JP2719902B2

JP2719902B2 - 植生シート

Info

Publication number: JP2719902B2
Application number: JP19313495A
Authority: JP
Inventors: 平一宇野
Original assignee: 有限会社岐阜応用資材
Priority date: 1995-07-28
Filing date: 1995-07-28
Publication date: 1998-02-25
Anticipated expiration: 2015-07-28
Also published as: JPH0941382A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、法面、路肩、山
地、ゴルフ場、サッカー場等に、花、野芝、牧草、木本
類等の草木を植生するための植生シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の植生シートは、不織布と不織布、
不織布と紙或は紙と紙を貼合わせ、これらの間に種子、
肥料、土壌改良剤等の混合物を介装している。これらの
植生シートを法面に敷き詰め、その上にネットを掛けて
目串により固定している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述の植生シートには
次の問題点がある。１，不織布は、接着剤で結合されているので強度が大き
い。従って、植物が発芽したとき、芽が不織布の隙間を
貫通して上部へ突出しにくい。この場合、芽は不織布の
下側でもやし状態になり、枯れてしまう。２，不織布は剛性が大きいので、凹凸になじみにくく、
地面から浮いているところができ、発芽状態がばらつ
く。３，地面が乾燥すると、植生シートが伸縮して地面との
間隔が不均一になる。４，植生シートに紙を使用した場合は、破れやすく、保
水力が少ない。５，種子、肥料、土壌改良剤等の混合物の量が少ない。

【０００４】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的は、施工が簡単であり、種子の生育が良
好な植生シートを提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、天然
繊維をカード機で処理して形成した薄いシートと、水溶
性ポリビニールアルコール（ＰＶＡ）フイルムとを重
ね、これらをニードルパンチ法により結合し、水溶性ポ
リビニールアルコールフイルムの表面に種子、肥料、土
壌改良剤等の混合物を取着したところに特徴を有する。

【０００６】請求項２の発明は、水溶性ポリビニールア
ルコール（ＰＶＡ）フイルムの上下に天然繊維をカード
機で処理して形成した薄い上面シート及び下面シートを
重ね、前記水溶性ポリビニールアルコールフイルムと下
面シートとの間に種子、肥料、土壌改良剤等の混合物を
介装し、上面シート、水溶性ポリビニールアルコールフ
イルム及び下面シートをニードルパンチ法により結合し
たところに特徴を有する。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、請求項１にかかる発明の第
１の実施例につき図１を参照して説明する。植生シート
１は、綿、麻等の天然繊維をカード機で処理して形成し
た薄い上面シート２と、水溶性ポリビニールアルコール
（ＰＶＡ）製のフイルム３とを重ね、これら上面シート
２及びフイルム３を、ニードルパンチ法により１平方ｃ
ｍ当り２０〜３０箇所の割合で結合する。

【０００８】つぎに、フイルム３に霧を吹き、ゼリー状
になったフイルム３の表面に種子４ａ、肥料４ｂ、土壌
改良剤４ｃ等の混合物４を散布する。そして、その上に
即溶性の和紙５を重ね、表面を押さえれば、和紙５は、
フイルム３に接着され、混合物４は、その一部がフイル
ム３に埋没するように保持される。この植生シート１
は、乾燥工程を経て、ロール状に巻回して保管される。

【０００９】上面シート２は、天然繊維例えば木綿を反
毛し（反毛綿の長さは２〜１０ｃｍ）、これをカード機
にかけて整毛した超薄状のシートであって、目付けは１
平方メートル当り５〜２０ｇである。この製造工程にお
いては、接着剤は使用しない。フイルム３は、水溶性ポ
リビニールアルコール（ＰＶＡ）から形成され、通気性
を有しており、その厚さは、１５〜２０ミクロンであ
る。

【００１０】混合物４は、種子４ａ、肥料４ｂ、土壌改
良剤４ｃを含むもので、本実施例においては、下記の仕
様のものが用いられている。４ａ種子（目的別に選定）１平方メートル当り２〜２０ｇ４ｂ有機肥料及び緩効性肥料４０〜１００ｇ４ｃ土壌改良材、保温材１００〜３００ｇその他ＰＨ調整剤微量保水剤１０〜２０ｇ

【００１１】図２は、請求項２にかかる第２の実施例を
示すもので、植生シート１１は、水溶性ポリビニールア
ルコール（ＰＶＡ）製のフイルム３の上面に上面シート
２を重ね、フイルム３の下面に、上面シート２と同じ仕
様の下面シート１２を重ね、フイルム３と下面シート１
２との間に混合物４を均等に配置し、最後に、上面シー
ト２、フイルム３、下面シート１２をニードルパンチ法
により結合したものである。

【００１２】これらロール６状に巻回された植生シート
１又は１１は、図３に示すように、混合物４を下側に位
置させて法面Ｇに敷かれる。この場合、フイルム３は乾
燥しているので、植生シート１又は１１を引張りながら
敷き詰める強度に充分耐えられる。そして、１平方ｍ当
り１〜２本の目串または部分覆土により仮留めする。つ
ぎに、植生シート１又は１１の表面に散水（または覆
土）する。水分は、上面シート２、下面シート１２に吸
収され保水されるとともにフイルム３に供給される。植
生シート１又は１１は柔軟になり地面に密着する。

【００１３】この実施例によれば、植生シート１又は１
１は、法面に敷き詰めるときは、上面シート２及び下面
シート１２がフイルム３に結合されて強度を保持してい
るので、敷き詰め作業が確実に実施される。これに散水
すれば、フイルム３が吸水するので軟化し、植生シート
１又は１１は地面に密着する。

【００１４】この水溶性ポリビニールアルコールのフイ
ルム３は、雨が降ったり、地中の水分を吸収すると、順
次溶解され、地面中に浸入して土の団粒化を促進するの
で、種子の根張りが良好になる。また、フイルム３が溶
解すれば、上面シート２は、繊維が並べられた状態とな
るので、種子４ａが発芽すれば、上面シート２の間を貫
通して首をだすので、発芽及び開花の確率が著しく向上
し、従来のように不織布の下側でもやし状態になること
はない。また、上面シート２、下面シート１２、和紙５
も、土壌に還元されるので、自然の景観を損なうことが
ない。

【００１５】植生シート１又は１１は、芝の植生にも応
用できる。従来、ゴルフ場、サッカー場等に野芝を植生
する場合、第１の工法として、富士山麓などの広大な農
場で生育された芝を、約３０ｃｍ角の大きさに切取り、
これをゴルフ場、サッカー場等に運搬して植生してい
る。また、第２の工法としては、直接種子を散布してい
る。野芝の育成には、適温及び適当な湿度を保つことが
絶対条件であるため、芝の上面にマルチングシート（孔
を有するポリエチレンシート）をかぶせ、目串で固定し
ている。そして、芝が根付いたときにマルチングシート
を外していた。

【００１６】然しながら、第１の工法においては、一度
切り取った芝は、再度植生するためには約６ケ月の日時
を要するので、一度に多数の芝が必要のときには即応出
来ないという問題があり、しかも、運搬のための輸送費
用も多くかかる。また、第２の工法においては、マルチ
ングシートを取付け或は取外す作業が面倒であり、しか
も、マルチングシートを取外すために折角生育した野芝
を踏みつけるという問題もある。本願発明により野芝を
植生すれば、野芝を育成する広大な農場が必要とせず、
しかも運搬の費用を省くことができ、しかも、マルチン
グシートを必要としないので、施工が著しく簡単にな
る。出願人の実施例によると、施設費用を約半分に節減
することができた。尚、風の強い海岸や傾斜の強い山地
に施工する場合は、植生シート１又は１１の上に目的に
応じてネットまたはワラコモを掛けて固定すれば、開花
の確率をより大きくすることができる。

【００１７】上記実施例によれば、つぎの効果を奏す
る。１，天然繊維から形成したシート２、１２とフイルム３
とをニードルパンチ法により結合したので、施工面に敷
き詰める場合には強度が大きく、施工が簡単であり、散
水すれば軟化して地面に密着するので発芽むらがない。２，シート２、１２は、天然繊維から形成したので、保
水能力が大きい。

【００１８】３，フイルム３は、雨水が供給されると、
順次溶解され、土の団粒化を促進するので、種子の根張
りが良好になる。４，フイルム３が溶解されると、シート２、１２は結合
力がなくなり繊維が並べられた状態となるので、発芽し
た芽はこれらの隙間から自由に上方へ首をだして生育す
るので、種子が生育する確率が著しく高くなり、従来の
ように枯れることがない。

【００１９】５，上面シート２、下面シート１２、和紙
５は、腐食して土壌に還元されるので、自然の景観を損
なうことがない。また、草刈にも適応できる。６，種子４ａ等の混合物４は、フイルム３に埋没するよ
うに多くの面積で接着されるので保持力が大であり、点
接触で接着していた従来に比して、単位面積当り多くの
量の混合物４を装着できる。７，上面シート２、下面シート１２は、接着剤が塗布さ
れていないので、水分を含むと地面との接着力が大きく
なり、植生シートを固定するための目串の数量を従来に
比べて１／４〜１／５に減少でき、施工作業が簡単にな
る。８，種子４ａ等の混合物４の保持力が大きいので、風雨
に流されることなく、急斜面の施工も簡単にできる。

【００２０】

【発明の効果】本発明は、天然繊維をカード機で処理し
て形成した薄いシートと、水溶性ポリビニールアルコー
ル（ＰＶＡ）フイルムとを重ね、これらをニードルパン
チ法により結合し、水溶性ポリビニールアルコールフイ
ルムの表面に種子、肥料、土壌改良剤等の混合物を取着
したので、施工時には強度が大きく、散水すれば軟化し
て地面に密着するので、施工が簡単である。また、種子
は地面と密着しているので、発芽むらがなく、種子が生
育する確率が著しく高くなるという優れた効果を奏する
ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例における断面図である。

【図２】第２の実施例における断面図である。

【図３】法面に施工する状態を示す図である。

【符号の説明】

１植生シート２上面シート３水溶性ポリビニールアルコールフイルム４混合物４ａ種子４ｂ肥料４ｃ土壌改良剤１１植生シート１２下面シート

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】天然繊維をカード機で処理して形成した
薄いシートと、水溶性ポリビニールアルコール（ＰＶ
Ａ）フイルムとを重ね、これらをニードルパンチ法によ
り結合し、水溶性ポリビニールアルコールフイルムの表
面に種子、肥料、土壌改良剤等の混合物を取着したこと
を特徴とする植生シート。
【請求項２】水溶性ポリビニールアルコール（ＰＶ
Ａ）フイルムの上下に天然繊維をカード機で処理して形
成した薄い上面シート及び下面シートを重ね、前記水溶
性ポリビニールアルコールフイルムと下面シートとの間
に種子、肥料、土壌改良剤等の混合物を介装し、上面シ
ート、水溶性ポリビニールアルコールフイルム及び下面
シートをニードルパンチ法により結合したことを特徴と
する植生シート。