JP2730817B2 - 固体電解質燃料電池の製造方法 - Google Patents

固体電解質燃料電池の製造方法

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JP2730817B2 JP3328845A JP32884591A JP2730817B2 JP 2730817 B2 JP2730817 B2 JP 2730817B2 JP 3328845 A JP3328845 A JP 3328845A JP 32884591 A JP32884591 A JP 32884591A JP 2730817 B2 JP2730817 B2 JP 2730817B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学反応を行わ
せ、電気エネルギーを取り出す固体電解質燃料電池(以
下SOFCという)の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、細長い多孔質円筒支持管の表面
に、燃料電極、電解質、空気電極からなる単セルを複数
個形成し直列に接続した円筒型SOFC(特開昭54−73
246 )や空気電極、インターコネクター、燃料電極の三
層からなる波状の相互接続壁で燃料電極、電解質、空気
電極の三層からなる平板状の電池部を挾み込んだ平板型
SOFC(特開昭60−100376)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】SOFCの実用化に際
し、円筒型SOFCは、製作が比較的容易であるが、構
造上支持管を極端に薄くできないので、容積当たりの出
力性能があまり良くないという問題がある。
【0004】また、平板型SOFCは、容積当たりの出
力性能が高いけれども、セル作製やガスシール、組立な
ど製造が非常に困難であるという問題がある。
【0005】そのうえ、従来の製造方法では、複数の電
池部を同時に製造したり、もしくは複数の電池部を同時
に一体集合化するので、一つの電池部に不都合が生じた
場合には、セルスタックまたは電池部の集合体全部が不
良となる恐れがあった。
【0006】そこで、本発明の目的は、作製が容易で、
コストが低減され、信頼性の高いSOFCの製造方法を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討し
た結果、中空の緻密質基板に穴を設け、その穴にあらか
じめ作製した電池を配設することが有効であることを知
見し、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、電池部取り付け穴を
設けた中空の緻密質基板上の前記穴位置に、電池部を設
置した後、隣接する電池部の電極を、導電性部材により
接続してなることを特徴とする固体電解質燃料電池の製
造方法である。
【0009】本発明は、図7に示すように中空の緻密質
基板1上に電池取付用の穴10を設け、そこにあらかじ
め作製した電池部2を配設することを特徴とするもので
ある。
【0010】本発明に使用する、あらかじめ作製した電
池部の第一のタイプは、図8、図9に示すように、多孔
質空気電極基板3または多孔質燃料電極基板11のどち
らか一方の電極材からなる多孔質基板上に、電解質膜
4、もう一方の電極膜、すなわち燃料電極膜5又は空気
電極膜12の順に積層したものであり、第二のタイプ
は、図10、図11に示すように、支持体となる多孔質
基板上13に、空気電極膜12(もしくは燃料電極膜
5)、電解質膜4、燃料電極膜5(もしくは空気電極膜
12)の順に積層したものである。
【0011】上記において、中空の緻密質基板1は、電
気的に絶縁体であるセラミックス材料が好ましく、例え
ばアルミナ、マグネシア、またはその混合物が適してい
る。電解質膜4は、イットリア安定化ジルコニア(以下
YSZと呼ぶ)などが適しており、多孔質電極基板およ
び電極膜は、空気電極については、、アルカリ土類金属
を添加したLaMnO3やLaCoO3などが適してお
り、燃料電極については、Ni−ジルコニアサーメット
などが適している。
【0012】支持体となる多孔質基板13は、開孔性セ
ラミックス材料が好ましく、例えば、アルミナ、マグネ
シア、およびその混合物、安定化ジルコニアなどが適し
ているが、電子的導電性を付与できればなお望ましい。
【0013】あらかじめ作製した電池部2は、緻密質基
板の所定の穴位置10に好ましくは嵌合し設置した後、
隣接する電池部の電極を、導電性部材により直列かつ並
列に接続する。この際、請求項4に記載したように、緻
密質基板と電池部とを接着剤により固着し、導電性部材
を形成すれば、ガスシール性にすぐれたSOFCを製造
することができる。
【0014】また、請求項5に記載したように、ガスシ
ール膜を嵌合部に形成した後、導電性部材を形成した場
合、または、電池部を接着剤で固着し、さらにガスシー
ル膜を形成した後、導電性部材を形成した場合は、より
ガスシール性に優れたSOFCを製造することができ
る。
【0015】上記導電性部材は、電子的導電性を持ち酸
化還元雰囲気で安定な材料で、例えばLaCrO3にア
ルカリ土類金属を添加したペロブスカイト型酸化物など
が適している。
【0016】また、接着剤は、酸化還元雰囲気で安定か
つ緻密化するアルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラ
ミックス系のものが望ましく、ガスシール膜は、アルミ
ナなどの電気的絶縁物が望ましい。
【0017】なお、上記SOFC構成要素のうち、中空
の緻密質基板は、押出し成形により作製し、多孔質電極
基板や多孔質支持基板は、ドクターブレード法、粉末プ
レス法などにより作製する。
【0018】また、電極膜、電解質膜、導電性部材、ガ
スシール膜の作製は、プラズマ溶射、ガスフレーム溶
射、CVD、PVDの様な乾式法、またはスクリーン印
刷法、ディッピング法のような湿式法などの成膜技術に
より行う。
【0019】
【作用】本発明のSOFCについて、電池部の多孔質電
極基板が空気電極の場合について説明する。SOFCを
約1000℃に保持し、緻密質基板の中空部に酸素を供給
し、燃料電極側の緻密質基板外部に水素を供給すること
により、電気化学反応が起こり、電気エネルギーを発生
する。
【0020】本発明によれば、 (1) 電池部をあらかじめ作製するので、不良の電池部は
取り除くことができ、良品の電池部だけを緻密質基板に
設置することができるため、SOFCの歩留り、信頼性
が向上する。
【0021】(2) あらかじめ作製した電池部を緻密質基
板に設置するので、緻密質基板上において蒸着や溶射手
段により電池部を形成する場合と異なり、緻密質基板に
対する、電極膜、電解質膜作製時の加工熱の影響が無く
なり、SOFCの信頼性が向上する。
【0022】(3) 電池部の構成は単純であり、簡単に大
量生産でき、かつ緻密質基板への取付も容易に行えるの
で、製造コストが低減する。
【0023】
【実施例】以下、本発明の第一の実施例を図面に基づい
て説明する。
【0024】図1は、SOFC全体の概略を示す平面図
であり、図2、図3は、それぞれY−Y線による断面
図、X−X線による断面図である。
【0025】緻密質基板1は、アルミナを原料として押
出し成形した後、電池部取り付け穴を適宜開け、これを
1400℃〜1700℃で焼成する。
【0026】一方、電池部2の製造方法について説明す
ると、まずLa0.8Sr0.2MnO3を原料として、ドク
ターブレード法でグリーン膜を作り、カッターで切断し
た後、1200℃〜1500℃で焼成し、多孔質空気電極基板3
を得る。
【0027】次に、多孔質空気電極基板3に電流取り出
し部分のマスキングを施し、プラズマ溶射法でイットリ
ア安定化ジルコニアを溶射し、電解質膜4を作製する。
【0028】最後に、電解質膜4上にマスキングを施
し、ガスフレーム溶射法でNiO−YSZを溶射して、
燃料電極膜5を形成して電池部2が完成する。
【0029】作製された複数の電池部2は、緻密質基板
1の電池部取り付け用の穴10に、アルミナ系接着剤6
で固着される。本実施例の場合は、緻密質基板1の片面
に25個の電池部を固着後、緻密質基板にマスキングを施
し、LaMgCrO3をプラズマ溶射法もしくは、ガス
フレーム溶射法により溶射することにより、導電性部材
7が形成され、電池部2は、直列かつ並列に接続され
る。
【0030】片面終了後、緻密質基板1のもう一方の面
に、上記と同様の作業を行うことにより、SOFCが製
造される。
【0031】次に、第二の実施例を、図4、図5、図6
に基づいて説明する。
【0032】図4は、SOFC全体の概略を示す平面図
であり、図5、図6は、それぞれY−Y線による断面
図、X−X線による断面図である。図中のガスシール膜
8は、電池部2を緻密質基板1に固着後、導電性部材7
を形成する前に、アルミナをプラズマ溶射法により溶射
して作製したものであり、その他の使用材料、製造方法
等は、前記第1の実施例と同様である。
【0033】完成したSOFCを約1000℃に保持し、緻
密質基板1の中空部9に酸素を供給し、燃料電極側に水
素を供給することにより、発電を行うことができる。
【0034】なお、緻密質基板1、電池部2、マスキン
グなどの形状に関しては、上記実施例に限らず、他の形
状であってもよいし、電池部2に多孔質支持基板を用い
た構造のSOFCであっても、また燃料電極を中空部9
側にした場合でも、上記製造方法による効果は、同様で
ある。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
あらかじめ作製した電池部を、中空の緻密質基板に設置
した後、導電性部材、又はガスシール膜と導電性部材を
形成するので、SOFCに組み立てる前に不良の電池部
を取り除くことができること、緻密質基板に対する加工
熱の影響が少なくなることなどから、SOFCの歩留ま
り、信頼性が向上する。
【0036】又、電池部の構成は、非常に単純であり、
かつ緻密質基板への取り付けも容易であることなどか
ら、製造コストも低減するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例に係わるSOFCの概略
を示す平面図、
【図2】同SOFCのY−Y線による断面図、
【図3】同SOFCのX−X線による断面図、
【図4】第二の実施例に係わるSOFCの概略を示す平
面図、
【図5】同SOFCのY−Y線による断面図、
【図6】同SOFCのX−X線による断面図、
【図7】電池部取り付け穴を加工した中空の緻密質基板
の一部内部構造を省略した斜視図、
【図8】多孔質空気電極基板を使用した電池部の斜視
図、
【図9】多孔質燃料電極基板を使用した電池部の斜視
図、
【図10】多孔質支持基板に空気電極、電解質、燃料電
極の順に積層した電池部の斜視図、
【図11】多孔質支持基板に燃料電極、電解質、空気電
極の順に積層した電池部の斜視図である。
【符号の説明】
1…緻密質基板、 2…電池部、 3…多孔質空気電極基板、 4…電解質膜、 5…燃料電極膜、 6…接着剤、 7…導電性部材、 8…ガスシール膜、 9…中空部、 10…電池部取り付け穴、 11…多孔質燃料電極基板、 12…空気電極膜、 13…多孔質支持基板

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電池部取り付け穴を設けた中空の緻密質
    基板上の前記穴位置に、電池部を設置した後、隣接する
    電池部の電極を、導電性部材により接続することを特徴
    とする固体電解質燃料電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 電池部は、空気電極または燃料電極のど
    ちらか一方の電極材からなる多孔質基板上に、電解質
    膜、もう一方の電極膜の順に積層されてなることを特徴
    とする請求項1記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 電池部は、支持体となる多孔質基板上
    に、空気電極膜(もしくは燃料電極膜)、電解質膜、燃
    料電極膜(もしくは空気電極膜)の順に積層されてなる
    ことを特徴とする請求項1記載の固体電解質燃料電池の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 中空の緻密質基板上の取付け穴位置に電
    池部を設置する際に、電池部を接着剤により前記緻密質
    基板に固着したことを特徴とする請求項1、2又は3の
    いずれかに記載の固体電解質燃料電池製造方法。
  5. 【請求項5】 中空の緻密質基板上の取付け穴位置に電
    池部を設置する際に、電池部と基板の嵌合部にガスシー
    ル膜を形成したことを特徴とする請求項1、2、3又は
    4のいずれかに記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
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