JP2732024B2 - 日射遮蔽装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般建築物の窓の開口
部に設ける日射遮蔽装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】通常、建築物の窓などの開口部には、日
射による眩しさの防止や日射熱の室内への侵入の軽減を
目的として、ブラインド、ルーバー、スクリーン、カー
テン等の日射遮蔽装置を設けているが、これらの日射遮
蔽装置は、ブラインドなどに溜まった熱による輻射で室
内の熱環境を悪化させることがある。

【０００３】そこで、窓ガラス自体を二重構造にしガラ
ス間の中空層内にブラインドを設置し、この中空層をダ
クトに連通して、ダクト内に配設したファンにより中空
層内に溜まる熱をダクトから排出するとともに、室内へ
の長波長輻射熱の軽減を図るものもある。

【０００４】しかし、このような二重ガラスのエアフロ
ーウィンドーは、その他のブラインド、ルーバー等の日
射遮蔽装置に比べて、排熱性能の点では優れているが、
ダクトを設けたり、排熱の動力源としてファンをダクト
内に設置するなどの必要があり、設備が大掛かりとな
り、またコストも嵩む。また、中空層にブラインドを内
蔵するものは、構造的にも複雑になる。

【０００５】そこで、前記したブラインドなどに代え
て、植栽を日射遮蔽装置として採用し、葉の蒸散作用に
より窓面の熱（顕熱分）を処理することが考えられてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】植栽を日射遮蔽装置と
して使用する場合、空調負荷を低減するには、葉からの
蒸散分（潜熱分）を処理する必要があり、そのための手
段として前記したダブルスキンのエアフローウィンドー
のように排気ダクトを設けることも考えられるが、コス
ト高となる。

【０００７】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、ダクトなどの設備が不要で、構造が簡単であり、フ
ァンなどの動力源も必要とせずに二重ガラスのエアフロ
ーウィンドーと同等の熱性能で植栽から生じた蒸散分を
処理でき、メンテナンスも容易な日射遮蔽装置を提供す
ることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、室内側窓パネルと、該室内側窓パネルと一体
に形成され、室内側に植栽ブラインドを並設した室外側
窓パネルとで構成し、両窓パネルの一方の側部は同軸に
して窓の開口部に室内外側に回動自在に軸着し、他方の
側部は離間させて平面扇状に形成したこと、および、室
内側窓パネルと、該室内窓パネルと別体に形成され、室
内側に植栽ブラインドを並設した室外側窓パネルとで構
成し、両窓パネルの一方の側部は同軸上で窓の開口部に
室内外側にそれぞれ別個に回動自在に軸着すること、お
よび、室内側窓パネルと室外側窓パネルの離間する側の
それぞれの側部を、内側に折り曲げて、この折り曲げ部
を透明部に形成すること、および、植栽ブラインドは可
動自在に室内側窓パネルと室外側窓パネルとの間の中空
層に配設されること、および、室外側窓パネルを室外側
に移動した位置で、該室外側窓パネルの上縁と開口部の
上縁との間に介装する庇などの日射遮蔽部材を、開口縁
に突設することを要旨とするものである。

【０００９】

【作用】請求項１記載の本発明によれば、室内側窓パネ
ルと室外側窓パネルとを一体的に同時に回動すること
で、季節などの条件に応じていずれかの窓パネルが窓の
開口部に位置し、他方の窓パネルが室外または室内に位
置する。

【００１０】よって、例えば夏季には室内側窓パネルで
開口部を閉塞すれば、室外側窓パネルは屋外に位置し、
この室外側窓パネルに設けた植栽外ブラインドが日射を
効率よく遮蔽する。また、室外側窓パネルが室内側窓パ
ネルと一方の側部で離間することで、両パネル間に溜ま
る植栽ブラインドから蒸散した熱がこの離間部から放出
できる。そして、冬季には室外側窓パネルで開口部を閉
塞することで、この室外側窓パネルに設けた植栽ブライ
ンドからの蒸散分を加湿分して室内に取り入れる。

【００１１】請求項２記載の本発明によれば、前記作用
に加えて室内側と室外側の両窓パネルが単独で開閉する
から、両窓パネルの開度を別個に自由に設定でき、より
きめ細かな制御が可能となる。

【００１２】請求項３記載の本発明によれば、前記作用
に加えて両窓パネルの離間する側のそれぞれの側部を、
内側に折り曲げて、この折り曲げ部を透明部に形成した
から、植栽ブラインドで窓の開口が塞がれても、この折
り曲げ部をとおして眺望を確保できる。

【００１３】請求項４記載の本発明によれば、前記作用
に加えて植栽ブラインドを可動自在に配設したから、必
要に応じて植栽ブラインドを移動することで、眺望を確
保できる。

【００１４】請求項５記載の本発明によれば、前記作用
に加えて開口部の上縁に庇等を突設することで、夏季な
どブラインドの上方からの高い日射も遮蔽でき、また、
雨が両窓パネルの間に入ることも防げる。

【００１５】

【実施例】以下、図面について本発明の実施例を詳細に
説明する。図１は本発明の日射遮蔽装置の実施例を示す
斜視図で、本発明の日射遮蔽装置は、室内側窓パネル１
と、室内側に植栽ブラインド３を並設した室外側窓パネ
ル２とで構成する。

【００１６】両窓パネル１，２はそれぞれ窓フレーム１
ａ，２ａ内にガラス板等の透明板を嵌め込んだもので、
第１実施例として、両窓フレーム１ａ，２ａを一体的に
形成し、窓フレーム１ａ，２ａの一方の側部を同軸と
し、他方の側部は離間させて平面扇状に形成した。そし
て、同軸側を窓の開口部５の側縁に蝶番４などの取り付
け部材で室内外側に回動自在に軸着する。

【００１７】さらに、扇状に広がった一方の側部を、内
側に対向させて折り曲げ、折り曲げ部１ｂ，２ｂとし、
該折り曲げ部１ｂ，２ｂにもガラス板等の透明板を嵌め
込む。

【００１８】また、室外側窓パネル２を室外側に移動し
た位置で、該室外側窓パネル２の上縁と開口部５の上縁
との間に介装する庇などの日射遮蔽部材６を、開口部５
の上縁から室外に向けて突設した。

【００１９】なお、植栽ブラインド３は室内側窓パネル
１と室外側窓パネル２との間の中空部に固定して設置し
ても、可動自在に配設することも可能である。

【００２０】次に作用について説明すると、夏季は、図
２に示すように室内側窓パネル１で窓の開口部５を閉塞
すれば、室外側窓パネル２は室外側に回動して開状態と
なる。これにより、室外側窓パネル２の側に取り付けて
ある植栽ブラインド３が室外側に位置し、いわゆる外ブ
ラインドの状態となり、効率よく日射が遮蔽できる。

【００２１】そして、室内側窓パネル１と室外側窓パネ
ル２との間の中空部における、植栽ブラインド３からの
蒸散分は、室外側窓パネル２の一方の側部が外方に突出
することで、室外側窓パネル１室内側窓パネル２との間
の開口から大気中に直接排出される。

【００２２】さらに、庇等の日射遮蔽部材６により夏季
の上方からの高い日射も遮蔽できるると同時に雨が室内
側窓パネル１に当たることも防げる。

【００２３】また、室外側窓パネル２が室内側窓パネル
１に対して先端が扇状に開いていることから、室外側窓
パネル２と開口部５との間に形成される隙間、室外側窓
パネル２の折り曲げ部２ｂの透明部、及び室内側窓パネ
ル１を介して眺望も確保できる。

【００２４】冬季には、図３に示すように室内側窓パネ
ル１を室内側に引いて開状態にすれけば、これと一体の
室外側窓パネル２が開口部５を閉塞する。これにより、
室外側窓パネル２の側に配設してある植栽ブラインド３
が室内側に位置し、いわゆる内ブラインドの状態とな
り、日射を室内に取り込むことができる。

【００２５】同時に、室内側窓パネル１と室外側窓パネ
ル２との間の中空部における、植栽ブラインド３からの
蒸散分は、室内側窓パネル１の一方の側部が室内側に突
出することで、室外側窓パネル１室内側窓パネル２との
間の開口から加湿分として室内に積極的に取り込む。

【００２６】また、この状態で、室内側窓パネル１が室
内に、室外側窓パネル１が開口部５に位置するから、両
窓パネル１，２のメンテナンスが容易に行える。

【００２７】さらに、図４のように室内側窓パネル１と
室外側窓パネル２のそれぞれの折り曲げ部１ｂ，２ｂの
先端を窓の開口部５の室内側と室外側の端部に当接すれ
ば、両折り曲げ部１ｂ，２ｂ間の開口が窓の開口縁で閉
塞されるから、室内側窓パネル１と室外側窓パネル２と
で二重ガラスに近い構造となり、断熱性が向上する。こ
の場合、室外側窓パネル２の折り曲げ部２ｂが窓の開口
縁から外側に突出するから、この折り曲げ部２ｂの透明
部を介して眺望が確保できる。

【００２８】前記第１実施例は室内側窓パネル１と室外
側窓パネル２とを一体的に形成し、同期して回動するよ
うに構成したが、第２実施例として図示は省略するが、
室内側窓パネルと室外側窓パネル２とをそれぞれ別個に
回動自在に取り付けることもできる。

【００２９】この場合は、両窓パネル１，２の開角度を
それぞれ別個に自由に決定できるから、よりきめ細かな
日射遮蔽制御や蒸散分の取り入れ量の制御が可能とな
る。

【００３０】さらに、室内側窓パネル１と室外側窓パネ
ル２と間に配設する植栽ブラインド３は、固定して設置
するものに限定されるものではなく、両窓パネル１，２
間の中空部に移動自在に配設することも可能であり、こ
の場合は、例えば冬季において室外側窓パネル２で開口
部５を閉塞しても植栽ブラインド３を室外側窓パネル２
から離間することで、眺望を確保できる。

【００３１】

【発明の効果】以上述べたように本発明の日射遮蔽装置
は、ダクトなどの設備が不要で、構造が簡単であり、フ
ァンなどの動力源も必要とせずに二重ガラスのエアフロ
ーウィンドーと同等の熱性能で植栽から生じた蒸散分を
処理でき、メンテナンスも容易なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の日射遮蔽装置の実施例を示す斜視図で
ある。

【図２】本発明の日射遮蔽装置の夏季における使用例を
示す平面図である。

【図３】本発明の日射遮蔽装置の冬季における使用例を
示す平面図である。

【図４】本発明の日射遮蔽装置の他の使用例を示す平面
図である。

【符号の説明】

１…室内側窓パネル １ａ…窓フレーム １ｂ…折り曲げ部 ２…室外側窓パネル ２ａ…窓フレーム ２ｂ…折り曲げ部 ３…植栽ブラインド ４…蝶番 ５…開口部 ６…日射遮蔽部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間宮 尚 東京都調布市飛田給二丁目19番１号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内 (72)発明者 河野 武史 東京都港区元赤坂一丁目２番７号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 稲沼 實 東京都調布市飛田給二丁目19番１号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内 (72)発明者 工藤 善 東京都調布市飛田給二丁目19番１号 鹿 島建設株式会社 技術研究所内

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 室内側窓パネルと、該室内側窓パネルと
   一体に形成され、室内側に植栽ブラインドを並設した室
   外側窓パネルとで構成し、両窓パネルの一方の側部は同
   軸にして窓の開口部に室内外側に回動自在に軸着し、他
   方の側部は離間させて平面扇状に形成したことを特徴と
   する日射遮蔽装置。
2. 【請求項２】 室内側窓パネルと、該室内窓パネルと別
   体に形成され、室内側に植栽ブラインドを並設した室外
   側窓パネルとで構成し、両窓パネルの一方の側部は同軸
   上で窓の開口部に室内外側にそれぞれ別個に回動自在に
   軸着することを特徴とする日射遮蔽装置。
3. 【請求項３】 室内側窓パネルと室外側窓パネルの離間
   する側のそれぞれの側部を、内側に折り曲げて、この折
   り曲げ部を透明部に形成する請求項１、２記載の日射遮
   蔽装置。
4. 【請求項４】 植栽ブラインドは可動自在に室内側窓パ
   ネルと室外側窓パネルとの間の中空層に配設される請求
   項１、２記載の日射遮蔽装置。
5. 【請求項５】 室外側窓パネルを室外側に移動した位置
   で、該室外側窓パネルの上縁と開口部の上縁との間に介
   装する庇などの日射遮蔽部材を、開口縁に突設する請求
   項１、２、３、４記載の日射遮蔽装置。