JP2722999B2 - サンプルガス濃縮装置、並びにこれを用いたサンプルガス自動分析装置 - Google Patents

サンプルガス濃縮装置、並びにこれを用いたサンプルガス自動分析装置

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JP2722999B2 JP5178170A JP17817093A JP2722999B2 JP 2722999 B2 JP2722999 B2 JP 2722999B2 JP 5178170 A JP5178170 A JP 5178170A JP 17817093 A JP17817093 A JP 17817093A JP 2722999 B2 JP2722999 B2 JP 2722999B2
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスクロマトグラフィ
による化学分析に供するサンプルガスを濃縮するサンプ
ルガス濃縮装置に関する。詳しくは、内燃機関等から排
出される排気をサンプルガスとするような低濃度のサン
プルガスについて分析を行う場合に、当該低濃度のサン
プルガスを濃縮して後に分析を行うことにより、その分
析精度を向上させるために使用するサンプルガスの濃縮
装置に関する。
【0002】さらに、当該サンプルガス濃縮装置を用い
ることで、自動的にサンプルガスの化学分析を行なうこ
とができるサンプルガス自動分析装置に関する。
【0003】
【従来の技術】内燃機関から排出される排気中の有害成
分(特にHC、NOx)が大気中に放出されると、光化
学反応によりオゾンが生成されるため、光化学スモッグ
(大気汚染)の原因となる。したがって、従来より、当
該有害成分の排出を低減するために種々の研究がなされ
てきている。
【0004】しかしながら、現状では、前記有害成分を
排気中から完全に除去することは困難で、多少なりとも
大気中への排出が避けられないのが実情である。例え
ば、NOxを還元し、CO、HCを酸化させることで、
これら有害成分を浄化することができる三元触媒を排気
通路に設置し、当該三元触媒により排気中の有害成分を
浄化することが、有効な手段として現在実用化されてい
る。しかしながら、該三元触媒を正常に作用させるため
には、空燃比を理論空燃比近傍に厳密に制御する必要が
あるため、理論空燃比から外れた場合(過渡運転時等)
には、排気浄化効率が低下し排気有害成分が浄化されず
に排出されてしまうことがある。また、触媒自体が活性
化温度に至らない状態で機関が運転される場合や、触媒
自体が劣化してしまった場合にも、排気有害成分が浄化
されずに排出されることになる。
【0005】ところで、前記内燃機関から排出されるH
Cにあっては、その成分が非常に多種多様(現在計測で
きている化学種としては約150種に及んでいる。)で
あり、その成分毎に前記光化学反応性が異なることが知
られてきている(例えば、概略にはアルカン系HCは光
化学反応性が低く、アルケン系,アロマティック系HC
は光化学反応性が比較的高く、またホルムアルデヒド等
のアルデヒド・ケトン類もオゾン生成に影響する)。
【0006】ここで、内燃機関から排出される排気中の
有機化学種について説明するが、図7に示すように、当
該有機化学種は炭化水素と含酸素有機化合物とに大別さ
れる。炭化水素(HC)は、炭素(C)と水素(H)の
化合物であるのに対し、含酸素有機化合物は、炭素
(C)と水素(H)の他に酸素(O)を構成成分に含む
化合物である。
【0007】炭化水素は、更に、一重結合の炭素で構成
されるアルカン系、炭素の二重結合をもつアルケン系、
三重結合をもつアルキン系の他に、ベンゼンを基本形状
とするアロマティック系の4種に大別される。アルカン
系(パラフィン系)は、メタン,エタン等の直鎖型や樹
枝型の他にシンクロヘキサン等の環状型があり、排気化
学種の約50種はこのアルカン系炭化水素である。アル
ケン系は、エテン(エチレン),プロペン(プロピレ
ン)等、また、アルキン系は、エチン(アセチレン)
等、総計(オレフィン系として)約40種の化学種から
なる。また、アロマティック系は、ベンゼン,トルエ
ン,キシレン等の約30種の化学種からなる。
【0008】一方、含酸素有機化合物には、OH基を有
するアルコール類(メタノール,エタノール等),CH
O基を有するアルデヒド類(ホルムアルデヒド,アセト
アルデヒド等),ケトン類(アセトン等),及びエーテ
ル類(エチルエーテル,MTBE等)からなる。したが
って、従来のように、前記内燃機関から排出される炭化
水素(HC)の排出量を、全種類のHCを全て含んだ総
量として水素炎イオン化計測器(Hydrogen Flame Ioniz
ation Analyzer、略してFIAと言う。)を用いて計測
し、該総量に基づいて排出量を規制していたのでは、例
え総量が同じであっても、光化学反応性の低いアルカン
系HCの排出量が少なく、光化学反応性の比較的高いア
ルケン系,アロマティック系HCの排出量が多い機関
と、その逆に前記アルカン系HCの排出量が多く、前記
アルケン系,アロマティック系HCの排出が少ない機関
と、では大気汚染(オゾン生成)への影響度合いが大き
く異なることになる。
【0009】そこで、米国環境保護庁(EPA)やカリ
フォルニア州大気資源局(CARB)等では、前記HC
をその化学種毎に計測し、化学種毎に前記光化学反応性
を考慮した重み付け処理を行って、より厳密に前記HC
の排出量を規制することで、効果的に大気汚染の拡大を
防止することを提案し、また、図9(A)〜図9(C)
に示すような化学種毎にHCの排出量を検出できるガス
クロマトブラフィ−水素炎イオン化検出器(Gas Chroma
tograph − Flame Ionization Detector、略してGC−
FIDと言う。)を利用した分析装置についての提案も
行っている(自動車技術会発行 自動車技術 1991年Vo
l.45,No.11参照) 。
【0010】ここで、前記水素炎イオン化計測器(FI
D)は、水素炎の中にHCを導入すると、高温の炎のエ
ネルギによりHCがイオン化され、該イオン化により炎
内の電気伝導度に変化が生じるため、前記炎を挟んで電
極を設け、該電極間に電位差を与えると、炎中のHC量
に比例して、該電極間を流れる電流が変化することとな
るため、該電流を検出することでHCの定量分析を行う
ことができる装置である。そして、ガスクロマトグラフ
ィ(GC)1は、図9に示すように、サンプルガスをキ
ャリアガス(ヘリウム:He)と共にカラム(分離管)
1aに導入して個別成分毎に分離し、その後該カラム1
aから流出してくる成分を前記FIDで検出する装置で
あり、該個別成分毎の固有の流出時間(リテンションタ
イム)に基づき、時間差を持って現れるピーク値により
定性分析(同定)を行うと共に、図8に示すような成分
毎のピーク面積等により、その特定された成分の定量分
析を行えるものである。
【0011】ところで、内燃機関から排出される排気に
あっては、その化学種が約150種と極めて多く且つそ
の濃度が低いために、当該化学種を定性分析すると共に
定量分析を行うことは極めて困難であるため、サンプル
ガスを濃縮した後に分析を行う必要がある。そのため、
前記CARB等が提案する分析装置では、概略以下のよ
うにして分析を行う。
【0012】図9(A)に示すように、サンプルガスを
配管3に注入する前に、液体窒素温度近傍(−196℃
近傍)までトラップ2を冷却する。前記トラップ2は、
液体窒素4を満たしたデューア瓶(Dewar Flask :所謂
魔法瓶)5に浸すことで、液体窒素温度近傍まで冷却さ
れる。温度が安定した(液体窒素が沸騰しなくなった)
時点で、サンプルガスの一部を注射器6等により配管3
に所定量注入し、前記液体窒素温度近傍まで冷却された
トラップ2中にサンプルガスを通過させることで、サン
プルガスを凝縮させる。
【0013】その後、図9(B)に示すように、前記ト
ラップ2中にサンプルガスと共に凝縮される凝縮酸素を
配管3から追い出すために、ポンプ、ヘリウム(He)
ボンベガス等により該配管3にヘリウムガスを流す。前
記凝縮酸素の追い出し終了後に、図9(C)に示すよう
に、凝縮したサンプルガスを前記トラップ2からカラム
1aに導入させるために、10方バルブ7の流路を切り換
えると共に、前記液体窒素4を満たしたデューア瓶5
を、熱水8の入ったデューア瓶5’に交換することで、
トラップ2中の凝縮されたサンプルガスを蒸発させて、
サンプルガスを濃縮する。そして、所定量に調整された
キャリアガスであるヘリウムと共に濃縮サンプルガス
は、カラム1aへ導入される。
【0014】その後、該濃縮されたサンプルガスは、化
学種毎の固有の流出時間(リテンションタイム)に基づ
いて該カラム1aから分離離流出し、その後図示しない
FIDに導入されて定性・定量分析される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなCARB等のガスクロマトブラフィを用いた分析装
置では、サンプルガスをトラップ2中に凝縮する際に、
或いはその凝縮されたサンプルガスをトラップ2から蒸
発させる際に、液体窒素4を満たしたデューア瓶5と熱
水8の入ったデューア瓶5’とを交換することで対処し
ているため、前記凝縮されたサンプルガスのトラップ2
からの追い出し(蒸発)効率が悪いために、所定温度条
件に達するまでに時間が掛かり、分析時間が増大すると
いう欠点がある。また、温度条件を厳密に管理すること
が困難な構成であるため、例えば、十分な温度まで前記
凝縮されたサンプルガスを昇温させることができず(熱
水を用いており、加熱温度が低いことも原因となる)、
そのため完全にサンプルガスを蒸発しきれないまま分析
が行われてしまう可能性が高く、分析精度が悪く、分析
結果の再現性等も低かった。
【0016】さらに、前記液体窒素4を満たしたデュー
ア瓶5と熱水8の入ったデューア瓶5’間の交換は、人
間が行っているのが実情であり、分析装置の自動化要求
に対しては、該交換動作を伴うため、構成が複雑化し自
動化が極めて困難であると共に温度条件の正確な管理が
困難であった。本発明は、上記のような従来の実情に鑑
みてなされたもので、低濃度なガスをサンプルガスとす
るガスクロマトグラフィを用いた分析装置において、サ
ンプルガスを急速冷却・加熱させることで効率よく濃縮
を行ない、分析精度の向上及び分析所要時間の低減を図
ることができると共に、分析の自動化にも容易に対応す
ることができるサンプルガス濃縮装置を提供することを
目的とする。
【0017】さらに、該サンプルガス濃縮装置を用いる
ことで、自動化にも対応できるサンプルガスの自動分析
装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このため、第1の発明に
かかるサンプルガス濃縮装置は、外気と常時連通させる
開口部を有する断熱構造の容器と、該容器内空間を通過
して配設され、サンプルガスが通過するトラップ管と、
前記容器内空間へ液相冷却媒体を導く液相冷媒供給通路
と、液相冷却媒体を前記容器内に前記供給通路を通じて
供給し、前記トラップ管を通過するサンプルガスを所定
温度まで冷却して当該トラップ管内に凝縮させる液相冷
却媒体供給手段と、前記容器内に充填された液相冷却媒
体を液相のまま排出させる排出通路と、前記排出通路
前記断熱構造の容器近傍に設置され液相冷却媒体供給時
に当該排出通路を閉路しサンプルガス凝縮後に当該排出
通路を開路して液相冷却媒体を前記断熱構造の容器外に
排出させる排出通路開閉手段と、前記液相冷却媒体の排
出後に前記トラップ管を所定時間加熱して前記凝縮され
たサンプルガスを蒸発させる加熱手段と、を含んで構成
した。
【0019】なお、前記容器内の液相冷却媒体の液面位
置を検出する液面位置検出手段と、トラップ管の温度を
検出する温度検出手段と、前記排出通路開閉手段により
排出通路を閉路し且つ前記液相冷却媒体供給手段を作動
させて、液面位置検出手段により検出される検出信号に
基づいて液相冷却媒体の液面位置を所定位置に制御する
と共に、前記排出通路開閉手段により前記排出通路を開
路し且つ前記温度検出手段により検出される検出信号に
基づいて前記加熱手段の加熱量を制御して前記トラップ
管温度を所定温度に制御する制御手段と、を含んで構成
することもできる。
【0020】ところで、前記液相冷却媒体の液面位置を
検出する液面位置検出手段は、液相冷却媒体の温度を検
出する液相冷却媒体温度検出手段であってもよい。ま
た、前記液面位置検出手段と、前記温度検出手段とが、
トラップ管近傍且つ液相冷却媒体の所定液面位置に設け
られた単一の温度検出手段とすることもできる。
【0021】そして、前記容器は、断熱構造を備えて構
成するのが好ましく、前記断熱構造は、前記容器が内側
部材と外側部材とを備え、当該内側部材と外側部材との
間に真空層を有して構成するのが望ましい。さらに、前
記液相冷却媒体供給手段が、前記容器内に略鉛直に延伸
して設けられる液相冷却媒体供給通路を備え、前記液相
冷却媒体供給通路が略鉛直方向に複数の開口部を有して
形成されるのが好ましい。
【0022】なお、前記加熱手段は、前記トラップ管の
外周に挿着される管状電熱ヒータとすることができ、前
記トラップ管と前記管状電熱式ヒータとの間に、電気絶
縁部材を配設するのが好ましい。そして、前記加熱手段
は、前記トラップ管に直接通電し発熱させる構成であっ
ても構わない。
【0023】また、第2の発明にかかるサンプルガス自
動分析装置は、サンプルガスを所定量に調量するサンプ
ル装置と、該調量されたサンプルガスを濃縮する第1の
発明にかかるサンプルガス濃縮装置と、前記濃縮された
サンプルガスを成分分析する分析装置と、これら各装置
を自動制御する制御手段と、を含んで構成した。
【0024】
【作用】以上の構成を備える第1の発明にかかるサンプ
ルガス濃縮装置では、排出通路開閉手段により排出通路
を閉路し、液相冷却媒体供給手段により液相冷媒供給通
路を介して容器内に液相冷却媒体を供給充填すること
で、容器内空間に臨んで配設されるトラップ管内を通過
するサンプルガスを、当該液相冷却媒体により該トラッ
プ管内に冷却凝縮する。その後、排出通路開閉手段によ
り前記排出通路を開路して、充填されている液相冷却媒
体を急速に排出すると共に、加熱手段により前記凝縮さ
れたサンプルガスを加熱し蒸発させることで、サンプル
ガスを濃縮する。したがって、本発明によれば、液相冷
却媒体が充填された容器と、液相加熱媒体の充填された
容器とを交換するような煩雑な構成に較べ、急速な冷却
・加熱が行なえると共に、簡単な構成ゆえに自動化が容
易となる。
【0025】なお、前記制御手段を備えて構成して、前
記液面位置検出手段により検出される検出信号に基づい
て液相冷却媒体の液面位置を所定位置に制御すると共
に、前記温度検出手段により検出される検出信号に基づ
いて前記加熱手段の加熱量を制御して前記トラップ管温
度を所定温度に制御すれば、冷却・加熱時にトラップ管
温度を正確に制御することができるため、サンプルガス
の濃縮精度が向上する。
【0026】ところで、前記液相冷却媒体の液面位置を
検出する液面位置検出手段を、液相冷却媒体の温度を検
出する液相冷却媒体温度検出手段により構成して、液相
冷却媒体温度検出手段が液相冷却媒体温度を検出したこ
とで、当該液相冷却媒体の液面位置が当該液相冷却媒体
温度検出手段の取り付け位置まで達したと推定するよう
にすれば、簡易な構成により液面位置を検出することが
できる。
【0027】また、前記液面位置検出手段と、前記温度
検出手段とを、トラップ管近傍且つ液相冷却媒体の所定
液面位置に設けられた単一の温度検出手段とすれば、よ
り簡易な構成により、冷却・加熱時のトラップ管温度を
正確に制御することができる。そして、例えば、前記容
器が内側部材と外側部材とを備え、当該内側部材と外側
部材との間に真空層を有する断熱構造として、放熱量を
低減すれば、トラップ管の温度制御がより良好となると
共に、液相冷却媒体の消費及び加熱手段の加熱量の消費
を最小に抑えることができる。
【0028】さらに、前記液相冷却媒体供給手段を、前
記容器内に略鉛直に延伸して設けられる液相冷却媒体供
給通路を備え、前記液相冷却媒体供給通路が略鉛直方向
に複数の開口部を有して形成すれば、液相冷却媒体を前
記容器内に供給する際には、最初にまず最下部の開口部
から液相冷却媒体が主に供給され、液相冷却媒体の液面
が上昇して前記最下部の開口部を塞ぐと、つづいて液面
上方にある開口部のうち最下部の開口部から主に液相冷
却媒体が供給されるようになる。このように、液相冷却
媒体の液面高さの上昇に応じて、液相冷却媒体の供給位
置が液面上方の開口部へと上昇していくため、液相冷却
媒体を供給する開口部が容器内に充填された液相冷却媒
体による液圧を受けることがないため、通路抵抗を小さ
く抑えることができ、極めて急速にかつスムーズに液相
冷却媒体を容器内に充填することができる。しかも、液
面が安定して、無駄なバブリング等が抑制されるため、
温度管理が極めて良好に行えると共に、液相冷却媒体が
無駄に蒸発して消費されることを抑制することができ
る。
【0029】なお、前記加熱手段を、前記トラップ管の
外周に挿着される管状電熱ヒータとすれば、熱容量が小
さく加熱速度を速めることができると共に、電熱線ヒー
タに較べ高温・極低温間の急加熱急冷却に伴う熱応力に
抗することができるため、断線等の故障が排除され、信
頼性が向上する。また、前記トラップ管と前記管状電熱
ヒータとの間に、安価かつ配設容易な例えばテフロン等
の樹脂系材料からなる電気絶縁部材を挿着すれば、前記
トラップ管を介して各配管、分析装置等に電気が漏電す
るのが防止され、少ない消費電力で対応可能となると共
に、トラップ管内に凝縮されたサンプルガスへの通電が
防止されるため、サンプルガスが電気反応を起こし2次
生成物が生じることも防止できる。したがって、分析結
果の信頼性を高めることができる。
【0030】その一方、前記加熱手段を前記トラップ管
そのものが発熱するように構成すれば、より急加熱急冷
却を可能にし、かつ構成が簡略化される。また、第2の
発明にかかるサンプルガス自動分析装置では、制御手段
からの信号に基づいて、サンプル装置によりサンプルガ
スを所定量に調量し、該調量されたサンプルガスを第1
の発明にかかるサンプルガス濃縮装置により濃縮し、分
析装置において前記濃縮されたサンプルガスを成分分析
する。つまり、液相冷却媒体が充填された容器と、液相
加熱媒体の充填された容器とを交換するような煩雑な構
成のサンプルガス濃縮装置を用いていないため、容易に
自動化が可能となる。
【0031】
【実施例】以下に、第1、第2の発明にかかる一実施例
を添付の図面に基づいて説明する。まず初めに、図6に
基づいて、車両用内燃機関から排出される排気(サンプ
ルガス)の採取(サンプリング)方法について、概略説
明する。
【0032】車両10をシャシダイナモ11上に載せ、所定
の運転モード(例えば、EPAのトランジェントモード
等)により車両を運転し、CVS(Constant Volume Sa
mpler;定容量採取装置) 12を介して、車両10から排出さ
れる排気を空気により所定の希釈率に希釈し、その一部
をサンプルバッグ13に採取する。なお、前記CVS12
は、排気有害成分の重量規制に対応した排気採取装置
で、排気の全量を希釈空気と共に、図示しないルーツブ
ロア等の定容積型ポンプにより吸引して、一定の希釈率
の希釈混合気を形成し、該一定濃度の希釈混合気の一部
を、前記サンプルバッグ13に吸引ポンプ等により所定量
採取することで、各排気有害成分の排出重量を検出する
ことができる装置である。つまり、前記サンプルバッグ
13内のサンプル量と、サンプルバッグ13内の各排気有害
成分の濃度と、に基づいてサンプルバッグ13内の各排気
有害成分の排出重量を求め、当該各排気有害成分の排出
重量と、前記サンプル量とルーツブロアにより吸引され
た全吸引量との比から、モード運転中に排出された各排
気有害成分(HC、NOx、CO)の総排出重量を求め
ることができるものであり、現在一般的に用いられてい
る排気採取装置である。
【0033】ところで、炭化水素(HC)分析用のサン
プルガスは、該サンプリング方法によりサンプリングさ
れるが、排気微粒子(パティキュレート)等をサンプル
ガス中から取り除くために、サンプルバッグ13の上流側
に設けた図示しないフィルタを介して、サンプルバッグ
13にサンプリングするのが一般的である。ここで、炭化
水素の分析方法について説明する。
【0034】炭化水素は、分析精度を向上させるため
に、C1炭化水素(メタン)、C2−C4炭化水素(ラ
イトウエイトHC)、C5−C12炭化水素(ミッドレン
ジHC)の3つに分類し、それぞれの分類に見合った方
法により3台のガスクロマトグラフィ分析装置でそれぞ
れ分析する。本実施例では、特に、炭素数の多い成分を
含むC5−C12炭化水素(ミッドレンジHC)の分析装
置を代表させて、図1〜図5に基づいて説明する。
【0035】図に示すサンプル装置20は、三方弁20a〜
20f、配管20A〜20F、サンプルループ20S、サンプル
ガス導入管20G、サンプルガス排出管20H、および濃縮
用キャリアガス排出管20I、濃縮用キャリアガス導入管
20Jを含んで構成される六方弁である。該サンプル装置
20は、図1に示すように、三方弁20a〜20fの開閉切り
換えにより、太線で示す経路Sを形成すると共に、サン
プルバッグ13を前記サンプルガス導入管20Gに接続す
る。そして、サンプルガス排出管20Hに接続される図示
しない吸引ポンプにより、サンプルバッグ13内のサンプ
ルガスを所定流量・所定圧力で吸引しつつ、予め容積が
調整されているサンプルループ20Sの両端の三方弁20
b,20eを閉弁して、サンプルループ20S内にサンプル
ガスの一部を閉じ込める。その後、図2に示す太線で示
す経路Vを形成し、濃縮用キャリアガス導入管20Jに連
通する図示しないポンプを駆動し、該濃縮用キャリアガ
ス導入管20Jに設置される圧力計21と流量計22により所
定圧力・所定流量であることを確認しつつ、濃縮用キャ
リアガス(ヘリウム:He)を該経路V内へ流す。これ
により、前記サンプルループ20S内の調量されたサンプ
ルガスが、前記濃縮用キャリアガス排出管20Iを介し
て、当該サンプル装置20から装置下流側へ排出されるよ
うになっている。なお、前記各三方弁20a〜20fは、図
4に示す制御部100からの信号に基づいて開閉制御を行
なうことができる。
【0036】そして、前記サンプル装置20の下流側に
は、前記濃縮用キャリアガス排出管20Iと連通する六方
弁30が配設される。該六方弁30は、三方弁30a〜30f、
配管30A〜30Fを含んで構成され、図に示すように濃縮
用キャリアガス排出管20Iが三方弁30dに連通接続さ
れ、キャリアガス導入管30G、金属製トラップ管(濃縮
管)30H、通気管30I、カラム供給管30Jが、それぞれ
配設される。前記トラップ管30Hには、U字状のトラッ
プ部Aが設けられ、該トラップ部Aは、後述する液相冷
媒を充填する断熱構造の容器としてのサンプルガス濃縮
装置40内を通過するように構成される。該サンプルガス
濃縮装置40には、液相冷却媒体としての液体窒素を貯蔵
する液体窒素貯蔵タンク71に開閉バルブ72を介して連通
する液体窒素供給管73が挿入されている。該サンプルガ
ス濃縮装置40において、後述する方法によりサンプルガ
スの急速な凝縮・蒸発が行われ、サンプルガスの濃縮が
行われる。なお、前記開閉バルブ72は、制御部100 から
の信号に基づいて開閉制御することができる。
【0037】ここで、該液体窒素貯蔵タンク71、開閉バ
ルブ72、液体窒素供給管73が液相冷却媒体供給手段とし
ての液相冷却媒体供給装置70を構成する。そして、前記
カラム供給管30Jが、その下流において、分析カラム60
aに連通接続されている。該分析カラム60aは、前述し
たように、ガスクロマトグラフィ分析装置60を構成する
装置で、サンプルガス中に含まれる化学種毎の固有の流
出時間(リテンションタイム)に基づいて、サンプルガ
スを化学種毎に分離流出させる装置である。該分析カラ
ム60aにより分離された各化学種は、その後、分析感度
向上のための空気、H2 、メイクアップガスと共に、図
示しないFIDに導入され、化学種毎に定性・定量分析
される。ところで、サンプルガスが接触する部材(前記
各三方弁、配管類等)は、耐食性等を考慮して、ステン
レス(SUS)材で形成されるのが一般的であるが、こ
れに限るものではない。また、前記各三方弁30a〜30f
は、制御部100 からの信号に基づいて開閉制御が行える
のは勿論である。
【0038】ここで、本発明にかかるサンプルガス濃縮
装置40について、図4に基いて詳細に説明する。サンプ
ルガス濃縮装置40は、デューア瓶41内を前記トラップ管
30Hのトラップ部(U字部)Aが通過するように構成さ
れ、該U字部Aの外周には、該トラップ管30Hより大径
なSUS管からなるヒータ管50Hが挿着される。前記ト
ラップ管30Hとヒータ管50Hとの間隙には、例えば電気
絶縁材料としてテフロン樹脂等が充填されて、電気絶縁
されるが、図に示すように、前記トラップ管30Hの外周
にテフロンパイプ50Tを挿着し、このテフロンパイプ50
Tの上から前記ヒータ管50Hを挿着するのが、製造コス
ト・交換容易性等の面から好ましいが、電気絶縁材料で
あれば、これに限るものではない。そして、前記ヒータ
管50Hの一端部には正極端子51が、他端部には負極端子
52が設けられ、スイッチ53を介して電源54に接続され
る。そして、該スイッチ53をONとすることにより、当
該ヒータ管50Hが通電され発熱するようになっている。
該スイッチ53は、制御部100 からの信号に基づき、加熱
パターンに応じて制御することができる。
【0039】ここで、ヒータ管50H、正極端子51、負極
端子52、スイッチ53、電源54が加熱手段としての加熱装
置50を構成する。当該加熱装置50は、勿論、直接トラッ
プ管30HのU字部Aの一方の端部に正極端子51、他方の
端部に負極端子52を設け、かつU字部Aとトラップ管30
Hとを別体構成として、これらを電気絶縁するように構
成することもできる。なお、本実施例のようにトラップ
管30Hとヒータ管50Hとをコンパクトな2重構造とすれ
ば、以下のような効果がある。
【0040】つまり、熱容量が小さくでき少ない消費電
力で効率よく、しかもU字部Aを平均的に且つ高温(約
200℃)まで急速に加熱することができるのは勿論、
電熱線ヒータ等に較べ、高温・極低温間の急加熱急冷却
に伴う熱応力等に対して有利であり、断線等の故障が排
除され信頼性が向上する。また、トラップ管30Hとヒー
タ管50Hとを電気絶縁すれば、前記トラップ管30Hを介
して各配管、分析装置等に電気が漏電するのを防止で
き、さらにトラップ部(U字部)A内に凝縮されたサン
プルガスが通電されることがないため、サンプルガスが
電気反応を起こし2次生成物が生じることも防止でき
る。したがって、分析結果の信頼性を高めることができ
る。なお、前記2次生成物が発生しない場合には、前記
トラップ管30Hそのものが、前記ヒータ管50Hとしての
機能を有するように構成、即ちトラップ管30Hに直接通
電し発熱させるように構成することも可能であり、この
場合には、より急加熱急冷却が可能になると共に構成が
より簡略化できる。
【0041】ところで、前記デューア瓶41は、SUS材
料からなる下部に球状部を有するカップ状の内側部材41
Aと、同じくSUS材料からなる円筒状の外側部材41B
との間に真空層を有する所謂魔法瓶であって、後述する
方法によって、図4に示すBの位置まで液体窒素4が十
分に充填されるように制御される。デューア瓶41の上面
はテフロン樹脂からなる上蓋41Cにより、デューア瓶41
の下面がSUS材料からなる下蓋41Dにより、密封され
る。なお、該デューア瓶41は、充填される液体窒素4の
急速な排出が可能なように、前記内側部材41Aのカップ
内方の球状底部とデューア瓶41の下方外部とが連通可能
に前記内側部材41Aの球状底部から下蓋41Dを貫通して
外部へ突出する排出通路としてのドレンパイプ42が設け
らている。ドレンパイプ42には、排出通路開閉手段とし
てのドレンバルブ43が設けられ、該ドレンバルブ43の開
閉により、デューア瓶41の内部と外部とが連通遮断され
るようになっている。該ドレンバルブ43の開閉は、制御
部100 からの信号に基づいて制御することができる。
【0042】前記デューア瓶41の上蓋41Cには、開口部
41a及び開口部41bが形成され、前記2重構造のトラッ
プ管30H及びヒータ管50Hが、当該開口部41aを通り、
内側部材41Aの内方にてU字状に折曲されトラップ部
(U字部)Aを構成して後、前記開口部41bからデュー
ア瓶41の外部へ戻るようになっている。なお、トラップ
部Aは、U字状に限るものではなくループ状等としても
よく、また図5に示すような直線状であっても構わな
い。前記上蓋41Cは、テフロン樹脂等の電気絶縁部材に
より構成されているので、ヒータ管50Hからの分析装置
等への漏電が防止される。上蓋41Cには、テフロン樹脂
を用いて説明したが、下蓋41Dと同様にSUS材を用い
ても構わない。この場合には、前記ヒータ管50Hと電気
的に導通しないように、当該ヒータ管50Hと上蓋41Cと
の間に電気絶縁部材を配設するのが好ましい。
【0043】さらに、上蓋41Cには、開口部41c及び開
口部41dとが設けられ、開口部41cから、前記液体窒素
供給管73が前記デューア瓶41の内部に挿入される。な
お、液体窒素4は開閉バルブ72を通じて該液相窒素供給
管73へ供給される。開口部41dには、通気管44が挿入さ
れ、前記デューア瓶41の内側(液体窒素充填部B)と外
部(大気)とが常時連通される。該通気管44は、デュー
ア瓶41に液体窒素4を充填する際に、該液体窒素4が蒸
発して気体となり体積膨張してデューア瓶41内の圧力が
上昇するのを防止して、液体窒素4が良好にデューア瓶
41に所定量充填されるようにするためのものである。ま
た、液体窒素4を排出する際に、液面上方が負圧となっ
て排出効率を低下させるのを防止するためのものであ
る。なお、充填・排出効率をさらに向上させるために、
該通気管44にポンプ等を接続させ、充填時には、デュー
ア瓶41内を負圧に吸引し、排出時には加圧するようにす
ることも可能である。
【0044】ところで、前記デューア瓶41の内側に略鉛
直に配設される前記液体窒素供給管73は、下端部に開口
部73Aを有すると共に、更に側面にも上下方向に複数の
開口部73B,73C,73D・・・・・が設けられる。した
がって、液体窒素4を前記デューア瓶41内に供給する際
には、最初にまず開口部73Aから主に液体窒素4は供給
され、液体窒素4の液面が上昇して前記開口部73Aを塞
ぐと、つづいて液面上方の開口部73Bから主に液体窒素
4が供給されるようになる。そして、液体窒素4の液面
が更に上昇して前記開口部73Bを塞ぐと、液面上方の開
口部73Cから主に液体窒素4が供給されるようになる。
このように、液体窒素4の液面高さの上昇に応じて、液
体窒素4の供給位置が液面上方へと上昇していくため、
現在液体窒素4を供給している開口部がデューア瓶41内
に充填された液体窒素4による液圧を受けることがな
く、通路抵抗を小さく抑えることができ、極めて急速に
かつスムーズに液体窒素4をデューア瓶41内に充填させ
ることができる。しかも、液面が安定して、無駄なバブ
リング等が抑制されるため、温度管理が極めて良好に行
えると共に、液体窒素が無駄に蒸発して消費されること
を抑制することができるようになっている。
【0045】なお、前記U字部Aの折曲部近傍の温度を
検出するための第1の熱電対45と、液体窒素を一定量に
維持するため液面位置を制御する第2の熱電対46とが設
けられ、これら熱電対の出力信号が、制御部100 に入力
される。制御部100 では、該信号に基づいて、U字部A
の温度制御、即ち加熱装置50、及び液相冷却媒体供給装
置70の制御を行う。
【0046】以下に、上記の構成を備えたC5−C12炭
化水素(ミッドレンジHC)の分析装置により、制御部
100 が行うHC化学種の自動分析制御について概略説明
する。 サンプルガス調量制御(図1参照) 三方弁を切り換え設定して、サンプル装置20内に太線で
示す経路Sを形成し、前述した方法で、分析に供するサ
ンプルガスを調量する。これと同時に、各三方弁を切り
換え設定して、太線で示す経路Tを形成し、濃縮用キャ
リアガスのみを該経路T内に流すことで、該経路T内及
びトラップ管30H内等を洗浄する。さらに、太線で示す
経路Uを形成し、キャリアガスのみをキャリアガス導入
管30Gの上流に設けられる図示しないキャリアガス供給
ポンプを介して該経路U内に導入し、当該経路U内、配
管内等の洗浄を行い、コンタミネーション(経路内等に
前回分析したサンプルガス等が残存していることによる
分析精度の低下)を防止する。
【0047】サンプルガス凝縮制御(図2参照) つづいて、前記調量されたサンプルガスを濃縮するため
に、三方弁を切り換え設定して、太線で示す経路Vを形
成する。そして、所定圧力・所定流量に制御された濃縮
用キャリアガスと共に、前記調量されたサンプルガス
を、前記サンプルガス濃縮装置40に導入する。
【0048】なお、該サンプルガスのサンプルガス濃縮
装置40への導入以前に、サンプルガス濃縮装置40を予め
液体窒素温度(−196℃)近傍の所定温度に設定して
おく必要があるため、制御部100 では、以下のような制
御が予め行われている。つまり、前記ドレンバルブ43を
閉弁しておくと共に、前記液相冷却媒体供給手段の開閉
バルブ72に開弁信号を送り、前記液体窒素供給管73を介
して、デューア瓶41内に液体窒素4を供給する。そし
て、第2の熱電対46の検出温度が前記設定温度に低下し
たときには、液体窒素4がデューア瓶41内に十分満たさ
れたと判断して、前記開閉バルブ72に閉弁信号を送り、
液体窒素4の供給を停止させる。そして、再び前記第2
の熱電対46の検出温度が前記設定温度より上昇すれば、
液体窒素4が蒸発して液体窒素4の液面が低下したと判
断して、前記開閉バルブ72に再び開弁信号を送り、蒸発
した液体窒素を補うべく液体窒素4を供給する。かかる
制御が繰り返され、前記第1の熱電対45及び第2の熱電
対46の検出温度が設定温度に安定した時点で、前記調量
されたサンプルガスをキャリアガスと共にトラップ管30
Hに導入するようになっている。
【0049】ところで、本実施例では、前記第1の熱電
対45と第2の熱電対46とを設け、トラップ部Aの温度検
出と、液体窒素4の液面検出と、をそれぞれ別個に行っ
ているが、図4に破線で示すように熱電対47を液体窒素
4の要求充填液面位置のトラップ部Aに設けることで、
単一の熱電対でも、前記2つの検出を行うことができ
る。また、前記第1の熱電対45と前記熱電対47を、ヒー
タ管50Hに取り付けているが、トラップ管30Hに直接取
付けるようにしても構わない。
【0050】このような状態で導入されたサンプルガス
は、サンプルガス濃縮装置40において−196℃近傍ま
で冷却されて凝縮される。なお、このときも太線で示す
経路Uは形成されており、前述同様にして、当該経路U
内、配管内等の洗浄が行なわれる。 サンプルガス蒸発・分析制御(図3参照) 前記においてサンプルガスの凝縮行程が完了した時点
で、三方弁を切り換え設定して、太線で示す経路Wを形
成する。
【0051】このとき、サンプルガス濃縮装置40は、前
記凝縮されたサンプルガスを蒸発させるために、前記開
閉バルブ72を閉弁して液体窒素4の供給を停止すると共
に、前記ドレンバルブ43を開弁し、充填されている液体
窒素4を急速に排出する。そして、前記ヒータ管50Hに
通電を開始して、所定加熱パターンに基づいて前記ヒー
タ管50Hを約200℃まで加熱する。これにより、前記
トラップ部Aが所定温度に加熱され、これに伴い前記凝
縮されたサンプルガスが急速に蒸発され、サンプルガス
が濃縮される。なお、前記約200℃は、勿論HCが十
分に蒸発できる例えば120℃程度であってもよいが、
本実施例では、より確実を期して、テフロン樹脂の耐熱
温度(約200℃)近傍に設定しているが、このこと
は、従来の前述した熱水方式では実現不可能である。
【0052】そして、所定圧力・所定流量に制御された
キャリアガス(ヘリウム:He)を前記トラップ部Aに
流入させて、前記濃縮されたサンプルガスを、前記サン
プルガス濃縮装置40から排出する。該濃縮サンプルガス
は、前記キャリアガスと共にカラム60aに導入され、化
学種毎の固有の流出時間(リテンションタイム)に基づ
いて分離流出され、その後分析感度向上のための空気、
2 、メイクアップガスと共に、図示しないFIDに導
入されて定性・定量分析される。なお、前記カラム60
a、図示しないFIDを含んで構成されるガスクロマト
グラフィ分析装置60は、その分析精度を向上させるため
に、所定温度(例えば、本実施例のようにC2−C12を
分析する場合は、−60℃近傍)に制御されるのが一般
的である。また、このとき、図3に太線で示す経路Xが
形成され、該経路X内に濃縮用キャリアガスを流すこと
により、前記サンプルループ20S等が洗浄されて、次の
分析時におけるコンタミネーションの防止が図られるよ
うになっている。
【0053】このように、本実施例によれば、前記サン
プルガス濃縮装置40を備えることにより、トラップ部A
の温度状態を適正に維持しつつ急速な冷却・加熱を行う
ことができるため、サンプルガスの凝縮状態・蒸発状態
の安定性を極めて高く維持することができるので精度の
高い分析を行うことができると共に、サンプルガスの濃
縮時間の短縮化に伴い分析所要時間を大幅に削減するこ
とができる。また、液相冷却媒体としての液体窒素の充
填及び排出、及びトラップ部Aの加熱を簡単な構成によ
り容易に行うことができるため、分析装置の自動化要求
にも十分に対応することができる。
【0054】なお、本実施例では、ヒータ管50HをSU
S材料を用いて説明したが、電気伝導性を有すれば、こ
れに限るものではない。さらに、デューア瓶41の内側部
材41A及び外側部材41B及び下蓋41D、及び各配管類に
ついても、SUS材料に限定されるものではない。ま
た、前記ヒータ管50Hに変えて、熱線式等のヒータを用
いることも可能である。さらに、サンプルガス濃縮装置
40は、図5に示したように、横置き型とすることも可能
である。この場合には、トラップ部Aが直線状であり、
また上蓋41C、下蓋41Dに変えて側面部材41Eが設けら
れる。該側面部材41Eは、上蓋41Cと同様にテフロン樹
脂等で形成することもできるが、下蓋41Dと同様にSU
S材を用いても構わない。なお、SUS材を用いる場合
には、前記ヒータ管50Hと電気的に導通しないように、
当該ヒータ管50Hと側面部材41Eとの間に電気絶縁部材
を配設するのが好ましい。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明にかか
るサンプルガス濃縮装置によれば、従来のように液相冷
却媒体が充填された容器と、液相加熱媒体の充填された
容器とを交換するような極めて煩雑な交換作業を伴うこ
となく、トラップ部の温度状態を適正に維持しつつ急速
な冷却・加熱を行うことができるため、サンプルガスの
凝縮状態・蒸発状態の安定性を極めて高く維持すること
ができるので精度の高い分析を行うことができると共
に、サンプルガスの濃縮時間の短縮化に伴い分析所要時
間を大幅に削減することができる。また、液相冷却媒体
の充填及び排出、及びトラップ部の加熱を簡単な構成に
より容易に行うことができるため、分析装置の自動化要
求にも十分に対応することができる。
【0056】なお、第2の発明にかかるサンプルガス自
動分析装置によれば、第1の発明にかかるサンプルガス
濃縮装置を備えたことにより、容易に自動化が可能とな
り、大幅な分析処理件数を増大させることができると共
に、従来例のような作業者違いによる分析誤差(交換時
間の長短等)を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明にかかるサンプルガスの調量行程を
示す全体構成図。
【図2】第1の発明にかかるサンプルガスの凝縮行程を
示す全体構成図。
【図3】第1の発明にかかるサンプルガスの蒸発・分析
行程を示す全体構成図。
【図4】第1の発明にかかるサンプルガス濃縮装置40を
示す拡大図。
【図5】第1の発明にかかる別のサンプルガス濃縮装置
40を示す拡大図。
【図6】車両の排気からサンプルガスを採取する方法を
説明する図。
【図7】排気中に含まれる有機化学種の説明図。
【図8】ガスクロマトグラフィの分析結果の一例を示す
図。
【図9】(A)は、従来例における分析装置の濃縮行程
を示す構成図。(B)は、従来例における分析装置の洗
浄行程を示す構成図。(C)は、従来例における分析装
置の蒸発・分析行程を示す構成図。
【符号の説明】
20 サンプリング装置 30H トラップ管 40 サンプルガス濃縮装置 41 デューア瓶 42 ドレンパイプ 43 ドレンバルブ 45 第1の熱電対 46 第2の熱電対 47 熱電対 50 加熱装置 50H ヒータ管 50T テフロンパイプ 60 ガスクロマトグラフィ分析装置 60a カラム 70 液相冷却媒体供給装置 71 液体窒素貯蔵タンク 72 開閉バルブ 73 液体窒素供給管 73A〜73I 開口部 100 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−69546(JP,A) 特開 昭53−102276(JP,A) 特開 平5−188047(JP,A) 特開 平3−220447(JP,A) 特開 平4−309861(JP,A) 特開 平5−288654(JP,A) 実開 平4−106756(JP,U) 実開 昭62−12868(JP,U) 特公 昭53−15994(JP,B2) 特公 昭55−26421(JP,B2) 実公 平3−9015(JP,Y2)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外気と常時連通させる開口部を有する断熱
    構造の容器と、 該容器内空間を通過して配設され、サンプルガスが通過
    するトラップ管と、 前記容器内空間へ液相冷却媒体を導く液相冷媒供給通路
    と、 液相冷却媒体を前記容器内に前記供給通路を通じて供給
    し、前記トラップ管を通過するサンプルガスを所定温度
    まで冷却して当該トラップ管内に凝縮させる液相冷却媒
    体供給手段と、 前記容器内に充填された液相冷却媒体を液相のまま排出
    させる排出通路と、 前記排出通路の前記断熱構造の容器近傍に設置され、
    相冷却媒体供給時に当該排出通路を閉路し、サンプルガ
    ス凝縮後に当該排出通路を開路して液相冷却媒体を前記
    断熱構造の容器外に排出させる排出通路開閉手段と、 前記液相冷却媒体の排出後に前記トラップ管を所定時間
    加熱して前記凝縮されたサンプルガスを蒸発させる加熱
    手段と、 を含んで構成したことを特徴とするサンプルガス濃縮装
    置。
  2. 【請求項2】前記容器内の液相冷却媒体の液面位置を検
    出する液面位置検出手段と、 トラップ管の温度を検出する温度検出手段と、 前記排出通路開閉手段により排出通路を閉路し且つ前記
    液相冷却媒体供給手段を作動させて、液面位置検出手段
    により検出される検出信号に基づいて液相冷却媒体の液
    面位置を所定位置に制御しつつ前記温度検出手段の検出
    温度が所定温度になるように制御すると共に、前記排出
    通路開閉手段により前記排出通路を開路し且つ前記加熱
    手段の加熱量を制御して前記温度検出手段の検出温度が
    所定温度になるように制御する制御手段と、 を含んで構成したことを特徴とする請求項1に記載のサ
    ンプルガス濃縮装置。
  3. 【請求項3】前記液相冷却媒体の液面位置を検出する液
    面位置検出手段が、液相冷却媒体の温度を検出する液相
    冷却媒体温度検出手段であることを特徴とする請求項2
    に記載のサンプルガス濃縮装置。
  4. 【請求項4】前記液面位置検出手段と、前記温度検出手
    段とが、トラップ管近傍且つ液相冷却媒体の所定液面位
    置に設けられた単一の温度検出手段であることを特徴と
    する請求項3に記載のサンプルガス濃縮装置。
  5. 【請求項5】前記断熱構造が、内側部材と外側部材とを
    備えた前記容器の当該内側部材と外側部材との間に真空
    層を有することにより形成されたことを特徴とする請求
    項1〜請求項4のいずれか1つに記載のサンプルガス濃
    縮装置。
  6. 【請求項6】前記液相冷却媒体供給通路が、前記容器内
    に略鉛直に延伸して設けられ、略鉛直方向に複数の開口
    部を有して形成されたことを特徴とする請求項1〜請求
    項5のいずれか1つに記載のサンプルガス濃縮装置。
  7. 【請求項7】前記加熱手段が、前記トラップ管の外周に
    挿着される管状電熱式ヒータであることを特徴とする請
    求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のサンプルガス
    濃縮装置。
  8. 【請求項8】前記トラップ管と前記管状電熱式ヒータと
    の間に、電気絶縁部材が配設されたことを特徴とする請
    求項7に記載のサンプルガス濃縮装置。
  9. 【請求項9】前記加熱手段が、前記トラップ管に直接通
    電し発熱させる構成であることを特徴とする請求項1〜
    請求項6のいずれか1つに記載のサンプルガス濃縮装
    置。
  10. 【請求項10】サンプルガスを所定量に調量するサンプ
    ル装置と、 該調量されたサンプルガスを濃縮する請求項1〜請求項
    9のいずれか1つに記載のサンプルガス濃縮装置と、 前記濃縮されたサンプルガスを成分分析する分析装置
    と、 これら各装置を自動制御する制御手段と、 を含んで構成したことを特徴とするサンプルガス自動分
    析装置。
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