JP2732357B2 - ポリエチレン又はeprの製造法及びそのための触媒系 - Google Patents

ポリエチレン又はeprの製造法及びそのための触媒系

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JP2732357B2 JP6165812A JP16581294A JP2732357B2 JP 2732357 B2 JP2732357 B2 JP 2732357B2 JP 6165812 A JP6165812 A JP 6165812A JP 16581294 A JP16581294 A JP 16581294A JP 2732357 B2 JP2732357 B2 JP 2732357B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、(i)狭い分子量分布及び狭
い共単量体分布を有する均質ポリエチレン及び(ii)一
般には約15重量%以下の結晶質含量を有するエチレン
/プロピレン共重合体(EPM)及びエチレン/プロピ
レン/エチリデンノルボルネン三元重合体(EPDM)
を包含するエチレン/プロピレン共重合体ゴム、並びに
それらの製造法に関する。
【0002】
【発明の背景】均質ポリエチレン及びEPRは、ホース
やチューブ、電線ケーブル、ガスケット及び単層屋根材
のような用途で使用されるエラストマー共重合体及び三
元重合体である。これらは、通常、充填剤、油、加工助
剤や安定剤を使用して配合される。
【0003】EPRは、現在、工業的には可溶性バナジ
ウム触媒を使用して溶液法及びスラリー法で製造されて
いる。これらの方法は、溶剤除去及びスチームストリッ
ピング工程を必要とし、操作するのに極めて費用がかか
る。加えて、これらの溶液触媒は、流動床において満足
な粒子モルホロジーを提供しない。これらの方法の改良
が望ましく、特に、これらの同じ生成物を製造するため
の気相法の開発は経済的に一層魅力的である。と云うの
は、後反応の費用がほとんどかからずそして粒子モルホ
ロジーが期待通り改善されるだろうからである。
【0004】これらの重合体を気相で製造するのに選択
される触媒系のうちの1つは、米国特許第450884
2号に記載されている。典型的には、この触媒系は、三
塩化バンジウムと電子供与体との反応生成物である触媒
前駆物質にアルミニウム含有変性剤を反応させそしてシ
リカ担体に含浸させたものと、クロロホルムのような促
進剤とトリイソブチルアルミニウム助触媒とから構成さ
れる。この触媒系は、組成が均質な樹脂を生成する。こ
れは良好な粒子モルホロジーを達成するが、しかし不均
質な組成及び広い分子量分布は貧弱な透明性及び貧弱な
ヒートシール性を有するポリエチレン生成物をもたら
す。加えて、この触媒で作られたEPRは、貧弱な硬化
を示しそしてずっと高い高温結晶度を含有する。これ
は、不十分に分布されたプロピレンそしてEPDMの場
合には不十分に分布されたジエンの結果であると考えら
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】それ故に、本発明の目
的は、均質ポリエチレン及びEPR即ち約15重量%以
下の結晶度を有ししかも上記の欠陥を比較的有しないも
のの製造法を提供することである。他の目的及び利益は
以下の説明から明らかになるであろう。
【0006】
【発明の概要】本発明に従えば、上記の目的は、エチレ
ン、1種以上のα−オレフィン及び随意成分としてのジ
エンを含む混合物を、重合条件下に、 (A)(i)(a)VX3 (式中、Xはそれぞれ塩素、
臭素又は沃素である)と(b)VX3 が可溶性であると
ころの液状有機ルイス塩基である電子供与体との反応生
成物であるバナジウム化合物、 (ii)式BX3 又はAlR(3-a)a (式中、各Rはそ
れぞれ1〜14個の炭素原子を有するアルキルであり、
各Xは先に規定した通りであり、そしてaは0、1又は
2である)を有する変性剤、及び (iii )前記バナジウム化合物及び変性剤のための担
体、を含み、しかも独立状態又は予備重合状態にある触
媒前駆物質、 (B)式AlR(3-a)a (式中、R及びXは先に規定
した通りであり、そしてaは1又は2である)を有する
化合物よりなる助触媒、及び (C)少なくとも3個の炭素原子及び少なくとも6個の
ハロゲン原子を有する飽和若しくは不飽和脂肪族ハロカ
ーボン、又はハロアルキル置換芳香族炭化水素(ここ
で、ハロアルキル置換基は少なくとも3個のハロゲン原
子を有する)よりなる促進剤、を含む触媒系と接触させ
ることを包含するポリエチレン又はEPRの製造法によ
って達成される。
【0007】
【好ましい具体例の説明】未予備重合状態にあるバナジ
ウム基剤触媒前駆物質及びその製造法は、米国特許第4
508842号に記載されている。好ましい三ハロゲン
化バナジウム(VX3 )は三塩化バナジウムである。電
子供与体は、三ハロゲン化バナジウムが可溶性であると
ころの液状有機ルイス塩基である。電子供与体は、一般
には、約0〜約200℃の範囲内の温度において液状で
ある。
【0008】電子供与体は、2〜20個の炭素原子を含
有する脂肪族若しくは芳香族カルボン酸のアルキルエス
テル、脂肪族ケトン、脂肪族アミン、脂肪族アルコー
ル、アルキル若しくはシクロアルキルエーテル又はこれ
らの混合物であってよい。これらの電子供与体のなかで
好ましいものは、2〜20個の炭素原子を有するアルキ
ル及びシクロアルキルエーテル、3〜20の炭素原子を
有するジアルキル、ジアリール及びアルキルアリールケ
トン、並びに2〜20個の炭素原子を有するアルキル及
びアリールカルボン酸のアルキル、アルコキシ及びアル
キルアルコキシエステルである。最も好ましい電子供与
体はテトラヒドロフランである。好適な電子供与体の他
の例は、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチル
エーテル、ジオキサン、ジ−n−プロピルエーテル、ジ
ブチルエーテル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アニス酸エ
チル、エチレンカーボネート、テトラヒドロピラン及び
プロピオン酸エチルである。
【0009】バナジウム化合物と電子供与体との反応生
成物を提供するために初期において過剰量の電子供与体
が使用されるけれども、その反応生成物は、最終的には
バナジウム化合物1モル当たり約1〜約20モルの電子
供与体そして好ましくは約1〜約10モルの電子供与体
を含有する。
【0010】変性剤は、式BX3 又はAlR(3-a)a
(式中、各Rはそれぞれ1〜14個の炭素原子を有する
アルキルであり、各Xはそれぞれ塩素、臭素又は沃素で
あり、そしてaは0、1又は2である)を有する。1種
以上の変性剤を使用することができる。好ましい変性剤
は、アルキルアルミニウムモノ−及びジクロリド(ここ
で、各アルキル基は1〜6個の炭素原子を有する)、三
塩化硼素並びにトリアルキルアルミニウムを包含する。
電子供与体1モル当たり約0.1〜約10モル好ましく
は約0.2〜約2.5モルの変性剤を使用することがで
きる。変性剤対バナジウムのモル比は約1:1〜約1
0:1の範囲内であってよく、そして好ましくは約2:
1〜約5:1の範囲内である。
【0011】促進剤は、パークロルプロペンのような
なくとも3個の炭素原子及び少なくとも6個のハロゲン
原子を有する不飽和脂肪族ハロカーボン、又はCX
がC=C基に結合された不飽和ハロカーボン(ここで、
各Xはそれぞれ塩素、臭素又は沃素である)であっても
よい。助触媒1モル当たり約0.01〜約10モルそし
て好ましくは約0.2〜約1モルの促進剤を使用するこ
とができる。
【0012】助触媒は、式AlR(3-a)a (式中、各
Rはそれぞれ1〜14個の炭素原子を有するアルキルで
あり、各Xはそれぞれ塩素、臭素又は沃素であり、そし
てaは1又は2である)を有する化合物であってよい。
助触媒は、バナジウムの1g原子当たり助触媒約10〜
約500モルの量で触媒系中に存在してよく、そしてバ
ナジウムの1g原子当たり助触媒約30〜約150モル
の量で導入される好ましい。
【0013】ハロゲン含有変性剤及び助触媒の例は、ジ
−n−ブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニ
ウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エ
チルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウム
セスキクロリド、イソブチルアルミニウムセスキクロリ
ド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジ−n−プロピル
アルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド
及びイソブチルアルミニウムジクロリドである。
【0014】トリアルキルアルミニウム変性剤の例は、
トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウ
ム、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジ
ヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ
イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニ
ウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニ
ウム及びトリドデシルアルミニウムである。
【0015】担体は、シリカ、アルミナ又は重合体のよ
うな無機又は有機物質であってよい。シリカが好まし
い。重合体担体の例は、多孔質架橋ポリスチレン及びポ
リプロピレンである。典型的なシリカ又はアルミナ担体
は、重合に対して本質的に不活性な固体粒状多孔質物質
である。これは、約10〜約250ミクロン好ましくは
約30〜約100ミクロンの平均粒度、少なくとも20
0m2 /g好ましくは少なくとも250m2 /gの表面
積及び少なくとも約100Å好ましくは少なくとも約2
00Åの細孔寸法を有する乾燥粉末として使用される。
一般には、担体の使用量は、担体1g当たり約0.1〜
約1.0ミリモルのバナジウムそして好ましくは担体1
g当たり約0.4〜約0.9ミリモルのバナジウムを提
供するような量である。上記触媒前駆物質のシリカ担体
への含浸は、前駆物質及びシリカゲルを電子供与体又は
他の溶剤中において混合し次いで減圧下に溶剤を除去す
ることによって達成される。
【0016】変性剤は、通常、イソペンタンのような有
機溶剤中に溶解され、そして前駆物質の含浸後の担体に
含浸され、その後に担体付触媒前駆物質が乾燥される。
また、所望ならば、同様な態様で促進剤も担体に含浸さ
せることができる。助触媒及び促進剤は、そのままで別
個に又はイソペンタンのような不活性溶剤中に溶解させ
た溶液として、エチレンの流れを開始させると同時に重
合反応器に加えられるのが好ましい。
【0017】上記の触媒前駆物質は、プレポリマーの形
態で使用することができる。予備重合の技術は、米国特
許第4970279号に見い出すことができる。典型的
には、予備重合は、希釈スラリー重合法と同じ態様で液
相で実施される。予備重合で使用される触媒系は、流動
床重合で使用されると同じものである。その相違は、使
用する単量体及び単量体対触媒前駆物質の重量比(これ
は少なくとも約10:1そして典型的には約50:〜約
300:1である)にある。その数は、選択する触媒系
の種類に応じて変動することを指摘したい。好適なプレ
ポリマーの例は、エチレンのプレポリマー、エチレン/
プロピレンコプレポリマー、エチレン/1−ヘキセンコ
プレポリマー、エチレン/プロピレン/1−ヘキセンタ
ープレポリマー及びエチレン/プロピレン/ジエンター
プレポリマーである。プレポリマーは、主重合の樹脂生
成物と同じである必要はない。
【0018】触媒前駆物質1g当たりのプレポリマーの
g数で表わして形成されるプレポリマーの量は、一般に
は、プレポリマーの組成、製造しようとする重合体の組
成、及び使用する触媒の生産性に左右される。プレポリ
マーの使用量は、生成物樹脂中のプレポリマー残渣を最
小限にするように選択される。
【0019】典型的な予備重合は、スラリー予備重合器
で実施することができる。この装置は、単量体供給系、
反応容器及び不活性スクリーンを含む。反応器は、良好
な固形分混合を生じさせるための螺旋型リボン撹拌機及
び固形物の排出を容易にするための底部円錐を備えたジ
ャケット付耐圧容器である。エチレンは、圧力を調整し
ながらボンベから、4A又は13Xモレキュラシーブに
送られて不純物が除去され、次いで流量計に送られて流
量が測定される。必要ならば、他のオレフィンは、ボン
ベのヘッドスペースに供給される窒素圧と共にボンベか
ら浸漬管を介して供給される。これらも、4A又は13
Xモレキュラシーブ及び流量計を通る。単量体は反応器
のヘッドスペース又は表面下のどちらかに供給すること
ができるが、表面下(subsurface)の方が好ましい。と
云うのは、それは、1つの物質移動工程を排除すること
によって反応速度を向上させるからである。温度は、閉
ループ調整水系で制御される。圧力は、ベント/補給系
で制御される。
【0020】仕上予備重合触媒は、外皮、凝集体、及び
気相反応器への供給困難を引き起こす他の種類の過大粒
子を除去するためにふるい分けされる。このふるい分け
は、20メッシュスクリーンを有する振動篩で行われ
る。篩は、予備重合触媒の活性を維持するために窒素圧
下に保たれる。過大物質は、処分のために集められる。
所望の小さ目の画分は、貯蔵及び輸送のためにボンベに
排出される。
【0021】典型的な予備重合は、温和な条件下でのエ
チレンと随意成分としての共単量体とのスラリー重合で
ある。溶剤としてはイソペンタン、ヘキサン及びヘプタ
ンを使用することができるが、イソペンタンがその高い
揮発性の故に好ましい。予備重合間に触媒の劣化を最小
限にして後続の気相重合(これは予備重合から数か月後
に行われる可能性がある)に対して十分な活性が存在す
るようにするには温和な条件が必要である。かかる条件
は、異なる触媒系と共に変動するが、しかし典型的には
約25〜約70℃の温度、約15〜約40psiの単量
体分圧並びにバナジウム1モル当たり約1〜約5モルの
助触媒及び触媒促進剤のレベルである。プレポリマーの
使用量は、担体付触媒前駆物質1g当たり約10〜約5
00gそして好ましくは約50〜約300gの範囲内で
ある。プレポリマーの中の共単量体含量は、0〜15重
量%の範囲内である。分子量を制御するために重合の開
始時に又は重合を通して水素又は他の連鎖移動剤を添加
することができる。また、追加的なオレフィン又はジエ
ンを加えることもできる。重合が完結した後に、撹拌機
を停止し、そして固形物を沈降させて過剰の溶剤をデカ
ンテーションによって除去することができるようにす
る。残留する溶剤は、触媒の劣化を回避するために低温
を使用する乾燥によって除去される。乾燥させたプレポ
リマー触媒は、過大(+20メッシュ)の物質を除去す
るために不活性篩を介して貯蔵ボンベに排出される。
【0022】重合は、予備重合について先に記載したよ
うにして溶液もしくはスラリー状態で又は気相において
好ましくは流動床で実施することができる。流動床は、
撹拌機付流動床反応器又は撹拌機が装備されていない流
動床反応器であってよい。流動床では、約1〜約4.5
ft/秒そして好ましくは約1.5〜約3.5ft/秒
の表面速度を使用することができる。全反応器圧は、約
150〜約600psiaの範囲内であってよくそして
好ましくは約250〜約500psiaの範囲内であ
る。エチレン分圧は、約25〜約350psiaの範囲
内であってよくそして好ましくは約80〜約250ps
iaの範囲内である。温度は、約0〜約100℃の範囲
内であってよい。ポリエチレン製造の好ましい温度は約
65〜約85℃の範囲内であり、そしてEPR製造の好
ましい温度は約50〜約70℃の範囲内である。エチレ
ン、α−オレフィン及び水素(又は他の連鎖移動剤)の
ガス状供給流れは反応器の循環路に供給されるのが好ま
しく、これに対して液状エチリデンノルボルネン又は他
のジエン(もし使用するならば)及び助触媒溶液は混合
及び分散を向上させるために流動床反応器に直接供給さ
れるのが好ましい。触媒前駆物質を含有するプレポリマ
ーは、触媒供給器から流動床に移送される。重合体生物
物の組成は、気相中のα−オレフィン/エチレンモル比
及び流動床中のジエン(もし使用するならば)濃度を変
えることによって変動させることができる。生成物は、
床のレベルが重合と共に高くなるにつれて反応器から間
欠的に排出される。生成速度は、触媒供給量を調整する
ことによって制御される。
【0023】ここで、2種類の重合体即ちポリエチレン
及びEPRについて記載する。ポリエチレンは、一般に
は、エチレンの単独重合体及びエチレンと3〜12個の
炭素原子好ましくは3〜8個の炭素原子を有する1種以
上のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィ
ンの例は、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンである。EP
Rは、エチレンとプロピレンとの共重合体か、又はエチ
レンとプロピレンとエチリデンノルボルネン、1,4−
ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン及び1,4−オク
タジエンのようなジエンとの三元重合体のどちらかであ
る。
【0024】反応器における各単量体のモル比は、当業
者には周知のように異なる触媒系では異なる。α−オレ
フィン/エチレンモル比は、重合体中に組み込まれるα
−オレフィンのレベルを制御するように調節される。プ
ロピレン/エチレンモル比は、約0.05:1〜約2.
5:1の範囲内であってよく、そして好ましくは約0.
25:1〜約1.5:1の範囲内である。1−ヘキセン
/エチレン比は、約0.005:1〜約0.050:1
の範囲内であってよく、そして好ましくは約0.00
8:1〜約0.012:1の範囲内である。水素/エチ
レンモル比は、三元重合体の平均分子量を制御するよう
に調節される。床中のジエン(もし使用するならば)の
レベルは、床の重量を基にして約1〜約15重量%の範
囲内でありそして好ましくは約2〜約10重量%の範囲
内である。有用なジエンの例は、エチリデンノルボルネ
ン(ENB)の他に、1,4−ヘキサジエン及びジシク
ロペンタジエン二量体である。
【0025】凝集化を低減させるための工程を実施する
ことができる。例えば、米国特許第4994534号に
記載されるように流動助剤を加えることができる。ま
た、反応器と生成物ポットとの間の生成物排出管は、生
成物落下と落下との間でチャンクによってしばしば閉塞
される。この閉塞問題は、かかる管に窒素の連続的なパ
ージ流れを通すことによって防止される。また、反応器
の表面を表面エネルギーの低い物質で被覆すると、閉塞
速度を低下させるのに有益であることが示されている。
加えて、床の静電気レベルの制御は、静電気で誘発され
る粒子凝集化を防止する。静電気は、反応速度の制御し
た使用、ガス組成の迅速な変更、静電気中和剤の選択的
使用及びアルミニウムアルキルによる表面不動態化によ
って満足なレベルに調節することができる。
【0026】また、静電気は、少量の不活性で導電性の
粒状物質例えばカーボンブラックを使用することによっ
て制御することもできる。不活性粒状物質の量は、静電
気を制御するのに十分なもの、即ち、流動床の重量を基
にして約0.5〜約1.5重量%である。カーボンブラ
ックが好ましい静電防止剤である。不活性導電性粒状物
質の平均粒度は、約0.01〜約150ミクロン好まし
くは約0.01〜約10ミクロンの範囲内である。平均
粒度は、カーボンブラックの場合におけるように粒子そ
れ自体又は凝集体を対象にすることができる。使用され
るカーボンブラック物質は、約10〜約100ナノメー
トルの一次粒度及び約0.1〜約10ミクロンの凝集体
(一次構造体)平均寸法を有することができる。カーボ
ンブラックの表面積は、約30〜約1500m2 /gで
あってよく、そして約80〜約350cm3 /100g
のジブチルフタレート(DBP)吸収量を示すことがで
きる。微量の水分及び酸素を除去するために粒状物質を
反応器へのその導入に先立って処理するのが好ましい。
これは、かかる物質を窒素ガスでパージしそして通常の
操作を使用して加熱することによって達成することがで
きる。また、例えば米国特許第5194526号に記載
されるように、静電気レベルを制御下に保つのに他の静
電防止剤も効果的であることが判明している。
【0027】流動床における共単量体と樹脂と触媒と液
体との混合物の滞留時間は、約1.5〜約8時間の範囲
内であってよく、そして好ましくは約2〜約4時間の範
囲内である。最終生成物は、次の量の反応した共単量
体、即ち、約35〜約80重量%のエチレン、約18〜
約50重量%のα−オレフィン及び約0〜約15重量%
のジエンを含有することができる。結晶度(これも樹脂
生成物の総重量を基にした重量%単位である)は、ゼロ
(本質上非晶質)〜約15重量%(ほとんど非晶質)の
範囲内になり得る。ムーニー粘度は、約10〜約150
の範囲内になり得るが、好ましくは約30〜約100で
ある。ムーニー粘度は、重合体を大型ローターで容器に
導入し、100℃で1分間予熱し次いで同じ温度で4分
間攪拌することによって測定される。粘度は、通常の態
様で100℃において測定される。
【0028】流動床反応器は、米国特許第448268
7号に記載されるもの、又は例えばポリエチレンの気相
製造用の他の慣用反応器であってよい。床は、通常、反
応器で製造しようとすると同じ顆粒樹脂から構成され
る。かくして、重合の過程では、床は、形成された重合
体粒子と成長する重合体粒子と触媒粒子とからなり、そ
して各粒子を分離させて流体として働かせるのに十分な
流量又は速度で導入される重合可能な変性用ガス状成分
によって流動化されている。流動化用ガスは、初期供給
原料、補給供給原料及びサイクル(再循環)ガス即ち単
量体そして所望ならば変性剤及び/又は不活性キャリヤ
ーガスから構成される。典型的なサイクルガスは、エチ
レン、窒素、水素及びプロピレンの単独又は組み合せか
ら構成される。プロセスは、バッチ式又は連続式で実施
することができるが、後者が好ましい。最初の反応器の
必須部分は、容器、床、ガス分配板、流入管、流出管、
圧縮器、サイクルガス冷却器及び生成物排出系である。
容器において床の上方には減速帯域があり、そして床に
は反応帯域がある。両方とも、ガス分配板の上側にあ
る。
【0029】所望ならば、反応器に変更修正を導入する
ことができる。例えば、その1つは、サイクルガス圧縮
器を冷却器の上流側から下流側に配置転換することを包
含し、そしてもう1つは生成物排出容器の充填レベルを
向上させるために生成物排出容器(撹拌機付生成物タン
ク)の頂部から反応器の頂部にベントラインを付設する
ことを包含する。
【0030】
【発明の効果】本発明の利益は、狭い分子量分布を有す
る均質ポリエチレン樹脂(この生成物は典型的な透明性
及び熱シール性を有する)の製造、向上した硬化性能及
び向上した高温結晶度を有するEPRの製造、並びにE
PM及びEPDMの製造のための工業的に実施可能な溶
液法と同等又はそれよりも優秀でありしかも良好な粒子
モルホロジーをもたらす重合法の提供に見い出される。
【0031】
【実施例】本発明を次の例によって例示するが、本発明
はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0032】例1〜21 これらの実施例では、触媒前駆物質の調製及び重合に使
用される反応器は撹拌機付反応器である。重合は、ヘキ
サンスラリー中において実施される。重合のための触媒
系は、バナジウム基剤触媒前駆物質、助触媒及び促進剤
を含む。触媒前駆物質は、米国特許第4508842号
に記載される操作のような慣用操作を使用して最初に調
製され、即ち、三塩化バナジウムと電子供与体(テトラ
ヒドロフラン)との反応生成物が脱水シリカ上に支持さ
れ、次いで担体付前駆物質をジエチルアルミニウムクロ
リド(DEAC)で還元させるために変性工程が実施さ
れる。
【0033】重合 1リットルの攪拌機付バッチ式反応器に、500mlの
脱水ヘキサンを窒素下に仕込んだ。次いで、触媒前駆物
質を仕込み、次いで1−ヘキン(例1〜19)と分子
量調節用水素とを一度のバッチ式で仕込んだ。反応器を
所望の反応温度においてエチレン(例1〜19)並びに
エチレン及びプロピレン(例20〜21)で加圧して特
定モル比のガス組成を定めた。プロピレン対エチレンの
モル比は1:1である。次に、例20〜21ではENB
を仕込んだ。促進剤を仕込み、そして反応器の溶液温度
を助触媒の添加前に5〜10℃下げた。助触媒を添加
し、そして反応器の溶液を所望の温度にした。規定の反
応器圧を維持するためにプロピレン及びエチレンを0.
35のC3/C2モル比で供給した。例20〜21で
は、反応器に一定の濃度を維持するために必要に応じて
ENBを加えた。60分の反応期間の終わりに、エタノ
ールを反応溶液中に注入して重合反応を冷却させた。重
合体をメタノール中での凝固次いでろ過によって分離さ
せた。
【0034】触媒活性は質量収支によって測定され、そ
して重合体の組成はNMR(核磁気共鳴)分析によって
測定される。プロセス変数及び樹脂生成物の種々の特性
を次の表に記載する。
【0035】
【表1】
【0036】実施例及び表に関して注解を与える。 1.略語: DEAC=ジエチルアルミニウムクロリド DIBAC=ジイソブチルアルミニウムクロリド TEAL=トリエチルアルミニウム CHCl3 =クロロホルム C2=エチレン C3=プロピレン C6=1−ヘキセン ENB=エチリデンノルボルネン PCP=パークロルプロパン又はパークロルプロピレン EPDM=エチレン/プロピレン/エチリデンノルボル
ネン三元重合体ゴム 2.触媒活性=生成したC2/C6共重合体又はEPD
Mのg数/バナジウムミリモル/Hr/100psiの
C2 3.MI(g/10分)=メルトインデックスはg数/
10分単位で報告される。それは、ASTM D−12
38の条件Cの下に190℃及び2.16kgで測定さ
れる。 4.FI(g/10分)=フローインデックス(g/1
0分)は、g数/10分単位で報告される。それは、A
STM D−1238の条件Fの下に190℃及び2.
16kgで測定される。 5.MFR=メルトフロー比はフローインデックス/メ
ルトインデックスの比率である。
【0037】6.EPDMの特性: (i)ムーニー粘度(EST ODR)=ムーニー粘度
は、振動デスクレオメーター(ODR)を使用して評価
される。これは、ORDを160℃及び100cpmに
おける1°アークを使用してASTM D−3568
式no.1で測定されたM(L)で標準条件[125℃
におけるM(L)(最小トルク抵抗)1+4]下のガム
ムーニー粘度を線相関することから得られる。例20の
値は69であり、そして例21の値は15である。 (ii)硬化:M(H)−M(L)=ミニチュア・インタ
ーナル・ミキサー用の操作6.1.2及び方法D−31
82に従ってASTM D−3568の式no.1が使
用される。90℃に維持された混合ヘッドを有するブラ
ベンダーミキサーが使用される。加硫特性は、ODRに
対してASTM D−2084試験法に従って測定され
る。硬化メーターテストキャビティーは160℃に維持
される。デスクは、100cpmにおいて1°アーク回
転振幅によって振動される。デスクを最大振幅まで回転
させるのに要する力が連続的に測定される。最大トルク
抵抗M(H)とM(L)との間の差異が記録される。例
20での値は27.1であり、そして例21の値は3
1.7である。20未満の硬化値は貧弱とみなされ、2
0〜25の硬化値は満足とみなされ、そして25より上
特に30より上の硬化値は優秀とみなされる。 (iii )例20では、プロピレンの重量%は26.1%
でありそしてENBの重量%は5.2%である。EPD
Mの重量は33gである。例21では、プロピレン重量
%は22.4%でありそしてENB重量%は9.1%で
ある。EPDMの重量は31gである。
【0038】7.例7〜10は、本発明を表わす例1〜
6と比較されることができる。例7〜10の生成物は、
たとえ樹脂密度が比較的低いとしても高いメルトフロー
比及び高い融点によって特徴づけられる均質樹脂であ
る。他方、例1〜6及び11の生成物は、狭い分子量分
布及び狭い共単量体分布を示す低いメルトフロー比及び
低い融点によって特徴づけられる均質樹脂である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ケビン・ジョゼフ・キャン アメリカ合衆国ニュージャージー州ロッ キーヒル、モントゴメリー・アベニュー 31 (56)参考文献 特開 昭59−230006(JP,A) 特開 平4−296303(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン、1種以上のα−オレフィン及
    び随意成分としてのジエンを含む混合物を、重合条件下
    に、 (A)(i)(a)VX(式中、Xはそれぞれ塩素、
    臭素又は沃素である)と(b)VXが可溶性であると
    ころの液状有機ルイス塩基である電子供与体との反応生
    成物であるバナジウム化合物、 (ii)式BX又はA1R(3−a)(式中、各
    Rはそれぞれ1〜14個の炭素原子を有するアルキルで
    あり、各Xは先に規定した通りであり、そしてaは0、
    1又は2である)を有する変性剤、及び (iii)シリカ、アルミナ、多孔質架橋ポリスチレン
    及びポリプロピレンから選択される前記バナジウム化合
    物及び変性剤のための担体、 を含み、しかも独立状態又は予備重合状態にある触媒前
    駆物質、 (B)式A1R(3−a)(式中、R及びXは先に
    規定した通りであり、そしてaは1又は2である)を有
    する化合物よりなる助触媒、及び (C)少なくとも3個の炭素原子及び少なくとも6個の
    ハロゲン原子を有する不飽和脂肪族ハロカーボンよりな
    る促進剤、 を含む触媒系と接触させることを包含するポリエチレン
    又はEPRの製造法。
  2. 【請求項2】 促進剤対助触媒のモル比が約0.2:1
    〜約1:1の範囲内である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレン製造の重合温度が約65〜
    約85℃の範囲内であり、そしてEPR製造の重合温度
    が約50〜約70℃の範囲内である請求項1記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 変性剤及び/又は助触媒がジエチルアル
    ミニウムクロリド又はジイソブチルアルミニウムクロリ
    ドである請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 促進剤がパークロルプロペンである請求
    項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 プロセスが流動床において気相で実施さ
    れる請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 エチレン、3〜12個の炭素原子を有す
    る1種以上のα−オレフィン及び随意成分としてのジエ
    ンを、重合条件下に、 (A)(i)VC1とテトラヒドロフランとの反応生
    成物であるバナジウム化合物、 (ii)ジエチルアルミニウムクロリド又はエチルアル
    ミニウムセスキクロリドである変性剤、及び (iii)前記バナジウム化合物及び変性剤ためのシリ
    カ担体、 を含み、しかも独立状態又は予備重合状態にある触媒前
    駆物質、 (B)助触媒としてのジエチルアルミニウムクロリド又
    はジイソブチルアルミニウムクロリド、及び (C)促進剤としてのパークロルプロペン、 を含む触媒系と接触させ、この場合にポリエチレン製造
    の重合温度が約65〜約85℃の範囲内であり、そして
    EPR製造の重合温度が約50〜約70℃の範囲内であ
    るることを包含するポリエチレン又はEPRの製造法。
  8. 【請求項8】 プロセスが流動床において気相で実施さ
    れる請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 (A)(i)(a)VX(式中、Xは
    それぞれ塩素、臭素又は沃素である)と(b)VX
    可溶性であるところの液状有機ルイス塩基である電子供
    与体との反応生成物であるバナジウム化合物、 (ii)式BX又はA1R(3−a)(式中、各
    Rはそれぞれ1〜14個の炭素原子を有するアルキルで
    あり、各Xは先に規定した通りであり、そしてaは0、
    1又は2である)を有する変性剤、及び (iii) シリカ、アルミナ、多孔質架橋ポリスチレ
    ン及びポリプロピレンから選択される前記バナジウム化
    合物及び変性剤のための担体、 を含み、しかも独立状態又は予備重合状態にある触媒前
    駆物質、 (B)式A1R(3−a)(式中、R及びXは先に
    規定した通りであり、そしてaは1又は2である)を有
    する化合物よりなる助触媒、及び (C)少なくとも3個の炭素原子及び少なくとも6個の
    ハロゲン原子を有する不飽和脂肪族ハロカーボンよりな
    る促進剤、 を含むポリエチレン及びEPR製造用触媒系。
  10. 【請求項10】 (A)(i)VC1とテトラヒドロ
    フランとの反応生成物であるバナジウム化合物、 (ii)ジエチルアルミニウムクロリド又はエチルアル
    ミニウムセスキクロリドである変性剤、及び (iii)前記バナジウム化合物及び変性剤のためのシ
    リカ担体、 を含み、しかも独立状態又は予備重合状態にある触媒前
    駆物質、 (B)助触媒としてのジエチルアルミニウムクロリド又
    はジイソブチルアルミニウムクロリド、及び (C)促進剤としてのパークロルプロペン、 を含み、しかも促進剤対助触媒のモル比が約0.2:1
    〜約1:1の範囲内であるポリエチレン及びEPR製造
    触媒系。
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