JP2728276B2 - 可塑化ポリ塩化ビニル混合物の製造方法 - Google Patents

可塑化ポリ塩化ビニル混合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、可塑化ポリ塩化ビニル混合物の製造方法に
関し、さらに詳しくはポリ塩化ビニルとエチレン共重合
体高分子可塑剤とを均一に混合する方法に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 フタル酸エステル等の液状可塑剤で可塑化されたポリ
塩化ビニルは、透明性、柔軟性に優れており広く使用さ
れているが、液状可塑剤が揮発したり、あるいは被接触
物に液状可塑剤が移行したりするため、剛性率が経時的
に変化したり、被接触物を汚染するなどの問題点があ
る。
このような問題点を改善するため、エチレン・酢酸ビ
ニル・一酸化炭素共重合体で代表されるエチレン共重合
体高分子可塑剤を塩化ビニルの可塑剤として用いる方法
が知られている。ところがこのようなエチレン共重合体
高分子可塑剤とポリ塩化ビニルとを均一に配合するため
には少なからず工夫を要している。すなわち、一度に両
者を混練した場合には、未溶融のポリ塩化ビニルが残存
し易いために、通常は、たとえば特開61−40326号公報
などに開示されているように多段で混練する方法が採用
されている。
しかしながらこのような方法は煩雑である上に、熱劣
化し易いポリ塩化ビニルを高温雰囲気下に長時間維持す
る結果となり、時として着色トラブルを起こすことがあ
った。
本発明者らはこのような現状を改善すべく、より簡単
にして効果的なポリ塩化ビニルとエチレン共重合体高分
子可塑剤との混合方法を開発するために鋭意検討した結
果、単軸押出機のような混練能力の低い混練装置を用い
ても、特定の条件下で塩化ビニルとエチレン共重合体高
分子可塑剤とを混練すれば、一段の混練操作で均一なポ
リ塩化ビニル混合物を製造しうる方法を見出すに至っ
た。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決
しようとするものであって、ポリ塩化ビニルとエチレン
共重合体高分子可塑剤とを非常に簡単なプロセスによっ
て均一に混合することができるような可塑化ポリ塩化ビ
ニル混合物の製造方法を提供することを目的としてい
る。
発明の概要 本発明に係る可塑化ポリ塩化ビニル混合物の製造方法
は、エチレン共重合体高分子可塑剤で可塑化されたポリ
塩化ビニル混合物を製造するに際して、該高分子可塑剤
の一部とポリ塩化ビニル粉末とを、ポリ塩化ビニル粉末
100重量部あたり、該高分子可塑剤3〜20重量部の割合
で、撹拌混合条件下、80〜150℃の範囲で、高分子可塑
剤のペレット形状が消失し、かつポリ塩化ビニルが粉末
状を維持するように予備混合した後、凝集防止または粉
砕のための機械力を加えながら冷却し、必要に応じ粉砕
操作を加えて得られる予備粉状混合物と、残部の高分子
可塑剤とを混練することを特徴としている。
発明の具体的説明 以下本発明に係る可塑化ポリ塩化ビニル混合物の製造
方法について具体的に説明する。
ポリ塩化ビニル 本発明ではポリ塩化ビニルとしては、塩化ビニル単独
重合体あるいは塩化ビニルと多の共単量体との共重合体
が用いられる。一般には塩化ビニル単独重合体であっ
て、その粒子表面に皮膜を有するものは、高分子可塑剤
と均一に混合させ難いが、本発明では、このような粒子
表面に皮膜を有する塩化ビニル単独重合体を特に好適に
用いることができる。
塩化ビニルと共重合する他の共単量体としては、エチ
レン、プロピレンのようなα−オレフィンあるいは酢酸
ビニル、アクリル酸エステル、アルキルビニルエーテ
ル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、スチ
レン、アクリロニトリルなどのビニル化合物またはビニ
リデン化合物などを例示することができる。このような
塩化ビニル共重合体はランダム共重合体であってもよ
く、またグラフト共重合体であってもよい。グラフト共
重合体の一例として、たとえばエチレン・酢酸ビニル共
重合体や熱可塑性ウレタン重合体を幹ポリマーとし、こ
れに塩化ビニルをグラフト重合したものをあげることが
できる。
本発明では、ポリ塩化ビニルは粉末状で用いられるこ
とが好ましく、粒径0.1〜1000μmのポリ塩化ビニルが
好ましく用いられる。
エチレン共重合体高分子可塑剤 本発明では、エチレン共重合体高分子可塑剤として
は、たとえばエチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合
体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭
素共重合体、酢酸ビニル含有量の多いエチレン・酢酸ビ
ニル共重合体などの例示することができる。上記のよう
なエチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体あるいは
エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共
重合体等では、通常、エチレンが40〜80重量%、好まし
くは60〜70重量%の量で、酢酸ビニルまた(メタ)アク
リル酸エステルが10〜60重量%、好ましくは20〜35重量
%の量で、一酸化炭素が5〜30重量%、好ましくは5〜
15重量%の量で存在していることが望ましい。上記共重
合体の共重合成分となりうる(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチルなどをあげることができる。
また上記のような酢酸ビニル含有量の多いエチレン・
酢酸ビニル共重合体では、エチレンが20〜60重量%、好
ましくは30〜50重量%の量で、酢酸ビニルが40〜80重量
%、好ましくは50〜70重量%程度の量で存在しているこ
とが望ましい。
量比 本発明では、エチレン共重合体高分子可塑剤は、ポリ
塩化ビニル100重量部に対し、40〜150重量部、とくに60
〜130重量部程度の量で混合される。すなわち本発明で
は、エチレン共重合体高分子可塑剤を少量ポリ塩化ビニ
ルに配合する場合には、本発明に係る方法を用いること
なく通常の一段混練で均一な混合物を得ることが可能で
あるため、とくに大きなメリットがあるとはいえない
が、エチレン共重合体高分子可塑剤をポリ塩化ビニルに
対して多量に配合する場合には、通常の一段混練では良
好な混合物が得られず、本発明に係る方法を採用するこ
とによって簡単なプロセスによって均一な混合物を得る
ことができる。
なお本発明では、可塑化ポリ塩化ビニル混合物中に少
量のフタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリ
エステル系可塑剤などの液状可塑剤をエチレン共重合体
高分子可塑剤とともに併用してよい。
混練方法 本発明においては先ず、エチレン共重合体高分子可塑
剤の一部とポリ塩化ビニルとを撹拌混合条件下、80〜15
0℃好ましくは100〜140℃の範囲で予備混合した後、冷
却し、必要に応じ粉砕操作を加えて予備粉状混合物を得
る。
この混合に用いられる装置としては、たとえばヘンシ
ェルミキサー、セントリヒューガルミキサー、スピード
ミュラなどを用いることができる。混合に際し、高分子
可塑剤はペレット状で用いることができるが、もちろん
予め粉砕して用いることもできる。たとえばヘンシェリ
ミキサーを用いる場合には、装置によっても異なるが、
周速60〜100m/分程度の回転力をかけながら高分子可塑
剤とポリ塩化ビニルとを撹拌混合していくと、摩擦力に
よって温度が徐々に上昇し、80〜150℃の温度に到達さ
せることができる。この予備混合段階は、エチレン共重
合体高分子可塑剤が溶融し、たとえばペレット状のエチ
レン共重合体高分子可塑剤を用いた場合には、ペレット
の形状が消失する程度の温度で行なわれることが好まし
く、このようにすると、エチレン共重合体高分子可塑剤
はおそらくポリ塩化ビニル粒子の表面をコーティングし
ているのであろうと考えられる。
このような予備混合段階の温度は、高分子可塑剤の種
類によっても異なるが、80〜150℃好ましくは100〜140
℃であることが望ましい。る。すなわち、温度が上記範
囲より低いと混合操作の効果が著者に現れず、後の混練
操作で均一な混合物を得ることが難かしい。また温度を
上記範囲より高くしても混合の効果が高まるわけではな
く、かえってポリ塩化ビニルが熱劣化するおそれがあり
好ましくない。
この予備混合操作においては、高分子可塑剤は、ポリ
塩化ビニル100重量部に対し、1〜40重量部、好ましく
は3〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部の量で
混合することが望ましい。この予備混合段階での高分子
可塑剤の混合量は、少量でも効果的であるのでとくに多
量に混合する必要はない。むしろ高分子可塑剤の混合割
合を増やしていくと、混合操作後の冷却の過程で塊状化
する傾向が増大し、粉砕操作が必要となってくるので上
記のような適度な混合割合にするのがよい。
この予備混合段階で他の添加剤を、本発明の予備混合
物中に配合することができる。配合可能な添加剤として
は、例えば亜鉛、カルシウム、バリウムなどの脂肪酸塩
で代表される安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、炭酸カルシ
ウム、シリカ、クレイなどの各種充填剤、着色剤、難燃
剤などがあり、これらは使用目的に応じ適宜配合され
る。これらの中では、とくに無機充填剤を少量、例えば
ポリ塩化ビニル100重量部に対し、0.1〜20重量部配合し
ておくと、混合の効率がよくなるので好ましい。
これら添加剤はもちろん後の混練時に配合することも
できる。
予備混合が終了した後は、得られた予備混合物を冷却
して予備粉末混合物を得る。予備混合操作時における高
分子可塑剤の使用量が多くなるにつれ塊状化傾向が大き
くなるので、冷却操作中に凝集防止または粉砕のための
機械力を加え、直接予備粉末混合物を得ることが好まし
い。しかしながら、冷却後、塊状物を含む混合物が得ら
れる場合には、これに粉砕操作を加えて予備粉末混合物
を得てもよい。この方法では、高分子可塑剤を大量に使
用しない限り、僅かの粉砕力で容易に粉末化させること
ができる。なお、ここで言う予備粉末混合物とは、混練
装置に供給可能な程度の粒度の粉末からなる混合物を意
味し、大きな塊状物がない限り、その粒径はいかなるも
のであってもよい。
このようにして得られた予備粉末混合物と残部の高分
子可塑剤とを、単軸押出機や二本ロールのような簡単な
装置で混練することにより、均一でかつブツのない混合
物を容易に得ることができる。
このようにして得られた混合物は、そのまま成形する
ことが可能であるが、もちろん、混練装置としてロール
ミキサー、バンバリミキサーや二軸押出機などを使用し
ても差支えない。
発明の効果 本発明によれば、混合操作を工夫するのみで、一段の
混練操作で均一な混合物を得ることができるという利点
があり、とくに押出成形に利用する場合に、従来法と比
較して簡便にして安価な成形を行うことができる。
実施例1 表1に示すような組成割合を有する配合物50kgを300
ヘンシェルミキサーに投入し、800min-1の回転数で混
合撹拌した。8分間撹拌した後、粉末混合物の温度を測
定したところ、撹拌熱により温度は105℃に上昇してい
た。この時、粉末混合物中のペレット状のエチレン/酢
酸ビニル/一酸化炭素共重合体はペレット状では存在し
ておらず、ペレットは消失し、ポリ塩化ビニルとほぼ均
一に混合していた。
このようにして得られた予備粉末混合物中のポリ塩化
ビニル粒子の表面状態を電子顕微鏡(500倍)にて観察
したところ、表面がエチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素
共重合体と推定される物質でコーティングされており、
原料ポリ塩化ビニル粒子の表面状態と明らかに異なるも
のであった。
次いで上記のようにして得られた予備粉末混合物をク
ーリングミキサーに移し、50min-1の回転数で30分間撹
拌し、予備粉末混合物を40℃まで冷却した。さらに、こ
の予備混合物にエチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素共重
合体29kg(65重量部)をさらに投入し、5分間50min-1
の回転数で撹拌混合した。得られた最終配合物を65mm単
軸押出機(L/D=24、ベント付圧縮比3.0)にて、押出し
た。この時の押出条件は、各バレル温度150℃、ダイ温
度160℃、スクリュー回転数60min-1であり、押出量は50
kg/Hrであった。このとき押出されたストランドの表面
は良好であった。
得られた溶融混合物を160℃で熱プレスして、厚み200
μmのプレスシートを得た。プレスシート中の直径50μ
m以上のゲル(未溶融のポリ塩化ビニル粒子)を顕微鏡
により計数したところ、150ヶ/cm2と少なかった。さら
にこのプレスシートをJIS−K−6723に従って機械的特
性を評価したところ、表−1の通りであり良好な物性値
を示した。
比較例1 実施例1と同じ配合物をヘンシェルミキサーにて、低
速60min-1にて10分間ブレンド(この時の混合温度は60
℃)した。この粉末混合物中のポリ塩化ビニル粒子の表
面状態を実施例1と同様に電子顕微鏡(500倍)にて観
察したところ、原料ポリ塩化ビニル粒子の表面状態と類
似しており、実施例1の状態とは明らかに異なってい
た。
次いで得られた粉末混合物中に、実施例1と同様にエ
チレン/酢酸ビニル/一酸化炭素重合体65重量部をさら
に投入し、さらに5分間ブレンドし、最終配合物を得
た。さらに、最終配合物を実施例1と同じ押出機で同一
条件にて押出した。押出されたストランドの外観は悪か
った。ゲルレベル、機械的特性も表−1の通り悪く、明
らかにポリ塩化ビニル粒子の分散不良と思われた。
比較例2 実施例1と同じ配合物をヘンシェルミキサーにて、80
0min-1の回転数で20分間混合撹拌した。撹拌終了後、混
合物の温度を測定したところ、170℃であった。実施例
1と同様に冷却後、エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素
共重合体65重量部を追加添加し、混合した後、65mm単軸
押出機にて押出した。押出されたストランドの表面は平
滑であったが、黄色に着色していた。この着色は、ヘン
シェルミキサーによるドライブレンド時に受けた熱履歴
が原因と考えられた。
比較例3 第1に示すような組成割合を有する配合物50kgを300
ヘンシェルミキサーに投入し、800min-1の回転数で混
合撹拌した。12分間撹拌した後、粉末混合物の温度を測
定したところ、撹拌熱により温度は125℃に上昇してい
た。この後内容物をクーリングミキサーに移し、50min
-1の回転数で30分間撹拌し、得られた粉末混合物を40℃
まで冷却した。さらにエチレン/酢酸ビニル/一酸化炭
素共重合体33kg(70重量部)を追加添加し、5分間50mi
n-1の回転数で撹拌混合した。
このように得られた最終配合物を実施例1と同じ65mm
単軸押出機にて、実施例1と同一条件にて押出した。こ
の時押出されたストランドの肌は平滑では無かった。ま
た、物性も表−1の通り悪かった。
実施例2 表1に示すような組成割合を有する配合物を300ヘ
ンシェルミキサーに50kg投入し、800min-1の回転数で10
分間混合撹拌した。得られた予備混合物の温度は、140
℃であった。一部ブロッキングをおこし、塊状となって
いたが、手で揉みほぐせば崩れる程度の塊まりであっ
た。このようにして手で揉みほぐして得られた予備粉末
混合物をクーリングミキサーに移し、50min-1の回転数
で30分間撹拌し、予備粉末混合物を40℃まで冷却した。
次いでこの予備粉末混合物にエチレン/酢酸ビニル/一
酸化炭素共重合体20kg(50重量部)をさらに投入し、5
分間50min-1の回転数で撹拌混合した。実施例1と同様
に最終配合物を65mm単軸押出機にて押出した。得られた
溶融混合物のプレスシートの透明性は良好であり、ゲル
数及び機械的特性も表−1の通り良好であった。
実施例3 表1に示すような組成割合を有する配合物50kgをヘン
シェルブレンダーにて実施例1と同様に800min-1の回転
数で13分間混合撹拌した。得られた予備粉末混合物温度
は150℃であった。この予備粉末混合物をクーリングミ
キサーで冷却した後、さらにエチレン/酢酸ビニル/一
酸化炭素共重合体38kg(90重量部)をさらに投入し、実
施例1と同様混合した。得られた最終配合物を65mm単軸
押出機にて押出したところ、表−1の通り良く混練され
た溶融混合物が得られた。
実施例4 実施例3において、エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭
素共重合体のかわりにエチレン/n−ブチルアクリレート
/一酸化炭素共重合体(n−ブチルアクリレート含有量
30%、一酸化炭素含有量10%、MFR 7dg/min)を用いた
以外は実施例3と同条件で処理した後、同じ押出機にて
同一条件で押出した。ストランドは良好であった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン共重合体高分子可塑剤で可塑化さ
    れたポリ塩化ビニル混合物を製造するに際して、該高分
    子可塑剤の一部とポリ塩化ビニル粉末とを、ポリ塩化ビ
    ニル粉末100重量部あたり、該高分子可塑剤3〜20重量
    部の割合で、撹拌混合条件下、80〜150℃の範囲で、高
    分子可塑剤のペレット形状が消失し、かつポリ塩化ビニ
    ルが粉末状を維持するように予備混合した後、凝集防止
    または粉砕のための機械力を加えながら冷却し、必要に
    応じ粉砕操作を加えて得られる予備粉状混合物と、残部
    の高分子可塑剤とを混練することを特徴とする可塑化ポ
    リ塩化ビニル混合物の製造方法。
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