JP2713562B2 - 電子顕微鏡における焦点合わせ方法 - Google Patents
電子顕微鏡における焦点合わせ方法Info
- Publication number
- JP2713562B2 JP2713562B2 JP8343762A JP34376296A JP2713562B2 JP 2713562 B2 JP2713562 B2 JP 2713562B2 JP 8343762 A JP8343762 A JP 8343762A JP 34376296 A JP34376296 A JP 34376296A JP 2713562 B2 JP2713562 B2 JP 2713562B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sample
- image
- electron microscope
- electron beam
- changing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims description 8
- 238000010894 electron beam technology Methods 0.000 claims description 31
- 230000015654 memory Effects 0.000 claims description 15
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 3
- 230000003287 optical effect Effects 0.000 description 3
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 2
- 230000006870 function Effects 0.000 description 2
- 239000011521 glass Substances 0.000 description 2
- OAICVXFJPJFONN-UHFFFAOYSA-N Phosphorus Chemical compound [P] OAICVXFJPJFONN-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 1
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 1
- 238000003384 imaging method Methods 0.000 description 1
- 230000001771 impaired effect Effects 0.000 description 1
- 230000001678 irradiating effect Effects 0.000 description 1
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡、特に
透過型電子顕微鏡における自動焦点合わせ方法に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】最近、テレビで像を観察するテレビ電子
顕微鏡が広く使われるようになった。このテレビ電子顕
微鏡では、明るい陰極線管(CRT)上での像を観なが
ら、電子顕微鏡の焦点合わせ作業が行なえる。通常の透
過型電子顕微鏡においては、従来から、ワブラーと称す
る装置(特開昭53ー15738号公報参照)が焦点合わ
せに使われてきたが、テレビ電子顕微鏡においても、こ
のワブラー装置を使用することができる。このワブラー
装置は、試料に照射する電子線の試料入射角を時間的に
変化させる装置で、もし、電子顕微鏡の焦点が合ってい
なければ、結像面に拡大結像されている試料像が割れて
観える。テレビ電子顕微鏡では、CRT上の試料像が割
れて観える。従って、観察者は、ワブラー装置を動作さ
せながら、試料像の動きを観察し、その動きが認められ
なくなるように、対物レンズ電流値を変化させて焦点合
わせを行なっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】テレビ電子顕微鏡にお
いては、明るいCRT像を観ながら、上記の焦点合わせ
作業を行なうことができるので、通常の電子顕微鏡でワ
ブラー装置を使って焦点合わせを行なう場合に比べて焦
点合わせ作業は楽になった。しかしながら、試料像の動
きの有無の判断はやはり観察者の肉視に頼るため、焦点
が合ってきて試料像の動きが少なくなると、この微小な
動きを明確に判定できず、その結果、十分な精度で焦点
合わせをすることができないと云う問題があった。 【0004】従って、本発明に目的は、上記した試料へ
の電子線入射角の変化による試料像の変化を肉視に頼る
ことなく自動判定し、その結果高精度で焦点合わせので
きる電子顕微鏡用の焦点合わせ方法を提供することにあ
る。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の焦点合わせ方法においては、電子顕微鏡の
対物レンズ電流値をステップ状に変化させる手段と、試
料に入射する電子線の方向を変化させる手段と、上記試
料を透過した電子線を結像させる電子光学手段と、この
結像された像を撮像するテレビカメラ手段とを備えた電
子顕微鏡において、上記対物レンズ電流値をステップ状
に変化させながら、その各ステップ毎に前記試料入射電
子線の方向を変えて、この試料入射電子線の方向を変え
る前後に前記テレビカメラ手段で撮像された2個の像を
それぞれ別個に画像メモリーに記憶させて、該画像メモ
リーに記憶された上記両像の画像内容の一致度を演算し
て求め、該画像内容の一致度が良好となった時点で上記
対物レンズ電流値の変化を停止させるようにしている。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図面を参照して詳細に説明する。 【0007】図1は、本発明の一実施例を説明するため
の電子顕微鏡装置全体の概略構成図である。電子顕微鏡
の鏡体1内に設けられた電子銃2から出た電子線3は、
ワブラー(偏向コイル)4により偏向されて、試料5中に
入射する。 【0008】ここで、電子線3は、上記ワブラーの駆動
により、図1の点線で示す状態から実線で示す状態に偏
向され、試料5への入射角が変えらているものとする。
試料5中を透過した電子線は、対物レンズ6,中間レン
ズ7,投射レンズ8によって蛍光面9上に結像される。
この蛍光像は、ガラス窓10を通して、光学レンズ系1
1によって、テレビカメラ12の撮像面上に結像され
て、試料像としてCRT13に表示される。 【0009】先に述べたように、ここで、もしこの電子
顕微鏡の焦点が合っていれば、ワブラー4により試料5
への電子線入射角を変えても、テレビカメラ12より取
り込んだCRT13上の試料像は変化しないが、焦点が
合っていなければ、蛍光面9上の蛍光像が動くため、C
RT13上の試料像も変化する。従って、このワブラー
4による電子線入射角変化の前後における試料像の画像
内容としての一致度が検定できれば、この電子顕微鏡が
焦点正合状態にあるか否かが判る。 【0010】そこで、本発明では、上記した試料像の画
像内容としての一致度を調べるために、電子線入射角の
変化前後、すなわちワブラー4による試料入射電子線の
偏向前後に得られる二つの試料像を、A/D(アナログ
/ディジタル)変換器14,切換スイッチ15を通して
二つの画像メモリー16,17にそれぞれ別々に格納
し、演算器18において両画像メモリー16,17の記
憶内容(画像内容)を同時に読み出して両画像内容の一致
度を演算して、両画像内容が同一であるか否かを示す信
号Fを発生する。この信号Fは、D/A(ディジタル/
アナログ)変換器24を通してメーター25に送られ、
あるいは信号線23を通してマイクロコンピュータ26
に送られて、後述するように、この電子顕微鏡が焦点正
合状態にあるか否かを知らせる。 【0011】図2に、本実施例において、電子顕微鏡が
焦点正合状態にあるか否かを演算・判定するための演算
器18の一構成例を示す。A/D変換器14,切換スイ
ッチ15を介して両画像メモリー16,17に格納され
る試料入射電子線の偏向前後の画像(試料像)の記憶方法
は以下のとおりである。すなわち、各画像メモリー中
の、試料像上での各画素の2次元配列番地に対応した
(i,j)番地の記憶場所に、その画素の輝度(明るさ)
が、例えば1画素当り8ビットの情報量で記憶されてい
る。ワブラー4による電子線偏向前にメモリー(A)16
に記憶された試料像の(i,j)番地における輝度(明
るさ)をAi,j ,電子線偏向後にメモリー(B)17に記
憶された試料像の同じく(i,j)番地における輝度
(明るさ)をBi,jとする。演算器18は、タイミング信
号線33から入力されるタイミング信号に合わせて、次
々とこの(i,j)を変えて、Ai,jとBi,jとを読み込
んで、下記(1)式に基づいて演算して行く。 【数1】 【0012】演算器18内において、画像メモリーから
の輝度信号Ai,j,Bi,jは、先ず、引算器19によって
(Ai,j−Bi,j)なる差分信号に変形され、次いで、この
差分信号が掛算器20によって(Ai,j−Bi,j)2 なる2
乗化信号に変換される。さらに、この2乗化信号が、加
算器21と加算メモリー22によって全ての加算番地
(i,j)について加算されて、(1)式で示される加算
信号F1 が信号線23に出力される。 【0013】上記の加算信号F1は、全ての加算番地
(i,j)について、両輝度信号Ai,jとBi,j とが等
しい時にのみ零(ゼロ)となり、その他の場合には零にな
らない。すなわち、試料への電子線入射方向の切換前に
記憶された試料像と切換後に記憶された試料像とが完全
に一致すれば信号F1 は零となり、焦点外れのために両
像が一致せずに少しでも変化していれば信号F1 は零と
はならない。この信号F1は、D/A変換器24を通っ
てメーター25に送られて、F1 値がアナログ表示され
る。 【0014】従って、対物レンズ6のレンズ電流を僅か
ずつステップ状に変えながら、その都度ワブラー4によ
って試料入射電子線の偏向(入射方向切換)を繰り返し、
メーター25の指針が極めて小さな値を示すような対物
レンズ電流値に設定すれば、この電子顕微鏡は焦点正合
状態となる。 【0015】本実施例では、制御用のマイクロコンピュ
ータ26によって、対物レンズ電源27を制御して、対
物レンズ電流を低い値から高い値に向けて順次ステップ
状に変化させている。この対物レンズ電流変化の各ステ
ップにおいて、マイクロコンピュータ26からの制御信
号に基づいてタイミング信号発生器28で発生されたタ
イミング信号を偏向コイル電源29に送って、ワブラー
(偏向コイル)4を駆動させて、試料5への電子線入射角
を切り換えている。そして、この電子線入射角切換の前
後における二つの試料像の輝度情報をそれぞれ画像メモ
リー16,17に別々に記憶させ、この記憶情報を同時
に読み出して、演算器18において上記したF1 値を演
算して求めている。このF1 値を表わす信号は信号線2
3を介してマイクロコンピュータ26に入力されて、F
1 値が零、または極めて小さい値となった時に、以後の
対物レンズ電流変化を停止し、その時の対物レンズ電流
値を固定維持するように制御がなされる。すなわち、こ
の状態で電子顕微鏡は焦点正合状態となる。 【0016】上述したように、本実施例によれば、電子
線入射角切換前後の両像間の一致度を演算器18によっ
て自動的かつ精度良く判定できるので、従来のように両
像間での差異を観察者が肉視により判定する必要がな
く、簡便かつ迅速にして極めて精度の高い焦点合わせが
できる。 【0017】図3に、演算器18の他の一構成例を示
す。ここでは、演算器18への入力信号は、図2の場合
と同様Ai,jとBi,jであるが、両試料像間での一致度を
演算判定するための演算方式が異なっている。すなわ
ち、ここでは、両試料像間での一致度の演算判定は、次
の(2)式に基づいて行なわれる。 【数2】 【0018】つまり、ここでは、一方の入力信号Bi,j
は、先ず、補正掛算器32を通して定数(C)倍される。
これは、試料5への電子線照射系の光軸合わせが完璧で
ない時に、試料5への電子線入射角を変えるとそれに伴
なって試料入射電子線の強度も変わってしまう場合があ
ることを考慮して、この試料入射電子線の強度変化によ
る試料像の輝度変化の影響を補正するためのものであ
る。 【0019】信号Ai,jとC・Bi,jは、割算器30を通
して{Ai,j/(C・Bi,j)}なる形に変換され、次いで、
対数演算器31によって log{Ai,j/(C・Bi,j)}なる
形に変換される。掛算器20,加算器21,加算メモリ
ー22の機能は、図2の場合と全く同様であり、これら
を通して、信号線23には、上記の(2)式で示される加
算信号F2 が出力される。このF2 値も、また、全ての
加算番地(i,j)について、信号Ai,jと信号C・B
i,jとが等しい時にのみ零(ゼロ)となり、その他の場合
には零とならない。すなわち、このF2 値によっても、
両試料像の一致度を精度良く判定することができ、もっ
て電子顕微鏡が焦点正合状態にあるか否かを高精度で判
定できる。 【0020】なお、前記の(1)式,(2)式において、加
算番地(i,j)についての加算・演算は、試料像を形
成する全画素番地(i,j)について行なう必要はな
く、例えば、電子線入射角変更前後の両試料像の相対応
する一部の矩形状領域あるいは線状領域内の画素番地の
ように、選択された一部の画素番地(i,j)について
のみ行なってもよい。 【0021】また、上記実施例においては、各画素番地
毎に輝度(明るさ)を比較する方法を示したが、両試料像
をそれぞれ複数の画素を含む小ブロック毎に分けて、互
いに位置的に対応する小ブロック内の輝度を比較して、
両試料像の一致度を判定するようにしても良い。 【0022】このように、上記実施例によれば、テレビ
電子顕微鏡におけるCRT画面上の試料像の変化を肉視
に頼らずに高精度で自動判定できるので、従来に比べ極
めて精度の良い焦点合わせができる。また、上記の焦点
合わせ操作中も、絶えず試料全体の像がCRT画面上に
表示されているので、試料の経時変化を忠実にフォロー
すると云うテレビ電子顕微鏡としての機能を損なうもの
ではない。また、コントラストの小さい試料を観察する
場合には、コントラストを高めるために、上記の焦点正
合状態よりも若干対物レンズ電流を小さくして観察する
ことがしばしばあるが、そのような場合にも、前もって
レンズ電流補正量をマイクロコンピュータに記憶させて
おくことにより、容易にその最適観察状態に電子顕微鏡
をセットすることができる。 【0023】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
試料への電子線入射角の変化による試料像の変化を肉視
判定に頼ることなく自動判定できるので、従来に比べ簡
便かつ迅速で高精度の焦点合わせが実現できる。
透過型電子顕微鏡における自動焦点合わせ方法に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】最近、テレビで像を観察するテレビ電子
顕微鏡が広く使われるようになった。このテレビ電子顕
微鏡では、明るい陰極線管(CRT)上での像を観なが
ら、電子顕微鏡の焦点合わせ作業が行なえる。通常の透
過型電子顕微鏡においては、従来から、ワブラーと称す
る装置(特開昭53ー15738号公報参照)が焦点合わ
せに使われてきたが、テレビ電子顕微鏡においても、こ
のワブラー装置を使用することができる。このワブラー
装置は、試料に照射する電子線の試料入射角を時間的に
変化させる装置で、もし、電子顕微鏡の焦点が合ってい
なければ、結像面に拡大結像されている試料像が割れて
観える。テレビ電子顕微鏡では、CRT上の試料像が割
れて観える。従って、観察者は、ワブラー装置を動作さ
せながら、試料像の動きを観察し、その動きが認められ
なくなるように、対物レンズ電流値を変化させて焦点合
わせを行なっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】テレビ電子顕微鏡にお
いては、明るいCRT像を観ながら、上記の焦点合わせ
作業を行なうことができるので、通常の電子顕微鏡でワ
ブラー装置を使って焦点合わせを行なう場合に比べて焦
点合わせ作業は楽になった。しかしながら、試料像の動
きの有無の判断はやはり観察者の肉視に頼るため、焦点
が合ってきて試料像の動きが少なくなると、この微小な
動きを明確に判定できず、その結果、十分な精度で焦点
合わせをすることができないと云う問題があった。 【0004】従って、本発明に目的は、上記した試料へ
の電子線入射角の変化による試料像の変化を肉視に頼る
ことなく自動判定し、その結果高精度で焦点合わせので
きる電子顕微鏡用の焦点合わせ方法を提供することにあ
る。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の焦点合わせ方法においては、電子顕微鏡の
対物レンズ電流値をステップ状に変化させる手段と、試
料に入射する電子線の方向を変化させる手段と、上記試
料を透過した電子線を結像させる電子光学手段と、この
結像された像を撮像するテレビカメラ手段とを備えた電
子顕微鏡において、上記対物レンズ電流値をステップ状
に変化させながら、その各ステップ毎に前記試料入射電
子線の方向を変えて、この試料入射電子線の方向を変え
る前後に前記テレビカメラ手段で撮像された2個の像を
それぞれ別個に画像メモリーに記憶させて、該画像メモ
リーに記憶された上記両像の画像内容の一致度を演算し
て求め、該画像内容の一致度が良好となった時点で上記
対物レンズ電流値の変化を停止させるようにしている。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図面を参照して詳細に説明する。 【0007】図1は、本発明の一実施例を説明するため
の電子顕微鏡装置全体の概略構成図である。電子顕微鏡
の鏡体1内に設けられた電子銃2から出た電子線3は、
ワブラー(偏向コイル)4により偏向されて、試料5中に
入射する。 【0008】ここで、電子線3は、上記ワブラーの駆動
により、図1の点線で示す状態から実線で示す状態に偏
向され、試料5への入射角が変えらているものとする。
試料5中を透過した電子線は、対物レンズ6,中間レン
ズ7,投射レンズ8によって蛍光面9上に結像される。
この蛍光像は、ガラス窓10を通して、光学レンズ系1
1によって、テレビカメラ12の撮像面上に結像され
て、試料像としてCRT13に表示される。 【0009】先に述べたように、ここで、もしこの電子
顕微鏡の焦点が合っていれば、ワブラー4により試料5
への電子線入射角を変えても、テレビカメラ12より取
り込んだCRT13上の試料像は変化しないが、焦点が
合っていなければ、蛍光面9上の蛍光像が動くため、C
RT13上の試料像も変化する。従って、このワブラー
4による電子線入射角変化の前後における試料像の画像
内容としての一致度が検定できれば、この電子顕微鏡が
焦点正合状態にあるか否かが判る。 【0010】そこで、本発明では、上記した試料像の画
像内容としての一致度を調べるために、電子線入射角の
変化前後、すなわちワブラー4による試料入射電子線の
偏向前後に得られる二つの試料像を、A/D(アナログ
/ディジタル)変換器14,切換スイッチ15を通して
二つの画像メモリー16,17にそれぞれ別々に格納
し、演算器18において両画像メモリー16,17の記
憶内容(画像内容)を同時に読み出して両画像内容の一致
度を演算して、両画像内容が同一であるか否かを示す信
号Fを発生する。この信号Fは、D/A(ディジタル/
アナログ)変換器24を通してメーター25に送られ、
あるいは信号線23を通してマイクロコンピュータ26
に送られて、後述するように、この電子顕微鏡が焦点正
合状態にあるか否かを知らせる。 【0011】図2に、本実施例において、電子顕微鏡が
焦点正合状態にあるか否かを演算・判定するための演算
器18の一構成例を示す。A/D変換器14,切換スイ
ッチ15を介して両画像メモリー16,17に格納され
る試料入射電子線の偏向前後の画像(試料像)の記憶方法
は以下のとおりである。すなわち、各画像メモリー中
の、試料像上での各画素の2次元配列番地に対応した
(i,j)番地の記憶場所に、その画素の輝度(明るさ)
が、例えば1画素当り8ビットの情報量で記憶されてい
る。ワブラー4による電子線偏向前にメモリー(A)16
に記憶された試料像の(i,j)番地における輝度(明
るさ)をAi,j ,電子線偏向後にメモリー(B)17に記
憶された試料像の同じく(i,j)番地における輝度
(明るさ)をBi,jとする。演算器18は、タイミング信
号線33から入力されるタイミング信号に合わせて、次
々とこの(i,j)を変えて、Ai,jとBi,jとを読み込
んで、下記(1)式に基づいて演算して行く。 【数1】 【0012】演算器18内において、画像メモリーから
の輝度信号Ai,j,Bi,jは、先ず、引算器19によって
(Ai,j−Bi,j)なる差分信号に変形され、次いで、この
差分信号が掛算器20によって(Ai,j−Bi,j)2 なる2
乗化信号に変換される。さらに、この2乗化信号が、加
算器21と加算メモリー22によって全ての加算番地
(i,j)について加算されて、(1)式で示される加算
信号F1 が信号線23に出力される。 【0013】上記の加算信号F1は、全ての加算番地
(i,j)について、両輝度信号Ai,jとBi,j とが等
しい時にのみ零(ゼロ)となり、その他の場合には零にな
らない。すなわち、試料への電子線入射方向の切換前に
記憶された試料像と切換後に記憶された試料像とが完全
に一致すれば信号F1 は零となり、焦点外れのために両
像が一致せずに少しでも変化していれば信号F1 は零と
はならない。この信号F1は、D/A変換器24を通っ
てメーター25に送られて、F1 値がアナログ表示され
る。 【0014】従って、対物レンズ6のレンズ電流を僅か
ずつステップ状に変えながら、その都度ワブラー4によ
って試料入射電子線の偏向(入射方向切換)を繰り返し、
メーター25の指針が極めて小さな値を示すような対物
レンズ電流値に設定すれば、この電子顕微鏡は焦点正合
状態となる。 【0015】本実施例では、制御用のマイクロコンピュ
ータ26によって、対物レンズ電源27を制御して、対
物レンズ電流を低い値から高い値に向けて順次ステップ
状に変化させている。この対物レンズ電流変化の各ステ
ップにおいて、マイクロコンピュータ26からの制御信
号に基づいてタイミング信号発生器28で発生されたタ
イミング信号を偏向コイル電源29に送って、ワブラー
(偏向コイル)4を駆動させて、試料5への電子線入射角
を切り換えている。そして、この電子線入射角切換の前
後における二つの試料像の輝度情報をそれぞれ画像メモ
リー16,17に別々に記憶させ、この記憶情報を同時
に読み出して、演算器18において上記したF1 値を演
算して求めている。このF1 値を表わす信号は信号線2
3を介してマイクロコンピュータ26に入力されて、F
1 値が零、または極めて小さい値となった時に、以後の
対物レンズ電流変化を停止し、その時の対物レンズ電流
値を固定維持するように制御がなされる。すなわち、こ
の状態で電子顕微鏡は焦点正合状態となる。 【0016】上述したように、本実施例によれば、電子
線入射角切換前後の両像間の一致度を演算器18によっ
て自動的かつ精度良く判定できるので、従来のように両
像間での差異を観察者が肉視により判定する必要がな
く、簡便かつ迅速にして極めて精度の高い焦点合わせが
できる。 【0017】図3に、演算器18の他の一構成例を示
す。ここでは、演算器18への入力信号は、図2の場合
と同様Ai,jとBi,jであるが、両試料像間での一致度を
演算判定するための演算方式が異なっている。すなわ
ち、ここでは、両試料像間での一致度の演算判定は、次
の(2)式に基づいて行なわれる。 【数2】 【0018】つまり、ここでは、一方の入力信号Bi,j
は、先ず、補正掛算器32を通して定数(C)倍される。
これは、試料5への電子線照射系の光軸合わせが完璧で
ない時に、試料5への電子線入射角を変えるとそれに伴
なって試料入射電子線の強度も変わってしまう場合があ
ることを考慮して、この試料入射電子線の強度変化によ
る試料像の輝度変化の影響を補正するためのものであ
る。 【0019】信号Ai,jとC・Bi,jは、割算器30を通
して{Ai,j/(C・Bi,j)}なる形に変換され、次いで、
対数演算器31によって log{Ai,j/(C・Bi,j)}なる
形に変換される。掛算器20,加算器21,加算メモリ
ー22の機能は、図2の場合と全く同様であり、これら
を通して、信号線23には、上記の(2)式で示される加
算信号F2 が出力される。このF2 値も、また、全ての
加算番地(i,j)について、信号Ai,jと信号C・B
i,jとが等しい時にのみ零(ゼロ)となり、その他の場合
には零とならない。すなわち、このF2 値によっても、
両試料像の一致度を精度良く判定することができ、もっ
て電子顕微鏡が焦点正合状態にあるか否かを高精度で判
定できる。 【0020】なお、前記の(1)式,(2)式において、加
算番地(i,j)についての加算・演算は、試料像を形
成する全画素番地(i,j)について行なう必要はな
く、例えば、電子線入射角変更前後の両試料像の相対応
する一部の矩形状領域あるいは線状領域内の画素番地の
ように、選択された一部の画素番地(i,j)について
のみ行なってもよい。 【0021】また、上記実施例においては、各画素番地
毎に輝度(明るさ)を比較する方法を示したが、両試料像
をそれぞれ複数の画素を含む小ブロック毎に分けて、互
いに位置的に対応する小ブロック内の輝度を比較して、
両試料像の一致度を判定するようにしても良い。 【0022】このように、上記実施例によれば、テレビ
電子顕微鏡におけるCRT画面上の試料像の変化を肉視
に頼らずに高精度で自動判定できるので、従来に比べ極
めて精度の良い焦点合わせができる。また、上記の焦点
合わせ操作中も、絶えず試料全体の像がCRT画面上に
表示されているので、試料の経時変化を忠実にフォロー
すると云うテレビ電子顕微鏡としての機能を損なうもの
ではない。また、コントラストの小さい試料を観察する
場合には、コントラストを高めるために、上記の焦点正
合状態よりも若干対物レンズ電流を小さくして観察する
ことがしばしばあるが、そのような場合にも、前もって
レンズ電流補正量をマイクロコンピュータに記憶させて
おくことにより、容易にその最適観察状態に電子顕微鏡
をセットすることができる。 【0023】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
試料への電子線入射角の変化による試料像の変化を肉視
判定に頼ることなく自動判定できるので、従来に比べ簡
便かつ迅速で高精度の焦点合わせが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明するための電子顕微鏡
装置全体の概略構成図。 【図2】図1における焦点正合度判定用演算器の一構成
例を示すブロック図。 【図3】図1における焦点正合度判定用演算器の他の一
構成例を示すブロック図。 【符号の説明】 1…電子顕微鏡の鏡体, 2…電子銃,3…
電子線, 4…ワブラー(偏向コ
イル),5…試料, 6…対物
レンズ,7…中間レンズ, 8…投射
レンズ,9…蛍光面, 10…ガラ
ス窓,11…光学レンズ系, 12…テレ
ビカメラ,13…CRT, 14…
A/D変換器,15…切換スイッチ, 1
6…画像メモリー(A),17…画像メモリー(B),
18…演算器,19…引算器,
20…掛算器,21…加算器,
22…加算メモリー,23…信号線,
24…D/A変換器,25…メーター,
26…マイクロコンピュータ,27…対物レ
ンズ電源, 28…タイミング信号発生器,
29…偏向コイル電源, 30…割算器,3
1…対数演算器, 32…補正掛算器,
33…タイミング信号線。
装置全体の概略構成図。 【図2】図1における焦点正合度判定用演算器の一構成
例を示すブロック図。 【図3】図1における焦点正合度判定用演算器の他の一
構成例を示すブロック図。 【符号の説明】 1…電子顕微鏡の鏡体, 2…電子銃,3…
電子線, 4…ワブラー(偏向コ
イル),5…試料, 6…対物
レンズ,7…中間レンズ, 8…投射
レンズ,9…蛍光面, 10…ガラ
ス窓,11…光学レンズ系, 12…テレ
ビカメラ,13…CRT, 14…
A/D変換器,15…切換スイッチ, 1
6…画像メモリー(A),17…画像メモリー(B),
18…演算器,19…引算器,
20…掛算器,21…加算器,
22…加算メモリー,23…信号線,
24…D/A変換器,25…メーター,
26…マイクロコンピュータ,27…対物レ
ンズ電源, 28…タイミング信号発生器,
29…偏向コイル電源, 30…割算器,3
1…対数演算器, 32…補正掛算器,
33…タイミング信号線。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.電子顕微鏡の対物レンズ電流値をステップ状に変化
させる手段と、試料に入射する電子線の方向を変化させ
る手段と、上記試料を透過した電子線を結像させる電子
光学手段と、この結像された像を撮像するテレビカメラ
手段とを備えた電子顕微鏡において、上記対物レンズ電
流値をステップ状に変化させながら、その各ステップ毎
に前記試料入射電子線の方向を変えて、この試料入射電
子線の方向を変える前後に前記テレビカメラ手段で撮像
された2個の像をそれぞれ別個に画像メモリーに記憶さ
せて、該画像メモリーに記憶された上記両像の画像内容
の一致度を演算して求め、該画像内容の一致度が良好と
なった時点で上記対物レンズ電流値の変化を停止させる
ことを特徴とする電子顕微鏡における焦点合わせ方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8343762A JP2713562B2 (ja) | 1996-12-24 | 1996-12-24 | 電子顕微鏡における焦点合わせ方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8343762A JP2713562B2 (ja) | 1996-12-24 | 1996-12-24 | 電子顕微鏡における焦点合わせ方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59194672A Division JPH0821353B2 (ja) | 1984-08-17 | 1984-09-19 | 電子顕微鏡の焦点合せ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09171792A JPH09171792A (ja) | 1997-06-30 |
JP2713562B2 true JP2713562B2 (ja) | 1998-02-16 |
Family
ID=18364050
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8343762A Expired - Lifetime JP2713562B2 (ja) | 1996-12-24 | 1996-12-24 | 電子顕微鏡における焦点合わせ方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2713562B2 (ja) |
-
1996
- 1996-12-24 JP JP8343762A patent/JP2713562B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09171792A (ja) | 1997-06-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4983832A (en) | Scanning electron microscope | |
US20090185034A1 (en) | Imaging device for microscope | |
JPH08508092A (ja) | 撮像システム | |
US4680469A (en) | Focusing device for a television electron microscope | |
US3585382A (en) | Stereo-scanning electron microscope | |
JP2713562B2 (ja) | 電子顕微鏡における焦点合わせ方法 | |
JPH1132251A (ja) | 画像処理装置 | |
CA1084847A (en) | Method and apparatus for linearly filtering two- dimensional signals | |
JPH04192244A (ja) | 電子顕微鏡 | |
JPH04259743A (ja) | 走査型反射電子回折顕微鏡 | |
JPH0821353B2 (ja) | 電子顕微鏡の焦点合せ装置 | |
JP2887361B2 (ja) | 透過電子顕微鏡用又は電子エネルギー損失分析電子顕微鏡用の撮像方法及び撮像装置 | |
JPS58104582A (ja) | テレビモニタ撮影方法および装置 | |
JPH07302564A (ja) | 走査電子顕微鏡 | |
JP3125045B2 (ja) | 電子線強度測定装置および電子顕微鏡 | |
JP2959687B2 (ja) | 電子顕微鏡 | |
JP2001091844A (ja) | 共焦点走査型顕微鏡 | |
JP3101089B2 (ja) | 走査電子顕微鏡における輝度補正方法 | |
JPH05325860A (ja) | 走査電子顕微鏡における像撮影方法 | |
JPS5914222B2 (ja) | 走査電子顕微鏡等用倍率制御装置 | |
JPH0139393Y2 (ja) | ||
JPH0139394Y2 (ja) | ||
JPH0352179B2 (ja) | ||
JPS63307653A (ja) | 電子顕微鏡における立体視方法及び電子顕微鏡 | |
JPH05290783A (ja) | 走査電子顕微鏡 |