JP2717490B2 - 単水路式魚道、呼び水式魚道及び全面式魚道 - Google Patents

単水路式魚道、呼び水式魚道及び全面式魚道

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JP2717490B2
JP2717490B2 JP5092398A JP9239893A JP2717490B2 JP 2717490 B2 JP2717490 B2 JP 2717490B2 JP 5092398 A JP5092398 A JP 5092398A JP 9239893 A JP9239893 A JP 9239893A JP 2717490 B2 JP2717490 B2 JP 2717490B2
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吉弘 和田
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光郎 豊田
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河川のダム、堰、頭首
工等に付設して魚類等の水棲生物の溯上を可能にする
水路式魚道、呼び水式魚道及び全面式魚道に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、河床にコンクリートを現場打ちし
て魚道を構築する技術が知られている。この現場打ち構
造の魚道は、施工に際して、掘削、配筋、型枠組み、コ
ンクリート打設等の多数の工程からなる本工事の他に、
施工区域を盛土又は矢板で包囲する浸水対策用の付帯工
事、及び、浸水をポンプで常時排水する付帯設備も必要
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来の魚道
によると、工程数が増えて工期が長くなり、かつ施工コ
ストも高くつくという問題点があった。
【0004】そこで、本発明の課題は、短い工期で安価
に施工できる組立式魚道を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の単水路式魚道
は、貯水部を形成する少なくとも三面の立壁を備えるプ
レキャストコンクリート製の魚道ブロックを使用し、階
段状又は連続傾斜面状に勾配を設けた河床に多数の魚道
ブロックを直線的に敷設して組立てることにより、魚道
ブロック同志が積層されることのない直線的な水路を形
成してなる。 本発明の呼び水式魚道は、貯水部を形成す
る少なくとも三面の立壁を備えるプレキャストコンクリ
ート製の魚道ブロックを使用し、呼び水導水路に沿って
階段状又は連続傾斜面状に勾配を設けた河床に多数の魚
道ブロックを直線的に敷設して組立てることにより、魚
道ブロック同志が積層されることのない直線的な水路を
形成してなる。 本発明の全面式魚道は、貯水部を形成す
る少なくとも二面の立壁を備えるプレキャストコンクリ
ート製の魚道ブロックを使用し、階段状又は連続傾斜面
状に勾配を設けた河床に多数の魚道ブロックを縦横に敷
設して組立てることにより、魚道ブロック同志が積層さ
れることのない全面的な水路を形成してなる。
【0006】(1)単水路式魚道又は呼び水式魚道に使用する魚道ブ
ロックの態様を、次に例示する。 二面の側壁と該側壁よりも低い上流壁及び下流壁と
の四面の立壁を備え、該上流壁又は下流壁の上端に越流
面が形成された態様。 同態様において、魚道ブロック
は、一方の側壁と上流壁との二面を備えたブロック要素
と、他方の側壁と下流壁との二面を備えたブロック要素
とに分割形成され、両ブロック要素が接合されて構成さ
れたものでもよい。 階段状に勾配を設けた河床に魚道ブ
ロックを敷設した場合に、下流壁の上部に突設した係止
爪を隣接する魚道ブロックの上流壁に係止させることに
より各魚道ブロックの間に所定の落差を設けることがで
きる。 階段状に勾配を設けた河床に魚道ブロックを敷設
した場合に、下流壁よりも上流壁を高く形成することに
より各魚道ブロックの間に所定の落差を設けることがで
きる。 連続傾斜面状に勾配を設けた河床に魚道ブロック
を敷設した場合に、上流壁と下流壁とを略同じ高さで形
成し、魚道ブロック自体の傾斜により各魚道ブロックの
間に所定の落差を設けることができる。 二面の側壁と該側壁よりも低い中間壁との三面の立
壁を備え、該中間壁の上端に越流面が形成された態様。 二面の側壁と該側壁よりも低い下流壁との三面の立
壁を備え、該下流壁の上端に越流面が形成された態様。 (2)全面式魚道に使用する魚道ブロックの態様を、次
に例示する。 四面の立壁を備え、該立壁の上端に越流面が形成さ
れた態様。 階段状に勾配を設けた河床に魚道ブロックを
敷設した場合に、四面の立壁を二面の低側壁と該低側壁
よりも高い二面の高側壁とで構成することにより各魚道
ブロックの間に所定の落差を設けた請求項11記載の全
面式魚道。 連続傾斜面状に勾配を設けた河床に魚道ブロ
ックを敷設した場合に、四面の立壁を略同じ高さで形成
し、魚道ブロック自体の傾斜により各魚道ブロックの間
に所定の落差を設けた請求項11記載の全面式魚道。 二面の立壁を備え、該立壁の上端に越流面が形成さ
れた態様。 (3)魚道の底壁には、次の二通りがある。 立壁に加えて底壁を備えるようにプレキャスト成形
された魚道ブロックを使用する。 立壁を備えるが底壁は備えないようにプレキャスト
成形された魚道ブロックを使用し、河床に据え付けた魚
道ブロックの底部にコンクリートを打設することにより
底壁を形成する。 (4)その他、次のような態様を例示できる。 越流面の少なくとも一部を、下流側より上流側の方
が高くなるように傾斜又は湾曲させる。 越流面の上端の一部のレベルを残部のレベルより低
くする。 魚道ブロックの外面に凹凸模様を設ける。 魚道ブロックの内面に凹凸模様を設ける。 魚道ブロックの外側に階段を設ける。 魚道ブロックの内側に踏段を設ける。
【0007】
【作用】本発明の単水路式魚道、呼び水式魚道又は全面
式魚道によれば、プレキャストコンクリート製の魚道ブ
ロックを使用するので、魚道本体の施工に際し、配筋工
程、型枠組み工程、コンクリート打設工程等を省略して
短期間に施工できる。しかも、魚道ブロックは河床に少
々の水が残っていても支障なく敷設できるため、浸水対
策用の付帯工事及び排水設備等を省略して安価に施工す
ることができる。また、魚道ブロックの数を変えるだけ
で、任意高さの堰に対応した魚道を構築することができ
る。さらに、魚道ブロック同志が積層されることのない
直線的な水路又は全面的な水路を形成するので、魚道ブ
ロックにさほど高い強度が要求されない。また、直線的
な水路又は全面的な水路を下降する水は、遠心力を伴わ
ないので、過剰に加遠されず、遡上する魚類にとって最
も好ましい流速(選好流速)を得やすい。
【0008】
【実施例】まず、本発明の第一実施例を図1〜図7に基
づいて説明する。図1及び図2に示すように、第一実施
例の組立式魚道1は呼び水式魚道としての平面構造と、
階段式魚道としての立面構造とを備えている。この組立
式魚道1は堰2の上流側において呼び水導水路3の両側
に設置されている。組立式魚道1及び呼び水導水路3は
河岸壁4と仕切壁5との間の河川内領域に構築され、そ
れらの上流端は計画水位に相当する高さに位置し、ま
た、下流端は堰2の切欠部6の下部に挿入されている。
そして、堰2より下流側の魚が呼び水導水路3からの急
速放水流FFにより河岸に呼び寄せられ、組立式魚道1
からの緩速放水流SFを感知して入口8を発見し、組立
式魚道1を溯上して出口7から堰2の上流側に到達でき
るようになっている。
【0009】組立式魚道1は多数の魚道ブロック10が
敷設され組立てられてなるもので、各魚道ブロック10
は所定の勾配で階段状に掘削された河床RB上に栗石1
1及び捨コンクリート12を介して水平に敷設されてい
る。図2〜図5に示すように、魚道ブロック10は補強
鉄筋入りコンクリートにより上面が開放した箱形にプレ
キャスト成形され、平面長四角形の四面の立壁13と底
壁14とを備えている。そして、立壁13及び底壁14
により流水を一時的に溜める貯水部15が形成され、こ
こに自然石16を敷き詰めて流速を緩和し、水棲生物に
適した棲息環境を形成できるようになっている。なお、
魚道1の勾配は、例えば1:30〜2:30であり、魚
道ブロック10の大きさは、例えば縦3m、横2m、高
さ1mである。
【0010】立壁13は左右の側壁13aと、それより
も低い(例えば、20cm)上流壁13b及び下流壁1
3cとの四面を備え、それらの内側面はテーパ状に形成
されている。下流壁13cの上部には係止爪18が外側
へ突設され、この係止爪18を隣接する魚道ブロック1
0の上流壁13bに係止することにより、各魚道ブロッ
ク10の間に所定の落差(例えば、10〜20cm)が
設けられている。上流壁13b及び下流壁13cには連
結孔19が貫設され、ここに挿通されるボルト20によ
り各魚道ブロック10が連結される。なお、係止爪18
の下面は上流壁13bの上端面に線接触するように斜状
に形成されている。
【0011】そして、相接合する上流壁13b及び下流
壁13cにより各魚道ブロック10の間に隔壁部21が
設けられ、この隔壁部21を介して貯水部15が接続さ
れている。隔壁部21の上端には係止爪18の傾斜面に
よって越流面22が形成され、この越流面22に沿って
魚fが隔壁部21を乗り越え、組立式魚道1を溯上する
ようになっている。なお、越流面22の傾斜角度は45
゜前後が好ましい。
【0012】上記のように構成された組立式魚道1を施
工する場合には、呼び水導水路3及び仕切壁5が堰2の
上流側に通常のコンクリート施工法により構築された
後、まず、呼び水導水路3の両側の河床RBが階段状に
掘削され、次いで、その掘削面に栗石11及び捨コンク
リート12が敷設される。続いて、専用工場でプレキャ
スト成形された多数の魚道ブロック10が捨コンクリー
ト12上に下流側から上流側へ順次敷設される。
【0013】各魚道ブロック10の連結に際しては、下
流壁13cの係止爪18が隣接する魚道ブロック10の
上流壁13bに係止され、上流壁13b及び下流壁13
cが相接合する状態でボルト20により連結される。こ
うすれば、各魚道ブロック10の間にそれぞれ同等の落
差を容易に設けることができる。その後、各貯水部15
に自然石16が敷き詰められ、これをもって組立式魚道
1が完成する。
【0014】このように、第一実施例の組立式魚道1に
よれば、プレキャストコンクリート製の魚道ブロック1
0を使用しているので、本体工事に際して配筋工程、型
枠組み工程、コンクリート打設工程等を省略でき、組立
式魚道1を少ない工程数で短期間に施工することができ
る。しかも、魚道ブロック10は河床RBに少々の水が
残っていても支障なく敷設できるため、渇水期等に施工
すれば、浸水対策用の付帯工事や排水設備等を省略でき
て、施工費を大幅に削減することができる。
【0015】また、第一実施例の組立式魚道1は堰2の
上流側に設けられた呼び水式魚道であるから、魚は堰2
の直前で迷うことなく組立式魚道1側へ誘導され、入口
8を容易に発見して組立式魚道1を溯上する。組立式魚
道1においては、隔壁部21の上端に斜状の越流面22
が形成されているので、魚がこの越流面22を楽に乗り
越えて上流側の貯水部15に到達でき、その結果、特に
稚魚の溯上率を向上することができる。
【0016】図6は図3の魚道ブロック10の変形例を
示すものである。この魚道ブロック10は立壁13のみ
を備えた底無しの箱形にプレキャスト成形されている。
そして、施工に際しては、魚道ブロック10が定規ブロ
ック24を用いて河床RB上に据え付けられ、栗石11
上にコンクリートが打設されて、魚道ブロック10の底
部に底壁14が形成される。これによれば、魚道ブロッ
ク10の製品重量を軽量化でき、捨コンクリートが不要
になるとともに、河床RBとの一体性を良くして安定状
態で据え付けでき、かつ、水平度を容易に調整できる利
点がある。また、最大流速に合わせて、底盤14のコン
クリート厚さを変え、掃流力に対応する自重を得ること
もできる。
【0017】図7は魚道ブロック10の別の変形例を示
すもので、ここでは、下流壁13cの上端面において、
外側コーナ部に大径アール26が、内側コーナ部に小径
アール27が形成されている。こうすれば、越流面22
がアール26,27を含んで上流側へ拡張されるので、
魚が隔壁部をより楽に溯上できるようになる。また、こ
の魚道ブロック10においては、魚が魚道外へ飛び出さ
ないように、側壁13aが上流壁13b及び下流壁13
cよりも、図5の魚道ブロック10と比較して、さらに
高く成形されている。
【0018】次に、本発明の第二実施例を図8に基づい
て説明する。第二実施例の組立式魚道1は第一実施例と
同様の魚道ブロック10を使用して、堰2の下流側に階
段状に設置されている。呼び水式魚道を構成する場合
は、この組立式魚道1が呼び水導水路に沿って2列また
は1列で施工される。また、1列の組立式魚道1のみに
より単水路式魚道を構成することも可能である。いずれ
の場合も、組立式魚道1が堰2の下流側に設けられてい
るため、第一実施例とは異なり、組立式魚道1を本流か
ら仕切る仕切壁が不要となり、全体をより簡易に施工で
きる。また、呼び水式魚道の場合は、呼び水導水路をプ
レキャストコンクリート製のU字ブロックを用いて施工
してもよい。なお、この魚道ブロック10は他方式の魚
道、例えば全面魚道に使用することもできる。
【0019】次に、本発明の第三実施例を図9〜図22
に基づいて説明する。図9に示すように、第三実施例の
組立式魚道1は階段式の全面魚道であり、多数の魚道ブ
ロック10が堰より下流の河川内領域に縦横に敷設され
組立てられてなるものである。図10〜図12に示すよ
うに、魚道ブロック10は平面正方形の立壁13と底壁
14とから上面が開放した箱形にプレキャスト成形され
ている。立壁13は対角線の両側に低側壁13dと高側
壁13eとを対称状に備え、それらの上端部内側面には
45゜の傾斜面28が形成されている。なお、魚道ブロ
ック10の大きさは、例えば、縦及び横2m、高さ1m
である。
【0020】施工に際しては、低側壁13dが下流側に
隣接する魚道ブロック10の高側壁13eに接合され、
高側壁13eは上流側に隣接する魚道ブロック10の低
側壁13dに接合され、両側壁13d,13eの高低差
によって各魚道ブロック10の間に所定の落差が設けら
れる。また、両側壁13d,13eにより各魚道ブロッ
ク10の間に隔壁部21が設けられ、その上端には傾斜
面28によって山形の越流面22が形成される。図9に
示すように、越流面22は組立式魚道1を縦横に延びる
ため、魚が例えば矢印で示すような泳路を選択できて、
溯上方向の自由度を向上することができる。なお、立壁
13を高側壁13eの二面のみとし、各魚道ブロック1
0の間の隔壁部が一枚の高側壁13eだけで構成される
ようにすることもできる。
【0021】図13〜図16は図10の魚道ブロック1
0の変形例を示すものである。この魚道ブロック10は
立壁13のみを備え、底壁14を現場打ちするように構
成されている。立壁13の上端外周には目地溝29が設
けられ、図15に示すように、施工に際しては、相接合
する低側壁13d及び高側壁13eの目地溝29にモル
タルを詰めて水漏れ防止用の目地30が形成される。ま
た、図16に示すように、魚道ブロック10の落差を調
整する場合に、目地30を斜状に形成することによって
越流面22の段差を緩和することができる。
【0022】図17〜図19は図13の魚道ブロック1
0の変形例を示すものであり、ここでは、隔壁部21の
越流面22が低側壁13d及び高側壁13eに設けた部
分円筒面31によって曲面状に形成されている。この形
状の越流面22によっても、高い溯上率を期待できる。
また、図18及び図19に示すように、立壁13に目地
溝29を設け、落差調整時に生じた越流面22の段差を
目地30で塞ぐようにしてもよい。
【0023】図20〜図22は図10の魚道ブロック1
0の別の変形例を示すもので、ここでは、低側壁13d
に外向傾斜面32が、高側壁13eに内向傾斜面33が
それぞれ45゜の角度で形成されていて、両側壁13
d,13eを接合したときに、隔壁部21の上端に下流
側から上流側に向って高くなる越流面22が立壁13の
コーナ部を含めて形成されるようになっている。この構
成によれば、図21に示すように、急傾斜の河床RBに
組立式魚道1を大きな落差で敷設する場合に、遡上に適
した傾度の越流面22を隔壁部21に形成できるととも
に、図22に矢印で示すように、魚が組立式魚道1を縦
横にかつ斜めにも溯上できて、溯上方向の自由度をより
一層向上できる。なお、この変型例において、立壁13
を低側壁13dの二面又は高側壁13eの二面のみと
し、各魚道ブロック10の間の隔壁部が一枚の低側壁1
3d又は高側壁13eだけで構成されるようにすること
もできる。
【0024】次に、本発明の第四実施例を図23〜図2
8に基づいて説明する。図23に示すように、第四実施
例の組立式魚道1は堰2の下流側に設置された傾斜式魚
道であり、多数の魚道ブロック10が河床RBの連続傾
斜面上に敷設され組立てられてなるものである。図24
及び図25に示すように、魚道ブロック10は平面長四
角形の立壁13と底壁14とを備え、立壁13の上流壁
13b及び下流壁13cはそれぞれ同じ高さで成形さ
れ、それらの上端には部分円筒面31と目地溝29とが
設けられている。下流壁13cの外面に設けられた溝に
は渇水時の水漏れを防ぐパッキン35が取付けられ、同
外面の縁にも目地溝29が設けられている。
【0025】そして、施工に際しては、図26に示すよ
うに、隣接する魚道ブロック10の上流壁13b及び下
流壁13cがパッキン35を介して相接合する状態でボ
ルト20により連結され、部分円筒面31により隔壁部
21の上端に曲面状の越流面22が形成されとともに、
目地溝29に目地30が設けられる。従って、この組立
式魚道1によれば、階段式と比較して河床RBを容易に
掘削でき、その上にプレキャストコンクリート製の魚道
ブロック10を敷設するだけの簡単な施工方法で、組立
式魚道1を短期間にかつ安価に施工することができる。
なお、立壁13を両側壁13aと上流壁13bとの三面
のみとし、各魚道ブロック10の間の隔壁部が一枚の上
流壁13bだけで構成されるようにすることもできる。
【0026】図27及び図28は図24の魚道ブロック
10の変形例を示すものである。図27の魚道ブロック
10においては、隔壁部21の越流面22が上流壁13
b及び下流壁13cの傾斜面28によって山形に形成さ
れている。図28の魚道ブロック10は底無しの箱形に
プレキャスト成形され、定規ブロック24を用いて河床
RB上に据え付けられ、底壁14が現場打ちされる。ま
た、側壁13aが上流壁13b及び下流壁13cより
も、図27の魚道ブロック10と比較して、さらに高く
成形されている。さらに、上流壁13b及び下流壁13
cの上端からやや下った位置には図24のものより大き
い目地溝29が設けられ、この目地溝29に目地30が
設けられることにより、上下方向の剪断力に耐えられる
ようになっている。
【0027】次に、本発明の第五実施例を図29〜図3
1に基づいて説明する。組立式魚道1は傾斜式の全面魚
道であり、多数の魚道ブロック10が河床RBの連続傾
斜面上に縦横に敷設され組立てられてなるものである。
魚道ブロック10は平面正方形の立壁13のみを備え、
4枚の側壁13aがそれぞれ同じ高さで成形され、それ
らの上端には部分円筒面31と目地溝29とが設けられ
ている。この組立式魚道1によれば、簡単な形状の安価
な魚道ブロック10を使用でき、河床RBを容易に掘削
でき、その上に魚道ブロック10を簡単に位置決めして
敷設でき、加えて、溯上方向の自由度も確保できるとい
う利点がある。
【0028】次に、本発明の第六実施例を図32に基づ
いて説明する。ここでは、組立式魚道1が模様付きの魚
道ブロック10で構成されている。魚道ブロック10の
内面及び外面に、例えば自然石を模した凹凸模様37が
設けられている。これによれば、人工感が薄らぐため、
組立式魚道1を河川及び周辺の自然環境に調和させるこ
とができる。また、内面側の凹凸模様37に藻等が付着
しやすくなるため、貯水部15の棲息環境を改善できる
とともに、組立式魚道1の明度を低くして高い溯上率を
期待できる。
【0029】次に、本発明の第七実施例を図33に基づ
いて説明する。ここでは、特定の魚道ブロック10の外
側に階段39が付設されるとともに、全部の魚道ブロッ
ク10の内側に踏段40が設けられている。階段39は
魚道観察や溯上調査等に役立ち、踏段40は水難事故防
止に役立つ。なお、階段39及び踏段40は魚道ブロッ
ク10に一体成形してもよく、別体品を添設してもよ
い。また、同図に鎖線で示すように、階段39及び踏段
40を魚道ブロック10と同じ長さにしたり、全ての魚
道ブロック10に設けたりすることにより、観察性及び
事故防止性を高めたり、全体重量が増加するので、増水
時の掃流抵抗を増したり、組立式魚道1の一部又は全部
の流出を生じにくくしたりすることもできる。
【0030】次に、図34は本発明の第八実施例を示
し、この組立式魚道1では、魚道ブロック10が、一方
の側壁13aと上流壁13bとの二面を備えたブロック
要素10aと、他方の側壁13aと下流壁13cとの二
面を備えたブロック要素10bとに分割形成され、両要
素10a,10bがボルト41で接合されて構成されて
いる。この実施例によれば、魚道ブロック10のプレキ
ャスト成形が容易になり、形状の自由度が高くなり、運
搬効率も良くなるという利点がある。
【0031】また、図35は本発明の第九実施例を示
し、ここでは、一方の側壁13aと上流壁13bとの二
面を備えた魚道ブロック10が使用されている。この魚
道ブロック10が縦横に敷設されL形金具42及びボル
トで連結されることにより、組立式魚道1が構築され、
隣り合う魚道ブロック10の側壁13aが他方の側壁と
して機能するようになっている。魚道ブロック10の突
き合わせ部はモルタルでシールすることが好ましい。こ
の実施例によれば、魚道ブロック10の構造がより簡単
になり、材料を節減でき、運搬効率も良くなるという利
点がある。
【0032】また、図36は本発明の第十実施例を示
し、この組立式魚道1では、両方の側壁13aと、それ
らの中間部を連結する中間壁13fとの三面を備え、中
間壁13fの上端に越流面22が形成されてなる魚道ブ
ロック10が使用されている。この越流面22は、中間
壁13fの上端の一部(図では中央部であるが端部でも
よい)において残部よりレベルが低くなるように形成さ
れている。この実施例によっても、魚道ブロック10の
構造がより簡単になり、材料を節減できるという利点が
ある。また、越流面22のレベルが高低2種類あるた
め、水深や魚の寸法に応じ、魚がそのレベルを選択して
乗り越えることができる。
【0033】また、図37は本発明の第十一実施例を示
し、この組立式魚道1では、両方の側壁13aと下流壁
13cとの三面を備えた魚道ブロック10が使用されて
いる。下流壁13cの一部は側壁13aの下流端より突
出し、隣りの魚道ブロック10の両側壁13a,13a
間に嵌合するようになっている。この実施例によって
も、魚道ブロック10の構造がより簡単になり、材料を
節減できるという利点がある。
【0034】なお、本発明は上記各実施例に限定される
ものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の
形状並びに構成を適宜に変更して具体化することも可能
である。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の単水路式
魚道、呼び水式魚道又は全面式魚道によれば、プレキャ
ストコンクリート製の魚道ブロックを使用して、魚道を
短い工期で安価に施工でき、また、その魚道ブロックの
数を変えるだけで、任意高さの堰に対応した魚道を構築
できる。さらに、直線的な水路又は全面的な水路を形成
するので、魚道ブロックにさほど高い強度が要求されな
いとともに、水路を下降する水が過剰に加速されず、選
好流速を得やすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例の組立式魚道を示す平面図
である。
【図2】同組立式魚道の断面図である。
【図3】同組立式魚道に用いられる魚道ブロックの斜視
図である。
【図4】同魚道ブロックの平面図である。
【図5】同魚道ブロックの断面図である。
【図6】同魚道ブロックの変形例を示す断面図である。
【図7】同魚道ブロックの別の変形例を示す断面図であ
る。
【図8】本発明の第二実施例の組立式魚道を示す断面図
である。
【図9】本発明の第三実施例の組立式魚道を示す斜視図
である。
【図10】同組立式魚道に用いられる魚道ブロックの斜
視図である。
【図11】同魚道ブロックの平面図である。
【図12】同魚道ブロックの断面図である。
【図13】同魚道ブロックの変形例を示す斜視図であ
る。
【図14】図13の魚道ブロックの平面図である。
【図15】図13の魚道ブロックの断面図である。
【図16】図13の魚道ブロックの作用を説明する部分
断面図である。
【図17】図13の魚道ブロックの変形例を示す断面図
である。
【図18】図17の魚道ブロックの変形例を示す断面図
である。
【図19】図18の魚道ブロックの作用を説明する断面
図である。
【図20】図10の魚道ブロックの別の変形例を示す斜
視図である。
【図21】図20の魚道ブロックの断面図である。
【図22】図20の魚道ブロックを用いて施工した組立
式魚道を示す平面図である。
【図23】本発明の第四実施例の組立式魚道を示す断面
図である。
【図24】同組立式魚道に用いられる魚道ブロックの斜
視図である。
【図25】同魚道ブロックの平面図である。
【図26】同魚道ブロックの断面図である。
【図27】同魚道ブロックの変形例を示す断面図であ
る。
【図28】同魚道ブロックの別の変形例を示す断面図で
ある。
【図29】本発明の第五実施例の組立式魚道を示す平面
図である。
【図30】同組立式魚道に用いられる魚道ブロックの斜
視図である。
【図31】同魚道ブロックの断面図である。
【図32】本発明の第六実施例の組立式魚道を示す斜視
図である。
【図33】本発明の第七実施例の組立式魚道を示す斜視
図である。
【図34】本発明の第八実施例の組立式魚道を示す斜視
図である。
【図35】本発明の第九実施例の組立式魚道を示す斜視
図である。
【図36】本発明の第十実施例の組立式魚道を示す斜視
図である。
【図37】本発明の第十一実施例の組立式魚道を示す斜
視図である。
【符号の説明】
1 組立式魚道 10 魚道ブロック 13 立壁 15 貯水部 21 隔壁部 22 越流面 RB 河床
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 寿夫 岐阜県岐阜市明徳町10番地 昭和コンク リート工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−197309(JP,A) 特公 昭60−25562(JP,B2)

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貯水部を形成する少なくとも三面の立壁
    を備えるプレキャストコンクリート製の魚道ブロックを
    使用し、階段状又は連続傾斜面状に勾配を設けた河床に
    多数の前記魚道ブロックを直線的に敷設して組立てるこ
    とにより、前記魚道ブロック同志が積層されることのな
    い直線的な水路を形成してなる単水路式魚道。
  2. 【請求項2】 貯水部を形成する少なくとも三面の立壁
    を備えるプレキャストコンクリート製の魚道ブロックを
    使用し、呼び水導水路に沿って階段状又は連続傾斜面状
    に勾配を設けた河床に多数の前記魚道ブロックを直線的
    に敷設して組立てることにより、前記魚道ブロック同志
    が積層されることのない直線的な水路を形成してなる呼
    び水式魚道。
  3. 【請求項3】 貯水部を形成する少なくとも二面の立壁
    を備えるプレキャストコンクリート製の魚道ブロックを
    使用し、階段状又は連続傾斜面状に勾配を設けた河床に
    多数の前記魚道ブロックを縦横に敷設して組立てること
    により、前記魚道ブロック同志が積層されることのない
    全面的な水路を形成してなる全面式魚道。
  4. 【請求項4】 前記魚道ブロックは、二面の側壁と該側
    壁よりも低い上流壁及び下流壁との四面の立壁を備え、
    該上流壁又は下流壁の上端に越流面が形成された請求項
    1又は2記載の単水路式魚道又は呼び水式魚道。
  5. 【請求項5】 前記魚道ブロックは、一方の側壁と上流
    壁との二面を備えたブロック要素と、他方の側壁と下流
    壁との二面を備えたブロック要素とに分割形成され、両
    ブロック要素が接合されて構成された請求項4記載の単
    水路式魚道又は呼び水式魚道。
  6. 【請求項6】 階段状に勾配を設けた河床に前記魚道ブ
    ロックを敷設した場合に、前記下流壁の上部に突設した
    係止爪を隣接する魚道ブロックの上流壁に係止させるこ
    とにより各魚道ブロックの間に所定の落差を設けた請求
    項4又は5記載の単水路式魚道又は呼び水式魚道。
  7. 【請求項7】 階段状に勾配を設けた河床に前記魚道ブ
    ロックを敷設した場合に、前記下流壁よりも上流壁を高
    く形成することにより各魚道ブロックの間に 所定の落差
    を設けた請求項4又は5記載の単水路式魚道又は呼び水
    式魚道。
  8. 【請求項8】 連続傾斜面状に勾配を設けた河床に前記
    魚道ブロックを敷設した場合に、前記上流壁と下流壁と
    を略同じ高さで形成し、前記魚道ブロック自体の傾斜に
    より各魚道ブロックの間に所定の落差を設けた請求項4
    又は5記載の単水路式魚道又は呼び水式魚道。
  9. 【請求項9】 前記魚道ブロックは、二面の側壁と該側
    壁よりも低い中間壁との三面の立壁を備え、該中間壁の
    上端に越流面が形成された請求項1又は2記載の単水路
    式魚道又は呼び水式魚道。
  10. 【請求項10】 前記魚道ブロックは、二面の側壁と該
    側壁よりも低い下流壁との三面の立壁を備え、該下流壁
    の上端に越流面が形成された請求項1又は2記載の単水
    路式魚道又は呼び水式魚道。
  11. 【請求項11】 前記魚道ブロックは四面の立壁を備
    え、該立壁の上端に越流面が形成された請求項3記載の
    全面式魚道。
  12. 【請求項12】 階段状に勾配を設けた河床に前記魚道
    ブロックを敷設した場合に、前記四面の立壁を二面の低
    側壁と該低側壁よりも高い二面の高側壁とで構成するこ
    とにより各魚道ブロックの間に所定の落差を設けた請求
    項11記載の全面式魚道。
  13. 【請求項13】 連続傾斜面状に勾配を設けた河床に前
    記魚道ブロックを敷設した場合に、前記四面の立壁を略
    同じ高さで形成し、前記魚道ブロック自体の傾斜により
    各魚道ブロックの間に所定の落差を設けた請求項11記
    載の全面式魚道。
  14. 【請求項14】 前記魚道ブロックは二面の立壁を備
    え、該立壁の上端に越流面が形成された請求項3記載の
    全面式魚道。
  15. 【請求項15】 前記立壁に加えて底壁を備えるように
    プレキャスト成形された魚道ブロックを使用した請求項
    1〜14のいずれか一項に記載の単水路式魚道、呼び水
    式魚道又は全面式魚道。
  16. 【請求項16】 前記立壁を備えるが底壁は備えないよ
    うにプレキャスト成形された魚道ブロックを使用し、河
    床に据え付けた前記魚道ブロックの底部にコンクリート
    を打設することにより底壁を形成した請求項1〜14の
    いずれか一項 に記載の単水路式魚道、呼び水式魚道又は
    全面式魚道。
  17. 【請求項17】 前記越流面の少なくとも一部を、下流
    側より上流側の方が高くなるように傾斜又は湾曲させた
    請求項4、9、10、11又は14のいずれか一項に記
    載の単水路式魚道、呼び水式魚道又は全面式魚道。
  18. 【請求項18】 前記越流面の上端の一部のレベルを残
    部のレベルより低くした請求項4、9、10、11、1
    4又は17のいずれか一項に記載の単水路式魚道、呼び
    水式魚道又は全面式魚道。
  19. 【請求項19】 前記魚道ブロックの外面に凹凸模様を
    設けた請求項1〜18のいずれか一項に記載の単水路式
    魚道、呼び水式魚道又は全面式魚道。
  20. 【請求項20】 前記魚道ブロックの内面に凹凸模様を
    設けた請求項1〜19のいずれか一項に記載の単水路式
    魚道、呼び水式魚道又は全面式魚道。
  21. 【請求項21】 前記魚道ブロックの外側に階段を設け
    た請求項1〜20のいずれか一項に記載の単水路式魚
    道、呼び水式魚道又は全面式魚道。
  22. 【請求項22】 前記魚道ブロックの内側に踏段を設け
    た請求項1〜21のいずれか一項に記載の単水路式魚
    道、呼び水式魚道又は全面式魚道。
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