JP2004195386A - 触媒活性試験装置、触媒活性試験方法 - Google Patents

触媒活性試験装置、触媒活性試験方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス中に含まれる微量物質に対する分解触媒の性能評価に適し、迅速かつ簡易に実施できる触媒活性試験装置を提供すること。
【解決手段】触媒活性試験装置100は、マスフローコントローラー11、気化手段としてのパーミエーター13、ガス混合槽15、分岐された経路71、73、75に配置された流量制御手段としてのマスフローコントローラー21、23、25、流量調整用経路としての経路77、触媒収容手段としての触媒反応装置30、捕集手段としての吸着装置40を備え、水分供給手段50がガスの流れ方向において触媒反応装置30の上流位置に接続するようになっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒活性試験装置および触媒活性試験方法に関し、詳細には、例えば排ガス中に含まれるハロゲン化芳香族化合物に対する触媒の分解性能を測定するための触媒活性試験装置および触媒活性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある触媒の活性を試験するための触媒活性試験には、高温や高圧条件で行われる場合を想定して、そのような条件に耐え得る大型の触媒反応器が使用されてきた。このため、触媒反応に高温、高圧条件を要しない触媒の活性を測定する場合でも大掛りな装置構成が必要であった。しかし、大型の触媒反応器では固体触媒の測定は容易に行えるが、粉末形態の触媒の試験には不向きであり、触媒の形態を問わずに試験を行うことは困難であった。また、触媒反応器が大型であると、同時に測定できる触媒の数が限られてしまうため、多数の触媒候補のスクリーニングを迅速に行うことができない。
【0003】
図5は、従来の触媒活性試験装置の一例の概要を示す図面である。この触媒活性試験装置200は、気化器210と、触媒反応器220と捕集装置231、233とガスメーター240を主要な構成として備えたものである。気化器210には搬送用ガスとしての窒素ガス(N)が導入され、そこに有機化合物などの測定物質が気化されて混合される。測定物質と搬送用ガスとの混合ガスは触媒反応器220に送られ、混合ガス中の測定物質は加熱下での触媒作用により分解される。未分解の測定物質は搬送用ガスと共に流下するが、二段階の捕集装置231、233において有機溶媒中を通過させることによってトラップされ、ガス中から除去される。このような操作をガスメーター240で測定されるガス量が所定量に達するまで行った後、捕集装置231、233によって有機溶媒中に吸収された測定物質を抽出分離、濃縮等した後、ガスクロマトグラフィー等の分析機器(図示せず)により分析する。
【0004】
図5の触媒活性試験装置200では、触媒反応器220が大型であるため、現実的にはガス流通経路を1本しか設けることが出来ず、1回の測定で1つの触媒しか試験することができない。しかし、排ガス中のダイオキシン類などのハロゲン化芳香族や、その代替物質に対する触媒活性を測定するためには、常圧下で数百℃程度の加熱で十分であり、それ以上の高温、高圧条件は必要としないので、大型の触媒反応器220を用いる必要はない。
【0005】
また、ダイオキシン類やクロロベンゼン類、クロロフェノール類などは、排ガス中に比較的微量しか存在しない物質であるにもかかわらず、図5の触媒活性試験装置では、測定物質を現実の排ガスよりも高濃度で気化させなければ安定的に供給することが出来なかった。現実にはあり得ないような高濃度の状態で測定物質に対する触媒活性を評価しても、その結果が実排ガスにおける触媒活性を反映しているかどうかは疑問である。そこで、図5における気化器210を改良し、気化部と凝縮部を設け、気化部を高温に維持して過剰量の揮発性物質を気化させるとともに、下流位置に設けた凝縮部で気化ガスの余剰分を凝縮させて揮発性物質の飽和蒸気圧に近い状態を作り出すことにより、微量の揮発性物質を一定量かつ安定的に供給する方式の供給装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
しかし、測定物質を安定的に気化できたとしても、前記したように触媒収容手段が粉末触媒に適したものでなければ、正確な測定や多数の触媒候補のスクリーニングは行い得ない。
【0007】
また、排ガスなどに含まれる微量成分を分解する触媒の性能評価は、分解物が水素、二酸化炭素、水蒸気、塩化水素などであり、これらを測定対象にすると測定誤差が生じ易いとの理由から、触媒により分解されなかった未分解の測定物質の量(捕集装置231、233で捕集された量)を分析することになるが、その操作を簡易かつ迅速に行うことも重要である。しかし、これまで行われてきた触媒活性の測定では、測定物質の分析操作においても、一旦有機溶媒へ吸収させて捕集したものを抽出したり、濃縮したりして分析するなど煩雑な操作と熟練を必要とするため、誤差が生じ易く、時間も必要で多数の触媒候補をスクリーニングする目的には対応できていなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−104769号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、これまで触媒活性試験は、触媒反応器が大型であるだけでなく、測定物質の導入装置および捕集装置も、ガス中の微量成分を対象とする測定に適したものとは言えず、煩雑な操作を要し、多大な労力と時間をかけて行われていた。
【0010】
従って、本発明の課題は、ガス中に含まれる微量物質に対する分解触媒の性能評価に適し、迅速かつ簡易に実施できる触媒活性試験装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る触媒活性試験装置は、測定物質を所定量ずつ蒸発拡散させて搬送用ガス中に微量濃度で混合する気化手段と、前記気化手段から排出される混合ガス中の測定物質を、被試験対象の触媒により分解させる反応場としての触媒収容手段と、前記触媒収容手段からみてガス流れ方向の下流位置に着脱可能に配置され、混合ガスに含まれる未分解の測定物質を吸着材に吸着させて捕集する捕集手段と、を備え、前記吸着材は、微量濃度の測定物質を濃縮して捕集するとともに、温度変化により捕集した測定物質を脱離させ得る吸着材であることを特徴とする。
【0012】
この触媒活性試験装置は、測定物質を微量濃度で気化させ得る気化手段と、濃縮状態で捕集した測定物質を温度変化により脱離させ得る吸着材を備えた捕集手段との組合せにより、実排ガスに近い濃度で触媒活性を試験することが可能になる。
【0013】
すなわち、吸着材はガス中の微量物質を濃縮する機能と、温度変化により捕集した微量物質を一度に放出(脱離)する機能を持つため、ガス中の測定物質が微量であっても精度良く回収し、速やかに定量に供することができる。これにより、従来の触媒活性試験装置では実現が困難であった実排ガスに近い微量濃度での試験を容易に実施できる。
【0014】
また、上記捕集手段に捕集された測定物質の分析は、操作が簡単で大幅なスピードアップを図ることができるため、大量の触媒候補のスクリーニングに極めて適している。
【0015】
なお、本発明において「測定物質」とは、ある分解触媒が持つ触媒活性を知るために使用される被分解物質であり、例えば、ダイオキシン類等のハロゲン化芳香族化合物に対する分解能を試験するための測定物質としては、ダイオキシン類や、ダイオキシン類の指標物質として用いられるクロロベンゼン類、クロロフェノール類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の第2の態様に係る触媒活性試験装置は、第1の態様において、前記触媒収容手段より上流位置で混合ガスの流れを分岐し、少なくとも一つを流量調整用経路とするとともに、他の分岐された経路に、前記触媒収容手段の上流位置にガス流量を制御する流量制御手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、分岐された経路の少なくとも一つを流量調整用経路としたので、ここから余剰のガスを逃がすことができ、他の経路の流量を流量制御手段によって均等に調整することができる。これにより、一度に複数の触媒候補を同時に試験できるとともに、触媒を配備しないコントロール用の経路を設けることも可能になるため、触媒活性の評価が容易になる。
【0018】
本発明の第3の態様に係る触媒活性試験装置は、第1の態様または第2の態様において、前記触媒収容手段の上流位置のガス経路上に水分を供給する水分供給手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
この特徴によれば、水分供給手段を設け、触媒収容手段の上流位置に接続することにより、触媒反応を水分の存在下で行うことが可能になる。通常、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物の発生が問題となるごみ焼却炉等の排ガス中には、数%〜数十%の水分が含まれているため、水分供給を行うことにより実排ガスに近い条件で触媒活性を測定することが可能になる。
【0020】
また、測定物質として有機化合物を用いて触媒活性を評価する場合、炭素成分が触媒表面に堆積して触媒性能が少しずつ低下していくが、水分を供給することによって、触媒性能の低下を抑制することが可能になる。つまり、水分存在下で触媒性能を評価することによって、測定結果に触媒本来の性能を反映させることができる。
【0021】
本発明の第4の態様に係る触媒活性試験方法は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つに記載の触媒活性試験装置を用いて測定物質を捕集し、前記吸着材に吸着された測定物質を脱離させて定量することを特徴とする。この特徴によれば、触媒活性試験において、第1の態様から第3の態様のいずれかと同様の作用効果を得ることができる。また、未分解測定物質の捕集に使用する吸着材は、捕集した測定物質を温度変化により脱離させ得るため、測定を迅速かつ容易に行える。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る触媒活性試験装置100の概略構成を示す図面である。この触媒活性試験装置100は、主要な構成としてマスフローコントローラー11、気化手段としてのパーミエーター13、ガス混合槽15、分岐された経路71、73、75にそれぞれ配置された流量制御手段としてのマスフローコントローラー21、23、25、流量調整用経路としての経路77、触媒収容手段としての触媒反応装置30、捕集手段としての吸着装置40を備えたものである。また、水分供給手段50からの水供給経路54、56が経路71、73に接続するようになっている。
【0023】
パーミエーター13は、ディフュージョンチューブまたはパーミエーションチューブ(図示せず)を用いた拡散方式による気化器であり、一定範囲の蒸気圧を有する物質であれば、一定速度で安定的に気化させることができるように構成されている。
すなわち、クロロフェノール類などの測定物質の液が充填されたディフュージョンチューブまたはパーミエーションチューブを恒温に保持すると、チューブ内の液の蒸発拡散量が一定になることから、そこに空気や窒素ガスなどの搬送用ガスを定量送ることによって微量濃度の標準ガスを連続的に発生させることができるものである。ガス濃度は、拡散速度と搬送用ガス量から下式に基づき決定できる。
【0024】
【数1】
Figure 2004195386
【0025】
パーミエーター13としては、例えばパーミエーターPD−1B(商品名:株式会社ガステック製)などを利用することができる。拡散速度や混合ガス濃度は、ディフュージョンチューブやパーミエーションチューブの種類、温度、搬送用ガス量を選択することにより調整できる。
【0026】
なお、気化手段としてのパーミエーター13の上流位置には、マスフローコントローラー11を配備して搬送用ガスの流通量を調整するようにしている。また、パーミエーター13の下流位置には、ガス混合槽15を設けて搬送用ガスと測定物質を十分に混合するようにしている。
【0027】
触媒反応装置30は、内部に触媒反応管31、33、35を収容し、温度を正確に制御できるように、例えば恒温槽37などの温度調節手段を備えている。並列的に配備された触媒反応管31、33、35は、図2に例示するように、両端に継手などの接続機構を備えた金属管である。排ガス等に含まれる微量成分に対する触媒性能を評価するためには、数百℃程度の耐熱性を有していればよいため、触媒反応管31、33、35を耐圧容器とする必要はなく、大幅に小型化することができる。図2では、直径12mmのSUS製チューブを使用しており、ハニカム状触媒のほか、粉体触媒の触媒活性の測定にも好適に使用できるものとなっている。
【0028】
吸着装置40は、並列的に配備された吸着管41、43、45により構成されている。吸着管41、43、45としては、測定物質を採取後、そのまま市販のサーマルディソープション装置(例えば、パーキンエルマー社製ATD400:商品名)などにセットしてガスクロマトグラフィー分析装置に接続することにより、測定物質の定量分析を行うことが可能な構造のものを使用することが好ましい。また、ガスクロマトグラフフィー分析の前処理(試料の濃縮等)の目的でガスクロマトグラフィー用熱脱離型吸着捕集器具として市販されている製品(例えば、スペルコ社製熱脱離型捕集管など)を使用することもできる。
【0029】
図3および図4は、吸着装置40の詳細例を示す図面であり、ここでは便宜上、経路71に接続している吸着管41、41を例に挙げて説明するが、他の吸着管43、45についても同様である。図3は吸着管41、41にガスを流通させている状態を、図4はバイパスライン42にガスを流通させている状態を示す。吸着管41、41は、例えばスウェージロック式の外径6mmのチューブ用ユニオン継手48により直列的に接続され、それらの両側ではT字型2方切換バルブ49、49などの着脱自在な接続機構により経路71に接続している。ユニオン継手やT字型2方切換バルブの材質としては、例えばSUSなどが好ましい。吸着管41、41は、例えば外径6mm、内径4mm程度のガラス製もしくは金属製の管であり、管内部はガスの流路を形成するとともに、この部分に測定物質を採取するための吸着材47が充填されている。
【0030】
本発明方法において好適に使用できる吸着材47としては、例えば、グラファイトカーボン系吸着材、ポリフェニレンオキサイド系吸着材、またはこれらの吸着材の混合物を挙げることができる。ここでグラファイトカーボン系吸着材は、非多孔性のグラファイト結晶からなる吸着材で、表面の分散力に依存する相互作用により吸着を行う吸着材であり、例えばカーボトラップ、カーボパック(以上、商品名:スペルコ社製)等の市販品を利用できる。ポリフェニレンオキサイド系吸着材は、2,6−ジフェニレンオキサイド樹脂等を基材とする吸着材であり、例えば、テナックスTA(商品名:スペルコ社製)等の市販品を利用できる。また、グラファイトカーボン系吸着材とポリフェニレンオキサイド系吸着材との混合物としては、例えば、テナックスGR(商品名:スペルコ社製)等の市販品を利用できる。
【0031】
図3において、ジャケット式加熱装置115は、例えば表面が耐熱性繊維等で覆われた電熱式ヒーターであり、吸着管41、41の長さと外径に応じて、その周囲を覆うことができるような大きさと柔軟性を持った構造である。また、図3では温度調節を正確に行うために温度コントローラー117を備えている。温度コントローラー117は、ジャケット式加熱装置115と電気的に接続されており、ガスの温度を検知する温度センサー118と、検知した温度に応じてジャケット式加熱装置115のスイッチをオン/オフし、もしくはその発熱量を増減調節できるような制御機構を備えている。本実施形態では、吸着管41、41を通過するガスの温度を露点を超える100℃未満の温度に維持するため、ジャケット式加熱装置115による加熱温度を調節しながら排ガスの採取が行えるように構成されている。
【0032】
バイパスライン42は、吸着管41、41へのガスの流通を行わず、迂回させるために設けられるものであり、吸着管41、41より上流位置のT字型3方切換バルブ49より分岐し、下流位置の別のT字型3方切換バルブ49において経路71に接続する迂回した流路を形成している。
【0033】
図4は、吸着装置40においてバイパスライン42にガスを流通させている状態を示している。ここでは、T字型2方切換バルブ49、49は、吸着管41、41へガス51を導く流路を閉ざしている一方、バイパスライン42へ開放されている。ガス中の残存測定物質の定量は、吸着管41、41に流通させたガスの体積を基準に算出するものであるから、高い精度での分析を行うためには、流通させるガス量を流通時間により厳密に管理する必要がある。ところが、試験開始直後から吸着管41、41に直接ガスを導いた場合には、吸着管41より上流側の経路71内の体積に相当するガスの分だけ測定物質の定量値に誤差が生じることが避けられない。したがって、ガスの採取を開始する直前まで、好ましくは数分間〜数十分間にわたりバイパスライン42にガスを流通させておき、採取開始時にT字型2方切換バルブ49、49を切り換えることにより、所定量のガスを正確に吸着管41、41に流通させるように構成している。このようにバイパスライン42を使用することにより、測定初期のガス損失を無くし、測定者の熟練によらず確実に触媒性能を評価することができる。
【0034】
4本に分岐された経路71、73、75、77のうち、経路71、73は、触媒を充填した触媒反応管31、33に接続されており、経路75は、コントロール用の触媒無充填の触媒反応管35に接続されている。これらの並列的に分岐された経路71、73、75には、それぞれマスフローコントローラー21、23、25が配備されており、各経路71、73、75のガス流量が均等になるよう調整することができる。つまり、経路を分岐させただけでは、各経路のガス流量は均等にならないので、マスフローコントローラー21、23、25を配置することによって、触媒反応管31、33、35へ向うガス流量を制御できるように構成されている。マスフローコントローラー21、23、25としては、既知の構成の流量制御弁を使用することができる。
【0035】
分岐された経路の残りの1本(経路77)は、流量調整用経路として機能する。この経路77は、経路71、73、75においてマスフローコントローラー21、23、25により流量を均等に制御する結果、余剰のガスが発生するため、その余剰分のガスを逃がすための経路であり、ここを通過する混合ガスは、活性炭81により測定物質が吸着、除去された後、大気中に放出される。
【0036】
以上の構成の触媒活性試験装置100において、搬送用ガスとしての乾燥空気等をマスフローコントローラー11により所定量ずつ供給しながら、パーミエーター13により測定物質を気化させて導入し、混合槽15において十分に混合する。混合ガスは、4本の分岐経路71、73、75、77に分けられる。前記したように、1本の分岐経路77は流量調整用であり、他の3本の分岐経路71、73、75には、それぞれマスフローコントローラー21、23、25が設けられ、混合ガス流量を均等に制御できるようになっている。各分岐経路を通過した混合ガスは、それぞれ触媒反応管31、33、35に導入される。混合ガスは、触媒反応管31、33を通過する際に、被験触媒と接触するため、混合ガス中に含まれる測定物質が分解を受けることになる。
【0037】
触媒作用により分解された混合ガス中の測定物質は、経路71、73を介して吸着装置40に導かれる。また、触媒を充填していない触媒反応管35を通過したガスについては、測定物質がそのまま吸着管45、45に吸着され捕集されることになる。このように、触媒を充填しない経路75を対照として設けることにより、分解性能を正確に評価することができる。従来の触媒活性試験装置(図5参照)では、触媒反応器220が大型であったため、対照用の経路を並列配備することは困難であり、触媒反応器220の前後においてガスをサンプリングして測定物質を定量して比較し、分解率を算出する必要があったが、本発明の触媒活性試験装置100では、触媒反応装置30が小型であるため、並行して対照用の経路75を設けることにより、精度の高い測定を容易に行うことができる。
【0038】
本実施形態の触媒活性試験装置100では、送液ポンプ53、55と水槽51を備えた水供給手段50が設けられており、水供給経路54、56がガスの流れ方向において触媒反応管31、33の上流位置で経路71、73に接続するようになっている。これによって、実排ガスに近い水分条件で触媒の活性を評価できるようになる。また、水分は触媒性能の低下を抑える作用があるので、触媒本来の分解性能を把握することができる。
【0039】
触媒反応装置30を通過した混合ガスは、吸着装置40に導入され、ここで未分解の測定物質が吸着される。吸着管41、43、45の下流には、ガス洗浄装置61、62、ガス乾燥装置63、ガスメーター64、65、66、ガス浄化装置(活性炭)82、83、84が備えてあり、これらを通過した清浄ガスは、大気中に放出される。ガスメーター64、65、66ではガス量が計測される。
【0040】
本発明の触媒活性試験方法は、以上のようにして吸着管41、43、45に捕集された測定物質を、所定温度(例えば120℃から350℃)まで加熱して昇温脱離させ、常法に従いガスクロマトグラフィー等により定量することにより実施される。
【0041】
すなわち、吸着管41等に捕集された測定物質の脱離は、前記したように、吸着管41等を触媒活性試験装置100から取り外し、例えばサーマルディソープション装置(例えば、パーキンエルマー社製ATD400:商品名)などにセットして加熱することにより行うことができる。また、定量分析は、通常のガスクロマトグラフ分析装置等により行うことができる。吸着管41等には、未分解の測定物質が通過したガス流量に比例して濃縮されている。従って、吸着管41、43における未分解測定物質の定量値と、吸着管45における未分解測定物質の定量値と、ガスの総流量から、触媒性能(測定物質の分解率や耐久性など)を算出することができる。
【0042】
【実施例】
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制約されるものではない。
【0043】
なお、触媒活性試験は、以下に示す条件および装置構成によって行った。
【0044】
Figure 2004195386
【0045】
2.粉体触媒を試験する場合
触媒試料:粉体触媒0.03〜1.00g
反応温度:150℃〜300℃
ガス量:1.8〜25リットル/hr
ガス組成:水分10〜35%、純エア(ボンベエア)
測定物質:オルトクロロフェノール(供給量:13.7〜100μg/hr)
【0046】
3.装置構成(図1参照)
(1)パーミエーター:パーミエーターPD−1B(株式会社ガステック社製)を使用した。
(2)マスフローコントローラー:汎用品を使用した。
(3)水供給装置:チューブ式送液ポンプを使用した。触媒反応装置の恒温槽の手前まで100℃程度に加熱保温し、恒温槽内で気化させて本設経路と合流するように設計した。
(4)触媒反応装置:触媒反応管としては、直径12mmのSUSチューブを使用した。反応温度(標準条件で200℃)を精密に制御するために温度調節手段として恒温槽を使用した。
(5)吸着管:吸着材としてテナックスTA(Tenax TA;商品名、スペルコ社製)を250mg充填した直径1/4インチ、長さ89mmのSUSチューブを使用した。
(6)ガスメーター
ガス流通量を測定するため、各経路に汎用のガスメーターを設置した。
(7)オフガス処理
吸着管を通過後のオフガスはガスメーター手前で水洗浄した。また、排気口直前に活性炭吸着層を設置した。
(8)測定物質の定量分析
吸着管にサンプリング後、昇温加熱脱着装置(サーマルディソープション装置;パーキンエルマー社製ATD400;商品名)で測定物質を加熱脱離させ、ガスクロマトグラフィーで分離後、四重極型質量分析計(QMS)で定量した。
【0047】
実施例1
(1)フィード試験:
図1と同様の触媒活性試験装置(但し、1経路)を用い、触媒を充填しない状態でガスを流し、測定物質の供給安定性を確認した。測定物質としては、オルトクロロフェノールを用いた。結果を表1に示した。区分1〜区分3は、同一濃度の測定物質について行った別々の実験である。
【0048】
<測定条件>
パーミエーター温度:50℃
パーミエーターガス量:1リットル/分
パーミエーター慣らし時間:2.5時間
測定物質:o−クロロフェノール265.4ng/リットル
水分供給:なし
反応管温度:200℃
反応管ガス量:210cc/分
吸着管サンプリングガス量:2リットル
【0049】
【表1】
Figure 2004195386
【0050】
(2)製品試験:
図1と同様の触媒活性試験装置を用い、触媒を充填した状態でガスを流し、測定物質の供給安定性を確認した。測定物質としては、オルトクロロフェノールを用いた。測定結果を表2に示した。区分4〜区分7は、同一の濃度の測定物質について行った別々の実験である。
【0051】
<測定条件>
パーミエーター温度:50℃
パーミエーターガス量:1リットル/分
パーミエーター慣らし時間:2.5時間
測定物質:o−クロロフェノール265.4ng/リットル
水分供給:なし
触媒:ハニカム型触媒2.5cc
反応管温度:200℃
吸着管サンプリングガス量:2リットル
【0052】
【表2】
Figure 2004195386
【0053】
以上の結果から、フィードの安定性、測定精度ともに良好であり、分解率95%レベルでの分解率の測定精度は±0.5%以内であった。
【0054】
実施例2
図1と同様の触媒活性試験装置を用い、触媒を充填した状態でガスを流し、分解率を測定した。測定物質としては、オルトクロロフェノールを用いた。その結果を表3に示す。なお、区分8〜区分9は、同一の濃度の測定物質について行った別々の実験である。
【0055】
<測定条件>
パーミエーター温度:50℃
パーミエーターガス量:1リットル/分
パーミエーター慣らし時間:2.5時間
測定物質:o−クロロフェノール265.4ng/リットル
水分供給:なし
触媒:
ハニカム型触媒(5mm□×100mm、1セル)
粉体触媒1(ダイオキシン類分解用触媒 粒径100〜500μm;
0.5g充填)
粉体触媒2(脱硝用触媒 粒径100〜500μm;0.5g充填)
反応管温度:200℃
吸着管サンプリングガス量:2リットル
【0056】
【表3】
Figure 2004195386
【0057】
以上の結果から、本発明触媒活性試験装置の測定精度は、±1%以内の水準であった。また、ハニカム触媒と粉体触媒のどちらの場合も±1%程度の精度で測定できることが示され、触媒性能の高速スクリーニングの目的で十分に使用できることが示された。
【0058】
また、本発明の触媒活性試験装置を用いることにより、従来より試験時間を大幅に短縮できることが明らかとなった。具体的には、従来1週間に5検体が限度であった触媒候補のスクリーニングを1週間に30検体処理することができた。
【0059】
実施例3
ガス中に水分供給を行った以外は実施例2と同様にして試験を行いオルトクロロフェノールの分解率を測定した。水分は、16mg/hrの濃度となるように供給した。触媒としては前記「粉体触媒1」を用いた。なお、区分10〜区分11は、同一の濃度の測定物質について行った別々の実験である。結果を表4に示した。
【0060】
【表4】
Figure 2004195386
【0061】
表4から、水分を供給しながら試験を行うことによりオルトクロロフェノールの分解率が各段に向上することが確認された。従って、水分を供給することにより触媒本来の分解性能を評価できることが明らかとなった。また、水分供給下では誤差も小さく測定精度が高いことが示された。
【0062】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明の触媒活性試験装置によれば、測定物質を微量濃度で気化させ得る気化手段と、捕集した測定物質を温度変化により脱離させ得る吸着材を備えた捕集手段との組合せにより、実排ガスに近い微量濃度の測定物質に対する触媒活性を正確に試験することが可能になる。また、上記気化手段と捕集手段との組合せにより、大幅なスピードアップを図ることができるため、大量の触媒候補のスクリーニングに極めて有用である。
【0064】
本発明の触媒活性試験方法によれば、触媒活性の試験において、上記と同様の作用効果を得ることができる。また、未分解測定物質の捕集に使用する吸着材は、捕集した測定物質を温度変化により脱離させ得るため、測定を迅速かつ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る触媒活性試験装置の概要を示す図面である。
【図2】触媒収容管の一例を示す図面である。
【図3】吸着装置の例を示す図面であり、吸着管にガスが流れている状態を示す。
【図4】吸着装置の例を示す図面であり、バイパスラインにガスが流れている状態を示す。
【図5】従来技術の触媒活性試験装置の概要を示す図面である。
【符号の説明】
11 マスフローコントローラー
13 パーミエーター
15 混合槽
21、23、25 マスフローコントローラー
30 触媒反応装置
31、33、35 触媒反応管
40 吸着装置
41、43、45 吸着管
50 水供給手段
51 水槽
53、55 送液ポンプ
54、56 水供給経路
61、62 ガス洗浄装置
63 ガス乾燥装置
64、65、66 ガスメーター
71、73、75、77 経路
81、82、83、84 活性炭

Claims (4)

  1. 測定物質を所定量ずつ蒸発拡散させて搬送用ガス中に微量濃度で混合する気化手段と、
    前記気化手段から排出される混合ガス中の測定物質を、被試験対象の触媒により分解させる反応場としての触媒収容手段と、
    前記触媒収容手段からみてガス流れ方向の下流位置に着脱可能に配置され、混合ガスに含まれる未分解の測定物質を吸着材に吸着させて捕集する捕集手段と、を備え、
    前記吸着材は、微量濃度の測定物質を濃縮して捕集するとともに、温度変化により捕集した測定物質を脱離させ得る吸着材であることを特徴とする、触媒活性試験装置。
  2. 請求項1において、前記触媒収容手段より上流位置で混合ガスの流れを分岐し、少なくとも一つを流量調整用経路とするとともに、
    他の分岐された経路に、前記触媒収容手段の上流位置にガス流量を制御する流量制御手段を設けたことを特徴とする、触媒活性試験装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記触媒収容手段の上流位置のガス経路上に水分を供給する水分供給手段を設けたことを特徴とする、触媒活性試験装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の触媒活性試験装置を用いて測定物質を捕集し、前記吸着材に吸着された測定物質を脱離させて定量することを特徴とする、触媒活性試験方法。
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