JP2727327B2 - 焦電材料 - Google Patents

焦電材料

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JP2727327B2 JP63201634A JP20163488A JP2727327B2 JP 2727327 B2 JP2727327 B2 JP 2727327B2 JP 63201634 A JP63201634 A JP 63201634A JP 20163488 A JP20163488 A JP 20163488A JP 2727327 B2 JP2727327 B2 JP 2727327B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は大きな焦電係数を有するとともに、焦電係数
の温度特性が平坦な焦電材料に関する。
〔従来の技術〕
近年各種のセンサが開発され、実用に供されるように
なってきたが、その中で赤外線検出を行う焦電素子が知
られている。
焦電素子は焦電体を加工、分極して電極を取り付け、
受光可能な状態で支持台に取り付けたものである。焦電
体の表面に赤外線が照射されると温度が上昇し、表面に
電荷が現われる。従って、焦電体に外部電極を接続して
おけば電流を検出することができる。
焦電素子の性能は、温度変化に応じてその焦電体表面
上に発生する電荷の量により決まり、これは一般に焦電
係数pと言われている。すなわち、焦電材料の焦電係数
Pは以下の次式により表わされる。
(ただし、Psは自発分極、Tは温度) また焦電電流密度iは以下の式により表わされる。
従って、温度の時間変化に比例した電流が流れること
になる。
このような焦電材料として、PbZrO3−PbTiO3系におい
て、PbZrO3に近い組成のセラミックス(PZT)が提案さ
れている。この材料は、 室温より少し上(約50℃以上)に相転移温度があるこ
とにより、自発分極の温度係数、すなわち焦電係数が大
きく、 誘電率が余り大きくなく、焦電材料としての性能指数
が大きく、電気回路への整合性も良く、 相転移温度を超えても、分極処理効果が維持される 等の特徴を有する。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、PbZrO3−PbTiO3系において、PbZrO3
近い組成の焦電材料は、第5図に示すように、PbZrO3
PbTiO3とのいずれのモル比においても焦電係数が温度に
より著しく変化し、特に室温付近においては比較的小さ
い。従って、人体センサーのように室温付近で使用する
場合、高感度の焦電素子を作ることができないという問
題がある。そのため、焦電素子をヒータにより最適温度
まで加熱しながら使用しなけばならなかった。
従って、本発明の目的は大きな焦電係数を有するとと
もに、焦電係数の温度特性が平坦な焦電材料を提供する
ことを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、PbZrO3
−PbTiO3にPb(Mg1/3Nb2/3)O3を添加することにより優
れた焦電材料が得られることを発見し、本発明を完成し
た。
すなわち本発明の焦電材料はPbZrO340〜86モル%と、
PbTiO3モル4〜10%とPb(Mg1/3Nb2/3)O310〜50モル%
とからなることを特徴とする。
まず(1−x)PbZrO3−xPbTiO3系焦電材料におい
て、xが0.06〜0.10の範囲にある場合、50℃〜+150℃
の温度範囲において、大きな焦電係数を示す。
次にこの(1−x)PbZrO3−xPbTiO3系にPb(Mg1/3Nb
2/3)O3を、全体を100モル%として、10〜50モル%の割
合で添加する。Pb(Mg1/3Nb2/3)O3の添加量が増大する
につれて焦電材料のキューリー温度Tcが低下するととも
に、焦電係数pも低下する傾向を示す。しかし、焦電係
数pの温度変化の程度が小さくなり、特に室温付近の温
度範囲において全体的に焦電係数pを示すようになる。
これにより、温度変化が比較的大きな環境において赤外
線センサーとして使用するのに有効である。好ましい組
成範囲は、(1−x)PbZrO3−xPbTiO3系においてx=
0.06〜0.10であり、かつPb(Mg1/3Nb2/3)O3が35〜40モ
ル%である。なお本発明の焦電材料の組成範囲の三角グ
ラフを第1図に示す。
本発明のPbZrO3−PbTiO3−Pb(Mg1/3Nb2/3)O3系焦電
材料から所望の形状の焦電体を製造するには、種々の方
法を使用することができる。例えば特開昭60−84712号
に記載されているように、必要な成分の酸化物を所定の
割合で配合し、焼成、溶融、加工をすることにより一体
的な焦電体とすることができる。しかし、最近の焦電セ
ンサーの高性能化に伴ない、焦電体が薄膜化され、それ
に応じてRFスパッタリング法、マグネトロンスパッタリ
ング法、イオンビームスパッタリング法、イオンプレー
ティング法、電子ビース蒸着法、CVD法等の薄膜化技術
を使用するのが好ましい。
本発明の焦電材料を用いて焦電センサーを作成する場
合、白金、Si等の基板上に焦電体薄膜を形成し、その上
にAu、Al等で電極を形成する。焦電体薄膜の厚さは一般
に1〜10μm程度とするのが好ましい。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1 第2図の焦電センサーにおいて、AlO3基板1上に下部
Pt電極2をRFスパッタ法により形成し、下部電極2上
に、PbZr0.92Ti0.08O3とPb(Mg1/3Nb2/3)O3とを種々の
割合で含有する焦電体薄膜3を5μmの厚さに形成し
た。ついで上部Pt電極4をRFスパッタ法より形成した。
このようにして得られた焦電センサーを用いて、30℃
において焦電係数pを測定した。結果を第3図に示す。
なお第3図に焦電材料のキューリー温度Tcもあわせて示
す。
第3図から明らかな通り、Pb(Mg 1/3Nb 2/3)O3が35
〜40モル%の範囲において約50(×10-9C/cm2・℃)以
上の焦電係数pを有する。
実施例2 実施例1と同じ焦電センサにおいて、本発明の代表的
組成である(1−x)PbZr0.92Ti0.08O3・xPb(Mg1/3Nb
2/3)O3の焦電体について、温度と焦電係数との関係を
求めた。結果を第4図に示す。
第4図から明らかな通り、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3が35〜
40モル%の範囲の場合、25〜80℃の広い範囲において、
特に室温付近において十分に高い焦電係数pを有する。
〔発明の効果〕
以上に詳述した通り、本発明の焦電材料はPbZrO3−Pb
TiO3系にPb(Mg1/3Nb2/3)O3を添加したものであるの
で、広い温度範囲にわたって、特に室温付近において、
十分に高い焦電係数を有する。
このように焦電係数の温度特性が改善された焦電材料
を用いた焦電型赤外線センサーは、室温付近で使用され
る人体検出センサー、非接触温度センサー等に広く利用
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の焦電材料の組成を示す三角グラフであ
り、 第2図は焦電センサーの一例を示す断面図であり、 第3図はPb(Mg1/3Nb2/3)O3の添加量(モル%)と焦電
係数pとの関係を示すグラフであり、 第4図は本発明の焦電材料の焦電係数の温度依存性を示
すグラフであり、 第5図は(1−x)PbZrO3−xPbTiO3系焦電材料の焦電
係数の温度依存性を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】PbZrO340〜86モル%と、PbTiO34〜10モル
    %と、Pb(Mg1/3Nb2/3)O310〜50モル%とからなる焦電
    材料。
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