JP2713652C - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は圧縮機又は膨張機等として使用される スクロール型流体機械及びその組立方法に関する。 （従来の技術） この種スクロール型流体機械の組立方法が特開昭５９−２２４４９０号公報に
よって開示された。 この組立方法は （１）カップ状ケ−シングとこの一端開口を閉塞するフロントケースとをこれら
に穿設された複数のボルト穴に各々ボルトを螺入することによって仮止めし、 （２）固定スクロールと旋回スクロールとを互いに噛合せることによってこれら
のうず巻状ラップが接触する複数の接触点を結ぶ線から回転軸の回転方向と反対
方向に略90°ずれた位置に対向するように固定スクロール及び旋回スクロールに
それぞれ穿設された位置決め孔を一致させてカップ状ケ−シングの底より位置決
め棒をこれら位置決め孔に挿入し、 （３）フロントケースを回転軸の回転方向と反対方向に移動が停止するまで回転
させ、 （４）カップ状ケ−シングとフロントケースをボ ルトによって完全に締結し、 （５）位置決め棒を抜き取る。 の手順によって固定スクロールと旋回スクロールとの噛み合い角度を設定してい
た。 （発明が解決しようとする課題） 上記従来の組立方法においては、カップ状ケ−シングの底に位置決め棒を貫通
させるための貫通穴を穿設する必要があるとともにカップ状ケ−シングとフロン
トケースとによって構成されるハウジングの内部のガスがその外部に漏洩するの
を阻止するために上記貫通穴を貫通させたボルトを固定スクロールに穿設された
位置決め孔の１部に螺合するとともにこのボルトと貫通穴との隙間をシールリン
グ等でシールする必要があるため、部品点数及び加工工数、組立工数が多く、コ
ストが嵩むと言う問題があった。 （課題を解決するための手段） 本発明は上記課題を解決するために発明されたものであって、第１の発明の要
旨とするところは、カップ状ケーシングの一端開口をフロントケース で閉塞してなるハウジングの内部にそれぞれ端板の内面にうず巻状ラップを立設
してなる固定スクロールと旋回スクロールとを所定の角度ずれをもって互いに噛
み合わせて収納し、上記固定スクロールを上記カップ状ケーシングに固定すると
ともに上記旋回スクロールを自転阻止機構によって自転を阻止しながら旋回駆動
機構によって駆動することにより公転旋回運動させるスクロール型流体機械にお
いて、内部に固定スクロールを固定する上記カップ状ケーシングは、そのケーシ
ングフランジ部に軸方向貫通孔を有し、内部に旋回駆動機構、自転阻止機構、旋
回スクロール等を組み込む上記フロントケースは、そのカップ状ケーシングに向
かい合う面に上記カップ状ケーシングの一端開口内周部に嵌合する環状凸部を有
するとともに、ケースフランジ部に上記カップ状ケーシングと上記フロントケー
スとが所定の角度を占めたときにのみ上記ケーシングフランジ部の軸方向貫通孔
と整合する軸方向貫通孔を有することを特徴とするスクロール型流体機械にある
。 第２の発明の要旨とするところは、上記カップ状ケーシングに上記固定スクロ
ールを固定し、上記フロントケースに上記旋回駆動機構、自転阻止機構、旋回ス
クロール等を組み込んだ後、上記固定スクロールが固定されたカップ状ケーシン
グと、上記旋回駆動機構、自転阻止機構、旋回スクロール等が組み込まれたフロ
ントケースとを組み付け、次いで、上記ケーシングフランジ部の軸方向貫通孔と
ケースフランジ部の軸方向貫通孔を整合させ、しかる後、上記カップ状ケーシン
グと上記フロントケースを互いに固定することを特徴とする請求項（１）記載の
スクロール型流体機械の組立方法にある。 （作用） 本発明においては、固定スクロールが固定されたカップ状ケーシングと、旋回
駆動機構、自転阻止機構、旋回スクロール等が組み込まれたフロントケースとを
組み付け、次いで、ケーシングフランジ部の軸方向貫通孔とケースフランジ部の
軸方向貫通孔を整合させた後、カップ状ケーシングと フロントケースを互いに固定する。 （実施例） 本発明の１実施例が第１図及び第２図に示されている。 第１図において、１はハウジングで、カップ状ケ−シング２と、これにボルト
３によって締結されその一端開口を閉塞するフロントケース４と、これにボルト
５によって締結されたフロントカバー６とからなる。フロントカバー６を貫通す
る回転軸７はベアリング８及び９を介してハウジング１に回転自在に支持されて
いる。 ハウジング１の内部には固定スクロール10及び旋回スクロール14が配設されて
いる。 固定スクロール10は端板11とその内面に立設されたうず巻状ラップ12とを備え
ている。この端板11の外周面をカップ状ケ−シング２の内周面にシ−ルリング35
を介して密着させてハウジング１の内部を仕切ることによって端板11の外側に吐
出キャビティ31が限界され、内側に吸入室32が限界されている。そして、カップ
状ケ−シング２の底 2aに穿設された複数のボルト穴33をそれぞれ貫通するボルト13の先端を端板11に
穿設されたねじ孔34に螺入して締結することによって固定スクロール10はカップ
状ケ−シング２に固定されている。 旋回スクロール14は端板15とその内面に立設されたうず巻状ラップ16を備え、
このうず巻状ラップ16は上記うず巻状ラップ12と実質的に同一の形状を有してい
る。 旋回スクロール14と固定スクロール10とは相互に所定の距離だけ偏心させ、且
つ、180°だけ角度をずらせて図示のように噛み合わされ、うず巻状ラップ12の
先端面に埋設されたチップシ−ル17は端板15の内面に密接し、うず巻状ラップ16
の先端に埋設されたチップシ−ル18は端板11の内面に密接し、うず巻状ラップ12
と16の側面は互いに複数個所で線接触する。このようにして、うず巻の中心に対
してほぼ点対称をなす複数の密閉小室19a、19b が限界されている。 端板15の外面中央部に突設された円筒状のボス20の内部にはブッシュ21が旋回
軸受23を介して回 転自在に嵌装され、このブッシュ21に穿設された偏心孔24内には回転軸７の内端
に突設された偏心ピン25が回転自在に嵌合されている。そして、このブッシュ21
にはバランスウェイト27が固定されている。 端板15の外面の外周縁とフロントケース４の端面との間にはスラスト受け部材
36及びオルダムリンク等の自転阻止機構26が介装されている。 しかして、回転軸７を回転させると、偏心ピン25、ブッシュ21、旋回軸受23、
ボス20等からなる旋回駆動機構を介して旋回スクロール14が駆動され、旋回スク
ロール14は自転阻止機構26によってその自転を阻止されながら公転旋回運動する
。 旋回スクロール14の公転旋回運動によってうず巻状ラップ12と16との線接触部
が次第にうず巻の中心に向かって移動し、この結果、密閉小室19a、19b がその
容積を減じながらうず巻の中心に向かって移動する。 すると、ガスが図示しない吸入口を通って吸入室32に吸入され、うず巻状ラッ
プ12と16との外終 端開口部から密閉小室19a、19b 内に取り込まれて圧縮されながら中心室22に至
り、ここから固定スクロール10の端板11に穿設された吐出ポート29を通り吐出弁
30を押し開いて吐出キャビティ31へ吐出され、更に、図示しない吐出口を経てハ
ウジング１の外部に吐出される。 カップ状ケーシング２の開口端に形成されたフランジには第１の位置決め部を
構成する穴53が穿設されている。 また、フロントケース４にはカップ状ケーシング２のフランジと締結されるフ
ランジが形成され、このフランジには固定スクロール10が組み込まれたカップ状
ケーシング２と旋回スクロール14、旋回駆動機構、自転阻止機構26等が組み込ま
れたフロントケース４とが所定の相対角度を占めたときにのみ上記第１の位置決
め部53と整合する第２の位置決め部、即ち、穴54が穿設されている。 次いで、この流体機械の組み立て方法について第２図を参照しながら説明する
。 予め、フロントケース４にフロントカバー６、 旋回スクロール14、旋回駆動機構７、８、９、21、23、24、25、自転阻止機構26
、スラスト受け部材36等を組み込むことによってフロントケース組立体52を構成
する。これによって、旋回スクロール14とフロントケース４は正規の相対角度に
組み立てられる。 カップ状ケ−シング２内にその一端開口から固定スクロール10を嵌挿し、複数
のボルト13を用いてカップ状ケ−シング２と固定スクロール10とを締結すること
によってハウジング組立体51を構成する。これによってカップ状ケーシング２と
固定スクロール10とは正規の相対角度に組み立てられる。 次いで、第２図に示すように、ハウジング組立体51の穴53とフロントケース組
立体52の穴54内に位置決め棒55を挿入することによって穴53と54を整合させる。
しかる後、ボルト３を用いてカップ状ケーシング２のフランジとフロントケース
４のフランジを締結することによってこれらを互いに固定する。 （発明の効果） 本発明においては、固定スクロールが固定されたカップ状ケーシングと、旋回
駆動機構、自転阻止機構、旋回スクロール等が組み込まれたフロントケースとを
組み付け、次いで、ケーシングフランジ部の軸方向貫通孔とケースフランジ部の
軸方向貫通孔を整合させた後、カップ状ケーシングとフロントケースを互いに固
定するようにしたため、カップ状ケーシングとフロントケースとを所定の相対角
度に組み付けることができ、従って、固定スクロールと旋回スクロールとが所定
の角度ずれを持った状態でスクロール型流体機械を容易、かつ、迅速に組み立て
ることができる。 また、従来のものと異なり、位置決め棒挿入用の貫通穴をカップ状ケーシング
に穿設する必要がなく、また、この穴を閉塞するボルトやシールリングを要しな
いので、部品点数、加工工数、組立工数が少なくなりコストを低減できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の１実施例を示すスクロール型 流体機械の縦断面図、第２図は本発明の組立方法の第１の実施例を示す部分的側
面図である。 ハウジング----１、カップ状ケ−シング----２、フロントケース----４、固定ス
クロール----10、端板----11、ラップ----12、旋回スクロール----14、端板----
１５、ラップ----16、旋回駆動機構----７、25、21、23、自転阻止機構----26、
第１の位置決め部----53、第２の位置決め部----54

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 （１） カップ状ケーシングの一端開口をフロントケースで閉塞してなるハウジ
   ングの内部にそれぞれ端板の内面にうず巻状ラップを立設してなる固定スクロー
   ルと旋回スクロールとを所定の角度ずれをもって互いに噛み合わせて収納し、上
   記固定スクロールを上記カップ状ケーシングに固定するとともに上記旋回スクロ
   ールを自転阻止機構によって自転を阻止しながら旋回駆動機構によって駆動する
   ことにより公転旋回運動させるスクロール型流体機械において、内部に固定スク
   ロールを固定する上記カップ状ケーシングは、そのケーシングフランジ部に軸方
   向貫通孔を有し、内部に旋回駆動機構、自転阻止機構、旋回スクロール等を組み
   込む上記フロントケースは、そのカップ状ケーシングに向かい合う面に上記カッ
   プ状ケーシングの一端開口内周部に嵌合する環状凸部を有す るとともに、ケースフランジ部に上記カップ状ケーシングと上記フロントケース
   とが所定の角度を占めたときにのみ上記ケーシングフランジ部の軸方向貫通孔と
   整合する軸方向貫通孔を有することを特徴とするスクロール型流体機械。 （２） 上記カップ状ケーシングに上記固定スクロールを固定し、上記フロント
   ケースに上記旋回駆動機構、自転阻止機構、旋回スクロール等を組み込んだ後、
   上記固定スクロールが固定されたカップ状ケーシングと、上記旋回駆動機構、自
   転阻止機構、旋回スクロール等が組み込まれたフロントケースとを組み付け、次
   いで、上記ケーシングフランジ部の軸方向貫通孔とケースフランジ部の軸方向貫
   通孔を整合させ、しかる後、上記カップ状ケーシングと上記フロントケースを互
   いに固定することを特徴とする請求項（１）記載のスクロール型流体機械の組立
   方法。