する。
7.循環前濃度と循環後濃度の差から吸着率を算出する。
(実施例1、5、6)
0.02重量%のエタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
実施例1の陰性荷電は9.28μeq/gであった。また、実施例1の接触角は82度であった。
(実施例2)
0.02重量%の1−ブタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
0.02重量%の1−ヘキサノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
実施例3の接触角は83度であった。
(実施例4)
0.02重量%の1−ヘプタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1−7)
純水で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
0.02重量%の1−ヘプタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1−7)
純水で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
比較例7は陰性荷電基を含有しないポリメチルメタクリレートのみから得られた中空糸膜であるため、陰性荷電は4.2μeq/gと低かった。一方、比較例5の陰性荷電は13.5μeq/gであった。また、比較例5の接触角は81度であった。
(比較例8)
0.02重量%のエタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
陰性荷電は3.5μeq/gであった。
疎水化剤として0.02重量%のエタノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなどアルコール水溶液を中空糸膜モジュールに満たしたものは、血小板付着数が10個/(4.3×103μm2)以下となり、血液適合性に優れていた。一方で、純水で満たしたものは血小板付着数が100個/(4.3×103μm2)以上となり、血液適合性に劣っていた。
(比較例8)
0.02重量%のエタノール(和光純薬社製)水溶液で中空糸膜モジュール内を満たし、25kGyのγ線で滅菌した後、それぞれのIL−1β吸着率、IL−6吸着率、IL−8吸着率、抱液率、アルブミンふるい係数、血小板付着試験を測定した。結果を表1に示す。
陰性荷電は3.5μeq/gであった。
疎水化剤として0.02重量%のエタノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなどアルコール水溶液を中空糸膜モジュールに満たしたものは、血小板付着数が10個/(4.3×103μm2)以下となり、血液適合性に優れていた。一方で、純水で満たしたものは血小板付着数が100個/(4.3×103μm2)以上となり、血液適合性に劣っていた。
比較例5に比べ、疎水化膜の実施例1および3は、接触角が1〜2度高くなり疎水化していることが確認できた。
また、実施例5と比較例2の中空糸膜について、赤外吸収スペクトルを測定し、抱液率と水のピークトップ値をプロットしたところ、図1のような結果が得られた。疎水化膜である実施例5は、比較例2に比べ低抱液率領域でのピークトップの値のシフト幅が小さいことがわかった。また、実施例5においては抱液率が高い領域、つまりバルク水が豊富に存在する領域の値が、低抱液率領域の値と大差ないことが分かった。すなわち、疎水化膜では表面近傍の水分子がバルク水と同じような水素結合の構造を保持していると推察される。そしてこれは、血液中の環境に近いと言える。
比較例6のように陰性荷電膜であってもアルブミンふるい係数、すなわち孔径が小さすぎるものは、サイトカインが膜の厚み部分に入り込めないために吸着特性を示さなかった。
一方、比較例7および8のようにパラスチレンスルホン酸ソーダを含むPMMA共重合体を除いて中空糸膜を製造した場合、陰性荷電基を含まないために抱液率が140%を超えず、またアルブミンふるい係数も低かった。細孔径が小さく、また空孔率も低いためにサイトカイン吸着性能のうちIL−8吸着率が特に低く、サイトカイン全般を吸着する中空糸膜ではなかった。
IL−8は分子量8500程度、IL−6は21000程度、IL−1βは17000程度である。このなかで、アルブミンふるい係数の影響を最も大きく受けたのはIL−8吸着率であった。この細孔径の範囲では、IL−6およびIL−1βのように分子量が2万近い物質の吸着性能はあまり変化がないと思われるが、分子量の小さなIL−8は大きく孔径の影響を受けると考えられる。
以上のことから、均一膜構造であって、アルブミンふるい係数が0.1%以上、5%未満であること、抱液率が140%以上であること、中空糸膜内表面に付着する血小板数が10個/(4.3×103μm2)以下であること、を満たせば、血液適合性が高く、かつIL−6吸着率が40%以上、IL−8吸着率が10%以上と、高いサイトカイン吸着性能を示す血液浄化用中空糸膜が得られる。
本発明は血液適合性に優れ、かつ高いサイトカイン吸着性能が要求される用途に好適に用いられる。
1.動脈側ヘッダー
2.静脈側ヘッダー
3.血液導入口
4.血液導出口
5.中空糸膜
6.血液
7.モジュールケース
8.透析液導入口
9.透析液導出口
10.ポッティング部
11.血液回路
2.静脈側ヘッダー
3.血液導入口
4.血液導出口
5.中空糸膜
6.血液
7.モジュールケース
8.透析液導入口
9.透析液導出口
10.ポッティング部
11.血液回路
Claims (7)
- 次の項目を満足する、サイトカイン吸着用中空糸膜。
(a)均一膜構造を有すること
(b)アルブミンふるい係数が0.1%以上、5%未満であること
(c)抱液率が140%以上であること
(d)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン6が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン6の吸着率が40%以上であること
(e)前記中空糸膜をモジュールに内蔵し、有効膜面積を6×10−3m2としたものに、インターロイキン8が10ng/mL添加された非働化ウシ胎児血清を10mL、1mL/minにて4時間循環したとき、インターロイキン8の吸着率が10%以上であること
(f)前記中空糸膜内表面にヒト血液を接触させたとき付着する血小板数が10個/(4.3×103μm2)以下であること - 前記中空糸膜が陰性荷電を有する素材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
- 前記中空糸膜がエステル基含有ポリマーからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
- 前記中空糸膜がポリメチルメタクリレートからなることを特徴とする請求項4に記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
- 0.01重量%以上、1重量%以下の疎水化剤溶液に接触させた状態で放射線照射することにより得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のサイトカイン吸着用中空糸膜が内蔵された血液浄化器。
- ポリメチルメタクリレートを含む紡糸原液を35℃以上48℃以下の液体中で凝固させ、75℃以上90℃以下の保湿成分の水溶液中で処理した後、0.01重量%以上、1重量%以下の疎水化剤溶液に接触させた状態で放射線照射することを特徴とするサイトカイン吸着用中空糸膜の製造方法。
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JP2009214228A JP2011062282A (ja) | 2009-09-16 | 2009-09-16 | サイトカイン吸着用中空糸膜およびその製造方法およびこれを内蔵した血液浄化器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023286729A1 (ja) | 2021-07-15 | 2023-01-19 | 東洋紡株式会社 | 半透膜 |
-
2009
- 2009-09-16 JP JP2009214228A patent/JP2011062282A/ja active Pending
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WO2023286729A1 (ja) | 2021-07-15 | 2023-01-19 | 東洋紡株式会社 | 半透膜 |
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