JP2727052B2 - スタフィロコックス属細菌由来のコアグラーゼ型の検査方法及びそのためのキット - Google Patents

スタフィロコックス属細菌由来のコアグラーゼ型の検査方法及びそのためのキット

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スタフィロコックス属
細菌が産生するコアグラーゼの型を検査するための方法
及びそのためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】コアグラーゼは黄色ブドウ球菌やスタフ
ィロコックス・インターメディウス等のスタフィロコッ
クス属細菌が産生する分子量7万前後の単純タンパク質
で、ヒトやウサギ等の哺乳動物の血漿を凝固する作用が
ある。現在、ブドウ球菌は30菌種知られているが、コ
アグラーゼを産生する主な菌種は黄色ブドウ球菌、スタ
フィロコックス・インターメディウス等であり、これら
の菌種の同定にはコアグラーゼの産生の有無が重要な因
子となっている。さらに、このコアグラーゼは抗原性の
違いがあることが証明されており、黄色ブドウ球菌およ
びスタフィロコックス・インターメディウスが産生する
コアグラーゼを抗原性の違いによって、黄色ブドウ球菌
のコアグラーゼは8つの型、スタフィロコックス・イン
ターメディウスのコアグラーゼは3つまたはそれ以上の
型に型別することが可能である。コアグラーゼの型を判
定することは、食中毒の原因となるこれらの細菌の疫学
的調査に必須である。コアグラーゼの型を判別する方法
としては、黄色ブドウ球菌およびスタフィロコックス・
インターメディウスをBHI(brain heart infusion)
液体培地またはウサギ血漿加BHI液体培地で培養す
る。黄色ブドウ球菌の場合は、培養を9本の小試験管に
0.1mlずつ分注し、この培養液に含まれているコア
グラーゼを各コアグラーゼ型の標準になるリファレンス
菌株の産生するコアグラーゼを部分精製または精製し
て、ウサギまたはヒツジに免疫して作製した各コアグラ
ーゼに対する型特異抗血清または各型特異抗血清を精製
して作製した免疫グロブリンを任意に希釈した各型の型
特異血清または型特異免疫グロブリン溶液を0.1ml
注加し、37℃、1時間反応して黄色ブドウ球菌が産生
するコアグラーゼを中和する。中和反応後、10%ウサ
ギ血漿溶液を0.2mlずつ注加し、37℃に放置し、
血漿の凝固の有無を小試験管を傾けて判定し、9本の小
試験管の中で1本だけ凝固しなくなるまで1、2、4、
6、24、48時間観察を続ける。この1本だけ凝固し
ない小試験管に注加した型特異抗血清または型特異免疫
グロブリンのコアグラーゼ型が、供試した黄色ブドウ球
菌のコアグラーゼ型である。スタフィロコックス・イン
ターメディウスのコアグラーゼ型別についてもスタフィ
ロコックス・インターメディウスに対する型特異抗血清
または型特異免疫グロブリンを用いて、黄色ブドウ球菌
のコアグラーゼ型別法と同様に実施する。
【0003】しかし、この方法は供試する黄色ブドウ球
菌およびスタフィロコックス・インターメディウスのコ
アグラーゼ産生性が一定していないために、コアグラー
ゼ型が決定するまでに、凝固の有無の確認を経時的に何
回も観察をしなけければならない欠点がある。また、観
察の途中でコアグラーゼ型別用の小試験管9本またはス
タフィロコックス・インターメディウスのコアグラーゼ
型別用の小試験管が全て凝固してしまうこともしばしば
ある。特に、コアグラーゼの産生量の少ない菌株では型
別不能のことがある。
【0004】これらの理由により、この黄色ブドウ球菌
およびスタフィロコックス・インターメディウスが産生
するコアグラーゼの抗原性の違いを用いたコアグラーゼ
型別法は、わが国では黄色ブドウ球菌の型別法として、
黄色ブドウ球菌の疫学的調査・研究に広く利用されてい
るが、残念ながら全世界的な黄色ブドウ球菌の型別法と
して利用されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、正確にかつ、上記した従来法に比べて簡易、迅速に
コアグラーゼ型の判別を行うことができる、コアグラー
ゼ型の検査方法及びそのためのキットを提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意研
究の結果、コアグラーゼによる血漿凝固反応の場に凝集
性粒子を共存させ、従来法のように血漿の凝固を観察す
るのではなく、該凝集性粒子の凝集の有無を観察するこ
とにより、上記目的を達成することができることを見出
し本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、スタフィロコックス
属細菌が産生するコアグラーゼに対する特異抗血清又は
特異免疫グロブリンと、スタフィロコックス属細菌が産
生するコアグラーゼを含む検体とを反応させ、次いでこ
の反応液に、血漿と、凝集性粒子とを加え、該凝集性粒
子が凝集するか否かを観察することにより、前記コアグ
ラーゼの型を検査する方法を提供する。また、本発明
は、スタフィロコックス属細菌が産生するコアグラーゼ
に対する特異抗血清又は特異免疫グロブリンをウェルの
内壁に乾燥状で保持するマイクロタイタープレートと、
血漿と、凝集性粒子とを包含する、記本発明の方法を実
施するためのキットを提供する。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の方法に供される検体は、黄色ブド
ウ球菌やスタフィロコックス・インターメディウス等の
スタフィロコックス属細菌が産生するコアグラーゼを含
む可能性のあるいかなるものであってもよく、従来と同
様、各種臨床検査材料、食中毒由来検査材料、食品由来
検査材料及び病院内等の環境由来検査材料等を挙げるこ
とができる。
【0010】これらの検査材料は、そのまま検体として
本発明の方法に供することも可能であるが、コアグラー
ゼの量を増やすために、これらの検査材料中に含まれる
スタフィロコックス属細菌を培養し、その培養上清を検
体として用いることが好ましい。培養は、従来と同様、
通常のBHI液体培地上で行ってもよいが、菌のコアグ
ラーゼ産生能を高めるため、BHI液体培地にウシ・プ
ロトロンビンを添加した培地を用いることが好ましい。
この場合、添加するウシ・プロトロンビンの濃度は0.
2ないし1.0重量%程度が好ましい。
【0011】本発明の方法では、上述のように、各型の
コアグラーゼに対する特異抗血清又は特異免疫グロブリ
ンが用いられる。特異抗血清又は特異免疫グロブリン
は、各型のコアグラーゼを動物に免疫し、該動物から抗
血清を分離することにより、あるいは、該動物から常法
により抗コアグラーゼポリクローナル抗体又は抗コアグ
ラーゼモノクローナル抗体を調製することにより得るこ
とができる。
【0012】動物に免疫されるコアグラーゼとしては、
コアグラーゼ型別法の標準菌株である各コアグラーゼ型
のリファレンス菌株の培養上清から精製される天然型コ
アグラーゼまたは組換えDNA技術によって製造される
遺伝子組換え型コアグラーゼあるいはそれらと実質的に
同等の活性を有するものいずれもが使用できる。特に、
各型のコアグラーゼ抗血清を作製するために、黄色ブド
ウ球菌およびスタフィロコックス・インターメディウス
等が産生するコアグラーゼをイオン交換クロマトグラフ
ィー、クロマトフォーカシング、ゲル濾過、アフィニテ
ィークロマトグラフィーなど、あるいはそれらを組み合
わせて部分精製や高度に精製し、抗血清を作製するため
動物を免疫するための抗原として用いることができる。
【0013】あるいは、このような抗原を免疫原として
用いて得られた抗血清から精製されるポリクローナル抗
体又は黄色ブドウ球菌およびスタフィロコックス・イン
ターメディウスが産生するコアグラーゼにより免疫され
た動物から取り出された抗体産生細胞をミエローマ細胞
等の増殖細胞と融合せしめ、得られた融合細胞から産生
されるモノクローナル抗体のいずれもが使用できる。こ
の様にして得られる各種抗体のうち、抗原に対して特異
性が高くかつ親和性が高く、非特異反応を起こさないも
のを選択することにより、高感度で、簡易・迅速に黄色
ブドウ球菌およびスタフィロコックス・インターメディ
ウス等が産生するコアグラーゼを型別することができ
る。以下、本発明の方法に用いられるポリクローナル抗
体及びモノクローナル抗体をさらに詳細に説明する。
【0014】(1)ポリクローナル抗体 スタフィロコックス属細菌が産生するコアグラーゼに対
するポリクローナル抗体は、ヒト以外の動物、例えばウ
サギ、ヤギ、ヒツジなどの種々の動物に抗原となる黄色
ブドウ球菌又はスタフィロコックス・インターメディウ
ス等が産生するコアグラーゼを免疫して得られる抗血清
を材料として塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ア
フィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過など種々の
手段で精製することにより得ることができる。抗原で動
物を免疫するにあたっては一定期間をおいて複数回免疫
してもよい。免疫に用いることができる抗原としては、
上述のように、黄色ブドウ球菌およびスタフィロコック
ス・インターメディウス由来天然型コアグラーゼおよび
組換えDNA技術によって製造された遺伝子組換え型コ
アグラーゼのいずれもが使用できる。
【0015】(2)モノクローナル抗体 黄色ブドウ球菌およびスタフィロコックス・インターメ
ディウス等が産生するコアグラーゼに対するモノクロー
ナル抗体は、常法に従い抗原として黄色ブドウ球菌およ
びスタフィロコックス・インターメディウス等が産生す
るコアグラーゼを用いて作製することができる。例え
ば、マウス等の適当な動物を黄色ブドウ球菌およびスタ
フィロコックス・インターメディウス等が産生するコア
グラーゼで免疫した後、その動物の脾臓細胞をミエロー
マ細胞と融合することで得られるハイブリドーマの中か
ら免疫したコアグラーゼに特異的に結合する抗体を産生
するクローンをELISA等の手法を用いて選択する。
次に、得られたハイブリドーマを培養し、その培養上清
またはハイブリドーマをマウス等の適当な動物に接種し
て得られる腹水を材料として、モノクローナル抗体を種
々の手段で精製することにより得ることができる。黄色
ブドウ球菌およびスタフィロコックス・インターメディ
ウス等が産生するコアグラーゼの血漿凝固作用をグルタ
ールアルデヒド固定ヒツジ赤血球による凝集反応および
/または凝集法で判定するのにモノクローナル抗体を利
用する場合は、性質の異なるモノクローナル抗体を組み
合わせて用いることが好ましい。
【0016】上記したコアグラーゼに対する特異抗血清
又は特異免疫グロブリンは、遊離の状態で用いることも
できるが、固相に不動化して用いることが操作上便利で
あり好ましい。固相としては、マイクロタイタープレー
トのウェルの内壁が特に好ましい。抗血清又は免疫グロ
ブリンは、これをウェルの中に入れ、乾燥することによ
り容易に不動化することができる。免疫グロブリンの場
合には、免疫グロブリンを含む緩衝液をウェルに入れ、
乾燥させることにより固相への不動化を行うことができ
る。この場合の免疫グロブリン溶液中の免疫グロブリン
の濃度は特に限定されず、所望の免疫グロブリン量とす
ることができるが、通常0.1〜2重量%程度の溶液を
用いることができる。また、抗血清の場合、希釈せずに
そのままウェルに入れて乾燥させることもできるし、緩
衝液で所望の濃度に希釈した後ウェルに入れて乾燥させ
ることもできる。
【0017】次いで、上記特異抗血清又は免疫グロブリ
ンと、検体とを反応させる。反応は、30〜37℃で1
〜2時間程度行うことが好ましい。なお、検体として
は、上述のように、検査材料中に含まれるスタフィロコ
ックス属細菌の培養上清が好ましい。この場合、培養上
清は希釈せずに検体とすることもできるし、緩衝液で任
意の倍率に希釈してもよい。
【0018】上記の反応後、血漿と凝集性粒子とを反応
液に加える。
【0019】ここで、血漿としては、哺乳動物の血漿を
用いることができ、動物種は特に限定されず、例えば入
手が容易なウサギの血漿を用いることができる。血漿
は、必ずしも限定されないが、保存性を高めるために乾
燥されたものを用いることが好ましい。加える血漿の量
は、特に限定されないが、終濃度で5〜20重量%程度
が好ましい。
【0020】ここで用いられる凝集性粒子としては、免
疫凝集法において用いられている凝集性粒子を採用する
ことができ、赤血球、ラテックス粒子及びゼラチン粒子
等を挙げることができる。これらのうち、赤血球が好ま
しい。この場合、試薬の保存性を高めるために、赤血球
を常法に基づき固定することが好ましい。固定は、特に
限定されないが、赤血球を常法に従いグルタルアルデヒ
ドで処理することにより行うことができる。また、凝集
性粒子の非特異的凝集を防止するために、凝集性粒子を
常法によりエタノールアミン等で処理しておくことが好
ましい。なお、加える凝集性粒子の量は、特に限定され
ないが、終濃度で0.2〜2重量%程度が好ましい。
【0021】なお、上記血漿及び凝集性粒子を含む緩衝
液を別個に調製し、これを前記反応液に加えてもよい
が、血漿と凝集性粒子とを含む緩衝液を調製し、これを
前記反応液に加えてもよい。
【0022】黄色ブドウ球菌およびスタフィロコックス
・インターメディウスはコアグラーゼの外にスタフィロ
キナーゼを産生している。これは血漿中のプラスミノー
ゲンを活性化してプラスミン様の活性を有する物質に変
え、コアグラーゼで形成されたフィブリンを分解し可溶
化する。そのため一度できた血漿凝固物が溶解する。こ
のスタフィロキナーゼを不活化する目的で、上記反応液
に6ーアミノーnーカプロン酸を添加することが好まし
い。6−アミノ−n−カプロン酸は、反応液中の終濃度
が0.2〜1%程度になるように添加することが好まし
い。もちろん、6−アミノ−n−カプロン酸も上述した
血漿と凝集性粒子とを含む液に予め加えていてもよい。
【0023】血漿と凝集性粒子とを加え、反応させる。
反応は、30〜37℃で2〜4時間程度行うことが好ま
しい。
【0024】この反応後、凝集性粒子が凝集したか否か
を観察する。なお、凝集性粒子が凝集したか否かは、凝
集像を観察することにより明瞭に判定できる。従来の方
法では、血漿が凝固したか否かを観察していたのでより
不明瞭であり、小試験管を傾斜して慎重に判定しなけれ
ばならなかった。この点においても、本発明の方法は、
従来の方法よりも簡便、迅速である。
【0025】もし、検体に含まれるコアグラーゼの型
が、用いた特異抗血清又は特異免疫グロブリンの対応コ
アグラーゼの型と同じである場合には、検体中のコアグ
ラーゼと用いた特異抗血清又は特異免疫グロブリンとの
抗原抗体反応により検体中のコアグラーゼが消費され、
血漿は凝固せず、凝集性粒子は凝集せずに沈殿する。逆
に、検体に含まれるコアグラーゼの型が、用いた特異抗
血清又は特異免疫グロブリンの対応コアグラーゼの型と
異なる場合には、検体中のコアグラーゼと用いた特異抗
血清又は特異免疫グロブリンとの抗原抗体反応により検
体中のコアグラーゼがほとんど消費されないので、血漿
が凝固し、凝集性粒子は凝固した血漿中に不動化され、
あたかも血液凝集反応が起きたような外観を呈する。本
願明細書において、凝集性粒子の「凝集」とは、該粒子
が凝固した血漿の中に不動化されてあたかも血液凝集反
応が起きたような外観を呈することを意昧する。従っ
て、例えば黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型を検査する
場合には、8種類の型のコアグラーゼのそれぞれについ
て特異抗血清又は特異免疫グロブリンを作製し、これら
を用いて、それぞれ同一条件で上記のように検体と反応
させる。8種類の反応液のうち、凝集性粒子が凝集しな
いものが1つだけあれば、それに用いた抗血清又は免疫
グロブリンの対応コアグラーゼ型が検体中のコアグラー
ゼの型である。全ての種類の反応液で凝集が観察された
場合には、コアグラーゼの量が多いので、検体を希釈し
て再び同じ操作を行い、凝集が観察されない反応液が1
種類に絞られるまで行う。逆に、全てが凝集しない場合
はコアグラーゼ産生が少ないので、コアグラーゼ産生の
多いコロニーを選んで、同様な操作を繰り返して行う。
このようにしてコアグラーゼ型別は3〜4時間でおこな
うことが可能になった。
【0026】本発明はまた、上記本発明の方法を実施す
るためのキットを提供する。すなわち、スタフィロコッ
クス属細菌が産生するコアグラーゼに対する特異抗血清
又は特異免疫グロブリンをウェルの内壁に乾燥状態で保
持するマイクロタイタープレートと、血漿と、凝集性粒
子とを包含するキットを提供する。この場合、上述のよ
うに、血漿と凝集性粒子とは単一の緩衝液中に含まれて
いてもよく、これに上述のように、6−アミノ−n−カ
プロン酸を加えてもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来法に比べて
簡易、迅速に検体中のコアグラーゼの型が判別できるよ
うになった。
【0028】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をより具体的に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0029】実施例1 (1)ウシ・プロトロンビン・セファローズアフィニテ
ィーカラムの調製 精製ウシ・プロトロンビンをカップリング緩衝液に1m
g/mlの濃度に溶解した。この溶液とCNBr活性化
セファローズ4Bを25℃、3時間反応させウシ・プロ
スロンビンとセファローズをカップリングした。洗浄
後、エタノールアミンでフリーの活性基を不活化し、さ
らに洗浄した。このウシ・プロスロンビンーセファロー
ズをカラムに充填し、アフィニティーカラムを調製し
た。このアフィニティーカラムを用いて黄色ブドウ球菌
およびスタフィロコックス・インターメディウスが産生
するコアグラーゼの精製を行った。
【0030】(2)黄色ブドウ球菌およびスタフィロコ
ックス・インターメディウスが産生するコアグラーゼの
精製 コアグラーゼ型別のための各型の標準コアグラーゼを産
生するリファレンス株の黄色ブドウ球菌およびスタフィ
ロコックス・インターメディウスが産生するコアグラー
ゼの1つであるコアグラーゼII型の黄色ブドウ球菌が産
生するコアグラーゼの精製方法を以下に示す。コアグラ
ーゼII型の黄色ブドウ球菌の培養上清1, 500mlに
最終濃度1MになるようにNaCl添加し、pH7. 4
に修正後、ウシ・プロスロンビンーセファローズを加え
て、バッチ法でコアグラーゼを吸着後、緩衝液で洗浄し
た。このコアグラーゼ吸着したウシ・プロスロンビンー
セファローズをカラムに充填した。このアフィニティー
カラムに1MーNaSCN溶液を流してコアグラーゼを
溶離した。次にこの画分からNaSCNを除去するため
にセファデックスG−25カラムを用いてコアグラーゼ
を精製した。
【0031】(3)黄色ブドウ球菌およびスタフィロコ
ックス・インターメディウスが産生するコアグラーゼポ
リクローナル抗体の作製および精製 (1)で精製した精製コアグラーゼII型のコアグラーゼ
を用いて抗コアグラーゼII型ポリクローナル抗体を以下
の方法に従って作製した。日本在来種白色ウサギを精製
II型コアグラーゼ・フロインド完全アジュバント混合物
で免疫した。免疫量(精製II型コアグラーゼ量)および
免疫期間は一回目25μg,1週間後50μg,2週間
後100μg、3週間後100μg、5週間後100μ
gで行い、7週間後に心臓から採血した。この様にして
得られた血清からの型特異免疫グロブリンの精製は以下
のように行った。(1)と同様な方法で得られた精製II
型コアグラーゼを常法に従ってCNBr活性化セファロ
ーズ4Bに固定化したII型コアグラーゼ固定化アフィニ
ティーカラムを作製した。精製II型コアグラーゼをウサ
ギに免疫して作製した抗II型コアグラーゼ血清をこのア
フィニティーカラムを用いて精製した。この精製抗II型
コアグラーゼ血清はII型コアグラーゼ以外のコアグラー
ゼとは全く反応性は認められず、コアグラーゼII型の型
特異抗血清とする。コアグラーゼII型以外の型特異抗血
清についても全く同様な方法で作製した。
【0032】(4)各型の型特異抗血清を乾燥状態で含
むマイクロタイター用トレーの作製 最終濃度が任意の使用濃度(20倍〜320倍希釈)に
なるように希釈された各型の型特異抗血清をマイクロタ
イター用トレーに添加し、乾燥した。乾燥後シールして
保存した。
【0033】(5)黄色ブドウ球菌およびスタフィロコ
ックス・インターメディウスのコアグラーゼ産生性を増
強するためのコアグラーゼ産生用専用培地の作製 黄色ブドウ球菌およびスタフィロコックス・インターメ
ディウスが産生するコアグラーゼを増強するため、BH
I(Brain Heart Infusion)液体
培地にウシ・プロスロンビンを0.5重量%に添加した
コアグラーゼ産生用専用培地を使用した。この培地の使
用によりコアグラーゼ産生能の低い菌株のコアグラーゼ
型別が可能となる。
【0034】(6)グルタールアルデヒド固定ヒツジ赤
血球加ウサギ血漿溶液の作製 ウサギ乾燥血漿を5倍希釈の濃度で緩衝液に溶解した。
これにグルタールアルデヒド固定ヒツジ赤血球を0.5
%の濃度で加え、さらに6−アミノ−n−カプロン酸を
0.6%の濃度で加え、グルタールアルデヒド固定ヒツ
ジ赤血球加ウサギ血漿溶液を作製した。なお、グルター
ルアルデヒド固定ヒツジ赤血球は、エタノールアミンで
処理したものを用いた。
【0035】(7)コアグラーゼの検出感度の検討 精製II型コアグラーゼを200ng/mlから0.2n
g/mlまで2倍連続希釈して、11段階の希釈系列を
作った。型特異抗血清を含まないマイクロタイター用プ
レートのウェルに各希釈系列から100μlずつ注加
し、11段階の希釈系列を作った。12段階目の5ウェ
ルに、この方法で使用する緩衝液100μlを注加し
た。この希釈系列の穴にグルタールアルデヒド固定ヒツ
ジ赤血球加ウサギ血漿溶液をそれぞれ100μlずつ注
加した。十分に撹拌後、37℃、3時間放置後の凝集像
を判読した。グルタールアルデヒド固定ヒツジ赤血球の
凝集が陰性を示した一つ前の希釈倍数がこの方法のコア
グラーゼの最小検出量である。結果を表1に示す。表1
からわかるように、最小検出量は、おおよそ10ng/
mlであった。
【0036】
【表1】
【0037】(8)検出感度の検討(その2、培養方法
の比較) 上記(7)と同様な検出感度試験を、上記(5)の培地
又は従来のBHI液体培地で培養した菌の培養液の上清
を用いて行った。菌としては、黄色ブドウ球菌のレファ
レンス株であるNo. 104 (I型)、同St.-213 (II
型)、同Newman(III 型)及び同Stp.-28 (IV型)を用
いて行った。培養は37℃、20〜24時間行い、遠心
は3000rpmで30分行った。反応は上記(7)と
同様に行った。結果を下記表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】(9)コアグラーゼ型の判定 黄色ブドウ球菌の各コアグラーゼ型を産生するリファレ
ンス株(I型:No.104,II型:St.−213,
III 型:Newman,IV型:Stp.−28,V型:
No.55,VI型:Stp.12,VII 型:St.−1
125,VIII型:KU)をそれぞれ(5)のコアグラー
ゼ産生用専用培地に接種し、37℃、20〜24時間培
養後、3000rpm、30分で遠沈し、その上清を
(4)の各コアグラーゼ型の型特異抗血清を乾燥状態で
含むマイクロタイター用トレーの8つのウェルに100
μlずつ注加し、プレートミキサーで十分攪拌してから
37℃、1時間放置した。次いで、全てのウェルに
(6)のグルタールアルデヒド固定ヒツジ赤血球加ウサ
ギ血漿溶液を100μl注加し、プレートミキサーで十
分攪拌してから37℃、3時間放置した。3時間放置後
のマイクロタイター用トレーの下に白紙を置き、肉眼で
血球の沈降像を観察することにより凝集の有無を肉眼で
判定した。ボタン状に血球の沈降が見られた場合には、
反応は陽性である。結果を下記表3に示す。
【0040】
【表3】 ー:グルタールアルデヒド固定ヒツジ赤血球凝集反応陰
性を示し、抗コアグラーゼ血清で中和されたことを意味
する。 +:グルタールアルデヒド固定ヒツジ赤血球凝集反応陽
性を示し、抗コアグラーゼ血清で中和されないことを意
味する。
【0041】表3から明らかなように、各菌株につい
て、凝集が観察されなかったウェルが1つずつだけ存在
した。凝集が観察されなかったウェルに固相化された特
異抗血清は、その菌株の産生する型のコアグラーゼを免
疫原として作製したものであり、本発明の方法で判定さ
れた型と、実際に試験に供した菌株が産生するコアグラ
ーゼの型が一致した。
【0042】実施例2 実施例1記載の方法により、臨床検査材料由来黄色ブド
ウ球菌50株およびブドウ球菌食中毒由来黄色ブドウ球
菌50株について、各株の産生するコアグラーゼの型を
判定した。一方、従来法によってもコアグラーゼの型を
判定した。結果を下記表4に示す。
【0043】
【表4】 *従来法は24時間まで観察した成績

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スタフィロコックス属細菌が産生するコ
    アグラーゼに対する特異抗血清又は特異免疫グロブリン
    と、スタフィロコックス属細菌が産生するコアグラーゼ
    を含む検体とを反応させ、次いでこの反応液に、血漿
    と、凝集性粒子とを加え、該凝集性粒子が凝集するか否
    かを観察することにより、前記コアグラーゼの型を検査
    する方法。
  2. 【請求項2】 前記特異抗血清又は特異免疫グロブリン
    は、固相に不動化されている請求項2記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記固相はマイクロタイタープレートの
    ウェルの内壁であり、前記特異抗血清又は特異免疫グロ
    ブリンは該内壁上に乾燥状態で保持され、前記検体、血
    漿及び凝集性粒子を前記ウェルの中で反応させる請求項
    2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記凝集性粒子は固定赤血球である請求
    項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 スタフィロコックス属細菌が産生するコ
    アグラーゼに対する特異抗血清又は特異免疫グロブリン
    をウェルの内壁に乾燥状態で保持するマイクロタイター
    プレートと、血漿と、凝集性粒子とを包含する、請求項
    1記載の方法を行うためのキット。
  6. 【請求項6】 前記凝集性粒子は固定赤血球である請求
    項5記載のキット。
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