JP3055895B2 - 波浪制御構造物及びその施工方法 - Google Patents
波浪制御構造物及びその施工方法Info
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Description
して用いられる波浪制御構造物に関するものであり、特
に越波の低減に優れた波浪制御構造物に関するものであ
る。
波浪の来襲のおそれがある。そこで、臨海地域の安全性
を高めるために、越波に対する低減効果に優れた護岸が
必要である。又、防波堤も同様に優れた越波に対する低
減効果が求められる。
て消波ブロックを被覆するように積みあげる消波ブロッ
ク被覆型護岸や海底から消波ブロックを積み上げる防波
堤が多く採用されてきた。 消波ブロックを用いた護岸
や防波堤は、積み上げられた消波ブロックの隙間を波が
通過する際に、流れの乱れと摩擦によって減衰させるも
のであり、短周期から長周期の波に対して比較的一様に
反射波及び越波に対する低減効果が得られる。
ロックを高く積み上げねばならず、消波ブロックを多量
に使用するため、建設費が高くなる。
波型護岸)が注目されているが、スリットケーソンはそ
の構造(開口率等),規模(主に遊水部の幅等)によっ
て、効果が期待できる波の周期が限定されることがわか
っており、越波効果がある周期帯が限定されるため、外
洋に面した地域のように来襲波の出現周期帯が広い場合
には十分な効果が期待できない。
岸と同様の越波に対する低減効果が得られ、しかも低い
コストで構築できる護岸や防波堤として、ケーソンの天
端部に柱列が1列又は複数列配置された波浪制御構造物
が提案されている(図1は本発明を示した図であるが、
柱列を構成する柱の形状と配置以外は同じ構成であるの
で、概要は同図を参照のこと)。
及び越波を低減する構造となっているので、消波ブロッ
ク被覆型護岸のように多量の消波ブロックを積み上げる
必要が無く、低いコストで護岸や防波堤を構築すること
ができる。
元造波水路と縮尺模型を用いて各種実験を行ったとこ
ろ、ある程度までは開口率(「柱間の開口幅と柱径の合
計」に対する柱間の開口幅の割合)が小さくなるに従っ
て平均越波量が小さくなる傾向があるが、開口率を更に
小さくしていくと、かえって平均越波量が増大する傾向
にあることがわかった。考察の結果、これは開口率を小
さくする場合、遊水部(ケーソンの天端の海側端から越
波排水路の海側壁までの間)に溜まった水はけが悪くな
り、遊水部の水位が上昇して越波量が増大することが原
因であることが判明した。
端部に柱列が配置された波浪制御構造物において、侵入
する波を効率よく低減させ、しかも一旦遊水部に入った
海水の水はけを良好にすることにより越波に対する低減
効果を更に高めることが課題となる。更には、施工や柱
列を構成する柱の交換等の保守を容易にすることを可能
とすることを課題とする。
(1)の天端部(1a)に柱列が1列又は複数列配置された波
浪制御構造物であって、天端部(1a)に柱設置のための据
付ホール(6)が1列又は複数列設けられたケーソン(1)
と、該据付ホール(6)に立てられた柱(2),(3)と、該据
付ホール(6)と該柱(2),(3)との間に設置されたプレキ
ャストブロック(7)と、プレキャストブロック(7)と据付
ホール(6)との隙間に充填された低強度コンクリート(8)
又は転圧土と、据付ホール(6)の上層部に充填された高
強度コンクリート(9)とからなり、柱(2),(3)の上端部
には波返し部(2a),(3a)が形成されており、柱(2),(3)
の水平断面形状は略D形であり、柱(2),(3)の平面部(2
b),(3b)側が海側となるように配されていることを特徴
とする。
波返し部(2a),(3a)により越波量の低減効果を更に高め
ることができると共に、水平断面形状を略D形にするこ
とにより、ケーソン(1)上の遊水部に入ろうとする波は
柱の平面部に当たるため効率的に侵入する波が低減され
る。そして、柱の陸側は円弧状となっているために一旦
遊水部に入った海水が海に戻る際に抵抗を生じさせにく
く、遊水部の水はけを良好にすることができる。しかも
柱の取り付けを容易、且つ安価に行うことができ、柱が
破損した場合も容易に交換可能である。
波浪制御構造物において、柱列は2列設けられており、
後列の柱(3)は前列の柱(2)相互間の後方に配されている
ことを特徴とする請求項1記載の波浪制御構造物。
列の柱(3)と衝突しやすくなり、越波に対する低減効果
が大きくなる。
求項1又は請求項2記載の波浪制御構造物の施工方法で
あって、天端部(1a)に柱設置のための複数の据付ホール
(6)を有したケーソン(1)を施工し、次いで据付ホールに
柱(2),(3)を立て、据付ホール(6)と柱(2),(3)との間
にプレキャストブロック(7)を設置し、次いでプレキャ
ストブロック(7)と据付ホール(6)との隙間に低強度コン
クリート(8)又は転圧土を充填し、次いで据付ホール(6)
に高強度コンクリート(9)を充填する工程を有すること
を特徴とする。
易、且つ安価に行うことができ、柱が破損した場合も容
易に交換することができる。
いて説明する。
断面図、(B)は平面図である。図中(1)はケーソンであ
り、その天端部(1a)上には前列(海側)と後列(陸側)
の前後計2列の柱列が設置されている。
ンクリート、プレストレスコンクリート、鋼管コンクリ
ート、鋼管及び金属管、またはこれらの複合材質のコン
クリート等が利用できる。また、柱は中実としても中空
としてもよい。実施例では柱の高さは6.6mとした。現
実に構築するに際しては、柱列は現場打ちで製造しても
よいし、工場で生産したものを設置してもよい。
図(A)及び正面図(B)である。柱の水平面の断面径は略D
形とし、柱の平面側(2b),(3b)が海側を向くように配し
た。
上の遊水部に入ろうとする波は柱の平面部(2b),(3b)に
当たるため効率的に侵入する波が低減される。そして、
柱の陸側は円弧状となっているために一旦遊水部に入っ
た海水が海に戻る際に抵抗を生じさせにくく、遊水部の
水はけを良好にし、遊水部の水位上昇を抑えることがで
きる。このことは、開口率を小さくした場合に効果が顕
著である。
部に設けられた波返し部である。後列の柱(3)も同じ形
状である。
り海側に、フィルタ層(11),捨石堤(12),を覆うように
配されている。積まれた消波ブロック(4)の上部は平均
海面から上に3m程度露出している。(15)は捨石堤、(1
4)は海、(13)は海底である。
排水路であり、(5a)は越波排水路(5)の海側壁である。
ケーソン(1)の上を通り、海側壁(5a)を乗り越えて侵入
した海水は越波排水路(5)を通って比較的波が穏やかな
海域に自然流下させている。越波排水路の海側壁(5a)の
上端部には柱と同様に海側に波返し部(5b)が設けられて
いる。
倍の距離だけ離して配され、後列と越波排水路(5)とは
柱幅の3倍の距離だけ離して配されているが、これらの
間隔は波の波長等を考慮して適宜定めればよい。
に対する低減効果が大きくなる。波返し部の有無による
越波に対する低減効果について実験したが、柱と越波排
水路の海側壁(5a)の両方に設けた場合は、いずれにも波
返し部がない場合に比べて越波量を約3割〜5割程度低
減されることが確かめられた。
0%)とすると1列(開口率50%)の場合に比べて平均越
波量が3割以上低減することがわかった。特に、前列
(海側)の開口率を20%以下にした場合に効果が顕著に
得られた。柱列を2列設ける場合には後列の柱は前列の
柱相互間の後方に配すると効果が大きい。これは、前列
の柱間を抜けてきた波が後列の柱と衝突しやすくなるか
らである。例えば、図3に示すように前列と後列とで互
い違いに(ちどりに)配されるようにする場合や、図4
に示すように後列の柱の本数を前列の半分程度にし、前
列の柱相互間の後方に1つおきに飛び石的に配する場合
が考えられる。
した実施例と、柱列の形状以外は実施例と同一条件とし
た比較例について試験を行った。比較例の柱としては断
面形が正方形で、しかも実施例と断面積が等しく、波返
し部を備えていないものを用いた。
量が大幅に少なくなっていることが確認できた。
法は特に限定されるものではないが、次のように施工す
ると施工が容易且つ安価となり、ひいては損傷時の修理
も容易となる。
付ホールを有したケーソンを施工する。
いて据付ホールに柱(2)(前列の柱(2)を例に取り説明す
るが後列の柱(3)も同様に施工される。)を立てる。柱
(2)の円弧状部の内、据付ホール(6)に埋まる部分につい
ては強度の関係で据付ホールと面接触するように接触部
(10)が一体に成形されている。
柱(2)との間にプレキャストブロック(7)を設置する。プ
レキャストブロック(7)は図8に示したようなコンクリ
ート製のブロックであり、上部にクレーン等で吊り下げ
易いように吊りフック(7a)を有している。そして、図7
に示すように据付ホール(6)内の柱(2)の両側に4重にプ
レキャストブロック(7)を積み上げる。図9は、この状
態における柱設置箇所の平面図である。
及びプレキャストブロック(7)と据付ホール(6)との間に
は隙間が生ずるので、その隙間を埋めるように低強度コ
ンクリート(8)又は転圧土,砂,砂利等を充填する。
ト(9)を充填して満たし、ケーソン(1)の天端部(1a)と面
一となるようにする。高強度コンクリート(9)の硬化に
より柱(2)の固定が完了する。図10は施工後の柱設置
箇所の断面図である。
げたプレキャストブロック(7)で柱(2)を挟むように固定
できるので施工が容易,且つ安価である。又、塩害によ
る損傷や、波返し部(2a)の損傷等が生じた際に柱(2)を
取り替え補修することが容易である。すなわち、高強度
コンクリート(9)を割り、プレキャストブロック(7)を引
き上げれば柱(2)を据付ホール(6)から抜き取ることがで
き、代わりに新しい柱を最初の施工と同様に設置するこ
とができる。
ンの天端部に柱列が配された波浪制御構造物において、
効率的に侵入する波を低減させ、しかも一旦遊水部に入
った海水の水はけを良好にすることにより、更に越波に
対する低減効果を高めることができる。
断面図、Bは正面図)。
平面図、Bは正面図)。
面図。
Claims (3)
- 【請求項1】ケーソンの天端部に柱列が1列又は複数列
配置された波浪制御構造物であって、 天端部に柱設置のための据付ホールが1列又は複数列設
けられたケーソンと、該据付ホールに立てられた柱と、
該据付ホールと該柱との間に設置されたプレキャストブ
ロックと、プレキャストブロックと据付ホールとの隙間
に充填された低強度コンクリート又は転圧土と、据付ホ
ールの上層部に充填された高強度コンクリートとからな
り、 柱の 上端部には波返し部が形成されており、柱の水平断
面形状は略D形であり、柱の平面部側が海側となるよう
に配されていることを特徴とする波浪制御構造物。 - 【請求項2】 柱列は2列設けられており、後列の柱は
前列の柱相互間の後方に配されていることを特徴とする
請求項1記載の波浪制御構造物。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の波浪制御構
造物の施工方法であって、天端部に柱設置のための複数
の据付ホールを有したケーソンを施工し、次いで据付ホ
ールに柱を立て、据付ホールと柱との間にプレキャスト
ブロックを設置し、次いでプレキャストブロックと据付
ホールとの隙間に低強度コンクリート又は転圧土を充填
し、次いで据付ホールの上層部に高強度コンクリートを
充填する工程を有することを特徴とする波浪制御構造物
の施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10311663A JP3055895B2 (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | 波浪制御構造物及びその施工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10311663A JP3055895B2 (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | 波浪制御構造物及びその施工方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000136516A JP2000136516A (ja) | 2000-05-16 |
JP3055895B2 true JP3055895B2 (ja) | 2000-06-26 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10311663A Expired - Fee Related JP3055895B2 (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | 波浪制御構造物及びその施工方法 |
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Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
JP4835903B2 (ja) * | 2004-04-03 | 2011-12-14 | 有限会社フジカ | 非常用防護装置 |
KR101168678B1 (ko) * | 2009-08-25 | 2012-07-26 | 삼성물산 주식회사 | 다수의 반사 블록을 구비한 내파 구조물의 상치 구조물 및 이를 이용한 방파제, 호안 |
JP2013076303A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 波力低減構造 |
-
1998
- 1998-11-02 JP JP10311663A patent/JP3055895B2/ja not_active Expired - Fee Related
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