JP2713718B2 - リポソーム調製法 - Google Patents

リポソーム調製法

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JP2713718B2
JP2713718B2 JP63048541A JP4854188A JP2713718B2 JP 2713718 B2 JP2713718 B2 JP 2713718B2 JP 63048541 A JP63048541 A JP 63048541A JP 4854188 A JP4854188 A JP 4854188A JP 2713718 B2 JP2713718 B2 JP 2713718B2
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文由 石井
英夫 吉田
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • A61K9/1277Processes for preparing; Proliposomes

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  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はリポソームの調製法に関し、また本発明は薬
物を効率良く内包したリポソームの調製法に関する。詳
細には、本発明は特定有機溶媒に脂質を溶解し、透析膜
を介して該溶液を水と置換させる簡易な方法に基づくリ
ポソームの調製法に関する。
(従来の技術とその問題点) 天然由来の脂質を水中に再分散させたときに形成され
るリポソームは、細胞膜構造を有する人工細胞モデルと
して極めて近似度が高く、組織指向薬物運搬体(ドラッ
グキャリヤー)、人工赤血球、細胞修飾剤および酵素固
定化基剤等の医薬材料として生体適合性がよく、これま
でにも医学、薬学の巾広い分野での利用の可能性が提案
されてきている。たとえば、診断薬へのリポソームの応
用もその1つであるといえる。したがって、薬物あるい
は標的物質を内包させたリポソームの調製法が種々提案
されている。
これまでのリポソームの調製法としては、たとえば以
下の方法が代表的なものとして挙げられているが、これ
ら方法にあっては、それぞれ利点ならびに欠点を持って
いる。すなわち、 (1).脂質を適当な有機溶媒(たとえば、クロロホル
ム、エーテル等)に溶解させ、減圧下にこれらの溶媒を
留去し、一旦脂質薄膜を形成させた後、該脂質薄膜を機
械的撹拌手段により水または緩衝液により水和(あるい
は膨潤)させる方法; (2).脂質をエーテルあるいはアルコール等の有機溶
媒に溶解させ、この溶液を高温に暖めた水または緩衝液
中に一定速度で注入し、注入とともに有機溶媒が留去あ
るいは希釈されることにより脂質が二重層を形成し、リ
ポソームが調製される方法; (3).脂質をコール酸あるいはデオキシコール酸など
の界面活性剤とともに水溶液中で混合ミセルを形成さ
せ、該ミセル溶液を透析あるいはゲルロ過等の操作によ
りコール酸あるいはデオキシコール酸などの界面活性剤
を除去し、リポソームを調製する方法;ならびに (4).脂質を溶解した有機溶媒を水相に加え超音波処
理し、一旦W/O型エマルジョンを形成し、ついで有機溶
媒を除去することによりゲル化させ、このゲルを機械的
撹拌により転相を起させリポソームを調製する方法; 等である。
しかしながら、これらリポソームの調製法にあっては
リポソームを所望の粒径とするコントロールが困難であ
り、また調製手段としても必ずしも優れた方法とは言切
れないものである。
たとえば、上記(1)方法にあっては、均一な薄膜を
形成させるのが困難であるため、粒度分布が不均一で再
現性に乏しい問題点がある。また(2)の方法にあって
は、調製されるリポソームサスペンションが極めて稀薄
であり、薬物保持効率が低い等の問題点がある。さらに
(3)の方法にあっては、界面活性剤が残留する問題点
があり、(4)の方法にあっては、超音波下に処理され
るため、脂質の自動酸化を誘発し易く、また超音波によ
り不活性化してしまう薬物の内包化には適さず、粒径が
不均一であるなどの欠点を有する。
特に、リポソームを薬物運搬体(ドラッグキャリヤ
ー)として利用する場合には、該リポソーム内に薬物を
内包させているが、内包手段によっては、内包させる薬
物が水易溶解性のものに限られており、水難溶解性の薬
物は内包できないといった問題点があった。
そこで本発明者は、これらの問題点を解決すべく鋭意
検討を加え、その結果、脂質を特定の有機溶媒に溶解さ
せ、該有機溶媒を透析膜を用い水と置換させるという極
めて簡便な方法でリポソームが調製し得ることを新規に
見出し、本発明を完成させたのである。
(発明の構成) すなわち本発明は; 脂質を、該脂質を溶解しかつ水と相溶する有機溶媒に
溶解し; 得られた脂質含有有機溶媒を、透析膜を介して水と置
換させる; ことを特徴とするリポソームの調製法に関する。
さらに本発明は、上記リポソームの調製法において、
脂質とともに薬物を有機溶媒に溶解し、薬物をリポソー
ム内に内包させたリポソームの調製法にも関する。
上記の本発明にあっては、特に用いる有機溶媒ならび
に透析条件、たとえば使用する透析膜の孔径サイズ、透
析温度などによりリポソームの粒径を自由にコントロー
ルし得る点に特徴を有するものである。
(作用) 本発明リポソームの調製法において使用される脂質と
してはリン脂質が挙げられ、たとえば大豆レシチン、水
添大豆レシチン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、ホ
スファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトー
ル、ホスファスフィンゴミエリン、ホスファチジルグリ
セロール、ホスファチジン酸等のリン脂質が挙げられ
る。
本発明の調製法にあっては上記のリン脂質を有機溶媒
に溶解し該有機溶媒を透析膜を介して水と置換させるの
であるが、用いる有機溶媒としては、たとえばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール、3
−ペンタノール、アセトン、ジオキサン等の溶媒が挙げ
られる。
この有機溶媒は、脂質を溶解しかつ水と相溶するいわ
ゆる「良溶媒」でなければならない。その理由とすると
ころは、本発明のリポソームの調製法にあっては、脂質
含有溶媒を水と置換させるため、脂質を溶解しかつ水と
相溶する性質を有するものでなければならないからであ
る。したがって、このような「良溶媒」としては上記の
ような溶媒が挙げられるのである。
本発明で提供されるリポソームにあっては、リポソー
ム内部に薬物を含有したものも提供される。リポソーム
内に内包される薬物としては、水易溶解性の薬物ならび
に水難溶解性(脂溶性)の薬物の両方を挙げることがで
きる。このような薬物の例示は、たとえばステロール
(たとえばコレステロール、シトステロール)、エスト
ロゲン(たとえばエストロン、エストラジオールおよび
そのエステル、エチニルエストラジオール等)、コルチ
コイドおよびそれらのエステル、カルシトニンのような
ペプチドホルモン、抗生物質(たとえばゲンタマイシ
ン、アミカシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、
ミノサイクリン、テトラサイクリン等)、クロラムフェ
ニコール、マクロライド抗生物質(たとえばエリスロマ
イシンおよびその誘導体、特にそのパルミテートおよび
ステアレート、またはスピラマイシン等)、抗寄生菌剤
および皮膚用薬剤(たとえばクロトリマゾール、ミコナ
ゾール、ジスラノール等)、消炎鎮痛剤(たとえばイン
ドメタシン、ジクロフェナック、フルルビプロフェン、
ケトプロフェン、4−ビフェニル酢酸およびそのエチル
エステル等)、シアノコバラミンのようなビタミン類、
ウロキナーゼのような酵素剤、フルオロウラシル、アラ
シチジンのような制癌制などが挙げられる。
なお、本発明のリポソームにあっては、脂質溶解液中
には脂質膜の強化、酸化防止、電荷附与等のために、た
とえばコレステロール、α−トコフェロール、ジセチル
フォスフェート、ステアリルアミン等を脂質1重量部に
たいして0.1ないし0.3重量部程度添加してもよい。
上記の薬物のなかで水易溶解性の薬物(水溶性)なら
びに水難溶解性(脂溶性)の薬物の両方が内包できる点
は、特に本発明の特徴とするところである。
また、本発明にあっては、特に用いる有機溶媒ならび
に透析に際して使用する透析膜の孔径サイズおよび透析
温度などにより透析速度を調製し、リポソームの粒径を
自由にコントロールし得る点に特徴を有するものであ
る。
使用可能な透析膜の孔径サイズは、所望の粒径有する
リポソームを得る状態により異なるが、たとえば分画分
子量500ないし200,000程度の半透膜のものを使用するこ
とができる。
実際のリポソームの粒径のコントロールにあたって
は、たとえば上記した有機溶媒(メタノール、エタノー
ル、プロパノール、アセトン、ジオキサン)を適宜選択
し、これに脂質を溶解させ、種々の分画分子量を異にす
る透析膜を用い、有機溶媒と水との置換速度をコントロ
ールしてやれば所望の粒径を有するリポソームを調製す
ることができる。
すなわち、後記する実施例からも明確に理解される如
く、たとえばイソプロパノールの如き有機溶媒を使用す
れば、粒径の小さなリポソームが調製され、またエタノ
ールのような溶媒を使用すれば粒径の大きなリポソーム
が調製される。そしてその調製条件にもよるが、概して
いえば透析条件がそのまま粒径コントロールにつなが
り、それぞれの目的に応じた条件を適宜選択し所望の粒
径サイズを有するリポソームを調製することが可能であ
ることが判明した。
なお、実際の調製にあっては、透析条件として撹拌手
段を付加することも可能である。
(実施例) 以下に、本発明のリポソームの調製法について実施例
にてより詳細に説明する。
実施例1: 精製卵黄レシチン0.3gをエタノール30mlに溶解後、半
透性セルロースチューブ(スペクトルポア/分画分子量
50,000)に入れ、500mlの蒸留水中でマグネチックスタ
ーラーにより30rpmにて連続的に撹拌することにより透
析操作(25℃:一定)を行なった。さらに、この蒸留水
を1.5時間毎に6回(計3000ml)交換することにより乳
白色のリポソーム懸濁液が得られた。
このリポソーム懸濁液の粒径を、コールターN−4SD
で測定すると2630nmであった。
実施例2: 精製卵黄レシチン1.5gをエタノール30mlに溶解後、半
透性セルロースチューブ(スペクトロポア/分画分子量
50,000)に入れ、500mlの蒸留水中でマグネチックスタ
ーラーにより30rpmにて連続的に撹拌することにより透
析操作(25℃:一定)を行なった。さらに、この蒸留水
を1.5時間毎に6回(計3,000ml)交換することにより乳
白色のリポソーム懸濁液が得られた。
このリポソーム懸濁液の粒径を、コールターN−4SD
で測定すると860nmであった。
実施例3: 精製卵黄レシチン1.5gを用い、溶媒を種々変えてその
30mlに精製卵黄レシチンを溶解後、半透性セルロースチ
ューブ(スペクトロポア/分画分子量1,000あるいは50,
000)に入れ、500mlの蒸留水中でマグネチックスターラ
ーにより30rpmにて連続的に撹拌することにより前記と
同様の透析操作を行ない、乳白色のリポソーム懸濁液を
得た。
これらのリポソーム懸濁液の粒径を、コールターN−
4SDで測定した。
これらの結果を表にまとめると、以下のようになる。
以上の結果から明白な如く、本発明のリポソームの調
製法にあっては、用いる溶媒ならびに半透膜の種類によ
って、得られるリポソームの粒径がそれぞれコントロー
ルされていることが判明する。
つぎに、脂質とともに薬物を有機溶媒に溶解し透析し
た実施例を記す。
用いた薬物としては、優れた消炎鎮痛作用を有する薬
物として、臨床的に使用されている4−ビフェニリル酢
酸エチルエステル(以下BPAA−Etと記す。)を使用し
た。
実施例4: 精製卵黄レシチン0.3g、BPAA−Et0.9gを各種溶媒30ml
に溶解後、半透性セルロースチューブ(スペクトロポア
/分画分子量1,000あるいは50,000)に入れ、500mlの蒸
留水中でマグネチックスターラーにより30rpmにて連続
的に撹拌することにより透析操作(25℃:一定)を行な
った。さらに、この蒸留水を1.5時間毎に6回(計3000m
l)交換することにより乳白色のリポソーム懸濁液が得
られた。
このリポソーム懸濁液の粒径を、コールターN−4SD
で測定した。
それらの結果をまとめると表2にまとめられる。
以上の結果からも明白な如く、本発明のリポソームの
調製法にあっては、薬物が効率良くリポソーム内に内包
されており、かつ得られたリポソームの粒径は用いた溶
媒ならびに半透膜の種類によって、それぞれコントロー
ルされていることが判明する。
実施例5: 精製卵黄レシチン0.3g、コレステロール0.076gをイソ
プロパノール30mlに溶解後、半透性セルロースチューブ
(スペクトロポア/分画分子量50,000)に入れ、500ml
の蒸留水中でマグネチックスターラーにより30rpmにて
連続的に撹拌することにより透析操作(25℃:一定)を
行なった。さらに、この蒸留水を1.5時間毎に6回(計3
000ml)交換することにより乳白色のリポソーム懸濁液
が得られた。
このリポソーム懸濁液の粒径を、コールターN−4SD
で測定すると1030nmであった。
上記実施例においてイソプロパノールに代えn−プロ
パノールを用い同様に処理しリポソームを調製した。こ
のリポソーム懸濁液の粒径を、コールターN−4SDで測
定すると443nmであった。
つぎに、本発明で得られたリポソームの安定性につい
て検討した。
検討に使用したリポソームは前記実施例1で得られた
ものであり、これを室温下に放置し、その外観変化なら
びに粒径変化を観察した。
その結果を表3にまとめる。
以上の結果から明らかなとおり、本発明で調製される
リポソームは経時的にも安定であることがわかる。
(発明の効果) 以上、本発明のリポソームの調製法にあっては、これ
までの方法と異なり非常に簡便な方法でリポソームを調
製し得るとともに、その調製手段には以下に記すような
利点があるものである。
(1).脂質濃度を自由に選択でき、所望の含有リポソ
ームを調製できる。
(2).粒径および水保持量などの物理化学的パラメー
ターが均一であり、再現性に優れている。
(3).特別な装置や職人的な技術力なしで簡単に調製
可能である。
(4).熱や超音波などによる薬物の失活がない。
したがって、本発明のリポソームの調製法は特に優れ
たものであることが理解される。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂質を、該脂質を溶解しかつ水と相溶する
    有機溶媒に溶解し; 得られた脂質含有有機溶媒を、透析膜を介して水と置換
    させる; ことを特徴とするリポソームの調製法。
  2. 【請求項2】脂質とともに薬物を有機溶媒に溶解し、薬
    物をリポソーム内に内包させた請求項1記載のリポソー
    ムの調製法。
  3. 【請求項3】脂質とともに、膜添加剤を更に有機溶媒に
    溶解させた請求項1または請求項2記載のリポソームの
    調製法。
  4. 【請求項4】脂質が、大豆レシチン、水添大豆レシチ
    ン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、ホスファチジル
    コリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチ
    ジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファス
    フィンゴミエリン、ホスファチジルグリセロール、ホス
    ファチジン酸等のリン脂質である請求項1または請求項
    2記載のリポソームの調製法。
  5. 【請求項5】有機溶媒が、メタノール、エタノール、プ
    ロパノール、tert−ブタノール、3−ペンタノール、ア
    セトン、ジオキサンから選択される少なくとも1種であ
    る請求項1または請求項2記載のリポソームの調製法。
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